書き貯めてた話を全部 執筆し直してたら、投稿するのに時間が掛かっちゃいました。ごめんなさい!
224話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 医務室 4月29日 6:12*
ルーマニアまで行っていたダンテ達は、早朝に鎮守府に到着した。
だが、戻ってきても問題が起きていた。鎮守府に到着するや否や、赤城が倒れた事を聞かされる。
駆逐艦や潜水艦の艦娘達は皆 心配していたが、一先ずダンテだけ医務室に行く事にし、今に至る。
医務室には今、ダンテの他に明石が居る。
目の前には、ベッドで静かに眠る赤城の姿が・・・。
ダンテ「大丈夫なのか?」
明石「検査の結果では問題ありません。倒れる前に頭痛がすると言っていたそうなんですが・・・」
明石は そこで言い淀む。ダンテは、明石が まだ何か言いたそうだと感じ、その先を話すよう促す。
明石「丸2日 意識が戻らず、原因も不明なんです・・・」
ダンテ「・・・そうか。何か変化があったら すぐに教えてくれ」
明石「はい、必ず」
あとは明石に任せるしかないので、ダンテは執務室を後にする。
廊下を歩きながら、今日は香取達が遠洋練習航海の遠征から戻ってくるのを思い出した。
また一悶着ありそうな予感がしたが、気にしない事にした。
・・・・・・
*食堂 7:30*
朝食の時間、ダンテと鳳翔が食堂の隅で話していた。内容は川内に関する事である。
ダンテは、遊園地であった事を全て話していた。
鳳翔「そうですか・・・」
ダンテ「あれは ちょっとや そっとじゃ どうにもならねぇぞ」
鳳翔「却って逆効果だったみたいですね。私が余計な事を言ったばかりに・・・」
ダンテ「だが、あそこまで酷いとは思わなかった」
鳳翔「どうにか、立ち直らせれませんかね?」
ダンテ「お前も言ってたろ。川内が自分で答えを出さなきゃいけないって」
ダンテと鳳翔は、席に着いて ちびちびと朝食を食べている川内を見る。
川内は、遊園地からの帰りから ずっと元気がない。行く前よりも元気がなかった。
その川内は、遊園地でダンテに言われた言葉を考えていた。
“いい加減にしろ!お前は何だ?!”
“お前は誰かに護られる か弱い お嬢ちゃんか?それとも、誰かを護る力がある艦娘か?自分が何なのか、よく考えろ”
川内「(私は、何なんだろう・・・)」
ダンテと鳳翔が話していると、朝食を食べ終わったトリッシュが、そろそろ出発する事を伝えに来た。
それが聞こえたのか、天龍が不思議そうな顔をする。
天龍「トリッシュ、折角 来たのに もう行くのか?」
トリッシュ「ちょっと調べ物があってね。ダンテ、パティのこと頼んだわよ」
ダンテ「はいよー」
トリッシュ「パティ、いい子にしてるのよ?」
パティ「わ、分かってるってば!」
トリッシュ「またね」
トリッシュは颯爽と食堂から出ていき、七騎士ゾニアが言っていた“運命の巫女”について調べるため、鎮守府を発つのであった。
・・・・・・
*演習場 11:32*
鹿島「全く練度 上がってないじゃないですか!」
午前の訓練の時間、鹿島は鎮守府に戻ってきて さっそく指導をしていたのだが、かなり怒っていた。
鎮守府に残っていた艦娘達の練度が上がっていなかった事で、遊んでいた事がバレた。誰1人、鹿島に目を合わせようとはしない。
鹿島の横では、遠洋練習航海から戻っていた香取が額を押さえ、大きな溜め息を吐いていた。
滅茶苦茶 怒っていた鹿島だが、突然ニッコリ笑い、艦娘達から冷や汗が出る。
鹿島「今日から訓練内容、2倍にします♪」
死刑宣告を受け、艦娘達は膝から崩れ落ちて絶望した。自業自得である。
反対に鹿島は、どこか楽しそうだった。
・・・・・・
*医務室 21:23*
夜になり、医務室で眠る赤城の傍にある椅子に、ダンテが座っていた。
明石は入浴時間なので、今は居ない。だから代わりに、ダンテが赤城の様子を見守っていた。
赤城から小さな呻き声がすると、彼女は目を覚ました。
ダンテ「よう、寝坊助」
赤城「・・・・・・提督?私・・・」
ダンテ「倒れて ずっと寝てたんだ」
赤城「今、何時ですか?」
