評価ありがとうございます!
がっつりパロディ。
今回からバージルがメインの話ですが、予定で8話の長さと言ってましたが7話に収まりました。
なので今回から7話分、バージルの お話を楽しんでいただけたらと思います。
314話です!どうぞ!
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム アメリカ時間9月2日 19:08*
ロサンゼルス郊外にあるオリーブ財団に、モリソンを連れて最上型が戻ってきた。
ブリーフィングルームにモリソンを通すと後はネロとステフに任せ、最上型は すぐに退室した。
ネロ「モリソン、まさかアンタまで こっちに来てるなんて驚いたな」
モリソン「そりゃ こっちのセリフだ。さっきの お嬢さん方から、別の世界が どうとか聞かされて まだ頭が混乱してる」
ステフ「・・・別の世界?」
ネロ「い、いや、何でもない」
ステフは、ネロやモリソンが どこから来たか知らない。
慌てて誤魔化したネロは、ステフから追求されない内に話題を変える事にした。
ネロ「モリソン、悪いけど、今はアンタを帰らせてやれないんだ」
モリソン「帰れないだって?そりゃ困ったな・・・」
ネロ「ステフ、しばらくモリソンを ここに置いてやれないか?」
ステフ「・・・モリソンと2人だけにしてくれる?」
ネロ「・・・まさか、面接するつもりか?」
ステフ「そうよ」
ステフは さも当然と言わんばかりの顔で答えるのだが、ネロは呆れていた。
ネロ「おい、別に泊めてやるぐらいいいだろ?」
ステフ「ここは慈善団体じゃないの。居座るつもりなら、それなりに役に立ってもらわなきゃ困るの」
オリーブ財団には機密が多い。そんな所に、部外者を簡単に置く訳にはいかない。
だが逆に、協力者として取り込めば、ここに居る事は何ら問題はない。勿論、幾つかの条件付きではあるが。
ネロはステフの頑固さを嫌でも知ってるため、仕方なくブリーフィングルームから出て2人だけにした。
モリソン「面接って言われても、何を話せばいい?」
ステフ「私が質問した事に答えてくれるだけでいい」
ステフは先ず、モリソンに何ができるか訊いた。漠然とした質問だったが、モリソンは自分が仲介屋であり、情報収集ぐらいならできると難なく答えてみせる。
その後も幾つか質問し、もう少し その仕事振りの詳細を聞いていく内に、ステフはモリソンが使えるかもしれないと判断した。
そして次なる質問をしようとするが、そちらはオリーブ財団と関係ない話だった。どちらかと言うと、個人的な質問だ。
ステフ「あなたはダンテやネロと知り合いなのよね?」
モリソン「まぁ、ダンテとは長い付き合いだな」
ステフ「彼らの正体を知ってる?」
その質問に、モリソンは何かを怪しむように目を細める。それでもモリソンは、冷静にダンテ達が便利屋であると答えた。
ステフ「彼らが便利屋であり、デビルハンターであるのは知ってる。私が知りたいのは そういう事じゃない。彼らの もう1つの正体よ」
モリソンは、ステフがダンテ達の何かを探ってると すぐ勘付いた。
モリソンは仕事柄、信用が不可欠であるためベラベラと知ってる事を喋る訳にはいかない。それがダンテやネロの事となると尚更だ。
モリソン「何かを疑ってるようだが、ダンテとネロは ただの便利屋だ。俺が一目置く凄腕のな。それ以外の何者でもない」
ステフ「そう・・・」
ステフは それ以上 追求する事はなかったが、モリソンの言葉を鵜呑みにした訳ではないだろう。
その後は少々 世間話のような話をし、ステフはオリーブ財団にモリソンを置く事を了承した。
それからは駆逐艦を中心に、モリソンが知るダンテの話を お願いしたりと、互いに親睦を深めるのだった。
・・・・・・
*夢*
バージルは夢を見ていた。それはVとして、艦娘売買のオークションに潜入した時の光景だった。違うのはVではなく、バージルとして夢の中に登場していた。
オークションに潜り込ませてくれた筑摩の手を取り、銃弾が飛んでくる中を走って逃げている。
その途中、筑摩が振り払うようにバージルの手を離した。突然の事に、バージルは咄嗟に立ち止まり振り返る。
バージル「何をしている!?来い!」
筑摩「・・・もう手遅れです」
筑摩が視線を下に下ろし、バージルも釣られるように下の方を見る。視界に飛び込んできたのは、バージルが手に持つ閻魔刀が筑摩の腹部を刺し貫いてる光景だった。
筑摩の刺し貫かれた傷口からは、血が拡がり服を赤く染めていく。
