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217話です!どうぞ!
セリーナが、魔術師アルバートの手記にあったヒントを紐解いたのだが、同じくパティが遊園地に行きたいと言い出した。
呉との艦隊演習から様子が おかしくなった川内の事もあり、駆逐艦と潜水艦の艦娘も連れて遊園地に行く事になってしまった。
鳳翔は引率者として、ネロ、バージル、ニコ、セリーナにも同伴させ、鹿島も追い払われるように鎮守府を出発させられた。
時間ギリギリでギリシャのピレウス駅に着いたのだが、ダンテだけ乗り遅れ列車が行ってしまう。
そこに、元の世界に居るはずのトリッシュが現れるのだった。
*列車 4月25日 13:01*
ピレウス駅を出発してから、幾つかのグループに分かれて宿泊用の部屋に荷物を置き、艦娘達はダンテを心配しながら列車の旅を楽しんでいた。
列車には食堂車もあり、いつでも美味しい食事が食べられる。全員で行くと他の乗客の迷惑にもなるかもしれないので、今は鹿島と吹雪型、暁型、初春型が昼食に利用していた。
磯波「司令官、大丈夫かな?」
叢雲「子供じゃないんだから、放っときなさい」
初春「しかし、1人だけ乗り遅れるとは、つくづく運のない男じゃのう」
雷「けど、司令官なら空も飛べるから追い付けるんじゃない?」
子日「悪魔になってビューンだもんね」
鹿島「シッ!一般人が居る場所で その話はしないように」
深雪「何で?日本語 解る人なんて居るか?」
鹿島「どんな人に聞かれてるか分かりません。無用な混乱は避けてください」
なんて話をしている中、響は ずっと車窓から外を眺めていたのだが、その顔に笑みが浮かんだ。
響「皆、どうやら司令官の心配はなさそうだ」
若葉「どういう事だ?」
響「外を見てごらん」
外を見てみると、自分達が乗る列車と並走する何かが見える。目を凝らして見てみると、それはバイク形態のキャバリエーレだった。
キャバリエーレに乗るダンテに気付き、艦娘達は笑顔になるが、ダンテの後ろに もう1人 乗ってる事にも気付く。
初霜「あれは・・・?」
響「金髪の人が一緒だけど、誰かな?」
電「あれはトリッシュさんなのです。レディさんと一緒で、司令官さんの仲間の1人なのです」
響「ハラショー」
トリッシュの説明はいいのだが、叢雲は何故トリッシュが居るのか疑問に思い口にした。皆も それについては分からず、首を捻るばかりだ。
吹雪「トリッシュさんも遊園地 行きたかったとか?」
叢雲「そんな理由で世界 越えないでほしいんだけど」
初春「ふむ・・・もしや、また悪魔かもしれんのう」
初雪「・・・それだけは・・・ヤダ」
暁「こんな日まで悪魔と会いたくない・・・」
響「けど、司令官の仲間が一緒なら、きっと心配はない。そんな気がする」
白雪「うん、私も そう思う」
雷「おーい、しれいかーん!」
子日「トリッシュさーん!」
聞こえるか不明だが、雷と子日が大声でダンテとトリッシュに手を振ると、皆も一緒になって手を振り始めた。
鹿島「あ、こら!大声 出したら他の乗客に迷惑ですよ!」
鹿島に叱られながらも、皆は嬉しそうに手を振っていた。
外では、ダンテの後ろに乗るサングラスをしたトリッシュが、自分達に手を振る艦娘達に気付いた。
トリッシュ「何人か見知った娘が手を振ってるわよ」
ダンテ「腕の運動でもしてんだろ」
トリッシュも軽く手を振り返すと、キャバリエーレがスピードアップして列車を追い越していく。
トリッシュが手を振り返した事で、手を振っていた艦娘達のテンションが上がる。
暁「こっちに気付いてくれた!」
子日「またねー!」
鹿島「こら、静かにしなさい!」
吹雪「トリッシュさん、カッコいいなぁ」
叢雲「あんた、尊敬する人 多くない?」
吹雪「だってカッコいいんだもん!」
ダンテとトリッシュは その後も走り続け、列車が途中の駅で停車したタイミングで乗り込み合流した。
・・・・・・
