Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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また文字数が多いです。申し訳ない。

210話です!どうぞ!


Mission210 レイナの願い~昇天する魂~

見せたい物があると言われ、天龍(レイナ)に案内されたのは拷問器具が置かれた地下室だった。

そこで殺された村人の怨霊と思われる黒い影が現れ、拷問器具に取り憑きネロ達に襲い掛かる。

黒い影が取り憑いた拷問器具には攻撃が通じずジリ貧となるが、バージルの咄嗟の攻撃で弱点を見付ける。

降り掛かる脅威を退けたが、今度は天龍(レイナ)が、魔術師アルバートに呼ばれてると言い1人で どこかに行ってしまう。追い掛けるネロ達だったが、見失ってしまった。

そこに、パティの目の前にレイナを名乗る少女が現れた。しかし、パティ以外には その姿が見えていなかった。

レイナは自分の部屋に行き、自分の日記を読んでほしいと伝える。ネロは信じていなかったが、パティはレイナの部屋へ行く事を提案し、急ぎレイナの部屋へ向かうのだった。

レイナの部屋にあった日記を見たネロ達は、昔 洋館と村人に何があったのか、魔術師アルバートが何をしたのか、それを僅かながらに知る。

再び現れたレイナから、魔術師アルバートが また儀式をやろうとしてる事を教えられ、天龍を助けるため、レイナの導きで天龍の元へ急ぐのだった。

 

 

*洋館*

 

洋館の通路を走るネロ達だったが、悪魔の妨害を受けていた。

現れたのはマリオネット、アゴノフィニス、テレオフィニス、モルトフィニス。どれも不気味な洋館に現れるには似合い過ぎな悪魔ばかりだ。

ネロとバージルが、レッドクイーンと閻魔刀で悪魔を破壊しながら駆け抜け、その後ろを艦娘達とパティが追従する。

 

ネロ「っ・・・どっちだ!?」

 

進んでいると、通路が左右に分かれた場所に出た。

どちらに行くべきが迷っていると、片方の通路にレイナが現れた。

 

レイナ「こっちだよ」

 

パティ「ネロ、あっち!」

 

見失ったレイナが現れ、その導きでネロ達は正しい道を進んでいく。

 

 

*大広間*

 

アルバート「もうすぐ深夜0時。最後の望みだ」

 

アルバートは大きめのナイフを手に、儀式を完了させる準備が整っていた。

そこに、ネロ達が大広間に駆け付けた。

 

ネロ「アルバートォ!」

 

アルバート「来たか・・・」

 

暁「て、天龍さんを返してよ!」

 

アルバート「この子は私の娘だよ。私のレイナだ」

 

ネロ「寝ボケてんじゃねぇぞ この野郎。天龍は返してもらう。絶対にな!」

 

アルバート「なら、私を殺して奪えばいい。できるものならね」

 

魔術師アルバートは天龍から離れ、その手に長い漆黒の杖を出すと、ネロ達の前に立ち塞がる。

飽くまでも戦うつもりだと分かり、ネロはレッドクイーンを抜き、艦娘達も艤装を展開して主砲を向ける。

 

ネロ「最初から そのつもりだ!」

 

大潮「パティさんは下がっててください!」

 

神通「撃ちます!」

 

パティ「ちょっと待ってよ!」

 

パティが呼び止めるが、艦娘達が砲撃すると魔術師アルバートは障壁を出して それを防ぐ。

砲弾を受け止めた事で障壁に罅が入り、バージルがベオウルフを装備した拳で完全に砕くと、ネロが斬り込む。

魔術師アルバートが、レッドクイーンの刃を杖で受け止め押し返すと、今度はバージルが閻魔刀で斬り掛かる。魔術師アルバートは腰を横一閃で斬られ、上半身と下半身が泣き別れになった。

