233話です!どうぞ!
ガンジンの案内で洞窟に向かったバージル、霧島、伊勢型、長門、曙、時雨、大潮。
チベット探険隊のミイラを発見しつつ洞窟を進むと、身体はゴリラ、牛のような角が生えた醜悪な悪魔に襲われた。
悪魔は逃げバージル達は先へ進むが、洞窟の最奥でチベット探険隊の、本隊のミイラが散乱する部屋に辿り着いた。
そこでバージルは、チベット探険隊の中で何故カール・シェーファーだけが生き残ったのか気付く。そこに転がるミイラは、全員カール・シェーファーに殺されていたのだ。
だが考える暇もなく、悪魔の大群に襲われる。
バージル達は洞窟から脱出し、崖からガンジンの村を見下ろした。村では火の手が上がり、黒煙が上がっていた。
ガンジンを先頭に、バージル達は急ぎ村に戻るのだった。
*ガンジンの村 5月8日 10:17*
霧島達が村に辿り着くと、村はボロボロになっていたが、村に残っていた祥鳳、古鷹型、天龍型、木曾、三日月、吹雪型、潮、暁、響、初霜、五月雨、涼風、朝潮、霰、霞、黒潮、天津風、磯風の姿が確認できた。
長門「無事か!?」
吹雪「長門さん!」
長門「どうした、何があった!?」
祥鳳「傭兵に見付かってしまったようです」
するとガンジンは、村に残っていた艦娘達に娘の名を口にする。言葉は通じないが、家族の安否を訊かれてるのは分かった。
磯風「分からない。シェーファーさんが連れてった。シェーファーさんだ」
五月雨「最後に見た時は あっち側に行きました」
日向「あっちか」
古鷹「きっと私達のせいです。私達が ここに来たから・・・」
長門「例え そうだとしても、今は嘆いてる場合ではない。私達で この村の人達を護るぞ」
天龍「それより師匠は?」
長門「ん・・・?あいつ どこに行ったんだ!?」
村に戻る時には確かに一緒だったのだが、いつの間にかバージルの姿が消えていた。だが今はバージルを気にしてる場合ではない。
長門「深雪、涼風、霞、磯風、子供達を頼む。他は私に続け!」
艦娘達とガンジンは村を護るため、行動を開始した。
カール・シェーファーの家の中を通り、裏口の方へ向かう。
するとガンジンが何かを言ってきた。ジェスチャーも交えていたので、双眼鏡を貸せと言ってるのは分かった。
黒潮が 双眼鏡を渡すと・・・
ガンジン「シェーファー、シェーファー」
ガンジンが ある方向に向かって指を指した。
長門がガンジンから双眼鏡を受け取り見てみると、建物の影に隠れるカール・シェーファーと、ガンジンの娘の姿が確認できた。
すると、カール・シェーファーの姿を遮るように、視界に戦車が入り込む。
戦車の砲台が動き、砲口が こちらに向く。
長門「おいマズいぞ!飛べ!早く!」
戦車が砲撃し、艦娘達とガンジンは、カール・シェーファーの家から下の道へ飛び下りる。その直後、カール・シェーファーの家が吹き飛んだ。
加古「何で あいつら戦車なんか持ってきてんのさ!」
逃げ惑う村人達が、傭兵部隊の銃撃を受けている。艦娘達は艤装を展開し、砲撃して傭兵部隊に応戦する。
艦娘でも人間に危害を加えてもいい例がある。それは、罪のない人の命が危険に晒されている時、彼らを護る時だけ人間に武力を行使できる。
日向「躊躇うな!撃て!」
時雨「シャドウ、お願い!」
伊勢型と祥鳳が発艦した艦爆と水上機も、傭兵部隊を制圧するために爆撃を開始する。
シャドウも戦場となる村を駆け抜け、傭兵に襲い掛かる。
