Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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256話です!どうぞ!


Mission256 感化~入隊の切っ掛け~

合同演習2回戦 第4試合、横須賀鎮守府と大本営の艦隊での艦隊演習が行われた。

大本営の艦隊を指揮する大将に立ち向かうため、横須賀提督は寝る間も惜しみ作戦を考えるが、勝つための作戦は何も思い付かないまま、艦隊演習が始まる。

空回り気味な横須賀鎮守府に、大将は ここまでかと残念そうに、艦隊演習を終わらせようとするが、そこにダンテが現れた。Devil May Cry鎮守府の艦娘達やパティも、ダンテは来ないとばかりに思っていたので、これには驚いた。

 

 

“真面目振ってねぇで、先ずは楽しみな!”

 

 

ダンテから発破を掛けられた横須賀提督は、昔の自分を思い出し、自分自身を見詰め直した事で、失っていた戦意を取り戻した。

上官には有り得ない口の利き方で大将に啖呵を切り、艦隊演習が継続される。

だが そう上手くは運ばなかった。

 

 

*横須賀鎮守府 演習場 6月3日 14:27*

 

大本営大淀『艦隊演習を中止してください。繰り返します、艦隊演習を中止してください。深海棲艦が、演習エリアに侵入しました

 

突如として、深海棲艦の大規模部隊が侵攻を開始したのだ。

大本営の別艦隊が演習エリアの外側を警備していたが、数に押され突破されてしまっていた。現在 横須賀鎮守府を目指して侵攻中である。

対処するために、元帥が待機していた提督達に指示を出し始めるが、ダンテが動き走り出した。

 

ダンテ「おいババア!深海棲艦は俺の方で何とかしてやる!」

 

元帥「おい、ちょっと待て!」

 

ダンテは足に艤装を装着し、海へと飛び出した。

Devil May Cry鎮守府の艦娘達は互いの顔を見合わせてから、ダンテに続くように続々と海へ飛び出す。

 

愛宕「パティは ここで待っててね」

 

パティ「ちょっ、どこ行くの!?」

 

パティの引率だった高雄と愛宕まで飛び出し、残されたパティは どうすればいいか分からず、呆然と見送った。

すると、苦い顔をする元帥の元に、ニッコニコの鹿島が来た。

 

鹿島「うちの おバカ提督から伝言です♪」

 

 

“折角ここから盛り上がってくるんだ。絶対 演習を止めるな”

 

 

鹿島「だそうです♪」

 

だが それに異を唱えたのは、他の鎮守府や泊地、基地の提督達だった。深海棲艦の大規模部隊が接近中の中、艦隊演習を続けるのは危険だと。

 

アイオワ「だったら、我々も手伝うわ」

 

話にアイオワが乱入し、そちらを見ると、海外艦の艦娘が そこに居た。まだ今後の演習が残ってる者、既に敗退して終わってる者、全員が そこに居た。

 

ビスマルク「私、ビスマルクの出番ね」

 

元帥が口を開く前に、海外艦までもが全員 海に飛び出した。これには各提督達も頭を抱えた。

海外艦は、噂のダンテと共に戦えるチャンスだと思い、ウキウキしていた。もう誰にも止められない。

 

単冠「元帥、どうするんですか!?」

 

元帥「大将、演習は中止だ。すぐに艦隊を━━」

 

大将「申し訳ありませんが、その命令は聞けません」

 

元帥「何!?」

 

大将「どうやら私も、ダンテに感化されてしまったようです」

 

元帥「くっ・・・!艦隊演習の予定がなく、動ける者はDevil May Cry鎮守府の援護に向かえ!他の者は待機だ!」

 

佐世保提督は、自身の部下である艦娘に指示を出し、ダンテとDevil May Cry鎮守府の援護に向かわせた。

舞鶴提督と呉提督、単冠提督も同じく援護に向かわせ、大湊提督は近隣の街に避難指示を出すために動く。

 

