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256話です!どうぞ!
合同演習2回戦 第4試合、横須賀鎮守府と大本営の艦隊での艦隊演習が行われた。
大本営の艦隊を指揮する大将に立ち向かうため、横須賀提督は寝る間も惜しみ作戦を考えるが、勝つための作戦は何も思い付かないまま、艦隊演習が始まる。
空回り気味な横須賀鎮守府に、大将は ここまでかと残念そうに、艦隊演習を終わらせようとするが、そこにダンテが現れた。Devil May Cry鎮守府の艦娘達やパティも、ダンテは来ないとばかりに思っていたので、これには驚いた。
“真面目振ってねぇで、先ずは楽しみな!”
ダンテから発破を掛けられた横須賀提督は、昔の自分を思い出し、自分自身を見詰め直した事で、失っていた戦意を取り戻した。
上官には有り得ない口の利き方で大将に啖呵を切り、艦隊演習が継続される。
だが そう上手くは運ばなかった。
*横須賀鎮守府 演習場 6月3日 14:27*
大本営大淀『艦隊演習を中止してください。繰り返します、艦隊演習を中止してください。深海棲艦が、演習エリアに侵入しました』
突如として、深海棲艦の大規模部隊が侵攻を開始したのだ。
大本営の別艦隊が演習エリアの外側を警備していたが、数に押され突破されてしまっていた。現在 横須賀鎮守府を目指して侵攻中である。
対処するために、元帥が待機していた提督達に指示を出し始めるが、ダンテが動き走り出した。
ダンテ「おいババア!深海棲艦は俺の方で何とかしてやる!」
元帥「おい、ちょっと待て!」
ダンテは足に艤装を装着し、海へと飛び出した。
Devil May Cry鎮守府の艦娘達は互いの顔を見合わせてから、ダンテに続くように続々と海へ飛び出す。
愛宕「パティは ここで待っててね」
パティ「ちょっ、どこ行くの!?」
パティの引率だった高雄と愛宕まで飛び出し、残されたパティは どうすればいいか分からず、呆然と見送った。
すると、苦い顔をする元帥の元に、ニッコニコの鹿島が来た。
鹿島「うちの おバカ提督から伝言です♪」
“折角ここから盛り上がってくるんだ。絶対 演習を止めるな”
鹿島「だそうです♪」
だが それに異を唱えたのは、他の鎮守府や泊地、基地の提督達だった。深海棲艦の大規模部隊が接近中の中、艦隊演習を続けるのは危険だと。
アイオワ「だったら、我々も手伝うわ」
話にアイオワが乱入し、そちらを見ると、海外艦の艦娘が そこに居た。まだ今後の演習が残ってる者、既に敗退して終わってる者、全員が そこに居た。
ビスマルク「私、ビスマルクの出番ね」
元帥が口を開く前に、海外艦までもが全員 海に飛び出した。これには各提督達も頭を抱えた。
海外艦は、噂のダンテと共に戦えるチャンスだと思い、ウキウキしていた。もう誰にも止められない。
単冠「元帥、どうするんですか!?」
元帥「大将、演習は中止だ。すぐに艦隊を━━」
大将「申し訳ありませんが、その命令は聞けません」
元帥「何!?」
大将「どうやら私も、ダンテに感化されてしまったようです」
元帥「くっ・・・!艦隊演習の予定がなく、動ける者はDevil May Cry鎮守府の援護に向かえ!他の者は待機だ!」
佐世保提督は、自身の部下である艦娘に指示を出し、ダンテとDevil May Cry鎮守府の援護に向かわせた。
舞鶴提督と呉提督、単冠提督も同じく援護に向かわせ、大湊提督は近隣の街に避難指示を出すために動く。
宿毛「岩川基地も手伝って」