随分あっさり終わったと思ったが、1つ違和感があるとすれば、それは魔術師アルバートの顔が笑っていた事だ。

次の瞬間、魔術師アルバートの身体が霧のように消え、違う場所に現れると魔力弾を飛ばしてきた。ネロとバージルはギリギリで躱す。

艦娘達も砲撃を続けるが、やはり砲弾は障壁に阻まれる。

今度はネロが、『イクシード』を発動させたレッドクイーンで障壁を砕くと、魔術師アルバートは氷の矢を生成して飛ばしてくる。

ネロが氷の矢を踊るように避け、バージルが幻影剣を射出して氷の矢を相殺する。

 

パティ「皆 待ってってば!アルバート、レイナは こんなこと望んでない!」

 

パティは戦って止めるのではなく、説得して止めたいと思っていた。だが、魔術師アルバートには聞く耳は持っていなかった。

 

アルバート「君に あの子の何が分かる?知ったような口を利くな」

 

パティ「知ってるわよ!レイナの部屋で、あの子の日記を見たの!私はレイナに言われたの!あなたを助けてって!」

 

そう言われ、魔術師アルバートの脳裏には、レイナが生前 儀式をやめてほしいと お願いしていた時を思い出す。

 

アルバート「っ・・・!私の娘は ここに居る!いい加減な事を言うな!」

 

パティ「っ・・・!?」

 

暁「パティ!」

 

魔術師アルバートがパティに向かって魔力弾を放つが、暁がパティを押し倒し直撃は免れた。

 

ネロ「テメェッ!」

 

バージル「(・・・何だ今のは?)」

 

パティを狙った事に、怒りを露にしたネロは魔術師アルバートに向かっていくが、バージルは訝しげに目を細めた。

魔術師アルバートは、確かにパティに向かって魔力弾を放ったが、その軌道はパティに直撃するコースから微妙にズレていた。ただ単に下手なのか、わざと外したのか、どちらにせよ、バージルは違和感を感じていた。

一気に鎮圧するために、ネロ、バージル、艦娘達が一斉に魔術師アルバートへ向かっていく。

すると、魔術師アルバートは床に杖を打ち鳴らすように突き、彼を中心に衝撃波が発生した。それにより、床に描かれた魔法陣の外まで艦娘達は吹き飛ばされ、ネロとバージルも床を滑るように後退させられた。

 

アルバート「私が得意とする魔術は、時を操る魔術だ」

 

魔術師アルバートが杖を振ると、ネロとバージル、艦娘達、パティの動きが完全に止まった。

 

ネロ「(なん・・・だよ・・・これ・・・!?)」

 

暁「(う、動けない・・・!)」

 

ネロ達は意識を残したまま、身体の時間だけが止められていた。

危機的状況の中、洋館に0時の鐘が鳴る。遂に、儀式を完了させる時間が来てしまった。

 

アルバート「君達は そこで見てるといい」

 

ネロ「(天龍!)」

 

どうにか身体を動かそうとするが、どれだけ強い意思を持っていても それは叶わなかった。

魔術師アルバートはナイフに持ち替え、天龍(レイナ)の元へ戻る。

彼の持つナイフには、魔術が掛けられた特別製だ。それを用いれば、艦娘である天龍を殺す事も可能だ。

 

アルバート「レイナ、時間だ」

 

天龍(レイナ)「そうだね。これでパパの望みが叶えられる。だから早く殺して」

 

ネロ「(やめろぉおおおお!!)」

 

アルバート「あぁ、殺してあげよう。私と一緒に」

 

『(・・・・・・!?)』

 

ネロや艦娘達、パティは、魔術師アルバートの行動に驚いた。彼は、天龍ではなく自分の胸に突き刺したのだ。

それと同時に、動かなかった身体も動くようになった。

天龍から緑色の靄が浮かび上がると、如月が撮った画像に写っていた存在が現れた。それは画像に写っていたままの姿で、レイナと同じような格好だが、明らかに異質な存在。

 

バージル「奴が真の主か」

 

天龍の身体から現れたのは、魔界の瘴気で悪魔化した悪霊だった。

それが現れたのと同時に、天龍と魔術師アルバートが床に倒れ込むと、ネロはデビルブリンガーの腕を伸ばし、天龍を掴んで引き寄せる。

 