艤装が使えなくなってる加古、天龍、木曾と、普通の人間であるガンジンは倒れた傭兵の銃を奪い、それを使って応戦する。
そんな中、戦車の砲撃で近くの建物の壁が崩れ、崩れた壁の向こうから戦車が狙ってくる。
天龍「おい嘘だろ!?ガンジン行くぞ!」
戦車の照準が定まる前に艦娘達とガンジンは移動し、傭兵部隊と攻防を続けながら村の中を移動していく。
そうして進んでいたのだが、ある建物で傭兵部隊と戦車の攻撃が激しくなり、艦娘達とガンジンは身動きが取れなくなってしまった。
木曾「援護してくれ!」
天龍「加古、お前も来い!」
長門「おい、無茶をするな!」
選りにも選って、艤装が使えない加古、天龍、木曾、普通の人間であるガンジンが、今 居る建物から戦車を挟んだ反対側の建物に掛けられたロープを使い、滑り下りていく。
叢雲「もうっ!何なのよ!」
勝手な行動を取る4人に悪態を吐きながら砲撃する艦娘達の援護で、4人は戦車の上を通り反対側の建物に辿り着いた。
4人で そこに居た傭兵達を制圧するが、戦車の照準が加古達に向く。その瞬間、上空を飛ぶ艦爆の爆撃により、戦車が爆発炎上した。
天龍「おやすみアホ共!」
木曾「イエーイ!」
加古「やったねぇ!」
長門「こんの馬鹿者共がー!」
戦車を倒して喜ぶ加古、天龍、木曾だったが、3人は合流した長門に拳骨を喰らわされた。勝手な事をした罰だ。
村の中に侵入していた傭兵部隊を一掃し、艦娘達とガンジンは村の正面に位置する巨大な門を開け、村の外に出ると数台の軍用車が走り去るのが見えた。
すると横から、女の子の声がしてガンジンに抱き付いた。カール・シェーファーと一緒に居たはずのガンジンの娘だ。
カール・シェーファーの姿は見当たらない。
天龍「シェーファーは?どこだシェーファーは?」
ガンジンの娘は、軍用車が走り去った方向に指を指した。どうやら傭兵部隊に捕まり連れ去られたようだ。
そこに、村の中に残っていた深雪、涼風、霞、磯風も駆け付けた。
霞「皆!」
天龍「シェーファーがヤバい!」
深雪「嘘だろ・・・」
磯風「きっと あのナイフを狙ってるんだ」
朝潮「でしょうね」
天龍が残されていた大型トラックのドアを開けると、龍田が運転席に乗り込んだ。
天龍「おい!」
龍田「急がないとダメでしょ、追い付かなくちゃ」
天龍「よし、なら早く奥へ行け」
龍田を助手席に追いやり、天龍が運転席に座る。
長門「深雪、涼風、霞、磯風は村に残っててくれ」
他の艦娘達もトラックの荷台に乗り込み、艦娘達はガンジンに手を振ってから傭兵部隊の車列を追った。
・・・・・・
雪道を可能な限りのスピードでトラックを走らせ、傭兵部隊の車列が見えてきた。
天龍「多分、シェーファーは先頭車両だ」
龍田「どこに連れてかれるにせよ、シェーファーさんを助けるには追い付かなきゃ」
天龍「・・・よし、いい考えがある」
そう言った天龍は、徐に運転席のドアを開けた。それを見た龍田は、また危ない事をしようとしてるのかと思い焦る。
龍田「ちょっ、ちょっと何してるの~?」
天龍「道を空けてやる。おい、ハンドル」
龍田「はい~?」
天龍「ハンドル頼む」
龍田「だったら最初から私に運転させて~」
天龍「そこまで考えてなかった!」
龍田「考えて~」
龍田が運転席に座り、天龍は開けたドアに掴まりながら外に身を乗り出し、前を走る軍用トラックに傭兵から奪った銃の照準を合わせる。
天龍「よし、揺らすなよ」
龍田「オッケー」
天龍「いい感じ」
