Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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253話です!どうぞ!


Mission253 理解できない気持ち~佐世保鎮守府VS鹿屋基地~

古代の魔界兵器があるとされる、第二次世界大戦時に使われていた防空壕へ来たダンテ、バージル、ルシア、葛城、酒匂、長月、菊月、浦風、浜風、未来の川内。その地下には、嘗ての古代文明の遺跡が眠っていた。

未来から来た川内から、未来ではダンテ達が死んでいる事を聞かされる。そして魔界兵器を破壊しても、川内が元居た未来は変わらない事も。

それでは何の意味もないように思えたが、未来の川内は時間を分岐させると話した。それは今ダンテ達が居る時間軸と、未来の川内が居た未来の時間軸を切り離すという事だった。

そうなれば、今の時間軸は破滅の未来を回避できるかもしれないが、川内が居た未来の時間軸には何の影響も及ぼさず、死んだダンテ達が戻る訳でもなかった。

それでも未来の川内は、今の この時間軸のダンテ達を助けるために、死の運命を回避するために、時間を超えて1人で ここまで来たのだとダンテ達は知る。

未来の川内の意思を知り、ダンテ達は改めて、地下遺跡の奥へと進むのだった。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 食堂 6月2日 7:08*

 

食堂の厨房では鳳翔が、艦娘達が朝食で使った食器類を洗っていた。

その横では、島風と ほっぽが荒い終わった食器を拭き、鳳翔の手伝いをしていた。

 

島風「もう、ほっぽちゃん!ちゃんと拭かなきゃダメだよ!」

 

ほっぽ『・・・フイテル

 

島風「拭き残しあるじゃん!」

 

ほっぽ『フイテル!

 

鳳翔「ほらほら、喧嘩しないでくださいよ」

 

鳳翔が、キッチンタオルで殴り合う島風と ほっぽを咎めていると、暗い表情の赤城が訪ねてきた。

 

赤城「鳳翔さん、ちょっと相談があるんですけど・・・」

 

鳳翔「あら、どうしました?」

 

島風「もーーっ!!」

 

ほっぽ『モーーッ!!

 

鳳翔「静かにしなさい!!」

 

赤城の相談を聞く前に、鳳翔の雷が落ちた。

その後 改めて、赤城は夜中にダンテ達が出掛けた事と、その少し前に視た悪夢の話をした。鳳翔は、目を瞑りながら赤城の話について考えていた。

近くでは、鳳翔に怒られ涙目になった島風と ほっぽが、大人しく食器を拭いていた。

 

鳳翔「確かに気にはなりますね。それに提督だけでなく、バージルさんやルシアさん、鎮守府に馴染んでなかった あの葛城さん達まで一緒となると・・・」

 

赤城「また、何か悪い事が起こる予感がするんです・・・」

 

鳳翔「そうですね。けど、今は忘れなさい」

 

赤城「忘れるなんて無理です・・・」

 

鳳翔「提督は もう、1人じゃありません。バージルさんとルシアさんが一緒なら、下手な事にはなりませんよ。それに、今日も合同演習を観に行くんでしょ?」

 

今日は合同演習2回戦 第3試合で、佐世保鎮守府と鹿屋基地の艦隊演習がある。

いい意味でも悪い意味でも、どちらも油断ならない相手だ。どちらかと当たる時を考え、見逃す訳にはいかない。

 

鳳翔「私達は私達の、今やるべき事に集中しましょう。提督の事は大丈夫だから」

 

赤城「・・・・・・はい、分かりました・・・」

 

赤城は納得してない様子だったが、そこに加賀と、二航戦の2人、五航戦の2人が赤城を呼びに来た。

 

赤城「すみません鳳翔さん、失礼しますね」

 

鳳翔「はい、いってらっしゃい」

 

赤城達を見送った鳳翔は、大きな溜め息を吐いた。またダンテが皆に黙って、妙な事に首を突っ込んでるのではないかと思うと、自然と溜め息も出てしまう。

そんな鳳翔の傍に、ほっぽが来た。

 

ほっぽ『ダンテ、ドコカニ イッタ?

