Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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ちょっと呉提督の話を掘り下げたいと思います。次回で終わりますが、いい話にしたいなと思いまして。

225話です!どうぞ!


Mission225 命の恩人~呉提督の過去~

呉鎮守府に、呉提督がネイビーシールズ時代の戦友ソープが訪ねてきた。

ソープの話で、同じく戦友であるワージーが、中米ホンジュラスでテロリストとして追われてる事を知る。

呉提督は秘書艦の雲龍に鎮守府を任せ、ワージーを助けるためにアメリカへ渡る事にした。

アメリカ行きの船に乗船する直前、居るはずのない人物に声を掛けられ驚いた。そこに居たのは、Devil May Cry鎮守府の夕張だった。

呉の雲龍はDevil May Cry鎮守府に電話し、便利屋として呉提督を助けてくれるよう仕事を依頼していたのだ。

夕張が来るのを良く思わない呉提督だったが、結局2人で船に乗る事になり、元ネイビーシールズの仲間を集めに行くのだった。

 

 

*アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ アメリカ時間5月1日 18:29*

 

住宅街にレンタカーが停まり、夕張と呉提督が降りてくる。

 

呉「『ディーコン』の家は州内だから、先ずは あいつから誘う」

 

夕張「どういう人?」

 

呉「男の中の男よ。一流の軍人」

 

玄関まで行き、呉提督がノックしようとしたが、その手は止まった。何やら家の中が騒がしい。

それに反し、呉提督の顔には笑みが浮かんでいた。騒いでる声は、目当ての人物であるディーコンのものだ。

 

ディーコン「水鉄砲を置きなさい。お父さん何回も言ってるだろ。言うこと聞いて。『ジョエル』、ズボン履いて、ほら。支度して!行くよ!あーもう、時間ないんだ。言うこと聞けって」

 

呉提督は吹き出しながらノックすると、ドアが開いてディーコンが後ろを見ながら出てきた。

 

呉「ディーコン!」

 

呉提督が来た事で、ディーコンは随分と驚いていた。

そして夕張と呉提督は、歓迎の洗礼を受けた。ディーコンと一緒に出てきた彼の子供、2人の姉弟に水鉄砲で顔面に水を浴びせられる。これにはディーコンも困り顔だ。

 

ディーコン「あー、顔はダメだよ顔は。『ジュリー』、悪い子だなぁ。お前までジョエル。ほら、やめなさい」

 

呉「その後どう?」

 

呉提督からの質問に、ディーコンは神妙な面持ちで首を横に振った。

子供達には家の中に居てもらい、夕張と呉提督、ディーコンは庭の方へ行き、ワージーの件で話す事にした。

 

ディーコン「噂じゃ お前、日本海軍に居るらしいな。本当か?」

 

呉「今は呉鎮守府で提督してる」

 

ディーコン「提督ね、お荷物だろ?」

 

ディーコンが夕張に聞き、夕張は咄嗟に言葉を返せなかったが、呉提督とディーコンは笑っていた。アメリカンジョークだ。

 

呉「ディーコン、ワージーと連絡は?」

 

そう聞かれたディーコンの顔が曇り、首を横に振る。

 

ディーコン「もっと取ってりゃな・・・」

 

夕張「ワージーが傭兵になった切っ掛けは?」

 

ディーコン「1つ、金だよ」

 

ワージーの子供は手術をしたらしく、手術費用も高かったそうだ。そのために、ワージーは傭兵になった。

 

呉「そういう時は連絡してよ、助けたのに」

 

ディーコン「お前なら助けたよな。手術は成功して経過も良好だが、金が尽きたらしい」

 

夕張「それでホンジュラスへ・・・」

 

ディーコン「あぁ、手早く貯金額を取り戻すと言ってな。その後は引退を考えてたようだが、問題が起きた」

 

呉「その事で来たの。彼を救う。あんたも一緒に来て」

 

