いつも読んでいただき ありがとうございます!
気付けば3年が経ち、4年目に突入しました。
完結まで頑張りたいと思っておりますので、今後とも宜しく お願い致します!
313話です!どうぞ!
ネロと艦娘達がバカンスから戻った夜、ステフにブリーフィングルームに来るよう呼び出される。理由は説教のためではない。
ロシア、韓国、中国、インド、サウジアラビア、スペイン、イタリア、ドイツへと移動しながら、黒い衣服に身を包み、仮面を被る者が重要人物を殺し回っていた。
現地の監視映像から、ネロと天龍は その犯人がバージルであると確信する。
しかも、犯人の手には閻魔刀が握られてるのもハッキリと映っていた。
勘ではあったが、ネロ達はイギリス・ロンドンで、容疑者215の次の標的を どうにか絞り込む。
ある議員が自分の支持者を招いて開くパーティー会場、それを行うホテルに着くが、ネロ達は警備の人間に止められる。
そんな中、パーティー会場である部屋から悲鳴と どよめきが聞こえてくる。
ネロ達が警備を押し退け中に入ると、パーティーを主催した議員が殺されていた。
犯人を追う途中、ネロと艦娘達は別行動を取る事になり、 それぞれ容疑者215を追う。
先に容疑者215に接触したネロは、ホテルの屋上で閻魔刀を使う容疑者215と戦いを繰り広げるのだった。
*イギリス・ロンドン ホテル・屋上 9月1日 21:14*
ネロと仮面の者の戦いが続く中、屋上の扉が開いた。出てきたのは天龍、ウォースパイト、ネルソン、シェフィールド、ポーラだった。
だが艦娘達が屋上に出ると、吹き飛ばされたのかネロが飛んできた。艦娘達は横にズレて避けると、ネロは屋上の扉に背中から叩き付けられ、床に崩れ落ちる。
天龍「この・・・!」
天龍も艤装の刀を抜き、仮面の者に斬り掛かる。だが閻魔刀で受け止められ、膠着状態となる。
?『それで どうするつもりだ?俺を止めるつもりか?』
天龍「そのつもりだ・・・!」
互いに刀を振り、刃が ぶつかり合い火花を散らす。
しばらく剣戟が続いていたが、僅かな隙を狙い、仮面の者が重い一撃を繰り出してきた。天龍は それを受け止めるが、力に押し負け床を滑るように後退させられる。
?『貴様など、剣を抜くまでもない』
仮面の者が閻魔刀を鞘に納める。それを見て、天龍は頭に血が上り特攻する。
天龍は何度も斬り掛かるが、仮面の者は鞘に納まったままの閻魔刀で刃を全て防ぎ、反撃に天龍の顔面を鞘で殴り飛ばす。天龍は吹き飛び、地面を転がり少しして止まった。
顎を打ち抜かれ、脳震盪を起こす天龍は頭を振り立ち上がろうとする。
そして、ネロもレッドクイーンを手に立ち上がった。
ネロと天龍が2人掛かりで斬り掛かり、示し合わせた訳でもなく完璧な連携で容疑者215を攻め立てる。それでも、容疑者215は鞘に納まったままの閻魔刀で攻撃を往なし、躱し、1人で2人の連携に対処していく。
攻撃と防御の応酬が続いていたが、レッドクイーンでの強力な一撃が迫った瞬間、容疑者215が閻魔刀を抜きレッドクイーンを受け止める。
ネロ「天龍!」
天龍「おうよ!」
天龍が斬り掛かるが、容疑者215はレッドクイーンを弾き、天龍への対処に動く。
しかし、それを待っていたネロが即座に動き斬り掛かる。天龍を吹き飛ばしネロへの対処が遅れた事で、隙ができた容疑者215はネロの一閃を受ける。その瞬間は、時が止まったかのように静かだった。
その静寂を破るように、斬られて真っ二つとなった仮面が床に落ちる。
ネロ「そのクソダサい仮面、剥ぎ取ってやったぜ・・・親父!」
仮面が落ち露になった顔は、バージルだった。
久しぶりの再会ではあるが、喜ぶ事はできない。容疑者215の正体がバージルであると証明されたとなると、バージルが人間を殺し回ってるという事になるのだから。
バージル「・・・・・・フフ、見事だ。こうも早く正体がバレるとはな」
ネロ「本気 出してなかったくせに白々しいんだよ。それよりアンタには聞きたい事があるんだ!何で人間を殺し回ってる?!」
バージル「・・・これは個人的な問題だ。お前達には関係ない」
天龍「そうやって1人で背負い込んで1人で勝手に納得して、独りで突っ走るってか?そういうとこ提督と一緒だな!ふざけんじゃねぇよ!」
ウォースパイト「バージルさん」
ポーラ「バージルさん・・・」
バージル「お前達は・・・」
ウォースパイト「忘れたとは言わせませんよ」
バージルは今でも、2人の艦娘の顔と名前を覚えている。そして自分を知っている事から、その正体に すぐに気付いた。
