202話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 執務室 3月29日 8:10*
執務室にはダンテ、ネロ、一航戦の2人、セリーナが居るのだが、赤城は1人で、魔術師アルバートの手記と格闘していた。
赤城「ふんっ~~~・・・!」
取り戻した手記を開こうとしているのだが、接着剤で くっ付けたのかと思ってしまう程びくともしない。鎮守府に戻ってから、こんな風景が連日 続いている。
ダンテ「おい、破くなよ?」
赤城「分かってますよぉ」
今日まで何人かの力自慢も試してみたが、開く事はできなかった。
それならばと、2人掛かり、3人掛かりで引っ張ったりもしてみたが、結果は言うまでもない。
セリーナ「だからムダだと言ってるだろうに」
この手記には、魔術師アルバートの術が掛けられていた。いや、正確には願いと言うべきかもしれない。
その手記は、あるべき場所へと戻りたがっているらしい。その場所とは、手記の持ち主である魔術師アルバートの元だ。
セリーナ「奴の所に行かねば、どう足掻いても開かんぞ」
ネロ「そのアルバートって奴が どこに居るのか、セリーナは知ってるのか?」
セリーナ「知ってるが、妾は行かんからな」
ネロ「何でだよ?」
セリーナ「あんな奴、顔も見たくない!」
どうやら昔、セリーナは魔術師アルバートと色恋沙汰のトラブルがあり、喧嘩別れしてから会ってないそうだ。それもあり、長い年月が経っても まだ、顔を合わせたくない程に怒ってる。
それを聞き、執務室に居た皆は意外そうな顔をした。
加賀「セリーナにも、そんな時期があったのね」
セリーナ「わ、妾だって恋の1つや2つ・・・いや、数え切れん程の恋をした恋愛上級者だぞ!甘く見てもらっては困る!」
知り合いならセリーナが行って、手記の中身を見れるように頼めば話は早いだろうとダンテが提案するが、それでもセリーナは頑なに拒否した。意地でも行かないと決め込んでいる。
言い出しっぺのセリーナが動かず我儘である事に、ダンテも呆れて話をする気が失せてしまう。
ダンテ「何で こうも、スムーズに話が進まないのかねぇ・・・」
赤城「そういうのって、顔を合わせるのも気まずいでしょうし、仕方ないですよ」
ダンテ「知ったような口振りだな」
赤城「陽炎さんが持ってた少女漫画で勉強しました!」
陽炎の少女漫画で、赤城は恋愛における心の機微を学んでいたようだ。
しかし、言いたい事は それだけではないと、ダンテは見抜いていた。
ダンテ「それで?」
赤城「主人公の女の子が食べてた明太子スパゲティが美味しそうで、読む手が止まりませんでしたね」
漫画の中に出てくる料理の絵が目的で、読む度に お腹を鳴らしていたとか、そうでなかったとか。何にせよ、漫画を読む理由が普通の人とは違っていた。
加賀「それより提督、花見の話なのだけど」
ダンテ「何か言ってたな。また遠出するのか?」
加賀「いいえ、鎮守府でやるわ」
いつの日だったか花見に行った時に一苦労だったので、艦娘達はダンテが この世界に居ない間に桜の木を購入し、中庭に植えたそうだ。
これなら鎮守府で花見ができるので、わざわざ どこかに行ってトラブルに巻き込まれたり引き起こす心配はない。
赤城「今年は お世話になってる方も招待するので、今日から その準備ですね」
ダンテ「おい、外から人 呼ぶなんて聞いてないぞ」
赤城「もう招待状 出しちゃいましたよ?」
鎮守府の中でやるなら、余程の事がない限りトラブルが起きる事もないだろうと考えていたが、外から客を呼ぶとなると また心配事が増えそうで、ダンテも溜め息が出てしまう。
赤城「兎に角、買い出しもあるので提督も手伝ってくださいね」
ダンテ「何で俺が・・・」
その時、鎮守府内でアナウンスが流れた。
大淀『Devil May Cry鎮守府に所属する艦娘、及び憲兵隊と関係者に ご連絡します。今年のエイプリルフールは全面的に禁止します。繰り返します、今年のエイプリルフールは━━』
ネロ「エイプリルフール?何かあったのか?」
加賀「それがね・・・」
去年の4月1日、Devil May Cry鎮守府もエイプリルフールのイベントをやったらしいが、悪魔や深海棲艦を相手にするのとは また訳が違うトラブルが起きたそうだ。
トラブルの発端となったのは卯月らしいのだが、卯月の嘘が日本全国を巻き込む事態となり、日本政府まで動く大袈裟な話になってしまったらしい。下手をすれば、他国まで巻き込んでいた可能性もあったとか。
その反省を踏まえ、今年のエイプリルフールは禁止にしたとの事だ。
ダンテやネロは、まだ その時期に この世界に戻っていなかったので、2人は変な事に巻き込まれなくて良かったと安心した。
ダンテ「セリーナも この調子だし、他にやる事があるなら そっちから片付けるか?」
