Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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223話です!どうぞ!


Mission223 阿修羅~過ぎたる力~

偽者を撃破して、七騎士の1人ゾニアが待つ鏡の城の最上層に辿り着いたネロ、バージル、朝潮型、トリッシュ、セリーナ。

ゾニアの力は、これまで倒してきた七騎士よりも強く、ネロ達も苦戦を強いられる事になる。

ゾニアが止めを刺そうとする刹那、ネロはベルゼから渡された黒の魔石の力を使う。

黒の魔石の闇とゾニアの光が ぶつかり合い、それによって生まれたエネルギーの奔流が全てを吹き飛ばす。

その力は やがて天へと昇り、空には暗雲が立ち込め雨が降り出す。

それに呼応するように、Devil May Cry鎮守府に居た赤城が頭痛に襲われ、倒れてしまうのだった。

 

 

*ルーマニア 鏡の城・最上層 4月27日 3:59*

 

鏡の城は壁が崩れ、屋根にも幾つもの穴が空き、そこから雨水が流れ込んでいる。

稲光に一瞬だけ照らされ、雷鳴が轟く中、ネロ達は痛む身体に鞭打ち起き上がる。

ゾニアも起き上がるが、驚愕しながらネロを見ていた。

 

ゾニア「さっきのはベルゼの・・・!何故お前が、闇を司る魔石を持っている!?ベルゼを倒したというの!?」

 

ネロ「生憎と、倒した訳じゃない。親切に向こうから渡してくれたぜ?それより、さっきの強烈だったな・・・」

 

霞「何したら あんな風になるのよ・・・?」

 

セリーナ「ネロ、気を付けろ!中途半端な使い方すると今みたいになるぞ!」

 

ネロ「大丈夫だ。身体に馴染んできたのが分かる」

 

ネロ達が いつもの調子で話していると、ゾニアは忌々しそうに顔を歪めていた。

 

ゾニア「ベルゼ、裏切ったのね・・・!選りにも選って下賎なデビルハンターに魔石を渡すなど!」

 

ネロ「ベルゼは今どうでもいい。今は俺達に倒される心配してろよ」

 

ネロが啖呵を切ると、ゾニアは急に笑い出した。その気味の悪さに、ネロとバージル、トリッシュ、セリーナは目を細め、朝潮型は怪訝な顔でゾニアを見る。

 

セリーナ「ゾニア、何が可笑しい?」

 

ゾニア「これは失礼、姫様。フフッ・・・アハハハハハハハハ!」

 

ネロ「完全に頭が ぶっ壊れたのか?」

 

ネロが そう言った瞬間、ゾニアの笑い声が止まった。さっきまでとは違い、何の感情もない表情でネロ達を見る。

 

ゾニア「そもそも、黒の魔石の力を まだ上手く扱えない お前に、私が倒せるとでも?」

 

ネロ「・・・倒してやるよ。何が何でもな」

 

ゾニア「そう・・・なら、1つ いい事を教えてあげる。今頃、『運命の巫女』は大変な事になってるわよ」

 

ネロ「“運命の巫女”・・・?」

 

ネロは知ってるか問い掛ける視線をセリーナに送る。セリーナは その視線に気付き、首を横に振った。どうやらセリーナでも知らないようだ。

 

ネロ「何の話だ?」

 

ゾニア「あら、あなた達は知らないのね。ごめんなさい、気にしないで」

 

ゾニアは いやらしい笑みを浮かべ、肝心な事は話さない。思わせ振りな事を言って答えないゾニアに、酷く苛立ちを覚える。

 

セリーナ「“運命の巫女”とは何だ?!答えろ!」

 

ゾニア「さぁ、何の話だったかしら?」

 

セリーナ「こ、こいつ・・・!」

 

ネロ「もういい、さっさと倒す」

 

バージル「ネロ、お前は下がれ。魔石を使うな」

 

ネロ「そっちこそ引っ込んでろ!」

 

ネロは話も聞かずゾニアに向かっていく。

バージルは舌打ちし、遅れてゾニアに向かっていった。

朝潮型とトリッシュ、セリーナも向かっていくが、ゾニアは また分身を出し10人に増える。

 

ゾニア「ネロ、お前は私自身が相手をしてあげるわ」

 

バージル、朝潮型、トリッシュ、セリーナに分身体が向かっていき、ネロの方にはゾニア本人が直々に相手をするために立ち塞がる。

レッドクイーンと槍が何度も ぶつかり合い、激しく火花を散らす。

戦いの流れで2人の距離が空くと、ゾニアの槍が光る。光る槍は芯が無くなったように垂れ下がり、光の鞭に変わっていた。

ゾニアが光の鞭を振り、軌道の読めない攻撃にネロの身体が打ち付けられる。

黒の魔石の指輪が光ると、レッドクイーンの刀身が黒いオーラを纏った。

ゾニアが光の鞭を振るタイミングを見計らい、黒いオーラを纏うレッドクイーンを盾にして防ぐ。

 

