258話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 6月5日 8:30*
早朝、大本営から通達があった。
本来なら今日と明日は、合同演習の準決勝が行われ、明後日には決勝が行われるはずだった。
しかし、爆弾魔リーパーが引き起こした爆弾騒ぎなど、事件が重なってしまったため、合同演習を予定より早く終わらせる事が決まった。
合同演習に残っているのは4つの陣営だ。そこで、元帥は いきなり決勝を行い、4つの陣営でバトル・ロワイアル形式に艦隊演習をしてもらい、最後まで勝ち残った陣営が決まり次第、この合同演習を終了させようと考えていた。
急な変更もあり、艦隊演習の形式が変わったため、作戦の変更も必要だろうと、午前中は作戦会議などの時間が設けられ、合同演習は午後からとなる。
Devil May Cry鎮守府も、一航戦の2人と大淀、香取型の2人も作戦の変更が必要だと意見具申し、彼女達も現在、作戦会議の真っ最中だった。
そんな時であるが、ダンテは執務室で青葉型の2人と、川内、神通、
健は自身のノートパソコンで、中将の自宅のパソコンからコピーしたファイルをダンテに見せていた。
ダンテ「・・・・・・・・・」
川内「提督、これは かなり大きな収穫だと思うよ。これがあれば、艦娘売買で売られた艦娘全員を見付けられる」
健「それに、強力な証拠にもなる。これさえあれば、中将を起訴できるよ」
神通「すぐにでも、元帥に これを見せましょう」
ダンテ「・・・・・・いや、まだダメだ」
川内「どうして!?」
中将の自宅にあったパソコンのファイルの中身は、ダンテ達が欲しかった艦娘売買に関する情報が入っていた。これは紛れもない物的証拠となり、中将が関わっているのも明白であるため、すぐにでも起訴できるものだった。
だがダンテには、これを使って すぐに動くつもりはなかった。艦娘達や健は それに納得できない様子だったが、ダンテには別の考えがあった。
中将は これまで、のらりくらりと尻尾を掴まれないようにして、今まで捕まらないようにしていたはずだ。今 動いても、また何かしらの方法で逃げられても困る。
川内と神通、健はダンテの話に納得したのか、それ以上 何かを言う事はなかった。
そこでダンテは、中将が確実に逃げられない状況下で、この証拠を使いたかった。
可能か どうか判らないが、ダンテは自分の作戦を先に話し、健にできるか どうかを問う。すると、健は得意気に笑みを浮かべた。
健「それならできるよ。僕に任せて」
次にダンテは、青葉型の2人を見た。
ダンテ「そっちは どうなってる?」
衣笠「見付かる前に仕掛けられたから、止めを刺せるだけの証拠は手に入ると思う」
青葉「色々 話してたみたいですから、おもしろい話が聞けると思いますよ」
ダンテ「どっちにしても、合同演習が終わるまでに回収しろよ。じゃないと間に合わない」
青葉「分かってますって」
衣笠「衣笠さんに お任せ」
青葉型と健には合同演習後の準備を頼み、その場で解散として、ダンテは作戦会議をしているであろう会議室に向かうのだった。
*Devil May Cryの世界 フォルトゥナ 孤児院*
フォルトゥナにある孤児院の前に、移動式事務所『Devil May Cry』のバンが停まっている。
こちらの方は粗方 落ち着いたので、ネロとニコは、艦娘達が居る世界に戻るための準備をしていた。
ニコ「合同演習だったか?間に合うといいな」
ネロ「そうだな。どうせなら、直接 応援してやりたいしな」
快晴の空の下、何気なく向けた視線の先を見て、ネロの顔が強張る。フードを被った黒コートが居たのだ。
孤児院にはセリーナが張った結界がある。だからか、黒コートは離れた場所で こちらを見ていた。何かを仕掛けてくる様子もない。
