Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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今回はVルート最後の お話になります。
Vが どうなってしまうのか、どういう道を選び、どういう答えを見出だすのかを楽しんでいただけたらと思います。

276話です!どうぞ!


Mission276 バージル~心と誇りの象徴~

Vは別行動を取っていた者達と合流した後、悪魔マルファスが言っていた話から、魔王ユリゼンを探しに1人で行ってしまう。

後を追ってきた鳳翔と大淀と共に、現れた悪魔と戦っていたが、地面の崩落により悪魔と一緒に崖下へと落ちるのだった。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室 2月5日 11:15*

 

約4ヶ月前の ある日、バージルは執務室のソファーで読書をしていた。

そこにノックの音がし、青葉が入ってきた。

 

青葉「失礼します!あっ、バージルさん」

 

バージル「・・・青葉か。ダンテも赤城も ここには居ないぞ」

 

青葉「いえ、バージルさんに用があったんです」

 

バージル「俺に・・・?」

 

怪訝な顔をするバージルに近付くと、青葉は徐に1枚の写真を渡した。バージルは その写真を見ると、目を細めた。

 

バージル「・・・何だ これは?」

 

青葉「それ、バージルさんにあげようと思って持ってきたんです」

 

バージル「要らん、こんな物。他の奴にでもくれてやれ」

 

青葉「もう皆には配り終わりました。それはバージルさんの物なので、ちゃんと受け取ってください。では、さらばです!」

 

青葉は写真を押し付けると、そそくさと執務室を後にした。

バージルは手に持つ写真を少し見た後、目の前のテーブルに置き自身も執務室を後にするのだった。

 

 

・・・・・・

 

*街 6月20日 10:06*

 

そして現在・・・。

鳳翔の艤装の甲板に、続々と発艦していた艦載機が着艦する。

V達3人は無事で、一緒に落ちた悪魔は岩の下敷きとなり潰れて動かなくなっていた。

 

鳳翔「お疲れ様です」

 

大淀「・・・随分と落ちましたね」

 

V「関係ない、行くぞ」

 

艦載機の全機着艦が終わると、V達はマルファスの部下よりも先に、魔王ユリゼンを見付けるために出発する。

 

グリフォン『何だ ありゃ?

 

グリフォンが先行して偵察しに行くと、V達が今 居る場所よりも下方の先の方で、悪魔が集まっていた。

それを報告するために、グリフォンはV達の元へ戻る。

 

V「見付けたか?」

 

グリフォン『あー・・・よく分かんねぇ。何か またキモい悪魔が踊ってやがる

 

V「フッ、ならば行ってみるか。ユリゼンの気配は近い」

 

Vはグリフォンの言う場所に行くために歩を進め、鳳翔と大淀も頷き合い、Vの後ろを歩く。

しかし、魔界化の影響で激しい高低差が出来た場所は足下が悪く、歩くペースは自然と遅くなる。まるで山岳地帯を歩いてるような状態だ。

 

V「先に行く。ゆっくり来い」

 

Vは影となったシャドウに乗り、悪魔を倒しながら先行する事にした。

 

 

・・・・・・

 

先行したVが有象無象の悪魔を屠りながら先に進むと、広い場所に出た。

そこにも悪魔が居たが、それよりも気になる事態が発生した。重々しい何かが走っているのか、辺りが地響きで揺れる。

何が起きてるのかと辺りを見渡していると、それはVの後ろから迫ってきていた。その気配に気付いたVが、横に飛び退き地面を転がり避けると、迫っていた巨体は その場に居た悪魔に体当たりで蹴散らし、止まれず民家らしき建物に突っ込んだ。