呉提督からの頼みを聞き、ディーコンは笑みを浮かべ、呉提督も笑みを返す。

その後 夕張と呉提督は、他の仲間の元へ向かうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*ニューメキシコ州タオス 民家 5月2日 10:39*

 

ディーコンに続き、仲間を集めるためニューメキシコ州まで来た夕張と呉提督。

今は2人目の仲間『ムニョス』の家に居るのだが、ムニョスが荷物を纏めてる間、呉提督はムニョスの奥さん『ジュディ』とテーブルを挟んで座り、待たせてもらっている。

呉提督は落ち着かない様子で、ジュディは呉提督を睨んでいる。ジュディは、呉提督が旦那のムニョスを連れ出す事に不満だった。

因みに、この家では“ゼリー”は禁句だ。

気まずい雰囲気に、呉提督は後ろで見守る夕張に助け船を出してもらおうとするが、夕張は何も言うつもりがないのか視線を逸らす。

仕方なく、呉提督はジュディと直接対決する事にした。

 

呉「私はね、ジュディ、楽しいと思ったの。久々に仲間で集まって一緒に・・・・・・」

 

夕張「釣りの旅」

 

呉「釣りの旅、それよ。何も心配 要らないから。友情を深めるってだけよ」

 

ジュディは全く信用ならないという風に鼻を鳴らすと、ムニョスが荷物を持ってリビングに来た。

 

ムニョス「それじゃ、少しだけ留守にするよ」

 

ムニョスが、しばしの別れのキスをジュディの頬にする。その瞬間だけジュディは笑みを見せるが、ムニョスが離れた瞬間、また呉提督を睨む。

 

ムニョス「()()の旅は、ほんの数日だ」

 

呉「あっ・・・」

 

呉提督はヤバいという風に顔を しかめ、ジュディから顔を逸らす。ヤバい、嘘がバレた。

 

ジュディ「“狩り”に行くの?“釣り”じゃなかった?」

 

呉「両方やる!そういうパック旅行なの」

 

ムニョス「あ、あぁ・・・」

 

ジュディは怒り、テーブルを叩く。それを見て、呉提督の身体がビクッとする。

そのままジュディは、リビングから立ち去って別の部屋へ行ってしまった。

 

ムニョス「未だに恨んでる」

 

呉「でしょうね。実に冷たく迎え入れられたから。10年 経てば忘れてると思ったのに・・・“ゼリー事件”の事は」

 

夕張「ゼリー?」

 

呉「前回、休暇でゴタゴタがあって・・・・・・ゼリーが巻き込まれたの・・・」

 

休暇で事件が起きて、ゼリーが犠牲になったようだ。何の話か さっぱりだ。

ただ、ジュディの様子から、呉提督がゼリーを使ってジュディを酷い目に遭わせたか、ジュディのゼリーを呉提督が台無しにしたかの どちらかだろう。

 

夕張「それじゃあ、次は実演のプロに会いに行こうか。『フィッツィ・シェン』」

 

ムニョス「どうしてるかな?あいつ」

 

呉「また遊んでるでしょ、とんでもない爆発物で」

 

夕張「そうなの?仲良くなれそう」

 

物作りと爆発物が大好物の夕張。仲良くなれそうだ。

ムニョスを仲間に引き入れた夕張と呉提督は、3人目の仲間、フィッツィ・シェンの元へ出発する。2人の移動距離は増す一方。

 

 

・・・・・・

 

*テキサス州ヒューストン フィッツィの家 17:10*

 

汽車が煙突から煙を吐き出し、走っていた。

汽車はトンネルに入り、そこを抜けると橋に向かう。

橋に差し掛かった瞬間、爆発が起き、橋は崩れ、爆発に巻き込まれた汽車は崖の下に落ちた。

というのは全部 本物ではなく、全て模型だった。夕張と呉提督は、フィッツィの爆破の実演を見学していた。

 

フィッツィ「橋作りに1週間以上、2秒でバラバラ。“人生”だ」

 