ネロは自分から仕掛けに行こうか考えてると、黒コートは突然どこかに走り出した。ネロの身体は自然と動き、黒コートを追っていた。
ニコ「おい!」
ネロ「すぐ戻る!」
ニコは黒コートの人物に気付いてなかった。
ネロが急に走り出し訳が分からず、ニコは唖然としながら その場に立ち尽くすのだった。
すると、孤児院の中からキリエが顔を出した。
キリエ「ニコ、ネロは?」
ニコ「えっと・・・どっか行っちまった」
・・・・・・
*フォルトゥナ城 式闘場 11:14*
ネロは黒コートを追って港に向かい、採掘場を抜けてフォルトゥナ城に来ていた。
フォルトゥナ城の中も探し回り、嘗て地獄門の1つから出てきたバエルと戦った、式闘場の真ん中で黒コートが立っているのを見付ける。
歩きながら、背中を向けて立っている黒コートに近付き、一定の距離を置いて立ち止まった。
ネロ「お前、ルキフェルスとベルゼどっちだ?それとも新顔か?」
七騎士は殆んど壊滅状態で、残ってるのはベルゼと、七騎士を従わせてるルキフェルスしか居ない。
別の可能性として新手が来た可能性もあるが、面倒なので これ以上は増えないでほしいと、ネロは頭の片隅で思うのだった。
黒コートはネロに振り返り、被っているフードを取った。そして出てきたのは、ルキフェルスの顔だった。
ネロ「来るならベルゼの方かと思ってたが、親玉の お前が来るとはな」
ルキフェルス「お前をパーティーに招待しようと思ってな。失礼のないように、俺が直々に来た訳だ」
ネロ「悪いがパーティーは延期だ」
ネロは背中に手を伸ばし、レッドクイーンの柄を掴もうとする。だが その手は、レッドクイーンを掴む事はなかった。
反射的に身体が動き、そのままルキフェルスを追っていたので、レッドクイーンは置いてきてしまっていた。デビルブレイカーも同様であるため、今あるのはブルーローズだけだ。
ネロは舌打ちし、ブルーローズだけでルキフェルスと どう戦うか思案する。その間も、ルキフェルスからは目を離さない。ルキフェルスが動いたら、こちらも いつでも動けるようにしなくてはならない。
ルキフェルス「お前は眩しいな」
ネロ「・・・何だって?」
ルキフェルス「俺には、お前が眩しく見える。俺と同じ悪魔の力があり、捨てられ孤児となり、実の親の愛情も受けられなかったというのに、お前は人間のために戦い、どこまでも真っ直ぐだ。そんな お前が、俺には眩しく見えるんだよ」
ネロ「愛情なら、貰ったさ」
孤児となったネロは、キリエの家族に迎えられた。
クレドとキリエの両親は、本当の家族のように接してくれていた。
クレドも弟のように、ずっと面倒を見てくれた。
今となってはキリエと恋人同士だが、それ以前は本当の姉弟のように、ずっと世話を焼いてくれていた。
血の繋がりなんて関係ない。家族の愛情なら、ちゃんと貰った。
ネロ「言いたい事があるなら、ハッキリ言えよ」
ルキフェルス「そうか、なら遠慮なく言わせてもらう。お前が欲しい」
ネロ「・・・・・・は、はぁ!?何 気持ち悪いこと言ってんだ!」
ルキフェルス「お前には、この世界の伝説となった魔剣士スパーダの血が流れている。そして肉体は若く、どこまで強くなるか未知数な力を秘めている。俺は お前その物が欲しいんだ」
ネロ「悪いが そういう趣味はないんだよ!」
ルキフェルスの妙な話を拒否する意味でも、ネロはブルーローズの引き金を引く。だがルキフェルスは、小さな動きで弾丸を躱す。
そしてルキフェルスは、両手に赤く光る剣を出し、ネロに斬り掛かる。ネロは それを避け、至近距離でブルーローズを撃つ。至近距離で互いの攻撃を躱しながら、銃と剣の応酬が繰り広げられる。
一旦 距離が空くと、ルキフェルスが口を開く。
ルキフェルス「銃1つじゃ心細いだろ。玩具を増やしてやる」
ルキフェルスが手を翳すと、ネロの近くの上空に次元の穴が開いた。その穴から、レッドクイーンとデビルブレイカー各種が落ちてきた。