岩川「お、俺も?」
宿毛湾泊地と岩川基地の艦娘も、Devil May Cry鎮守府の援護に向かう事にした。
皆が艦隊演習を続けられるようにと、Devil May Cry鎮守府の援護に向かう中、鹿屋提督だけは踵を返して立ち去ろうとする。
鹿屋「(フッ、合同演習が どうなろうと、知った事じゃありませんね。轟沈艦でも出て、Devil May Cry鎮守府の戦力が落ちてくれれば、願ったり叶ったりですが)」
鹿屋提督は皆に背を向けて歩いていたため、誰も その悪い笑みに気付く事はなかった。
*沖*
ダンテとDevil May Cry鎮守府の艦娘達が海を駆けていると、後続の艦娘達が追い付いた。
アイオワ「
ダンテ「おいおい・・・」
後ろを振り返ると、大勢の艦娘達が一緒に来ていた。いつの間にか大勢の艦娘を引き連れていた事に、ダンテも少し呆れていた。
佐世保村雨「はいはーい、うちの提督から入電です。“我々は これより、Devil May Cry鎮守府の支援、援護に入る。戦場での細かい指示は、ダンテ提督がせよ”との事です」
ダンテ「ハッ・・・そうかよ」
そうしてる内に、海上に浮かぶ黒い影が見えてきた。深海棲艦の大規模部隊だ。
ハッキリとした数までは判らないが、こちらの艦娘の人数と そう変わらないと思われる。
ダンテ「奴さんが見えてきたぞ。いいか?味方に当てるなよ」
天龍「うっしゃー!」
佐世保村雨「佐世保鎮守府、交戦開始ね!」
舞鶴漣「舞鶴鎮守府に お任せ!」
呉五十鈴「呉鎮守府、行くわよ!」
単冠比叡「単冠湾泊地、交戦します!」
岩川長門「岩川基地、交戦する!」
宿毛加賀「宿毛湾泊地、交戦開始します」
日本海軍を先頭に、その後ろをアメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、ドイツ艦が続く。
アイオワ「さぁ、アメリカの火力 見せてあげるわ!」
ジャービス「All right!」
ローマ「本気で行くわ!」
パース「今度は敗けないわ」
ビスマルク「ドイツの戦い、見せてあげるわ!」
更に その後ろを、オランダ、スウェーデン、フランス、ロシア艦も続く。
デ・ロイヤル「行っくよー!」
彼女は、オランダの
新型主砲と、強力な対空機銃座を集中配備した新しいコンセプトの軽巡として、艦船だった頃に当時のオランダ領 東インドに配備された。
ABDA艦隊の旗艦としても戦った。
本人曰く、日本の重巡はヤバいらしい。
ゴト「頑張ってみる・・・!」
彼女は、スウェーデンの
予算の都合でカタパルトは1基。
リシュリュー「いいでしょう、早目に始末します!」
彼女は、フランスの
四連装主砲の出来は、本人曰く流石らしい。
ガングート「フン、任せておけ。行くぞ!」
彼女は、ロシアの
艦船だった頃の話だが、ドイツ革命後は『
赤城「第一次 攻撃隊、発艦!」
正規空母、軽空母、水上機母艦、航空戦艦、航空巡洋艦、潜水母艦から、一斉に艦載機が飛び立つ。同じく深海棲艦の大規模部隊からも、黒や白の色をした艦載機が飛び立ち、上空は即座に激しい墜とし合いが始まる。
主砲、副砲、機銃を搭載した水上艦も、弾幕を張りながら突撃する。
そして その真下では、潜水艦と潜水母艦が魚雷を発射していた。
ダンテ「
ダンテもエボニー&アイボリーを連射し、敵味方が入り乱れる戦場を駆け抜ける。
*横須賀鎮守府 演習場*
大和『大将、私達も深海棲艦の対処に向かうべきでは?』
大将「いや、深海棲艦はダンテ達に任せ、俺達は演習を続ける。抜かるなよ?横須賀鎮守府は さっきまでとは違う」
