感想ありがとうございます!
今回の投稿で、プロローグなども含め300話に到達しました。ここまで読んでいただき、いつも ありがとうございます!
本当は もっと話数 少なく完結するつもりだったんですが、気付いたらダラダラ続けております・・・。
今回は久しぶりに、苦手な艦隊戦の描写に挑戦しました。変な所もあるかもしれませんが、そこは・・・申し訳ないです。
291話です!どうぞ!
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム 8月1日 9:08*
ブリーフィングルームには、艦娘達が集まって緊急作戦会議をしていた。ネロとニコ、
今回の作戦会議は、艦娘としての通常任務によるものであるのだが、変色海域がアメリカまで拡がり、昨日 西海岸沿いに深海棲艦が現れ攻撃を受けた。それによりアメリカ海軍サンディエゴ基地は大打撃を受け壊滅、敵の手に落ちた。
大淀「今こうしてる間にも、変色海域は徐々に拡がっています」
変色海域はMI海域、中部海域より更に東側に位置している。
そこでDevil May Cry鎮守府及びオリーブ財団は、変色海域を大きく3つのエリアに分けて、今後の作戦を遂行する事にした。
大淀「我々は今後、この海域を『深海後方海域』、『深海運河海域』、『深海中枢海域』と呼称します」
ビスマルク「深海・・・?どうして深海棲艦と同じ名を?」
各国海軍との情報交換から、この変色海域では深海棲艦の動きが今までよりも活発である事が確認されている。この事から、今回の異変は深海棲艦に関係があるものと推測されている。
深海中枢海域が最も変色濃度が高いとされており、そこに深海棲艦の本拠地があるのではないかと考えられている。
更に その東側、上下に並ぶように後方海域と運河海域があるという形だ。
加賀「ただ、私達は この3つの海域では、思うように戦えない可能性があるわ」
これまでの偵察で、高速艦隊と空母基幹艦隊は戦闘もせず、艤装に損傷を受けるという事態になっている。恐らく変色海域が、艦娘の艤装に何らかの作用を及ぼしているのではないかと、夕張と明石は推測していた。
摩耶「それ間違いないのか?」
夕張「まだ推測の域から出てないの。でも損傷を受けてるのは確か」
明石「最終的に どこまで損傷を受けるかも判断できません。下手をすると航行すら・・・」
その予想が当たっていれば、艦娘には大問題だ。戦闘中に航行できなくなれば、撃ってくれと言ってるのも同じだ。轟沈は免れないだろう。
集められた艦娘達は最悪の予想に沈黙し、誰もが険しい表情を浮かべている。
だからと言って、そのままにもできない。変色海域は徐々に拡がっている。それが世界中の海に拡がれば?
艦娘は2度と海には出られなくなるだろうし、それは人類とて同じだ。
ガンビア・ベイ「つまり、航行できなくなる前に深海棲艦を排除して、任務を終わらせるって事ですか?」
加賀「そうなるわね。だから時間との勝負になる」
長門「だが かなり難しいぞ。戦闘が長引けば、どうしても それは回避できなくなる」
武蔵「だが焦っても仕方がないだろう。我々は、我々のできる事をするまでだ。ダンテ提督も それを望むのではないか?」
武蔵からの指摘に、異議を唱えていた長門も押し黙る。こんな事は初めてであり、この場にダンテも居ない事から、彼が どう考え どう判断するか、艦娘達にも分からない。
だが補佐艦である加賀は、この変色海域での任務を遂行すると決めた。どうあっても、やらないという選択肢はないのだ。制海権を人類の手に取り戻すまでは。
北上「あのさぁ、提督代理にアマ・デトワール号で送ってもらうのは?海に直接 入らなきゃ、損傷も受けないかもだし」
大井「さすが北上さん!頭 良くて尊敬します!」
大井の尊敬は置いといて、それについてはネロと相談である。アマ・デトワール号とて、変色海域に入れば何が起こるか分からない。まだ確認すら取れてないのだから。
加賀「とりあえず作戦の話に戻るわ。既に偵察はしてるけど、我々は更なる強行偵察をする事に決めたわ」