ルキフェルス「ほら、拾うといい」
ネロ「何の真似だ?」
ルキフェルス「全力で来てもらわないと困るんだよ。俺と お前は、戦う事でしか自分の存在価値を証明できない。結局やる事は同じなんだ、拾え」
ネロ「・・・・・・そうかよ!」
ネロは手早くレッドクイーンとデビルブレイカーを拾い、一気に間合いを詰めてレッドクイーンで斬り掛かる。レーザーのように膨大な熱を持つ光る剣と、レッドクイーンの刃が ぶつかる度に火花が飛び散る。
剣戟が続く中、ルキフェルスはレッドクイーンを避け、後ろに飛び退く。
ネロ「ガーベラ!」
その隙に、ネロは右腕を幽体化させ、デビルブレイカーのガーベラを装備する。
ルキフェルスからオレンジ色の魔力弾が飛んでくるが、ガーベラから放たれる衝撃波を利用しながら飛び回り、魔力弾を躱しながらルキフェルスへ向かっていく。
急接近して斬り掛かり、ルキフェルスも応戦して また剣戟が始まる。
何度か刃を交え、ルキフェルスがネロの首を狙って赤く光る剣を振る。ネロは それを しゃがんで避け、足を軸に回転しながら、ルキフェルスを斬り払う。
更に追い打ちを掛け、ガーベラからレーザー『ステイメンレイ』を発射。ルキフェルスを更に吹き飛ばす。
ガーベラは耐えられず壊れてしまった。
ネロ「オーバーチュア!」
ルキフェルス「乗ってきたな」
ネロ「・・・・・・!」
立ち上がったルキフェルスは2人に分身し、同時にネロに斬り掛かってくる。ネロはレッドクイーンで往なし、避け、隙を見てレッドクイーンとオーバーチュアで反撃する。
1つ判ったのは、このルキフェルスの分身体には実体があるという事だ。実体があるなら、倒せば消えてくれるはず。
だが2人のルキフェルスの連携攻撃に、避け切れずオーバーチュアが破壊されてしまう。
ネロ「ローハイド!」
再び同時に向かってくる2人のルキフェルスだが、ネロはローハイドの刃の鞭を振り、2人のルキフェルスを牽制し、分身体の方を仕留めた。
*艦これの世界 横須賀鎮守府 演習場 *
艦娘達の世界では、Devil May Cry鎮守府、横須賀鎮守府、鹿屋基地、アメリカ海軍の艦娘達が、元帥の前で整列していた。
そして何故か、改二がなく参加させる予定がなかった島風も一緒に並んでいた。
元帥「急な事で、諸君らも色々と変更を余儀なくされたと思う。しかし、ゆっくり合同演習に励んでいられる状況ではないと判断し、今日は このような形にさせてもらう事にした」
国内での事件や深海棲艦が動き出した事から、急遽 予定を変更したが、それに伴い忙しなくさせてしまった事を、元帥は心から謝罪した。
だが そんな事は重要ではない。この合同演習には、様々な思惑が絡んでいる。今日の演習が終わった その瞬間、誰かが目的を達成し、誰かが表舞台から消える。
元帥「異例の事ではあるが、ここに、合同演習最終日の開催を宣言する!」
元帥の開催宣言の後、艦娘達や海軍関係者は全員 敬礼する。それを見て、パティやルシアは感嘆の息を漏らしながら拍手していた。
一緒にバージルも居るのだが、彼は目を瞑り瞑想していた。
そして艦娘達と一緒に居たダンテは、敬礼もせず、隠す事なく欠伸していた。
すると何を思ったのか、観覧席からパティが立ち上がり、Devil May Cry鎮守府に声援を送り始めた。
パティ「皆ー!気合いよ!気合いで勝つのよ!ダンテ!負けたら承知しないわよ!ピザ抜きにするからね!」
ダンテ「(何で お前に決定権があるんだ?)」
パティ「ギッタンギッタンにしてやりなさい!ド根性よ!」
天龍「(関係ないからって好き勝手 言ってるな・・・)」
今となっては、ダンテや艦娘達からすればパティも もう身内だ。身内の はしゃぎっぷりにダンテは呆れ、艦娘達は恥ずかしくなる。