宿毛「岩川基地も手伝って」

 

岩川「お、俺も?」

 

宿毛湾泊地と岩川基地の艦娘も、Devil May Cry鎮守府の援護に向かう事にした。

皆が艦隊演習を続けられるようにと、Devil May Cry鎮守府の援護に向かう中、鹿屋提督だけは踵を返して立ち去ろうとする。

 

鹿屋「(フッ、合同演習が どうなろうと、知った事じゃありませんね。轟沈艦でも出て、Devil May Cry鎮守府の戦力が落ちてくれれば、願ったり叶ったりですが)」

 

鹿屋提督は皆に背を向けて歩いていたため、誰も その悪い笑みに気付く事はなかった。

 

 

*沖*

 

ダンテとDevil May Cry鎮守府の艦娘達が海を駆けていると、後続の艦娘達が追い付いた。

 

アイオワ「提督(アドミラル)!」

 

ダンテ「おいおい・・・」

 

後ろを振り返ると、大勢の艦娘達が一緒に来ていた。いつの間にか大勢の艦娘を引き連れていた事に、ダンテも少し呆れていた。

 

佐世保村雨「はいはーい、うちの提督から入電です。“我々は これより、Devil May Cry鎮守府の支援、援護に入る。戦場での細かい指示は、ダンテ提督がせよ”との事です」

 

ダンテ「ハッ・・・そうかよ」

 

そうしてる内に、海上に浮かぶ黒い影が見えてきた。深海棲艦の大規模部隊だ。

ハッキリとした数までは判らないが、こちらの艦娘の人数と そう変わらないと思われる。

 

ダンテ「奴さんが見えてきたぞ。いいか?味方に当てるなよ」

 

天龍「うっしゃー!」

 

佐世保村雨「佐世保鎮守府、交戦開始ね!」

 

舞鶴漣「舞鶴鎮守府に お任せ!」

 

呉五十鈴「呉鎮守府、行くわよ!」

 

単冠比叡「単冠湾泊地、交戦します!」

 

岩川長門「岩川基地、交戦する!」

 

宿毛加賀「宿毛湾泊地、交戦開始します」

 

日本海軍を先頭に、その後ろをアメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、ドイツ艦が続く。

 

アイオワ「さぁ、アメリカの火力 見せてあげるわ!」

 

ジャービス「All right!」

 

ローマ「本気で行くわ!」

 

パース「今度は敗けないわ」

 

ビスマルク「ドイツの戦い、見せてあげるわ!」

 

更に その後ろを、オランダ、スウェーデン、フランス、ロシア艦も続く。

 

デ・ロイヤル「行っくよー!」

 

彼女は、オランダのDe Ruyter(デ・ロイヤル)級 軽巡洋艦1番艦『De Ruyter(デ・ロイヤル)』。

新型主砲と、強力な対空機銃座を集中配備した新しいコンセプトの軽巡として、艦船だった頃に当時のオランダ領 東インドに配備された。

ABDA艦隊の旗艦としても戦った。

本人曰く、日本の重巡はヤバいらしい。

 

ゴト「頑張ってみる・・・!」

 

彼女は、スウェーデンのGotland(ゴトランド)級 軽航空巡洋艦1番艦『Gotland(ゴトランド)』。通称『ゴト』。

予算の都合でカタパルトは1基。

 

リシュリュー「いいでしょう、早目に始末します!」

 

彼女は、フランスのRichelieu(リシュリュー)級 戦艦1番艦『Richelieu(リシュリュー)』。自由・平等・博愛の国で生まれた最強の戦艦。

四連装主砲の出来は、本人曰く流石らしい。

 

ガングート「フン、任せておけ。行くぞ!」

 

彼女は、ロシアのГангут два(ガングート)級 戦艦1番艦『Гангут два(ガングート)』。

艦船だった頃の話だが、ドイツ革命後は『Октябрьская революция(オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ)』と改名したが、近代化改装後、再びガングートの名に戻った。