ダンテ「夜の9時を 回った。もうすぐ30日だ」
赤城「そんなに寝てたんですか?」
赤城が起き上がろうとするが、ダンテは赤城の肩を押さえて また横にする。
ダンテ「無理するな。まだ寝てろ」
赤城「沢山 寝たから、しばらく寝れません」
ダンテ「フッ・・・腹が減ったろ。間宮に何か用意させる」
赤城「ありがとうございます」
*ノヴァの洞窟*
バージルは鎮守府を抜け出し、セリーナの母ノヴァが眠る洞窟に、1人で来ていた。
洞窟の奥まで進み、大きなクリスタルが安置された広い場所に出る。クリスタルの中には、ノヴァが入っている。
バージルがクリスタルの前で立ち止まると、ノヴァの声が響いた。
ノヴァ『バージル、どうして ここに?』
バージル「貴様、ネロに何をした?」
ノヴァ『・・・何の事でしょう?』
バージル「惚けるな。ネロは魔石を使わずに、その力を行使した。貴様が渡したという魔石、あれは何だ?」
そしてノヴァは、訊かれた通り7つの魔石について話した。魔石の出自は不明、自然界のエネルギーが凝縮した物で、その力を行使できること。
自然がある場所なら どの世界にも、同じような物や似たような物が存在すること。それは、セリーナが嘗てダンテや艦娘達に話した事と変わりなかった。
だが その話を聞いても、バージルの考えは違った。だからノヴァの話も鼻で笑い飛ばす。
バージル「俺は そうは思えんな。俺は嘗て、ムンドゥスの傀儡にされたから分かる。あの力には微かに、ムンドゥスの気配を感じた」
ノヴァ『それは有り得ません。この世界のムンドゥスは、既に滅んでいます』
バージル「・・・・・・まぁいい、貴様が何を企み何をしようと構わん。だが これだけは覚えておけ。これ以上ネロに妙な事をするなら、次は貴様を斬る」
そう言ってバージルは、ノヴァに背中を向けて立ち去る。バージルの姿が見えなくなった直後、ノヴァが眠るクリスタルに亀裂が入った。
ノヴァ『(・・・バージル、厄介な男ですね)』
・・・・・・
*呉鎮守府 執務室 5月1日 8:10*
呉提督が担当する海域の警備について見直してると、秘書艦の『雲龍』が入室してくる。
雲龍━━マル急計画によって戦時建造された雲龍型 航空母艦の長女。傑作中型空母の飛龍を改良した、量産型 正規空母である。
この雲龍は呉提督が着任してから建造された艦娘であるため、Devil May Cry鎮守府に対して恨み節を吐いたりはしない。
ただ、Devil May Cry鎮守府に敵意を持つ古参の艦娘とは意見が合わず、よく喧嘩になる。
雲龍「提督に お客さんが来てる」
呉「あら、誰かしら?」
雲龍「『ソープ』という人。シールズ時代の仲間だとか」
呉「ソープ!?」
ソープは、呉提督がネイビーシールズに居た時に共に任務に就き、戦場を駆け抜けた戦友だった。
怪我の後遺症が理由で退役し、今はアメリカで普通の生活を送っているので、日本にまで来て わざわざ会いに来てくれた事に、呉提督も驚いていた。
執務室に入ってもらうよう伝えると、車椅子に乗ったソープが入ってきた。
ソープ「“国境の南”?」
呉「“まだ地獄じゃない”」
部隊に居た時に使っていた合言葉を言い合い、呉提督とソープは互いに笑い合い、再会を喜んだ。
呉「ソープ、驚いたわ」
ソープ「生きてるぞ」
呉「久しぶりじゃない」
ソープ「もう10年だ」
呉「元気そうね。新しい車椅子?」
ソープ「いいだろ。お前、また軍人になったんだってな。平気か?」
呉「ぁ・・・あんまり・・・。まぁ、ビールでも呑みながら話しましょ」
ソープ「ビールは後だ、頼みがある。『ワージー』を救ってくれ」
込み入った話だと察した呉提督は、雲龍に退室してもらい、ソープと2人だけにしてもらう。
ソープは話をする前に見てほしい物があるそうで、持参したノートパソコンで ある動画を見せてきた。そこに映っていたのはアフリカ系アメリカ人で、助けを求めるメッセージ動画だった。
彼が、ソープの言っていたワージーだ。
ワージー『顔が割れてる。町を出て、山へ逃げた。座標を この動画と一緒に送る。俺の声が届いてくれ。“ジャングル・ブック”』
