198話です!どうぞ!
相棒である老神父が伝えようとしたヒントの答えを得るために、コナーはセリーナの協力で記憶の世界へと入る。しかし、そこに魔術師ベリアルが現れ邪魔が入った。
ダンテ、ネロ、摩耶、鹿島が闇に消えてしまう状況下で、どうにか魔術師ベリアルを退けたはいいが、神通とセリーナは傷付き意識を失う。
魔術を強制的に中断させられた事でセリーナは弱り、コナーは目覚めないセリーナに尚も協力させようとする。それに反発した神通は、これ以上は危険だと判断し、セリーナを連れて帰ろうとした。
コナーはダンテ達を連れ戻す事を条件に、協力を続ける事を頼む。神通は渋々ながらも、協力するかはセリーナ次第として その条件を呑むのだった。
そして目覚めたセリーナの手によって、神通とコナーの意識は記憶の奥底へと沈む。
*記憶の世界*
記憶の世界へ戻ったコナーは、800年前の自分の中に入り、時系列が滅茶苦茶になった様々な記憶を目まぐるしく追体験していた。
草原で寝転ぶ自身。鳥の玩具で遊ぶ娘。
娘『見て、父上。南へ飛んで冬を越すの』
妻が優しく微笑む顔。家族との幸せな時間。娘と一緒に遊んだ時間。娘が産まれ、大切に抱き上げた時。森で薪を集めた日。魔女を狩るために森に入り、弓矢を武器に追跡した時。
妻『コナー』
妻と愛し合った夜。妻が妊娠し、家族が増える幸せを噛み締めた時。妻と娘が魔女に殺され、娘が大切にしていた鳥の玩具を手に、2人の墓の前で喪に服した夜。娘の楽しそうな笑顔。家族の危険を察知し、急いで家に戻った日。そんな光景を、何度も何度も繰り返していた。
そこに、神通の声が響く。
神通『コナーさん、これは現実じゃありません!私の手を取ってください!』
コナー「・・・・・・・・・」
神通『手を取って!』
次の瞬間、コナーは地面に両膝を突いた状態で、今の自分自身を取り戻していた。
顔を上げると自分を見下ろす神通が立っており、少し下を見ると、神通の手を握っていた。
コナー「俺を見付けてくれて ありがとう」
コナーは立ち上がり、2人で遠くを見る。その先には、炎で焼け落ちる魔女の女王の木が佇んでいた。
・・・・・・
女王の木の内部へ移動した神通とコナーは、過去に女王と決着を着けた場所まで来た。その光景は前回と同じで、特に変わった様子はない。
?「こっちだ!」
すると、男の声がした。
数人の武器を持った男達が現れたのだ。それは前回の時にはなかった光景だ。
彼らは魔女との戦いに生き残った、コナーの嘗ての仲間である騎士団の面々だった。
神通とコナーは少し後ろへ下がり、彼らの様子を見守る。
騎士「見ろ」
騎士の1人が声を上げると、十字架を象った杖を持つ男が、丸焼きとなったコナーへ近付く。
彼は、コナーの魔女狩りをサポートする最初の神父、初代の相棒だった。
神父「コナー・・・」
初代神父は、コナーが死んだ事を惜しむように名を呟いてから女王を見た。
神父「・・・あれは?」
騎士「用心しろ」
神父「仕留めたか・・・」
そう言って女王に突き刺さるコナーの剣を引き抜くと、辛うじて人の形を残していた女王の身体が崩れ落ち灰となる。
騎士「女王の最後だ」
神父「父と子と━━」
女王を倒し死んだコナーのために、神父が祈りを捧げようとした瞬間、死んだはずのコナーが人のものとは思えぬ呻き声と共に動き出した。
騎士「憑かれたんだ!」
魔女の呪いで人ならざる存在になったのだと思った騎士の1人が、剣を抜き斬り掛かろうとするが、それを神父が止めた。
過去のコナーの あまりの姿に、神通は それを見なければいけないコナーを心配するように視線を向ける。
コナーは、この時の事を憶えていなかった。
神父「生きてるんだ。奇跡と共に、悪夢が終わる」
神父の言葉に、騎士団の面々は焼け爛れたコナーを横にして助けようとする。
そんな中、神父は女王の灰の中で蠢く物に気付いた。
神父「女王の心臓か。破壊すれば女王は滅びる」
騎士「止めを」
神父が十字架を象った杖の頭を引き抜くと、それは仕込み短剣だった。
その刃を女王の心臓に突き刺すと、それに合わせ、過去のコナーが断末魔を上げる。
