283話です!どうぞ!
クリフォトの頂上へと辿り着いたバージル、艦娘達、コナー。そこでは、
だがクリフォトの実は既に実り、宙に浮かぶ鏡のような物には、意識のないダンテ、レディ、トリッシュ、ルシアが閉じ込められており、赤城の姿は見当たらない。
戦いを始めようとR・ネロが先手で動き始めるが、それを邪魔するように、消滅したはずの3体の悪夢が現れる。
そこに遅れて、若い姿のアーロンも現れた。
アーロンから、ダンテ達は悪夢の牢獄に捕らわれてると教えられ、長門型、金剛型、暁型、朝潮型は、3体の悪夢とアーロンの手を借り、ダンテ達が捕らわれる悪夢の中へと飛び込む。
そして その場に残ったバージル達は、ダンテ達が目覚めるまでの時間稼ぎで、R・ネロに戦いを挑む。
そして暁型と朝潮型は、グリフォンに案内された それぞれの悪夢の先で、レディとトリッシュを見付けるのだった。
*悪夢の中*
長門型が上を目指す謎の工場の屋上ではルシアが、嘗てデュマーリ島を悪魔の巣窟に変えた男、複合企業ウロボロスの経営者にして魔術師の『アリウス』と対峙していた。
アリウスの傍には、黒い仮面を付けた女が控えている。
アリウス「ほほう、これは これは、私の前に姿を現すとはな・・・出来損ないが」
ルシア「でき、そこない・・・?」
アリウス「お前は私によって生み出された“モノ”に過ぎん」
ルシア「嘘よ!私には、マティエという親が・・・」
アリウス「あの女は処分寸前の お前を奪い去り、手駒として育て上げただけ━━」
アリウスが話す横で、女は顔の仮面を取る。そうして露になった顔は、ルシアと同じ顔をしていた。
ルシアは驚き、1歩 後退る。ルシアが驚いた様子だからか、ルシアと同じ顔を持つホムンクルス、セクレタリーは微かに笑みを浮かべる。
アリウス「あれを母と呼ぶのか?」
ルシア「嘘・・・嘘よ!」
アリウスの口を封じるためルシアはダガーを投げるが、魔術の障壁に跳ね返され、逆にルシアの肩を掠める。
痛みにルシアは一瞬 怯んだが、そんな事を気にする事もなくアリウスの話は続く。
アリウス「見ろ、その肩に刻まれた印を・・・それこそが人形の証」
ダガーに切り裂かれた服の切れ目から、ルシアの肌が覗いている。そこにはあったのは、“χ”の印。
アリウス「“
アリウスが1歩1歩 近付いてくると、まだ頭が混乱してるルシアは、その歩調に合わせ後退る。
アリウスの話を、ルシアは信じたくなかった。だが、自分と同じ顔を持つセクレタリーを見て、自分に刻まれた印の意味を知り、アリウスの声や話し方から、嘘を吐いてるようには思えず、アリウスの話にも信憑性が出てくる。
アリウス「さぁ“アルカナ”を渡せ。それで術は完成し、私は覇王アルゴサクスと一体化する。完全なる叡智を手にし、万物を超越する事ができる!」
アリウスが自らの野望を高らかに明かすと、ルシアは それを許さないと言わんばかりに、腰からカトラシアを抜き構える。
アリウス「既に世界に歪みができている。魔に属するものは悉く、本来の醜い姿に戻るだろう。お前も いずれは魔物の本性を現し、人に害を為す存在となる。ククククク・・・受け入れろ、運命を」
陸奥「ふざけないで!」
アリウスが魔術を行使しようとした瞬間、屋上のヘリポートに出るための扉が開き、長門型が乱入した。
陸奥がアリウスに怒鳴り、長門は問答無用に砲撃し、ヘリポートに停まっていたヘリが爆発炎上する。
長門型は怒っていた。ヘリポートに出る少し前から、ルシアとアリウスの話を盗み聞きしていたのだが、アリウスの言い分に我慢の限界に達し、こうして出てきたのだった。
陸奥「“出来損ない”・・・?“作り物”・・・?それが何?肩の印が何だってのよ?そんなもの1つで、ルシアの価値を勝手に決めんじゃないわよ!」
ルシア「陸奥・・・」
陸奥「“魔物の本性”だの“人に害を為す存在”だの、そんなの私が全否定してやるわ!ルシアは そんな風にならない。そんな事はしない!」
長門「それに“作り物”と言うなら、私達 艦娘も同じようなものだからな」
陸奥は どこまでも怒りが収まらないのか、ずっと鬼の形相でアリウスを睨み、長門は自嘲気味の笑みを溢す。
