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316話です!どうぞ!
真田は自分の死期を悟り、スパーダに救われた命と同等のものを、息子であるバージルに返すと告げる。それは“死”だった。
だが真田は、バージルを単に殺すつもりではなかった。バージルの治癒能力、悪魔としての力を自分に移植し、バージルには普通の人間としての余生を送らせ、普通の人間としての死を迎えさせるつもりだった。
バージルは馬鹿馬鹿しくなり立ち去ろうとするが、真田は引き止め孫の
茉優を護るため力を貸してくれと懇願するが、バージルは無情にも断り真田の前から立ち去る。
真田との面会を終わらせ部屋の外に出たバージルの視界に、茉優と その父親である
信玄に平手打ちされた茉優は、使用人や警備の人間が止めるのも聞かず中庭に出ると、崖の方に向かっていく。それをバージルが止め、茉優は屋敷へと戻った。
刹那の勧めもあり、バージルは真田家の屋敷に一晩だけ厄介になる事になるのだった。
*真田家の屋敷 9月19日 1:28*
深夜、真田家の屋敷に泊まる事になったバージルは、宛がわれた部屋で大人しく眠りに就いていた。
バージルは また助けられなかった筑摩の悪夢を視て魘されていたのだが、バージルが使っていた湯飲みが奇妙な事になっていた。湯飲みから、何やら怪しげな緑色の煙が上がっている。
バージルは悪夢に魘されながら口に違和感を感じる。誰かにキスされてるようだ。
目を開けると、顔を離したDr.グリーンが覆い被さっていた。
バージル「ぐっ・・・!?うぐっ・・・!がっ・・・!」
Dr.グリーンが再びバージルにキスをすると、バージルは目を見開き抵抗もできず苦悶の声を漏らす。
Dr.グリーンがバージルから離れると、バージルの口からは湯飲みと同じ緑色の煙が上がっている。
バージル「あがっ・・・!あ゛っ・・・!」
何かを飲み込んでしまった後、バージルはベッドから起き上がり閻魔刀を抜刀して構える。しかし、Dr.グリーンの姿は音もなく、既に部屋から消えていた。
すると、何やら慌ただしい声が聞こえてきた。
バージルが中庭側の障子を開けると、中庭を挟んだ反対側の縁側で、女中が慌ただしく行き来し、更に救急隊員が真田を乗せたストレッチャーを押していた。
そこに、何があったのか報告しに刹那が来た。
刹那「亡くなられたわ・・・予知できなかった・・・!」
刹那は、悔しそうに泣いていた・・・。
・・・・・・
*増上寺 9月23日 13:10*
真田が亡くなった事で、東京タワーの近くにある増上寺で彼の葬儀・告別式が行われる事となった。
増上寺の前では人が ごった返していた。テレビ局のカメラやレポーター、記者の人間まで来ている。
真田産業は日本でもトップクラスの企業でもあり、その社長である真田が亡くなったニュースは日本中に激震が走った。
真田家の黒い送迎車が1台 到着すると、バージルと刹那が降りてきた。真田が亡くなった日に居合わせてしまったため、バージルは刹那に連れられ参列しなければならなくなっていた。
車を降りた刹那は、レポーターの取材を受けてる政界の人間と目が合う。それも束の間、政界の人間の方から視線を外し、真田が亡くなった事を残念に思う当たり障りのない言葉を並べていた。
バージルも辺りを見渡すが、武装した警備が何人も居た。隠す事もなく手に銃を持ってる状態で、その物々しさにバージルは不信感を覚え、目を細める。
そして刹那と共に増上寺の方へと向かうが、バージル達から少し遅れて到着した車から、微笑を浮かべたDr.グリーンが降りてきた。
バージルは歩きながら横目で、後方を歩くDr.グリーンを見る。Dr.グリーンはサングラスを掛け、レンズ越しにバージルを見ながら不敵な笑みを浮かべていた。
命を狙ってくるような危害を加えてきた訳ではないが、バージルは警戒だけはしておく事にした。
増上寺の門の屋根には、黒髪を結った黒装束の男が訪れた参列者を見ていた。いや、見張っているのか?