動画は そこで終わり、画面が真っ暗になる。
呉提督は画面から顔を上げ、神妙な面持ちで何かを考えていた。
呉提督が疑問を口にする前に、ソープが先に説明を始める。
ソープ「ワージーが2日前に送ってきた。シールズ時代の俺のアドレスにな。それ見て すぐ ここへ来たんだ」
呉「そもそも何でワージーは こんな目に遭ってるの?」
ソープ「傭兵としてホンジュラスに渡ってた」
ホンジュラスでは今、反政府集団が政府の車両基地を爆破しており、ワージーは線路の警備班として、それを防ぐ仕事に就いていた。
だが爆発を捉えた映像に、爆弾を仕掛ける彼の姿が映っていたとの事だった。
呉「まさか、何かの間違いよ。テロリストじゃない、戦争の英雄よ」
ソープ「俺らにとっては そうでも、向こうの政府は敵視する。射殺命令が出た」
呉「“ジャングル・ブック”とはね。聞きたくなかったわ、“行動を起こせ”って言ってる」
ソープ「マズいぞ、昔の約束を持ち出した。あいつ戻れないって悟ったんだ」
呉「戻ってくるわ」
その前に呉提督は、戦争からアメリカへ帰国した後、1度も訪ねなかった事をソープに謝罪した。ダラダラと弁解しようとするが、それをソープが遮る。
ソープ「お互い様だろ。俺ら皆 死にかけた。苦い記憶だ・・・」
そう言ってソープは、歩けなくなった自身の足を見た。それに釣られるように、呉提督も視線を落とし、ソープの足を見る。
話を切り替え、呉提督は国務省か国防総省に助けてもらえないか提案した。だが それは、ソープが否定した。ワージーはアメリカ政府に送られた訳ではない。支援は望めず、テロリストのレッテルを貼られた今となっては尚更だ。
ソープ「あいつの頼みの綱は1つ、お前だ」
・・・・・・
ワージーを助けに行く覚悟を決めた呉提督は荷物を纏め、秘書艦である雲龍に留守の間の事を頼んでいた。詳細は話さずに。
呉「ごめんなさいね。秘書艦にしたがために、あなたには苦労 掛けて」
雲龍「それはいいけど、提督の方が心配」
呉「私なら大丈夫」
雲龍「・・・何か困ってるならDevil May Cry鎮守府に、ダンテ提督にも助力を お願いしましょ」
呉「雲龍ちゃん、Devil May Cry鎮守府には頼めないの。それに、これは個人的な問題。誰の手も借りるつもりはない」
雲龍「だけど!」
呉「いい?この事は誰にも言っちゃダメよ。私は休暇って事にして」
そう言って、呉提督は荷物を持って出ていってしまった。
執務室に残された雲龍は、執務机の上にある電話を見るのだった。
*Devil May Cry鎮守府 執務室*
ダンテ「もういいのか?」
赤城「はい。大丈夫ですから心配しないでください」
執務室にはダンテと赤城、香取型、セリーナが居る。
倒れて医務室で休んでいた赤城だったが、秘書艦として任務に戻った。
ただ、今はダンテと香取型で揉めていた。
魔術師アルバートの手記にあったヒントを辿り、魔帝ムンドゥス、覇王アルゴサクス、羅王アビゲイルの残された力を探すため、今日 出発する予定だった。
だが それを、香取型が止めていた。合同演習の日まで、それほど時間がない。香取型としては、合同演習の事に集中してほしかった。
香取「行くなら、提督達だけで行ってください!」
3つの力を探すため、ダンテ、バージル、艦娘を3チームに分けて探す手筈だった。
だが香取型は、艦娘を行かせるのを反対した。勿論、理由は合同演習にある。
ダンテ「なら香取、深海棲艦が現れて人を襲ってるとする。お前は深海棲艦と合同演習、どっちを選ぶ?」
香取「そんなの・・・それと これとは話は別です!」
ダンテ「ムンドゥスは、俺達の世界じゃ魔界の頂点に居た。そんな奴の力が残されてて、誰かが悪用したら どうなるかは、お前も想像できるだろ」
鹿島「それは今じゃないといけないんですか?」
ダンテ「面倒は早目に片付けた方がいい」
話に折り合いがつかない中、執務室に電話の音が鳴る。
電話に出ると、どうやら仕事の依頼のようで、ダンテは電話の相手と報酬の話を始める。
取引が成立したのか、ダンテは受話器を下ろした。
赤城「仕事ですか?」
ダンテ「あぁ、呉鎮守府からだった」