 

鳳翔「大丈夫ですよ、ちょっと お出掛けしただけですから」

 

鳳翔は優しく、心配させないように ほっぽの頭を撫でる。

 

鳳翔「それより、お皿は拭き終わりましたか?」

 

ほっぽ『・・・・・・シマカゼガ・・・オサラ ワッタ

 

島風「割ってません!割ったの ほっぽちゃんでしょ!?」

 

ほっぽ『・・・シマカゼ

 

島風「もーーっ!!」

 

ほっぽ『モーーッ!!

 

どうやら最近の ほっぽは、嘘を吐くという事を覚えたようだ。成長の証だろうか?

こっちは こっちで喧嘩するものだから、鳳翔は2度目の大きな溜め息を吐くのだった。

 

 

*地下遺跡*

 

一方、赤城と鳳翔の心配も知らずに、ダンテ達は地下遺跡を進んでいた。

すると、ダンテが豪快な くしゃみをし、石造りの通路に反響する。

 

ルシア「風邪?」

 

ダンテ「いんや、誰かが噂してる気がする」

 

川内「こっちに移さないでよね。過去に来てまで風邪 引きましたとか、何しに来たのか分かったもんじゃないから」

 

話しながら歩いていると、後ろから何かを引き摺るような音が聴こえてくる。

皆は立ち止まって後方へ振り返り、奥の暗がりを見詰め音の正体を確認しようとする。

すると奥から、ノクトプテランの幼虫ラーヴァの大群が、床を這いながらダンテ達に迫ってきていた。

初めて見る巨大な芋虫型の悪魔に、葛城達 艦娘6人は顔面蒼白になる。

 

川内「あれは面倒」

 

バージル「妙に数が多いな」

 

ルシア「ここじゃ狭過ぎる」

 

ダンテ達は広い場所で迎え撃つために、ラーヴァに背を向け走り出す。誰よりも必死に走ってるのは、葛城達6人だろう。

ダンテ、バージル、ルシアも、銃を撃ち、幻影剣とダガーを飛ばしながらラーヴァを牽制して走る。

 

酒匂「何あの気持ち悪いの!?」

 

川内「いいから走って!」

 

走り続けていると、石造りの通路だった壁が、岩肌の洞窟のような壁に変わった。

そして広い場所へ出た。その広さは大規模で、ここなら どれだけ暴れても問題なさそうだ。

広い空間の中央まで来ると、巨大な何かが羽ばたくような羽音が聴こえてきた。上を見上げると、ノクトプテランが ゆっくりと こちらに飛んできていた。

そして遅れて、ダンテ達が通ってきた通路からラーヴァがウジャウジャと出てくる。

 

葛城「か、囲まれたんだけど・・・!」

 

川内「周りは芋虫、上は巨大蛾、面倒だけど、この面子なら余裕かな?」

 

ダンテ「足 引っ張られなきゃな。川内、葛城達の方は頼むぞ」

 

川内「ガッテン!私達は、芋虫の方を片付けるよ!」

 

酒匂「1番 嫌な方!」

 

ダンテ、バージル、ルシアは、羽ばたくノクトプテランの方へ駆け、川内達も艤装を展開する。

 

葛城「(この広さなら、ギリギリ艦載機は使えそう)」

 

葛城が艦載機を発艦し、艦戦が機銃でラーヴァの動きを止め、そこを狙って艦爆が爆撃する。

酒匂、長月、菊月、浦風、浜風も、川内の指示とフォローを受けながらラーヴァへ砲撃する。

 

川内「浦風、下から来るから飛び退いて!」

 

浦風「うわぁっ!?」

 

川内「浜風、右から来てる!」

 

浜風「くっ・・・!」

 

川内「長月、菊月、動きを よく見て!」

 