バージルが後ろを振り返りDr.グリーンを見ると、彼女は左側 上方を見ている。その視線を追って そちらを見ると、バージルも屋根の上に居る黒装束の男の姿を捉えた。だが、今は気にせず増上寺の中へと入る。
住職が上げる お経を聞きながら奥へ向かうと、外で取材を受けていた政界の男が茉優と一緒に居るのが視界に入った。
バージル「茉優と一緒に居るのは誰だ?」
刹那「彼は『
信玄夫妻の前まで行き、刹那が先に2人に お辞儀する。
バージルは茉優から視線を外し信玄を見るが、見たまま棒立ちで見詰め合いが始まる。バージルに頭を下げる道理はない。
刹那「お辞儀」
刹那に催促され、バージルは仕方なく、嫌々ながらに小さく会釈だけした。それに対し、信玄夫妻も返礼で軽く頭を下げる。
刹那「信玄様、Mr.バージルです」
信玄「彼の事は知ってる」
バージル「父上は いい人だった」
一応 葬儀の場であるため、バージルも礼節を守って何か言うべきだと考え、心にも思っていないが当たり障りのない言葉を掛けておく。
信玄「同じように父も君の事を。そして君のような類いの者に取り憑かれていた。教えてくれ、なぜ父は刹那に君を連れて来させたんだ?」
バージル「・・・お別れのためだ」
信玄「・・・では済んだな。もう洞窟に戻る時間では?」
信玄の失礼な物言いに、バージルと信玄の睨み合いが始まる。
信玄の妻も咎めたり止めようとしない事から、真田家には男尊女卑の風習が根強く残っていて、信玄の妻には夫に物申す権利がないのかもしれない。
睨み合いが続いていたが、葬儀の場で喧嘩でもされたら堪ったものではないため、刹那がバージルを引っ張り信玄夫妻から離れると、他の参列者に混じって並ぶ。
バージル「他に合わせたい奴は居るか?」
嫌味を込めてバージルが訊くが、刹那は憂鬱そうな表情で何も言わなかった。
バージルが後ろを振り返ると、3列ほど後ろにDr.グリーンが並んでいた。警戒は怠らない。
そして屋根の上では、黒装束の男が真田の遺影に向かって頭を下げていた。
?「私は誓います、真田様。警戒を怠らず、茉優を護る事に、人生を捧げると」
信玄夫妻が棺の前まで行き、共に お焼香を上げる。
その横には、赤い鎧兜が飾られていた。
刹那「あれは真田の赤備え、『レッド・サムライ』の鎧。そのレッド・サムライは、真田様を永遠に見守り続ける」
刹那が何なのか説明してくれるが、バージルは興味がないのか すぐに茉優の方を見る。
次に茉優が お焼香を上げる番となり、住職に案内される形で棺の方へと歩いていく。
だが その時、バージルは違和感を感じた。住職の袖から覗いていた腕に、刺青らしきものがあったからだ。
刹那「バージル?」
バージルは参列者を掻き分け前に出ると、そのまま茉優を追う。
それが見えていた信玄夫妻も、バージルの突然の行動に何事かと顔を険しくさせ、他の参列者もバージルの行動に動揺する。
バージル「おい、何か変だ」
茉優「・・・・・・放して」
茉優の腕を掴み引き止めるが、茉優はバージルの腕を振り解き、住職と一緒に棺の方へと また向かってしまう。
警備が下がれとバージルに何度も怒鳴るが、バージルは別の住職と目が合い動かない。
バージルは その住職にも違和感を感じ近付くが、住職が隠し持っていたショットガンを構えてバージルの腹部に撃った。
更に住職はショットガンを撃ち、警備までも撃ち殺す。
信玄夫妻の近くに居た住職も、2人に向かって銃口を向けてくる。
突然の事に、参列者は悲鳴を上げながら逃げ惑う。
バージルは撃たれた衝撃で数歩 後退り、膝を突いていたのだが、何かが おかしい。いつもより痛みを感じ、耳鳴りがする。
住職が衣服を脱ぎ捨て上半身 裸になると、背中に大きな刺青が入ってる姿を見せる。しかも住職全員が同じだった。ヤクザが住職に成り済まし侵入していたのだ。
そして茉優が、ヤクザに捕まった。真田は、茉優が狙われてると言っていた。狙いは茉優に間違いない。
刹那「バージル!」
刹那はバージルを助けに向かおうとするが、逃げ惑う参列者の波に押し負け駆け付ける事ができない。