武蔵『・・・おもしろい、どう変わったのか見せてもらおうか!』
大将は、遠目から見える横須賀提督の眼を見て、彼も また、昔を思い出していた。横須賀提督と会った日の事を。
・・・・・・
*約30年前 街 16:05*
当時16歳だった横須賀提督は、レディース暴走族 先代総長から、総長の座を譲り受けた。周りには年上の先輩なども居たが、それらを差し置いて総長になった事に、誰も文句を言う者は居なかった。周りからは慕われ、信頼もされていた。
関東制覇を果たし、横須賀提督達は いつも立ち寄るコンビニに来る。
メンバー「いや~、もう あたしら最強ッスね!」
横須賀「そうだね」
コンビニに入ろうとするが、中から誰かが出てきて ぶつかりそうになる。横須賀提督の取り巻きが文句を言ってやろうとしたが、言いかけた文句は途中で止まった。
中から出てきたのは、横須賀提督達が見上げなければならない程の大男だった。これが、当時の大将である。
最初は大男でビビったが、取り巻きは気を取り直し、再び口を開く。
メンバー「テメェ、危ねぇだろうが!どこ見て━━」
横須賀「よしな。さっさと入るよ」
メンバー「そ、総長!?」
総長である横須賀提督に止められ、取り巻きは ぶつくさと大将に愚痴りながら、先に店に入った横須賀提督を追って店に続いた。
大将は暴走族に喧嘩を売られたのも気にせず、そのまま店を後にしようと歩き出す。
大将「(あれがヘッドか・・・あの娘、中々いい眼をしてるな)」
横須賀提督達が、それぞれ好きな物を買い店から出てくると、別行動だったメンバーが慌てた様子で来た。話を聞くと、メンバーの1人が捕まったそうだ。
相手は関東制覇を横須賀提督達に阻まれた別グループの暴走族で、そちらは全員 男で構成されたグループだった。
横須賀提督達は仲間を助けるために、連中が溜まり場にしてる倉庫へ向かうのだった。
・・・・・・
*倉庫 22:22*
横須賀提督が連中が溜まり場にしてる倉庫へ到着するが、捕まったメンバーは既にボコボコにされていた。
暴走族と暴走族の抗争が始まり乱戦になるが、相手は卑劣な罠を用意しており、横須賀提督達は まんまと罠に嵌まってしまった。
メンバーは全員 打ち倒され、残ったのは横須賀提督だけだった。それでも、横須賀提督も傷だらけで膝を突いている。
暴走族「テメェらのせいで こっちの面子は丸潰れだ。責任 取ってもらおうか」
暴走族「関東最強は俺達なんだよ」
横須賀「ハッ、セコい手を使わないと女も殴れない あんたらが“最強”?笑わせんじゃないよ!」
横須賀提督は笑みを浮かべてから そう吐き捨てたが、正直に言うと厳しい。傷の痛みと疲れから、立ち上がれるかも怪しい。最早ただの強がりだ。
端から見ても それが強がりだと判るはずだが、それでも相手の沸点は低かったらしく、逆上する。
暴走族「だったら、身体に教えてやるよ!」
横須賀提督の頭を金属バットで殴り付けようとするが、突然 倉庫の扉が開き、大男が現れた。
倉庫に居た殆んどが、“誰?”と言いたげに不思議そうな顔をしたり、怪訝な顔をする中、横須賀提督だけは驚いた顔をしていた。
横須賀「(あいつ、コンビニに居た・・・)」
だが それで おもしろくないのは、横須賀提督達をボコボコにしていた相手グループだ。突然 邪魔が入ったのが気に入らない。
暴走族「おい おっさん、あんた誰だ?勝手に入ってくるんじゃねぇよ」
大将「“最強”の名を賭けた勝負があると聞いて来た。ここか?」
どこで聞き付けた?