Devil May Cry鎮守府に好意を持ってる者は、微笑ましそうに笑みを浮かべ、温かい目で そんな様子を見ていた。ただ、Devil May Cry鎮守府の艦娘達からすれば、温かい目で見られるのも恥ずかしさの一因になっていた。
何はともあれ、Devil May Cry鎮守府、横須賀鎮守府、鹿屋基地、アメリカ海軍は それぞれの簡易司令部に移動し、最終準備に入った。これから、4陣営によるバトル・ロワイアルが始まる。
今回は鹿島が考えた作戦で行く。編成は旗艦に比叡、随伴艦に榛名、霧島、龍田、天龍、島風だ。
Devil May Cry鎮守府の艦隊も、スタンバイのため沖に向かおうとするが、天龍は ふとバージルの方を見た。バージルも いつの間にか目を開けていて、天龍を見ていた。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府 演習場 6月4日 20:49*
前日の夜、天龍はバージルに稽古を付けてもらっていた。今回は水上での稽古で、バージルもネロの艤装を装着し、実践形式での稽古となり、本格的なものだった。
動き回るバージルを狙い、天龍は砲雷撃を行う。だが砲弾も魚雷も、バージルは いとも容易く躱してしまう。
反撃とばかりに、バージルから幻影剣が連続で飛んでくる。これは砲撃に見立てた攻撃だ。
天龍は それを躱し、魚雷を発射する。魚雷は真っ直ぐバージルに向かっていき、爆発で水柱が上がる。
天龍は仕留めたかと淡い期待を抱くが、水柱を突き抜けバージルが突っ込んできた。
閻魔刀を刀で受け止めるが、天龍は力で押し負け吹き飛ばされてしまう。
バージル「油断するな。ただ撃つだけが能ではあるまい。お前と同じように接近戦も得意とする者は居るだろう。そら、上からも来るぞ」
そして頭上からは、『五月雨幻影剣』が降り注ぐ。これは爆撃に見立てた攻撃だ。
天龍は避ける事もできず、幻影剣の刃による傷が身体中に刻まれる。
天龍は痛みで、水上で力なく膝を突いてしまう。休憩もなくバージルを相手に長時間の稽古で、天龍の息は上がっていた。
バージル「どうした、もう終わりか?」
天龍「ぐっ・・・まだだ・・・まだ終わりじゃない・・・!俺達は・・・俺は負けられないんだ・・・!」
バージル「余計な事を考えるな。お前には雑念が多い。それは判断を鈍らせ、動きも鈍る。それでは初手から負けるぞ」
天龍「・・・くっそぉー!」
天龍は悔しさからか、感情に任せバージルに接近戦を挑む。がむしゃらに刀を振り、バージルに斬り掛かるが、バージルは造作もないという風に、天龍の刀を受け止めながら、横に逸らしていく。
天龍「この!この!この!この!このぉおおお!」
バージル「動きが大きくなっているぞ。最小限の動きで、確実に敵の首を取れと・・・言ったはずだ!!」
バージルは瞬時に、籠手具足のベオウルフを装備し、天龍の鳩尾に拳を めり込ませる。天龍の身体は くの字に折れ曲がり、ボールのように水面をバウンドしながら吹き飛ぶ。
一定の距離を転がった天龍が止まると、咳き込みながらバージルを睨む。
天龍「っ・・・!」
バージル「悔しいか?怒りを感じるか?」
天龍「くぅっ・・・!」
バージル「使え、その怒りを。力に変えろ」
天龍「う゛ぅ゛ぅ゛・・・!」
バージル「使え!」
天龍「ぬぅ゛ぅ゛ぅ゛っ・・・!」
バージル「お前自身が、何よりも研ぎ澄まされた刃になれ!」
天龍「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」
天龍の雄叫びが止まった後、バージルは少し驚いたような表情をした。天龍の纏う気が変わったのだ。
天龍は大股で腰を落とし、刀が顔の横で水平になるよう、切っ先をバージルに向けて構える。
天龍が纏う気は とても静かで、バージルから見ても、先程までとは違って隙がないように感じていた。
そしてバージルは、笑みを浮かべていた。