ネロ「(だんだん読めてきた!)」

 

そしてネロは、防御でなく攻撃に転じた。光の鞭が来るタイミングで、ネロもレッドクイーンを振るって刃で弾く。右から、左からと、ゾニアが次々と攻撃を繰り出すのを、ネロは全て弾いていく。

両者が大きく武器を振った瞬間、レッドクイーンから黒い斬擊が飛び、光の鞭が消滅してゾニアが怯む。

 

ゾニア「なっ・・・!?黒の魔石の力を使い熟し始めているというの!?」

 

ゾニアが怯んでる事も お構いなしに、レッドクイーンでの連擊を浴びせ斬り飛ばす。

ゾニアは光の球体を出し、ネロに向かって飛ばす。ネロも同じように黒い球体を出し、ゾニアに向かって飛ばした。

また ぶつかり合って吹き飛ばされるような事になるかと思われたが、黒い球体の方は あの時と少し違った。あの時よりもデカいのだ。

黒い球体はブラックホールとなり、ゾニアが出した光の球体を呑み込み、序でにゾニアの分身も吸い込んでいく。

ただ、1つ問題があった。バージル、朝潮型、トリッシュ、セリーナも吸い込まれそうになっていた。

ベルゼがやった時のように、あれに吸い込まれれば異空間に飛ばされる可能性がある。いや、それしか考えられない。

セリーナが咄嗟に魔術で鎖を伸ばし、バージル、朝潮型、トリッシュ、自分自身に巻き付け吸い込まれないようにする。

 

荒潮「私達 味方よ~!」

 

セリーナ「こっちの事も考えろー」

 

黒の魔石が生み出すブラックホールは、敵味方関係なく被害が及ぶため、かなり危険な技だ。

ゾニアは懲りずに光の球体を飛ばし続けるが、その どれもがブラックホールに吸い込まれネロには届かない。

ゾニアは攻撃をやめ、ネロも魔石の指輪を嵌めた手を握ると、ブラックホールが小さくなり そして消えた。

ゾニアがネロを見る その表情は、何か納得したような顔をしていた。

 

ゾニア「この短時間で魔石の力を完全にコントロールするとは・・・王が何故お前に期待するのか解ったわ」

 

ネロ「何 期待されてるか知らないけど、お前らの思い通りにはさせないぞ」

 

ゾニア「ネロ、お前は運命を信じる?」

 

ネロ「いいや・・・だけど幸運は信じる」

 

ゾニア「運命とは、大きな川と同じ。流れを止めようと岩を投げ込んでも、水は岩を避けて流れ続ける」

 

ネロ「・・・ポエムなら うちのクソ親父で間に合ってる。何が言いたい?」

 

ゾニア「運命は予め決められてるという事よ。お前達が運命を変えようと岩を投じても、世界の滅びの運命は変えられない。足掻くだけ無意味よ」

 

ネロ「お前らの言う運命なんて糞喰らえだ。ルキフェルスが何をしようと、俺が止めてやる」

 

ゾニア「お前の力に敬意を表して教えてやったのに、所詮は下賎なデビルハンター、理解する事はできないようね。なら、王の邪魔をする お前を殺すしかない」

 

ゾニア纏う空気が変わり、ネロは身構える。

ゾニアから眩い光が広がり、また目潰しかと思ったが少し違った。光は それほど強くなく、すぐに消えた。

だが目の前に居たゾニアの姿が変わっていた。

 

ネロ「デビルトリガー・・・」

 

魔人ゾニアの姿は、インド神話に出てくる阿修羅のような姿だった。正面と左右、3方向を向く鬼のような3つの顔、そして腕が6本に増えていた。

腕には武器を持っており、左の腕には上から鞭、盾、弓。右の腕には剣、槍、矢を持っている。

 

ゾニア『私に死角はない。お前達が束になっても勝てはしない

 

ネロ「お前の言う運命が間違ってるって教えてやるよ」

 

ネロはレッドクイーン片手に魔人ゾニアに向かっていくが、相手の腕は6本。それぞれの手に武器を携えてる分、攻撃手段は多いはずだ。

魔人ゾニアが右手に持つ剣と槍を駆使し、ネロはレッドクイーン1本で剣戟を繰り広げる。

攻撃を躱しネロが飛び退くと、左手に持つ鞭を繰り出してきた。ネロも装備したままだったローハイドを使い、光の鞭と刃の鞭の応酬が始まる。

 