セリーナ「妾は悪くない!」
ネロ「俺も買い出し手伝うよ。ニコに車 出してもらうから」
加賀「ありがとう、お願いね」
赤城「・・・・・・何か聞こえますね」
本館の外が何やら騒がしい。どうやら、エイプリルフールが禁止になった事が残念な艦娘達が、諸悪の根源である卯月を追い掛け回してるようだ。
飽きもせず よくやると思うが、運動不足の心配はしなくて済みそうだ。
ダンテ「バージル達は まだ戻らないのか?」
赤城「現在 帰投中のようですが、まだ掛かりそうですね」
ダンテ「ならパシりに使えねぇな」
赤城「そんなこと考えてたんですか?いいから早く行きますよ」
出撃していたバージルと第7、第8艦隊は ゆっくり帰投中のため、鎮守府に到着するのは まだ先になりそうだ。
Devil May Cry鎮守府は花見のための準備で、忙しくするのだった。
・・・・・・
3日が経ち、Devil May Cry鎮守府では問題が発生していた。殆どの艦娘達が執務室に雪崩れ込んできたのだ。執務室の中は艦娘に埋め尽くされ、執務室の外にまで溢れている。
しかも全員が怒ってて抗議の声が止まらない。一航戦の2人も どうにか鎮めようとするが、効果はなかった。
因みに、艦娘達が怒ってるのはエイプリルフールの話ではない。
ダンテ「お前ら落ち着けよ、うるさくて しょうがねぇ」
摩耶「もう我慢の限界だ!」
秋雲「いや、マジで どうにかしてよ!」
初雪「艦娘 辞めたい・・・」
ダンテが言っても、艦娘達の文句が止まらない。
そして、その文句に真っ向から反論していたのが香取だ。
香取「悪いのは あなた達でしょ!」
今日も香取からの訓練を課せられていたのだが、スパルタ指導にストレスが溜まり、遂に艦娘達が爆発したのだ。
艦娘達は香取を止めてくれとダンテに言うために、香取は艦娘達に ちゃんと訓練を受けるよう提督として言ってもらうために来たのだが、執務室でもバトルを繰り広げる結果となった。
板挟みにされたダンテは、自分を殴ってでも気絶したい気分だった。気絶する事ができれば、この問題から逃げられる。
霞「来る日も来る日も訓練!訓練!訓練!」
漣「朝から晩まで訓練!訓練!訓練!」
大井「やってられないわよ!」
ダンテ「まぁ、それは しんどいよな」
香取「訓練は軍属であるなら基本です!それを怠って、もし轟沈したら どうするんですか?!あの時 訓練しておけば良かったと思っても、遅いんですからね!」
ダンテ「う~ん、轟沈されるのは困るな」
どっち付かずな返答に、怒りの矛先が今度はダンテに向かう。
鈴谷「提督は どっちの味方なの?!」
香取「提督なら厳しく言ってください!」
そんなこと言われても困ってしまう。訓練に関しては、極力 口を挟まないようにしてきたので、ダンテも その辺りの事は発言を控えたかった。
だが客観的に見れば、どちらの言い分も正しいと言えるし、間違ってるとも言える。
訓練漬けでは確かにストレスも溜まり、やりたい事もできず心が荒んでしまい兼ねない。
だが訓練を疎かにすれば、命懸けの戦争では命取りになる。職人でも1日 休むと、技術的な感覚を元に戻すのに3日は掛かると言う。艦娘で例えるなら、砲撃の命中率を元に戻すのに3日は掛かるというところか。
どちらの言い分も理解できるが、その行動と やり方が間違ってもいる。
ダンテの方針もあり、艦娘達は必要最低限の事しかしてこなかった。他の鎮守府と比べれば、それは少々 甘やかし過ぎた所もあったかもしれない。
そして香取の課す訓練は、内容が少々 過剰だった。他の鎮守府に引けを取らないようにしようと焦っているのか、スパルタ指導の度を越えていた。
ダンテ「鹿島、お前は どう考えてる?」
香取と同じく訓練を見ている鹿島にも意見を求めたが、鹿島はニッコリ笑うだけで何も答えない。どうやら、ダンテの判断に全てを委ねるつもりのようだ。
ダンテは何から手を着けるべきか考えたが、先に香取の方から止めた方が良さそうだと判断した。他の艦娘は後から どうにでもなる。
ダンテ「香取、こいつらが弱いと思うか?」
香取「日頃の様子では心配ですね」
香取の言い草に、艦娘達からブーイングが巻き起こる。
それを黙らせ、ダンテは更に質問を続ける。
ダンテ「俺の下だと不安か?」
香取「言うまでもなく」
ダンテ「そうか・・・」
香取からの返答を聞いたダンテは椅子から立ち上がり、不敵な笑みを浮かべながら全員に演習場へ向かうように言う。
一先ず艦娘達は指示に従い、演習場に向かおうとしたのだが・・・
熊野「邪・魔・で・す・わ~・・・!」
摩耶「イタタタタタッ!無理矢理 出ようとすんな!」
全員で一斉に動いたので出入り口で詰まってしまい、執務室から全員が退室するのに時間を要してしまった。
・・・・・・
*演習場 4月1日12:24*