突き刺した心臓を持ち上げ、未だに消える事のない炎で炙る。すると、過去のコナーの断末魔も また、より一層 激しさを増した。
あまりにも痛々しい光景に、コナー自身も動揺していた。
騎士「破壊しろ」
何を思ったのか、神父は騎士団から見えないように炎から心臓を離し、短剣を持たない方の手で心臓を掴んだ。
コナー「よせ・・・」
神父が何をしようとしてるのか気付いたコナーだったが、ここは記憶の世界。現代のコナーの声は届かない。
短剣を引き抜くと、過去のコナーの断末魔も止まった。
騎士「よし、落ち着いたぞ」
女王の呪いを受けた事で、コナーは女王の心臓を共有していたのだ。それがコナーの不死身のカラクリだった。
心臓を破壊すれば女王を完全に葬る事はできるが、それと同時に、コナーの死を意味していた。それに気付き、神父は心臓を破壊するのをやめたのだった。
コナー「懐に?」
あろう事か、初代神父は女王の心臓を懐に入れた。それは、魔女ハンターであるコナーには信じ難い行いだった。
神父「終わりだ。女王は死んだ」
それが、コナーの過去の真実。800年間 隠され続けた秘密だった。
神通「最初から嘘だったんですね。あなたの相棒を拷問したのは、心臓の所在を知るため?まさか、ベリアルの狙いは、女王の復活・・・」
コナー「・・・・・・・・・」
コナーは悲しみや怒りなど、複雑な感情が見て取れる表情で、過去の彼らを見ていた。
*ニューヨーク某所 3月25日 20:25*
人気のない暗い場所で、闇に消えた魔術師デズモンドが手に杭を打たれ、木に磔にされ、車のヘッドライトに照らされていた。
ベリアル「800年間 待ち望んだ復活だ。栄誉だぞ、裏切り者。その身を差し出せるとは」
魔術師ベリアルは抱えたドラム缶を逆さまにし、魔術師デズモンドの足下に赤土を敷き詰めていく。女王復活の儀式の準備は、もう始まっていた。
・・・・・・
*教会 22:12*
コナーは現実の世界に戻った後、過去の真実について問い詰めるため教会に向かった。
書庫室では若い神父が、赤土の調査で糸口を掴んでいた。コナーが来た事に気付き報告しようとするが・・・
若神父「土の行方が分かった。レンタカーのGPSで━━」
コナーは若い神父を無理矢理 椅子から立たせ、壁に突き飛ばした。
コナー「嘘吐きめ!心臓を隠したな・・・“死を思い出せ”」
若神父「早合点するな」
教会の犯した罪を認めようとない事で、コナーは また若い神父の胸ぐらを掴み、別の壁に叩き付ける。
コナー「知らん顔で通しやがって」
若神父「初仕事で、騎士団の崩壊を・・・うわっ!?」
くだらない言い訳に怒りが収まらないコナーは、若い神父の顔の際で壁を叩いた。殺されそうな状況に、若い神父も恐々としている。
コナー「女王が復活するぞ。大惨事になる」
若神父「隠し続けると、誓いを立てた。この嘘が、何百年も終末を防いできたんだ。もし心臓を破壊したら、あなたも死ぬかも」
コナー「勝手に決めるな!」
教会は心臓を隠し、コナーを存命させながら魔女への抑止力として、コナー自身を武器として利用していた。
利用される事に不満はない。自分は魔女ハンターだ。やる事は変わらない。だが、女王を滅ぼせたのに、復活する要因を残す判断をした事が不満だった。
これ以上は話にならず、コナーは魔術師ベリアルを止めるため立ち去ろうとする。しかし、若い神父の言葉で足を止める事になった。
若神父「先代の考えだ・・・襲われた夜、破壊を考えていたはず。あなたのために、枷を外そうと」
だから老神父は、コナーが真実に辿り着けるためのヒントを残していた。女王を完全に滅ぼせば、コナーは永遠に戦い続ける地獄を味わう事も、大切な人達が旅立つのを何度も見届ける事もなくなるから・・・。
コナー「騎士団の武器は健在だ」
若い神父は、突き止めた赤土の行方を地図のコピーに印していた。コナーは それを手に、女王の復活を阻止するために書庫室を後にした。
*ニューヨーク某所*
ベリアル「女王に仕えるのだ」
デズモンド「やめてくれ・・・」
ベリアル「例え望まなくとも」
