234話です!どうぞ!
ガンジンの村が、傭兵部隊に襲われた。
村に居た傭兵部隊は片付けたが、今度はカール・シェーファーが拐われた。
彼を救出するために傭兵部隊を追跡すると、規模の大きい修道院跡に辿り着く。そこで指揮を取っていた司令官は、ネパールで内戦を引き起こしているラジャンという男だった。
艦娘達は傭兵を無力化しながらカール・シェーファーを見付け、別行動を取っていたバージルも合流する。
しかしカール・シェーファーは拷問を受けたのか、傷が酷く動かせる状態ではなかった。
彼はバージルと艦娘達に後の事を任せ、息を引き取るのだった。
*修道院跡 5月8日 12:42*
部屋から出たバージルは、これから どう動くか艦娘達に指示しようとしたが、天龍が遮るように口を開いた。
天龍「二手に分かれよう」
バージル「・・・何?」
天龍「いいから聞けって。俺達は秘密の入り口を探しに行く。師匠は塔に行って、何とかナイフを取り返してくれ」
バージルは艦娘達と合流する前に、この付近でも洞窟で現れた悪魔の存在を確認していた。それを伝えるが、天龍は“信じろ”と言って聞かなかった。
バージル「・・・・・・目立つ行動は避けろ」
天龍「師匠に言われたくねぇ」
霧島「連絡は無線で お願いします」
バージルに無線機を渡すと、艦娘達は その場から立ち去り、バージルも別ルートで1番 大きい塔を目指した。
バージルが廃墟となった修道院跡の屋根を駆け抜けていると、悪魔の唸り声と人間の悲鳴、そして銃声が鳴り響く。バージルが下を覗き込むと、悪魔と傭兵部隊が戦っていた。
傭兵部隊も奮闘して数体の悪魔を倒してるようだが、悪魔には敵わず その場に居た傭兵が全滅する。
バージル「(フン、潰し合ってくれるなら手間が省ける)」
バージルは助けに入らず、その場を立ち去り塔へ向かった。
・・・・・・
幻影剣と自身の脚力を使い、バージルは目的の塔の壁を駆け上がり上を目指す。
崩れた壁から内部に侵入すると、傭兵部隊を率いてるラジャンの声が聞こえてきた。
床の抜けた場所から階下を見下ろすと、ラジャンの他に2人の艦娘が居た。1人はイギリス
もう1人はイタリア
どちらも見覚えのある首輪をしており、ラジャンを恐れてるのか顔色が悪い。
ラジャン「お前達の言い訳にはウンザリだ」
ウォースパイト「もう少し時間をください、もう見付かります」
ウォースパイトの返答を聞いたラジャンは、呆れたような、嘲笑うかのような声で笑った。
ラジャン「時間は充分やった。それに、ナイフまで手に入れた。どこだ?シャングリラへの入り口は」
ウォースパイト「それが、待ってください・・・っ!」
ウォースパイトが尚も言い訳しようとすると、ラジャンはウォースパイトの首を掴み柱に押し付け、彼女の眼に短剣の切っ先を向ける。
バージルは閻魔刀に手を掛け、奇襲を掛けるべきかタイミングを見計らう。
ラジャン「こんな山奥まで来たのは、何のためだと思ってる?」
ウォースパイト「探してる物は この部屋にあるんです、見付ければいいだけです」
ラジャン「何を悠長な、Devil May Cry鎮守府も すぐ そこまで来てる」
ラジャンが短剣を振り下ろすと、ウォースパイトの後ろの柱に突き刺さった。
ラジャン「ボルネオ島でも奴らを逃がしたな。お前らなどを買ったのが間違いだった」
ナイフを そのままに、ラジャンは立ち去り、ウォースパイトは柱から短剣を抜いた。
ポーラ「酷い人です~・・・」
ウォースパイト「仕方ないわ。ここでヒントを探しましょ」
ポーラ「ポーラ、こういうの苦手なのに~・・・」
ラジャンの気配が消えたのを確認したバージルは、階下へ飛び下り艦娘2人が居る床へと着地した。
バージルが現れ驚いたウォースパイトとポーラは、咄嗟に艤装を展開してバージルに照準を向ける。
バージル「それを渡してもらおうか」
ポーラ「あ、あなたは あの時の・・・!?」
バージルは、この2人と面識があった。
羅王アビゲイルの力の手懸かりを追う過程で、ボルネオ島で艦娘達が窮地に陥った時、2人はヒッソリと逃がしてくれたのだ。
ウォースパイト「どうして追ってきたんですか?」
バージル「シェーファーを拷問したな」