 

赤城「第一次 攻撃隊、発艦!」

 

正規空母、軽空母、水上機母艦、航空戦艦、航空巡洋艦、潜水母艦から、一斉に艦載機が飛び立つ。同じく深海棲艦の大規模部隊からも、黒や白の色をした艦載機が飛び立ち、上空は即座に激しい墜とし合いが始まる。

主砲、副砲、機銃を搭載した水上艦も、弾幕を張りながら突撃する。

そして その真下では、潜水艦と潜水母艦が魚雷を発射していた。

 

ダンテ「Are you ready(覚悟はいいか)?!」

 

ダンテもエボニー&アイボリーを連射し、敵味方が入り乱れる戦場を駆け抜ける。

 

 

*横須賀鎮守府 演習場*

 

大和『大将、私達も深海棲艦の対処に向かうべきでは?』

 

大将「いや、深海棲艦はダンテ達に任せ、俺達は演習を続ける。抜かるなよ?横須賀鎮守府は さっきまでとは違う」

 

武蔵『・・・おもしろい、どう変わったのか見せてもらおうか!』

 

大将は、遠目から見える横須賀提督の眼を見て、彼も また、昔を思い出していた。横須賀提督と会った日の事を。

 

 

・・・・・・

 

*約30年前 街 16:05*

 

当時16歳だった横須賀提督は、レディース暴走族 先代総長から、総長の座を譲り受けた。周りには年上の先輩なども居たが、それらを差し置いて総長になった事に、誰も文句を言う者は居なかった。周りからは慕われ、信頼もされていた。

関東制覇を果たし、横須賀提督達は いつも立ち寄るコンビニに来る。

 

メンバー「いや~、もう あたしら最強ッスね!」

 

横須賀「そうだね」

 

コンビニに入ろうとするが、中から誰かが出てきて ぶつかりそうになる。横須賀提督の取り巻きが文句を言ってやろうとしたが、言いかけた文句は途中で止まった。

中から出てきたのは、横須賀提督達が見上げなければならない程の大男だった。これが、当時の大将である。

最初は大男でビビったが、取り巻きは気を取り直し、再び口を開く。

 

メンバー「テメェ、危ねぇだろうが!どこ見て━━」

 

横須賀「よしな。さっさと入るよ」

 

メンバー「そ、総長!?」

 

総長である横須賀提督に止められ、取り巻きは ぶつくさと大将に愚痴りながら、先に店に入った横須賀提督を追って店に続いた。

大将は暴走族に喧嘩を売られたのも気にせず、そのまま店を後にしようと歩き出す。

 

大将「(あれがヘッドか・・・あの娘、中々いい眼をしてるな)」

 

横須賀提督達が、それぞれ好きな物を買い店から出てくると、別行動だったメンバーが慌てた様子で来た。話を聞くと、メンバーの1人が捕まったそうだ。

相手は関東制覇を横須賀提督達に阻まれた別グループの暴走族で、そちらは全員 男で構成されたグループだった。

横須賀提督達は仲間を助けるために、連中が溜まり場にしてる倉庫へ向かうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*倉庫 22:22*

 

横須賀提督が連中が溜まり場にしてる倉庫へ到着するが、捕まったメンバーは既にボコボコにされていた。

暴走族と暴走族の抗争が始まり乱戦になるが、相手は卑劣な罠を用意しており、横須賀提督達は まんまと罠に嵌まってしまった。

メンバーは全員 打ち倒され、残ったのは横須賀提督だけだった。それでも、横須賀提督も傷だらけで膝を突いている。

 

暴走族「テメェらのせいで こっちの面子は丸潰れだ。責任 取ってもらおうか」

 

暴走族「関東最強は俺達なんだよ」

 

横須賀「ハッ、セコい手を使わないと女も殴れない あんたらが“最強”?笑わせんじゃないよ!」

 