演習場に集まり、これから何が始まるのかと艦娘達は待っていた。
そこに、昼食の時間になっても来ない皆を探しに、鳳翔と大淀、明石、間宮が来る。事情を聞いた4人も、皆に混ざって様子を見る事にした。
ネロとバージル、ニコ、セリーナは、先に食堂で昼食を摂っているらしい。
香取が何をするつもりかダンテに聞くと、香取と鹿島、1対1で それぞれの相手と実戦形式の演習をしてもらうと言った。
相手もダンテが決めるそうだ。
ダンテ「潮、鹿島の相手してやれ」
潮「えっ!?わ、私ですか・・・?」
自分がやるとは思わず、潮は不安そうだ。
これに反対したのが曙だった。気の弱い潮にやらせるのは、姉妹として賛成できない。
それなら自分が出ると言うが、ダンテに変えるつもりはないので、結局 潮が出る事になった。
ダンテは知っている。潮は確かに気が弱いが、いざという時は ちゃんと結果を残す艦娘だと。
香取「それで、私の相手は誰ですか?」
ダンテ「俺だ」
香取「はい!?」
驚く香取を余所に、ダンテは潮の耳に顔を近付け、何やらヒソヒソと話をしている。潮は不安そうな顔をしていたが、素直に話を聞きながら頷いていた。
準備も整い演習場に下りると、ダンテと香取、潮と鹿島が それぞれ離れて向かい合う。
鹿島「(提督さん、判断ミスをしましたね。残念ですが、潮さんでは私には勝てません)」
これまでの訓練で、鹿島は潮の癖や行動パターンを把握していた。そこから導き出した鹿島の計算では、潮の勝率は28パーセントだった。
香取「(やっぱり提督は頭が おかしい)」
香取は、ダンテの正気を疑っていた。いくら悪魔や深海棲艦と戦えると言っても、所詮は
だが それこそが大間違いだ。香取は、ダンテが普通でない事を知らない。
香取「(いいわ・・・提督、あなたの愚かさを教えて差し上げます)」
大淀「始めっ!」
大淀の戦闘開始の合図で、潮と鹿島が動いた。
一方ダンテと香取の方は、ダンテが魔剣ダンテを野球のバットのように持ち、フォームの確認をしていた。
それを見て本気で戦う気があるのか疑い、香取は動けないでいる。
香取「・・・ふ、ふざけてるんですか?!」
フォームのチェックが終わり、魔剣ダンテを構えるダンテ。
ダンテ「お前の1番いい球 投げてこい!」
バッターにとって、相手ピッチャーに1番いい球を投げられるのは嫌悪される。ピッチャーはバッターに打たせないための球を磨くものだ。そんな球を投げられるのは、バッターにとってはプレッシャーでしかない。
それでもダンテが そう言ったのは、“お前の全力を正面から叩き潰す”という意思表示だった。
香取「怪我では済みませんからね!」
ダンテ「来な!」
香取は少しだけ手心を加えてやろうと、その場から動かず砲撃する。砲弾がダンテに迫ると、ダンテはフルスイングで砲弾を打ち返した。
香取「嘘!?きゃあああっ!」
打ち返された砲弾は香取に直撃する。
驚く香取だったが、偶然だろうと何度も砲弾を撃つ。しかし、ダンテは その全てを打ち返し、香取に命中させていった。
香取「(あれは何なの!?こんなの、人間業じゃない!)」
手心を加えていれば自分が敗けそうだと判断した香取は、全力を出す事にした。ダンテを撹乱するために、水上を動き回りながら砲撃する。
潮と鹿島の戦いでは、鹿島が少し焦っていた。
鹿島「(潮さんの動きが違う・・・私の計算を上回ってくるなんて・・・!提督さんは何を吹き込んだの!?)」
潮の動きは、鹿島の知ってる それとは違っていた。明らかに、演習の時以上の実力を発揮していた。
潮「(提督、私は・・・!)」
潮の頭の中では、演習を始める前にダンテに言われた言葉が駆け巡っていた。その言葉だけを考え、潮は戦っている。
ダンテが魔剣ダンテを背中に戻すと、今度は砲弾をサッカーボールのように蹴り返していく。
香取「(何なのよ!何なのよ!何なのよ!)」
砲弾を打ち返したり蹴り返したりと、人間とは思えぬ行動に、香取の心は掻き乱されていた。
北上「あっちゃー、やっぱ提督 遊んじゃってるじゃん」
陸奥「そんな気はしてたけど、あれじゃあ香取が可哀想ね・・・」
ダンテを理解してる艦娘達は、ダンテが敗けるとは思っていなかったが、案の定な光景に、皆 何とも言えない表情を浮かべていた。
そんな艦娘達の中で、阿賀野、能代、伊401は唖然としていた。彼女達は、ダンテの強さを知らない。
いくら練習巡洋艦と言えど、相手は艦娘だ。艦娘を相手に余裕で相手取るダンテに、夢か幻なのかと錯覚してしまう。
阿賀野「ほえ~・・・」
能代「あ、あの、私達の提督って・・・」
赤城「私達の提督は化け物なので、あれが普通です」
しおい「(ば、化け物なんだ・・・)」
悪意のある言い方に聞こえるのだが、他の艦娘達は頷いて赤城の言葉に同意していた。
3人にダンテの変なイメージが付きそうだが、大丈夫だろうか?
