Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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急に執筆の時間が取れなくなり、1週間以上も日が空いてしまいました。申し訳ないです。
合同演習の話はできるだけ1話で収めたいので、今回も戦闘描写などは駆け足になります。

250話です!どうぞ!


Mission250 一緒に~Devil May Cry鎮守府VS呉鎮守府~

Devil May Cry鎮守府で発生した、爆弾魔リーパーによる爆弾騒ぎで、Devil May Cry鎮守府の面々は徹夜で呉鎮守府との艦隊演習を迎える事となった。

 

 

*横須賀鎮守府 演習場 5月31日 10:01*

 

呉「今日は よろしくね、ダンテちゃんに皆も」

 

ダンテ「どうした?これからって時に元気ないじゃねぇか」

 

呉「まぁ、私としては、どんな形でもダンテちゃんと戦いたくない訳だし。それに・・・」

 

ダンテ「・・・川内か?」

 

以前の艦隊演習から、呉提督は川内の事で少なからず負い目を感じている。自分が もっと強く、部下を止められていたらと。

だがダンテは、誰に非があるとかは考えていない。全ては、当人達の問題だろう。それを呉提督に伝えると、彼は弱々しい笑みを浮かべるだけだった。

 

呉「ふぅ・・・しみったれた話は ここまでにして、どうせ演習をするなら、私も勝ちたい」

 

ダンテ「そうじゃないとな」

 

呉提督も やはり軍人だ。不本意であっても、戦う事から逃げるという選択肢はない。呉提督の眼は、強い意思を宿した光が戻っていた。

そこで呉提督は、今回の艦隊演習で ある提案をしてきた。演習における編成を、艦種や数の条件を同じにしてやろうと。

 

呉「軽巡3、駆逐艦3隻の水雷戦隊での勝負ってのは どう?」

 

村雨「(ちょ、ちょっと、戦いたくないとか言いながら、目が本気なんだけど・・・)」

 

鹿島「(艦種を揃えた編成ならば、あとは これまでの練度や経験が物を言う。確かに条件としてはフェアですが・・・)」

 

鹿島はチラリとダンテを見た。そのダンテの横顔は、最初から答えが決まってるかのような笑みを携えていた。

 

ダンテ「ハッ、乗った」

 

鹿島「(まぁ、そうなりますよね・・・)」

 

ダンテと呉提督が握手を交わし、互いに水雷戦隊を出し合っての艦隊演習が決まった。

Devil May Cry鎮守府の面々と呉提督は、それぞれの簡易司令部に向かう。

艦隊演習を始めるまでには、まだ少しだけの猶予がある。その間に、編成を決めなくてはならない。

 

天龍「水雷戦隊でって話なら、俺と龍田が出るぜ!提督、いいだろ?」

 

大淀「あとの1隻は どうするつもりですか?」

 

天龍「う~ん・・・神通か大淀で良くないか?」

 

北上「あのさぁ、駆逐艦の編成も考えなって」

 

水雷戦隊に誰を編成するか話し合ってるのを聞きながら、ずっと沈黙していたダンテが口を開いた。

 

ダンテ「編成は もう決めてある。旗艦に神通、随伴艦に━━」

 

 

・・・・・・

 

*沖 11:20*

 

艦隊演習が始まり、呉艦隊は縦1列の単縦陣で海を進んでいた。

編成は五十鈴、夕張、能代、叢雲、霞、秋月型 駆逐艦1番艦『秋月』だ。

プロペラ音が聞こえ、呉艦隊は空を見上げる。飛んでいたのは、1機の水上偵察機だった。

 

呉夕張「見付かっちゃったみたいね」

 

呉五十鈴「関係ない、どうせ やる事は同じよ。(そうよ、分からないってんなら、分かるまで何度だって捩じ伏せてやるんだから!)」

 

呉能代「敵艦隊 発見!」

 