横須賀提督は笑みを浮かべてから そう吐き捨てたが、正直に言うと厳しい。傷の痛みと疲れから、立ち上がれるかも怪しい。最早ただの強がりだ。

端から見ても それが強がりだと判るはずだが、それでも相手の沸点は低かったらしく、逆上する。

 

暴走族「だったら、身体に教えてやるよ!」

 

横須賀提督の頭を金属バットで殴り付けようとするが、突然 倉庫の扉が開き、大男が現れた。

倉庫に居た殆んどが、“誰?”と言いたげに不思議そうな顔をしたり、怪訝な顔をする中、横須賀提督だけは驚いた顔をしていた。

 

横須賀「(あいつ、コンビニに居た・・・)」

 

だが それで おもしろくないのは、横須賀提督達をボコボコにしていた相手グループだ。突然 邪魔が入ったのが気に入らない。

 

暴走族「おい おっさん、あんた誰だ?勝手に入ってくるんじゃねぇよ」

 

大将「“最強”の名を賭けた勝負があると聞いて来た。ここか?」

 

どこで聞き付けた?

 

暴走族「意味 分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞ!殺っちまえ!」

 

暴走族が武器を手に、一斉に大将に襲い掛かる。

だが大将は、真っ先に向かってきた先頭の男を殴り飛ばした。殴られた男は、有り得ないほど吹き飛んだ。

後ろに続いてた他の暴走族は、その瞬間を目にし、思わず足を止めた。

吹き飛んだ男は、そのまま気絶して動かなくなってしまった。もう これで、力量差は よく判ったはずだ。

だが こいつらは暴走族。プライドもあり、退くに退けない。

ヤケクソになり また大将に向かっていくが、大将は1人で、掛かってくる暴走族の相手をし、その全員を蹴散らしていく。

横須賀提督は ただ呆然と、大人数を相手に おっさんが暴れてるのを見ている事しかできなかった。

 

 

・・・・・・

 

そして10分後、倉庫にあった喧騒は止み、静寂だけが そこにはあった。

大将の周りでは、大将に掛かっていった暴走族がボロボロで倒れていた。まだ意識のある者は、小さな呻き声を漏らしている。

その中心に立つ大将は、無傷だった。

すると大将の眼が、ギョロリと横須賀提督の方を向く。横須賀提督はビクッとし、大将が こちらに歩いてくる。

眼前で大将が立ち止まり、次は自分の番かと死を悟り、横須賀提督は震えて その瞬間を待つしかできない。

 

大将「大丈夫か?」

 

横須賀「・・・・・・え・・・?」

 

大将「大丈夫かと訊いたんだ」

 

横須賀「だ、大丈夫・・・」

 

大将「そうか。走り屋も悪くないが、こういうのはやめた方がいいのではないか?まだ子供だろ」

 

横須賀「子供って言うな!あんたには関係ないだろ!」

 

大将「ふむ・・・まぁ、そうだな」

 

大将は、確かに関係ないなと思い、踵を返して立ち去ろうとする。そもそも勝手に首を突っ込んだだけで、説教までする気はなかった。

だが立ち去ろうとする大将を、横須賀提督が呼び止めた。大将は何も言わず振り返り、横須賀提督の次の言葉を待つ。

 

横須賀「あんた、何者なんだい?」

 

大将「俺は軍人だ」

 

横須賀「軍人・・・?陸軍とか?」

 

大将「いや、海軍だ。仲間を連れて、早く家に帰れ。親御さんが心配する」

 

そう言って、大将は今度こそ立ち去った。

横須賀提督は、大将が出ていった倉庫の出口を見詰めながら、しばらく動かなかった。

 

 

・・・・・・

 

*現在 沖 6月3日 23:34*

 

夜となり、天候が崩れ雨が降り、風も強く波も高く、ちょっとした嵐になる中で、横須賀鎮守府と大本営の艦隊演習、ダンテ率いる大艦隊と深海棲艦の大規模部隊の戦いは、戦いの流れで合流してしまい、誰が誰を撃ってるのか判らない状態だった。