ダンテは心配ないので、皆は潮と鹿島の戦闘を見守る事にした。声に出して応援すると、香取型にとってアウェイな演習になってしまうため、心の中で潮を応援していた。
その後も戦闘は続き・・・。
・・・・・・
大淀「そこまで!」
そして決着が着いた。潮と鹿島の戦闘は、潮の戦術的勝利となり、ダンテと香取の戦闘は、ダンテの完全勝利で幕を閉じた。
演習が終わりダンテ達が陸に上がるが、勝てると思っていた香取型の2人は呆然としていた。
ダンテ「まだ こいつらが弱いと思うか?俺だと不安か?」
香取は呆然としたまま何も話さないが、鹿島は この結果を受け入れ微笑んでいた。
鹿島「恐れ入りました。私の計算を上回ってくるなんて・・・やはり元帥の判断は正しかったようです」
香取「嘘よ・・・こんなの嘘よ!」
絞り出すように声を発した香取は取り乱していた。そんな香取を、鹿島は少し心配そうに見詰めている。
香取「人間が艦娘に勝てるなんて・・・あなたは いったい何なんですか!?」
ダンテ「何って・・・提督だよな?」
天龍「いや合ってっけどさぁ」
北上「何で こっちに聞くの?」
ダンテのチャランポランな回答に、艦娘達も苦笑いを浮かべてしまう。
大事なのは この後だ。ただ力で捩じ伏せるために、ダンテも こんな事をした訳ではない。全ては本当のDevil May Cry鎮守府が どういうものか知ってもらうために、そして香取型の隠している事を聞き出すためにやった事だった。
ダンテ「さてと、そろそろ本題に入るか。お前らが ここに来た本当の理由は何だ?」
鹿島「・・・・・・と、言いますと?」
鹿島は何の事か分からないと言いたげに、困ったような笑みを見せる。だが それは、ダンテに言わせれば笑みではない。本心を隠すための仮面だ。
ダンテ「そういう態度で来るか。大淀に頼んで、お前ら2人の資料を取り寄せた」
香取型が着任した時から、ダンテは2人に疑いの目を向けていた。今更 大本営から練習巡洋艦を寄越すなど遅過ぎる。それなら もっと早く着任させてくれても良かったはずだ。
大淀に頼んで大本営から取り寄せた2人の資料には、特に目立った問題は記載されていなかった。それ処か、的確な指導で優秀な艦娘を育て、香取と鹿島自身も優秀なのか褒められる点しか書かれていなかった。とてもじゃないが、無理が祟る訓練をさせるような印象は、資料からは感じる事はなかった。
ダンテ「それなのに お前らは、俺から見ても過度な訓練内容を こいつらにやらせようとしてた。まるで差し迫る何かに追われ、焦ってるみたいにな」
“焦ってる”と言われ、香取型2人の顔色が変わった。ダンテの指摘は間違っていなかったようだ。
だが それで分からないのは艦娘達だ。そこまでハードな訓練を、自分達に課してまで焦る理由など思い付かない。
長門「私達に そこまでさせて、焦る事とは何だ?」
ダンテ「何か事情があるんだろうさ」
鹿島「・・・・・・さすが提督さん、そこまで見抜かれては仕方ないですね。香取姉、もう話してもいいですよね?」
鹿島は諦めたように聞き、意気消沈してる香取は ゆっくりと頷いた。
それから鹿島が、自分達がDevil May Cry鎮守府に来た理由と、大本営で起きている事の説明を始めた。
次回も宜しく お願い致します!