バージル「ま、待て!」
バージルは閻魔刀を引き抜き、筑摩の傷口を手で押さえて止血しようとする。それでも血は止まらない。
筑摩は痛みを感じていないのか、何の感情も宿さない顔でバージルを見ている。
筑摩「隠れても無駄」
バージル「よせ、ダメだ筑摩!」
筑摩「逃げられはしない、この悪夢から」
バージル「やめろぉおおおおお!!!」
・・・・・・
*カナダ 山 9月16日 7:01*
バージル「っ・・・!?」
夢で叫んだ直後、バージルは目を覚ました。
バージルは、ずっと筑摩の悪夢に苦しめられていた。筑摩を助けられなかった罪悪感が視せているのか、筑摩が夢枕に立っているのか判らないが、バージルは毎晩 同じ悪夢を視ていた。
何やら焦げ臭い異臭を感じ見てみると、焚き火の火が敷いていた毛布に燃え移っていた。
バージルは急いで火を消し、傍にあった写真を見て手に取る。そこには、ダンテやネロ、艦娘達と撮った集合写真が写っていた。
ネロと再会してから2週間が経過していた。
あれからバージルは、ネロ達に見付かった事もあり、艦娘を買った人間を追って派手に動けないと判断し、雲隠れして大人しく身を隠していた。
しばらくは野宿の生活が続き、珍しく髭も伸びて浮浪者のような格好をしている。
バージルは写真を懐に仕舞い、次にラジオを見た。流したままにしていたはずのラジオが、いつの間にか止まっていた。
ラジオを手に取り弄るが、ラジオは動かない。
壊れたのかと思い叩いてみるが、それでもラジオからは音が出ない。恐らく電池切れだろう。
・・・・・・
ラジオの電池を買うため、バージルは下山しながら町を目指す。
山中に生える何本もある木には獣の爪痕があり、その上から真新しい一本線の傷が付けられている。
バージルは途中で、新しく付けられた獣の爪痕を見付けると、閻魔刀で斬り傷を付けて上塗りする。
また町に向かうために足を動かすが、左斜め後ろから獣の鳴き声がした。振り返ると、そこには野生の熊が居た。
バージルは立ち止まって しばらく熊を見詰めるが、何もしてこないので そのまま下山した。
・・・・・・
*町 スーパー 9:03*
山の梺にある町に着いたバージルだったが、離れた場所に停めてある車の中から、赤く髪を染めた女がスマホのカメラでバージルを撮っていた。バージルは それに気付いてるのか不明だが、そのままスーパーへと向かう。
スーパーの前には1台のピップアップトラックが停まっており、4人の熊狩りハンターと1人の女が、荷台にボウガンなどの武器を積み込んでいる。
女の方は どうやら艦娘のようで、スウェーデンの軽航空巡洋艦ゴトランドだった。
こんな場所に艦娘が居るのは不自然だが、ハンター達と一緒に居る事から、艦娘売買の被害者なのかもしれない。
バージルは横目で、ゴトランドと男達を見ながら通り過ぎ、スーパーの中へと入る。
店内には他に2人のハンターがレジに並んでおり、バージルは電池売り場の前でハンターの会計が終わるのを待つ。
会計を終わらせた2人のハンターがレジから離れ外に向かうと、バージルは売り場の電池を手に取りレジに向かう。
バージル「これを」
直後、銃声が鳴った。そちらを見ると、銃が暴発したらしくハンター達が揉めていた。
するとレジ店員が、バージルに話し掛けてきた。
店員「あなたはハンターじゃないの?」
バージル「・・・俺は違う」
バージルは金を出し、会計の終わった商品を手に さっさと立ち去った。
・・・・・・
*山 22:13*
夜になってから天気が崩れ、雨が降り出した。
そんな中バージルは、森の中で雨が凌げる洞穴のような場所で寝ていた。
雲隠れしてから続く生活。今日も ただ寝て悪夢に魘され、明日の朝に起きるだけのはずだった。
だが、今晩は違っていた。森に銃声が鳴り響き、その音にバージルは目を開けた。
すぐに身体を起こすと森の中を駆け抜け、銃声がした場所へ向かう。
目的の場所に着いたバージルの眼に映ったのは、荒らされたキャンプ地だった。辺りを見渡し、残されてる物と転がってる死体から、ハンターのキャンプ地であるのは すぐに判った。
犬の鳴き声がし、それに続いて人の声が聞こえると、遠くからライトの光が近付いてくるのが見える。遭難者の捜索をしてる人間だろう。
バージルはキャンプ地を離れ、何かを探すように辺りを見渡しながら移動する。そして見付けたのは、熊と一緒に倒れるゴトランドだった。
ゴトランドと熊は まだ息があり、ゴトランドと目が合う。しかし彼女は弱っているのか、何も言葉を発しない。
