天龍が おかしくなってますが、気にせず読んでいただけたらと思います。
208話です!どうぞ!
ネロ、バージル、天龍、神通、如月、暁、大潮、パティは霧の出る山を さ迷い、神通の閃きで どうにか魔術師アルバートの洋館に辿り着く事ができた。
洋館を訪ねると、死人のような肌をした執事が出てくる。
魔術師アルバートと面会できるところまで話を持っていったが、彼は忙しく、すぐには会えないとの事だった。
丁度 洋館では、客を招いたパーティーを開いてるそうなのだが、天龍の様子が おかしくなった。天龍は、自分が魔術師アルバートの娘レイナだと言い張る。
訳が分からないまま、ネロ達はパーティー会場となるダンスホールへと案内されるのだった。
*洋館 ダンスホール*
ダンスホールへと着くと、そこでは着飾った大勢の人が仮面を付け、男女ペアになり踊っていた。
テーブルも幾つか置かれ、立食スタイルで豪華な料理も並んでいる。赤城が見たら涎ものだ。
パティ「凄い、お金持ちの家って感じ」
大潮「料理も凄いですよ!」
如月「見てたら お腹 減ってきちゃうわね」
バージル「食うなよ」
パティ「どうして?私達も お客様なんだから、食べても問題ないでしょ?」
バージル「得体の知れん奴が用意した料理など、碌な事にならん」
神通「何も触らず、私達は待ちましょう」
豪華な料理が食べれないと分かり、如月、暁、大潮、パティは肩を落として落胆する。
ネロ「・・・・・・なぁ、天龍どこ行った?」
気付くと、さっきまで一緒に居た天龍の姿がない。
大勢の人が躍り回る大広間を見渡して探すと、天龍は寂しそうに部屋の隅っこに座り、踊る人達を見詰めていた。
暁「天龍さん、どうしちゃったんだろう・・・?」
バージル「放っておけ。おかしいのは いつもの事だ」
如月「そんな事ないと思うけど・・・」
洋館に来てから人が変わってしまった天龍を、どうしてやるべきか分からない。これも魔術師アルバートに何か関係があるのなら、彼に話を聞くしかないのだが、今は まだ会わせてもらえない。
ネロ達は何もできないまま、躍り続ける人達を眺めるしかなかった。
・・・・・・
しばらく待ったが、魔術師アルバートや執事からの音沙汰はない。待つ事にも疲れてきた。
そんな中、やはりネロは天龍が気になって仕方がなかった。本人から話を聞けば、何か分かるかもしれないと思い、躍り続ける人達を避けながら天龍の方へ向かった。
天龍の傍まで行くが、天龍はネロを見る事もなく、躍り続ける人達を見ている。
ネロ「えっと、レイナ・・・で、いいんだっけ?」
天龍「・・・・・・・・・」
ネロ「(何だかやりにくいな・・・)」
目の前に居るのは間違いなく天龍なのに、別人として話さなければいけないのは変な気分だ。それでも怖がらせないように、小さな子供に話し掛けるかのように話す事を心掛ける。
ネロ「良かったら、君のこと教えてくれないか?お父さんの事とか」
話ができそうだと安堵したが、
ネロ「・・・君の お父さんは、どういう人?」
ネロ「そっか」
ネロ「それ、どういう意味なんだ?君のせいって いったい・・・?」
それっきり、
ネロ「踊ってるの、そんなに気になるか?」
ネロ「え・・・」
ネロ「そっか、そうだったのか・・・」
躍り続ける人達を見ていたのは、羨ましかったからだ。一緒に踊ってくれる友達が居ないから、1人寂しく こんな所で見ていたんだ。
ネロ「じゃあ、俺が友達になってやるよ」
ネロに断る理由もないし、心を開いてくれた方が話もしやすい。
ネロ「本当だ。ああいうダンスは よく分かんないけど、一緒に踊るか?」
ネロ「
まるで紳士のような仕草で、ネロは
する事がなくボーッとしていた艦娘達とパティだったが、暁が一緒に踊ってるネロと天龍を発見した。2人は ぎこちない動きだったが、どうにか踊れている。
暁「ねぇ、あれ見て」
