Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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感想ありがとうございます!

304話です!どうぞ!


Mission304 ファイヤーバード~冷戦復活を目論む者~

*オリーブ財団 艦娘寮・屋上 8月14日 9:13*

 

オリーブ財団の裏手にある艦娘寮の屋上では、艦娘達が忙しなく何かの準備をしていた。

その中には呉提督の姿もあり、珍しく こっちに戻ってきていた。

実は昨日、ホノルルがバーベキューしようと提案した。丁度 任務の予定もなく、艦娘寮の屋上には そういった事ができる設備も完備されているので、皆は彼女の提案に乗っかって、こうして準備を進めている。

一部の艦娘は買い出しにも出ており、屋上ではネロとニコ、(たける)も手伝っているのだが、ネロは浮かない顔をしていた。

ネロが考えているのは、西海岸基地でのダンテと白いネロの事だ。ダンテが あれから どうなったのかも判らず、あの白いネロが何なのかも不明だ。

ダンテが指摘した“赤城と同じ気配”、あの言葉も気になる。

ネロはオリーブ財団に戻ってから、加賀に西海岸基地であった事は全て話した。赤城に関する事も。やはり赤城の事となると、加賀も酷く狼狽えていた。

 

ネロ「(俺が もっと上手くやれてたらな・・・)」

 

自分から提督代理に名乗りを上げたが、深海後方西海岸基地海域に出撃した あの日、ガンビア・ベイを始めとする第3、第4艦隊が自分の判断を待たず、危険も省みず独断で動いた事も含め、ちょっと自信をなくしていた。

そんなネロの様子に気付いたからか、困ったように笑うアイオワが横からポンと肩を叩いた。

 

アイオワ「ちょっと、折角の楽しいバーベキューの準備なのに、そんな顔しないで」

 

ネロ「悪い、俺、変な顔してたか?」

 

アイオワ「してた してた、こんな顔」

 

ネロに分かりやすく教えるためか、アイオワは両手で顔を押さえながら限界まで眉間に皺を寄せる。その顔が可笑しかったから、ネロは微かに笑った。

 

ネロ「何だよ その顔」

 

アイオワ「ネロの顔~。・・・それで?何で難しい顔してるの?」

 

ネロ「いや・・・」

 

アイオワからの質問に、ネロは口籠ってしまった。このまま待ってても、ネロから言葉を引き出せないと思ったアイオワは、自分から切り込む事にした。

 

アイオワ「実はね、ホノルルがバーベキュー提案したの、ネロのためなの」

 

ネロ「え・・・俺のため?」

 

アイオワ「あの娘 言ってたの。ネロが自分達を上手く使えないのは、お互いの事を知らないからって。だからホノルル、ネロや日本艦の事を知るためにバーベキュー提案したの」

 

ネロ「そっか・・・そうだったのか・・・」

 

ネロは知らない間に、気を遣わせていたんだと思い申し訳ない気持ちで一杯になった。だからネロは、この時間を最大限に活用し、1人1人と ちゃんと言葉を交わし親睦を深めようと心に決めた。

 

 

*ブリーフィングルーム*

 

その頃 夕張は、ステフもバーベキューに誘うためにブリーフィングルームへ向かっていた。

中に入ると、タッチパネルを操作しながらステフが仕事をしていた。

 

夕張「ステフ、ここに居て良かった。あのね、今晩バーベキューするんだけど、ステフも良かったら来ない?」

 

ステフ「私は遠慮しておく」

 

今晩、ステフに仕事がないのは確認済みだ。だから特別な用がなければ来てくれると思っていたので、夕張は思わず断る理由を訊いてしまった。

ステフがバーベキューの誘いを断ったのは、自分がスパイだからだ。自分は上司だからといって壁を作るつもりはないが、職業柄 長生きできない この世界に身を置いてる限り、必要以上に親睦を深めると、いざ何かあった時に心の しこりになり、仕事に支障を来す場合がある。だからステフは、そういう誘いは全て断るようにしてるとの事だった。

ステフからの言い分を聞いた夕張だったが、どこか納得できない様子だった。

 

夕張「言いたい事は分かるけど・・・海外艦とも皆 打ち解けてきたし、ステフも仲間なんだから来てほしい」

 

ステフ「そういうのは あなた達だけで楽しみなさい」

 