魔術師ベリアルが呪文を詠唱しながら、敷き詰めた赤土の中に女王の心臓を埋める。すると、赤土から緑色の蔦が無数に生え、魔術師デズモンドの身体に巻き付いていく。
復活の儀式は、最終段階に入っていた。
*教会*
祈りの間で神通が待っていると、コナーが戻ってきた。
コナー「俺の家に行け、安全だ」
コナーは神通に目もくれず、1人で出発しようとしていた。急な事で、神通はコナーを追い掛ける。
神通「あなたに協力するって約束です」
コナー「身内も信じられんのに お前を信じろと?」
その言葉に怒りを露にした神通は、コナーの腕を掴んで引き止めた。
協力を頼んだ時と今のコナーでは、あからさまに人が変わっていた。
神通「あなたらしくないです」
コナー「・・・これが俺だ」
コナーは1人で行ってしまい、神通は納得できないまま、黙って見送るしかなかった。
・・・・・・
*ニューヨーク某所 23:27*
コナーは愛車を飛ばせるだけのスピードで、地図に印された場所に向かっていた。ブルックリン橋を渡り、そこからも しばらく走り、そして辿り着いた。
ショットガンを手に愛車から降りると、ヘッドライトが点いたままのレンタカーが乗り捨てられていた。
そちらに近付きながら、コナーは ある言葉を呟く。
コナー「鉄を以て貫き、炎を以て焼き尽くせ。女王に永遠の死を」
その言葉は、魔女と戦う騎士団の教義であり矜持でもあった。その言葉を口にするという事は、戦いに挑む覚悟をした事を意味する。
ヘッドライトの明かりが照らす方へ振り返ると、1本の木があり そちらに向かう。
近付くと小さな呻き声が聞こえ、コナーはショットガンを構える。
銃口の先で蔦と膜のような物を どけると、魔術師デズモンドの顔が出てきた。まさか魔術師デズモンドが居るとは思わず、コナーは咄嗟に銃口を下ろした。
コナーの姿を見た魔術師デズモンドは、デズモンド自身の声と女の声が混じった声で笑った。
デズモンド『会いたかったぞ、コナー』
コナー「お前ら悪しき者は、まるで分かってない。俺の情けで、滅びずにいる事を。算段は付いてた。時間もあった」
デズモンド『昔とは違うようだ。風格が付いた』
コナー「不死の呪いを悔いろ」
そう言ってショットガンを構えたが、ヘッドライトに照らされる自分とは違う影が動くのを見た。魔術師ベリアルかと振り返りながら銃口を向けると、影は両手を挙げる。
神通「コナーさん、助けに来ました」
コナー「神通、来るなと・・・ぐあぁっ!」
神通は口から火炎を吐き出し、炎を浴びたコナーはショットガンを落として後退る。
火炎が消えると、神通から魔術師ベリアルの姿に変わる。コナーを油断させるため、魔術で神通に化けていたのだ。
魔術師ベリアルは、コナーが落としたショットガンを拾い発砲し、コナーに凶弾が命中する。
薬莢を排出するためのポンプアクションを行ってる隙を見逃さず、コナーはナイフを投げた。ナイフは寸分違わず魔術師ベリアルの喉を貫く。
魔術師と言えど、身体の構造は普通の人間と同じだ。喉を貫かれれば死が待っている。
魔術師ベリアルは首を押さえて膝を突くが、奴に気を取られていたのが命取りだった。後ろから魔術師デズモンドがコナーを掴み、振り返らせると胸に指を刺し込む。
コナーから黄色く怪しい光が魔術師デズモンドへ流れ、それを見た魔術師ベリアルは笑みを浮かべながら絶命した。
痛みで苦悶の声を上げるコナーは そのまま持ち上げられ、光の流れは尚も続く。
デズモンド『永遠の命は お前のものでなく、我がものだった。お前は ただ運んだだけ。今こそ返せ。我は この世に蘇る』
不死の力を奪った魔術師デズモンドがコナーを投げ飛ばすと、近くの鉄橋から飛び出す鉄筋にコナーが貫かれる。鉄筋は肩を貫通しており、コナーは吊り下げられたような状態だった。
どうにか抜け出そうとするが、普通の人間に戻ってしまったコナーは痛みで力が入らない。
コナーが動けなくなった隙に、魔術師デズモンドは自らの顔の皮膚を引き千切ると、中から醜悪な姿をした魔女の女王が、雄叫びを上げながら出てくる。遂に、女王が復活した。
この魔女の女王こそが、人間や悪魔とは違う別の悪意を持つ、闇そのものだった。