遠目で、海を駆ける艦隊の影が見えた。

その編成は、神通、那珂、夕立、睦月、吹雪の編成だった。

Devil May Cry鎮守府の編成を見て、呉艦隊の艦娘は少し驚いた。軽巡3、駆逐艦3、計6隻の水雷戦隊での演習だったはずだが、何故かDevil May Cry鎮守府は1隻 少ない編成となっている。

状況を理解した呉の五十鈴は、怒りに その顔を歪ませた。

 

呉五十鈴「(5隻の編成?舐めてるの?!)艦隊、各個で撃ち方 始め!」

 

呉艦隊からの砲撃を確認した旗艦の神通は、艦隊に回避行動の指示を出す。単縦陣のDevil May Cry鎮守府の艦隊は、落ちてくる砲弾の隙間を縫うように駆け抜ける。

 

吹雪「魚雷、来ます!」

 

呉艦隊が放った酸素魚雷の接近に気付き、艦隊は続けて回避行動を取る。

 

那珂「もう反撃しても良くない!?」

 

睦月「ダメですよ、引き付けてから反撃って鹿島さんが・・・!」

 

那珂「神通ちゃん!」

 

神通「まだです!」

 

砲弾が近くに落下し、水柱が上がり海水を頭から被る。

 

吹雪「くっ・・・神通さん!」

 

神通「・・・・・・・・・」

 

続けて酸素魚雷も接近し、近くで爆発が起こり、それによって引き起こされた波に皆がフラ付く。

 

那珂「もう神通ちゃんってばぁ!」

 

艦隊は大きく旋回し、それを追ってきた呉艦隊とT字戦の形になる。艦隊は横、呉艦隊は縦、呉艦隊を誘い込めた。

 

神通「今です!」

 

夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」

 

Devil May Cry鎮守府の艦隊からの反撃が始まり、激しい撃ち合いに縺れ込んでいくのだった。

 

 

*横須賀鎮守府 演習場*

 

演習場にあるDevil May Cry鎮守府の簡易司令部では、艦娘達の多くが懐疑的な目でダンテを見ていた。

 

天龍「おい提督、何で俺を出さないんだよ?5隻で行かせるくらいなら俺を出しても良かったろ!」

 

ダンテ「最後の1隻は もう埋まってる。お前の出る幕はない」

 

加賀「だけど、彼女が来るとは限らないわ」

 

ダンテ「かもな。だが、俺に隠れてコッソリ指示を出してた奴も居るみたいだ」

 

鹿島「うふふ、それは お互い様かと。提督さんも何やら、妙な事を吹き込んでいたみたいですし」

 

ダンテ「ハッ」

 

鹿島「うふふ♪」

 

ダンテも鹿島も、それぞれ艦隊演習が始まる前に艦隊に指示を出していた。

待機してる艦娘達は、2人の会話を聞きながら数歩 後退った。どちらも爽やかな笑みで穏やかな口調とは裏腹に、互いに牽制し合っていた。

 

天龍「な、何なんだよ こいつら~・・・」

 

響「もう誰と戦ってるのか分からないね」

 

加賀「(はぁ、しんどい・・・)」

 

だが納得できないのは、呉提督も同じだった。それもあり こちらに無線を繋げてきた。

 

呉『ダンテちゃん、どういうつもり?』

 

ダンテ「ちゃんと水雷戦隊を出したが?」

 

呉『1隻 足りてないじゃない!これじゃフェアな勝負にならないわ!』

 

呉提督が指摘する通り、1隻 足りてない分、呉艦隊の方が攻撃の手数が多いと言える。現に、Devil May Cry鎮守府の艦隊には小破の艦娘が出始めていた。

反対に呉艦隊には、まだ小破もの損害が出ていない。

 

ダンテ「あぁ・・・今はな」

 

それでも、ダンテは5隻の編成を変えるつもりはない。そして、負けるつもりも・・・。

 

 

*沖*

 

吹雪「那珂ちゃん、睦月ちゃん、大丈夫ですか!?」

 

睦月「こ、これくらい、へっちゃらにゃし!」

 