夜と雨になったのもあり、ダンテの方は正規空母と軽空母を横須賀鎮守府に帰還させた。

更に戦闘には、ダンテが呼び寄せたアマ・デトワール号も参戦し、船体側面と甲板から大砲を撃ち、轟音を響かせている。

ダンテは分離させたキャバリエーレで、次から次へと深海棲艦を斬り飛ばしていく。

 

摩耶「混戦し過ぎだろ!」

 

ビスマルク「横須賀艦隊とか、こっち来ちゃってるわよ!?」

 

ダンテ「あいつらに近付かせるな!意地でも食い止めろ!」

 

ガングート「ムチャを言う・・・!」

 

朝潮「もう少しです!頑張りましょう!」

 

横須賀艦隊は既に、旗艦の扶桑、山城、島風が小破、天津風が中破、加賀と瑞鶴が大破となっている。

そして大本営の艦隊では、旗艦の大和が小破、武蔵と球磨が中破、陸奥、山風、谷風が大破となっていた。

 

山風「嫌だよ!あたし、嫌だからね!」

 

武蔵「確かに、最初の時とは全然 違うようだな」

 

大和「武蔵は前に出過ぎ!」

 

横須賀扶桑「(勝ちたい・・・提督のためにも、私達のためにも!)」

 

横須賀艦隊と大本営の艦隊は、大砲を撃ちまくるアマ・デトワール号へ向かって駆ける。

すると そのまま、横須賀艦隊はアマ・デトワール号の右舷側へと回り込み、大本営の艦隊から姿が見えなくなる。

大本営の艦隊は それを追うように、アマ・デトワール号の左舷側を通る。横須賀艦隊が出てきた所を狙い撃ちするつもりだ。

アマ・デトワール号の前に出るが、横須賀艦隊の姿が見当たらない。どこに行ったのかと探していると、後方から砲撃を受けた。振り返ると、横須賀鎮守府が後ろに居た。

アマ・デトワール号の右舷側から前に出ると思わせ、大本営の艦隊が左舷側に入った隙に引き返し、後ろに回り込んでいたのだ。

 

横須賀扶桑「撃てぇええええ!!」

 

横須賀の扶桑、山城、島風、天津風から砲雷撃が飛ぶ。更に航空戦艦2人は、徹甲弾を撃っていたためダメージが大きく、大本営の艦隊は大和が中破、武蔵と球磨が大破、陸奥、山風、谷風が轟沈判定を受け離脱する。

大本営の艦隊を ここまで追い込めたのは、横須賀提督が戦闘指揮において、実力を発揮できたのが大きい。そして それに応えようとする、艦娘達の意志だ。

 

大和「勝負は、最後まで判らないですよ!」

 

横須賀扶桑「それでも、私達が勝ちます!」

 

 

・・・・・・

 

*約30年前 街 16:07*

 

大将が暴走族の少女を助けてから、1週間が経った。その日は また、大将がコンビニに来ていた。

あれからコンビニの前で、暴走族を見る事はなくなった。

大将がコンビニから出ると、見覚えのある少女が立っていた。あのレディース総長、未来で横須賀鎮守府の提督になる少女だ。

大将は避けて立ち去ろうとするが、前に回り込まれて道を塞がれる。

 

大将「何か用か?」

 

横須賀「まだ、お礼 言ってなかったから・・・あの時は、助けてくれて ありがとう・・・」

 

大将「礼が欲しくてやった訳ではない」

 

大将は また横須賀提督を避けて帰ろうとするが、また回り込まれて道を塞がれる。これには大将もムッとした。

 

大将「何だ?」

 

横須賀「あ、あんたの・・・あんたの強さに惚れた!私を舎弟にしてくれ!」

 

突然の申し出に、大将は呆気に取られた。

舎弟など募集してないので断ろうとしたが、そこまで考えて別の意味だと解釈した。

 