トリッシュ「私達も加勢した方がいいわ」

 

朝潮「勿論です。そのために一緒に来ましたから」

 

トリッシュ「バージル?」

 

バージル「・・・何も言うな」

 

バージルが閻魔刀とミラージュエッジを手に向かっていき、朝潮型が砲撃、トリッシュとセリーナも銃弾と魔力弾を打ち込む。

魔人ゾニアは左手に持つ盾で、朝潮型とトリッシュ、セリーナの攻撃を防ぎ、両手に持つ弓矢で反撃してきた。頭上に放った矢が分身するように無数に増え、朝潮達に降り注ぐ。

そこにバージルが斬り込むが、魔人ゾニアは剣と槍を使い閻魔刀とミラージュエッジに対して応戦してくる。

その間も、ネロとの鞭の打ち合いは続いている。

 

ゾニア『私に死角はない。どこから仕掛けてこようと、私には分かる

 

ネロ「顔3つもあるもんな!」

 

バージル「(なら、それも意味を成さない程の手数で押し切る!)」

 

バージルは瞬間的に後ろに下がりながら、ミラージュエッジを背に戻し、閻魔刀を鞘に戻す。

腰を落とし、閻魔刀の柄に手を掛け、『次元斬』を繰り出そうとしたが、魔人ゾニアの3つの顔の口が開き、頭部を高速回転させながら口からレーザーを発射してきた。それにより、バージルの『次元斬』を繰り出そうとする手が止まる。

 

ネロ「ぐあっ・・・!」

 

周囲を無差別に破壊するレーザーは破壊力が凄まじく、直撃はしなくても爆風に巻き込まれ吹き飛ばされる。

吹き飛ばされた拍子に、デビルブレイカーのローハイドも破壊された。

 

セリーナ「いかん、魔力が・・・」

 

満潮「うっ・・・くっ・・・」

 

朝潮「こんな所で・・・」

 

セリーナは魔力切れを起こし、朝潮型も ここまでの戦いで負った度重なるダメージに大破し、戦闘に戻る事ができなくなる。

レーザーが止まり、頭部の回転も止まった魔人ゾニアの3つの顔は、笑っていた。

 

トリッシュ「笑ってられるのも今の内よ!」

 

トリッシュはパンドラをボウガンに変え、爆発する弾丸を発射する。命中し、魔人ゾニアが炎に包まれるが、炎の中からレーザーが飛び出し、トリッシュが吹き飛ばされる。

バージルは魔力で形成した分身、ドッペルゲンガーを出し2人で特攻する。バージルが閻魔刀とミラージュエッジで剣と槍を押さえ、ドッペルゲンガーが閻魔刀を模した魔力の刀と幻影剣で鞭と盾を押さえる。

6本ある内の4本の腕を押さえ込み、その隙にネロが一撃を お見舞いするために駆ける。

 

ゾニア『それで勝てると思ったら大間違いよ!

 

残ってる腕で矢を放とうとするが、トリッシュが3枚刃のブーメランに変えたパンドラを投げ、顔面に命中させた事で矢を放つ動きが一瞬 止まる。

その隙を突きネロが懐に飛び込み、黒いオーラを纏うレッドクイーンを胸に突き刺し『イクシード』を発動、魔人ゾニアの身体を抉る。

魔人ゾニアの口が また開くと、ネロとバージルは後ろに飛び退き、直後レーザーが発射される。

飛び退きながら空中でブルーローズを構えるネロ。そのブルーローズには黒い魔力が集まっていた。

『チャージショット』を撃ち、黒いオーラを纏った2発の弾丸が魔人ゾニアに命中する。魔人ゾニアは悲痛な叫びを上げ、頭部が抉れていた。

ここまでのダメージを与えられたのは、ゾニアの光さえ呑み込む黒の魔石があってこそだろう。他の魔石では こうはならなかったかもしれない。

透かさずバージルが真魔人となり、『次元斬』を繰り出し魔人ゾニアの腕を全て斬り落とす。

ネロもデビルトリガーで魔人化し、レッドクイーンを構える。

魔人ゾニアは全ての腕を失い、頭部も抉れて口からレーザーを出す事も儘ならない。

 

ゾニア『汚れたデビルハンターがああああ!!

 

魔人ゾニアは最後の足掻きで、光の球体を飛ばしてくる。

魔人ネロは黒いオーラを纏うレッドクイーンとデビルブリンガーの腕を振り、黒と青の斬擊を飛ばす。2つ斬擊は重なりX字になり、光の球体を打ち消し魔人ゾニアに命中する。

 

ゾニア『あぁ、我が王よ・・・愛しております・・・

 

ネロ『え・・・?

