ダンテチームの時より話数が ちょっと増えますが、お付き合いいただければと思います。
231話です!どうぞ!
*ヒマラヤ山脈付近 列車 ネパール時間5月5日 15:25*
ダンテ達が太平洋にある島に居る頃、ヒマラヤ山脈付近を走る列車にバージル、霧島、伊勢型、長門、祥鳳、古鷹型、天龍型、木曾、三日月、吹雪型、曙、潮、暁、響、初霜、時雨、五月雨、涼風、朝潮、大潮、霰、霞、黒潮、天津風、磯風の33人が乗っているのだが、絶賛 武装した人間達と交戦中だった。
天龍「おい!もう あいつら砲撃で ぶっ飛ばしていいよな?!」
長門「ダメに決まってるだろ!人間の命を奪ってはならん!」
バージル達は羅王アビゲイルの残された力を探して、ダンテ達と同じく手懸かりを追ってトルコ、ボルネオ島へと赴いていたのだが、ボルネオ島で傭兵部隊と交戦する事になり、カギとなる遺物を奪われていた。
それを取り戻すべく傭兵部隊を追ってネパールまで来たのだが、案の定 奴らと交戦する事になってしまっていた。
傭兵部隊は艦娘の力を抑制する薬が注入された弾丸を使っており、人間の命を奪う事を許されない艦娘達は手も足も出せずにいた。
加古「艦娘の規則は分かってるけど、流石に これは・・・!」
涼風「どうすんだよ!?どうすんだよ!?」
日向「こんな狭い場所では、刀も使えないな」
木曾「もうバージル1人で どうにかしてくれ!」
そうは言っても、バージルも列車に乗ってるが艦娘達と一緒ではなかった。
時雨「僕に考えがある!」
長門「おい、まさか・・・やめろ!」
長門が止めるのも聞かず、時雨の身体からシャドウが飛び出し傭兵部隊へ突撃する。
シャドウの身体がグニャグニャと形を変え、無数の棘が伸びて傭兵部隊の身体を貫く。それにより傭兵部隊は倒れ、一時的に艦娘達への銃撃が止まる。
天龍「あーあ、やっちまったよ。時雨が人間 殺しちまったよ。艦娘の規則 破っちゃったよ」
長門「時雨、なぜ勝手な事をした?!」
時雨「心配しないで。誰も死んでないから」
長門「何だと?」
長門が倒れる傭兵達の方を見ると、微かに呻き声が聞こえる。
シャドウは棘を伸ばした時、急所を外して貫いていた。銃を持ったり立ち上がる事はできないだろうが、死ぬ事はない。
人間の命を奪ってないと分かり、長門も安堵の溜め息を吐き、時雨は指示通りに動いたシャドウを撫でて褒めていた。シャドウは気持ち良さそうにされるがままだ。
霧島「この車両は制圧できましたし、先頭車両に向かいましょう」
隣の車両に移ろうとしたが、隣の車両から銃弾が飛んできて、艦娘達は座席の陰に隠れる。
天龍「やっぱ撃ってくるよなぁ・・・」
伊勢「時雨、お願い!」
時雨「シャドウ、殺しちゃダメだからね!」
シャドウだけで隣の車両へ突入し、隣の車両からはシャドウの唸り声と、銃声、傭兵達の悲鳴が聞こえてくる。その間、艦娘達は終わるのを ひたすら待ち続けた。
一方バージルは、列車の屋根を歩いていた。
同じく屋根に上がった傭兵部隊から銃撃を受けるが、飛んでくる銃弾を閻魔刀で斬り、時には弾いていた。
銃弾を防ぎながら傭兵部隊に接近したバージルは、艦娘達と違って人間の命など気にもしない暴れっぷりだった。閻魔刀で斬り伏せ、幻影剣で射殺し、スピードの出てる列車から蹴落としていく。
車内では、シャドウの助けもあって艦娘達は車両を進んでいた。
大潮「この列車 永遠に走ってます!」
その時間は、艦娘達にとって とても長く感じた。
貨物車両まで来ると、その先の車両からガトリング砲を持った体格のデカい傭兵が現れた。それを見て、艦娘達は顔を引き攣らせる。
天津風「ちょっと何よ あれ!?怪物じゃないでしょうね!?」
ガトリング砲が掃射され、貨物車両には隠れる場所もなく逃げる事もできない。
為す術もなくガトリング砲の餌食にされてしまうのかと思ってしまう刹那、シャドウの身体が不定形に広がり盾となり、その身に銃弾を受ける。
掃射が止まりシャドウも黒豹の姿に戻るが、その身に受けた弾丸をモグモグしていた。