呉「汽車ポッポ的哲学とは、気に入った。じゃあ実演には付き合ったし、もう・・・いいでしょ?やる?」

 

フィッツィを誘うが、彼の様子は芳しくなかった。恋人に約束したらしい。これ以上の爆発物は作らないと。

普通の人間なら、話は そこで終了だろう。だが彼も、元ネイビーシールズだ。

 

フィッツィ「けど、ワージーのピンチだ。仕方ないよな・・・やるよ」

 

フィッツィも加わり、呉提督は笑みを浮かべる。

残るは あと1人だ。

 

呉「いざ、巨人の元へ」

 

 

・・・・・・

 

*カンザス州カンザスシティ 5月3日 8:00*

 

カンザスシティで、渋滞が発生している。渋滞の先には、夕張と呉提督、交通整理をしなきゃいけない男が話していた。

 

呉「ってな訳で会いに来たの。彼を連れ戻したい。やる?『ダニアン』」

 

4人目の仲間ダニアンは、2メートルを軽く越える身長で体格も大きい。顔も怖い。

夕張と呉提督と話してるせいで、ダニアンが交通整理をしないものだから渋滞になり、クラクションが沢山 鳴らされる。

 

運転手「おい、そこのアンタ!ちゃっちゃと動け!」

 

呉「おぉ・・・」

 

運転手の1人から文句を言われ、呉提督が“やっちまったな、お前”みたいな顔をする。

するとダニアンが後ろを振り返り、運転手を睨む。ダニアンの顔が怖過ぎて、運転手は静かになった。

 

ダニアン「やるよ」

 

呉「行きましょ」

 

交通整理の仕事を放り出し、ダニアンも仲間に加わった。

 

 

・・・・・・

 

*飛行場 10:00*

 

飛行場に夕張、呉提督、ディーコン、ムニョス、フィッツィ、ダニアンが集結する。これが、ワージーを救出する部隊だ。

 

夕張「皆には驚いた。今の生活を迷わず中断して、救いに来た」

 

呉「当然よ、ワージーが居たからこそ今の生活がある」

 

 

・・・・・・

 

*10年前 コロンビア・ダコタ 町*

 

敵に包囲されたネイビーシールズは、人質を連れて建物から脱出し、停めてあった軍用トラックに向かいながら銃撃戦を繰り広げていた。

そんな中、敵の凶弾を受けてソープが倒れる。

 

呉「ソープ!怪我は?!」

 

ソープ「背中・・・!」

 

これが、ソープが車椅子生活を余儀なくされた出来事だ。

呉提督とワージーが肩を貸し、全員でトラックの荷台に乗り込む。あとは このまま逃げるだけだ。

呉提督も これで安心だと思い一息 吐くが、トラックの荷台に手榴弾が投げ込まれた。ワージーだけが それに気付き、目を見開く。

 

ワージー「爆発する!」

 

ワージーは咄嗟に手榴弾を掴み、敵の方へ投げ返した。爆発し、油断していたせいで皆 驚いていた。あと少し遅ければ、トラックで爆発して全員 死んでるところだ。

 

ワージー「“国境の南”・・・」

 

呉「“まだ地獄じゃない”。ワージー、凄い奴ね」

 

ワージー「家に帰りたい」

 

呉「あんたの お陰で帰れる。あんたの お陰よ」

 

この任務でワージーは皆の命の恩人となり、皆は そんなワージーを助けるために、今の生活を中断して助けに行く事を決めたのだ。それが、彼らの友情だ。

 

 

・・・・・・

 

*現在 ホンジュラス・テグシカルバ郊外 飛行場 13:34*

 

飛行機から、夕張達が降りてくる。

元ネイビーシールズのメンバーは、腰や肩を痛めていた。ホンジュラスまで来るには、オヤジには堪える国のようだ。

飛行場には、傭兵請負人のジェイコブ・ローラー率いる傭兵部隊が待っていた。

 