那珂「5対6じゃ、撃てる砲弾の数も負けちゃうって~!」

 

那珂がボヤいてると、呉艦隊が接近して並走してきた。同行戦での撃ち合いでも始めるのかと思えば、呉の五十鈴が旗艦の神通に体当たりしてきた。

 

神通「っ・・・何のつもりです?!」

 

呉五十鈴「そっちこそ何のつもりよ!5隻で私達に挑むなんて、馬鹿にしてるの?!」

 

呉の五十鈴が不満を口にすると、神通は不敵な笑みで呉の五十鈴を見た。

 

神通「馬鹿にする程、あなた達は眼中にありません」

 

呉五十鈴「な、何ですって・・・?!」

 

神通「私達は もっと、先を見据えてるんです」

 

呉五十鈴「私達に負けたくせに、先なんてある訳ないでしょ!」

 

怒りが収まらない呉の五十鈴は、再び横から体当たりしてくる。神通も押し負けまいとして、押し返し何度も ぶつかり合う。ガチャガチャと、金属特有の艤装が ぶつかり合う音が鳴り響く。

その後ろを追従する随伴艦も、同じような状態だった。

 

呉夕張「ごめんね!」

 

那珂「ちょっとやめてよぉ!」

 

呉能代「私も こんな事したくないの。だから棄権して!」

 

呉叢雲「邪魔よ!」

 

夕立「邪魔は そっちっぽい!」

 

呉霞「さっさと負けを認めなさいよ!」

 

睦月「絶対に負けないんだから!」

 

秋月「ご、ごめんね!」

 

吹雪「うぐっ・・・!(絶対に、負けられない・・・!)」

 

呉艦隊が ぶつかってくるのは、Devil May Cry鎮守府の艦隊からすれば迷惑千万だが、他にも冗談ではないと思っている者が居た。

 

呉『ちょっとぉー!あんた達にも被害が出るんだからやめなさいよー!』

 

接触事故に繋がる恐れもあり、轟沈判定で済まなくなる可能性もある。

慌てて無線を繋いだ呉提督の言葉もあり、呉艦隊が離れていくが、同行戦のまま撃ち合いへと転じる。

戦闘エリアの外側では、大本営の艦隊が警備をしていた。

その内の1隻、秋月型 駆逐艦3番艦『凉月』が、電探で接近する影を捉えた。

 

凉月「ん・・・これは・・・?」

 

艦隊が その方角を見ると、こちらに向かって1人の艦娘が海を駆けていた。その進行方向は、横須賀鎮守府だ。

 

凉月「止まりなさい!これより先は侵入禁止です!」

 

迫る艦娘に回線を繋げ警告するが、艦娘は応答せず突き進もうとする。

警告を無視したため、大本営の艦隊は兵装を構え、最後の警告を出す。

 

 

*横須賀鎮守府 演習場*

 

演習場では、大本営の大淀が所属不明の艦娘が接近する報せを受けていた。それにより大本営の大淀は、すぐに元帥へ報告を入れた。

 

元帥「所属不明の艦娘だと?」

 

大本営大淀「はい、警告も無視し、現在 横須賀鎮守府に向かってきてるそうです」

 

元帥「艦娘なのは間違いないのか?」

 

大本営大淀「それは間違いないと。艦隊は砲撃の許可を求めています」

 

艦娘売買の影響により、艦娘による犯罪やテロも増えている。その可能性を懸念して、許可を出そうと元帥が口を開きかけるが、誰かの視線を感じた。その方角を見ると、ダンテと目が合った。

元帥は最初、ダンテがジッと こちらを見ている意味が分からなかった。少しの間 考え、ハッとしたように その真意に気付く。

 

元帥「いや、砲撃はするな。そのまま通してやれ」

 

元帥からの命令を、大本営の大淀は すぐに艦隊に打電する。

 

 

*沖*

 

横須賀鎮守府に向かって駆ける艦娘の、前方に立ち塞がる大本営の艦隊が動き、道を空けていく。

大本営の艦隊の横を通り過ぎたのは、川内だった。

 

 

“全部 分かってる。呉に負けたからじゃない、呉の艦娘のためだろ?”