ルシア「2人共・・・ありがとう」
陸奥「ルシアも何か言ってやりなさい!」
長門型2人の想いを受け取り、ルシアは今の自分が“どういう存在”なのか思い出し、アリウスに向き直り、確固たる意思を宿した眼で睨む。
ルシア「私は、“デュマーリの護り手”。その使命は、何があっても変わらない」
ルシアの強い意思の込もった言葉を浴びせられ、アリウスとセクレタリー、炎上するヘリが透けるように消えていく。
長門型とルシアは、互いの顔を見合せ笑みが溢れた。
ルシア「2人共、どうして ここに?」
陸奥「どうしてじゃないわよ。悪夢に捕らわれてる あなたを助けに来たの」
ルシア「悪夢・・・そう・・・だからアリウスが私の目の前に・・・」
長門「さぁ、ルシア。一緒に戻ろう」
長門型はルシアに手を差し伸べると、ルシアは頷いてから、2人の手を握るのだった。
・・・・・・
?「来て・・・!」
そして金剛型が辿り着いた燃え盛る家の中では、トリッシュに よく似た金髪の女性が銀髪の少年の手を引き、クローゼットの扉を開けて少年を中に入れる。
その女性は、ダンテとバージルの母親エヴァだった。
エヴァ「隠れてるのよダンテ。何があっても出てきてはダメ。バージルを探してくる、必ず戻るから」
エヴァは自分の話を しっかり言い聞かせるため、俯こうとする少年ダンテの顔に手を添え、自分の方に向き直らせる。
エヴァ「そんな顔しないで。いい?よく聞いて。あなたなら大丈夫、頑張れるわよね?」
そう訊かれ、恐怖に怯える少年ダンテは声に出して返事する事ができなかったが、代わりに頷き応える。
エヴァ「・・・・・・私が戻らなかったら・・・逃げるのよ。1人で、いいわね?逃げたら名前を変えて、別人として生きていきなさい。新しい人生を・・・始めるの」
エヴァは伝えるべき事を伝えると、少年ダンテを残したままクローゼットの扉を閉める。
エヴァ「バージル・・・バージル!どこに居るの?!」
本を買いに出掛けたまま戻らないバージルを探しに行くエヴァの後ろ姿を、少年ダンテはクローゼットの隙間から様子を見ていた。
だが家の どこかが崩れる音と、子供の恐怖心を駆り立てるには充分な程のエヴァの悲鳴が聞こえ、恐怖に怯える少年ダンテはクローゼットの扉から後退り座り込む。
すると、家の窓を突き破って金剛型が転がり込んできた。
霧島「っ・・・火の回りが速い・・・!」
比叡「誰か!誰か居ますか?!返事してください!」
・・・・・・返事はない。
まだ間に合うかもしれないと考え、金剛型は他の部屋も探しに行こうと動くが、部屋の出入り口の外で天井が崩れ、炎に道を塞がれる。
榛名「そんな・・・!?」
金剛「・・・・・・?」
家の一部が崩れる音と、火が家を燃やす音に紛れて、今 居る部屋の中で別の物音がしたのを、金剛は聞き逃さなかった。音がしたクローゼットに、金剛が近付いていく。
比叡「・・・お姉さま?」
クローゼットの隙間から金剛型を見ていた少年ダンテは、金剛が近付いてくるのを見て再び後退る。だがクローゼットの中は広い訳ではなく、それ以上 下がる事も、隠れる事もできない。
少年ダンテは恐怖に怯えながら、クローゼットの扉を開けられるのを ただ見ている事しかできない。
金剛がクローゼットを開けると、中には座り込んで、酷く怯えた表情で こちらを見上げる銀髪の少年が居た。
比叡「子供!?」
榛名「良かった、無事だったのね」
だが金剛型には1つ疑問が浮上した。自分達が この家に突入した切っ掛けは、トリッシュの声に似た女性の悲鳴だった。だが女性の姿は どこにもない。
銀髪の少年の様子から、金剛型は気付いてしまった。間に合わなかったのだと。
霧島「この子、誰かに似てるような・・・」
比叡「そんなこと言ってる場合じゃないよ!早く ここから逃げないと・・・!」
火の手の回りは速い。この家も そう長くは持たないかもしれない。自分達の身も危険である。
榛名「さぁ、早く ここから出ましょう!」
榛名が手を差し伸べるが、怯える銀髪の少年は、その手から逃げるように限界まで後ろに下がる。