バージルは自身の腹部を見ると、いつもなら すぐに塞がる傷が塞がらず、血がドクドクと流れている。いつの間にか、悪魔としての治癒能力が失われていた。
その事に動揺しながら顔を上げると、茉優がヤクザに連れ去られていくのが見えた。
それを同じく見ていた黒装束の男も、瞬時に動く。
刹那は参列者の波から抜け出し長い蝋燭立てを掴むと、棒術を駆使して次々とヤクザを倒していく。
黒装束の男はケースから弓を取り出し、矢を掴む。
刹那「バージル!」
痛みを堪えて立ち上がったバージルは閻魔刀を抜き、向かってくるヤクザを斬り伏せていく。
ヤクザを倒しながら茉優を追うが、腕を撃たれ また膝を突いてしまう。
いつもなら避けたり閻魔刀で銃弾を弾く事もできたが、治癒能力だけじゃなく身体能力まで下がっていた。これでは まるで、普通の人間だ。
黒装束の男が矢を放つと、茉優を連れ去るヤクザの1人を射抜いて倒す。
参列者が逃げ惑いヤクザが暴れる中、Dr.グリーンはスマホのカメラで この混乱の様子を撮影していた。
ヤクザ「ビデオ撮ってんじゃねぇぞコラァー!撮るなコラァー!」
それに気付いたヤクザの三下が、至近距離でDr.グリーンに銃口を突き付ける。
それに慌てる事なく振り返るDr.グリーンは、笑みを見せながらヤクザを抱き寄せると、口から蛇のような長い舌を出し、ヤクザの顔に緑色の液体を吐き掛ける。ヤクザは悲鳴を上げながら顔が焼け爛れ、白目の部分も黄色く変色して絶命した。
ヤクザを殺したDr.グリーンは、何故かスマホでの撮影を再開する。
自分の身体の異変に戸惑うバージルだったが、ヤクザが銃をリロードしてる間に斬り掛かり倒していく。
茉優を探すと、ヤクザに建物の中に連れていかれるのが見えた。
茉優「放して!放してって行ってるでしょ!」
ヤクザに連れ去られる茉優は、護身術でヤクザを殴るが、銃を突き付けられ抵抗できなくなる。
茉優を追ってバージルは駆ける。池を飛び越え待ち構えていたヤクザを閻魔刀で斬り飛ばし、更に池を飛び越え建物の中に飛び込む。
バージルの後ろを追っていたヤクザが矢に射抜かれる。バージルを援護したように見えたが、黒装束の男に そんなつもりはなかったので たまたまである。
建物の中に飛び込んだバージルは、閻魔刀を構えながら茉優を連れ去るヤクザの前に立ち塞がる。
ヤクザ「失せろ外人!」
ヤクザ「こいつを摘まみ出せ!」
ヤクザ「死ぬぞ!」
全員でバージルを袋叩きするのに茉優が邪魔で、茉優はヤクザに突き飛ばされ床に倒れてしまう。
バージルとヤクザが睨み合う外からは、黒装束の男が弓を構えて いつでも射抜けるようにしている。
ヤクザ「失せろ外人!」
ヤクザ「もう逃げられねぇぞぉ」
ヤクザ「殺っちまえ!」
ヤクザ「ぶっ殺せー!」
ヤクザ「撃てー!」
ヤクザが先に動き、バージルは閻魔刀による素早い攻撃で次々と倒していく。それを見て黒装束の男は、茉優を護るように戦うバージルの姿に驚き、構えていた弓を下げる。
ヤクザが銃を撃つが、バージルは掴んで引き寄せた別のヤクザを盾にして銃弾を防ぐ。
弾切れになった隙に、掴んでいたヤクザを全力で投げ飛ばし、銃を撃っていたヤクザに ぶつけて纏めて倒す。
だが治癒能力を失い、銃で撃たれて傷を負ったバージルは、既に満身創痍だった。
茉優「スパーダ・・・」
バージルの閻魔刀を使っての戦いを見て、茉優は何故か“スパーダ”と呟いた。
バージル「行くぞ、急げ、来い!」
床に座り込んで動かない茉優に手を差し出し、バージルは増上寺から逃がすために外へと急ぐ。
刹那も粗方ヤクザを倒し、茉優を助けに向かおうとしたが、信玄に腕を掴まれ止められた。
刹那「茉優を!」
信玄「お前はいい。いいから行け!!」
何故か茉優を追うのを許さず、別の方向へと押して刹那を門から外に行かせる。
別の門から外に出た茉優は後ろからヤクザに掴まれるが、護身術でヤクザを倒し、序でにヤクザが持っていたドスを奪い取って逃げる。
バージルは別のヤクザを相手にしていたが、身体能力が下がり傷まで負ってる状態では、数に押し負け袋叩きにされていた。