ウォースパイト「彼のためですか?それをやったのは私とポーラではありません。彼は どうなりました?」
バージル「死んだ」
ウォースパイト「そう、ですか・・・」
死んだと知らされ、ウォースパイトとポーラは残念そうに伏し目がちになる。
だが次の瞬間、ウォースパイトはバージルをキッと睨んだ。
ウォースパイト「帰ってください」
バージル「大人しく渡せ」
ポーラ「ナイフは どこか訊かれたら、ポーラ達 殺されちゃいます~」
バージル「口八丁で誤魔化せば良かろう」
ウォースパイト「やめて・・・!」
バージルは短剣を持つウォースパイトの腕を掴むが、ウォースパイトは それを拒絶するように腕を振り払おうとする。それでも、バージルは手を離さない。
少しの間 睨み合いが続くが、ウォースパイトは腕の力を抜いた。
ウォースパイト「なら、1つだけ約束してください。あのケダモノを倒して」
バージル「・・・・・・・・・」
ウォースパイトはバージルに短剣を渡し、ポーラと共に部屋から立ち去った。
バージル「さて、次は・・・」
部屋を見渡すと、四方に龍、鳥、虎、獅子の巨大な絵が掛けられている。その下には円柱の物体があり、動くようで文字が並んでいた。
恐らく正しい文字を揃える事で次に進めるのだろうが、1つ問題があった。組み合わせが多過ぎ、ヒントもない状態では謎解きも至難だった。
バージル「(いや、待てよ。この文字は どこかで見た気がする。確か・・・)」
ボルネオ島にあった傭兵部隊の野営地で、幾つかの資料があった。その資料の1つに、似たような文字があった気がする。
バージルは朧気ながら記憶を掘り起こし、円柱を回して それぞれ文字を揃える。すると床が動き、円形の台座が現れた。
バージル「(面が3つ、ナイフと同じだな)」
台座の中心には三角形の窪みがあり、短剣を挿し込めるようになっていた。
迷う事なく短剣を挿し、鍵のように回す。すると、部屋の上の方で扉が開いた。
バージルは そこまで瞬間移動すると、崖の下に像が立ち並ぶ場所が見えた。
バージルは渡された無線機で連絡を入れると、伊勢が応答した。
バージル「恐らく秘密の入り口を見付けた」
伊勢『ほんと!?』
バージル「崖の下を見ろ、像が並んでる。そこで合流しろ」
伊勢『了解、すぐ行くね』
バージルは真魔人化で空を飛び、谷を挟んだ反対側へと飛ぶ。
着地して真魔人化を解除すると、悪魔の唸り声がして影が見えた。だが その影は すぐに消えた。
向かってこないならと今は無視し、像が立ち並ぶ場所に近付くとバージルは無線を入れた。
バージル「今どこだ?」
長門『こっちだ、そっちが見えてる』
バージルが奥の方を見ると、隠れてる艦娘達が手を振るのが見えた。
バージルと艦娘達の間では、傭兵が像にロープを掛けて引っ張っている。
長門『あいつらは何をしてるんだ?』
バージル「秘密の入り口を探して像を壊してるのだろう。頭の悪いやり方だ」
長門『だが場所は合ってる訳だ』
バージル「奇襲を掛ける」
長門『いつでもいいぞ』
バージル「やれ」
合図すると、傭兵部隊の近くに艦娘達の砲撃が着弾する。突然の事に傭兵部隊が慌ただしく戦闘態勢に入るが、後ろから素早く接近したバージルが傭兵部隊を気絶させ、即座に無力化した。
加古「バージルが居ると戦闘も楽でいいね~」
朝潮「それより、秘密の入り口は どこですか?」
バージル「ここだ」
バージルは地面にあった円形の台座に、短剣を挿し込み回す。すると台座は今よりも上がり、4つの取っ手が伸びるように出てきた。どうやら回せるようだ。
バージル「押せ」
霧島、伊勢型、長門が取っ手を持ち、押しながら台座を回す。かなり重いのか、少し歯を剥き出しにしてる。
バージル「腰を入れろ」
長門「やってるからブツブツ言うな・・・!」
暁「長門さん頑張ってください!」
長門「頑張る!」
暁を始めとする駆逐艦に応援され、長門の機嫌も直る。
押しても台座が回らなくなると、巨大な像が立つ岩壁から水が噴き出し、水は窪みに沿って流れ、崖に面した場所に立つ1本の大木の方へと流れていく。
そして仕掛けが動き、大木へ続く上り階段が下がり、下り階段へと変わって秘密の入り口が出てきた。
黒潮「これはビックリやねぇ。あんな目立つ場所にあるなんて」
日向「よし、こっちだ。こっちに近道がある気がする」