伊勢「ちょっと天龍!何してるの!?」
荷台に乗ってる艦娘達は、運転席から外に出てる天龍を見て驚くが、天龍は狙いを定めるのに集中してるため聞こえていない。
天龍「よーし、行くぞー・・・近付け」
龍田「うん」
天龍「それでいい」
いざ発砲しようとした瞬間、車列を組んでない軍用トラックが横から ぶつかってきた。それにより天龍が落ちそうになり、開けっぱなしのドアに ぶら下がる。
天龍「うわぁああ!」
龍田「掴まって!」
軍用トラックが再び接近して並走すると、天龍は そちらの荷台に掴まり、軍用トラックはスピードを上げ、天龍を連れて艦娘達の乗るトラックを追い越していく。
龍田「天龍ちゃん!?」
響「天龍さんは何がやりたかったのかな?」
長門「それより早く追え!天龍が危ないぞ!」
龍田「分かってます!」
軍用トラックの荷台に掴まる天龍は、荷台の上に居た傭兵を掴み引き摺り降ろす。
暁「天龍さん しっかり!」
天龍「掴まってる!掴まってるよ!」
傭兵が運転する軍用トラックの荷台に乗り込むと、別の軍用トラックに乗る傭兵から銃撃を受けた。
天龍「マシンガン見ーっけ♪」
荷台にあったフルオートのマシンガンを手に取り、天龍も撃ち返し応戦する。
天龍「早く降りねぇと・・・!」
乗ってた軍用トラックが火を噴き、天龍はトラックの屋根に上がり、前を走る軍用トラックの荷台に飛び移る。直後、さっきまで乗っていた軍用トラックが爆発した。
だが それで危険が去った訳ではない。後ろから傭兵達が乗る軍用トラック、ジープ、バイクが追い掛けてきて銃撃してくる。天龍はマシンガンを撃ち、大型トラックに乗る艦娘達も砲撃して応戦する。
追ってくる傭兵部隊を倒してる途中、軍用トラックの1台が艦娘達の乗る大型トラックに何度も ぶつかり、横転させようとしてくる。
五月雨「何で そんな酷い事するんですか~!?」
天龍「待ってろ!今 助けてやる!」
天龍はRPGを構え、ロケット弾を発射する。
それは見事に命中したが、別の軍用トラックからもロケット弾が発射され、直撃は免れたが爆発の衝撃で天龍が荷台で ひっくり返る。
起き上がった天龍は、艦娘達が乗る並走する大型トラックの屋根に飛び乗った。
黒潮「天龍さん、無茶ばっかりしたらアカンよ!」
龍田「天龍ちゃん無事なの~?」
天龍「あぁ!先頭のトラックだ、追い付け!」
龍田「掴まってて!」
龍田がアクセルを踏み込み、先頭車両に近付くと天龍は調子に乗っていた。
天龍「ハハー参ったかクソ野郎、やっちまうぞ!あ゛ー!?ヤベッ・・・」
挑発してると、先頭車両の荷台に乗っていた傭兵が、こちらに向かってRPGを構えてきた。
ロケット弾が発射され、躱すために龍田がハンドルを切るが、それがマズかった。雪道で急にハンドルを切ったため、大型トラックはコントロールを失い、艦娘達を乗せたまま崖から落ちた。
そしてカール・シェーファーを乗せた軍用トラックは、そのまま走り去ってしまった。
少しすると、崖から艦娘達が上がってきた。彼女達は崖から落ちる瞬間、大型トラックから飛び降り崖に掴まっていたのだ。
上まで上がり切ると、艦娘達は大の字で寝転がった。今回ばかりは もう駄目かと思い、心臓が うるさい程バクバク鳴ってる。
加古「鎮守府に帰りたい・・・」
伊勢「鳳翔さんと間宮さんの手料理 食べたい・・・」
祥鳳「瑞鳳の卵焼き食べたい・・・」
『分かる~』