比叡「榛名、怖がらせて どうするの!」
榛名「あ、あれ!?榛名は怖くないよ!?」
比叡、榛名、霧島が、動こうとしない銀髪の少年に困り果てている中、金剛は神妙な顔付きで銀髪の少年を見詰めていた。
金剛「・・・・・・そっか、そうだったんデスネ・・・」
比叡「お姉さま、何ですか?」
金剛「あなたは、“提督”なんデスネ?」
銀髪の少年がダンテであると言う金剛の言葉に、比叡、榛名、霧島は驚き銀髪の少年を見る。
比叡「えっ?えっ!?でも、司令って こんなに小さくないですよね!?」
金剛「私には分かりマース。彼は、私達の提督デース」
榛名「嘘・・・提督なんですか・・・!?」
霧島「どうりで、誰かに似てると思いました」
ここから逃げるためにも、少年ダンテを これ以上 怯えさせる訳にはいかない。だから金剛は、微笑みながら優しく話し掛ける。
金剛「提督、分かりマスカ?金剛デス」
ダンテ「コン、ゴウ・・・?」
金剛「そうデス。あなたの艦娘、あなたにBurning loveな金剛デス。あなたに会いたくて、ここまで来ちゃいマシタ」
少年ダンテは金剛から視線を外し、比叡、榛名、霧島へ順に視線を向けていく。
ダンテ「ヒ、エイ・・・ハルナ・・・キリ、シマ・・・?」
比叡「司令、私達が判るんですか!?」
榛名「提督だ・・・本当に提督なんですね!」
霧島「流石お姉さま、お見逸れしました」
少年ダンテは金剛に視線を戻すと、そこには変わらず優しい微笑みがあった。
金剛は自分の首に ぶら下がるネックレスを外し、少年ダンテに見せる。そのネックレスのトップには、薔薇のレリーフが刻まれている。
金剛「提督、これ憶えてマスカ?あなたに貰った物デス」
金剛は徐に、そのネックレスを少年ダンテの首に掛けた。
金剛「これがあったから、私は今まで頑張ってこれマシタ。だから今は、提督が頑張れるように提督が付けててくだサーイ」
すると少年ダンテの姿が、大人の姿のダンテに戻った。金剛型が知る、今 現在のダンテの姿に。
ダンテ「ハッ・・・」
榛名「も、戻った・・・」
霧島「何て珍妙な・・・」
ダンテ「ったく お前ら、こんなとこまで来やがって」
ダンテはバツが悪そうに、ボリボリと頭を掻くが、ダンテの物言いに、比叡の顔が一気に不機嫌面に変わる。
比叡「司令、誰のために ここまで来たと思ってるんですか?!」
ダンテ「だぁー!デカい声 出すな。妙に頭に響く」
金剛「提督!」
ダンテ「んぁ?」
金剛「一緒に帰りましょう。皆の所に」
金剛は、満面の笑みで手を差し伸べる。
ダンテ「フッ・・・だな」
ダンテは その手を掴むと、比叡、榛名、霧島もダンテの腕を掴み、ダンテは4人に引っ張られる形で立ち上がった。
ダンテ、レディ、トリッシュ、ルシアの悪夢の中、それぞれの場所で同じタイミングで、グリフォンの声が響く。
グリフォン『さぁ、目覚めの時だ!』
*クリフォト内部 6月20日 15:31*
R・ネロ「俺を相手に、よくも まぁ そこまで粘るものだな・・・!」
天龍「はぁ・・・はぁ・・・そっちこそ、粘ってんじゃねぇよ・・・!」
クリフォトの頂上では、バージル達とR・ネロの戦いは まだ決着が着いていなかった。艦娘達はバージルやコナー、アーロンのフォローもあり大した被弾もなく、一進一退の攻防が続き、どちらの側も決定打となる一撃を入れられてない状況だった。
すると突然、ダンテ達が捕らわれてる鏡のような物から、眩い光が放たれる。
R・ネロ「なっ、まさか・・・!?」
鏡のような物が砕け、中からダンテ、長門型、金剛型、暁型、朝潮型、レディ、トリッシュ、ルシア、3体の悪夢が飛び出してくる。
叢雲「戻った・・・戻ってきてくれた・・・!」
艦娘達はダンテ達が戻った事を喜び、士気が上がる。
バージル、コナー、アーロンは、“やっとか”というような呆れた笑みを浮かべていた。
復活したデビルハンター達は地面へと着地し、R・ネロを見据える。
レディ「よくもやってくれたわね」
トリッシュ「お陰で嫌なこと思い出したわ」
ルシア「私達全員を敵に回したこと、後悔するわよ」