ネロ「天龍、おい天龍!しっかりしろ!」

 

天龍「・・・・・・んぁ・・・ネロ・・・?」

 

意識のなかった天龍が目覚め、ネロも深く安堵の息を吐くが、天龍は消耗してるのか弱っていた。

 

レイナ「パパ!」

 

そこに、霊となった本物のレイナが現れた。今回はパティだけでなく、全員に その姿が見えていた。

 

ネロ「あれが、レイナなのか・・・?」

 

レイナが魔術師アルバートに駆け寄ると、彼は既に息絶えていた。

レイナに似た姿をした悪魔は、魔術師アルバートを見て嘲笑っていた。

 

悪魔『自らの命を生け贄にするとは、愚かな奴だ。己の探求心のために、娘の命まで犠牲にしたというのに

 

レイナは涙を流しながらネロ達の方へ向き、最後の願いを託す。

 

レイナ「パパは、本当は あいつを止めようとしたの!でも、パパにはできなくて・・・お願い、あいつを倒して!」

 

ネロ達は すぐに動く事ができなかった。娘や大勢の村人まで犠牲にしたのに、天龍ではなく自らを犠牲にした その行動の意味が、理解できなかった。

すると、掠れた声で天龍の声が聞こえてきた。

 

天龍「ネロ、皆・・・あいつを倒してくれ・・・アルバートは・・・あいつに騙されてたんだ・・・あいつは・・・放っておくとヤバい・・・」

 

天龍は取り憑かれた事で、悪魔と僅かながらに記憶を共有していた。それで知ったのは、魔術師アルバートが利用されていた事だった。

 

悪魔『儀式の失敗により不完全な形でしか人間界に来れなかったが、この男の お陰で、俺は完全なる存在となった!今更 何をしようと無意味だ!

 

悪魔が自分の存在を誇るように言い放つと、大広間の風景が変わり、真っ黒な空間へと変わる。

ネロ達の足下の床も変わり、大きな円形の柱の上に立っていた。壁はなく、落ちれば どうなるか分からない。

ネロは拳を握り締め、怒りの感情が燃え上がっていた。いや、正確には苛立ちと言うべきかもしれない。

 

ネロ「どいつも こいつも・・・散々 人を振り回しやがって・・・」

 

言い出しっぺのセリーナは動かず、魔術師アルバートの手記を奪ったコナーのせいで面倒な事に巻き込まれ、かなり遠回りをさせられた。

挙げ句の果てには天龍が悪魔に取り憑かれ、魔術師アルバートは悪魔を呼び出した。ネロには、何もかもが腹立たしかった。

 

ネロ「ムカつくんだよぉっ!!」

 

右腕にオーバーチュアを装着したネロは、一気に間合いを詰め、『バッテリー』を繰り出し悪魔を吹き飛ばす。

悪魔は宙で体勢を整えると、ネロを見て驚いていた。

 

悪魔『なぜ俺に攻撃できる!?何だ その力は!?

 

ネロ「テメェを ぶっ倒す力だ」

 

ネロがデビルブレイカーの拳を握って そう言い放つと、悪魔は緑色の炎を撒き散らす。

ネロは跳躍して避けると、デビルブレイカーからワイヤーを射出。ワイヤーが悪魔の身体を貫くと、ワイヤーを一気に巻き上げ悪魔に急接近し、デビルブリンガーで殴りまくる。

 

バージル「俺達も行くぞ」

 

神通「如月ちゃん、暁ちゃん、怖がってはいけませんよ」

 

悪魔はレイナを白骨死体にしたような見た目だったので、それと戦う事に如月と暁は震えていた。

神通と大潮が砲撃し、バージルが閻魔刀を手に突撃する。

砲弾は悪魔に直撃したが、悪魔は爆煙の中から無傷で出てきた。

その直後、バージルが斬り掛かるが、閻魔刀の刃が弾かれてしまった。

 

バージル「むっ・・・!?」

 

神通「効いてない!?」

 

悪魔『そんな攻撃が通じると思ったか、愚か者め!