夜になり、列車での旅は まだ続いている。
宿泊用の部屋の1つで、パティは魂が抜けたように疲弊していた。そうなった理由は、トリッシュにある。
ダンテとトリッシュが列車に乗り合流すると、トリッシュは さっそくパティへの説教を始めた。
パティも言い訳がましく反論したが、賢いトリッシュが相手では口では勝てず、更には言い訳した事も相まって、それも含めて恐怖を感じる程の説教を喰らう事になった。ダンテですら、“怒らせると怖い”と言わしめる程だ。相当 怖かったに違いない。
説教を聞いていた皆は、誰も助け船を出せなかった。トリッシュの言ってる事が正しく、口を挟む事も、フォローに入る事もできなかった。
トリッシュの説教ポイントは3点あった。1つは、母親であるニーナが心配してること。勿論、モリソンも心配していた。
2つ、ニーナが どれほど心配していたかも知らずに、手紙1つで話を片付けようとしたこと。子を心配する親は、声を聞いたり姿を見ない限りは安心できない。況してや、状況が状況なだけに、手紙だけでは心配は消えない。
3つ、元の世界に帰るように言っていたダンテの、正しい判断に耳を傾けなかったこと。こちらの世界での事情は、トリッシュも少なからず知ってる1人だ。深海棲艦が出るというのに、海を渡ってまで遊園地に行こうとするなど、言語道断であった。
その3点を中心に、パティはボロカスに叱られ、今は屍になっている訳だ。
長波「まぁ、今回は仕方ないね。元気 出しなって」
巻雲「でも、あのトリッシュさん、凄く怖かったね・・・」
夕雲「聞いた話だと、あの人は純粋な悪魔らしいから当然かもね」
長波「パティ、聞いてるか?」
夕雲「・・・息してる?」
同室になった夕雲型が励ますが、パティが立ち直るには時間が掛かりそうだった。
その頃トリッシュは、食堂車のカウンター席に座りながら、ダンテから今の現状を聞いていた。
トリッシュ「ルキフェルスに七騎士・・・また妙なのが現れたものね」
ダンテ「あぁ、面倒臭い事この上ない」
トリッシュ「それで、どこまで終わったの?」
ダンテ「七騎士は俺やネロ、バージルで既に4人は片付けてる。あとの連中は居場所も不明だ」
バージルの名を聞き、トリッシュは目を細めた。何かを心配してるようだ。
トリッシュは、ダンテとバージルの事情には詳しい。それに加え、トリッシュ自身は魔帝ムンドゥスの手により、2人の母を模して創造された。複雑な関係性に、顔を合わせても会話は弾まない。
トリッシュ「・・・ずっとバージルと一緒だったの?」
ダンテ「心配すんな、今のところは大丈夫だ。それに、あいつが艦娘に困らされるのは おもしろいしな」
トリッシュ「私達の事に、艦娘の娘達を巻き込んじゃダメよ」
ダンテ「もう遅いと思うけどな」
あまり深く心配してない様子に、トリッシュは呆れたような顔でダンテから視線を外した。
情報交換も そこそこに、ダンテは少し前まで叱られていたパティのフォローをするつもりでいた。
ダンテ「お前こそ、説教は程々にしてやれよ」
トリッシュ「分かってるわよ。遊園地に行くのに、これ以上 叱るのは野暮ってもんでしょ?」
トリッシュは席から立ち上がり、食堂車から出ていこうとすると、ダンテはトリッシュに出されていたグラスを見て口を開く。
ダンテ「全然 呑んでねぇじゃねぇか」
トリッシュ「子守りするのに、酔ってられないでしょ。あなたも程々にしておきなさい」
ダンテ「俺にまで説教はやめてくれ」
トリッシュ「そもそも、あなたが しっかりしてないから━━」
ダンテ「分かった!俺が悪かった!もう行っていいぞ」
トリッシュ「・・・鎮守府に戻ったら、話し合いよ」
それを最後に、トリッシュは食堂車から出ていく。それを見送ったダンテは、鼻で笑っていた。
ダンテ「1杯じゃ酔えねぇな」
・・・・・・
*ルーマニア 遊園地 4月26日 10:00*
係員「光の楽園へ ようこそー!」
翌日、パティの言っていた遊園地に着いた。
