Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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238話です!どうぞ!


Mission238 星の地図~夢 見る者の夢~

覇王アルゴサクスの力の手懸かりを追ってイエメンまで来た陸奥、飛龍、最上、三隈、熊野、球磨、由良、阿武隈、神通、那珂、皐月、文月、望月、朧、雷、電、若葉、白露、村雨、夕立、満潮、荒潮、雪風、秋雲、伊8は、そこで助っ人に来たデュマーリの護り手、ルシアと合流する。

自分達から伊8の手帳を奪った、同じく覇王アルゴサクスの手懸かりを追う連中から、夕立とルシアは手帳を奪い返す事に成功する。

皆で逃げる途中に入り込んだ場所は、偶然にも次の手懸かりがある井戸だった。

井戸の下に下り、艦娘達とルシアは秘密の入り口を見付け、先へと進むのだった。

 

 

*地下 5月6日 12:00*

 

秘密の通路を進む艦娘達とルシアだったが、1つ疑問に思う事があった。

 

朧「ここまで手の込んだ やり方で、何世紀も誰が隠したのかな?」

 

ハチ「そこまでは分からないけど・・・」

 

球磨「そう簡単に見付かる物じゃないクマ」

 

ルシア「あの黒スーツの男達も、同じ物を探してるのよね?」

 

神通「それは間違いないと思います。理由は分かりませんが」

 

通路を抜けると広い場所に出た。

正面には先へ進める入り口があるのだが、あと半分の距離という所で扉が閉まり、脇に立つ2体の像が動き、手に持つ槍を交差させて通れなくされた。

その代わり、左右にある扉が開く。

 

球磨「また何かあるクマ~!」

 

雪風「どっちに行きますか?」

 

熊野「ご自由に」

 

雪風「じゃあ右から行きましょう!」

 

雪風の提案で右の入り口に入ると、そこは奇妙な部屋だった。床に突き立てられた棒の先に付けられた、大きな人形の頭や手足、胴体が沢山あった。それを見た艦娘達は、皆 嫌そうな顔をした。

 

最上「浮いてるの何?」

 

那珂「気持ち悪ーい・・・」

 

秋雲「こりゃデッサン意欲が湧かない部屋だね・・・」

 

そして奥にある大きな壁画には、片膝を突く兵士の姿があった。

 

神通「皆は ここで待っててください、調べてきます。ハチさん、手帳を」

 

ハチ「どうぞ」

 

神通は1人で段差を下り、人形のパーツが浮く部屋を進む。

部屋には、人形のパーツが付いていない棒があった。杖だ。杖の先端は火を灯せるランプになっており、何故かレンズまで付いている。

神通は恐る恐る後ろを振り返り、皆を見た。

 

神通「あ、あの、誰かマッチかライター持ってませんか?」

 

問われた皆は微動だにせず、黙って神通を見返している。誰も煙草を吸わないので、持ってるはずがなかった。

そんな中、ルシアには火を点ける方法が1つだけある。ただ、やるべきか どうか迷っていた。

しばらく様子を見ていたが、艦娘達は火を どうするか意見がバラバラで、一向に意見が纏まらない。

ルシアは仕方なく、自分も段差を下りて神通の方へ向かった。

 

ルシア「皆、少しの間だけ目を瞑って」

 

艦娘達は よく分からず首を傾げたが、大人しく言われた通り目を瞑った。

それを確認したルシアは、自身が持つアミュレットに『デビルハーツ』と呼ばれるアイテムの1つ、『フレイムハート』を嵌め込みデビルトリガーを発動した。

フレイムハート━━猛々しき炎の魔人の心を その身に留めた魔石。これを帯びる者の剣には獄炎が従う。

魔人ルシアの姿は、まるで白い羽毛を持つ鳥人のような姿をしていた。

魔人ルシアは自身の武器である、デュマーリ島に古くから伝わる細身の湾曲した一対の剣、『カトラシア』で杖のランプを叩く。すると、ランプに火が灯った。

魔人化を解除したルシアが振り返ると、艦娘達が目を開けて こちらを見ていた。神通でさえも見ていた。

ルシアは魔人化を見られたと思い、嫌な汗が流れる。焦りから動けず、言葉も紡げない。

だが艦娘達の反応は淡白なものだった。

 