『(気がする?)』
何だか漠然としてるが、とりあえず日向の言う方から大木がある場所を目指してみる。
だが その途中、洞窟にも現れた悪魔が襲い掛かってきた。バージルと艦娘達は言うまでもなく、悪魔との戦闘に入る。
伊勢は砲撃と刀を用いて戦っていたが、伊勢が悪魔を斬り伏せた直後、別の悪魔が横から飛び掛かり押し倒してきた。
伊勢「何なのよ・・・!」
悪魔は、馬乗りの状態で伊勢に噛み付こうと大きな歯を剥き出しに首を狙うが、伊勢は刀を横向きに悪魔の口に宛がい、悪魔の顔面を押し返そうとする。
そこにシャドウが手助けに入り、刃の形になり馬乗りになってる悪魔を斬り裂く。
伊勢は上体だけ起こし、傍に立つシャドウを撫でた。
伊勢「ありがとね。時雨ー、シャドウいい子だから私にちょうだいよ」
時雨「えっ!?ヤダよ!」
するとシャドウが、後ろ足で伊勢の顔面を蹴り、時雨の方へ戻っていく。どうやらフラれたようだ。
日向「伊勢、遊んでないで手伝ってくれ!」
伊勢「分かってるわよ~・・・」
伊勢は鼻を擦りながら立ち上がり、戦闘に戻った。
バージルは、閻魔刀とミラージュエッジの二刀流から素早い攻撃を繰り出し、群がってくる悪魔を斬り捨てていく。
同時に幻影剣を射出する事も忘れない。
曙「お、終わった・・・?」
白雪「これ以上、怖いものが待ってないといいですが・・・」
・・・・・・
悪魔を駆逐したバージル達は、秘密の入り口に向かい階段を下りていく。
長く暗い通路を進み、扉が出てきた。そこを開けると、松明代わりに黄色い炎が揺れる気味の悪い部屋に出た。
部屋の中心には、天井から射し込む外の光に照らされた、地球儀のような物体が鎮座している。
木曾「きっと ここだ。秘密の入り口だ、シャングリラの」
暁「ほ、本当に ここ・・・?」
霧島「どうでしょう?これだけでは何とも・・・」
加古「もう壁を登ったりジャンプしたりするのは疲れたよ・・・」
叢雲「皆そうですけどね」
木曾「兎に角 探せ。どこかにヒントがあるはずだ」
初霜「ほんとに これなんですか?」
木曾「絶対ある。何か見落としてるんだ」
艦娘達は部屋の中を見て回り、バージルは動かず、揺らめく黄色い炎を見詰めていた。
すると吹雪が、何かに気付いた。
吹雪「あの、この短剣 動かせるみたいです」
天龍「マジか、回してみろよ」
吹雪と初雪が、時計の針を動かすように壁にあった2つの短剣を回してみると、地球儀らしき物が台座から浮いた。
正解だったと分かり艦娘達は笑みを浮かべるが、扉の外から男の声が聞こえてきた。
艦娘達は艤装を構え、天龍が扉の横に隠れる。扉が開くと、真っ先に入ってきた傭兵の1人を人質に取り、傭兵部隊も銃を構え、膠着状態となる。
霧島「銃を捨てなさい!」
曙「近付いたら砲撃するわよ!」
傭兵部隊に警告してると、奴らの後ろからラジャンが現れた。
ラジャン「ああクソが!やはり貴様達は この手で殺しておくべきだったか。2度と同じ過ちは犯さんぞ!」
朝潮「下がって!」
ラジャン「ほう、撃ってみろ、死ぬのは お前だ。さぁ、シャングリラへ案内してもらおうか」
天龍「一昨日 来やがれ」
聞き分けのない艦娘達に、ラジャンは呆れたように笑った。
ラジャン「歴史は学んだかな?バージル君」
祥鳳「どうしてバージルさんの名を・・・!?」
ラジャン「黒いコートを着た男に教えられたのだよ。あの“英雄”と呼ばれたダンテの兄が邪魔してくるとな」
長門「(七騎士か・・・!)」
艦娘達は、ラジャンが七騎士と繋がってると知り、敵意を剥き出しに顔を歪める。
それとは反対に、バージルは表情を変えずに冷静だった。目の前のラジャンと傭兵部隊は、いつでも殺せると思っているからだ。
バージル「・・・本くらいは読んでる」
ラジャンは感慨深そうにバージルの返答を噛み締めながら、チンギス・ハン、ヒトラー、スターリン、ポル・ポトの名を口にした。その どれもが歴史上、強大な権力を持っていた者ばかりだった。
ラジャン「全員が偉大な男だ。何故、ああなれたか分かるか?」
バージル「聞いてやるから話せ」
ラジャン「凡人にはできない事も、する気概が彼らにはあった」