呉「ローラーね、よろしく」

 

ローラー「どうも、加勢は助かるよ。現地警察がワージーの捜索に躍起になってる」

 

呉「その後ワージーから連絡は?」

 

ローラー「いや、ない」

 

すると、夕張のスマホに着信が入る。

呉提督が気を利かせ、仲間を紹介するためにジェイコブ・ローラーを連れていく。

 

夕張「青葉、ホンジュラスに着いたわ。ローラー達と居る」

 

青葉『夕張さん、情報を渡しちゃダメです』

 

夕張「・・・何で?」

 

青葉と(たける)は、画像処理のアルゴリズムを組んで監視映像を復元した。それにより判明したのは、映像の一部が消されていた事だ。

そして消された映像に映っていたのは、ジェイコブ・ローラーと その仲間の傭兵達が、線路に爆弾を設置する瞬間だった。

ジェイコブ・ローラーの口座を調べると、支払い元は政府と反政府集団。線路の警備で得る お金と、爆破する お金を二重取りしてた訳だ。

 

青葉『最低な男です』

 

夕張「ワージーは悪事に気付いて止めようとした。つまり、ローラーはワージーの口を塞ぐ気・・・」

 

事件の真相を夕張が理解したところに、呉提督とジェイコブ・ローラーが来て慌てて電話を切る。

 

ローラー「出発しよう、車が要るって?」

 

夕張「うん・・・」

 

呉「行ける?」

 

夕張「・・・うん、いつでも」

 

ローラー「・・・問題か?」

 

夕張「いえ、別に・・・考え事してただけ。行きましょ」

 

ローラー「じゃあ こっちだ」

 

呉「皆 行くわよ!」

 

夕張「大佐・・・」

 

呉提督にジェイコブ・ローラーが危険だと教えようとするが、呉提督はジェイコブ・ローラーと一緒に車の方へ行ってしまった。

 

 

・・・・・・

 

*ジャングル 14:44*

 

呉提督のスマホでワージーのGPSを追い、夕張達は2人の傭兵と一緒に軍用トラックの荷台に乗って向かっていた。

ジェイコブ・ローラーと他の傭兵達は、線路の警備に戻ると言って あの場で別れた。

トラックではネイビーシールズ時代の思い出話で盛り上がっていたのだが、夕張は まだ、ジェイコブ・ローラーの事を言えていなかった。敵が一緒であるため、言いたくても言えない。

それでも、どうにかして伝えなくては・・・。

 

夕張「大佐、『ダ◯ハード2』って見た?」

 

呉「傑作よ」

 

夕張「ストーリー覚えてる?」

 

呉「ん?」

 

夕張「じゃあ、主人公が遭遇する軍人の事は?」

 

呉「誰に言ってるつもり?シリーズは1つ残らず全部 覚えてる。私 大ファンなのよ」

 

夕張は一緒に乗ってる傭兵を見た。それに釣られ、呉提督も そちらを見てから、よく分かってない顔で また夕張を見る。

分かってくれない呉提督に、夕張はジェスチャーなど、あの手この手で伝えようとする。

すると、乗ってるトラックが減速し始めた。

 

夕張「トイレ休憩で減速する訳じゃない」

 

呉提督も漸く理解したのか、元ネイビーシールズのメンバーに、カンボジアでの事を覚えてるか訊いた。彼らは顔を強張らせ、静かに頷いた。それだけで全てを理解した。

夕張は上手く伝わり、笑みを浮かべる。

トラックが完全に止まり、夕張達はトラックから降りる。

 

呉「フィッツィ、急いで。行くわよ、早く」

 

降りる時、置き土産にフィッツィが自作した爆弾をトラックに残していく。

夕張達がトラックから離れるように歩いていくと、トラックの傍で立つ2人の傭兵が、自動小銃の照準を合わせてくる。

だが爆弾が爆発し、トラックが炎上。2人の傭兵も死んだ訳ではないが、吹き飛び倒れる。

その隙に、夕張達は その場から逃げる。

 