満潮「なーんだ、やっぱりルシアも悪魔だったんだ」

 

ルシア「え、あの・・・私が怖くないの?」

 

陸奥「・・・・・・別に、納得って感じ」

 

球磨「助っ人に来るくらいだから そっち系だと思ってたクマ」

 

飛龍「神通、謎解き早くやっちゃって」

 

神通「はい、分かりました」

 

ルシア「(え、えっ・・・?)」

 

しかもルシアが悪魔である事を軽く流してしまう始末だ。思ってた反応と あまりにも違い過ぎ、ルシアは自分が おかしいのかと しばらく混乱していた。

それは さておき、火が灯った杖を神通が床から引き抜くと、部屋にあった人形のパーツが一斉に動いた。これには少し驚いたが、特に何か起きる訳ではなかった。

レンズは火の光を集め、ライトのように照らす役目があるようだ。

手帳を開いてみると、壁画と同じように片膝を突いた兵士の絵がある。ただ その横には、槍を持った兵士が立っている。

神通は手帳から顔を上げ、手に持つ杖と人形のパーツを見た。

 

神通「(光と人形・・・・・・あぁ、そういう事ですか)」

 

ここで何をやるべきか理解した神通は笑みを浮かべ、レンズを通して人形のパーツを確認しながら移動していく。

そして床にある穴に杖を挿すと、壁画の兵士の横に、光に照らされた人形のパーツの影が浮かび上がる。それは手帳にあった槍を持った兵士の形をしていた。

全てのパーツが一斉に動き、それに合わせ槍を持った影の兵士が、片膝を突く兵士の心臓を貫くように動く。すると水が流れ出した。

 

神通「どうやら合ってたようですね。次の部屋に行きましょう」

 

艦娘達とルシアは引き返すと、正面の扉を塞ぐ像の1体が動き、槍を引いた。

そこを通り過ぎて左の部屋に入ったのだが、奥には上下に並ぶ大きな円形の何かがあり、謎の模様が描かれていた。

 

陸奥「変ね・・・これ何の紋章?」

 

ハチ「分かりませんが、これも何かの仕掛けだと思います」

 

その下には何かを嵌め込む場所があり、手前には仕掛けを動かすために使うと思われる取っ手の付いた装置があった。

 

『(・・・・・・どうしろと?)』

 

これだけでは、現段階で何を どうすればいいのか よく分からない。

辺りを見て回ると、様々な模様が描かれた歯車が散らばっていた。

 

村雨「誰かが歯車を ばら蒔いたみたいね」

 

荒潮「元に戻せるといいわね~。でなきゃ、脱出できないもの」

 

この部屋に入った時点で、扉が塞がり引き返せなくなっている。部屋を出るには、仕掛けを解くしかない。

 

雷「けど、どの歯車が正しいか分からないわね」

 

夕立「何か上の方にもあるっぽい」

 

由良「もし あれも必要なら、誰かが上に行って落とさないと」

 

飛龍「身軽な人」

 

ルシア「私が行こうか?」

 

球磨「いや、さっきは神通が頑張ったから、ここは球磨が行くクマ」

 

阿武隈「大丈夫?行けるの?」

 

球磨「球磨ちゃんに任せろクマ。くっくっくっ・・・」

 

何の意味があるのか知らないが、球磨は悪い笑みを浮かべ、階段を上がって柱を登り、少しずつ歯車がある場所へ移動していく。

その途中、球磨が叫んだ。皆は何事かと驚き、目を見開いて球磨を見る。

 

最上「どうしたの!?」

 

球磨「凄いクマ!あの変な紋章、トリックアートになってるクマ!スクリーンでイメージが解読できるクマ!」

 

ルシア「何が見えるの?」

 

球磨「1つは十字みたいで、もう1つは丸が4つクマ」

 

熊野「同じ紋章が歯車にもありますわ」

 

球磨「2つの模様が それぞれ逆に回ってるみたいに見えるクマ」

 