ラジャンは手に持つ銃を撃ち、天龍が捕まえていた傭兵の頭を ぶち抜いた。傭兵は倒れ、予想外の行動に艦娘達も唖然とし、天龍は数歩 後退った。
天龍「何て事するんだ・・・!?」
ラジャン「同情など敵だ、情けに殺されるのだ。そう、これが私の気概。君達の気概を見せてもらおう。さぁ、まだ この私を試すつもりか?武装を解除しろ!」
ラジャンは銃口を、今度はバージル達に向けてくる。
艦娘達は どうするべきか、指示を求めるようにバージルを見た。
バージル「俺達が探してる物と貴様が狙ってる物が同じなら、それは悪魔の力だ。悪い事は言わん、手を引け」
長門「我々を殺そうとしても無駄だ」
ラジャン「つまり お互い手詰まりか。私が、手駒を増やしたら、どうだ?艦娘を連れてこい!」
すると、ウォースパイトとポーラが傭兵に連れてこられた。
ウォースパイト「触らないで!」
ラジャン「私が死ねば、お前達も死ぬ事になるぞ」
ラジャンの話では、奴の心臓には ある機械が取り付けられている。ウォースパイトとポーラの首に付けられた爆弾と信号で繋がっており、ラジャンの心臓が止まれば起爆する仕組みだ。それは裏切り防止の処置がされていたのだ。
艦娘でさえ殺せる爆弾だ。威力を考えれば、今 一緒に居るDevil May Cry鎮守府の艦娘達も、無事では済まない。
ラジャン「お前達が艦娘を見捨てないのは分かってる。
日向「バカバカしい・・・」
木曾「こんな手に乗っちゃダメだ!」
バージル「・・・案内が必要なら━━」
ラジャン「貴様と交渉するつもりはない!どっちを犠牲にして、どっちを助ける?
バージルが親指で閻魔刀の鍔を押し、刃を少しだけ見せるが、閻魔刀を抜く前に天龍が叫んだ。
天龍「分かったよ、クソッタレ!大袈裟な芝居しやがって!」
加古、天龍、木曾が銃を捨て、他の艦娘達も艤装を解除した。
だがバージルだけは、閻魔刀を持ったままラジャンを睨んでいた。
長門「バージル、頼むから今はやめてくれ・・・」
バージルは深く息を吐いた後、閻魔刀を捨てた。
伊勢「言う通りにすればいいんでしょ?」
伊勢は歩き出し、地球儀のような物体の前で止まった。
ラジャンと傭兵部隊の方を見ながら懐に手を伸ばすと、傭兵部隊が警戒して一斉に銃口を向けてくる。
伊勢「ピリピリしないでよ」
懐から出したのは、チベット探険隊のミイラが持っていたケースだ。中には松ヤニの匂いがする黄色い石が入っている。
地球儀らしき物体の下の台座は、受け皿のようになっており、伊勢は石を全て そこに入れた。
伊勢「誰かライター持ってる人」
傭兵の1人がラジャンを見ると、ラジャンは渡せと言う風に首を振る。
伊勢は投げ渡されたジッポライターを使い、石に火を点けた。すると部屋で揺らめく炎と同じで、台座で黄色い炎が燃え上がる。
この松ヤニの匂いがする石が燃えるのは、手懸かりを追って最初にトルコへ行った時に知った。
地球儀のような物体が炎の明かりを屈折させ、奥の壁に奇妙な模様を浮かび上がらせる。
次にバージルが動き壁に向かうと、壁には小さな三角形が浮かび上がってる場所があった。そこにナイフを挿し込むと壁が動き、先へ進むための空間が広がっていた。
全員が そちらに進むと、後ろでは床に転がる閻魔刀に、黒い影が纏わり付いていた。
進んだ空間の中央には道があり、その下は真っ暗な奈落が広がっている。落ちれば どうなるかは分からない。
すると地響きが起き、道が4つに分裂して回転した。道は それぞれ横向きになり、これでは渡れない。
ラジャン「何だ これは?」
ウォースパイト「知りませんよ」
ラジャン「向こうに行けるよう、何とかしろ!」
ウォースパイト「・・・・・・・・・」
ラジャン「聞いてるのか?命令に従わないなら、貴様の首を吹き飛ばすぞ」
そう言ったラジャンは、ウォースパイトとポーラの首に付けられた爆弾の、起爆スイッチを見せた。天龍と木曾は、その起爆スイッチを見て何かを企むように、目を細める。
ウォースパイトは嫌々ながら命令に従い動くが、ラジャンがバージルも連れていくよう命じた。
ラジャン「今回は役に立つかもしれん。いいかバージル君、妙な気は起こすなよ」
ラジャンの言葉を無視してバージルは、ウォースパイトと共に道を戻すための仕掛けを探しに行くのだった。
次回も宜しく お願い致します!