 

“じゃあ どうすれば良かったの?!”

 

 

川内「(私は・・・私が正しい事を証明する!)」

 

川内の視界に捉えるのは、Devil May Cry鎮守府の艦隊と呉艦隊が撃ち合う事で発生する、炎と煙だった。

 

睦月「ふえぇぇぇ・・・睦月、防御力は そんなに変わってないんだけどぉ・・・」

 

呉霞「こんなんじゃ霞は沈まないわ!冗談じゃないったら!」

 

激しい撃ち合いの末、Devil May Cry鎮守府の睦月と呉の霞が中破になる。

神通、那珂、夕立、吹雪も小破のダメージを負っているが、そのダメージは中破寸前だった。

呉艦隊も小破のダメージがあるが、Devil May Cry鎮守府の艦隊よりは余裕があるように見える。

少しずつDevil May Cry鎮守府の艦隊が追い詰められていき、両艦隊の戦闘形態がT字戦となる。しかも有利な立ち位置を取っているのは、呉艦隊の方だ。

 

呉五十鈴「もう遊びは終わり。惨めに負け犬になり下がりなさいよ!」

 

呉艦隊が旗艦の神通を狙い一斉射撃を行おうとするが、それよりも早く、呉の五十鈴が砲撃を受ける。予想外の方角からの攻撃に、随伴艦も攻撃の手を止めてしまった。

 

呉五十鈴「な、何・・・!?」

 

川内「や・せ・ん・だぁーーー!!!!」

 

神通「姉さん!」

 

那珂「川内ちゃんだ!」

 

「「「川内さん!」」」

 

川内の砲撃で呉艦隊の攻撃が止まった隙に、Devil May Cry鎮守府の艦隊は呉艦隊の射程から離れ、川内と合流する。

川内は、無線通信を味方全員に繋げる。

 

川内「皆お待たせ」

 

天龍『来るのが遅いんだよ!』

 

川内「提督」

 

天龍『無視すんな!』

 

ダンテ『・・・覚悟は決まったのか?』

 

川内「うん・・・私は、もう迷わない」

 

合同演習が始まる1週間前から、川内は ずっと考え、気付いた事があった。呉鎮守府に所属していた頃とは違い、Devil May Cry鎮守府に来てから人助けの機会に ずっと恵まれていた。

だが それは、川内自身に自惚れた考えを芽生えさせるには充分だった。助けを必要とするなら、目の前に困っている者が居れば、その全てを助けようと動いていた。艦娘であろうと、人1人が全てを助けるなど不可能だというのに・・・。

だから川内は、自ら身を引こうとした。呉の艦娘達が それを望むなら、それが助けになるならと。

 

川内「でも、今なら間違ってたって分かるよ。呉の皆に必要だったのは、欲しかったのは、私自身の言葉で、私の気持ちと考えを伝えるべきだった」

 

ダンテ『・・・それで?』

 

川内「それに、ウジウジ立ち止まってたら、誰も救えないしね!軽巡 川内、これより戦闘に参加します!」

 

ダンテ『許可してやる、好きにしな。神通達は分かってるな?』

 

『了解!』

 

艦隊は最大戦速まで上げ、呉艦隊に向かっていく。

呉艦隊からの砲撃に応戦するように、艦隊も各個で砲撃を開始する。

 

呉五十鈴「今更あんたが来ても、無意味なのよ!」

 

川内「五十鈴!私と1対1で勝負だよ!」

 

呉五十鈴「おもしろいじゃない、乗ってやるわ!」

 

呉夕張「ちょっと五十鈴!」

 