下に居る艦娘達とルシアは、手分けして同じ模様の歯車を探す。

球磨も上の方にある歯車に辿り着き、下へと落とす。それを雪風と伊8が一緒に運ぶ。

大小 違う大きさの歯車を揃えて嵌め込み、最上、由良、阿武隈、那珂が それぞれの取っ手を押して、手前にある装置を回す。まるで小麦でも挽いてるようだ。

すると紋章がパネルのように裏返しになり、鬼の顔と瓶の絵が出てきた。同時に水も流れ、別の仕掛けが動くのと同時に、扉も開いた。

艦娘達とルシアが、2体の像がある場所まで引き返すと、最期の像が動いて槍を引き、正面の扉が開いた。

 

三隈「第1の扉が開いたって感じなのかしら?」

 

正面の入り口に入り、蜘蛛の巣が張った通路を少し進むと、洞窟といった様相に変わった。

足場から踏み外せば下は崖になっており、明かりが届かず真っ暗なため、下が どういう状態なのかは不明だ。

 

由良「ここ、誰かが隠したんだよね?」

 

阿武隈「そうだと思うけど、どうして?」

 

由良「この場所、何か警告するためにあるような気がしてならないの」

 

阿武隈「こ、怖いこと言わないでよぉ~。ただでさえ怖いのに・・・」

 

話しながら進んでいると、洞窟と言った感じから また人工的な通路に変わった。壁には火が灯ったままの松明がある。

奥の部屋は真っ暗なため、松明を外して中に入ると、部屋の中心に球体状のオブジェが鎮座していた。

松明でオブジェに火を灯すと、それはグルグルと回り、天井がキラキラと照らされる。それは まるで、プラネタリウムのようだった。

 

陸奥「これは凄いわね」

 

電「綺麗なのです」

 

飛龍が ふと下を見ると、床には中東の地形が描かれていた。

 

飛龍「これって、星の地図だわ」

 

陸奥「やっぱり そうよね。アラブ人は海を進む航海士のように、星を頼りに砂漠を旅してた」

 

神通「だとすると、星の位置から失われた都市が見付かるのでは?」

 

陸奥「妖精さん、お願いね」

 

陸奥の妖精さんが六分儀を使い、砂漠の都の位置を割り出す。

その間、雪風と秋雲は壁を見て固まっていた。

壁には、気味の悪い顔が幾つも彫られていた。そして穴が空けられ、そこが目と口だと分かるようになっていた。

 

雪風「顔が一杯・・・」

 

秋雲「これは かなり・・・ご機嫌だね」

 

村雨「・・・何の音?」

 

飛龍「あー、嫌な予感がする」

 

若葉「か、壁から離れろ!」

 

部屋をカサカサと何かが這うような音が包み込み、艦娘達とルシアは壁から離れる。

すると壁の顔にある穴から、人間の顔程のサイズもある巨大蜘蛛が、大量に出てきた。

この蜘蛛は、艦娘達が手懸かりを追って向かったフランスの古城にも出てきたのだが、普通の蜘蛛とは違った。吸血蜘蛛だったのだ。

フランスで出会して襲ってきた黒スーツの男も餌食となり、出来立てホヤホヤの新鮮なミイラになるのを艦娘達は その目で見ていた。

 

最上「飛龍さん、しっかり灯り持っててください!」

 

飛龍「も、持ってる!持ってる!」

 

熊野「囲まれましたわ!」

 

白露「に、逃げろー!!」

 

飛龍が手に持つ松明で吸血蜘蛛を追い払いながら走り、その後ろを他の艦娘達が走る。

そして最後尾を走るルシアは、飛び道具として使ってる銀製のナイフ『スローダガー』を、吸血蜘蛛に投げて追ってくるのを少しでも遅らせようとする。だが吸血蜘蛛は数えるのも億劫になる数で蠢いており、意味を成してるようにも思えない。

 

飛龍「前のより攻撃的になってる!光が弱点だったんじゃないの!?」

 

望月「早く逃げよう!」

 

飛龍「傍を離れないで!」

 

最上「足元に注意して!」

 

飛龍「私に続いて!」

 

由良「後ろ付いてます!」

 

阿武隈「急いで!」

 

球磨「絶対 止まっちゃいけないクマ!」

 

秋雲「そこら中に居るんだけど!」

 

満潮「いいから走りなさいよ!」

 

パニックになりながらも走り、出口まで近付いてきた。閉じられた扉の下側から、僅かに光が漏れている。

 