長月「見てと言われても・・・!」

 

菊月「そこら中から来るぞ!」

 

川内「酒匂、叫んでないで撃って!」

 

酒匂「こんなの叫ぶに決まってるよ!」

 

川内のフォローもあり戦えているようだが、それでも初めて対峙するラーヴァに悪戦苦闘している。浦風は地中から飛び出すラーヴァに食われそうになり、浜風は横から突進され、長月と菊月は、どこから出てくるか分からないラーヴァに照準を合わせられず、酒匂に至っては攻撃する処か悲鳴を上げるばかりだった。

そして指示を出していた川内の背後から、ラーヴァが口を開けて迫り、川内が食べられてしまった。

 

酒匂「ちょっ、川内!?」

 

菊月「何やってるんだ!?」

 

葛城「提督、川内が食べられた!」

 

ダンテ「んぁ?」

 

葛城の声に、ノクトプテランの相手をしていたダンテが振り返る。

だが川内を呑み込んだラーヴァは爆発四散し、中からラーヴァの体液塗れになった川内が現れた。その右手には、小太刀が握られている。

 

川内「あー、油断した。気持ち悪い」

 

川内が無事だった事にダンテは呆れながらも、ノクトプテランとの戦闘に戻る。

バージルが羽を斬り落とし、ノクトプテランを落下させる。

透かさずルシアが飛び込み、カトラシアと体術を合わせた連続攻撃を浴びせた後、バルログを装備したダンテがアッパーで打ち上げる。ノクトプテランは仰向けに落下し、そのまま消滅した。

 

バージル「フン、羽虫が」

 

ルシア「向こうは まだ終わってないみたい」

 

ダンテ「仕方ない、手伝ってやるか」

 

ノクトプテランは倒したが、川内達はノクトプテランが産み落としたラーヴァと まだ戦闘中だった。

ダンテとルシアがラーヴァの駆除に加勢に入るが、バージルは手頃な高さの岩に腰掛け、瞑想に入るのだった。

ダンテとルシアの加勢もあり、少しして全てのラーヴァを駆逐し終わった。

葛城、酒匂、長月、菊月、浦風、浜風は、受け入れ難い見た目の悪魔との戦闘だったからか、息が上がって疲れ果てていた。

 

葛城「もう・・・無理・・・」

 

酒匂「あれ悪魔じゃなくて・・・虫・・・」

 

長月「悪魔って・・・そもそも何だ・・・?」

 

菊月「もう・・・相手したくない・・・」

 

浦風「何で・・・そっちの4人・・・平気な顔しとるんじゃ・・・?」

 

浜風「お、恐ろしい・・・」

 

それに反し、ダンテ、バージル、ルシア、川内は息も乱れておらず、まだまだ平気そうな顔をしている。

それだけでなく・・・

 

ダンテ「お前ら修行が足りねぇな」

 

バージル「ムダな動きが多い」

 

ルシア「相手の動きを よく見て」

 

川内「情けないなぁ、もう」

 

ダメ出しまでしてくる始末だ。

葛城達からすれば、成り行きで鎮守府に着任させられ、ここまで連れてこられ、訳も分からないまま悪魔と戦わされているため、踏んだり蹴ったりだった。

だが川内は、別の理由で葛城に視線を向けた。

 

川内「ねぇ、悪魔の中に居た時に聞こえたんだけど、葛城、提督のこと“提督”って呼んだ?」

 

川内の指摘に、ダンテとルシアも釣られるように葛城を見る。

葛城を始めとする艦娘6人は、着任してから これまで、ダンテの事を“提督”と呼んだ事は1度もなかったのだ。

 

ダンテ「そういや、何か呼ばれてたな」

 

葛城「・・・呼んでない」

 

川内「えぇ?絶対 呼んでたよね?」

 

葛城「空耳なんじゃない?ほら、魔界兵器とやらを壊すんでしょ!さっさと行くわよ!」

 