時雨「そんなの食べたら お腹 壊しちゃうよ!ペッしなさい、ペッ!」
注意するが、ゴクンとシャドウの喉がなり、咀嚼していた弾丸を飲み込む。言う事を聞かなかったので、時雨は悲鳴を上げながら叱っていた。
木曾「今の内に走れー!」
またガトリング砲が掃射されない内に艦娘達は走り、積み重ねられた丸太の後ろに隠れる。
直後、ガトリング砲が掃射され、艦娘達は また身動きが取れなくなる。
ガトリング砲を持つ傭兵は撃ちながら、どんどん艦娘達に近付いてくる。丸太の上に立ち、こちらに歩いてくる。
すると艦娘達の後ろから、斬擊が飛んできて丸太を固定する金具が斬られる。丸太が転がり、その上に居たガトリング砲を持つ傭兵は一緒に崖下へ落ちていった。
艦娘達が後ろを振り返ると、冷たい視線を向けてくるバージルが居た。
バージル「お前達は何をしている?」
天龍「師匠、ナイスタイミング!」
長門「バージル、無闇に人間を殺すな」
バージル「降り掛かる火の粉を払ったまでだ。お前達こそ、艦娘であろうと無事では済まない状況で隠れてるだけでは、自分の身は守れんぞ」
長門「しかし・・・」
バージル「死にたくなければ躊躇うな。例え相手が誰であろうとな」
響「待って!また何か来たよ!」
話してると、傭兵部隊の戦闘ヘリが現れ、こちらに向かって備え付けられた機銃とミサイルを撃ってきた。ミサイルは外れ、ここまで通ってきた車両が爆発し、連結が外れて線路を転がる。
磯風「もう こいつらにはウンザリだ!」
艦娘達が貨物列車で逃げ惑う中、バージルは戦闘ヘリを見ながら静かに立っていた。
バージル「そんな所を飛んでていいのか?」
親指で閻魔刀の鍔を押して僅かに刃を見せると、次の瞬間には閻魔刀を抜刀し、すぐに鞘に納めた。すると戦闘ヘリのプロペラがバラバラになり、コントロールを失い岩壁に当たって炎上。そのまま線路に落下した。
天龍「急降下だ!楽しめクソ野郎!」
天龍が皮肉を込めた言葉を送ってると、前の車両から続々と傭兵部隊が現れ銃撃してくる。
艦娘達がウンザリする中、バージルとシャドウが蹴散らし前へ前へと車両を進んでいく。
普通の車両に入り艦娘達が座席の陰に隠れていると、傭兵がピンを抜いた手榴弾を投げてくる。手榴弾は丁度 隠れてる涼風の目の前に落ちた。
涼風「・・・・・・わぁあああああ!?」
少しの間 思考が停止した涼風は、目の前の状況を理解して叫ぶと、無意識の内に手榴弾を傭兵の方に投げ返していた。手榴弾は そのまま爆発し、巻き込まれた傭兵達が吹き飛ぶ。
涼風「どうしよ!?あたい人間を殺しちまったよ!?」
日向「いや、あの状況では仕方なかった。そうだろ?長門」
長門「う、うむ、そうだな・・・」
涼風「で、でも、日本に帰ったら あたい、軍法会議に掛けられるんじゃ・・・。もしかして解体だって・・・」
涼風が今後の自分の処遇を心配してると、加古が涼風の両肩に手を起き真っ直ぐ見詰めてくる。
加古「涼風、バレなきゃなかったも同然だ。大本営には黙っておこうな」
涼風「そ、それでいいのか・・・?」
古鷹「加古!駆逐艦に変なこと吹き込まないの!」
間違った考え方を吹き込む加古だが、今回は状況が状況であるため、問題にはならないだろう。悪いのは問答無用で殺戮兵器を振り回す傭兵部隊だ。
倒れた傭兵の1人の防弾ベストに、奪われた遺物があった。それは槍の先端のような形をした短剣だった。
それを回収し、もう ここには用はない。
列車から逃げるため移動しようとするが、また別の傭兵が撃った弾丸に天龍が当たり倒れる。
龍田「天龍ちゃん!」
前の車両から続々と傭兵が現れ、龍田は天龍に肩を貸しながら抱えて、他の艦娘達と一緒に座席の陰に隠れる。
バージルは忌々しそうに舌打ちしながら、閻魔刀で飛んでくる銃弾を防いでいた。
そんな中、木曾が車内に置かれたプロパンガスを視界に捉える。そして艤装を展開し、主砲を構えた。それを見て、他の艦娘達が焦る。