 

悪魔は また緑色の炎を撒き散らし、バージルはダークスレイヤースタイルの能力で、瞬間移動して一旦 悪魔から離れる。

砲撃と閻魔刀の攻撃が通じず、オーバーチュアとデビルブリンガーの攻撃は なぜ効いたのか、ネロは考えていた。思い返せば、少し前に似たようなのと戦っている。

 

ネロ「・・・・・・そうか!こいつ、地下室に現れたのと同じだ!」

 

悪魔は、黒い影が取り憑いた拷問器具と同じ特性を持っていた。物理的な攻撃に耐性があるのだ。

悪魔は まだ余裕だと思い笑っている。だが残念な事に、ネロ達は倒し方を知っている。地下室の拷問器具と同じなら、倒せない相手ではない。

弱ってる天龍の傍で戦いを見守っていたパティの視界に、魔術師アルバートの亡骸が入った。

 

天龍「おい、パティ・・・」

 

パティは駆け出し、魔術師アルバートの亡骸が戦いに巻き込まれないよう引っ張り、足場の端まで避難する。意味はないかもしれないが、そのままにはできなかった。

 

如月「こっち来ないでー!!」

 

暁「うわ~~~ん!!」

 

如月と暁は がむしゃらに、泣きながら撃っていた。悪魔は砲撃が効かないと知り、避けようともせず全弾命中する。

 

悪魔『ハッハッハッ!そんな攻撃が効くものか!

 

神通「あら?あなたの注意を逸らす事もできないと言いたいんですか?」

 

悪魔『何・・・?まさか!?

 

ネロとバージルの姿が消えてる事に気付き、悪魔は上を見上げるが もう遅い。

頭上から『五月雨幻影剣』が降り注ぎ、悪魔は苦痛の声を上げる。

 

バージル「斬る(Cut off)!」

 

ネロ「砕け散れ(Crash)!」

 

更に、既に悪魔の頭上までジャンプしていたネロとバージルが、落下しながらデビルブリンガーの拳と、ミラージュエッジの刃を叩き付ける。悪魔は その勢いのまま、足場に めり込んだ。

 

悪魔『下等生物の分際がああああ!!

 

起き上がった悪魔は、全方位に緑色の炎を放ち、それは衝撃波となりネロ達を襲う。ネロとバージルは躱し、艦娘達は吹き飛ばされながらも耐えた。

 

パティ「う・・・わっ!?きゃああああ!!」

 

天龍「パティ・・・!」

 

足場の端に居たパティと天龍は、避ける事も逃げる事もできず、魔術師アルバートの亡骸と共に足場から落下してしまった。

 

大潮「天龍さんとパティさんが!?」

 

ネロ「親父!」

 

バージル「チッ・・・!」

 

バージルはベオフルフで悪魔を上空に打ち上げると、真魔人となり飛行し、足場から急降下してパティと天龍を追った。

 

悪魔『たかがパンチで この俺を倒せるものか!

 

ネロ「違う、お前に触れる事に意味があった!」

 

ベオフルフの単純な打撃では、物理耐性のある悪魔には通用しない。それでも悪魔に触る事はできた。

ベオフルフでの攻撃は無意味に見えるようでも、悪魔を打ち上げたのには理由がある。それは、艦娘達を巻き込まないためだ。

悪魔を追って飛翔したネロが悪魔と同じ高さで止まると、指に緑と紫の魔石の指輪を嵌め、デビルトリガーを発動する。

 

悪魔『貴様も悪魔だったのか!な、何をするつもりだ!?