川内と呉の五十鈴は、それぞれ艦隊から離れ1対1の撃ち合いを始めてしまう。

独断先行する旗艦に戸惑いながらも、呉艦隊は旗艦のフォローのため追い掛けようとするが、酸素魚雷が接近する事に気付き、立ち止まって魚雷を やり過ごす。呉艦隊の目の前では、酸素魚雷が横切っていった。

 

神通「姉さんの邪魔はさせません」

 

呉夕張「あーもう、やんなっちゃうわね!」

 

川内が呉の五十鈴と決着を着けられるように、呉艦隊は神通達が引き付ける。

辺りは、夜の闇に包まれていくのだった。

 

 

・・・・・・

 

本格的に夜戦へと突入した両艦隊は、砲雷擊の末、睦月と呉の霞が轟沈判定を受け離脱。他は中破までのダメージを与え合っていた。

旗艦である神通も中破となり、川内が1度 艦隊に合流する。

 

川内「皆、大丈夫!?」

 

夕立「もう弾切れっぽい・・・」

 

神通「姉さん」

 

川内「・・・うん。皆は下がってて」

 

弾切れとなり、これ以上の戦闘は続行不可能だ。

川内は艦隊から離れ、1人で呉艦隊に向かっていく。

弾切れであるのは、呉艦隊も同じだった。

 

秋月「ちょっとムキになってしまったようですね」

 

呉五十鈴「あんた達も下がってなさい。決着は私が着ける!」

 

呉の五十鈴も艦隊から離れ、向かってくる川内に1人で向かっていく。

まだ弾切れを起こしてないのは、川内と呉の五十鈴だけだった。

両艦隊が、まだ機能が生きてる探照灯と照明弾で照らす中、川内と呉の五十鈴が擦れ違うと、そこから複雑な軌道を描きながら海を駆け抜け、どちらも攻撃が当たらない撃ち合いが続く。

一旦 離れ、態勢を整えてから再び主砲を向け合うが、両者の主砲からは乾いた音が鳴るだけだった。艤装の妖精さんを見ると、腕で×印を向けていた。どうやら2人も弾切れのようだ。

 

 

*横須賀鎮守府 演習場 23:41*

 

瑞鶴「これ・・・どっちが勝ったの・・・?」

 

加賀「まさか、引き分け・・・?」

 

両艦隊の全ての艦娘が弾切れとなれば、これ以上の戦闘は続行できない。

となれば、あとは受けたダメージの割合で少ない方が、戦術的勝利の判定で準決勝へと進む事になる。

パッと見では、どちらも似たような被害を受けてるように見える。引き分けも有り得るだろう。

大本営の大淀も、審議に入るため戦闘終了のアナウンスを流そうとしたが、誰かが左肩に手を置き、そちらに振り向く。そこに居たのは、大将だった。

 

大将「どうやら、まだ終わってないようだ」

 

大本営大淀「え・・・?」

 

モニターを見ると、川内と呉の五十鈴が、一直線に互いに向かっていく所だった。

最大限まで接近すると、両者は主砲を投げ捨て拳を振り被り、互いの顔面を打ち狙う。

 

『『ぐっ・・・!』』

 

天龍「おいおいおいおいおい!まだやろうってのか!?」

 

ダンテ「ま、艦娘だろうと腕がありゃ、殴れるわな」

 

 

*沖*

 

互いにパンチを浴びせ、どちらも防御する事も、避ける事もしない。押し負けた方が負けの、意地の ぶつかり合いだ。

 

呉五十鈴「この・・・負け犬がああああ!!!」

 

呉の五十鈴の拳が入り、川内が少しばかり後退る。

川内は、今2人だけであるのをチャンスと見て、抱えてた自分の気持ちや考えを、呉の五十鈴に話す事にした。

 

川内「ぐっ・・・!五十鈴、あの時は ごめん」

 

呉五十鈴「何で・・・何で今 謝るのよ!」

 

呉の五十鈴が殴り掛かるが、カウンターで川内の拳が呉の五十鈴の顔面に入る。

 

呉五十鈴「がっ・・・!」

 