係員から、パンフレットも兼用になってる園内の地図を貰い、ゲートを抜けると大勢の人で賑わっており、人の多さに酔ってしまいそうだ。
規模も大きく、1日で全部を回れるかも怪しい。
ここでは様々なテーマに沿ったエリアに分かれている。西部劇をテーマにしたウエスタンエリア、近未来をテーマにしたSFエリア、様々な映画をテーマにしたムービーエリア、有名なゲームをテーマにしたゲームエリア、小さい子供でも安心のキッズエリア、ドラキュラなどの西洋の怪物をテーマにしたホラーエリア、ギリシア神話をテーマにしたエリアなどがあるテーマパークだ。
勿論、遊園地では定番のメリーゴーランドや観覧車、ジェットコースターなどのアトラクションも用意されていた。
そして最大級の目玉は、園内の最奥にある城だ。テーマは鏡の城で、鏡を用いた迷路となっている。
ダンテ「こんな所に来ると死にたくなるな・・・」
バージル「気が合うな。俺もだ」
ダンテとバージルは、早くも帰りたくなっていた。
賑やかな雰囲気の中、パティは申し訳なさそうにトリッシュへ近付く。
パティ「トリッシュ、昨日は ごめんね・・・」
トリッシュ「今日はいいから、楽しんでらっしゃい」
パティ「うん!」
トリッシュの お許しも出て、パティにも笑顔が戻る。
となると、あとは遊ぶだけ。
白露「よーし、遊ぶぞー!」
『おーう!』
さっそく艦娘達は、全力で遊ぶために方々へ散り自由行動を取ろうとしたが、鹿島の怒声に全員の足が止まった。
何事かと振り向くと・・・
鹿島「自由行動は禁止です」
『えー!』
いきなり自由行動を禁止にされ、艦娘達から批判の声が上がる。
鹿島としては、慣れない場所で、それも人で溢れ返っている場所での自由行動を許せば、迷子だ何だと面倒が増えると考えていた。それ故に、自由行動なんて何が何でもさせたくない。
ダンテ「おい、過保護にすんな。お前ら、好きに行っていいぞ」
『わーい!』
鹿島「ダメって言ってるでしょうが!」
ダンテの甘々な教育方針に、艦娘達が また走り出そうとしたが、鹿島の怒声に またしても足を止める事になる。
鹿島「私の仕事は、問題を最小限に抑える事です」
鹿島は艦娘達を7つのグループに分けて、それぞれに引率者を付けて回る形にしたかった。この場合、引率者となるのはダンテ、ネロ、バージル、トリッシュ、ニコ、川内、鹿島となる。
細かい事を言うと、何故かパティとセリーナは引率される側に入っている。
艦娘達は引率者の付き添いで、遊ぶ事を許される。艦娘達は早く遊びたいので、遊べるなら何でも良かった。
ダンテ引率のグループはパティと白露型、ネロは綾波型と朝潮型、バージルは睦月型、トリッシュは初春型と夕雲型、ニコは暁型と潜水艦、川内は陽炎型と島風、鹿島は吹雪型とセリーナとなった。
鹿島「はい、出発しましょう」
セリーナ「おい、何で妾が引率される側になってるんだ?」
深雪「何から乗る?!何から乗る?!」
叢雲「近場から回れば?」
初雪「疲れないやつで」
それぞれのグループは動き出し、鹿島のグループは近場のアトラクションから回るようだ。
白露「提督、何から回る?!」
ダンテ「ピザ食える店から探すぞ」
パティ「何で口を開けばピザなのよ!まだ お昼じゃないんだからピザは後回し!」
ダンテ「クッソ~、帰りてぇ・・・」
春雨「ピザの お店は後で探しますから」
村雨「はいはーい、皆で提督 引っ張るわよー」
パティと白露型に囲まれた状態で、前からは引っ張られ、後ろからは押され、両サイドでは逃げられないように腕を掴まれ、ダンテは嫌々 連れていかれた。
朧「どこから行こっか?」
朝潮「ここは やはり、待ち時間が少ない所から行くのがベストですね」
霰「どこも・・・人・・・多い」
ネロ「なぁ、ジェットコースター行こうぜ」
霞「えっ、いきなり!?」
漣「1発目にジェットコースターはハードル高くないっすか!?」
ネロ「ほら行くぞ!」
潮「ほ、ほんとに行くんですか!?」
ネロのグループは、ジェットコースターから踏破するようだ。大丈夫か?