話してると、緊急連絡が入った事を報せる音が鳴った。

ステフはタッチパネルを操作し通話状態にすると、モニターにはタンクトップにカーゴパンツ姿の黒人女性が映る。どうやら、どこかの室内に居るようだ。

彼女は『バニスター』捜査官。オリーブ財団に所属する人間のエージェントだ。

現在、冷戦の再開を目論むロシア人、元特殊部隊大佐を追う任務に就いてるはずなのだが・・・。

 

ステフ「どうしたの?」

 

バニスター『ステフ、問題が発生しました、助けてください』

 

ステフ「・・・夕張、Devil May Cry鎮守府の面々を全員 呼んで。今すぐ!」

 

夕張「は、はい!」

 

緊急事態である事とステフの命令により、夕張は弾かれるようにブリーフィングルームから退室する。

 

 

・・・・・・

 

夕張に呼ばれ、バーベキューの準備を中断したネロ達がブリーフィングルーム来る。その中には、呉提督と健も一緒だった。

全員が来た事を確認すると、ステフはバニスター捜査官に何があったのか話すよう促す。

 

バニスター『私は冷戦復活を目論む『シフチェンコ』を追い、奴の武器庫に忍び込みました。ここは その武器庫です』

 

ロシア人 元特殊部隊大佐シフチェンコは、冷戦復活を目論み元軍人を集めて、民兵組織を立ち上げていた。

バニスター捜査官はシフチェンコの戦力を暴くため、単身で奴の武器庫に潜り込んでいた。

 

バニスター『最初は大量の武器があると思っていました、ですが中は空』

 

ステフ「バニスター捜査官、任務はシフチェンコを追うこと。そこまでしろとは言ってないわ」

 

バニスター『すみません、ですが急を要する事態なんです。これを見てください』

 

そこには金属製の大きな箱があった。バニスター捜査官の身長よりも高く、幅も かなりある。一見 金庫のようにも見えるが・・・。

 

呉「武器でも入れてるのかしら?武器庫の規模にしては控え目ね」

 

バニスター『もっと最悪です。放射能探知機を近付けてみると・・・』

 

バニスター捜査官は自分を映すスマホを手に取り、オリーブ財団の面々に よく見えるよう、近くで放射能探知機を金庫に近付けるのを見せる。すると放射能探知機が、放射能がある事を示し反応する。それを見て、オリーブ財団の面々の顔が険しくなる。

 

バニスター『シフチェンコはウランを所有してる可能性があります』

 

アイオワ「最悪じゃない・・・」

 

ステフ「これ以上は危険よ、退避しなさい」

 

バニスター『中を確認するまでは離れません。もしシフチェンコが核兵器を造るつもりなら、ここで止めないと大勢が危険に晒されます』

 

呉「放射能があるのよ!すぐに そこから離れなさい!」

 

だが、夕張は今のままなら大丈夫だと、皆が思うのとは逆の事を言った。放射能探知機が示すレベルから、金庫の扉を閉めてる状態なら まだ被爆するレベルではない。

 

夕張「問題は金庫の中」

 

金庫の中にウランがあるのなら、密閉された空間に放射能が充満しているのは確実だ。扉を開けて それを浴びれば、確実に助からない。

 

夕張「開けて一瞬だけ見たら、すぐに閉めて。じゃないと助からない。できる?」

 

バニスター『できます。ステフ、お願いします』

 

ステフ「・・・・・・分かった。夕張、開ける方法はある?」

 

夕張「カメラを近付けて、金庫を よく見せてくれる?錠前の部分を」

 

バニスター捜査官がスマホを近付け、モニターを見ていた夕張は すぐに開ける方法を閃く。

 

夕張「バニスター捜査官、銃と予備の弾倉は携帯してる?」

 

バニスター『勿論、常に携帯してます』

 

夕張「9ミリ ブロック?」

 

バニスター『はい』

 

夕張「錠前は八万ロック、これなら開けられる。先ずは弾倉から弾を全部 抜いて。ペンチはある?」

 

バニスター『捜査キットのペンチが』

 

相手が八万ロックの錠前で、9ミリ ブロック銃を持っていれば、このタイプの金庫は簡単に開けられる。

先ずはペンチで弾頭を外し、火薬を出して薬莢を空にする。

そして空の弾倉に、空にした薬莢を逆向きに装填すると、ピッキング用のレンチにする事ができる。

 

バニスター『こんなので開けられるんですか?』

 