 

魔人ネロが悪魔の周りを周回するように、グルグルと高速飛行を繰り返す。すると、ネロが空中で高速回転する事で竜巻が発生し、悪魔を閉じ込める。

更に竜巻の周りでは、雷鳴と共に稲妻が走る。竜巻の回転が増すに連れて、稲妻の激しさも増す。

竜巻の中心に居た悪魔は、迸る稲妻に何度も射抜かれていた。それにより男と女の声が重なったような悲鳴を上げ、不協和音を奏でていた。

稲妻に射抜かれる悪魔を中心に、爆発が起きる。その炎は悪魔を焼き、まるで悪しき者を浄化する炎のようだった。

悪魔は断末魔を上げながら炎の中で消え去り、竜巻も消えた。

 

パティ「また悪魔!?」

 

空中で蒼い悪魔に掴まれ、天龍と一緒に落下が止まったパティは、真魔人バージルを見て驚いていた。

だが一緒に落ちた魔術師アルバートを すぐに思い出し下を見ると、魔術師アルバートが暗闇に向かって落ちていくのが見えた。

 

パティ「アルバートが!?ちょっと、私を助けるつもりならアルバートも助けなさいよ!」

 

バージル『奴は既に死んでる。諦めろ

 

パティ「その声、バージルなの!?」

 

真魔人バージルはパティと天龍を連れて上昇し、パティは悲しそうに小さくなっていく魔術師アルバートを見詰めていた。

足場へと戻りネロとバージルが魔人化を解除すると、空間が変わり元の大広間へと戻っていた。

終わったと思い、ネロは魔術師アルバートの事を考えていた。結局 彼は死んでしまい、何がしたかったのか分からないままだ。

そう思っていると、ネロ達の前にレイナが現れた。だが今度は1人ではない。レイナの横には、魔術師アルバートが立っていた。

彼は自ら命を絶った。となると、レイナの横に居るのは、死んで幽霊となった魔術師アルバートという事になる。

それが分かった瞬間、如月と暁はヘビに睨まれたかのように動かなくなってしまった。直立不動で微動だにもしない。

 

アルバート「奴を倒してくれた礼をしなければね。君達には感謝してる。ありがとう」

 

ネロ「感謝なんかいい。それより、これは どういう事だ?一から全部 説明しろ」

 

アルバート「そうだな・・・巻き込んでしまった以上、君達には知る権利がある」

 

魔術師アルバートは、ある時 悪魔の存在を知った。その日を境に、悪魔について調べ、探求し、研究を続け、そうして悪魔に魅了された彼は、自身も悪魔の力を欲した。

そして150年前、彼は悪魔を呼び出す事を計画する。

悪魔を呼ぶ方法で選んだ儀式には、100人の魂を捧げなくてはならなかった。

彼は非情な人物だった。その内の1人に、娘である余命 短いレイナを選んだ。娘を生け贄に捧げる事に、悲しみや恐れ、躊躇いという感情は湧かなかった。彼自身が心揺れるのは、自身の興味と探求だけだったから。

 

神通「そんな・・・そんなの、父親のする事ではありません!」

 

アルバート「確かに、私は父親 失格だ」

 

そして近くの村から、パーティーを開催すると言って村人99人を集めた。

村人達は きっと喜んでいた事だろう。慣れない大きな洋館に招かれ、パーティーも楽しみにしていたはずだ。

しかし、そこで行われたのはパーティーではなく、殺戮ゲームだった。

魔術師アルバートは村人数人を地下室へ案内し、自ら拷問して殺し、生け贄にした。

残り数十人の村人はダンスホールに閉じ込め、殺し合いを命じた。“最後に生き残った1人だけを解放する”と言って。

当然 村人達は、そんな馬鹿げた話に乗るつもりはなく拒否した。しかし、魔術師アルバートは、“殺し合わなければ その場で全員を殺す”と脅した。

村人達は次第に、誰かが自分を殺すのではと疑心暗鬼になり、死にたくない彼らは生への執着で殺し合いを始めた。子供も、女性も、老人も関係なく。その結果、生き残った者は1人も居なかった。

残すは娘のレイナのみとなり、魔術師アルバートは大広間で、魔方陣の中心でレイナを殺そうとした。

 

アルバート「だが私にはできなかった。まだ私にも、人間的な感情があるのだと思い知らされた」

 