瓦礫を押し退けて出てきたのは、拘束具を付けられたベヒモスだった。

更にヘルカイナ、ヘルアンテノラが地面から現れる。

グリフォンがヘルカイナやヘルアンテノラのような、有象無象の悪魔の相手を受け持ち、シャドウがベヒモスへ攻撃を仕掛けていく。

動きの鈍いベヒモスにシャドウが様々な攻撃を仕掛けていると、突然ベヒモスの身体で爆発が起きた。見ると、少し離れた場所で鳳翔と大淀が艤装を構えていた。

上空では艦載機が飛び、ヘルカイナとヘルアンテノラに攻撃を仕掛けていく。

そこまではいいのだが、大淀の砲撃でベヒモスの拘束具が外れてしまった。

ベヒモスは大きな口を開き、大きく長い触手を出しながら走り出した。拘束具があった時よりも激しい暴れっぷりに、ヘルカイナとヘルアンテノラまで吹き飛ばされる。

 

大淀「えっと・・・これ私のせいでしょうか?」

 

鳳翔「違うと言いたいですが、多分そうでしょう」

 

V「(こうなっては仕方ないか)」

 

自分の砲撃の後に、ベヒモスの凶暴性が増した事で大淀が狼狽えていると、パワーにはパワーを ぶつけるためにVはナイトメアを呼び出す。

ナイトメアはベヒモスの近くに落下すると、立ち上がりベヒモスに殴り掛かる。ベヒモスも負けじと触手を振り回し応戦する。

ナイトメアとベヒモスの脳筋バトルが繰り広げられる周囲で、ヘルカイナとヘルアンテノラを相手にグリフォンとシャドウの攻撃の手も激しくなる。

それを援護するように大淀は砲撃し、艦載機群も上空から支援する。

ベヒモスはナイトメアの攻撃を躱す意味でも、地面に潜り姿を消す。

標的を見失ったナイトメアが待ち構えていると、真下から突き上げるように飛び出してきた。それによってナイトメアが仰向けに倒れる。

倒れるナイトメアにベヒモスが のしかかり、更に2本の触手を叩き付けてくる。

ナイトメアは両手で触手を掴み、動けなくしたベヒモスにレーザー『ストロングポイント』を発射する。

そして触手を掴んだまま立ち上がり、力任せにベヒモスを投げ飛ばした。

 

V「こいつに時間を取られる訳にはいかない」

 

グリフォン『ちょっと待って避難してからにしてくれ!鳳翔と大淀も早く離れろ!

 

鳳翔と大淀、グリフォン、シャドウがナイトメアの後方に下がると、Vの指示でナイトメアから極太のレーザー『ドミネーション』が発射される。その奔流に、ベヒモスと有象無象の悪魔が纏めて吹き飛ばされる。

『ドミネーション』を撃ち終わると、ナイトメアは地面に溶けるようにして消えた。

トドメに、艦爆が爆撃を行い悪魔は消滅する。

 

グリフォン『お前よぉ、もう ちょっと考えて大技 使ってくんない!?巻き込まれる こっちの身にもなりやがれ!

 

V「行くぞ」

 

グリフォン『聞けよ!!

 

本来なら ここから先は行き止まりになっていた。しかし、ベヒモスが現れた時に建物を壊してくれた事で、運良く先に進めるようになっていた。

グリフォンが文句を叫び散らすが、一行は気にせず移動する。

 

グリフォン『泣くぞ?オレ泣くぞ?

 

その場で滞空したままグリフォンが愚痴っていると、シャドウがグリフォンを見ながら喉を鳴らす。何か言ってるようだ。

 

グリフォン『もう お前だけだぜ猫チャン。オレに優しくしてくれるの

 

シャドウが また喉を鳴らすと、V達を追って先に行ってしまう。

 

グリフォン『“そんなつもりで言ったんじゃない”って どゆこと!?猫チャン!詳しく!

 

シャドウに言われた事に困惑しながら、グリフォンは慌てて追い掛けた。

いったい何を言われたんだろうか?