バージル「・・・ラジャンに飼われていたウォースパイトとポーラか」
ポーラ「お久しぶりです~」
ウォースパイト「ちゃんと覚えててくれて嬉しい・・・」
ポーラは満面の笑みで両手を振り、バージルに挨拶する。
ウォースパイトも笑みを浮かべてはいたが、バージルが人間を殺し回ってる その行動が理解できず、再会できたのは嬉しいが本音は複雑で、どこか寂しそうな笑みだった。
ウォースパイト「バージルさん、教えてください。どうして あなたは、人間を殺すの?何が あなたを そうさせてるの?」
バージル「俺は艦娘を買った人間を狩ってるだけだ」
ネロ「・・・艦娘を助けるためにか?」
バージル「そんな殊勝な考えで動いてる訳ではない。Mr.Jは俺を虚仮にした。だから奴の目的を潰すために、俺は人間を殺している」
艦娘売買のオークションに潜入した日、VはMr.Jの下で働かされてる艦娘の筑摩を助けようとした。だが彼女は、身体に埋め込まれた爆弾を起爆され、Vの目の前で死んだ。
助けようとした筑摩を殺され、バージルは それを、自分に対するMr.Jの挑戦だと認識していた。だからMr.Jの目的を潰すために、艦娘を買った人間を探し出して殺し、買われた艦娘を解放していた。
そうする事で、奴が取引の障害となる自分を見付け、向こうから奴の首を取る足掛かりとなるアクションを起こしてくると考えた。つまり これは、バージルの盛大な仕返しと釣りだった。
しかし、釣れたのはMr.Jと それに連なる者ではなく、ネロ達だった。
天龍「もう無闇に人間を殺すのはやめろ!艦娘を助けてMr.Jを止めたいのは俺達も一緒だ!皆で止めよう!」
バージル「それはムリだ」
天龍「何で?!」
バージル「お前達 艦娘は、人間が定めたルールを厳守している。人間の法は、弱者を護るためではなく権力者の地位を護るためにできている。そんなものに従っていれば、いつまでもMr.Jには届かん。だから俺は、俺の やり方で奴を追い詰める」
ネロ「殺すしか能がねぇのか?!やり方なら他にもあるだろうが!」
バージル「お前達は誰の味方だ?売られた艦娘か?買った人間か?貴様らにとっても助ける価値のない人間のはずだ。俺は殺しても問題ない奴らを殺してるだけだ」
ネロ「問題しかねぇだろ!アンタが殺してるのは要人ばかりだ!世界中を敵に回すつもりなのか!?」
バージル「俺の邪魔をするなら、世界も斬り伏せる。ただ それだけだ」
ネロ「この・・・クソ親父が!」
ネロが飛び込むように間合いを詰めて斬り掛かるが、バージルは大きく後ろに飛び退き躱すと、屋上の縁に着地した。
ポーラ「待ってください~!」
ウォースパイト「バージルさん、私達の目的は同じはず!だったら協力して!」
バージルは それは無理だと思い、屋上から飛び下り姿を消そうとしたが、考えを改めた。
Mr.Jに関わる全ての者を潰すには、1人では時間と手間が掛かる。そこでバージルは、ネロ達を利用する事にした。
バージル「艦娘を助けたいなら、メキシコへ行け」
天龍「メキシコ・・・?メキシコに何があるんだよ?」
バージル「メキシコ最大の売春組織がある。噂では艦娘も商品として扱ってるそうだ。そちらは お前達に任せる」
バージルが背中を向けた事で、ウォースパイトは彼が去ろうとしてると気付き呼び止める。
するとバージルは、背中を向けたままウォースパイトとポーラの名を呼んだ。
ウォースパイト「な、何ですか?」
バージル「お前達がネロと行動を共にしてるのは驚いたが、息災で何よりだ。ネロと一緒ならば、少しは安心だろう」
そう言って、バージルは屋上から飛び下りた。
ネロ達は慌てて縁まで行き、下を見下ろす。しかし、もうバージルの姿は どこにも無かった。
ポーラ「バージルさんが協力してくれる日が来るといいですね・・・」
ウォースパイト「何が安心よ・・・またカッコ付けてヒーロー振って・・・ほんと、自分勝手な人・・・」
ウォースパイトの口からは文句と取れる言葉が紡がれているが、その顔は怒るというより悲しい表情を浮かべていた。
シャングリラでの事を経て、ウォースパイトは少なからずバージルに信頼の気持ちを寄せていた。願わくば、また再会できる日が来ればと思っていた。
Devil May Cry鎮守府とオリーブ財団への着任が決まり、ウォースパイトはバージルと また会えると楽しみにしていた。しかし、バージルは提督であるダンテと同じく居なかった。
だが今回、こうして再会できた事によりウォースパイトは、バージルを連れ戻せば一緒に戦い、共に過ごし、時間を共有できると密かに期待していた。