暴走族「意味 分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞ!殺っちまえ!」
暴走族が武器を手に、一斉に大将に襲い掛かる。
だが大将は、真っ先に向かってきた先頭の男を殴り飛ばした。殴られた男は、有り得ないほど吹き飛んだ。
後ろに続いてた他の暴走族は、その瞬間を目にし、思わず足を止めた。
吹き飛んだ男は、そのまま気絶して動かなくなってしまった。もう これで、力量差は よく判ったはずだ。
だが こいつらは暴走族。プライドもあり、退くに退けない。
ヤケクソになり また大将に向かっていくが、大将は1人で、掛かってくる暴走族の相手をし、その全員を蹴散らしていく。
横須賀提督は ただ呆然と、大人数を相手に おっさんが暴れてるのを見ている事しかできなかった。
・・・・・・
そして10分後、倉庫にあった喧騒は止み、静寂だけが そこにはあった。
大将の周りでは、大将に掛かっていった暴走族がボロボロで倒れていた。まだ意識のある者は、小さな呻き声を漏らしている。
その中心に立つ大将は、無傷だった。
すると大将の眼が、ギョロリと横須賀提督の方を向く。横須賀提督はビクッとし、大将が こちらに歩いてくる。
眼前で大将が立ち止まり、次は自分の番かと死を悟り、横須賀提督は震えて その瞬間を待つしかできない。
大将「大丈夫か?」
横須賀「・・・・・・え・・・?」
大将「大丈夫かと訊いたんだ」
横須賀「だ、大丈夫・・・」
大将「そうか。走り屋も悪くないが、こういうのはやめた方がいいのではないか?まだ子供だろ」
横須賀「子供って言うな!あんたには関係ないだろ!」
大将「ふむ・・・まぁ、そうだな」
大将は、確かに関係ないなと思い、踵を返して立ち去ろうとする。そもそも勝手に首を突っ込んだだけで、説教までする気はなかった。
だが立ち去ろうとする大将を、横須賀提督が呼び止めた。大将は何も言わず振り返り、横須賀提督の次の言葉を待つ。
横須賀「あんた、何者なんだい?」
大将「俺は軍人だ」
横須賀「軍人・・・?陸軍とか?」
大将「いや、海軍だ。仲間を連れて、早く家に帰れ。親御さんが心配する」
そう言って、大将は今度こそ立ち去った。
横須賀提督は、大将が出ていった倉庫の出口を見詰めながら、しばらく動かなかった。
・・・・・・
*現在 沖 6月3日 23:34*
夜となり、天候が崩れ雨が降り、風も強く波も高く、ちょっとした嵐になる中で、横須賀鎮守府と大本営の艦隊演習、ダンテ率いる大艦隊と深海棲艦の大規模部隊の戦いは、戦いの流れで合流してしまい、誰が誰を撃ってるのか判らない状態だった。
夜と雨になったのもあり、ダンテの方は正規空母と軽空母を横須賀鎮守府に帰還させた。
更に戦闘には、ダンテが呼び寄せたアマ・デトワール号も参戦し、船体側面と甲板から大砲を撃ち、轟音を響かせている。
ダンテは分離させたキャバリエーレで、次から次へと深海棲艦を斬り飛ばしていく。
摩耶「混戦し過ぎだろ!」
ビスマルク「横須賀艦隊とか、こっち来ちゃってるわよ!?」
ダンテ「あいつらに近付かせるな!意地でも食い止めろ!」
ガングート「ムチャを言う・・・!」
朝潮「もう少しです!頑張りましょう!」
横須賀艦隊は既に、旗艦の扶桑、山城、島風が小破、天津風が中破、加賀と瑞鶴が大破となっている。
そして大本営の艦隊では、旗艦の大和が小破、武蔵と球磨が中破、陸奥、山風、谷風が大破となっていた。
山風「嫌だよ!あたし、嫌だからね!」
武蔵「確かに、最初の時とは全然 違うようだな」
大和「武蔵は前に出過ぎ!」
横須賀扶桑「(勝ちたい・・・提督のためにも、私達のためにも!)」
横須賀艦隊と大本営の艦隊は、大砲を撃ちまくるアマ・デトワール号へ向かって駆ける。
すると そのまま、横須賀艦隊はアマ・デトワール号の右舷側へと回り込み、大本営の艦隊から姿が見えなくなる。
大本営の艦隊は それを追うように、アマ・デトワール号の左舷側を通る。横須賀艦隊が出てきた所を狙い撃ちするつもりだ。
アマ・デトワール号の前に出るが、横須賀艦隊の姿が見当たらない。どこに行ったのかと探していると、後方から砲撃を受けた。振り返ると、横須賀鎮守府が後ろに居た。