その後 加賀から、今回の作戦に従事する艦隊の編成メンバーの名を挙げていくのだった。
・・・・・・
*深海後方海域北部 8月2日 8:00*
扶桑「作戦を開始します!」
作戦海域の西側に大きく回り込み、作戦開始ポイントに着いた第5艦隊は、深海棲艦の支配する領域に対する反攻作戦を開始する。
今回は強行偵察であるため、ある程度の索敵能力と火力が必要である。そのため、旗艦に航空戦艦である扶桑、随伴艦に山城、伊勢型、そして対空対策にノーザンプトン、低速艦のフォローに天津風が投入されている。
丁度 青と赤の海の色が交わる場所で羅針盤を回すと、針は南南東に止まり艦隊は そちらに向かう。すると深海棲艦の、沿岸艦隊 南哨戒線と会敵した。
そこに現れた敵艦隊は駆逐棲姫、駆逐ロ級 後期型2隻、駆逐イ級 後期型2隻、潜水カ級flagshipだった。
伊勢「天津風!1人で敵潜水艦の相手できる?!」
天津風「一応 対潜装備は載せてます!」
扶桑「では・・・第4艦隊 交戦します!」
艦隊から水上機が発艦し、敵艦隊の弾幕を潜り抜けながら爆撃を開始する。
それに続くように扶桑型、伊勢型、ノーザンプトンも砲撃を開始し、天津風は対潜装備を駆使して潜水カ級flagshipの動きを牽制していく。
駆逐棲姫『オチロ!オチロッ!』
水上機 数機が撃墜される中、艦隊と敵艦隊は砲弾の雨が降る中を、縦1列の単縦陣で駆け抜ける。
戦闘が続き、避けては撃ってを繰り返す中、敵艦隊の駆逐ロ級 後期型2隻と駆逐イ級 後期型2隻を撃沈する。
そして駆逐棲姫に小破まで損傷を与えたタイミングで、艦隊が次の行動に出る。
扶桑「離脱します!」
今回の目的は強行偵察だ。敵艦隊の完全撃破は狙わず、振り切って更に海域の奥を目指す事にしたのだ。
追ってくる敵艦隊に砲撃と爆撃で牽制しながら、そして天津風が爆雷を蒔くように投下し、全速力で戦闘海域から離脱した。目指すは東。
・・・・・・
東へと進んだ艦隊は、深海棲艦の沿岸艦隊 護衛空母群と会敵し戦闘となっていた。
敵艦隊の編成は軽母ヌ級flagship2隻、軽巡ツ級elite、駆逐ハ級 後期型2隻だ。
機銃を載せたノーザンプトンを筆頭に、輪形陣での対空砲火で敵艦載機に対処している。だが弾幕を抜けた敵艦載機の爆撃を受け、山城、伊勢、天津風が小破となる。
水上機も必死に敵の弾幕を抜けて爆撃を仕掛けるが、駆逐ハ級 後期型1隻を小破にしただけだった。
艦隊は砲撃戦で勝負に出る事にした。
日向「夜まで引っ張る訳にはいかないぞ!」
扶桑「分かってます!」
ノーザンプトン「敵旗艦を狙っていきましょう!」
陣形を単縦陣に切り替えた艦隊は砲撃しつつ、敵艦隊へと突撃していく。
敵艦隊で砲撃戦ができるのは3隻。ノーザンプトンが機銃で敵艦載機を撃ち墜とし、水上機も敵艦載機を撹乱するように飛び、扶桑型、伊勢型、天津風の5隻で敵旗艦を狙っていく。
それでも敵艦載機からの攻撃も激しく、敵旗艦に直撃コースで砲弾が向かっても、輪形陣の敵艦隊の随伴艦が旗艦の盾となり、上手く砲弾が命中しない。それでも自ら砲撃に飛び込んでくれた お陰で、空母ヌ級flagship1隻と駆逐ハ級 後期型1隻が轟沈した。
戦闘の流れで艦隊と敵艦隊が急接近すると・・・
山城「邪魔だ・・・どけえぇぇぇぇぇ!!」
日向「そこだ!」
山城の砲撃に当たり駆逐ハ級 後期型が怯み、そこを日向が刀で一刀両断する。身体が泣き別れた駆逐ハ級 後期型は、青い体液を流しながら沈んだ。
軽巡ツ級eliteから反撃の砲撃が来るが、艦隊は後退しながら砲弾を避ける。
伊勢「ここまで来れば勝てそう!」
日向「油断するな!まだ敵艦載機は飛んでる!」
敵艦隊に再び攻撃しようとするが、敵艦載機の攻撃が迫り、それを回避するために攻撃が中断させられる。
回避しながら攻撃のチャンスを待ち、ここぞという時に敵旗艦を狙い砲撃する。すると軽巡ツ級eliteが盾になり、轟沈した。
旗艦である空母ヌ級flagshipを護る随伴艦は もう居ない。こうなれば、あとは攻撃あるのみだ。