大将「軍に入りたいなら、先ずは士官学校へ入れ。勉強の方は どうなんだ?」

 

横須賀「えっと、学校のテストじゃ90点代は普通だけど」

 

大将「ほう、勉強ができる暴走族か・・・何かムカつくな」

 

横須賀「勝手にムカついてんじゃねぇよ!」

 

大将「おい、軍人になるなら、言葉遣いには気を付けろ。敬語を使え」

 

横須賀「押忍!」

 

大将「“押忍”じゃなくて“はい”だ!」

 

横須賀「はい!」

 

大将「士官学校に入れれば、俺が お前を鍛えてやろう。ほれ、お近付きの印に、プリンをやろう」

 

そう言って、大将はコンビニで買ったプリンを手渡した。渡された横須賀提督は、キョトン顔でプリンを見詰めていた。

 

横須賀「プリン、好きなの?」

 

大将「プリンは世界を救う」

 

横須賀「・・・何 言ってんの?」

 

大将「折角だ。軍に入る気なら、お前の体力が どれだけあるか見てやろう。今から軽く10キロ走るぞ」

 

言うや否や、大将は早速 出発しようとするが、返事がない事を不審に思い、怪訝な様子で振り返った。すると横須賀提督は、バイクに乗ろうとしていた。

 

大将「おい待てバイクに跨がるな!何をしてる?!」

 

横須賀「え?だってダルいし、バイクの方が速いから」

 

大将「自分の足で走れ!兎に角 降りろ!」

 

横須賀「おい!引っ張んじゃねぇよ!」

 

大将「敬語!」

 

横須賀「引っ張んじゃねぇです!」

 

大将「お前、勉強はできるくせに日本語不自由か!」

 

これが、横須賀提督が海軍に入る始まりだった。

 

 

・・・・・・

 

*現在 横須賀鎮守府 演習場 6月4日 2:15*

 

夜の海から、アマ・デトワール号に乗るダンテ、艦娘達、横須賀艦隊、大本営の艦隊が戻ってきた。

嵐も止み、海は静けさを取り戻していた。

深海棲艦の大規模部隊は概ね撃破。数隻は逃げ帰り、艦隊演習も決着が着いた。

 

横須賀鎮守府

旗艦 扶桑、大破。

山城、大破。

加賀、轟沈判定。

瑞鶴、轟沈判定。

島風、大破。

天津風、大破。

 

大本営

旗艦 大和、轟沈判定。

武蔵、大破。

陸奥、轟沈判定。

球磨、大破。

山風、轟沈判定。

谷風、轟沈判定。

 

勝負は、横須賀鎮守府に白星が挙がった。

横須賀提督は、自身の艦隊に労いの言葉を掛けるのも そこそこに、大将の元へと走る。

 

横須賀「大将!」

 

大将「大佐、よく あそこで持ち堪えたな」

 

横須賀「わざと手加減しましたね?」

 

大将「何の事か━━」

 

横須賀「誤魔化さないでください!本気の あなたに勝たなきゃ、意味がないのに!」

 

大将「大佐よ、結果が全てだ。それに、俺も もう年寄りの仲間入りだ。焼きが回ったという事だろう」

 

横須賀「ですが!」

 

大将「大佐、俺は軍を抜けるつもりでいる」

 

横須賀「はい!?」

 

そんな話は初耳で、横須賀提督も寝耳に水だった。

軍を抜ける理由は幾つかあるが、その内の1つが、大将自身、身体に老いを感じ、あとは自分の志を継いでくれる者に任せようと考えていた。

 

横須賀「そんな・・・まだ、あの時の恩返しができてないのに!」

 

大将「恩返しなら、もう貰った。お前の成長を見れたからな。これからは、お前が導く立場になれ。こんな老いぼれを気にするのではなく、自分の これから先の事を考えろ」

 