レイナの命を奪うためにナイフを振り上げたが、その腕が振り下ろされる事はなかった。

魔術師アルバートは儀式の直前で、娘のレイナの命を奪う事に悲しみや恐れ、躊躇いの感情が現れたのだ。

そして深夜0時を過ぎ、儀式は失敗に終わった。

レイナの命を奪う事はなかったが、結局レイナは病で亡くなり、魔術師アルバートは孤独になり悲しみに暮れ、自らの過ちに気付き後悔した。

しかし問題もあった。儀式は失敗したのではなく、中途半端なまま中断されていただけで、まだ終わっていなかった。

そのせいで、彼には声が聞こえるようになった。儀式を完成させろと。その声は、自分が呼び出そうとした悪魔のものだった。

だが魔術師アルバートは、それを拒絶した。今更 儀式を完成させる気力もなく、血の繋がった娘も もう居ない。

だが悪魔の誘惑は終わらなかった。儀式を完成させ、人間界に召喚してくれれば、亡くなった娘を生き返らせると。

その条件を呑み、魔術師アルバートは探求を続けた。

 

ネロ「お前、どこまで身勝手なんだ!」

 

アルバート「君の言う通り、私は身勝手だった。だが その身勝手を貫き通す必要があった」

 

気付くと、執事服を着た男が現れるようになった。魔術師アルバートは、その男が監視役であると気付いていた。儀式を完成させるために悪魔が寄越したのだと。

探求を進める内に、悪魔の本質を理解した彼は気付いた。自分が呼び出そうとした存在は、人間界に出してはいけないと。悪魔に、娘を生き返らせるつもりもない事も。

だが儀式が中途半端だったせいで、悪魔は実体がない状態で人間界に出ていた。そんな状態では、悪魔を滅ぼす事はできず、魔界に送り返す方法もなかった。

魔術師アルバートは、悪影響を及ぼしたかった訳ではない。飽くまで探求がしたかっただけだ。

彼にできるのは時を操る術を使い、洋館を同じ時間を繰り返す結界の中に閉じ込めるしかできなかった。だから彼は、150年もの間 生きていられた。

それでも、何の影響も出なかった訳ではない。彼が張った結界と、生け贄にするために殺した村人の、彷徨える魂が残っていた事で発生した霊障が共鳴し、この地は局地的な災害が多発するようになったのだ。

同じ時間を繰り返す洋館の中で、ネロ達が見た共食いする昆虫人間は、殺し合いをした村人の成れの果てだった。

 

如月「つまり、村人の魂は・・・毎日あんな事を繰り返させられてたってこと・・・?」

 

アルバート「そして私は考えた。儀式を完成させ、実体を持った状態で人間界に呼び出せば、悪魔を倒せるのではないかと」

 

村人を殺さないでほしいと懇願していた娘のためにも、これ以上 犠牲を出さないために、最後の生け贄は自分自身がなるつもりだった。だから自分には悪魔を倒す役目は担えない。

 

アルバート「私は待ち続けた。悪魔を倒せるだけの力を持つ者を。そして君達が来た。私の結界を破ってね」

 

ネロ「だったら、何で最初の時に言わなかった?教えてくれれば、助けられた」

 

アルバート「奴らが聞いてる前で言える訳がない。そうなれば、奴らは私を殺し、誰かを犠牲にして儀式を完成させようとしただろう」

 

悪魔は天龍に取り憑きレイナを装い、ネロ達から極力 離れないようにしていた。

執事を装った悪魔の監視の目もあり、話せるタイミングなどなかった。

 

バージル「だから貴様は、悪役を演じ続けて俺達と戦っていたのか」

 

ネロ「演じる?」

 

バージル「パティを狙った時、こいつは わざと攻撃を外していた」

 

ネロは頭に血が昇って気付いてなかったので、その事には驚いた。

すると、魔術師アルバートとレイナが淡い光に包まれた。

 

レイナ『もう時間みたい。パパができなかった事を終わらせてくれて、ありがとう

 

アルバート『罪滅ぼしにはならないだろうが、ここで彷徨う魂は私達が一緒に連れていく。君達には迷惑を掛けたね。本当に ありがとう

 