 

 

・・・・・・

 

鳳翔と大淀の補給を兼ねて、V達はニコに電話した。それほど時間も掛からず、ニコが運転するバンが到着した。

 

ニコ「お待たせ」

 

鳳翔と大淀はバンの中に入り、さっそく補給を開始する。

だが1つ、気になる事があった。他には誰も居ないのだ。

 

V「他の連中は どうした?」

 

ニコ「あー、聞いてくれよ!天龍の野郎、ギャーギャー文句ばっかり言いやがるんだ。うるさいから全員 置いてきた」

 

鳳翔「もう、喧嘩しないよう いつも言ってるじゃないですか」

 

ニコ「文句しか言わない あいつが悪い!今頃 必死こいて走ってんじゃないか?」

 

大淀「コナーさんは どうしたんですか?」

 

ニコ「香取と鹿島と一緒に、横須賀鎮守府の周辺を偵察してくるってよ」

 

大淀「補給、終わりました」

 

V「では行くぞ」

 

鳳翔「ニコさん、もう喧嘩はしないでください。提督とバージルさんの喧嘩だけで お腹一杯です」

 

ニコ「へいへーい」

 

鳳翔がニコに釘を刺し、V達は目と鼻の先である目的地に向かう。

グリフォンが見付けた踊る悪魔が居る場所に着くと、そこには『ノーバディ』が数体、身体をウネウネさせながら居た。V達は今、物陰に隠れながら その様子を見てる。

ノーバディ━━どうやら不完全に生まれてしまった悪魔が群生化した存在らしいが、詳しい生態は まだ謎が多い種だ。

だが不完全と侮っていると痛い目を見る事になる。こいつの身体能力は、並の悪魔を遥かに凌ぐからだ。

しかも この種は独自の魔術を使う。稀に見せる奇妙な踊りには、魔力を吸収する効果があるようだ。

また、奇怪な仮面を被る行動も確認できている。仮面は こいつにとって、重要な意味を持つ物のようだ。

 

グリフォン『相変わらず、このタイプの悪魔は何してんだろうな?人間界に来れたハッピーダンスか?

 

グリフォンが近付くと、全てのノーバディが威嚇してきた。

 

グリフォン『やっぱり お呼びじゃねぇとよ!

 

V「それは こちらとて同じだ。これでは落ち着いて探し物もできん。貴様らには消えてもらうぞ」

 

ノーバディが一斉に飛び掛かり、V達は散開して初撃を躱す。

グリフォンとシャドウは、己の持つ能力を遺憾なく発揮してダメージを与えていくが、大淀と鳳翔は そうもいかなかった。跳ね回るノーバディに攻撃が当たる時もあれば、外れる時もあり、命中率は あまり良くなかった。

 

大淀「当たらない・・・!」

 

グリフォン『よく見ろ!落ち着いて狙えば当たる!

 

大淀「そんなこと言われても・・・もう、ジッとしてよ!」

 

ノーバディが踊り始め、Vの魔力が吸収される。

 

V「(これではナイトメアは呼び出せないな・・・)」

 

そんな事を考えてる間にノーバディに接近され、鳳翔と大淀が爪で引っ掻かれてしまう。回避行動を取ったため致命傷にはならなかったが、引っ掻かれた腕からは血が滲んでいた。

するとノーバディは、目玉を転がしてきた。鳳翔と大淀は それが何なのか分かっていなかったが、目玉が爆発し、2人が吹き飛ばされる。

ここは高低差が激しい場所。爆風に煽られ、Vは崖から落ちそうになる。

 

「「バージルさん!」」

 

グリフォン『V!