横須賀提督は悲しげだったが、海軍式敬礼で、その言葉を受け入れ、噛み締めるのだった。

しかし、それで終わりという訳ではない。命令を無視して艦隊演習を続けた事と、上官への言動から、大将と横須賀提督は、元帥から謹慎処分を言い渡された。

大将は今日から1週間。横須賀提督は まだ合同演習があるため、全ての日程が終わってから3日間となった。

ここでの用も終わり、帰ろうとする大将だったが、ダンテに呼び止められた。大将は どこか不満そうに、ダンテに視線を向ける。

 

ダンテ「よう、手塩に掛けて育てた部下に負けたのは、どんな気分だ?」

 

大将「お前のせいで最悪だ。“楽しめ”などと吹き込みやがって。お前に感化される者が増えて、悩みの種が尽きん。謹慎処分まで喰らったからな」

 

ダンテ「よく言うぜ。アンタもノリノリだったって聞いたが?」

 

大将「俺も歳だ、どうだったか忘れた」

 

ダンテ「・・・そういうとこ、アンタの親父さんにソックリだな」

 

大将「まぁ、俺は謹慎を利用して休みを謳歌する。お前も ゆっくり休んでおけ」

 

そう言って、大将は横須賀鎮守府から立ち去った。

ダンテは やれやれと思いながら、鎮守府に帰るために艦娘達を呼びに行くのだった。

 

 

・・・・・・

 

*約25年前 士官学校*

 

横須賀提督が大将と出会ってから数年後、彼女は士官学校へ入学した。

海軍希望の訓練生は皆、教室として使われる部屋に集められ、椅子に座って何が始まるのかと待っていた。

教室の端には、訓練生を囲むように教官陣が数人 立っている。見方によれば、監視されてるような感じだ。

教室の扉がガラガラと開き、海軍の白服を着た1人の男が入ってきた。

 

横須賀「(あ・・・!)」

 

入ってきたのは、あの大将だった。

大将は教壇に立ち、最初という事もあり、当たり障りのないスピーチをしてから、教室から出ていく。

その直後、周りに居た教官陣が突然キレた。

 

教官「何で座ってんだコラァ!!」

 

教官「お前 立てコラァ!!」

 

訓練生が座る椅子や机を蹴り、中には胸ぐらを掴み、無理矢理 立たせる者も居る。あまりの剣幕に訓練生は硬直し、ただ教官陣の怒声を聞いてる事しかできない。

教官陣が なぜ怒ったのか、それは上官である大将が入ってきても座ったままだったからだ。

上官が部屋に来たら椅子から立ち上がり、気を付けで待機。座っていいと指示があるまでは座ってはいけない。それが軍での礼儀だ。

 

教官「上官が来て なぜ立たない?!失礼だとは思わないのか?!礼儀のない奴は ここには要らない、軍には要らない!やる気のない奴は荷物を纏めて ここから出てけ!」

 

一通り教官陣からの お叱りも終わり、立たされていた訓練生も座らされた。

横須賀提督は肝が据わっているため、教官陣が激怒してても精神的にノーダメージだった。

そんな中、隣に座る訓練生が話し掛けてきた。彼こそが、未来で舞鶴鎮守府の提督となり、結婚して離婚する相手だった。

 

舞鶴「うわ・・・マジおっかないよな?」

 

横須賀「え・・・?あぁ、そうだね」

 

教官「そこ!勝手に喋るんじゃねぇ!」

 

舞鶴「すんません!」

 

教官「“すみません”だろうがぁ!!」

 

 

“ずっと あなたに会いたかったのよ、有名人さん”

 

“有名人?”

 

“知らないの?今じゃ あなたの事を知らない人なんて海軍に居ないわ。一般人が元帥に認められ いきなり提督になった。そして悪魔と戦う紅い男”

 

“そいつは嬉しいね、有名人になるのが夢だったんだ”

 

 

そして数年後、士官学校を卒業した彼女は、横須賀鎮守府の提督となり、後に伝説となるデビルハンターと会うのだった。




真面目な話が続いてたので、次回は平和な話にしたいと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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