R・ネロ「今更お前らが戻ったところで手遅れだ。既に禁断の果実は完成し、第8の魔石も間もなく完成する」
加賀「8つ目の魔石・・・!?」
アーロン「やはり、赤城君を捕まえたのは それが狙いか・・・」
睨み合いが続く中、ダンテは悪夢の中で金剛に渡されたネックレスを返すように、彼女に差し出す。
ダンテ「金剛、こいつは返しとくぜ」
金剛「提督・・・」
ダンテ「もう大丈夫だ、心配すんな」
ダンテの眼を見て、大丈夫だと確信した金剛は頷き、大人しくネックレスを受け取った。
そこでダンテは、当たり前のように一緒に居るアーロンに気付いた。
ダンテ「・・・何で お前が ここに居る?」
アーロン「やぁ、久しぶりだね、ダンテ君。いや、厳密には
ダンテ「信用できる訳ないだろ」
蒼龍「提督、この人 前に倒したアーロンとは別人なんです!」
利根「確かに信用はできんが、利害は一致しておる」
三隈「一応、助けてくれた事もありましたわ」
艦娘達の意見を聞き、ダンテは舌打ちしながらも今はアーロンを捨て置く。今、最優先で対処すべきは、目の前に居るR・ネロだ。
ダンテ「よう、ネロの身体は居心地いいかよ?ルキフェルス」
R・ネロ「あぁ・・・俺こそが世界を導く存在だと自覚させてくれる程にはな」
ダンテ「そうかい、それは何よりだな。だが、それも今日までだ」
ダンテの目が、デビルハンターとしての鋭い目付きに変わり、魔剣ダンテの切っ先をR・ネロに向ける。それを見ても、R・ネロは笑っていた。
R・ネロ「言っただろ。もう“手遅れ”だと」
R・ネロはダンテ達に背中を向けて駆け出し、クリフォトの実へと向かう。そして跳躍し、クリフォトの実へと手を伸ばす。
バージル「させるか!」
バージルが止めるために幻影剣を射出するが、遅かった。R・ネロはクリフォトの実を もぎ取り、幻影剣も外れる。
R・ネロ「人間界 最後の時だ。相応しい舞台で待っている」
ダンテ「待て!」
ダンテがエボニー&アイボリーを連射するが、R・ネロの姿は一瞬にして消え、銃弾は空振りに終わる。
直後、クリフォト内部に振動が伝わってくる。揺れは徐々に激しくなってきた。
アーロン「全員、早く外に出た方がいい。私は お先に失礼する」
天龍「あいつ、1人で先に逃げやがった!」
アーロンの姿が転移陣の中に消え、1人で さっさと逃げてしまった。天龍が憤怒するが、もう居なくなってしまった以上、止めようがない。
トリッシュ「ダンテ」
ダンテ「あぁ。お前ら、すぐに ここから逃げるぞ」
ダンテ達は地上へと出るために、今度はクリフォト内部を上に向かって駆け上がる。
*魔塔 最上層*
完全に成長したクリフォトの樹が絡み付く魔塔の頂上では、宙に磔にされた深海棲艦アカギが捕らわれており、それをR・ネロが眺めていた。
そしてアカギの身体からは、銀色のオーラのようなものが流れ出し、下にある台座へと集約されつつあった。
R・ネロ「もう間もなくだ、運命の巫女よ。我らを動かす操り糸は悪魔の掌中にあり、されば人は忌まわしきものにこそ魅入られ、穢れた暗闇の中にあれど、怖れもなく歩む」
R・ネロの言葉に合わせるかのように、魔塔の最上層で鎮座する鐘を持った7つの死神の像が引っ張りあげられる。
R・ネロ「日毎 日毎 緩やかに、されど確たる足取りで人は皆 堕ち行く・・・“地獄”の彼方へと。さぁ、世界に轟かせろ。怠惰!大食!強欲!嫉妬!淫蕩!憤怒!・・・そして傲慢」
そして7つの鐘が大きく揺れ動かされ、魔界化が拡がる街へと鳴り響く。それが影響してるのか、魔界化が拡がるスピードが上がり、人間界を どんどん侵食していく。
R・ネロ「人々の あらゆる欲望が混沌の鐘を鳴らす。3千万年の時を経て、定められた未来への扉が再び開くのだ。破壊!殺戮!絶望!本能の赴くままに貪るがいい!世界を恐怖で覆え!そして俺は、混沌の世界の王となるのだ!世界の運命をも決定付ける巫女の力が、もうじき俺の物になる!」
R・ネロの高笑いも街に轟き、地上では次々と有象無象の悪魔が出現し、その数を増やしながら街を破壊していくのだった。
次回も宜しく お願い致します!