夕張「大丈夫、信じて。でも気を付けて。慎重に回さないと潰れるから」

 

バニスター捜査官は鍵穴に、レンチの先にした薬莢の口を挿し込み、慎重に ゆっくりと回していく。すると、鍵が開く音がした。

バニスター捜査官が扉を開けると、中を見た彼女は驚きで身体が硬直する。

バニスター捜査官が すぐに扉を閉めなかった事で、モニターを見ていたオリーブ財団の面々も、金庫の中に何があったのかハッキリと見えた。中にあったのは核弾頭だった。

 

夕張「早く閉めて!」

 

ハッとしたバニスター捜査官は、慌てて金庫の扉を閉める。しかし、扉を開けてる時間が一瞬ではなかったため、被爆した可能性が出てきた。

 

摩耶「おい、どうすんだよ!?」

 

夕張「明石、この場合って・・・」

 

明石「隔離して検査しなきゃいけないけど・・・」

 

バニスター捜査官を助けるには、救助する側も被爆しないように準備しなければならない。

それと設備を整え隔離、被爆レベルを検査しなければならないが、どれも かなりの時間が掛かる。

しかも救助に向かう先が敵地となると、更に時間を要する。あらゆる面から考えて、助けられる可能性は極めて低い。

すると武器庫の外から、何やら物音がした。複数の男の声もする。バニスター捜査官は銃を手に、出入り口の方を警戒する。

 

ステフ「バニスター捜査官、すぐに そこから逃げて!」

 

バニスター『出入り口は1つだけです。それに被爆してるなら どの道 助かりません。お願いします、私の代わりにシフチェンコを止めてください』

 

その直後、防護服を着て武装した集団が武器庫に雪崩れ込んできた。

バニスター捜査官は最後の抵抗に、振り返り銃を撃とうとしたが、先に撃たれた凶弾に倒れてしまった。

遅れて、兵士の格好をした白髪の男が現れた。

動かないバニスター捜査官を見た白髪の兵士は、防護服の連中に指示を出すと、その内の2人がバニスター捜査官を引き摺り、武器庫の外へと連れ去った。

すると白髪の兵士は、目敏くバニスター捜査官が置いていたスマホに気付き、そちらに近付く。ブリーフィングルームのモニターには、その男の顔がドアップに映る事となる。

 

?『誰が見てるか知らんが、コソコソと嗅ぎ回ると お前らも死ぬぞ』

 

白髪の兵士が警告した後、モニターの映像が途切れた。

モニター越しに一部始終を見ていたオリーブ財団の面々は、あまりの事態に しばらく、誰も口を開く事ができなかった。

 

 

・・・・・・

 

バニスター捜査官との動画通信の映像は記録されていた。それを解析しながら、オリーブ財団の面々は作戦会議をしていた。

映像に映っていた白髪の兵士は、バニスター捜査官が追っていたシフチェンコ大佐である事は すぐに判明した。

しかし、問題は核弾頭の方だった。

 

天龍「んで、爆弾の専門家としては どうなんだ?」

 

訊かれた夕張は、健に一時停止した映像に映る核弾頭の、制御パネルをアップにするよう頼む。

 

夕張「“難しい”ってのが正直な気持ち。この制御パネル、こんなの見た事ない。たぶん特注品」

 

健「恐らくシステムも独自開発されてるから、今の段階じゃ お手上げ。止めるにはアレを直接 調べないと」

 

天龍「冗談だろ?核だぞ核。調べようにも近付いただけで終わりだ。しかも周りには、頭のイカれた民兵組織が武装して囲んでる」

 

北上「まぁ、難易度 高いのは いつもの事だよね」

 

天龍「今回はレベルが違うだろ。核とか冗談じゃねぇよ」

 

夕張「しかも この核弾頭、“相互確証破壊”させるタイプよ」

 

相互確証破壊━━核戦略構想の一種。確証破壊能力を米ソが互いに保有する事により、核戦争を抑止しようとする概念。

一方の国家が先制的に核兵器を使用した場合、もう一方の国家は破壊を免れた核兵器によって、確実に報復する事を保証する。

つまりシフチェンコが持つ核弾頭は、それを可能とする能力を有している。そうなると、核戦争の可能性がある冷戦時代に逆戻りだ。

 

摩耶「被害規模は?」

 

アイオワ「テキサスが丸々 吹き飛ぶ」

 