 

魔人ゾニアが消滅する最後に溢した言葉に、魔人ネロは心臓を鷲掴みされたような感覚を感じた。

ネロとバージルは魔人化を解除し、外ではゾニアを倒した事で、遊園地を覆っていた光の結界と悪魔が消えた。

ネロは、ゾニアが最後に言った言葉が頭から離れなかった。

 

ネロ「セリーナ、ゾニアは・・・ルキフェルスの恋人だったのか?」

 

セリーナ「いや、あの女は一方的なストーカー気質の歪んだ片想いだ。兄上も相手にはしてなかった」

 

3千万年前には“ストーカー”という言葉がなかったらしく、便利な世の中になったものだと感慨深そうにセリーナは頷いていた。

 

ネロ「でも、誰かを愛する心はあったんだよな?もしかしたら、倒さずに もっと別の方法があったんじゃ・・・」

 

セリーナ「どうしようもなかった。言葉で説得して分かる相手ではない。倒さねば、多くの生命が失われる。それは、お前も頭では解っているだろ?」

 

ネロ「・・・・・・あぁ・・・」

 

ネロは、ゾニアが最後に立っていた場所まで行く。そこには白の魔石が落ちていた。

 

ネロ「これで6つ」

 

だが そこで、またしてもバージルが閻魔刀の切っ先を向けてきた。それだけで、ネロもバージルが何を言いたいのか理解し、顔を険しくさせる。

 

バージル「それを渡せ」

 

ネロ「・・・何で今になって、魔石を欲しがる?」

 

バージル「それは“力”だ。お前には相応しくない」

 

ネロ「アンタが決めるな!相応しくない?俺は力をコントロールしてる。これは俺の力だ」

 

バージル「いいから渡せ。お前には過ぎた力だ」

 

ネロ「断る」

 

バージル「ならば仕方ない。力ずくで奪い取るまでだ」

 

そう言って、バージルの手足が光りベオウルフを装備する。それに対し、ネロもデビルブリンガーの拳と掌を合わせ、指をバキバキと鳴らす。

朝潮型とトリッシュがやめるよう叫ぶが、それも無駄で2人の戦いが始まる。2人は持ちうる武器と力を使い、全力で ぶつかり合う。

朝潮型も止めたい気持ちはあるが、危険過ぎて近付く事もできない。

そこに、悪魔の駆除が終わったダンテが駆け付けた。他の艦娘達やパティ、ニコには外で待機してもらっている。

他の来場客は、光の結界が消えた後に遊園地から出てもらい、彼らは既に逃げた。

 

朝潮「司令官、ネロさんとバージルさんが!」

 

ダンテ「何が どうなってる?」

 

トリッシュ「いいから2人を止めて!」

 

ダンテ「何してんだ?おい、やめろ!」

 

ネロとバージルを止めるため、ダンテは2人の戦いに割り込む。

 

ダンテ「バージル、やめろ!」

 

バージル「どけ!」

 

バージルに殴られ、吹き飛ばされるダンテ。

仕方なく、今度はネロの方を止めようとする。

 

ダンテ「ネロ、1回 止まれ!」

 

ネロ「邪魔すんな!」

 

ネロにもデビルブリンガーで殴られ、ダンテはトリッシュ達の方まで吹き飛ばされた。

ダンテは起き上がらず、顔だけ上げる。

 

ダンテ「分かった、勝手にしろ。俺は休憩だ」

 

そのまま頭を床に預け、寝転がったまま休憩タイムに入る。早くも止めるのを断念したダンテを見て、朝潮型からすれば冗談ではない。

 

霞「何してんのよクズ司令官!早く止めなさいよ!」

 

大潮「このまま放っておいたら危ないですよ!」

 

ダンテ「俺もう疲れてんだよ・・・」

 

満潮「いいから起きなさいよ!」

 

朝潮型に引っ張り起こされ もう1度 止めに入るが、やはり邪魔という理由で吹き飛ばされる。

 

ダンテ「ダメだ、気が済んだら終わるだろうからやらせとけ」

 

トリッシュ「こっちに戻ってこないで止めて!」

 

ダンテ「だけどよぉ・・・」

 

トリッシュ「ダンテ!バージルはネロの魔石を奪おうとしてるの!」

 

ダンテ「何・・・?」

 

トリッシュ「早く行って!」

 