川内「あの時 私は、皆を置いて1人で皆を助けに行った」

 

呉五十鈴「そうよ!私達に嘘を吐いて、あんたが傲慢なせいで姉妹達を助けられなかったのよ!」

 

川内「ぐふっ・・・!そう、私は傲慢だった。自分1人でできると思ってた。だけど本当は!」

 

呉の前提督は、汚職に塗れていた。他者を脅し、自分のためなら どんな非道もする男だった。艦娘達も姉妹を人質にされ、汚い事に手を貸す事が何度もあった。

極め付きは、結託していたアーロンの手によって、姉妹達が怪物に変えられていた。

アーロンに復讐するにしても、これ以上 皆に、手を汚させたくないという気持ちが、川内の中にあったのも また事実だ。

 

呉五十鈴「ぐっ・・・!ふざけんな!私達は、これまで馴れ合ってこなかった!手を汚させたくない?余計な お世話なのよ!」

 

川内「うぐっ・・・!確かに私達は、馴れ合ってこなかった。だけど私達は、同じ“時間”、同じ“目的”を共有する、確かな“仲間”だった!」

 

川内が殴り掛かり、それを呉の五十鈴が受け止め、拳を掴んだまま逆に殴り返すが、それを今度は川内が受け止める。両者の力は拮抗し、身動きが取れなくなる。

 

呉五十鈴「それを裏切ったのは あんたでしょうが!」

 

川内「私も、妹達を失った!」

 

呉五十鈴「だから何なのよ?!気持ちは同じだとか言いたいわけ?!あんたと私達とじゃ違うのよ!」

 

川内「聞いて!私はDevil May Cry鎮守府に来て、今の提督や皆から、前に進むチャンスを貰った!」

 

呉五十鈴「そうやって あんたは、1人で過去を忘れて楽しく過ごしてたんでしょうが!」

 

川内「だから話を・・・聞けよー!!」

 

川内は頭突きを入れ、背負い投げで呉の五十鈴を海面に叩き付ける。呉の五十鈴は仰向けに、盛大に倒れた。

 

川内「私は過去を忘れた訳じゃない。妹達は もう戻らないけど、私は それを忘れず前に進む。五十鈴達も過去ばかり見て立ち止まるんじゃなく、前に進めるよ。私達は また、一緒に戦える。姉妹は無理でも、たった1人でも誰かを救うために、一緒に前に進もう」

 

姉妹を助けるため陸軍基地を強襲した日と、アーロンとの決戦を迎えた あの日、その どちらかでも、本当は そう言うべきだった。“一緒に戦おう”と・・・。

川内は呉の五十鈴に手を差し伸べるが、顔面に呉の五十鈴の蹴りが入り吹き飛ぶ。

呉の五十鈴は背中を向けながら立ち上がり、川内に向き直る。その顔には、雫が伝っていた。それは海水なのか、涙なのか・・・。

 

呉五十鈴「そんなの綺麗事じゃない!」

 

川内「イッテテ・・・そうだね、確かに綺麗事。でも私は、その綺麗事を叶えたい。今の仲間となら それができる気がするし、勿論、五十鈴達とも叶えたい。一緒に」

 

川内は立ち上がり呉の五十鈴を見るが、彼女の顔を見て唖然とする。呉の五十鈴の頬には、ポロポロと雫が伝っている。それは、誰の目から見ても明らかだった。彼女自身の目から流れる、涙だった。

 

呉五十鈴「どうして・・・」

 

川内「え・・・?」

 

呉五十鈴「どうして、もっと早く言ってくれなかったの?あの時・・・どうして“一緒に戦おう”って言ってくれなかったのよ・・・!」

 

川内「・・・・・・うん、ごめん・・・」

 

呉の五十鈴は泣き顔から一転し、その眼に闘志を宿した顔付きに変わる。それを見て川内も身構える。

 

呉五十鈴「だからって私達は、この合同演習の勝ちを譲るつもりはない。私だって呉を背負ってるから」

 