大潮「ネロさんと天龍さんが踊ってるじゃないですか!?」
如月「珍しいもの見ちゃったわね♪」
如月はスマホのカメラを起動し、連写機能でネロと天龍の2人を激写していく。鎮守府に帰ってから話す いいネタができた。
パティ「私達も踊る?」
暁「うん!」
大潮「アゲアゲで行きましょー!」
暁、大潮、パティも一緒にダンスの中へ混じっていき、3人で それっぽく踊り楽しみ始めた。
そんな中、バージルの目付きは鋭くなっていた。目の前で躍り続ける人達は疲れ知らずなのか、休憩もせず、まるで狂ったように ひたすら躍り続けている。
バージルは視線を天龍に向ける。この洋館に入ってから、外に居た時より悪魔の気配が強くなっていた。1番 気配が強くなったのは、天龍の様子が おかしくなった時だ。
このまま待っていても埒が明かないので、バージルは全員を呼び戻そうとした。
バージル「神通、魔術師に会いに行く。あいつらを呼び戻せ」
神通「しかし、待ってるように言われましたが・・・」
バージル「このまま こうしていても、何も変わらん。それに・・・」
悪魔の気配は徐々に強まっている。何かが起きようとしていた。
神通がネロ達を呼び戻そうと動いた瞬間、大広間で流れていた音楽と、狂ったように躍り続けていた人達の動きが一斉に止まった。
急に どうしたのかと、異様な雰囲気にネロ達も事態が飲み込めず動揺する。
すると、
ネロ「どうした?レイナ、しっかりしろ。何がある?」
ネロ「レイナ、レイナ!教えてくれ、これから何が始まる?」
この事態を知っているであろう
そして、ずっと踊っていた招待客全員が、呻き声を上げながら痙攣を始めた。
身体からバキバキと異音を鳴らしながら骨格が変わり、人間としての皮膚を破って昆虫のような怪物が現れた。一言で言い表すなら、昆虫人間と言った方が正しいかもしれない。
ネロ、天龍、暁、大潮、パティは招待客に混じっていたので、いきなり昆虫人間に囲まれた状態だ。
ネロが
神通「何か様子が変です!」
よく見ると、昆虫人間はネロ達を無視して、仲間であるはずの他の昆虫人間に襲い掛かり、共食いを始める。あまりにもグロテスクな光景に、ネロ達の顔も強張る。
神通「危ない!」
パティ「こっち来た!」
神通がパティ達の方を見ると、昆虫人間の1体がパティ、暁、大潮に飛び掛かろうとしていた。
咄嗟に しゃがんで避けると、昆虫人間は頭上を飛び越え、他の昆虫人間に噛み付いて皮膚を食い破る。
ネロは
如月「ここ何なのよー!」
合流したネロ達はダンスホールから抜け出し、ネロはブルーローズを抜いて構える。閉じられた扉からは、昆虫人間が追ってくる気配はない。
そこに執事が現れた。
執事「おや?皆様どうされましたか?」
ネロ「これは どういう事だ?!」
執事「・・・と、言いますと?」
丁重に持て成されたかと思えば、化け物の集団の中に放り込まれていた結果にネロも激昂する。
しかし、執事は何の事か分からないという顔で惚ける。
パティ「いきなり化け物が居る所に案内するなんて、どういうつもりなのかって訊いてるのよ?!」
執事「化け物?」
執事はダンスホールの扉を開けて中を確認するが、そこに昆虫人間の姿はなく、最初に案内された時と同じで、着飾った人達が音楽に合わせて踊っていた。
執事「化け物は居ないようですが?」
如月「何で・・・?だって この人達・・・」
バージル「もういい。貴様の主人には会えるようになったのか?」
執事「えぇ、それで皆様を お呼びしようと来たら、化け物が どうだと騒がれておりましたので、驚きましたよ」
バージル「気にするな。とっとと案内しろ」
執事「では こちらへ」
執事が案内するため、先導して歩く。正確には歩いていないが・・・。
ネロ達も それに付いて行こうとしたが、ネロは誰かに手を握られた。横を見ると、
ネロ「心配ない、大丈夫だ」
ネロはできるだけ不安にさせないように言い、執事を追う。