飛龍「ここから行けそう!」

 

陸奥「この扉を開けないと」

 

何人かで扉を持ち上げようとするが、扉は びくともしない。

僅かな隙間を抜けて逃げたいが、戦艦や空母の艦娘では通り抜けられそうにない。

 

村雨「動かない・・・!」

 

荒潮「向こうから開けられるかも」

 

満潮「兎に角 食い止めてください!」

 

隙間は、駆逐艦の艦娘なら抜けられそうだ。駆逐艦だけで扉の下を潜り、扉を開ける方法を探す。

その間、残った艦娘の中で戦艦、航巡、軽巡の艦娘が艤装を展開し、吸血蜘蛛に向かって砲撃する。

ルシアもスローダガーを投げ、可能な限り数を減らそうと試みる。

 

最上「そっちは どんな感じ!?」

 

飛龍「そっちは大丈夫なの!?」

 

若葉「やってるが、ボタンがある訳じゃない!」

 

那珂「今 開いたら嬉しいんだけど!」

 

夕立「もう少しっぽい!」

 

熊野「早く お願いしますわ!」

 

神通「どうですか!?」

 

雷「あっ、これかも!」

 

球磨「ドアを開けろクマ!」

 

砲撃を続けて扉が開くのを待つが、中々 開かない。

 

阿武隈「お願い早く!」

 

皐月「よし、いいよ!」

 

皐月の声がした後、扉が開き後ろから光が射し込む。残っていた艦娘達とルシアは外に飛び出し、その直後、扉は すぐに閉まった。

飛龍は扉を見ながら、火の消えた松明を捨ててボヤいていた。

 

飛龍「ったく、もう蜘蛛の大群にはウンザリよ」

 

ルシア「知ってたの?他にも話してない事はある?」

 

飛龍「えーっと・・・どうだろ?」

 

最上「ねぇ、これ見て」

 

最上に言われ そちらを見てみると、壁に誰かが書いたメッセージがあった。来る時には こんなものはなかった。

 

ルシア「・・・“美しき世界に惑わされる事なかれ。それは夢 見る者の夢、砂漠の蜃気楼”」

 

那珂「“死の杯が満たされるだろう”・・・嫌な感じ」

 

秋雲「・・・・・・あれ?何で読めるわけ?」

 

神通「アルバートさんが書いたんでしょう」

 

メッセージは英語で書かれていた。

魔術師アルバートは悪魔の事を研究し、この世界の魔帝ムンドゥスや覇王アルゴサクス、羅王アビゲイルの事も独自に調べていた。

恐らく数百年前に彼も砂漠に消えた都を探し、ここを見た途端に踵を返し、旅の痕跡を全て隠したのだろう。

 

『・・・・・・・・・』

 

ルシア「隠したという事は、その人はアルゴサクスの力に手を出すのが、どれだけ危険か気付いたからじゃないかしら。それなのに、あなた達は先に進むの?」

 

陸奥「・・・えぇ、そうね」

 

ルシア「何のために?」

 

陸奥「最初に言ったでしょ、悪い奴の手に渡らないようにするためよ」

 

ルシア「見付けた後は どうするつもり?」

 

陸奥「依頼者が処分する」

 

ルシア「その“依頼者”ってのは信用できるの?」

 

白露「私達の仲間だから大丈夫だよ!」

 

ルシア「・・・・・・・・・」

 

飛龍「と、とりあえず、ここから出て話さない?また蜘蛛に襲われてもアレだし」

 

球磨「賛成クマ」

 

 

・・・・・・

 

艦娘達とルシアは引き返し、井戸の下にある柱が並ぶ場所まで戻ってきた。

すると、井戸から何かが投げ込まれ、それはスモークを噴き出し辺りが煙に包まれる。

 

由良「隠れて、奇襲!」

 

艦娘達とルシアが、柱の後ろに隠れると黒いロープが垂れ下がり、それを使って重装備で武装した男達が下りてきた。

スモークが焚かれて向こうも視界が悪いはずだが、今 居る場所は それほど広くないため、すぐに見付かってしまった。

男達はショットガンを撃ってくるが、その銃弾は艦娘の力を抑制する薬が込められた特殊弾だった。艦娘達は柱と煙を利用しながら逃げ惑う。

ルシアも柱と煙を利用しながら移動し、男達の背後から音もなく近付き無力化していく。

しばらく そうした状況が続き、ルシアが敵を全滅させたからか煙が晴れてきた。

 