勝てないと見たのか、空母ヌ級flagshipは撤退を始める。艦隊は それを追い、敵艦載機の攻撃の合間を縫って一斉射を撃つ。逃げる空母ヌ級flagshipは、降り注ぐ砲弾に巻き込まれ、爆発の中に消えた。
敵艦隊 最後の1隻も沈めたが、敵艦載機は まだ健在な物が飛び回っている。艦隊は輪形陣になり、襲い掛かる敵艦載機を撃ち墜としていくのだった。
・・・・・・
残っていた敵艦載機を排除した艦隊は羅針盤を回し、北東へと航行した。そこでも深海棲艦の艦隊、沿岸艦隊 潜水艦防衛線が現れた。
潜水艦隊に時間を取られる訳にもいかないため、艦隊は強行突破するように離脱し、今度は南東へと向かった。
だが離脱する前に、敵艦隊の先制雷撃を受け、山城が中破となっていた。
南東へと向かう道中だったが・・・
扶桑「山城、大丈夫?」
山城「大丈夫です、お姉さま。もう少しで最終ポイントですし、まだ頑張れます」
扶桑「・・・・・・そう、ならいいけど・・・」
日向「・・・っ!これは・・・!?」
日向は何か、痛みのようなものを感じた。感覚からすると、自分と繋がる艤装からだったように感じる。
自分の背中側にある艤装を見ると、艤装の一部に亀裂が入っていた。日向は まだ被弾していないのに、損傷を受けていたのだ。
日向「マズいぞ!変色した海の影響が出始めてる!」
扶桑「・・・・・・!」
ノーザンプトン「こ、これって・・・!?」
まだ被弾していなかった扶桑とノーザンプトンも自分の艤装を確認するが、2人の艤装にも亀裂が入ったり、僅かに欠けていたりしていた。
旗艦である扶桑は苦虫を潰したように顔を しかめた。この調子では、航行したり戦闘するのに あまり長くは持たないかもしれない。
だが深海棲艦は待ってくれない。そこに敵沿岸防衛艦隊群Ⅰが現れた。編成は軽巡ヘ級flagship、重巡リ級flagship、重巡ネ級elite2隻、駆逐ロ級 後期型2隻だ。
扶桑「それでも私達は・・・艦隊、単縦陣!」
戦闘がなくても損傷を受けるのは分かっていた事だ。その上で出撃している。なら、自分達はやれる所までやるだけだ。
扶桑型、伊勢型が水上機を発艦し、水上機は敵の弾幕を避けながら敵艦隊に爆撃していく。
それに続くように、艦隊も砲撃を開始する。
だが戦闘中、被弾はなくても損傷を受ける箇所が増えていき、使える兵装が減っていく。残された兵装で対応していくが、状況は芳しくない。
敵艦隊の砲撃を避けていると、敵艦隊で爆発が起き軽巡へ級flagshipが小破、重巡ネ級elite1隻が中破、駆逐ロ級 後期型1隻が轟沈する。このタイミング、艦隊は攻撃の手は止まっていた。
艦隊が後ろを振り返ると、Devil May Cry鎮守府の艦隊が猛スピードで接近してきていた。
ビスマルク「さぁ、掛かってらっしゃい!」
ローマ「主砲、撃て!」
プリンツ・オイゲン「
ビスマルクを旗艦に、ローマ、プリンツ・オイゲン、多摩、夕雲、秋雲の第6艦隊が駆け付けたのだ。それを見て、第5艦隊は やっとかと笑みを浮かべる。
今回の作戦、1艦隊で任務を実行させるつもりはなかった。敵前衛艦隊は第5艦隊で ある程度 突破し、作戦海域の深部へと近付いたタイミングで、支援艦隊を投入する事が決まっていた。
日向「来てくれたか・・・!」
多摩「ここは多摩達に任せるにゃ!」
夕雲「扶桑さん達は先に向かって~」
秋雲「雁首 揃えて いらっしゃいませー!」
第5艦隊から戦闘を引き継いだ第6艦隊は、果敢に敵艦隊に立ち向かっていく。
そして第5艦隊は その場を第6艦隊に任せ、強行偵察の最終ポイントへと向かった。
プリンツ・オイゲン「ああっ!?艤装が・・・!ビスマルク姉さま!」
戦いを引き継いだ第6艦隊だったが、それでも余裕がある訳ではない。第6艦隊は ここに来るまで変色した海を航行し、既に損傷を受けた状態だった。
だが、旗艦であるビスマルクの眼に恐れなどない。
ビスマルク「関係ないわ!この私、ビスマルクが率いる艦隊よ!実力を見せてやるだけ!」