すると、バージルを囲んでいたヤクザに矢が刺さり、バタバタと倒れた。
バージルが上を見上げると、屋根の上で黒装束の男が弓を構えているのが見えた。どうやら助けてくれたようだ。
バージル「茉優!」
今はヤクザに狙われてる茉優が気掛かりであるため、バージルは気にせず茉優を追った。
・・・・・・
*街 14:40*
喪服を着た女を連れて鞘に納まった刀を持つ男が走り、それを追って銃を持ったヤクザが走ってる事で、街は とんでもない騒ぎになっていた。
ビルの上では建物から建物へと飛び移り黒装束の男も追っており、狙いやすいタイミングでヤクザを射ぬくので、ヤクザの死体まで転がり大騒動だ。
バージルは一旦 身を隠すために、目に付いたパチンコ店の中に入る。それは追ってきたヤクザにも見られ、同じくパチンコ店に入ってきた。
バージルと茉優は店の奥へと向かい、従業員しか用がない場所の扉を開けて中に入ると鍵を閉める。だが偶然にも、中に入る瞬間をヤクザに見られてしまっていた。
ヤクザ「開けろコラァ!!」
中に入ったまではいいのだが、そこは倉庫のようで他に出口がない。
ヤクザは扉を破ろうと体当たりしながら騒いでいるため、店内に居る客も何事かと見ている。
茉優「どうするつもり?」
バージル「静かにしていろ」
バージルは閻魔刀を抜いて構えると、ヤクザが体当たりしてくるタイミングを見計らい扉に突き刺す。扉の磨りガラスにはヤクザの影が見え、呻き声もする。
バージルが閻魔刀を引き抜き扉を開けると、絶命したヤクザが転がっていた。
次が来ない内に、バージルは茉優を連れてパチンコ店から出る。
・・・・・・
駅の近くまで来たのだが、バージルの足取りは遅く、遂には立ち止まってしまった。それに気付き、先を進んでいた茉優が引き返してくる。
茉優「ありがとう、助けてくれて」
バージル「あれはヤクザだ」
茉優「大丈夫よ」
バージル「何故お前を追う?」
茉優「・・・もう大丈夫。ここからは1人で平気、もう行って。医者に見てもらって」
茉優はバージルを置いて、1人で駅に向かってしまった。バージルは その背中を見送ったが、放っておけず茉優を追う。
その直後、同じ場所に茉優を探すヤクザが現れた。奴らは まだ、諦めていない。
*駅*
人が所狭しと行き交う駅で、バージルは茉優を探す。すると人混みの中に、茉優の背中を見付けた。
茉優はバージルに気づかず駅構内を進み、バージルは静かに茉優の後を追う。
*新幹線*
茉優は辺りを警戒しながら新幹線に乗り込み、座席に座るのと同時に出発し、ホッと一安心する。
?「むっ・・・!?」
素頓狂な声とガコンという音がし、茉優が後方の座席を見ると、背凭れを僅かに倒して座席に座るバージルが寛いでいた。
バージル「これはいいな。これが新幹線だな?」
だがバージルが自分を追ってきていたと知り、茉優はバージルを睨む。
茉優「1人で平気って言ったでしょ」
バージル「ふぅ・・・時速は500キロぐらいか」
どれだけ睨んでも、バージルは気にも止めず窓を見て、一息 吐くだけだった。
会話にならないため、茉優はバージルを無視する事にして前を向いた。
*増上寺*
一方、ヤクザの銃撃事件により騒ぎになった増上寺では、まだ騒ぎが沈静化していなかった。救急車も何台も来て、多くの関係者が走り回っている。
法務大臣の勝信はSPに車に乗るよう言われるが、乗りかけて気が変わったのか、詰め掛けた取材陣の前に出た。
勝信「今回の卑劣極まりない、厚かましいとも言える犯行は、暴力団の仕業であります。組織犯罪の取り締まりを強化した、我々に対する暴力的な犯行と言えるでしょう」
勝信はカメラの前で強気な発言をする事で、政治家として国民にアピールしてるのだろう。狙いは支持率か その辺りに違いない。
そんな勝信を、刹那は腹立たしそうに見詰めていた。
そして信玄は、警備から報告を受けていた。
警備「目撃者によると、北門から出ていったそうです。あの、刀を持った外人に連れ添われ」
刹那が信玄の妻と話してると、信玄が来て刹那の肩を掴んだ。
信玄「お前の連れの外人は、どこに行った?」