艦娘達は上体を起こし、軍用トラックが走り去った方角を見た。その先には、大きな廃墟が見えていた。もしかすると、カール・シェーファーは そこに連れていかれたのかもしれない。
天津風「ねぇ、どうするんですか?」
木曾「・・・・・・古くて気味の悪い修道院に向かう」
日向「当然だな」
座ったまま長門が、双眼鏡で修道院跡を見ると、軍用トラックからカール・シェーファーが降ろされるのが見えた。
長門「シェーファーさんだ・・・クソ・・・」
伊勢「どうしたの?」
長門「『ラジャン』だ」
それを出迎えたのが、ボルネオ島で遭遇した傭兵部隊の司令官だった。
名はラジャン。見た目はスキンヘッドに筋骨隆々、黒い戦闘服に身を包んでいる。
ラジャンはネパールでクーデターを起こし、今の政権を倒して自分がトップの軍事国家を作ろうとしている。それ故、奴は現在 内戦中だった。
そんなラジャンが、何故か羅王アビゲイルの力の在処に繋がる手懸かりの、短剣を狙っているのだ。
ラジャンの名を聞き、艦娘達は全員 溜め息を吐いた。ボルネオ島では散々な目に遭わされたからだ。
長門「・・・皆 行けるか?」
朝潮「いつでも行けます」
艦娘達は立ち上がり、重い足取りで廃墟となってる修道院跡に向かった。
古鷹「あれ?バージルさんのこと忘れてませんか!?」
長門「もう知らん。放っておけ」
・・・・・・
*修道院跡 11:45*
正面から堂々と行けば また面倒な事になるので、艦娘達は修道院横の崖を登って接近していた。
天龍「もうすぐだ、いいか?静かに行こう、来い」
暁「うぅ・・・怖いよぉ・・・」
五月雨「お、落ちたら どうするんですかぁ・・・?」
天龍「大丈夫だ、先に行け」
崖を登り、少しだけ顔を出して様子を見る。かなりの数の軍用車が停まっているので、傭兵の人数も相当なはずだ。
先ずは崖の際に立ち見張りをしてる傭兵を掴み、崖下に引き摺り下ろして落とす。
上に上がり、軍用車の陰に隠れる。
天龍「ありがたい」
序でに見張りが落とした銃も貰う。
艦娘達は隠れながら移動し、見張りの巡回をしてる傭兵達の死角から襲い掛かり、無力化していく。
そして廃墟の1つに上がり、双眼鏡でカール・シェーファーを探す。すると、塔と塔を結ぶ橋を渡っているのが見えた。
霰「シェーファーさん・・・塔に・・・入れられちゃった・・・」
初霜「急ぎましょう」
廃墟を進むが、巡回してた傭兵部隊に見付かってしまった。その途端、物凄い数の銃撃を受ける事になってしまった。艦娘達も艤装を展開して砲撃し、一気に戦場となる。
傭兵を倒しながら手前の塔に上がり、天辺を陣取り艦娘達にとって有利なポジションを確保する。
響「最後の1人を倒したよ!」
霧島「あの橋を渡りましょう」
塔を少し下り、細い板の上を渡り橋に向かう。橋はボロボロで、今にも崩れそうだ。
橋の手前で止まり、双眼鏡でカール・シェーファーとラジャンの位置を確認する。
霰「あそこに・・・居た」
天龍「はぁ・・・あのクソ野郎。迷ってる暇はない、急いで行こ━━」
木曾「行くぞ!」
天龍「おっと もう行った」
長門「あまり先走るな」
木曾が先陣を切り橋を渡り、他の艦娘達も橋を渡っていく。その途中、橋の中間で最後尾を走ってた天龍の足下の床が抜けた。
龍田「大丈夫!?」
天龍「走れ!」
天龍が自力で橋の上に上がると、後ろから順に橋が崩れ落ちていく。艦娘達は巻き込まれないために全力で走った。
天龍「走り続けろ!あーヤバい。うわあああああ!!」