 

Vは どうにか踏ん張ろうとしたが、その甲斐もなく崖から落ちてしまった。

グリフォンとシャドウはVを助けに向かい、ノーバディに苦戦する鳳翔と大淀だけで その場に残される事となった。

 

 

・・・・・・

 

崖から落ちたVは、グリフォンとシャドウの お陰で無事だった。

だが落ちた お陰で、探し物は見付かった。

 

V「・・・・・・見付けたぞ」

 

魔王ユリゼンが倒れた状態で そこに居た。

Vの口角も、自然と上がる。

魔王ユリゼンに近付き身体の上に乗ると、しゃがみながら顔を覗き込む。すると、魔王ユリゼンの目が開いた。

 

ユリゼン『貴様は・・・

 

魔王ユリゼンは、生きていた。

 

 

・・・・・・

 

*クリフォトの樹 6月6日 21:26*

 

ユリゼン『ダンテを倒すのは俺だ。その前に、お前を捻り潰してやる

 

R・ネロ「丁度いい。お前もクリフォトの肥やしにしてやる」

 

魔界化が始まった最初の日の夜、魔王ユリゼンは単身で(ルキフェルス)・ネロの元に乗り込み、戦いになった。

R・ネロが魔力弾を飛ばすと、魔王ユリゼンは赤い結晶に包まれた閻魔刀で防ぐ。

そして今度は、魔王ユリゼンから仕掛けていく。パンチやローキックを繰り出すが、R・ネロは それを躱していく。

 

R・ネロ「禁断の果実を得たにしては、随分と単調な攻撃だな」

 

挑発しながらR・ネロが後ろに回り込むと、魔王ユリゼンは振り向きながら拳を振り下ろす。R・ネロが また躱すと、魔王ユリゼンの拳が当たった地面の一部が砕ける。

 

R・ネロ「今のは少し驚いた。だが それだけだ」

 

ユリゼン『それだけだと思うか?

 

魔王ユリゼンは、頭上に紫色のレーザーを打ち上げる。それは分散し、R・ネロに流星のように降り注いだ。

 

R・ネロ「やはり単調だな!」

 

R・ネロは降り注ぐレーザーの間を駆け抜けながら、魔王ユリゼンへと一気に間合いを詰める。だが それこそが、魔王ユリゼンの狙いだった。

魔王ユリゼンは、地面から青い炎を噴出させ、R・ネロを吹き飛ばす。

 

ユリゼン『貴様こそ避けるだけか?それでは この魔王には勝てんぞ

 

R・ネロ「お前こそ、いつまで魔王のつもりだ?」

 

R・ネロは赤く光る剣を出し、魔王ユリゼンに特攻する。そこからは、体術と剣技の攻防が始まる。

戦いは長く続いたが、少しずつ魔王ユリゼンが苦戦し始める。

 

ダンテ「バージル、お前だけじゃムリだ!ここから出せ!手伝ってやるよ!」

 

ユリゼン『お前の手助けなど必要ない

 

ダンテ「意地 張ってる場合か!つべこべ言ってないで出しやがれ!」

 

魔王ユリゼンは突進しながらアッパーを繰り出し、R・ネロを打ち上げると、踵落としで地面に叩き付ける。

だがR・ネロは すぐに起き上がり、両手の剣で斬り掛かり連撃を浴びせる。

それによって魔王ユリゼンは地面を滑るように後退し、R・ネロが追撃を仕掛けていくが、魔王ユリゼンは青い球体『タイムラグ』を飛ばす。R・ネロが それに触れると、動きが遅くなった。

そこを狙い魔力の剣を幾つも飛ばし、R・ネロが吹き飛ぶ。

追撃で紫色のレーザーを放ち、時間差で2つのレーザーに当たりR・ネロが倒れる。

 

ユリゼン『これが魔王の力だ!