刹那「お嬢様を、護っていたようです」
刹那が挑発的な笑みで答えると、信玄も鼻で笑い、刹那の耳に口を近付け妻に聞こえないよう耳打ちする。
信玄「お前は ただの人形だ。子供の頃と違って茉優には もう必要ない。それを覚えておけ」
そう言った後、信玄は妻に気遣う言葉を掛けながら刹那から離れた。
信玄の言葉は刹那に刺さったのか、悲しそうな顔で離れていく信玄を見詰めた。
*新幹線*
走り続ける新幹線の中ではやる事もなく、バージルも茉優も大人しく座っていた。
バージル「どこに行くつもりだ茉優?」
茉優「・・・・・・・・・」
バージル「・・・行き先は?」
茉優「このまま終点まで行く。南に家族の別荘がある」
バージル「バカは よせ」
バージルが嗜めると、茉優は苛立った溜め息を吐く。その態度から、余計な お世話だと思ってるのはバージルにも分かっていた。
バージル「怒るな。だが奴らは そこにも来る」
茉優「そこは安全」
バージル「1人にしろというのか?」
茉優「そう」
バージル「分かった」
茉優「本当?」
バージル「あぁ、本当だ。だが俺が護らなければ、お前は今日中に死ぬと思うがな」
そう言われた茉優は また機嫌を悪くし、バージルに向けていた顔を正面に向けて沈黙する。
バージル「何が起きても平気という顔をしてても、いざって時には どうかな?死にたいなら、望み通り死ねるだろうがな」
更に火に油を注いだ事で、茉優は頗る不機嫌になった。イヤホンをして、バージルの声が聞こえないようにする。
それを見てバージルも口を閉じるが、傷が痛み自分が負傷してる事を思い出し、席を立ちトイレに向かった。
・・・・・・
バージル「(どうなってる・・・?何が起きてるんだ?)」
トイレに行ったバージルは服を脱ぎ、手を拭くための紙を何枚も取り傷口を押さえながら、意識が朦朧としたまま鏡に映る自分の顔を見る。
洗面台には、既に血で赤く染まり丸められた紙が幾つもあった。
ある程度 血を拭き取ると、バージルは服を着直してトイレから出たが、そこに数人のヤクザが現れた。
ヤクザ「外人・・・」
ヤクザ「外人だ・・・」
バージルは またかとウンザリしながら睨むと、ヤクザが銃を手にした。バージルは腕を掴み銃口を逸らすと、撃ち出された弾は天井へと当たった。
そこから大して広くもないトイレの前で、バージルとヤクザの乱闘が始まる。
そこに、家族連れの他の乗客が来た。
バージル「トイレは混んでる!別のを使え!」
バージルとヤクザの乱闘を目撃し、家族連れは驚き逃げた。もしかしたら、トイレ争奪戦でもしてると思われたかもしれない。
乱闘を繰り広げる中でバージルはベオウルフを装備し、全力の正拳突きでヤクザの1人を殴り飛ばす。あまりにも力が強かったため、殴られたヤクザは新幹線の壁を突き抜け外に吹き飛んだ。
ヤクザはバラバラに仕掛けては駄目だと思い、一斉にバージルに掴み掛かり動きを封じようとする。
それを振り解こうとバージルが暴れると、ヤクザと一緒に新幹線の壁に出来た穴から外に身を投げ出す事となった。宙を回転しながら新幹線の後方へと流れていくバージルとヤクザ。
新幹線の側面に当たりながら屋根の方へと飛ばされたバージルは、新幹線の屋根に閻魔刀を刺し掴まる。
ヤクザも10人近く居た内の3人も屋根の方に飛ばされ、ドスを屋根に刺して飛ばされないようにする。茉優の頭上では突き刺された刃が見えているのだが、音楽を聴く茉優は気付いてない。
バージルは幻影剣を飛ばして手っ取り早く終わらせようとしたが、幻影剣すらも出せなかった。
舌打ちしたバージルは閻魔刀を手に新幹線の屋根を駆け抜け、残るヤクザを斬り飛ばして下車していただいた。
・・・・・・
新幹線が駅に着くと、茉優は座席の後ろから衝撃を受け驚き振り返る。すぐ目の前には、険しい顔で汗を流すバージルの顔があった。
茉優「何があったの?」
バージル「ここで降りるんだ」
ヤクザに居場所がバレていたため、茉優を無理矢理 新幹線から降ろさせ、まだ人混みで隠れられそうな街へと向かうのだった。
次回も宜しく お願い致します!