バージル「どうしたんだ?」
バージルがゴトランドと熊を よく観察していくと、どちらの身体にもボウガンの矢が刺さっていた。
状況から察するに、ハンターのキャンプ地を襲った熊を撃退するため、ハンターはボウガンを使った。
そしてハンターと一緒に居たゴトランドが熊を庇い、共に矢に射ぬかれたのだろう。
ハンターを殺して逃げたが、どうやら ここで力尽きて倒れていたようだ。
バージルが艦娘売買を追う中で分かった事だが、最近は金持ちでなくても個人的に艦娘を持ってる者が増えていた。艦娘を買った金持ちが何かしらの理由で艦娘を手放し、一般人が彼女達を見付けて拾い、同じくオモチャや奴隷にしている事があるのだ。
バージルが矢を掴んで引き抜こうとするが、ゴトランドが異常なまでの悲鳴を上げ、バージルは手を離した。
ゴトランドと熊に刺さる矢は致命傷になるような場所には刺さっていない。刺さってる時点で痛いだろうが、痛がり方が尋常ではなかった。
ゴトランドと熊は、静かにバージルを見ているのだが、その眼は何かを訴えていた。バージルも その視線の意味を すぐに理解した。
バージル「よせ、俺にやらせるな・・・」
それでもゴトランドの視線は変わらない。
バージルは閻魔刀を抜き、極力 苦しまないよう急所を狙い突き刺した。ゴトランドは安らかな顔で、熊と共に その生を終えた。
バージルはゴトランドから矢を抜き、その尖端の匂いを嗅ぐと顔を しかめた。バージルが顔を しかめた理由が、ゴトランドと熊が弱っていた原因だ。
バージルは矢を手に、山の梺にある町へと向かった。
・・・・・・
*町 バー 23:34*
町に着いたバージルは、バーの外にある駐車場に停めてある車の中を見る。車内にはゴトランドと熊に刺さっていた同じ矢があった。
バージルは当たりだと確信し、バーの中に入っていく。
その後ろ姿を、別の車の中から何者かが見ていた。
バーはカウンター以外は立ち飲みスタイルとなっていた。
そのバーでは、生き残ったハンターの男が怯えた様子で、立ち飲み用のテーブルに凭れながら熊に襲われた状況を細かく話していた。店主や他の客達は、静かに その話に耳を傾けている。
そこにバージルが現れた。
バージル「熊に襲われたのは お前か?」
バージルが話し掛けた事で話が中断され、店内に居た全員がバージルに注目する。
ハンター「・・・俺だけ生きて帰った」
バージルは それに何か言う訳でもなく、カウンターの方に行き店主を見る。
バージル「あいつに1杯やってくれ」
ハンター「・・・アンタ名前は?」
ハンターの男も この場に居る他の全員も、バージルの事を知らない。だからハンターの男は、なぜバージルが奢ってくれるのか分からなかった。
バージルは男に近付くと、透かさずテーブルの上に置かれた彼の手に、ゴトランドの身体から引き抜いた矢を振り下ろし突き刺す。
バージル「俺はバージル。これは毒を塗った『ブロードヘッドアロー』、この矢は違法なはずだ」
1人の客が助けようと動くが、バージルは拳1発だけで向かってきた男を吹き飛ばし、更に睨んで他の客も牽制する。客達はバージルの眼光に恐れたのか、1歩 後退る。
手をテーブルに縫い付けられたハンターは、痛みに耐えながら ずっと小さな呻き声を出している。
矢を抜きたいが、バージルが ずっと矢を掴んでるせいで抜く事ができない。
バージル「どこで見付けたか訊いたら どうだ?」
バージルはハンターの男が元々 注文していた酒のグラスを持つと、それを傾け矢に ゆっくりと酒を垂れ流していく。酒は矢とバージルの手を伝い、男の手にも掛かる。傷に滲みるアルコールの痛みで、ハンターの男が更に呻く。
バージル「早く訊け」
ハンター「くっ、どこで見付けた・・・?!」
バージル「何だ、知らないのか?艦娘と熊の背中から引っこ抜いたんだ。これを使ったのは、腕が悪い上、獲物の苦しみを止めに行ってやる度胸も持たない奴だ」
バージルは話しながら矢をグリグリと動かし、ハンターの手からミチミチと肉が抉られる音が鳴り、ハンター自身の口からも改めて呻き声が漏れる。
バージル「だから致死量の毒を矢に塗って熊を撃ち、熊を庇った艦娘まで撃たれた。そのせいで毒が回った熊は荒れ狂って5人の人間を殺した」
ハンター「・・・何の話してるんだ?俺は矢に何も塗ってない・・・!」
バージル「それなら毒が回る心配はないな」
そう言われ、ハンターの男はハッとして矢を見る。もし知らない内に、仲間の誰かが毒を塗っていたとしたら?