叢雲「何してるんですか!?」
伊勢「ちょっと木曾!正気!?」
木曾「ダメで元々だ・・・」
プロパンガスに向かって砲撃して爆発が起き、列車は横転しながら脱線した。
・・・・・・
木曾が目を覚ますと、列車の座席に座っていた。ただ おかしな事に、身体に掛かる重力から考えて、どうやら仰向けに座っている。
周りを見渡しながら冷静に状況確認すると、どうやら脱線した車両が、崖で ぶら下がった状態にあるようだった。このままでは、その内 耐え切れず落下してしまうだろう。
車内には木曾以外に、加古、天龍型、深雪、涼風、霞、磯風も居て、全員 意識がないようだった。
バージルと他の艦娘の姿は見当たらない。
木曾「うわっ、マジか・・・!」
崖で ぶら下がった状態の車両が突如、ガクンと下に揺れ浮遊感を感じる。そう長くは持ちそうにない。寝惚けた頭を無理矢理 起こし、早く ここから脱出しなければ・・・。
木曾「皆、起きろ!落ちるぞ!起きろー!!」
木曾が怒鳴るように声を上げ、車内に居た艦娘達が目覚める。
龍田「うっ・・・天龍ちゃん、大丈夫?」
天龍「イッテ・・・!これ、血が止まらねぇ・・・」
深雪「何で こんな事になってんだよ!?」
磯風「木曾!何で あの状況で砲撃したんだ?!」
木曾「あの時は あれがベストだと思ったんだよ!」
霞「どこが!?最悪なんだけど!」
木曾「言ってる場合じゃない!早く上に上がらないと落ちるぞ!」
木曾の軽率な行動に文句が止まらない艦娘達だが、確かに今は それ処ではない。
龍田「天龍ちゃん、動ける?」
天龍「ちょっと、無理そうかも・・・」
龍田「私に掴まって。私が負ぶっていくから」
龍田は天龍を背負いながら、皆と一緒に座席を梯子代わりにして移動する。
ぶら下がる車両を抜け、連結する通常の向きの車両に移ると、車両が揺れて崖の方へと滑り落ちようとする。
加古「いい兆候じゃない・・・」
木曾「ああクソッ!」
ズレ落ちていく車両の中を走り、端まで来ると艦娘達はジャンプする。車両は崖下へと落下し、艦娘達はギリギリ崖の縁に掴まり どうにか助かった。
よじ登り崖の上に上がると、艦娘達は大の字に寝転がり一息 吐く。
磯風「やっと大地だ・・・」
だが のんびりもしてられない。標高が高い山に居るせいか、辺りは雪が降り積もっている。
艦娘なら艤装を出してる間は寒さも平気だが、艦娘の力を抑制する弾丸を撃たれた天龍は そうもいかない。このままでは凍え死ぬのも有り得る。
艦娘達は起き上がり、負傷する天龍を連れて、火が燻る脱線した車両の間を歩く。
すると、爆発から生き延びた傭兵達が現れ、問答無用で銃撃してきた。
涼風「あいつら、何で あたいらと同じ物 探してるんだい!?」
深雪「知らないっての!そもそも、護るべき人間に撃たれる方が心外だっての!」
加古「死なない程度に反撃するよ!」
木曾「龍田、天龍と一緒に隠れてろ!」
銃撃してくる傭兵部隊に向かって、直撃しないように砲撃して爆風で吹き飛ばす。
砲撃できれば怖いものナシだが、あちこちから傭兵が現れ、思いの外 数が多かった。
霞「いや多過ぎ!」
磯風「脱線したのに、案外 生き残ってるものだな!」
砲撃してるとはいえ、四方八方を囲まれ数で押し寄せてくる。
中には思わぬ場所から現れ、油断して艦娘達が次々と銃弾に当たり倒れていく。
しかも艦娘の力を抑制する弾丸だったため、艤装も消えてしまう。
艦娘達に止めを刺そうと傭兵部隊が にじり寄ってくるが、突如として斬擊の渦が発生し、傭兵達の身体がバラバラになり、白い雪原を赤く染める。
磯風「な、んだ・・・?」
現れたのは、脱線した時に はぐれたバージル達だった。銃声を聞き、間一髪で駆け付けたのだった。
古鷹「加古!皆!」
日向「無事・・・と言える状況でもなさそうだな」
吹雪「深雪ちゃん、しっかりして!」
加古に古鷹が、天龍に龍田が、木曾に霧島が、深雪に叢雲が、涼風に五月雨が、霞に朝潮が、磯風に天津風が肩を貸し、雪山の中を歩く。