摩耶「マジかよ・・・」

 

そこで呉提督が、核弾頭に何かの文字が書かれてる事に気付く。健が停止してアップにしていた映像を鮮明にすると、そこには『жар-птица』と書かれていた。

 

健「えっと・・・ジャールプチーザ?意味は・・・『ファイヤーバード』」

 

“ファイヤーバード”、それを聞いたステフは心当たりがあるのか、何かに気付いた顔をした。それを、呉提督は見逃さなかった。

 

呉「ステフ、あんた何か知ってるでしょ?」

 

ステフはタッチパネルを操作し、モニターに冷戦時代当時のCIAの報告書を映す。しかし、報告書の殆んどは黒塗りの状態で、重要な部分は何1つ読めない。

 

ホノルル「真っ黒・・・」

 

ステフ「情報公開されてるのは これだけ。だけど私はCIAの本部長だったから、話だけは聞いてた。ファイヤーバードは、冷戦時代のソ連の秘密兵器計画のコードネームよ」

 

ステフの話によると、ファイヤーバード計画で この核弾頭を造った科学者の1人が、当時のCIAにコンタクトを取ってきた。その科学者はアメリカへの亡命を希望していた。

彼は旧ソ連を裏切り、CIAにファイヤーバード計画の情報を渡した後、アメリカへの亡命に成功している。

その後 彼が どうなったのか、今どこに居るのか、そもそも今でも生きてるのかまでは不明だった。

あの核弾頭は古く、制御パネルやシステムも独自の物であるが、恐らくファイヤーバード計画の中で一緒に製造された物だ。だが、あの核弾頭を製造した張本人であれば、止め方も知ってるはずだ。

 

ステフ「彼の名は『アレクサンドロ・オルロフ』。先ずは その名前を手懸かりに、彼を探しなさい」

 

そう言うと、ステフは どこかに行こうとする。それを呉提督が止めた。

 

呉「ちょっと、どこ行くのよ?」

 

ステフ「バニスター捜査官は、元々 警官だったの。彼女の優秀さに目を付け、私が直接オリーブ財団に引き抜いた。彼女が死んだのは私の責任よ」

 

呉「ステフのせいじゃない。誰も どうしようもなかった」

 

ステフ「それでも私の責任なの。彼女のためにも、シフチェンコを止めないと・・・。私は手懸かりを見付けるためにモスクワに向かう。そっちも早く動きなさい」

 

呉「ちょっと待ちなさいって!」

 

ステフ「これは本部長としての命令よ!」

 

そう怒鳴ると、ステフはブリーフィングルームから出ていってしまった。

その場に残されたネロ達は、重苦しい空気の中でステフの様子を心配していた。

 

陸奥「・・・彼女、大丈夫?」

 

呉「大丈夫じゃない、思い詰めてる。無茶だけはしないといいけど・・・」

 

夕張「ステフなら大丈夫だよ。強い人だから」

 

アイオワ「それじゃあ、任務も言い渡されたし・・・行く?」

 

ホノルル「今日のバーベキューは!?」

 

アイオワ「延期」

 

ホノルル「そんなぁ~!うぅ・・・」

 

ホノルルは今晩のバーベキューを楽しみにしてたのか、とても残念そうに肩を落とした。

だが そうも言ってられないだろう。目の前まで核戦争の可能性が迫っているのだから。

 

 

・・・・・・

 

*町 老人ホーム 16:15*

 

オリーブ財団の面々は幾つかのチームに分かれ、アレクサンドロ・オルロフを探した。

夕張、ホノルル、呉提督、健のチームは、オルロフが最後に確認された田舎町に来ていた。

もし生きてるなら、オルロフは かなりの高齢だ。そのため、先ずは この町の老人ホームから当たってみる事にした。

 

呉「天才ね」

 

健「何が?」

 

呉「まさか逃亡した裏切り者が養護施設に居るなんて、普通は思わないでしょ。最高の隠れ家ね」

 

健「あぁ、そういうこと・・・」

 

ホノルル「でも生きてるか分からないし、ここに居るかも分からないよね?」

 

健「居たとしても1つ問題あるよね?ボケてたら どうすんの?」

 

夕張「ボケてない事を祈りながら探しましょ」

 