 

ユリゼンは上を見上げ、鏡のような物に閉じ込められたダンテ達の方へ歩を進める。

 

R・ネロ「もう勝ったつもりなのか?」

 

耳元でR・ネロの声がし、魔王ユリゼンは咄嗟に裏拳を繰り出すが、R・ネロは一瞬にして姿を消し、空振りに終わる。

接近された気配もなかったため、これには魔王ユリゼンも一瞬とはいえ、肝を冷やした。

だが次の瞬間には、魔王ユリゼンの身体が宙に舞っていた。魔王ユリゼン自身も、何が起きたのか理解できていない。

R・ネロは、掌に7つの魔石の力を集めると、高出力のエネルギーとして それを撃ち出す。魔王ユリゼンは吹き飛ばされるまま、遠くまで飛ばされたのか その姿が見えなくなった。

 

R・ネロ「ネロを取り込んでも、まだコントロールし切れんか・・・」

 

だが この結果に、R・ネロは舌打ちしていた。

R・ネロとしては、魔王ユリゼンもダンテ達同様、クリフォトの養分にするために捕獲するつもりだった。しかし、思っていたより魔石の力を上手く制御できず、魔王ユリゼンを取り逃がしてしまった。

 

 

・・・・・・

 

*現在 街*

 

地上まで吹き飛ばされた魔王ユリゼンは、今日まで傷を癒すため休んでいた。

 

ユリゼン『貴様は・・・

 

V「無様だな。大方1人で乗り込み、返り討ちに遭ったというところか」

 

ユリゼン『まだ・・・敗けていない。力をくれ・・・!もっと力を!

 

V「分かっているさ。俺達は何度 離れる事になっても、その想いだけは常に繋がっていた。“汝が枝は、我が枝と交わり、我らが根は、1つとなれり”!」

 

魔王ユリゼンの胸に杖を突き刺し、青い光が天へと昇る。Vと魔王ユリゼンは、その光の中に姿を消した。

 

 

・・・・・・

 

*バージルの精神世界*

 

真っ暗な空間で、人間サイズ近くまで小さくなった魔王ユリゼンが もがいていた。

 

ユリゼン『違う、そうじゃない!俺は力を寄越せと言ったのだ!お前は弱さだ。最も不要な存在!

 

魔王ユリゼンの腕がVの腹部を刺し貫き、Vが吐血する。

 

ユリゼン『俺は このままで強くなるのだ!弱さ(お前)を捨て、実を食らい、俺は全てを手に入れたはず。俺は、強い!

 

魔王ユリゼンは どこまでもVを拒絶する。

するとVの背後から、ナイトメアの腕、グリフォンの翼、前半身のシャドウが現れ、Vを手助けするように暴れる魔王ユリゼンを抑え込む。

 

グリフォン『ハッハァー!何も変わってねぇな。それ自分で言っちゃぁダサいって教えてやったろ

 

V、3体の悪夢、魔王ユリゼンは、真っ暗な空間を ひたすら沈んでいく。

 

ユリゼン『グ・・・ッ、何故だ、なぜ敗ける?全てを手に入れたはずなのに、俺は・・・・・・俺は弱い

 

魔王ユリゼンの身体が崩壊し、中から何かが出てきた。それは眼球が無く、眼があるはずの場所から血を流し、全身が焼け爛れた人の姿をしている。

Vは その人物を そっと抱き締めた。

 

V「だから来たんだ」

 

Vは、焼け爛れた者を抱き締めたまま空間の底に着いた。

座り込むが、抱き締める手は離さない。

 

V「大丈夫だ・・・俺達は、俺達は強くなれるよ」

 

焼け爛れた者は何も言わず、ドロドロと溶けて崩れた。

Vは貫かれた腹部を少し触る。出血は止まらず、Vは倒れるように横になる。

空間の底である地面もドロドロの黒い粘液となり、意識が遠退く中、Vは呑み込まれてしまった。

 

グリフォン『寝起きの悪いVチャンよ、また目覚まし時計を掛けなかったのか?