葛城は話を早々に切り上げ、先に奥へと行ってしまう。

それに続くように、酒匂、長月、菊月、浦風、浜風も葛城を追い、遅れてバージルとルシアも続いた。

ダンテと川内は すぐには動かず、彼女達の背中を見ながら話していた。

 

川内「提督のこと“提督”って呼んだのは、大きな進歩だね。未来じゃ、最後まで そう呼ぶ事はなかったから」

 

ダンテ「あの6人は、未来でも生きてるのか?」

 

川内「浜風は今も生きてるよ。あとの5人は・・・」

 

ダンテ「・・・そうか」

 

川内「この調子なら、素直になってくれる日も近そうだね」

 

ダンテ「そう言う お前も、この時代じゃ世話が焼けるけどな」

 

川内「ひっどー!でもさぁ、この時代の私よりも、大人っぽくなったと思わない?」

 

川内は、長くなった後ろ髪を掻き上げるようにして、首筋を見せながらウインクしてみせる。そんな川内を、ダンテは無表情で見る。

 

ダンテ「・・・・・・別に、変わってねぇけど」

 

川内「うわ、何気にショックなんだけど・・・」

 

ダンテ「バカ言ってないで行くぞ」

 

川内「はーい・・・」

 

ダンテは歩き出し、ショックを受けた川内は その後ろをトボトボと追従する。

いくら未来で戦い続け、経験を積み、殺気を研ぎ澄ませ、戦闘能力が上がっていても、艦娘は艦娘である限り歳を取らない。

それに加え、川内の内面にあるものは、この時代の川内と それほど変わっていないようだ。川内は川内だった。

 

 

・・・・・・

 

*横須賀鎮守府 演習場 12:15*

 

演習場には、Devil May Cry鎮守府の改二から上の大規模改装が終わっている艦娘達が、全員 来ていた。

そんな中で行われている、佐世保鎮守府と鹿屋基地の艦隊演習は、現在 鹿屋基地が優勢だった。

 

鹿屋『どうしました?攻撃しないんですか?』

 

佐世保「(卑怯な・・・!)」

 

両艦隊からは、既に それぞれ3隻が轟沈判定で離脱している。五分五分の戦いをしているように思うかもしれないが、実際には そうではない。

鹿屋艦隊は相変わらず、バルジに爆弾を仕込んでいるのだが、佐世保提督は、攻撃すれば誤作動で爆発し、鹿屋艦隊の艦娘を轟沈させてしまう可能性から、攻撃の指示を出せずにいた。それ故に、鹿屋艦隊の自爆作戦により、両艦隊から同じだけの数の艦娘が戦闘を離脱していた。

佐世保艦隊は鹿屋艦隊から逃げてはいたが、砲雷撃も来る事から いつまでも躱し続けるのも難しく、接近を許してしまう時もあり爆発に巻き込まれる。

戦況は兎も角、佐世保提督は鹿屋提督の艦娘の扱いに、憤りを感じていた。

 

佐世保「お前は艦娘が轟沈してもいいのか?!」

 

鹿屋『兵器を どう使おうが、勝てばいいのでは?兵器に情けや感情を掛けるなど、軍人にあるまじき行為ですよ』

 

佐世保「(言葉で言っても無意味か・・・!)」

 

佐世保提督は怒りから、歯を食い縛り拳を握り、この状況を どう打開するか頭をフル回転させる。

そして、そんな艦隊演習を、Devil May Cry鎮守府の艦娘達も神妙な面持ちで観ていた。

 

飛鷹「あの自爆作戦、一見 馬鹿げてるように思えるけど、佐世保提督の優しさを上手く突いた作戦なのかもね」

 

鳥海「轟沈するかもしれないと考えると、確かに攻撃を躊躇してしまうかもしれませんが・・・」

 

吹雪「でも、私達は同じ日本海軍の仲間ですよ?どうして仲間同士で、こんな酷い戦いを・・・」

 