現在地は よく分からないが、負傷した艦娘の傷を手当てできる場所へ、兎に角ここではない どこかへ行かなくてはならない。
・・・・・・
しばらく雪山の中を歩いていたが、もう どれほど歩いてるかも分からない。
辺りは夜になり暗く、吹雪いて先も見えないほど悪天候になっていた。
そんな中、朝潮と霞が歩みを止めた。
大潮「霞、頑張って」
霞「寒い・・・もう歩けない・・・」
艦娘なら、艤装を装着してれば ある程度の寒さも凌げるが、艤装が出せなくなった艦娘では、防寒着も無く この吹雪の中を進むのは死に直結する。
龍田に肩を貸してもらっていた天龍もバランスを崩し、龍田と一緒に転んでしまう。
龍田「天龍ちゃん、しっかり!」
天龍や霞だけでなく、加古、木曾、深雪、涼風、磯風も歩みを止めたり、倒れ込みそうになる。寒さと出血により、気力も体力も奪われ、これ以上 先へ進むのは彼女達には無理だった。
バージルは面倒な事になったと思いながら艦娘達を見ていたが、彼女達とは別の気配を感じ取り、そちらの方に振り返りながら睨む。その視線の先には、人の形をした影が立っていた。
・・・・・・
*??? 5月8日 7:13*
どこか暖かい場所で、天龍の意識が戻った。目を開けると、眼前に見知らぬ子供の顔があり、驚いた天龍は飛び起きた。
視界に入ってきたのは、どこかの家の中の風景だった。
子供は天龍から離れ、近くに居た男に何か言ってから外に出る。親子かもしれない。
それと入れ替わるように、男が近付いて何かを話してくるが、聞き慣れない言葉に何を言ってるか分からない。
天龍「俺、どうやって ここに?」
とりあえず最初に浮かんだ疑問を口にしてみるが、やはり男から返ってくる言葉は意味不明だったため、天龍は気の抜けた返事しか返せなかった。
ふとした瞬間、天龍は傭兵に撃たれた場所を見た。そこは出血が止まっていて、手当てされた事が分かる。
周りを見てみると、同じく傭兵に撃たれた加古、木曾、深雪、涼風、霞、磯風も寝ていた。
天龍「どれくらい寝てたんだ?」
男はコップとポットを手に取り、ポットから飲み物を注いで天龍にコップを差し出す。言葉は通じなくても、それが厚意であるのは天龍にも分かるため、礼を言って受け取り飲む。
天龍「うあ゛ぁ゛ゴホッ!ゴホッ!いや、もういい、もう十分だ・・・!」
あまりの不味さに噎せてしまったのに、男は おかわりをコップに注ごうとするので、天龍は手でコップを塞ぎ、焦りながら拒絶する。
その声に、周りで寝てた加古、木曾、深雪、涼風、霞、磯風も目が覚める。
その後 同じ物を飲まされ、全員 噎せた。
すると男は、皆からコップを受け取りテーブルに置くと、また何かを言ってくる。
天龍「悪いけど、何 言ってるか・・・」
加古「何だ?」
全員に言葉が通じず、男はジェスチャーで伝えようとする。艦娘達は それが“立て”と言ってるんだと理解し、男の手を借りながら寝台から立ち上がる。
男は艦娘達に冬物の上着を渡し、出口の方へ向かいながら呼ぶ。艦娘達は訳が分からないまま、黙って男に追従した。
外に出ると、そこは村だった。
男に付いていきながら村の様子を見ていると、長閑な生活風景があった。女は洗濯カゴを持って井戸に行き、子供達はボール遊びをしている。
そんな様子を見ながら歩いてると、男は別の家の中に入っていく。艦娘達も そのまま中に入ると、そこにはバージルと他の艦娘達が居た。
天龍「知り合いが居て安心だ」
龍田「天龍ちゃん!」
天龍が来て笑顔を見せた龍田は、嬉しそうに天龍に抱き付いた。だが傷が痛むのか、天龍は苦悶の声を漏らす。
龍田「ごめんなさい、つい・・・」
天龍「大丈夫。いったい何が起きてるか説明してくれ。俺達は いつから ここに居る?」
龍田「ほんの数日前から。彼が助けてくれたの」
吹雪の中に立っていた影は、ここまで案内してくれた男だった。
彼はバージル達を この村まで案内し、加古達の傷の手当てをしてくれたのだ。