 

真っ暗な意識の中でグリフォンの声がすると、グリフォンの翼に引っ張られるように、Vは真っ白な空間へと飛び出していた。

後ろを振り返ると真っ黒な空間があり、そこからグリフォンである黒い粘液が、引き摺ったようにVの方へ続いていた。

 

グリフォン『そんじゃ・・・オレらは そっちに行けねぇ。悪夢は ここまでだってさ。じゃーな

 

V「あぁ」

 

グリフォン『見ろよ、いい朝だぜ

 

そう言われ上を見上げると、真っ白な空間には いつの間にか青空が広がっていた。

Vが もう1度 グリフォンの方に振り返ると、Vは驚いたように目を見開く。そこには先程までの真っ黒な空間はなく、グリフォンも姿を消していた。あるのは、どこまでも続く白い荒野と青空だけだった。

Vは手袋を外し、その手で太陽の光を遮りながら また空を見上げる。

 

V「・・・・・・あぁ、いい朝だ」

 

Vしか居ないはずの世界に、誰かの足音がする。その足音の主は、Vの正面で立ち止まった。

 

V「おはよう、バージル・・・」

 

そこに居たのは抜き身の閻魔刀を持つ、血塗れで少年の姿をしたバージルだった。

 

V「・・・相変わらず酷い顔だな」

 

そう言った直後、少年バージルは閻魔刀の切っ先をVの首に突き付ける。

少年バージルの眼は、どこまでも敵意を剥き出しにした眼でVを見詰めている。

 

V「今回も忘れ物を届けにきただけだ」

 

Vは、少年バージルに青葉が撮った写真を差し出した。そこに写っていたのは節分戦争の日に撮ったダンテ、ネロ、バージル、艦娘達、ほっぽの集合写真だった。

それを見た少年バージルは、驚いたように目を見開く。

 

V「これも、俺達に本当に必要だった物だ。閻魔刀(ちから)だけじゃダメなんだ」

 

Vは自分の手が切れるのも厭わず、閻魔刀の刀身を握る。それを拒絶するように、少年バージルは閻魔刀を凪ぎ払い、写真を持っていた方のVの腕までが斬り付けられる。

Vが持っていた写真は、2人の間にヒラリヒラリと落ちた。

Vは斬られた箇所を押さえながら、尚も語り掛け続ける。

 

V「・・・そうだな。こうやって目を逸らし続け、また目を逸らそうとしていた。ネロに預けた本が俺の心、過去の思い出、2度と戻らないものの象徴だったように、写真(これ)は俺の誇り、2度と縁がないと思っていたものの象徴」

 

抱えておくには辛すぎた。Vが自分の世界で大事そうに持っていた本は、バージルにとって己の無力を思い出させるから。

忘れ去らなければならない・・・捨て去らなければならない。捨てなければ、捨てなければ・・・悪夢から逃れられない。

艦娘達と写る写真も そうだ。艦娘達に心を許し、大切なものを抱えれば、それを失うかもしれない恐怖、失った時の絶望・・・それは、新たな悪夢となり得る。

バージルの精神世界が それを映すように、少年バージルは走って逃げていた。走って走って、必死に逃げていた。

その後ろからは、目から血を流す人型の集合体、化け物が無数の手を伸ばし少年バージルを捕まえようとしていた。

 

V「バカだな」

 

走る少年バージルの後ろから手が伸び、彼の目を覆う。その手は、Vのものだった。

 

V「過去や他者との繋がりは不用と言いながら、俺は いつだって背中ばかり気にしているんだ・・・自分を助けてくれる者を欲していたんだ・・・ならば いっそ、正面から見詰めてやれば良かったのに・・・差し伸べられた手を取れば良かったのに」

 

Vが後ろに振り返り化け物を見ると、化け物が消し飛んだ。いや、それは化け物ではなく、バージルの中に残る最後の悪夢だったのだ。

悪夢が塵となり消え去っていく中、Vは少年バージルから手を離し、彼と向き合う。

少年バージルは いつの間にか悪夢が消えてる事に、不思議そうな顔をしていた。

 

V「俺は もう悪夢を恐れない。俺の心は、今度こそ俺を護る事ができるから。だから もう・・・この手に残ったもの、新しく手に入れたものまで捨てようとしなくていい」

 