そんなネロ達の後ろ姿を、パティが見た少女が見詰めていた。
・・・・・・
*魔術師アルバート執務室*
執事「ご主人様、例の お客人を お連れしました」
アルバート「あぁ、入ってくれたまえ」
執事がネロ達を連れてきた事を報せると、部屋の中から入室の許可が出た。執事が扉を開け、ネロ達を中に通す。
中に入ると、フード付きのローブを着た、如何にも魔術師という感じの男が待っていた。彼こそ、ネロ達が会いに来た魔術師アルバートその人だ。
アルバート「レイナ、君が連れてきてくれたのかい?」
見た目は天龍だというのに、魔術師アルバートは戸惑う事もなく、レイナとなった天龍に対して父親としての顔を見せる。
アルバート「いい子だね。パパは お客さんと話があるから、外で待っててくれるかい?」
アルバート「困ったね・・・」
ネロと艦娘達は、この異様な光景に顔を しかめた。天龍は天龍だ。自分達の仲間だ。今 目の前で繰り広げられている親子の会話を聞いてると、得体の知れない者に仲間を取られたような気分になる。
魔術師アルバートは
アルバート「よく来てくれた。セリーナに頼まれて来たそうだね」
ネロ「これだ」
手記を渡し、受け取った魔術師アルバートは とても懐かしそうな目差しで、それを見詰める。
神通「私達に、それを見れるようにしてほしいんです」
アルバート「どうしてだい?」
ネロ「アンタが それに書き記した事が厄介だからだ。セリーナは悪魔の事が書いてあると言ってたぞ。しかも魔帝ムンドゥスの事をな」
アルバート「その通りだ。これには私の研究、悪魔に関する事を書いてある」
パティ「どうして悪魔なんか研究してるのよ?」
アルバート「知的好奇心とでも言っておこう」
バージル「余計な事に首を突っ込むな。碌な事にはならんぞ」
アルバート「それは人それぞれだ。セリーナは元気にしてるのかな?」
ネロ「あぁ」
如月「あの、セリーナとは特別な仲だったって聞いたんですけど・・・」
アルバート「それもセリーナから聞いたのかな?」
魔術師アルバートは照れたように聞き返し、彼も恋仲だった事を認めた。
魔術師アルバートの研究が原因で喧嘩し、セリーナとは それっきり会ってないらしい。
アルバート「しかし、セリーナの頼みでとなると、仕方ないね。魔術を解いておこう」
敵対する事もなく目的が果たせそうなので、ネロ達は一安心した。
あとは 人が変わってしまった天龍の問題だけだ。
ネロ「そうしてくれると有り難い。それと、天龍を元に戻してもらおうか」
アルバート「天龍?」
ネロ「アンタの娘になっちまった そいつだ。ここに入ってから おかしくなった」
アルバート「何を言ってるのかね?この子は私の娘だよ」
ネロ「(こいつ、何 言ってやがる・・・!?)」
魔術師アルバートでさえ、天龍の事をレイナと言い張る。
仲間を返さないつもりかとネロの殺気が膨らむが、魔術師アルバートは手記を読めるようにするための条件を突き付けてきた。
アルバート「今夜は私も忙しくてね。魔術を解くのは それからにしたい。明日までには君達に渡せるだろう。それまでは、ここで ゆっくりするといい。君達も大切な お客様だからね」
ネロ「おい、それより天龍を━━」
アルバート「レイナ、折角だから君の部屋を見せてあげなさい」
まだ言いたい事があるのに、魔術師アルバートは勝手に話を進め、ネロは
バージルと艦娘達も何も言えず、ネロを追って部屋から出た。
残された魔術師アルバートと執事だったが、執事の方は笑っていた。
執事「良かったですね。これで あなたの目的が果たせる」
アルバート「分かってる。約束は守ってもらえるんだろうな?」
執事「勿論です。そういう契約ですからね。
この執事は、魔術師アルバートの執事ではなかった。
どちらにも何かしらの目的があるようだが、魔術師アルバートが研究している悪魔と関係があるのだろうか?