すると、男が会話に割り込み何か言ってくると、家の奥へ向かった。
長門「来い、私達に会いたがってる人が居る」
まだ状況が分からないまま皆で奥へ行くと、1人の老人が迎え入れてくれた。
老人「おぉ、残りの お客人が やっと お目覚めか」
長門「こちらは『カール・シェーファー』さんだ」
老人は手を差し出し、加古、天龍、木曾、深雪、涼風、霞、磯風と握手を交わす。
カール「どうだね?気分は」
木曾「悪くは、ないみたいだ」
カール「それは良かった。どうぞ、座って」
結局この老人の正体が何なのか分からず、加古達はバージル達に疑問を投げ掛ける視線を送るが、カール・シェーファーに促されるまま椅子に座った。
バージル「全員 揃ったぞ。勿体振らずに用件を言え」
古鷹「バージルさん、失礼ですよ」
古鷹が咎めるが、カール・シェーファーはバージルの物言いを気にする事なく、本題に入ろうとする。
カール「私達には共通点が多いようだ、バージルさん」
初雪「・・・・・・そうなの?」
バージル「そうは思えんが・・・」
カール・シェーファーの話では、今から70年前、彼も加古達のように瀕死の状態で この村に運ばれてきた。
彼はチベット探険隊のリーダーとして雇われ、目標はシャングリラへの入り口を見付ける事だった。
カール「たが真の狙いは、そこにある“石”だ。そこで、聞きたい。どこで これを見付けた?」
聞きながらカール・シェーファーは、傭兵部隊から奪い返した短剣を出した。
長門「・・・ボルネオです。何故そんな事を?」
カール「これが『シャングリラ』への鍵なのだよ。この鍵こそ、敵が喉から手が出るほど欲しい物だ。仮に存在を知らなくてもな」
木曾「存在は知ってるさ。けど俺達に何の関係がある?」
カール・シェーファーは、科学者を名乗る白衣を着た者に、バージル達が ここに来ると教えられ、シャングリラに眠る“石”が、羅王アビゲイルの力である事を伝えるよう頼まれたそうだ。それは、バージル達が来る前日の事だったらしい。
バージル「白衣だと?」
“科学者を名乗る白衣を着た者”、それだけで、バージルは誰の事か すぐに察した。間宮と買い物に出掛けた日、パーキングエリアで現れた あの白衣の老人だ。
バージルは徐に席を立ち、出ていこうとする。
霰「どこ・・・行くの?」
バージル「これ以上 振り回されるのは ごめんだ。そんな力が本当にあるかも怪しい」
カール「ほう、尻尾を巻いて逃げるのか?冒険は終いか?」
カール・シェーファーの挑発的な言葉に、バージルは背を向けたまま立ち止まった。
バージル「あぁ、その通りだ。その白衣を着た奴にしろ誰にしろ、都合良く利用されるつもりはない」
カール「まだ始まったばかりだとしたら?」
バージル「フン、冗談のつもりか?」
カール「いいや。だが敵は簡単には諦めんぞ、絶対に。求めてる物を見付けるまでは」
バージル「好きにさせとけばいい。そいつらが悪魔の力を手に入れても、使い熟せるとは思えん」
カール「そういう訳にはいかないのだよ!歴史上、最も恐れられた権力者の幾人かは、石の ほんの欠片を持っていたのだ。例えば、あの『ティムール』や『チンギス・ハーン』。欠片で あれ程の力が与えられるなら、石を丸ごと手に入れたら、どんな事になると思う?」
天龍「・・・あんたマジで言ってる?」
三日月「だから傭兵達は必死だったんですね」
日向「だが、ただの お伽噺の可能性もあるな」
祥鳳「しかし、本当だったら どうします?」
艦娘達の中でも、この話は賛否両論だった。
そこで、カール・シェーファーは ある提案をしてきた。疑うなら、その目で確かめてこいと。
カール・シェーファーは、加古達の面倒を見てくれていた男を『ガンジン』と呼び、彼に何かを伝えた。
カール「探険隊の後を辿れ、見れば理解するはずだ。ガンジンが案内する」
バージルは気怠そうな溜め息を吐き、霧島、伊勢型、長門、曙、時雨、大潮と共に、ガンジンの案内で村を出発するのだった。
次回も宜しく お願い致します!