鹿島「それが、人間の欲というものでしょう」

 

大井「吹雪は、今の提督や大将の下でしか働いた事がないから分からないかもしれないけど、いい人間ばかりじゃないのよ。軍人だったとしてもね」

 

世の中には、自分の目的のために全てを犠牲にし、全てを踏みにじるような者も居る。時には仲間を裏切るような事もあるだろう。

親が子を、子が親を、殺すに値しない理由で家族の命を奪う事も、今では珍しい話ではないのだから。それが他人となれば、尚の事だ。

 

鹿島「全ての人間が理解してる訳ではないですが、私達 艦娘にも感情があります。ですが感情があるという事は、私達だって仲間を裏切る時があるかもしれませんよ?」

 

吹雪「そんな、裏切るだなんて・・・」

 

天龍「おい、俺達の中に裏切る奴なんて居る訳ねぇだろ!」

 

鹿島「飽くまで例えですよ」

 

摩耶「それより、あの爆弾バルジ、対処法は考えてあるのか?」

 

Devil May Cry鎮守府が鹿屋基地と当たったとして、佐世保艦隊のように逃げ続けたとしても、何かしらの方法で接近されれば爆発に巻き込まれてしまう。

攻撃もできないとなると、勝つのは難しいかもしれない。これは演習だ。殺し合いがしたい訳ではない。

 

鹿島「そちらは既に考えています。明石さんと夕張さんとも相談して、起爆方法も見当は付いてます。ただ・・・」

 

ただ、鹿屋艦隊の艦娘を確実に轟沈させない方法は まだ考え付いていない。砲雷擊や爆撃した場合、それを引き金に爆発するかもしれないため、それを防ぐ方法が思い付かない。

 

春雨「じゃあ、攻撃できないって事ですか?」

 

鹿島「最悪、轟沈させてしまう覚悟はしておいてください。私達が勝つためにも」

 

『・・・・・・・・・』

 

鹿島が突き付けた現状での事実に、艦娘達は何も言う事ができなくなり、黙って艦隊演習を観るしかなかった。

そんな中、飛鷹の中に居るグリフォンが、飛鷹に語り掛けてきた。

 

グリフォン『(ヨウ、飛鷹チャン。何なら、オレが助けてやろうか?)』

 

飛鷹「(は?あんたは演習に出れないわよ?)」

 

グリフォン『(んなの今更だろ?深海棲艦の ほっぽ匿ってるのもバレてんだ。悪夢の1体 出したって、大して驚かないだろ)』

 

飛鷹「(状況を更に悪くするつもり?)」

 

グリフォン『(マジメっ子してる場合じゃねーだろ。オレ達も今、飛鷹チャン達に死なれたら困るんだ。今オレ達は、運命共同体だ)』

 

3体の悪夢は、魔力切れを起こせば身動きが取れなくなる。剥き出しとなったコアに何かあれば、消滅してしまう。

グリフォン達が飛鷹達と一緒に居る理由は、艦娘達がダンテと共に悪魔狩りする事もあり、何不自由なく魔力を供給してもらえるからだ。

この合同演習にDevil May Cry鎮守府が負ければ、飛鷹達 艦娘は解体される。今 飛鷹達に何かあるのは、グリフォン達 悪夢にも都合が悪い。故に、手段は選びたくない。

 

グリフォン『(ほら、悪魔にトドメ刺すのはムリだけど、人間なら簡単に殺れるし。あのメガネのナルシストかビールっ腹の中将とかいう奴 殺っちまおぜ!なっ?)』

 

飛鷹「(あんた碌なこと考えないわね!変な事ばっかり言うなら、もう魔力の補充してあげないわよ?)」

 

グリフォン『(じゃあ どうするつもりだよ!?)』

 

飛鷹「(うるさいわね!黙らないと、ローストチキンにして深海棲艦の餌にするわよ?)」

 