アマ・デトワール号の右舷側から前に出ると思わせ、大本営の艦隊が左舷側に入った隙に引き返し、後ろに回り込んでいたのだ。
横須賀扶桑「撃てぇええええ!!」
横須賀の扶桑、山城、島風、天津風から砲雷撃が飛ぶ。更に航空戦艦2人は、徹甲弾を撃っていたためダメージが大きく、大本営の艦隊は大和が中破、武蔵と球磨が大破、陸奥、山風、谷風が轟沈判定を受け離脱する。
大本営の艦隊を ここまで追い込めたのは、横須賀提督が戦闘指揮において、実力を発揮できたのが大きい。そして それに応えようとする、艦娘達の意志だ。
大和「勝負は、最後まで判らないですよ!」
横須賀扶桑「それでも、私達が勝ちます!」
・・・・・・
*約30年前 街 16:07*
大将が暴走族の少女を助けてから、1週間が経った。その日は また、大将がコンビニに来ていた。
あれからコンビニの前で、暴走族を見る事はなくなった。
大将がコンビニから出ると、見覚えのある少女が立っていた。あのレディース総長、未来で横須賀鎮守府の提督になる少女だ。
大将は避けて立ち去ろうとするが、前に回り込まれて道を塞がれる。
大将「何か用か?」
横須賀「まだ、お礼 言ってなかったから・・・あの時は、助けてくれて ありがとう・・・」
大将「礼が欲しくてやった訳ではない」
大将は また横須賀提督を避けて帰ろうとするが、また回り込まれて道を塞がれる。これには大将もムッとした。
大将「何だ?」
横須賀「あ、あんたの・・・あんたの強さに惚れた!私を舎弟にしてくれ!」
突然の申し出に、大将は呆気に取られた。
舎弟など募集してないので断ろうとしたが、そこまで考えて別の意味だと解釈した。
大将「軍に入りたいなら、先ずは士官学校へ入れ。勉強の方は どうなんだ?」
横須賀「えっと、学校のテストじゃ90点代は普通だけど」
大将「ほう、勉強ができる暴走族か・・・何かムカつくな」
横須賀「勝手にムカついてんじゃねぇよ!」
大将「おい、軍人になるなら、言葉遣いには気を付けろ。敬語を使え」
横須賀「押忍!」
大将「“押忍”じゃなくて“はい”だ!」
横須賀「はい!」
大将「士官学校に入れれば、俺が お前を鍛えてやろう。ほれ、お近付きの印に、プリンをやろう」
そう言って、大将はコンビニで買ったプリンを手渡した。渡された横須賀提督は、キョトン顔でプリンを見詰めていた。
横須賀「プリン、好きなの?」
大将「プリンは世界を救う」
横須賀「・・・何 言ってんの?」
大将「折角だ。軍に入る気なら、お前の体力が どれだけあるか見てやろう。今から軽く10キロ走るぞ」
言うや否や、大将は早速 出発しようとするが、返事がない事を不審に思い、怪訝な様子で振り返った。すると横須賀提督は、バイクに乗ろうとしていた。
大将「おい待てバイクに跨がるな!何をしてる?!」
横須賀「え?だってダルいし、バイクの方が速いから」
大将「自分の足で走れ!兎に角 降りろ!」
横須賀「おい!引っ張んじゃねぇよ!」
大将「敬語!」
横須賀「引っ張んじゃねぇです!」
大将「お前、勉強はできるくせに日本語不自由か!」
これが、横須賀提督が海軍に入る始まりだった。
・・・・・・
*現在 横須賀鎮守府 演習場 6月4日 2:15*
夜の海から、アマ・デトワール号に乗るダンテ、艦娘達、横須賀艦隊、大本営の艦隊が戻ってきた。
嵐も止み、海は静けさを取り戻していた。
深海棲艦の大規模部隊は概ね撃破。数隻は逃げ帰り、艦隊演習も決着が着いた。
横須賀鎮守府
旗艦 扶桑、大破。
山城、大破。
加賀、轟沈判定。
瑞鶴、轟沈判定。
島風、大破。
天津風、大破。
大本営
旗艦 大和、轟沈判定。
武蔵、大破。
陸奥、轟沈判定。
球磨、大破。
山風、轟沈判定。
谷風、轟沈判定。
勝負は、横須賀鎮守府に白星が挙がった。
横須賀提督は、自身の艦隊に労いの言葉を掛けるのも そこそこに、大将の元へと走る。
横須賀「大将!」
大将「大佐、よく あそこで持ち堪えたな」
横須賀「わざと手加減しましたね?」
大将「何の事か━━」
横須賀「誤魔化さないでください!本気の あなたに勝たなきゃ、意味がないのに!」
大将「大佐よ、結果が全てだ。それに、俺も もう年寄りの仲間入りだ。焼きが回ったという事だろう」