トリッシュに背中を押され、2人の方へ戻るダンテ。

説得するために手加減してる状態では、あの2人を止めるのは難しい。こうなればダンテも本気を出すしかない。

ダンテは魔剣ダンテを出し、2人に斬り込む。3人共 本気であるため、止める処か三つ巴の戦いに発展してしまう。

 

バージル「それを渡せ!」

 

ネロ「渡さねぇ!」

 

ダンテ「やめろって言ってるだろうが!」

 

バージル「お前は引っ込んでろ!」

 

ネロ「これは・・・俺の力だ!!」

 

ネロが そう叫んだ瞬間、ネロを中心に黒い衝撃波が発生し、ダンテとバージルが吹き飛ばされる。

 

バージル「ぐっ・・・」

 

ダンテ「何だ・・・?今のは」

 

ダンテとバージルは上体だけ起こし、ネロから放たれた力に少し驚いていた。それはネロも同じで、自分の両手を見詰め、驚いていた。

黒の魔石の力に似ていたが、ネロは指輪の力を使っていなかった。だからこそネロも、今の力に戸惑っている。

 

ネロ「・・・これは俺の力だ。誰にも渡さない」

 

ネロは それだけ言い残し、鏡の城の外へ出るために その場を去っていく。

それを見送ったダンテは、バージルの方を見た。

 

ダンテ「何 考えてんだ?たまに出る発作か?力が欲しい病」

 

バージル「ネロを・・・俺の二の舞にしないためだ。お前さえ余計な真似をしなければ・・・」

 

バージルも立ち上がり、その場を去っていく。

ダンテは背中を床に預け、今度こそ休憩タイムに入った。

 

 

・・・・・・

 

*列車 9:54*

 

ダンテ達は遊園地を後にし、今はギリシャのピレウス駅に向かう列車の中に居た。

あれからネロとバージルは、誰とも口を利かない。一緒に来ていた艦娘達も朝潮型から事情を聞き、雨も降っているからか、何とも重苦しい空気が漂っていた。

パティは今回の事を自分のせいだと思い、割り当てられた部屋で大人しくしている。自分なりに反省しての事だろう。

そしてダンテは、トリッシュとセリーナ3人で話していた。

 

ダンテ「ネロの あの力は何だ?」

 

セリーナ「分からない」

 

トリッシュ「あれはネロが使った黒の魔石の力に似てた。それと関係があるんじゃないの?」

 

ダンテ「何か隠してるんなら今の内に吐け」

 

セリーナ「ほんとに分からないんだ!あの時、ネロは魔石の力を使ってなかった。こんなの妾も初めてで、何が何やら・・・」

 

その後もセリーナへの追求は続けたが、“知らない”だの“分からない”だの話にならないので、トリッシュは話を変える事にした。

 

トリッシュ「それと、七騎士が妙な事を言っていたわ。“運命の巫女が大変な事になってる”って」

 

ダンテ「運命の巫女?」

 

ダンテは何かを疑うような顔でセリーナを見る。

セリーナが否定しようとするが、それよりも先に、トリッシュがセリーナも知らない事を伝えた。一々セリーナで話を止めたくない。

 

ダンテ「トリッシュ、頼めるか?」

 

トリッシュ「調べろってこと?」

 

ダンテ「得意だろ?」

 

トリッシュ「パティは どうするつもり?」

 

ダンテ「もう しばらく鎮守府で面倒 見る。あいつも参ってるみたいだしな」

 

トリッシュ「・・・終わったら連れて帰る。1つ貸しよ」

 

ダンテ「おい、レッドクレイブで助けてやったろ。貸し借りナシだ」

 

トリッシュ「ダメよ、それと これとは別」

 

これ以上ダンテに反論させないために、トリッシュは足早に その場から移動する。ダンテは不満そうに その背中を見送った。

 

セリーナ「半魔、妾の方でも調べてみる。ネロに何が起きてるのか」

 

ダンテ「そうしてくれ。俺も手が離せないだろうしな」

 

ダンテの頭の中には、もう1つ気掛かりがあった。それは川内の事だ。

これまで川内は、単艦でも戦場に突っ込むほど自ら戦闘に参加していた。それなのに、人が襲われてるのを前にしながら戦う事を拒絶した。最初は呉の艦隊に敗けたのがショックだったのだろうと考えていたが、これは重症である。

様々な問題を抱えたまま、列車はダンテ達を乗せて雨の中を走り続けるのだった。




今回で やっと遊園地での話が終わりですが、ここから雲行きが怪しくなるというか、しばらく真面目な話が続く予定です。
おふざけじゃなく普通に楽しい雰囲気の話もしたいのですが、面倒な話が終わってから頃合いを見て挟もうと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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