飛鷹に脅され、グリフォンは悔しそうな呻き声を上げた後、飛鷹の頭の中は静かになった。

飛鷹は知らず知らずの内に、苛立ちから貧乏揺すりしていた。隣に座っていた隼鷹は、それが気になり声を掛けた。

 

隼鷹「飛鷹、何か機嫌悪いのか?」

 

飛鷹「アホ鳥が うるさくて」

 

隼鷹「・・・・・・グリフォンか?」

 

飛鷹の機嫌が頗る悪そうなので、隼鷹は もう この話に触れない方がいいと思い、それ以上は話し掛ける事はなかった。

 

 

・・・・・・

 

*地下遺跡 22:21*

 

ダンテ達は相変わらず、地下遺跡を進んでいた。

長く地下に潜っていると、時間の感覚も あやふやになってくる。

だが時間より面倒なのは、進めば進むほど悪魔の数は増え、最初は低級悪魔の中に時々 中級悪魔が混ざっているぐらいだった。

だが今では、中級悪魔も頻繁に出るようになり、進むペースも最初の頃より遅れが生じている。ダンテやバージル、ルシア、川内だけなら そうでもなかっただろうが、こちらには悪魔との戦闘が不慣れな葛城、酒匂、長月、菊月、浦風、浜風が居る。こればかりは仕方ないと言える。

悪魔の出現が一時的に途切れ、その間に少しでも進むために歩いているが、葛城達6人の艦娘は、死んだような目で歩いていた。

 

酒匂「もう帰りたい・・・」

 

川内「まだゴールでもないのに、帰れる訳ないじゃん」

 

1分1秒でも早く ここから出たい。

疲れから思考も上手く働かない。

そんな中、葛城は辛うじて働く思考で、ダンテ達が悪魔と戦う理由が気になった。今回は理由が理由だが、普段から こんな事をしていて、嫌にならないのかと。

気が付けば、葛城は無意識に その疑問を口にしていた。

 

川内「まぁ、私の場合は、戦わないと生き残れないからね」

 

ダンテ「他にできる事ないしな」

 

ルシア「私は、人間を護るため。それがデュマーリの護り手の使命だから」

 

四者四様の返事に、葛城はハッとしたように思考が覚醒する。それだけの事で、悪魔と戦うのかと信じられなかった。

 

葛城「何で!?死ぬかもしれないのに、普通に暮らしたいとか思わないの!?」

 

バージル「それこそ今更だな」

 

ルシア「悪魔は憎むべき存在。誰かがやらないと」

 

ダンテ「逆に退屈で死にそうな提案だな」

 

ダンテ、バージル、ルシアは、当然とばかりに そう言うと、一行の前に出て先を歩く。

葛城は立ち止まり、そんな3人の背中を理解できない様子で見詰めていた。

すると、川内が傍に来た。

 

川内「提督とバージルは ああ言ってるけど、2人もルシアみたいに背負ってるものがあるからだよ」

 

葛城「それって何?」

 

川内「自分の正義を貫くこと。ほら、行かないと置いてかれるよ」

 

川内も笑みを見せながら、先に歩き出す。

葛城は川内の言葉を考えながら、ダンテ達を追うように歩き始めた。

だが・・・

 

長月「これは、結界というやつか!」

 

浜風「またですか・・・」

 

通路の前後を塞ぐように、赤い結界が現れる。

その直後、また有象無象の悪魔も現れる。今回は低級悪魔ばかりのようだが、こんな事の繰り返しで嫌気が差してくる。

 

バージル「一気に片付けるぞ」

 

ダンテ「お前が仕切んのかよ」

 

 

*横須賀鎮守府 演習場*

 

佐世保千歳『は、放して!』

 

鹿屋大和『ごめんなさい・・・』

 

佐世保「早く離れろ!」

 

佐世保千代田『千歳お姉!』

 

鹿屋の大和が、軽空母へ改装されている佐世保の千歳を捕まえ、自爆しようとする。佐世保の千歳も抗うが、戦艦の腕力からは逃れられない。

姉妹である千代田と、同じく残っていた戦艦の長門が助けに向かうが、鹿屋の大和は佐世保の千歳、千代田、長門を巻き込み爆発した。

 

大本営大淀『佐世保艦隊 旗艦、轟沈判定!鹿屋基地、準決勝 進出です!