卯月「ふざけんじゃないぴょん!来て いきなり休む奴が居るかぴょん!」
バージルは引率をする処か、いきなりベンチに座って休憩を始めた。面倒を見る気ゼロである。
卯月と皐月、文月が引っ張るが、バージルは梃子でも動かない。
バージル「遊びたければ勝手に行ってこい」
睦月「バージルさんが一緒に来ないと、睦月達が怒られちゃいます!」
望月「あたしも面倒だから休憩するわ」
望月も動くのが面倒なため、バージルの横に座って落ち着いてしまった。
如月「私達、貧乏くじ引いちゃったわね・・・」
弥生「全然・・・遊べない・・・」
卯月「動けぴょーん・・・!」
睦月も手伝い顔を真っ赤にしながら引っ張るが、それでもバージルは微動だにしない。
睦月型は しっかり遊べるのだろうか?
トリッシュ「それで、あなた達は どこに行きたいの?」
トリッシュからの問い掛けに、初春型と夕雲型は顔を見合わせた。アトラクションが多くて、すぐには決められない。
だが1人だけ違った。若葉には行きたい場所があった。
若葉「SFエリアに行こう。エイリアンを倒したい」
SFエリアには、コースターに乗って銃を撃ち、エイリアンを倒していくアトラクションがあった。
他の皆も それを拒否する理由がないので、若葉の希望するアトラクションから回る事になった。
ニコ「よし、キッズエリアに行くぞ」
雷「何でキッズエリア!?」
電「子供扱いしないでほしいのです!」
イムヤ「と、とりあえず理由だけ教えてくれない?」
ニコ「そこで お前ら遊ばせといて、私は喫煙所に行く」
ゴーヤ「(引率できない大人が ここにも居たでち・・・)」
イク「適当過ぎるの!」
暁「キッズエリアは嫌!」
まるゆ「はっちゃん、どうしたらいいんだろうね?」
ハチ「私は本が読めたら どこでもいいかな」
しおい「あの、皆、順番に!順番に行こ!」
ニコ「私は喫煙所に行かないと死ぬ!」
イク「これだからニコチン中毒は困るの!」
結局ニコのグループはキッズエリアに向かい、暁型と潜水艦の艦娘は、ニコの一服が終わるまでキッズエリアで待つ事になった。
ニコが喫煙所から戻ると、暁型と潜水艦の艦娘は、小さな子供に混ざって滅茶苦茶 楽しそうに遊んでいた。
天津風「川内さん、行きたい所とかありますか?」
川内「別に。あんたらの行きたいとこでいいよ」
園内を回りながら陽炎型は、様子の おかしい川内に気を遣って ずっと訊いてるのだが、川内は ずっと この調子だった。
今は天津風が川内の話し相手になってくれてるので、他の陽炎型はヒソヒソと川内の事について話していた。
黒潮「何や、気まずいねぇ」
磯風「うん、私達だけで楽しむのも申し訳ないしな」
不知火「司令なら、こんな時どうするでしょう?」
雪風「う~ん・・・」
どうせなら、川内にも一緒に楽しんでほしい。しかし、どうするのが1番いいのか何も思い付かない。
陽炎型が悩んでいるのに、1人だけ何も考えてないのが居た。
島風「皆おっそーい!そんなんじゃ全部 回れないよ!」
陽炎「島風!あんたは1人で先々 行かない!」
島風「私 悪くないもん!皆が遅いからだよ!」
陽炎「この娘ってば ほんとに・・・対人恐怖症がなくなった途端に これなんだから・・・」
人間が怖かった島風も、今では それも克服して、自ら人混みの中に入っていく。
川内の事も心配だが、1人 先走る島風の事も気が気じゃないので、陽炎型は楽しむ前に苦労が多かった。
誰1人として気付いていないが、鏡の城の頂上に、フードを被った黒コートが立っていた。体格からして女と思われる。
黒コート「私の楽園に、お前達は似つかわしくない。ここに踏み入った罪、万死に値するわ。覚悟しなさい、デビルハンター。アーハッハッハッハッハッ!」
黒コートは高笑いを残しながら、一瞬にして その姿を消した。
そして別の場所でも、ジェットコースターの列に並ぶネロを見詰める黒コートが居た。こちらは体格からして男だ。
黒コート「ネロ、お前に これが使い熟せるか?」
黒コートは手の中で、黒い魔石が付いた指輪を弄んでいた。それをやめて指輪を握ると、こちらも物陰へと姿を消す。
ダンテ達が居る遊園地に、七騎士2人が揃ってしまっていた。
次回も宜しく お願い致します!