自分はやってなくても、毒はないと完全否定はできない。そうなると、手に矢が刺さる自分に待つのは・・・。
それを考えてると、ハンターの中でフツフツと怒りが込み上げてきた。なぜ自分が こんな目に遭わされなければならない?
ハンターの男は怒りに任せ、テーブルの上に置かれた空のグラスを手に取りバージルの顔面を殴る。殴った拍子に、グラスは粉々に砕けた。
バージル「・・・痛いではないか」
バージルの顔には大きめの破片が刺さっており、バージルは指で それを摘まんで抜いた。
それを見たバーに居た連中は、目を見開いた。ガラスを抜いた傷口が一瞬にして閉じ、その異常なまでの治癒能力に驚き声が出ない。
バージル「許せ筑摩」
愚かな人間を生かしておく理由はバージルにはない。
バージルは閻魔刀を抜こうとしたが、その腕を誰かに掴まれた。振り返ると、見知らぬ赤い髪の女が、笑みを浮かべてバージルを見ていた。
女「私なら放っておく。あなたが殺らなくても こいつらは、直に死ぬし」
女の言ってる事が すぐに理解できず、バージルは訝しげな顔で睨む。
女「この3人は1週間後、車の事故で死ぬ」
バージルが女に気を取られて背を向けてる隙に、ハンターは手に刺さる矢を引き抜き、それを使ってバージルの背後から襲い掛かろうとする。
しかし、女のハイキックを喰らいハンターは吹き飛ぶ。蹴りが胸に入った事で、ハンターは倒れたまま咳込む。
他の客は仲間意識からか、持っていた銃を手に取る。だが度胸がないのか、それを すぐに使おうとはせず、得体の知れない何かを見るような顔で女を見てるだけだった。
すぐに行動に出ない男達を見て女は笑みを浮かべると、手に持つ刀を掲げて その場に居る全員に見せる。
女「これは何百年も前の刀。最初に使った侍が『
その言葉に喧嘩を売られてると思ったのか、客の1人が手に持っていた銃を構える。だが女は、素早い動きで鞘に納まった断斬で銃を弾き、鳩尾を突いてダウンさせる。
更に断斬を抜刀して二振りしてから、縦向きにした鞘に刀身の中腹までを戻す。柄から手を離し、断斬は重力に従い完全に鞘に納まる。
カチンと音が鳴るのと同時に、女が断斬を振った時に斬ったカウンターの椅子の足が倒れ、椅子が傾き座っていた客も一緒に床に落ちる。
女「ほらね」
女はバージルに そう言ってから、次はビール瓶を持つ男を見ると、ビール瓶の下半分が遅れて床に落ちる。
女「裏に車がある」
バージルに それだけ伝え、女は さっさと店から出ていった。
バージルは、この女が何者なのかと考えながら立ち去る背中を見ていたが、一先ず女の言う通り店を出て、店の裏手へと回った。
車の助手席を開けるが、バージルは車内を見て固まった。至る所にゴミが散乱してるのだ。
女「乗って」
女が助手席のゴミを適当に片付け、バージルは嫌々ながらも車に乗り込んだ。
パトカーのサイレンの音が聴こえる。バーの店主が通報したのだろう。
女は車を走らせ、警察に捕まらないよう町の外に出た。
どうにか警察は躱したが、バージルは座り心地が悪いのか車内で暴れ出す。
女「ごめん、レンタカーなの」
バージル「・・・何者だ?」
刹那「『
バージル「それで?」
刹那「あなたを3ヶ月も探してた」
バージル「・・・何故だ?」
刹那「スパーダの血族を探すため。私の雇い主が あなたに会いたいって」
バージル「雇い主?」
刹那「『真田』様よ」
バージルは後部座席の方を見た。そこには自分やダンテ、ネロ、Devil May Cry鎮守府の艦娘達が写る写真が何枚もあった。どうやら隠し撮りのようだが・・・。
それにスパーダの事は、この世界で こことは違う別世界があると知ってる限られた者しか知らないはずだ。
それに、バージルは“真田”という名の人物を知らない。だから自分に会いたがってるのも意味不明だった。
刹那「借りを全部 返したいって。彼は死にかけてる。昔スパーダに命を救われた お礼を言いたいらしいの。でもスパーダには会えないから、代わりに息子の あなたに言いたいらしいの。承知してるわ、あなたが・・・忙しいって事は。それでも直接 会って お礼がしたいって」