そう言って、Vは少年バージルを優しく抱き締めた。すると血塗れだった少年バージルの血が消え、身嗜みが綺麗な姿になった。

Vが離れると、少年バージルは自身の手を見詰めた。

 

バージル「この手に残ったもの・・・新しく手に入れたもの・・・」

 

少年バージルの脳裏には、テメンニグルでの騒動で、魔界でのダンテとの最後の瞬間が思い出されていた。

差し伸べるダンテの手を拒絶し、バージルが魔界の深淵へと落ちていく瞬間、あの時のダンテは驚きと、大切なものを手から取り零した絶望が入り交じったような顔をしていた。それが、あの時バージルが見たダンテの最後の姿だった。

そして騒がしく鬱陶しい、Devil May Cry鎮守府の艦娘全員の姿が、走馬灯のように目まぐるしく脳裏に浮かぶ。

だが少年バージルは、まだ受け入れられなかった。

そして2人の会話は、元の世界でもした会話と重なる。

 

バージル「無意味だ。必要とされてるのはダンテだけだ。艦娘達(あいつら)も そう思ってるさ」

 

 

“俺達は どちらか1人で良かった。ダンテ(あいつ)も そう思ってるさ”

 

 

しかし、Vの考えは違った。

 

V「そうかな?俺の思うに・・・まぁ想像だが、もし選べるなら、艦娘達(あいつら)は双子の両方を選ぶね」

 

 

“もし選べるなら、ダンテ(あいつ)は また双子を選ぶね”

 

 

バージル「・・・何で?」

 

問われたVの脳裏では、どれだけ拒絶しても話し掛け、ダンテ共々 自分にイタズラを仕掛けてくる艦娘達の姿が浮かんでいた。

 

V「どちらも等しく大切に想っているから」

 

 

“喧嘩できるから”

 

 

バージル「・・・・・・」

 

V「鳳翔と大淀が待ってる」

 

 

“ダンテが来てる”

 

 

バージル「2人が・・・また戦えって?」

 

 

“ダンテが・・・また戦えって?”

 

 

V「決まってる。いつだって そうだったろ。艦娘と一緒に居るのは嫌いか?」

 

 

“弟と戦うのは嫌いか?”

 

 

バージル「・・・・・・・・・・・・・・・好きだよ」

 

少年バージルはVから目を逸らし、どこか気恥ずかしそうに答えた。

 

 

“なら喧嘩しに行こう”

 

 

V「なら助けに行こう。そして いつまでもサボってる、デリカシーのない弟と愚直な息子を ぶん殴って、今度こそ最強になりに行こうじゃないか」

 

Vが写真を差し出すと少年バージルは受け取り、抱えるように持ち大事そうにする。

その直後、2人を中心に風が渦巻き、Vの身体が塵となり始め消えていく。

 

V「(“お前が笑い、私は歌う。お前の喜びが どうか、ずっと続きますように”)」

 

最後にバージルに向けての詩を心の中で口ずさみ、Vの姿は完全に消えた。

 

 

・・・・・・

 

*街*

 

そして現実世界では、天へと昇る青い光が消え、その中心地ではバージルが立っていた。バージルが、再び復活した。

ゆっくりと目を開けたバージルは、真魔人となり高速で飛翔し、上昇していく。

 

 

・・・・・・

 

*バージルの精神世界*

 

白い荒野と青空が広がる精神世界で、塵が1ヶ所に集まりVの姿を形作る。

そのVは青空を見上げており、後ろを振り返ると笑みを浮かべ、口の前で人差し指を立てた。

Vの心は、バージルの中で生きている。




後半パロディだったんですが、『Devil May Cry5』の漫画で少年バージルがデレたのを見て大変 驚きまして、「このシーン出そう!」と愚直に思い勢いでやりました。いかがだったでしょうか?
感想などいただけましたら、また参考にさせていただこうと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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