ディーコン「やったな」

 

呉「あはー♪『ダ◯ハード2』よ!」

 

呉提督だけ、大ファンの映画みたいな状況に喜んでいた。

 

 

・・・・・・

 

トラックから逃げた夕張達は、雑談をしながら山の中を歩いていた。

 

ムニョス「耳が、カンダハル以来の痛みだ」

 

フィッツィ「はぁ?ムニョスあの任務ほぼ寝てたろ」

 

ムニョス「寝てたんじゃないね。手榴弾で壁に吹き飛ばされた。あれは“気絶”と言うんだ」

 

フィッツィ「言ってれば」

 

そんな中、ディーコンがワージーの位置を確認する事を提案する。呉提督がスマホで確認しようとするが、どのポケットを確認してもスマホが出てこない。

 

呉「ざけんじゃないわよ。誰よ?取ったの」

 

ディーコン「まさか失くしたのか?」

 

呉「・・・・・・・・・」

 

ディーコン「おい嘘だろ」

 

ディーコンは呆れて空を仰ぎ見て、フィッツィとムニョスが顔を しかめながら見合わせ、ダニアンが信じられないものを見るような顔で呉提督を見る。

 

呉「ローラーの手下から逃げる時に落としたのよ」

 

ディーコン「お前 最高」

 

呉「真面目に!あの携帯にはワージーの・・・」

 

夕張「位置情報がある」

 

ディーコン「兎に角 足が要る」

 

呉「何で落としたの・・・?」

 

皆は先に進み、呉提督は1人で頭を抱えていた。

 

 

・・・・・・

 

山中に棄てられたトラックを見付け、夕張が石で車の窓を割る。ドアを開け、ボンネットを開くためのレバーを引いた。

その間、元ネイビーシールズのメンバーは敵が来ないか警戒している。

 

夕張「それじゃ、誰か認識票 持ってる?」

 

ダニアンが率先して自分の認識票を渡すと、夕張はボンネットを上げる。

 

ディーコン「どうするんだ?」

 

夕張「直にエンジン掛ける」

 

認識票を使ってショートさせると、エンジンが掛かった。それを見て、ダニアンが無言で夕張を2度見した。素直に驚いてる。

 

ディーコン「当時 仲間に欲しかった」

 

 

*呉鎮守府 執務室 日本時間5月4日 7:00*

 

呉鎮守府の執務室ではソープが、雲龍と一緒にパソコンの画面を見ながら、衛星電話で呉提督と話していた。

間に合わせの作戦本部だ。

 

ソープ「衛星画像によると、前方 異常ナシ。敵は居ないようだ、どうぞ」

 

呉『了解、ソープ。ありがとね、心強いわ』

 

ソープが雲龍を見ると、彼女は不安そうにしていた。雲龍を安心させるように、ソープは笑みを見せながら頷き、雲龍も少しだけ笑みを見せながら頷き返した。

 

 

*ホンジュラス 山 中米時間5月3日 16:10*

 

夕張達が見付けたトラックが走っていた。

運転席には呉提督、助手席には夕張、他は荷台に乗ってる。

 

夕張「携帯、ローラーに拾われたからって、動画までは見付からないわよ」

 

呉「甘いわね、ローラーはプロよ。ワージーの動画を見付けてる。ワージーだけは護らないと」

 

夕張は何故そこまでしてワージーのために動くのか、何故ワージーに拘るのか、ワージーと何があったのか気になり、訊いてみた。

 

呉「私達の今があるのはワージーの お陰だから。最後に会った時の借りもある。キツい任期を終えて帰国したばかりだった。その派遣で見た光景ってのが、また酷く、凄惨で、分かる?」

 

呉提督からの問いに、夕張は言葉を返さず、静かに、小さく頷いた。

それを見た呉提督は、話を続ける。

 