だが彼は、1人で また行ってしまった。シャングリラの時のように。
ウォースパイトには それが辛かった。まるでダークヒーローのように、自分が悪人とされようとも艦娘を助けるために、独りで全てを抱え込み行ってしまう。
我儘な考えなのかもしれないが、ウォースパイトは もう少し頼ってほしいと思った。互いに手を取り合えばラジャンを倒した時のように、どれだけ問題があっても上手くいくと思えたから。
だが結果は、バージルは手を取り合わない道を選んだ。それが何よりも悲しかった。
そうこうしてると、遠くからパトカーのサイレンが聴こえてきた。
ネルソン「かなりの騒ぎになってしまった。我々も捕まる前に逃げよう」
ネロ「・・・そうだな、ステフにも言いたい事がある(親父もダンテも、何で いつも自分勝手なんだ、畜生・・・!)」
議員が殺された事で、ロンドン警察も向かってきてる。もし事情聴取を受ける事になっても、素直に話す訳にはいかない。スパイ活動してるとは言えないのだから。
ネロ達は これ以上ややこしくなる前に、地上で待つバンに向かうため屋上から下りる。
ホテルの外に出たネロ達はバンに乗り込み、バンは急発進して その場から逃げた。その様子を、ホテルとは別の建物の屋上からバージルが見ていた。
バンと入れ替わるように数台の警察車両が到着し、警官がホテルの中へと入っていく。それも見届けると、バージルも踵を返し どこかへと立ち去った。
・・・・・・
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム アメリカ時間9月2日 8:00*
オリーブ財団へと戻ったネロは、肩を怒らせながら建物内を歩いていた。ステフには言っておきたい事があった。
通路から見えるブリーフィングルームには、ステフが1人でタブレットを操作しながら仕事をしていた。
ネロは燻る苛立ちを隠さず、勢い良く扉を開けて中に入る。
ステフ「ちょっと、もっと静かに入れないの?」
ネロは小言を無視してステフに詰め寄ると、開口一番に怒鳴った。
ネロ「バージルが艦娘を解放してる事を知ってて言わなかったな?!」
ステフ「ちょっと、誰から聞いたの?」
ネロ「誰だっていい!知ってて何で俺達に言わなかった?!」
ステフ「暗殺と艦娘の解放が関連してると断言できなかったからよ。不確かな情報で あなた達を混乱させる訳にいかないでしょ?」
ネロ「同じ時期に同じ場所で起きてるのにか?どう考えても関係あるだろ!」
ステフ「それだけじゃ不確かよ」
ネロ「事前に言ってれば、もっと他にバージルを止める方法があったはずだ!」
ステフ「いいえ、結果は変わらなかったでしょうね」
ステフは、オリーブ財団に戻る途中のネルソンから既に報告を受けていた。だから現地で何があったかも知っている。
ステフ「現地でバージルが艦娘を解放してると知って、それを知った上で説得したんでしょ?それでも彼は立ち去った。事前に知ってても結果は同じよ」
ネロ「でも何かできたはずだ・・・!」
ステフ「あなたの苛立ちは分からなくもない。でも これが組織なの。私は組織として、円滑に活動できるようにする責任があるの。話せる事もあれば話せない事もある。便利屋の時と同じように自由奔放にはできない。あなたも ここに来てから それは承知のはずでしょ?」
ネロ「監査って奴は どこに居る?そいつが全部 決めてるんだろ?」
ステフ「私も居場所は知らない。オリーブ財団で最も命を狙われる立場だから、滅多に人前に姿を見せる事はないわ」
ネロ「・・・俺達を使いたいなら、隠し事はナシだ。監査って奴にも言っとけ。それができないなら、俺も勝手にさせてもらう」
そう吐き捨てたネロは、入ってきた時と同じく勢い良く扉を開けて出ていった。
それを見送ったステフは、困ったように溜め息を吐いていた。
ステフ「ネロは組織に馴染めないタイプね・・・」
それだけでなく、ステフはネロ同様 日本艦に対しても困っていた。
元々そういう性格なのか、過ごした環境の影響なのか、はたまたダンテやネロの影響を受けてなのか、日本艦の多くは感情論で物を考える事が多い。気持ちだけで どうにかなるほど、現実は甘く優しい世界ではない。
日本艦の中でも数名の艦娘は ちゃんと理解し、論理的に考えてる者も居るようだが、日本艦の多くは気持ちの面で未熟と言えた。
ステフ「(監査は何を考えてるの・・・?)」
Devil May Cry鎮守府がオリーブ財団の所属になるよう手回ししたのは、オリーブ財団の最高責任者である監査だった。