天龍以外は橋を渡れたのだが、天龍は間に合わず橋が落ちる。天龍は橋に掴まると、辛うじて残った橋が梯子のように ぶら下がった状態になる。
大潮「天龍さん、まだ そこに居ますか!?」
天龍「Yes・・・!うおっ!?」
ぶら下がる橋に掴まる天龍だが、橋の一部が落ちてくる。橋が完全に落ちる前に、上に上がらないと助からない。
必死に橋を上るが、橋が大きく揺れて板が落ち、残ってる部分も少なくなる。
天龍「ダメだ頑張れ・・・!」
自分自身に喝を入れ、がむしゃらに上を目指す。
伊勢「しっかり!そうよ、手を握って!」
皆が天龍に手を伸ばし、橋が全て落ちた瞬間、天龍は伊勢の手を掴んだ。
天龍「上げろ、上げろ!早く!」
皆で天龍を引き上げ、これだけで全員ヘトヘトだった。心臓に悪いし命が幾つあっても足りない。
天龍「もう2度と橋なんて渡るもんか!」
朝潮「やりましたね・・・」
だが体力的にも、精神的にも、どれだけ疲れていようと、ここで引き返す訳にはいかない。自分達は艦娘で海軍だ。誰かが危険に晒されているのなら、それを護るのが役目だ。これでやめる理由にはならない。
長門「よし、先ずは この扉だ。来い、手を貸してくれ」
長門と日向で、塔の中へ入るための重い扉を開ける。中に入ると、扉は勝手に閉まった。
扉の先は すぐ階段があり、そこを上がると中庭のような場所に出た。
身を隠し様子を窺うと、艦娘達が居る場所とは反対側の位置にラジャンが居た。
ラジャン「見張りをしろ、油断するな!」
そう命じたラジャンは、中庭から立ち去り姿を消す。
ラジャンが見ていた上の階では、扉の前で佇む不自然な傭兵が立っていた。
黒潮「シェーファーさんは どこやろか?」
潮「分からないけど、人質は
話してると、傭兵部隊に見付かった。レーザーポインターの光が伸び、スナイパーにまで狙われる。
艦娘達は一斉に飛び出し、先手必勝と言わんばかりに先制攻撃を仕掛ける。
長門「人質の救出が最優先だ!被害に気を付けろ!」
『了解!』
四方八方を傭兵部隊に囲まれ、上の階からも狙撃される。艦娘達は物陰に隠れながら銃弾を躱し、敵に対処していく。
シャドウも現れ、艦娘達の援護に動く。黒豹のまま飛び掛かり、時には不定形な形になって棘を伸ばして串刺しにし、巨大な口となり噛み付き、刃の形になり銃を持つ腕を斬り落としていく。
迅速に敵を制圧した艦娘達は階段を使い、上の階へ向かう。
扉を開けて屋内に入ると、艦娘達の正面の上の階に扉がある。
霧島「きっと あそこです。シェーファーさんは あそこです」
五月雨「何・・・?」
天龍「ああクソッ、伏せろ!」
すると入ってきた扉が勝手に閉まり、どこからともなく傭兵達が部屋に雪崩れ込んできた。否応なしに艦娘達は応戦を余儀なくされ、階段を使って上の階と下の階の二手に分かれる。
木曾「扉は勝手に閉まるし、ここは忍者屋敷か!」
大潮「川内さんが居たら似合ってましたけどね!」
天龍「今は川内の話するな!」
伊勢型は刀を抜き、銃を撃つ傭兵部隊に突撃する。接近して刀を振り、傭兵達が倒れていく。
日向「心配ない、峰打ちだ」
敵の数も多く隠れる場所も少ない。砲撃のために顔を出すのも儘ならない。
すると突然、無数の幻影剣が部屋の中を飛び交い、傭兵部隊に突き刺さっていく。突然の事に艦娘達は唖然としていた。
勝手に閉まった扉が蹴破られ振り返ると、そこにはバージルが立っていた。
黒潮「バージルどこ行ってたん!?」