呉「普通の生活には馴染めなくて、外に出る事もできなかったわ。当時 一緒に居た恋人も、私を見てらんなくて出ていく始末。家中ウロウロしてはブツブツ呟き、悪夢に魘されては泣き叫ぶ」

 

夕張は口を開きかけるが、何と言葉を返せばいいか分からず、結局 何も言わなかった。

そんな夕張の様子を余所に、呉提督の話は続く。

 

呉「ドン底だったわね、真っ暗で。先も見えず、1人じゃ どうしようもなかった」

 

 

・・・・・・

 

*10年前 アメリカ 当時の呉提督のアパート*

 

寒い時期の事だった。ソファーに座りながら貧乏揺すりをして、死人のような顔で呉提督がボーっとしていたら、鍵を掛けていなかった玄関の扉が開いた。入ってきたのはワージーだった。

 

ワージー「よう」

 

呉「調子は?」

 

ワージー「変わらず」

 

ワージーは、呉提督がローブを着てるのを見て笑った。指摘された呉提督も、弱々しく笑った。

 

ワージー「どうした、センチになってる?」

 

呉「いや、別に。くつろいでるだけ」

 

ワージー「そう?空気が ちょっと、重いけど」

 

呉提督の好きな店のパイを買ってきたと言っても、呉提督からは元気が出ない。そんな様子を見せられては、ワージーも笑えないし、放っておけない。

 

ワージー「真面目に・・・どうしたんだ?吸血鬼みたいに閉じ籠って」

 

そして呉提督は、ワージーに恋人が出ていった事を、涙を流しながら話した。それを聞いたワージーは、付け焼き刃かもしれないが、呉提督を慰めた。

 

ワージー「トラウマは?」

 

呉「・・・・・・振り払えないの・・・」

 

ワージー「辛いな・・・」

 

この日ワージーは、ただ遊びに来た訳ではなかった。呉提督に、自身の事で報告したい事があった。

 

ワージー「実はな・・・1番に打ち明けるよ。俺 軍を抜ける」

 

それを聞き、呉提督には疑問で一杯だった。

あと2年すれば、小佐に昇格する。出世の道が約束されてるのに、ワージーは それを捨てようとしていた。

だがワージーには、それだけの理由があった。

 

ワージー「2年後の今頃、俺の子供が1歳半を迎えるから」

 

呉「子供?」

 

ワージー「俺パパになる」

 

ワージーに子供が出来たと知り、呉提督は自分の事のように喜び、祝いの言葉を送った。

2人は喜びを噛み締め合うように抱き締め合い、身体を離すと、ワージーも感極まったのか、涙ながらに口を開く。

 

ワージー「あのさ、子供の事もあって、考えるようになった。ボゴタの あの手榴弾、ほんの数センチでもズレてたら、オメデタを味わえなかっただろ?父親を知らない息子にはさせたくないんだ」

 

呉「・・・分かるよ」

 

ワージー「今は、自分と よく向き合うこと、いいな?毎日が、任務だと思え、な?小さな任務の積み重ねが、生き甲斐を生む。自分を大事にしなきゃ」

 

呉「分かった」

 

ワージー「誰よりも勇敢だ。腐るな、いいね?」

 

 

・・・・・・

 

*現在*

 

呉「ワージーが私を奮起させてくれた。あれが切っ掛けで、日本海軍で提督にもなれて、ダンテちゃんや夕張ちゃんと出会えたわけ。てな訳で、ワージーには借りがある」

 

夕張「返さなきゃ」

 

呉提督の話を聞き、依頼とは関係なく、夕張にもワージーを助けるために力を尽くす理由ができた。夕張の眼には、その覚悟が宿っていた。

夕張達を乗せた車は、ワージーが動画と一緒に送ってくれた、最初の座標を目指して走る。




次回は、今まで名前しか出してなかった『Devil May Cry』のキャラが初登場するので、楽しんでいただけたらと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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