横須賀「ですが!」
大将「大佐、俺は軍を抜けるつもりでいる」
横須賀「はい!?」
そんな話は初耳で、横須賀提督も寝耳に水だった。
軍を抜ける理由は幾つかあるが、その内の1つが、大将自身、身体に老いを感じ、あとは自分の志を継いでくれる者に任せようと考えていた。
横須賀「そんな・・・まだ、あの時の恩返しができてないのに!」
大将「恩返しなら、もう貰った。お前の成長を見れたからな。これからは、お前が導く立場になれ。こんな老いぼれを気にするのではなく、自分の これから先の事を考えろ」
横須賀提督は悲しげだったが、海軍式敬礼で、その言葉を受け入れ、噛み締めるのだった。
しかし、それで終わりという訳ではない。命令を無視して艦隊演習を続けた事と、上官への言動から、大将と横須賀提督は、元帥から謹慎処分を言い渡された。
大将は今日から1週間。横須賀提督は まだ合同演習があるため、全ての日程が終わってから3日間となった。
ここでの用も終わり、帰ろうとする大将だったが、ダンテに呼び止められた。大将は どこか不満そうに、ダンテに視線を向ける。
ダンテ「よう、手塩に掛けて育てた部下に負けたのは、どんな気分だ?」
大将「お前のせいで最悪だ。“楽しめ”などと吹き込みやがって。お前に感化される者が増えて、悩みの種が尽きん。謹慎処分まで喰らったからな」
ダンテ「よく言うぜ。アンタもノリノリだったって聞いたが?」
大将「俺も歳だ、どうだったか忘れた」
ダンテ「・・・そういうとこ、アンタの親父さんにソックリだな」
大将「まぁ、俺は謹慎を利用して休みを謳歌する。お前も ゆっくり休んでおけ」
そう言って、大将は横須賀鎮守府から立ち去った。
ダンテは やれやれと思いながら、鎮守府に帰るために艦娘達を呼びに行くのだった。
・・・・・・
*約25年前 士官学校*
横須賀提督が大将と出会ってから数年後、彼女は士官学校へ入学した。
海軍希望の訓練生は皆、教室として使われる部屋に集められ、椅子に座って何が始まるのかと待っていた。
教室の端には、訓練生を囲むように教官陣が数人 立っている。見方によれば、監視されてるような感じだ。
教室の扉がガラガラと開き、海軍の白服を着た1人の男が入ってきた。
横須賀「(あ・・・!)」
入ってきたのは、あの大将だった。
大将は教壇に立ち、最初という事もあり、当たり障りのないスピーチをしてから、教室から出ていく。
その直後、周りに居た教官陣が突然キレた。
教官「何で座ってんだコラァ!!」
教官「お前 立てコラァ!!」
訓練生が座る椅子や机を蹴り、中には胸ぐらを掴み、無理矢理 立たせる者も居る。あまりの剣幕に訓練生は硬直し、ただ教官陣の怒声を聞いてる事しかできない。
教官陣が なぜ怒ったのか、それは上官である大将が入ってきても座ったままだったからだ。
上官が部屋に来たら椅子から立ち上がり、気を付けで待機。座っていいと指示があるまでは座ってはいけない。それが軍での礼儀だ。
教官「上官が来て なぜ立たない?!失礼だとは思わないのか?!礼儀のない奴は ここには要らない、軍には要らない!やる気のない奴は荷物を纏めて ここから出てけ!」
一通り教官陣からの お叱りも終わり、立たされていた訓練生も座らされた。
横須賀提督は肝が据わっているため、教官陣が激怒してても精神的にノーダメージだった。
そんな中、隣に座る訓練生が話し掛けてきた。彼こそが、未来で舞鶴鎮守府の提督となり、結婚して離婚する相手だった。
舞鶴「うわ・・・マジおっかないよな?」
横須賀「え・・・?あぁ、そうだね」
教官「そこ!勝手に喋るんじゃねぇ!」
舞鶴「すんません!」
教官「“すみません”だろうがぁ!!」
“ずっと あなたに会いたかったのよ、有名人さん”
“有名人?”
“知らないの?今じゃ あなたの事を知らない人なんて海軍に居ないわ。一般人が元帥に認められ いきなり提督になった。そして悪魔と戦う紅い男”
“そいつは嬉しいね、有名人になるのが夢だったんだ”
そして数年後、士官学校を卒業した彼女は、横須賀鎮守府の提督となり、後に伝説となるデビルハンターと会うのだった。
真面目な話が続いてたので、次回は平和な話にしたいと思います。
次回も宜しく お願い致します!