 

佐世保村雨「提督・・・」

 

佐世保「っ・・・!」

 

相手にも自身にも慈悲のない勝ち方に、憤りを感じる佐世保提督は、目の前の長机に拳を叩き付けるのだった。

艦隊演習を観ていた横須賀提督は、1つ物申すために、帰ろうとする元帥と大将を呼び止める。

 

横須賀「元帥、お待ちください!」

 

元帥「・・・どうした?」

 

横須賀「どうして止めないんですか?あんなの、演習の範疇を越えています!」

 

元帥「そうかもな。だが止める理由にはならない」

 

横須賀「・・・理由にならないって、どういう意味ですか?!下手をすれば、誰かが轟沈してしまいます!もう これは演習ではありません!」

 

元帥は何も言わず、その場から去ろうとする。

それでは納得できるはずもなく、横須賀提督は、元帥を掴んででも止めようと追い掛けるが、それを大将が止めた。

 

横須賀「邪魔しないでくださいよ!」

 

大将「お前は誰に口を利いている!」

 

横須賀「っ・・・!」

 

大将「そんな話をする前に、お前にはする事があるだろう」

 

横須賀「そんな話って・・・これが問題じゃないと認識してるんですか?!私には理解できません!元帥も大将も なぜ止めないのか、何を考えてるのか!何か考えがあってこそなら、教えてください!」

 

大将「口を慎めと言っておろうが!お前に話す事など何もない」

 

横須賀「何なのよ・・・!」ボソッ・・・

 

大将「何だ?大佐、もう1度 言ってみろ」

 

横須賀「・・・納得できません」

 

大将「・・・・・・明日は横須賀鎮守府と、大本営の艦隊での演習だったな」

 

横須賀「・・・それが何ですか?」

 

大将「明日 指揮するのは俺だ」

 

横須賀「・・・・・・!?」

 

横須賀提督にとって、戦術や海軍としての心構えなど、全てを叩き込んでくれたのが大将だ。師と呼んでもいいかもしれない。

明日、日本海軍最強と呼ばれた その大将が、大本営の艦隊を指揮し、横須賀鎮守府と当たる事になっている。

横須賀提督には寝耳に水で、驚きで言葉が出ず、見開いた目で大将を見る事しかできない。

 

大将「今お前が何を心配しなければならないのか分かったのなら、明日に備えろ」

 

それを最後に、大将は踵を返し去っていく。

その場に残された横須賀提督は、明日の事を考え、しばらく動けなかった。

 

横須賀「(・・・・・・大将が相手じゃ、勝てない・・・)」

 

 

*正面ゲート*

 

正面ゲートでは、元帥が乗り込んだ車が大将を待っていた。

遅れて大将も乗り込み、2人は顔を見る事もなく、先程の横須賀提督の言っていた話を始める。

 

大将「あれで良かったですかな?」

 

元帥「あぁ、彼女の言いたい事も分かるが、今は あれで精一杯だ」

 

元帥とて、鹿屋基地の勝ち方を認めている訳ではない。それでも止めないのは、一種のパフォーマンスなのだ。

内部に居る敵に、どんな やり方で来ようが屈しないと思い知らせるためには、止める訳にはいかない。相手の意思を挫くには、卑劣な方法を正面から打ち砕く必要があると元帥は考えていた。

それに、どこに目や耳があるか分からない。今は まだ、横須賀提督にも詳細を話す事はできなかった。

元帥と大将を乗せた車は、静かに横須賀鎮守府から走り去るのだった。




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