*???*
魔術師ベリアルによって引き摺り込まれた空間では、無数の骸骨を相手に、ダンテ達が未だに戦っていた。
摩耶「ちょっ、キリないって!」
ダンテ「文句 言わずに弾 撃ってろ!」
鹿島「しかし、このままじゃ弾切れになってしまいます!」
ネロ「ダンテ、あれ!」
ネロが見る方には、少し離れた場所で歪みが出来ていた。そこから光が漏れている。魔術師ベリアルが死んだ事で、出口が開いたのだ。
ネロ「出口だ!」
摩耶「けど こいつら どうすんだよ!?」
ダンテ「あー、メンドクセェな・・・」
ダンテは真デビルトリガーを発動し、真魔人の姿に変わると、無数のエネルギー光弾『ザ・ルーチェ』を発射した。『ザ・ルーチェ』は骸骨を全て砕き、塵にする。
骸骨の出現が一時的に止まり、ダンテは真魔人化を解除した。
摩耶「やり過ぎじゃね?」
ダンテ「たまにあるだろ?意味もなく大技 使いたくなる時が」
鹿島「・・・・・・い、今のは・・・」
初めて見るダンテの悪魔としての姿に、鹿島は理解が追い付かず呆然とする。
咄嗟とはいえ、話していなかった魔人化を使った事に、しまったと思ったダンテは説明してやりたかったが、今は それ処ではない。
ダンテ「説明は色々と落ち着いてからだ。ほら、行くぞ」
また次の悪魔が現れない内に、ダンテ達は空間の歪みへと急いで向かった。
*ニューヨーク某所*
女王『お前ら人間は、いつも脅えてきた』
女王を止めるため、魔女ハンターとしての使命がコナーを突き動かし、気合いで鉄筋から抜け出す。そのまま地面に落下し、倒れてしまった。
女王『洞窟に隠れ、炎を囲んで寄り添う』
コナーは地面を這い、女王を倒すためにショットガンを取りに行く。
女王『終わりだ!』
女王の身体からハエの大群が飛び上がり、宙で蠢く。
コナーは どうにかショットガンを掴み銃口を向けるが、ハエの大群が奔流となり、コナーを吹き飛ばす。
ハエの大群に纏わり付かれ、コナーは またしても動けなくなった。
女王は呪文を詠唱し、足下から赤黒い蔦が現れる。
ハエが離れて動けるようになったコナーは、即座に女王が立っていた方に弾丸を撃つ。しかし、既に女王は姿を消していた。
そこに空間の歪みが現れ、ダンテ達が戻ってきたのだが、負傷してるコナーを見て驚いた。
コナー「戻ったか・・・」
摩耶「おいおい どうしたんだよ!?」
ネロ「何でアンタが傷だらけに?何があった?」
コナー「女王が復活した。不死の力も奪われた」
このまま放っておく訳にもいかず、ネロはコナーに肩を貸しながら、彼の愛車の助手席に乗り込ませる。
ネロ、摩耶、鹿島が後部座席に座り、ダンテが運転席に乗り込んだ。
どこに向かえばいいか聞くと、コナーは自分の家を指定した。
鹿島「もう ちょっと場所 空けてくださいよ!」
摩耶「狭いんだから押すなって!」
ネロ「おい暴れんな!痛っ!」
ダンテ「うるせぇぞ お前ら。事故っても知らないからな?」
コナーの愛車は4人乗りで、後ろは3人で乗れる構造ではなかった。そのため、後ろの3人は踏んだり蹴ったりで滅茶苦茶だった。
コナー「(賑やかな連中だ・・・・・・仲間、か・・・)」
コナーは、神通が言っていた言葉を思い出していた。
教会に裏切られ、今の自分には仲間と呼べる者が居るのか、分からなくなっていた。
ダンテが運転する車は猛スピードで夜道を駆け抜け、テールランプの光が過ぎ去っていく。
・・・・・・
*タワーマンション 3月26日 0:35*
神通とコナーが記憶の世界から戻った後、セリーナは糸が切れたように倒れてしまった。倒れたのはベッドの上だったので、幸い怪我などはしていない。
教会からコナーの家へ戻った神通は、ずっとセリーナと老神父の様子を見ながら留守番をしていた。
摩耶「神通、居るか!?」
物音と共に、消えたはずの摩耶の声が聞こえ、神通は弾かれるように玄関に向かった。
神通「皆さん!・・・・・・コナーさん、いったい何があったんですか!?」
傷だらけのコナーを見て、神通は顔色を変えて驚いてしまう。
簡単な説明だけすると、神通はコナーの手当てを始めるのだった。
次回も宜しく お願い致します!