損傷を受けていようと、第6艦隊は砲弾を撃ち敵艦隊と殴り合うのだった。
・・・・・・
先へと進んだ第5艦隊は最終ポイントへと到着し、敵経由沿岸防衛艦隊 旗艦艦隊と会敵し、戦闘に突入していた。まだ どちらにも攻撃は通っていない。
敵艦隊の編成は戦艦棲姫、戦艦ル級elite2隻、軽母ヌ級flagship、駆逐イ級 後期型2隻となっている。
戦艦棲姫『シズミナサイ!』
そこに、上空から艦載機が飛来し敵艦隊が被弾する。戦艦ル級elite1隻が小破、軽母ヌ級flagshipと駆逐イ級 後期型1隻が中破となる。
ガンビア・ベイ「第5艦隊の皆!大丈夫ですか!?」
天津風「第7艦隊!」
第7艦隊が支援に駆け付けた。編成は旗艦にガンビア・ベイ、随伴艦に瑞鳳、鈴谷、熊野、榛名、霧島。
上空から飛来した艦載機は第7艦隊の物だった。
熊野「制空権は こちらが取りましたわ!」
霧島「よしっ!榛名、私達もやるわよ!」
榛名「当然よ!」
扶桑「強行偵察任務、継続します!」
上空を飛び回る敵艦載機は第7艦隊の艦載機に任せ、扶桑型、伊勢型の水上機は戦闘空域から少し離れ、偵察任務を開始する。
敵艦載機を押さえる事ができた事もあり、第5、第7艦隊は敵艦隊への反撃に打って出る。
敵艦隊に榛名と霧島の砲撃と、艦載機の爆撃が迫るが外れる。敵艦隊は自分達の判断と実力で躱したと思っているだろうが、第7艦隊は これを わざと外している。敵艦隊を自分達の都合のいい位置に誘き寄せるために。
霧島「今です!」
第7艦隊が敵艦隊の進路をコントロールし、第5艦隊はT字戦の有利なポジションを陣取った。
砲撃し、既に小破となっていた戦艦ル級eliteが大破、軽母ヌ級flagshipと中破となっていた駆逐イ級 後期型が轟沈する。
敵艦隊は不利な立ち位置から脱するために一旦 離れようとするが・・・
鈴谷「いや まだ終わる訳ないじゃん」
制空権を取り、手の空いてる艦載機群が続けて爆撃を仕掛ける。これにより戦艦棲姫と戦艦ル級eliteが小破、大破となっていた戦艦ル級eliteは轟沈、駆逐イ級 後期型が大破となる。
鈴谷「あっちゃ~、あんま敵旗艦にダメージ入ってないじゃん・・・」
熊野「まだまだ これからですわ!」
榛名「なっ・・・!?」
続けて榛名と霧島が砲撃しようとしたが、主砲の1基に亀裂が入り使えなくなる。
それによってできた隙を狙われ、敵艦隊から反撃される。鈴谷、熊野が中破、榛名が小破となる。
それを見て、戦艦棲姫がニヤッと笑みを浮かべる。
戦艦棲姫『ココデハ・・・オマエタチハ・・・チカラヲ ハッキデキナイ・・・』
扶桑「海の変色・・・やはり、これは深海棲艦の仕業なのね」
日向「小癪な!」
第7艦隊が被弾するが、まだ第5艦隊も残っている。
第5艦隊が砲撃し、小破となっていた戦艦ル級eliteが中破となり、大破となっていた駆逐イ級 後期型が轟沈する。
すると、オリーブ財団から入電が入ったガンビア・ベイが叫ぶ。
ガンビア・ベイ「撤退命令が出ました!第5艦隊、離脱してください!」
伊勢「まだ撃破してない!」
ガンビア・ベイ「加賀補佐艦が目標を達成したと判断しました!従ってください!」
山城「そういう事なら、戻るしかないわね」
扶桑「艦隊、最大船速!現海域から離脱します!」
ガンビア・ベイ「第6艦隊、撤退指示が出ました!そちらも離脱してください!」
ビスマルク『嘘でしょ!?まだ これからなのにー!私の実力まだ見せてなーい!』
プリンツ・オイゲン『ビスマルク姉さま、加賀補佐艦に逆らうと後が怖いって天龍が言ってました』
ビスマルク『分かったわよ、第6艦隊も離脱!離脱よー!』
第5、第7艦隊と、第6艦隊が それぞれの場所で作戦海域から離脱していく。それなのに、深海棲艦の艦隊は艦娘達を追わず、戦艦棲姫は どこまでも不敵な笑みで、小さくなっていく艦娘達を見詰めるのだった。
戦艦棲姫『スベテハ・・・セカイノタメニ・・・フフフ・・・』
・・・・・・
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム 8月3日 10:32*