どういうつもりでネロ達を ここに寄越したのか、監査の考えが推し量れずステフは頭を悩ませるが、今は目先の仕事を優先する事にした。
バージルが もたらした、Mr.Jに繋がるかもしれないメキシコ最大の売春組織。その情報を集める必要がある。
*Devil May Cry鎮守府 執務室 日本時間9月2日 21:20*
現在、横須賀鎮守府の仮鎮守府となってるDevil May Cry鎮守府に、最上型4人が戻っていた。理由は、Devil May Cry鎮守府にダンテの関係者が訪ねてきたとの事で、日本海軍の大本営が連絡してきたのだ。
最上型は、横須賀鎮守府の秘書艦である扶桑に言われるまま、執務室へと向かった。
中に入ると、待っていたのは横須賀提督と1人の黒人男性だった。
最上「えっと、あなたは・・・?」
横須賀「紹介するわ。彼は“モリソン”、ダンテ提督の古い知り合いだそうよ」
モリソン「ごきげんよう、お嬢さん方」
鈴谷「モリソン?・・・・・・誰だっけ?」
熊野「そういえば・・・以前 提督から名前だけ聞いた事があるような・・・」
三隈「くまりんこは聞いた事ない」
横須賀「とりあえず、座って話しましょうか。私には彼の話は さっぱり分からなくて・・・」
モリソン「そんな難しい話をしてるつもりはないんだがねぇ」
一先ず、最上型とモリソン、横須賀提督はソファーに座り、改めてモリソンが ここに来た経緯を聞く事にした。
モリソンの話では、古い知り合いの店で呑んだ帰りに、突然 目眩がして意識が朦朧としたそうだ。そして次の瞬間には、日本の街に居たとの事だ。
モリソンは、突然 自分が違う場所に居た事に驚きはしたが、ダンテに仕事を仲介する間柄、奇妙な事を目にするのは慣れていた。その経験もあり、モリソンは冷静に自分の置かれた状況を把握するために動いた。
調べていく内に、モリソンは聞き慣れた名を耳にした。『Devil May Cry』鎮守府と。
偶然とは思えない、何か直感めいたものを感じたモリソンは、Devil May Cry鎮守府を訪ねる事にした。しかし、そこにダンテは居なかった。
だが、Devil May Cry鎮守府に駐屯する憲兵達と、横須賀鎮守府の面々はダンテを知っていた。話を聞いていく内、人物像もモリソンが知るダンテと一致していた。
モリソン「それで俺は、“当たり”だと思った訳だ」
横須賀「だけど私は、Devil May Cry鎮守府が今どこに配属されたのか知らなかったから、元帥に相談したの」
Devil May Cry鎮守府の現在の配属先と連絡先が不明だったため、横須賀提督は元帥に話を通し、元帥がステフに連絡を取ってくれた お陰で、最上型がモリソンと会う事になったのだった。
モリソン「それで、お嬢さん方はダンテを知ってるんだろ?ダンテは今どこに居る?」
最上「分かりません。僕達も行き先は聞いてなくて、ネロも知らないって言ってたし・・・」
モリソン「おいおい、ネロとも知り合いなのか?」
鈴谷「皆 知ってるよ。レディにトリッリュにパティとか」
モリソン「(パティとも知り合いなのか・・・?ダンテの奴、また妙な事になってるんじゃないだろうな?)」
パティの名前まで出てきて、モリソンは少しばかり驚いたが、彼の予想は大正解だった。しかし、詳細までは知る由もなかった。
横須賀「とりあえず元帥は、モリソンの事はDevil May Cry鎮守府に任せるって事だから、あとは お願いしていいかしら?」
最上型としては、モリソンをオリーブ財団に連れていっていいのか判らなかった。
だがネロとも知り合いのようなので、鈴谷の提案で連れていくだけ連れていき、あとはネロとステフに任せる事にした。
すると、最上型の話を聞いていた横須賀提督が、興味深そうな顔をした。
横須賀「あなた達、今はオリーブ財団って所に居るの?」
鈴谷「まぁ、そうだね」
横須賀「そのオリーブ財団って どこにあるの?何してる財団?」
「「「「・・・・・・秘密」」」」
横須賀「何でよ!?教えなさいよ!」
オリーブ財団での事は一応 機密扱いであるため、最上型も そう簡単には話せない。1番の理由は、ステフが怒ると怖いから口が裂けても言えない。
その後も横須賀提督からの追求は止まらなかったが、最上型は どうにか追求を躱して逃げ出し、モリソンを連れてオリーブ財団へと帰るのだった。
次回からバージルをメインにした お話をやっていこうと思います。予定では8話に渡る長さになる予定です。
次回も宜しく お願い致します!