そして4人は老人ホームの中に入ったのだが、おじいちゃん一杯で目的の亡命者が居るか分からない。

オルロフは亡命してから、別の名と身分を与えられ生活してきたはずだ。

加えて追手の事も警戒してるはずなので、簡単には自分がオルロフであるとは明かさないだろう。ボケてなければの話だが・・・。

 

夕張「とりあえず、それっぽいの探そうか」

 

呉「マトモに話せるの何人かしらね?」

 

夕張達はバラバラに動き、手分けして目的の老人を探す。

そんな中、健はフカフカの椅子に座る1人の老人が気になった。その老人はテレビのチャンネルを替えたいようだが、リモコンが壊れてるのか反応せず、リモコンを叩きまくっていた。

そこへ、1人の介護士が老人の傍まで寄ってきた。

 

介護士「『オルランド』さん、テレビのチャンネルは替えないよう言っておいたでしょ」

 

オルランド「こんな つまらんものを垂れ流して ずっと見てろってか?それなら死んだ方がマシだ!」

 

介護士「それでも規則だからダメです。リモコンには触らないように」

 

介護士は“オルランド”と呼ばれた老人からリモコンを没収し、テレビの近くに置いてから離れた。その隙に、オルランドは椅子から立ち上がりリモコンを手にすると、椅子に座り直して またリモコンを ぶっ叩き始めた。

健は見てられなくて、オルランドに近付いた。

 

健「そんなんじゃ直らないよ?」

 

オルランド「ほっとけ。こういうのは叩けば直る」

 

健「貸して、前に1度 直した事あるから」

 

オルランド「・・・自信があるのか?」

 

健「これでも機械には強い方なんだよね」

 

そう言って健は、リモコンを渡すよう手を差し出す。オルランドは どうするか少しの間 考え、リモコンを健に渡した。

健はリモコンを軽く分解し、リモコンの修理を始める。オルランドは興味深そうな目で その手際を見ていた。

 

オルランド「・・・新しい介護士か?」

 

健「あー・・・まぁ、そんな感じ。ボランティアで ここの人達の世話しに来たんだよね」

 

オルランド「・・・フン、お前も本心じゃ、年寄りの世話など面倒で、早く死ねばいいと思ってるんだろ?」

 

健「そんな事ないよ。お年寄りは大切にしなきゃ。この時代の足場を作った偉大な人達に、そんなこと思う訳ないじゃん」

 

そうは言うが、本心としては年寄りに そこまで思ってない健。口から出任せである。

 

オルランド「ここで働いてる連中は皆そう思ってる」

 

それを聞き、健は少し離れた場所に居る介護士を見る。

 

健「マジ?ここの老人ホームめっちゃ酷いじゃん」

 

これは本心である。

 

オルランド「最近の機械はゴチャゴチャして好かん。昔は人間と同じで単純だった」

 

健「今も単純だと思うよ。根本的な部分は変わらない訳だし」

 

老人「冷戦時代は━━」

 

そこから老人は、冷戦時代は どうだったとか、ロシアは旧ソ連と違って どうたらと、愚痴やウンチクを話し始め喋り続ける。

その話を聞いて、健の顔が強張った。このアメリカで冷戦時代の話に旧ソ連?

冷戦時代や旧ソ連の話を、今の時代でできるアメリカ人が何人 居るだろう?

もし この老人がオルロフなら、もしかしたら もう追手が来ないと油断して口を滑らせたのかもしれない。

 

健「・・・もしかして、オルロフ?アレクサンドロ・オルロフ?」

 

健が その名を口にした瞬間、オルランドの顔が固まる。

ゆっくりと健の方に顔を向け、少しの間2人は見詰め合うが、オルランドが椅子から立ち上がり走り出した。

突然の事で健は唖然としていたが、すぐに我に返った。

 

健「居たー!!夕張さん!!おじさん!!オルロフ見付けたー!!」

 

健は叫びながら、走るオルランド改めアレクサンドロ・オルロフを追う。

 

呉「今 私の事“おじさん”って呼んだ奴 居た?」

 

夕張「居たけど、オルロフも居たみたい」

 

施設内に散っていた夕張、ホノルル、呉提督も健の声を聞き、急ぎ彼の元に駆け付けるため走る。

オルロフは、走って施設の裏口から外に出てしまった。おじいちゃん、逃亡からの大脱走。

夕張達は、逃げる老人を捕まえる事ができるのだろうか?

次回へ続く・・・。




ファイヤーバードの お話も数話 続きますので、早目に全部 投稿しようと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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