ブリーフィングルームでは、ネロと加賀が赤い海について話していた。変色した海では、時間を掛ければ掛けるほど艤装に損傷が入る。そのため加賀は、アマ・デトワール号が使えないかネロに相談していた。
ネロ「俺だって どうなるか分からないし、試してみないとなぁ・・・」
加賀「お願いできるかしら?今回の強行偵察の様子から、今後 作戦遂行も困難なのはハッキリしたから・・・」
加賀が申し訳なさそうに お願いすると、ネロは彼女の肩に手を置き安心させるように笑う。
ネロ「水臭いって加賀。提督代理としては新米だけど、俺にできる事なら何でも手伝うよ」
そう言われ、加賀も礼を言いながら笑みを見せる。
するとブリーフィングルームの扉が空き、ステフが入ってきた。加賀は椅子から立ち上がり、海軍式敬礼で迎える。
加賀「ブラウン本部長」
ステフ「“ステフ”よ!どうして皆“本部長”と呼ぶの?私とは仲良くしたくないってわけ?」
加賀「いえ、それは・・・」
ステフから問い詰められ、加賀は返答に困り言い淀んでしまう。
ステフとしては、今のDevil May Cry鎮守府の面々からすれば上司であり、皆が そう考え それに適した態度を取る事に文句はない。
だが自分自身、部下に理解を示さない偏屈で頑固な人間だとは思ってないし、なるつもりもない。だから仕事の話をする時以外は、フランクな関係で居たいと思っている。その第1歩が、“本部長”などと堅苦しい呼び方ではなく愛称で呼ばせる事だった。
ステフ「まぁいいわ、次から気を付けてくれたら」
加賀「・・・努力します」
ステフ「努力しなきゃ呼べないような名前じゃないでしょ」
加賀「すみません・・・」
ステフ「それより、そこの銀髪坊やに話があるから席を外してくれる?あと人払いも お願い」
加賀「・・・分かりました。ネロ、また後でね・・・」
ネロ「お、おう・・・」
加賀は名残惜しそうに退室し、ネロは強烈な性格のステフと2人だけにされたくないのか、歯切れ悪く加賀を見送った。
ステフは話をする前に、ブリーフィングルームのガラスに触れて白いスモークガラスにする。となると、かなり込み入った話であるのは分かる。
ネロ「何だよステフ?」
ステフ「呼び方は合格ね、銀髪坊や」
ネロ「はぁ?また面接か何かか?それに“銀髪坊や”って・・・俺の名前は“ネロ”だ」
ステフ「それは知ってる。でも あなたの呼び方は“銀髪坊や”よ・・・まだね」
ネロ「まだって、じゃあ いつになったら名前で呼ぶんだ?」
ステフ「私に認められたらよ。言っとくけど、あなた ここに来てから まだ1つも仕事してないって分かってる?」
ネロ「じゃあ何したらいいか教えてくれよ」
ステフ「甘えないで。私は あなたのママじゃないの。それに相棒のニコは、言われなくても仕事してるわよ」
ニコは夕張と明石と一緒に研究室に籠り、オリーブ財団の装備や設備をグレードアップさせたり、新たな物を発明して既に貢献していた。正確には趣味で動いたら、結果的にオリーブ財団の役に立ってただけだが、ニコとしては仕事してるつもりはない。
それに反しネロは、オリーブ財団に来てから何もせずブリーフィングルームに居座ったり、その辺をウロウロしてるだけで毎日が過ぎ去っていった。
ステフ「名前で呼ばれたかったら、仕事で成果を上げて お飾りじゃないと証明しなさい。そしたら名前で呼んであげる」
ネロは、確かに こっちに来てから何もしてないと思い、言い返せずグウの音も出ない。
したとしても悪魔を1匹 倒したりはしたが、身内の問題で偶然 悪魔を倒す事になっただけで、オリーブ財団からしたら仕事の内にも入らなかった。
キツい小言も程々に、ステフは本題に入るためにタッチパネルを操作し、巨大スクリーンに画像を出す。そこには茶髪ロングの女性の顔写真が表示されていた。
ステフ「早速あなたに仕事よ」
新章も始まったばかりなので、まだまだストーリー展開を大きく動かす事ができませんが、今後とも『Devil May Cry鎮守府』を宜しく お願い致します!