バージル「(試してみるか)」
バージルは『ドッペルゲンガー』を発動し、魔力で作り出した分身を出す。
バージル「最後の仕上げだ。最後まで気を抜くなよ」
バージルとドッペルゲンガーが同時に動き、天龍に向かっていく。それでも天龍は、微動だにせず構えたままだ。
天龍へと接近したバージルとドッペルゲンガーが、閻魔刀と閻魔刀を模した魔力の刀で斬り掛かる。すると天龍は、流れる水のように しなやかに、それを躱していく。
距離が空いた瞬間にバージルが幻影剣を飛ばすと、天龍は刀で打ち砕く。連続で飛ばしても それは同じだった。
躱し切れない幻影剣は、砲弾を ぶつけて相殺していく。天龍は、幻影剣の速度、位置を、正確に捉えていた。
更に『五月雨幻影剣』が頭上から降り注ぐが、天龍は それを予測していたのか、水上を滑り『五月雨幻影剣』が降る範囲から逃れ躱す。
ミラージュエッジを手にしたバージルが、黒い衝撃波『ドライブ』を放つ。天龍は体勢を低くしながら、水平に飛ぶ斬撃の下を潜った。
直後、間髪入れずに魚雷を発射。バージルは魚雷の軌道から外れるように動き躱す。
透かさずドッペルゲンガーが斬り掛かってくるが、天龍は それを避け、ドッペルゲンガーを無視してバージルに向かっていく。ドッペルゲンガーに実体はない。いくら攻撃しても無駄だ。ならば狙うは、本体であるバージルのみ。それは、この合同演習のルールにも似通っていた。
合同演習のルールでは、旗艦を轟沈判定にすれば、無条件で勝利となる。バージルとドッペルゲンガーを艦隊として見立てれば、旗艦はバージルとなるだろう。バカ正直に随伴艦の相手をするのではなく、無駄をなくし確実に旗艦を狙う。天龍がバージルを狙った その行動は、合同演習の事を考えれば正しい選択であった。
バージルはベオウルフを装備し、正面から向かってくる天龍に拳を振るう。天龍は自身の刀で拳を逸らし、通り過ぎ様にバージルの横っ腹に一太刀を入れた。
天龍「ご、ごめん師匠!」
バージル「・・・お前は、敵にも そうやって謝るのか?」
天龍「いや、それは、えっと・・・」
バージル「・・・まぁいい。ここまでとする。あの感覚を忘れるな。余計な事は考えず、ただ戦いに集中しろ」
天龍「お、おう・・・」
天龍は、バージルに自身の刀が届いた事を嬉しく思った。その喜びを、誰かと分かち合いたい。
天龍「俺やったぜドッペルゲンガー!」
バージルに言うには何か違う気がし、天龍は まだ具現化していたドッペルゲンガーに喜びを ぶつけた。すると何を思ったのか、ドッペルゲンガーがバージルの意思とは関係なく踊り出した。更に天龍を誘うように手招きしている。
顔を引き攣らせる天龍がバージルを見ると、バージルは閻魔刀でドッペルゲンガーを斬り裂き消した。
今日の稽古は ここまでとし、2人は陸に上がった。
天龍「何か、今なら合同演習も勝てる気がするぜ!」
バージル「調子に乗るな」
透かさず、鞘に納まった閻魔刀で頭を叩かれる天龍。その お陰か、天龍は龍田と暁型との約束があるのを思い出した。今日は一緒に風呂に入る約束をしていた。
天龍「悪い、俺もう行くから!」
それを思い出した途端、天龍は慌てて演習場から走り去った。バージルは呆れたように笑みを浮かべ、それを黙々と見送った。
バージルには、ずっと疑問に思っていた事があった。話を聞く限りでは、かなり以前から、天龍は深海棲艦だけでなく悪魔とも戦っている。それなのに、経験があるはずが実力が それに見合っていなかったのだ。
集中力がなく、口を開けば文句ばかり。
戦いとは こうするのだと固定観念に縛られているのか、誰かに教えられた事だけしかやらないように融通が利かず、動きが悪かった。
口で言うだけでは何も変わらず、そんな概念を取り払うには、実践形式の稽古を続けて身体に直接 教えるしかなかった。