赤城「呉?また厄介事ですか?」
ダンテ「みたいだな。そっちは夕張に頼むか」
セリーナ「それより、ネロが抜けた穴は どうするつもりだ?」
ダンテ「・・・・・・そっちは1人、頼めそうな奴が居る」
ネロはニコと共に、一旦フォルトゥナに帰らせた。キリエが そろそろなので、父親が傍に居た方がいい。
他の理由もあるには あるが・・・。
セリーナはノヴァの元へ行くそうなので、ネロの代わりはできない。
香取「提督、まだ話は終わっていませんよ!」
ダンテ「終わったら合同演習の方に集中させる。残ってる連中の事は頼んだぞ」
セリーナにネロの代わりを頼めそうな人物の居場所を教え、ダンテとバージル、一部の艦娘達は鎮守府を出発した。
・・・・・・
*港 12:45*
港で、呉提督はアメリカへ渡る船に乗船する列に並んでいた。荷物とチケットを手に、俯きながらワージーの安否を心配していた。
ソープには呉鎮守府に残ってもらい、鎮守府にある設備を使って後方支援してもらうので一緒ではない。
列が少しずつ進み、いよいよ呉提督が船に乗船する順番が回ってこようとした その時・・・
夕張「どうもー」
呉「わあああああ!?ああああああ!!ん゛ーー!」
居るはずのない夕張に いきなり声を掛けられ、驚いた呉提督が叫んだと思えば、夕張に向かってファイティングポーズを取り、唸りながら威嚇してくる。相当 驚いたようだ。
呉「お前ー!2度とやるんじゃねぇぞ!心臓に悪いじゃない。あんな急に出てきて、深海棲艦並みの不気味さだったわ。ちょっと待って、どこの夕張ちゃん?」
夕張「Devil May Cry鎮守府」
呉「・・・雲龍ちゃんね?うちの雲龍ちゃんが言ったんでしょ?そうでしょ?」
夕張「口座は空、カードは増額、アメリカ直行便のチケットまで買って、どうしたんですか?」
呉「別に・・・」
夕張「目を見て言ってごらんなさいよ」
呉「友人がピンチなの。いい?命の恩人が追われてる、いいわね?」
夕張「いいけど、隠す事ないのに」
呉「まぁね。ただ、立場があるでしょ」
夕張「・・・それ どういう意味?」
Devil May Cry鎮守府と呉鎮守府の間には、川内の事がある。それがあり、呉提督はDevil May Cry鎮守府に助けてもらえる立場ではないと考えていた。
呉「だから帰って」
夕張「それはできないのよねぇ。実は、もう報酬 先払いで貰っちゃってるから」
呉の雲龍は、自分の貯金を報酬として、既にDevil May Cry鎮守府の口座に入金していた。夕張も先に受け取ってしまった以上、何もせず帰る訳にはいかないのだ。
夕張「だから私も一緒に行く。アメリカ海軍を頼りましょ」
呉「ダメ、無駄に終わる」
夕張「大佐の友人のためじゃない。サイバーテロの時にアイオワと一緒だったんでしょ?動いてくれるわよ」
呉「無理よ、手出しできないわ」
夕張「何で?」
呉「ワージーは政府に見捨てられた身なの」
夕張「ワージー?シールズ時代の仲間?」
呉「そう。誰も彼を救おうとしてない、私以外は」
あと動くとすれば、ネイビーシールズ時代の昔の仲間だ。そのために呉提督は、口座から お金を引き出し、クレジットカードの上限も最大まで上げたのだ。
呉「ってな訳で、行ってくるわ。仲間 集めないと」
夕張「私も一緒に集める」
呉「夕張ちゃん、あのねぇ━━」
夕張「Devil May Cry鎮守府のルール、“仲間は家族”。大佐も私達の仲間。大佐の家族は私の家族でもある。うちの鳳翔さんの教え、“家族が全て”」
呉「教えね・・・泣かせてくれるじゃない」
夕張「行きましょ」
夕張が先に船に乗り込み、呉提督は微妙に納得できないまま、荷物を持って夕張を追うように乗船した。
・・・・・・
*10年前 コロンビア・ボゴタ 町*
呉「ワージー、もうじきアジトよ」
ネイビーシールズ時代、呉提督は仲間と共に、任務で救出作戦に就き、ラフな格好で地図を脇に挟み、1人で市場を歩いていた。観光客として紛れやすい場所だ。
ワージー『了解、奇襲態勢に入れ』
建物の屋上からライフルのスコープを覗くワージーが、地上部隊に指示を出す。部隊は迅速に動き、配置に就く。