バージル「少し野暮用があってな」
洞窟から村へ戻る途中、バージルは自分達を追ってきた悪魔の気配を察知していた。艦娘達とガンジンから離れ、1人で そちらの対処をしていた。
そして それが終わり次第、ここまで艦娘達を追ってきたのだ。
雪崩れ込んできた傭兵部隊を無力化し、全員 拘束する事に成功した。傭兵部隊の手足には結束バンドが巻かれている。
上の階の目当ての扉を開けて中に入ると、その小さな部屋の中では、傷だらけのカール・シェーファーが倒れていた。
古鷹「ああ嘘・・・」
暁「シェーファーさん、助けに来たわ!もう大丈夫よ!」
カール「・・・・・・本当だな・・・」
天龍「何が?」
カール「白衣の男に言われた。君達と居ると、散々な目に遭う・・・」
そう言った直後、カール・シェーファーが苦しそうに咳込む。
彼の皮肉を聞き、天龍は すぐに助けられなかった事を申し訳なく思いながら、自嘲気味に笑みを浮かべた。
天龍「まぁ兎に角、ここから逃げよう」
カール「ムリだ・・・」
カール・シェーファーは また咳込み、傷を見てみると かなり酷い怪我を負っていた。彼の年齢からも考えて、助かる確率は限りなく低い。
磯波「ど、どうしますか?」
カール・シェーファーがバージルの名を口にし、艦娘達はバージルの方を振り返りながら場所を空けた。
バージルは彼の傍で片膝を突き、顔を見る。
カール「私の、隊は見付けたか?」
バージル「あぁ、見付けた」
カール「何故あんな事をしたと思う?」
バージル「分かってる、もう喋るな」
カール「石を見付けられたら、歴史が大きく変わっていた・・・」
時雨「ダメだよ、無理しないで」
カール「・・・奴がナイフを」
霰「知ってるよ・・・」
カール「1番 大きい塔へ向かった・・・君達が止めてくれ」
天津風「あ、動かないで、ジッとしてて」
カール「この・・・修道院には、シャングリラへの道が隠されている。あのナイフを取り返して・・・秘密の道を見付けて、そして石を砕くのだ、奴が見付ける前に・・・。バージルさん・・・頼む信じてくれ・・・」
カール・シェーファーはバージルに腕を伸ばし、バージルは その手を見てから掴んだ。彼の手には全く力が込められておらず、弱々しかった。
そしてカール・シェーファーは目を瞑り、息を引き取った。
バージル「おい、シェーファー」
後ろでジッと見守っていたシャドウが近付き、カール・シェーファーを弔うように彼の顔を舐めた。
そんなシャドウの背中を、時雨は ゆっくりと撫でた。
潮「バージルさん・・・」
バージルはカール・シェーファーの手を、彼の胸の上に置き立ち上がった。
伊勢「彼を置いてく気?」
バージル「仕方ないだろ」
黒潮「彼の話、ほんまやと思う?」
バージル「分からないが、この男は信じていた。それで充分だ」
長門「どうするつもりだ?」
バージル「シェーファーができなかった事を、終わらせる」
バージルは そう言って部屋から出ていった。
艦娘達は互いの顔を見合わせながら頷き合い、バージルを追うのだった。
バージルチームの話では、相変わらずバージルの扱いに困ってます。
バージルに無双させると話が すぐ終わっちゃうし、だからと言って手こずらせると、変に弱くなって違和感を感じるでしょうし、自分の中で匙加減が定まってなくて悩んでます。
今後のバージルチームの話でも違和感を感じる部分があるかもしれませんが、お許しください。
次回も宜しく お願い致します!