ネロ達も何かあるとは疑ってはいるが、それを知るのは もう少し後の事だった。
・・・・・・
*レイナの部屋*
ネロ達は
暁「可愛い!」
如月「ぬいぐるみも こんなにあるなんて、お店でもできちゃいそう」
レイナの部屋は ぬいぐるみなどが多くあり、内装もピンク色が多く、昔ながらの女の子の部屋と言った感じである。
大潮「ベッドも こんなに大きくて、フカフカですよ!」
子供部屋ではあるが、ベッドなどは子供が使うには かなり大きく、高級そうだ。
ネロ「レイナ、教えてくれ。君のパパは何をしようとしてる?」
やはり魔術師アルバートは胡散臭い。死人のような執事や、ダンスホールに居た怪物になる人々、ここに来てから目にしたのは どれも怪しく、異常な光景だった。
レイナが予想通り子供であるなら、聞き出すのは容易いかもしれないと思い訊いてみたが、質問には答えず黙り込んでしまった。
神通「ネロさん、いきなり そんな聞き方されても困ってしまいますよ」
ネロ「そうなんだけど・・・」
身体は天龍でも中身は子供だ。無理矢理 聞き出す訳にもいかず、ネロも どうするべきか頭を悩ませる。
神通は
神通「先ずは、あなたの事を教えてくれますか?」
神通がレイナ自身の事を質問すると、ネロの時とは違ってスラスラと自分の事を話し始めた。
レイナと魔術師アルバートは、元々ヨーロッパの方で暮らしていたらしい。
レイナが病弱である事から、身体を労り静かに暮らせるように、母親が亡くなってから日本に移り住んだそうだ。
村の人達も親切で、時々 畑で栽培した作物を持ってきてくれる事もあった。窓から外を見て目が合うと、いつも手を振ってくれていた。
バージル「(だが村人は消えた。アルバート、奴は いったい何をした?)」
話の途中だったが、不意に部屋の扉をノックする音がした。
ベッドから降りた
執事「レイナ様、ご主人様が お呼びです」
用件を聞き、
そんな表情のまま、
ネロ「大丈夫、ここで待ってるから」
それに気付いたネロは、優しい声音で待っている事を約束する。
それを聞いた
そんな中、バージルは机の上に残された1冊の本に目が止まった。
バージル「・・・・・・日記か」
レイナが何か知っているのなら、ここでの事を書き記しているかもしれない。そうであるならば、ここで何が起きてるのかも把握できる可能性がある。
そう思ったバージルが手を伸ばすが、パティが それを止めた。そのパティは、どうやら ご立腹のようだ。
パティ「レディの日記を読むなんて絶対ダメだからね!」
バージル「どうせ大した事など書いてあるまい。子供なら尚更な」
パティ「そういうのは、乙女の秘めたる想いが書き綴ってあるものなのよ!ほんっとダンテと同じでデリカシーないわね!」
如月「私も、そういうのはマナー違反だと思うわ」
暁「一人前のレディは・・・・・・レディ?」
大潮「ジェントルマン!」
暁「一人前のジェントルマンは そういう事しないわ!」
パティ達の あまりの うるささに、バージルは仕方なくレイナの日記から手を離した。
それでも説教は続き、それが煩わしいバージルは、いっそのこと次元斬で全て消し去ってやろうかとも思ったが、グッと我慢した。
ネロ達は退屈しながらも、大人しく
次回も宜しく お願い致します!