川内「うん、それは私も同じ。五十鈴、これが最後だよ」

 

2人は再び互いに駆け、その拳を振るう。両者の腕が交差し、相手の顔を狙って腕を伸ばし切ると、2人の動きは完全に止まった。

離れて見ていた両陣営の艦隊も、演習場でモニター越しに見守っていた者達も、どちらが勝ったのかと息をするのも忘れて目が離せないでいた。

しばらくの静寂の後、お互いに腕を引き、呉の五十鈴が2発目のパンチを繰り出すが、川内は後ろに下がり避ける。

再び川内を視界に捉えるが、川内が その手に持つ切り札を見て、呉の五十鈴の目が見開かれる。川内が持っていたのは、魚雷だった。

Devil May Cry鎮守府の艦隊が弾切れを起こし、川内が1度 艦隊に戻った時、川内は呉艦隊から見えないように、神通から魚雷を渡されていたのだ。

 

川内「私が・・・勝つ!」

 

川内から発射された酸素魚雷は呉の五十鈴へ命中し爆発する。煙と炎が晴れると、海面には呉の五十鈴が仰向けに倒れていた。

 

大本営大淀『呉鎮守府、旗艦、轟沈判定!Devil May Cry鎮守府、準決勝 進出です!

 

演習場で待機していた鎮守府の艦娘達は、雄叫びを上げたり跳び跳ねて、脇目も振らず喜ぶ。中には、椅子に座って背が低くなってるダンテの背中や頭を、喜びからバシバシと叩いてる者まで居る。ダンテからすれば、心底 迷惑な話だ。

すると遅れて、川内も仰向けに倒れた。

 

呉五十鈴「あ~負けた・・・あんた、いいパンチ持ってんじゃない」

 

川内「そっちこそ、いいパンチしてんじゃん。マジで痛いんだけど」

 

呉五十鈴「魚雷 隠し持ってるとか、ほんっとムカつくわ」

 

川内「いや~、ごめんとしか言えないわ」

 

足を向け合い仰向けに倒れる2人から、夜の海に大笑いが響く。

そんな2人を離れて見守っていた両陣営の艦隊に編成された艦娘達は、苦笑いを浮かべつつも、両者の健闘を称え合うのだった。

 

 

・・・・・・

 

*横須賀鎮守府 演習場 6月1日 3:06*

 

海から、艦隊演習に出ていた艦隊が戻ってきた。

Devil May Cry鎮守府ではダンテと、待機していた艦娘達が出迎え、呉鎮守府では呉提督と、同じく待機していた艦娘達が出迎える。

 

呉「負けた割りには、いい顔になったじゃない」

 

呉五十鈴「それ皮肉?ボコボコにされてるんだけど」

 

そうは言うが、呉の五十鈴は確かに、憑き物が取れたようにスッキリとしていた。顔は腫れてボコボコだが・・・。

そしてDevil May Cry鎮守府の方は・・・

 

球磨「お前は遅いにも程があるクマ!」

 

多摩「見てる こっちはヒヤヒヤもんだったにゃ!」

 

鬼怒「散々 心配させるんじゃないよ!」

 

龍田「これは お仕置きが必要かしら~?」

 

天龍「お前らやっちまえ!」

 

川内「ちょ待って!待って!沈む!陸で沈む!」

 

大井「陸で沈む訳ないでしょ!訳分かんないこと言ってんじゃないわよ!」

 

軽巡の艦娘を中心に、川内をボコボコにしていた。既にボコボコなのに・・・。

これまで心配や迷惑を掛けた事もあり、すぐには許してもらえそうになさそうだ。

 

中将「この艦隊演習は無効だ!Devil May Cry鎮守府の失格とする!」

 

艦隊演習を観ていたはずの中将が割り込み、演習場に怒声が響く。中将の言葉に、演習場は騒然とする。

Devil May Cry鎮守府の勝利は、いったい どうなる!?

次回に続く・・・。




次回も宜しく お願い致します!
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