呉「よし皆、暴れるわよ。閃光手榴弾 使ってよ、破片手榴弾はナシ。バラバラになりたくない。ミンチにはね」
ソープ『お前が人質の位置を確認したら、乱入するよ。男らしく行け。ワージー、背中は頼むぞ』
呉提督が目的の建物に着き、扉をノックする。すると、いかにも悪そうな人相の男が出てきた。
人質の姿は ここからでも確認でき、椅子に座らされた状態で縛られ、猿ぐつわまでされてる。
その周りにはキャップ帽を被り、顔を隠して自動小銃を持った男達も居る。
呉「(いや~ん、ブサメーン!)よう、道に迷っちまってさぁ。場所が分かんないんだけど、良かったら教えてくれないかな?ここに行きたい」
観光客を装い気さくに話し掛けるが、いきなり男に掴まれ中に引き込まれる。
柱に押し付けられ、銃を突き付けられた。
男「何者だ?」
呉「仲間は こう呼ぶ、“中央に6人、柱の近く”!」
呉提督に銃を突き付ける男は、訳が分からないと言いたげな顔で目を細めるが、呉提督は笑みを浮かべていた。
呉「苗字なんだ」
そう言った直後、呉提督が入った扉とは反対側の壁が吹き飛び、外で待機していた部隊が奇襲を掛ける。
閃光手榴弾のフラッシュで銃を突き付ける男が目を瞑った瞬間、呉提督が銃を奪い、顔を殴り、胸に蹴りを入れる。それにより男は、別の柱に背中を打ち付ける。
透かさず奪った銃で3発 発砲し、男が倒れる。
部隊も呉提督から敵の位置を聞いていたため、迅速に敵を撃ち、あっという間に建物を制圧した。
呉「よし、人質 連れ出すわよ!脱出よ!」
そこへ、正面の出入り口から、ワージーが慌てて入ってきた。
ワージー「おい、ヤバいぞ!お仲間が居た。凄い数だ」
そう言った直後、外から銃撃を受け、扉に幾つもの銃創が空く。
・・・・・・
*現在 船 15:12*
呉提督はトイレで、鏡を見ながら その時の事を思い出していた。
悪夢を振り払うように首を振り、水で顔を洗って自身を落ち着かせると、夕張の元へ戻った。
呉「で、どう?3人共、ワージーの件で成果は?」
呉提督がトイレに行ってる間に、夕張は青葉と
健『あったよ』
夕張「ワージーを捉えた監視映像。爆発直前に駅の傍に居る。画質も相当だけど、内容は もっと酷いかな」
夕張がノートパソコンの画面を呉提督に向けると、呉提督がキーボードを押して動画を再生する。
画質は荒く細かい所まではハッキリと分からないが、誰かが線路の傍で しゃがみ、何かをしてるのは分かる。
その人物が線路から逃げた直後、線路の真ん中で爆発が起きた。
どう思うか夕張がアイコンタクトを送ると、呉提督は顔を しかめながら首を横に振った。
呉「ない、ないわ。ワージーは絶対しない、こんな真似、断じて」
健『じゃあ何で仕掛け弄ってたのさ?』
呉「彼は爆弾を解除しようとしたのよ」
夕張「こんな荒い画質からじゃ、そうとは言い切れないよね?」
呉「何も言い切れないでしょ」
青葉『大佐を困らすのは そこまでにしましょう。ワージーって人の連れは何者でしょうか?』
青葉と健はワージーの情報を集める中で、今 現在 関わっている人物の情報も手に入れていた。その人物の顔写真の画像を、幾つか送ってきた。
呉「『ジェイコブ・ローラー』ね。勲章受章者で、今はフリーの傭兵請負人として駐米で活躍してる。ワージーがローラーの下に居る目的は線路の警備であって、爆破じゃない」
健『あー、ごめん、僕達 別件の仕事があるから ここまで。画質 補正してみる。そこから探ってみよう』
夕張「了解」
健はダンテから言われた仕事や海軍から言われた仕事もある。別件の仕事に取り掛からなければいけない時間のため、健との通話は ここまでだ。
だが平行してワージーの情報は、引き続き集めてくれるようなので、新しい情報を期待して待つしかない。
夕張「元シールズの仲間達、ほんとに集まるかな?辞めてから随分 経つでしょ?」
呉「あいつらは集まるわ、必ず。最後の任務から10年 経ってはいるけど、私の顔 拝めば すぐに察する・・・・・・多分」
ちょっと不安を残したまま、船は夕張と呉提督を乗せてアメリカへと向かうのだった。
次回も宜しく お願い致します!