バージル「・・・どこに居る?」
刹那「東京」
バージル「何?日本になど行かんぞ」
刹那「断るのは、礼儀に反する事になる」
バージル「それなら、Mr.真田には謝る。だが東京には行かない。俺にはやる事がある」
すると刹那は、嬉しそうに笑みを浮かべる。
刹那「謝らなくていい。魔剣士に会えただけでも光栄よ」
バージル「・・・・・・俺の事を調べていたようだが、今の俺は お前の知る俺とは違う」
刹那「・・・おもしろい。あのバーに行ったのは、正義のためじゃないの?」
バージル「分からない」
刹那「分からない?」
バージル「そうだ」
刹那「分かってるはず」
バージル「止めろ」
刹那「あなたは戦士」
バージル「違う、止めろ」
刹那「あなたは戦士よ!」
バージル「今すぐ車を止めろ!・・・止めろ!」
刹那は仕方なく、車を路肩に寄せて車を止めた。
刹那「あなたは戦士よ。戦士が求めるものを求めてる」
バージル「それは何だ?」
刹那「名誉ある死と、苦しみからの解放」
バージル「・・・俺が苦しんでると?」
刹那「毎晩 悪夢に魘されてる人間は苦しんでるはずよ」
刹那の言葉に思う事があったのか、バージルは沈黙したまま刹那を見詰める。
するとパトカーのサイレンの音が聴こえ、前方から来たパトカーが横を通り過ぎた。
バージルは何かを考えるように、少しの間 窓の外の景色を見てから刹那に顔を向ける。
バージル「1日だけだ。Mr.真田に お別れを言ったら、すぐに戻る」
バージルの了承を聞き、刹那は笑顔になる。
刹那「OK♪」
2人を乗せた車は また走り出し、日本に行くため港へと向かうのだった。
・・・・・・
*港 9月17日 19:14*
翌日の夕方、予め刹那が手配していた船が停泊する港に2人は到着していた。
刹那が船に向かって先を歩き、バージルが その後ろを歩いてると、刹那が歩きながら振り返る。
刹那「12時間で着く。海流と深海棲艦次第だけど」
バージル「12時間か・・・」
刹那「船は嫌い?」
バージル「大好きだ」
冗談混じりに答えると、バージルは刹那と共に船に乗り込んだ。
・・・・・・
*船 日本時間9月18日 20:35*
船はアメリカ海軍の艦隊に護衛されながら、日本に向かって航行する。
だが海が荒れてるのか、船は度々 大きく揺れる。
そんな船の客室では、バージルはテーブルがある1人用のソファーに座りながら飲み物を飲み、刹那は2人用のソファーで横になり寝ていた。
だが寝ていたと思っていた刹那は、目を瞑ったまま口を開く。
刹那「もう直き着くから」
バージル「未来を予知できるのか?」
刹那「海図ぐらい読める」
バージル「・・・酒場の連中が どうなるか、予言したな」
刹那「あいつらが死ぬのは分かる。誰でも いつかは死ぬ」
バージル「1週間後に車の事故で死ぬと言った。その通りなら大した才能だ」
刹那「・・・・・・蒼い剣を飛ばす能力はないけど」
刹那が皮肉とも冗談とも取れる事を言うが、バージルは意に介す事もなく、船の振動に揺られながら窓の外を見て、溜め息を吐く。
バージル「俺は ここで死ぬのか?」
刹那「いいえ・・・ここじゃ死なない」
試しに言ってみただけだったが、刹那は本当に未来が視えているのかハッキリと断言した事で、バージルは無表情ながら内心 驚きつつ、刹那を見た。
そうしてる間に、船は日本の街の明かりが見える程の距離まで来ていた。
・・・・・・
*街 21:20*
日本の港で待っていた黒塗りの車が、バージルと刹那を乗せて東京の街を走っている。
バージルが横に座る刹那を見るが、刹那は真剣な顔で ずっとスマホを見ているため、会話できる様子ではない。
次に車のバックミラーを見ると運転手と目が合ったが、運転手は すぐに視線を外した。運転手の目付きからバージルは警戒されてるようなのだが、バージルは気にせず車の窓を開け、街の風景を眺める。
刹那「真田様の具合が良くないらしい」
どうやら刹那は、関係者と連絡を取り合ってスマホを見ていたようだ。
だが、具合が悪い事を報告されても どうする事もできないため、バージルが何か言う事はなかった。
次回も宜しく お願い致します!