死を思わせるだけの攻撃で攻め立て、考える余裕をなくし、考えるよりも先に、自然と身体が動くようにさせるのが目標だった。手荒ではあったが、天龍は見事、バージルが考える域に土壇場で達したのだ。
今の天龍が発揮できる実力は引き出した。あとは、実戦で同じ事ができるか どうかだ。
そこまで考え、バージルはハッとして自身の右手を見る。
バージル「(俺は今・・・こんな事で喜びを感じたというのか?)」
艦娘の事は、大して興味はない。
一緒に居るのも、ダンテが ここに留まるから仕方なくであり、成り行きで一緒に居る事になっただけだ。
天龍の稽古も、ダンテに言われたのが切っ掛けだが、単なる気紛れ、暇潰し程度に引き受けただけだ。
バージルは僅かに感じた感情に戸惑いつつ、右手を見詰め続ける。
ダンテ「嬉しそうにしちまって、弟子の成長が そんなに嬉しいのか?泣けるね」
ダンテの声がして そちらを見ると、ダンテと鹿島が居た。ずっと見ていたのかと思い、バージルの顔が不機嫌になる。
バージル「ダンテ、覗き見とは、お前にしては悪趣味だな」
ダンテ「俺達は散歩してただけだ」
鹿島「いえいえ、堂々と見てましたよ。気付かれないように♪」
やっぱり覗いてた2人。
どちらかと言えば、悪いのは鹿島だ。隠れて見ようと言ったのは彼女なのだ。
ダンテ「手加減してたとはいえ、お前に一撃 入れるとは大したもんだな」
バージル「あの程度できなくては話にならん。そっちは どうなんだ?」
ダンテ「龍田も いい具合に成長したぞ」
鹿島「お陰で、作戦も行動に移せそうです」
ダンテ「自信はあるのか?」
鹿島「6割ぐらいですかね」
ダンテ「・・・まぁまぁだな」
作戦を与えられたのは、合同演習に出る艦隊だけではない。待機する艦娘などにも与えられていた。
今回ダンテと鹿島が用意した作戦は、合同演習の内と外の同時平行で行われる。誰1人として失敗は許されないのだ。
バージル「やる事はやった。ダンテ、そろそろ俺達の方も終わらせる頃合いだと思うが?」
ダンテ「・・・ハッ、そういう誘いなら大歓迎だ。鹿島、下がってろ」
ダンテが手を翳し、魔剣ダンテを出す。
バージルも鞘に納まった閻魔刀の柄を握り、鹿島はギョッとして2人から離れる。
だが そこに、赤城と鳳翔が現れ、ダンテはバツが悪そうにし、バージルも眉間に皺を寄せる。
そして赤城と鳳翔は、ジト目で2人を見ていた。
鹿島はキョトン顔である。
赤城「提督?バージルさん?」
鳳翔「何する気ですか?」
親に悪い事が見付かった子供のように、ダンテとバージルは何も言わない。
赤城「まさか また喧嘩ですか?」
ダンテ「違う違う!俺達、仲良し!」
ダンテは慌てて魔剣ダンテを消し、バージルと肩を組んでニッと笑う。その顔は、若干 引き攣った笑顔だった。
ダンテに肩を組まれるのが鬱陶しかったのか、バージルはダンテの腕を払い落とす。誤魔化す気のないバージルに、今度はダンテが眉間に皺を寄せて睨む。
鳳翔「1度、鎮守府のルールを再確認しましょうか。私の店まで来てください」
ダンテ「お前の店は勘弁してくれ!質の悪い酔っ払いしか居ねぇ!」
赤城「ほらほら、行きますよ」
ダンテとバージルは、赤城と鳳翔に引き摺られるようにして、居酒屋『鳳翔』に連行された。
鹿島は、どさくさに紛れて姿を消していた。
・・・・・・
*現在 横須賀鎮守府 演習場*
天龍はバージルを見ながら頷くと、演習場から海に飛び出し、艦隊演習へと向かうのだった。
しばらく纏めて執筆しようと思うので、今年の投稿は ここまでとさせていただきます。
次回の投稿は、年明けから数日後にしようと思います。
今年も『Devil May Cry鎮守府』を読んでいただき、本当に ありがとうございます!
少し早いですが、皆さん良い お年を。
来年も、懲りずに読んでいただけると幸いです。
次回も宜しく お願い致します!