レイナ『パパ、これからは ずっと一緒だよ

 

アルバート『あぁ、行こうか。最後に、セリーナに伝えてくれ。“愛していた”と

 

ネロ「・・・分かった。伝えとく」

 

魔術師アルバートとレイナは青白い光となり、上へ上へと昇っていく。

洋館の外では、幾つもの青白い光が天へと昇っていく。きっと、魔術師アルバートとレイナが、村人達の魂を幽世へと連れていってるのだろう。

光が消え、ネロが床を見ると、そこには魔術師アルバートの手記が落ちていた。

それを拾って手にすると、ここに来る前とは違いページを開く事ができた。そこには、魔帝ムンドゥス、覇王アルゴサクス、羅王アビゲイルの力の在処が記載されていた。

 

ネロ「これで、目的の1つは達成できた」

 

 

・・・・・・

 

*廃村 4月10日 7:00*

 

ネロ達は洋館を出て、廃村まで戻ってきていた。来た時とは違い、廃村では重苦しい空気も消えていた。

身体に力が入らない天龍は、ネロに負ぶってもらっていた。

 

天龍「ずっと しんどいんだけど・・・」

 

バージル「悪魔に生命力を奪われていたんだろう。少し休めば回復するはずだ」

 

天龍「はぁ・・・酷い目に遭っちまったぜ。くわばら くわばら・・・」

 

ネロ「俺達の方が大変だったんだぞ」

 

暁「天龍さんは悪魔に取り憑かれちゃうし」

 

大潮「ネロさんの事、“お兄ちゃん”って言ってました!」

 

天龍「えぇっ!?俺そんなこと言ってたのか!?全然 憶えてない・・・」

 

パティ「ねぇ、これから どこに行くの?」

 

神通「鎮守府という所に戻ります。パティさんも一緒に行きましょう」

 

如月「司令官も居るしね」

 

パティ「ダンテも居るの!?行くわ!」

 

パティは、ネロ達と一緒に鎮守府に行く事になり、パティは楽しみにしていた。会ったら言いたい事は山程ある。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室 10:33*

 

執務室の外では天龍以外の艦娘達が、中の様子に聞き耳を立てていた。

そして執務室では・・・

 

パティ「ダンテ!」

 

ダンテ「パ、パティ!?何で お前・・・!?」

 

激怒するパティが現れ、ダンテもパティが こちらの世界に居る事に酷く驚いていた。

 

パティ「何でじゃないのよ!よくも私の誕生パーティーすっぽかしてくれたわね!」

 

ダンテ「いや、あの時は仕事が━━」

 

パティ「しかも話の途中で電話 切るし!また掛けたら繋がらないし!ダンテが戻らないせいで、レディもトリッシュもモリソンも困ってるのよ!」

 

ダンテ「あー・・・」

 

パティ「しかも何よ この部屋!ゴミだらけじゃない!少しは掃除しなさいよ!ダンテの・・・・・・バカーーーーーーー!!!!」

 

パティの剣幕にダンテもタジタジなのだが、パティの口から発せられた とんでもない怒鳴り声に、外で聞き耳を立てていた艦娘達は驚き、全員ひっくり返った。

 

 

*中庭*

 

中庭のベンチに、セリーナが1人で座っていた。

そこに、ネロが魔術師アルバートの手記を持って やって来た。

 

ネロ「依頼は果たしたぞ」

 

セリーナ「うん、ありがとう」

 

ネロは洋館であった事を全て、詳しく話した。セリーナは静かに話を聞いていた。

そして最後に、伝えなければならない事がある。

 

ネロ「アルバートからの伝言、セリーナを“愛していた”・・・だってさ」

 

セリーナ「・・・・・・そうか・・・ネロ、少し1人にしてくれないか?」

 

ネロ「・・・分かった」

 

ネロは中庭から立ち去り、セリーナは どこか愛おしそうに、どこか寂しそうな顔で、受け取った手記の表紙を撫でた。

 

セリーナ「本当に、身勝手な男だ・・・」




次回も宜しく お願い致します!
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