飛龍「まだ居そう?」

 

球磨「居ないクマ」

 

三隈「では、逃げ道を探しましょう」

 

気絶してる男達を放置し、艦娘達とルシアはロープを上がって井戸の上に出る。

 

 

*街*

 

建物の外に出ると、目立たないように平静を装って歩きながら移動する。

 

若葉「早く逃げよう、援軍が来る前に」

 

由良「じゃあ上に、こっち」

 

だが最後尾を歩いていた陸奥が、首に痛みを感じて立ち止まった。首に刺さってる物を取ると、それは吹き矢で使われる矢だった。

 

陸奥「そんな・・・」

 

電「どうしたのですか?」

 

陸奥「逃げて、逃げるのよ!」

 

熊野「マズいですわ」

 

飛龍「陸奥さん、落ち着いて」

 

様子の おかしい陸奥を助けようと近付くが、陸奥は それを拒絶して後退る。

 

陸奥「嫌、寄らないで!」

 

ルシア「どうしたの?」

 

神通「幻覚剤です」

 

陸奥が落とした矢を拾い、幻覚剤を打たれたと確信する。

シリアの遺跡でも、皆が目を離した隙に伊8が同じ物を打たれ、それが原因で手帳を奪われた。

個人差はあるが、この幻覚剤を打たれると意思は挫かれ、どれだけ抗おうとしても言いなりになってしまう。

 

最上「早く ここから出よう」

 

陸奥「触らないで!」

 

陸奥を連れて移動しようとするが、腕を掴もうとした瞬間 陸奥が殴り掛かってきた。皆は少し後退り、その拳が当たる事はなかった。

 

球磨「分かったから落ち着くクマ」

 

ルシア「あなたを助けようと━━」

 

陸奥「来ないで!私に近寄らないで!」

 

暴れる陸奥は、艦娘達やルシアが違う何かに見えていた。

そして艦娘達が呼び止めるのも虚しく、怯えたように警戒する陸奥はフラフラと、どこかに走り去ってしまった。

 

 

・・・・・・

 

陸奥は、道の狭い市場を闇雲に走っていた。視界はグニャグニャと歪み、そこが現実なのか幻なのかも判らない。

そんな陸奥は、男の声が ずっと聞こえていた。

 

陸奥「ほっといて!」

 

?『落ち着け

 

陸奥「ああ何?何なの!?」

 

?『落ち着くんだ。私と来い

 

陸奥「わ、私に触らないで」

 

?『陸奥、『パウロ』様が居る

 

陸奥「ヤダ・・・ヤダ、ヤダ・・・」

 

?『すぐに全て終わりになる

 

陸奥「嫌、嫌よ」

 

?『リラックスしろ。私を信じろ

 

陸奥「私が悪かったから」

 

?『シーッ

 

陸奥が走る道の先に、ダンテと長門の後ろ姿が見えた。2人は陸奥に背を向けたまま歩き、陸奥が どれだけ走っても、2人には追い付けない。

 

陸奥「提督?長門!」

 

?『仲間は ここには居ない。お前は もう独りだ

 

陸奥「何も知らない」

 

?『信用するんだ。付いてこい

 

陸奥「ダメ、私、私は行かない」

 

?『抵抗するな

 

陸奥「どこよ ここは?」

 

?『お前は仲間だ。私の言葉を聞け。狙いは知ってるだろ?

 

陸奥「お願いだから奴らには・・・お願い、お願いだから」

 

?『奴らから守ってやる。どこにある?

 

陸奥「私は知らない」

 

?『我々に渡せ

 

陸奥「知らない・・・知らない・・・提督、長門・・・助けてぇ!」

 

怯える陸奥の視界は、全てが真っ白に染まり、何もかもが消えた。ダンテと長門の姿も・・・。

 

 

・・・・・・

 

陸奥の意識が、少しずつ覚醒していく。

顔を上げると、見知らぬ初老の女が こちらを見ていた。

 

女「目が覚めた?」




次回も宜しく お願い致します!
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