320話です!どうぞ!
バージルと
刹那が泣きながら止める中、バージルは自身の身体を切り裂き、心臓の装置を取り外そうとする。
だが そこに、Dr.グリーンの毒に冒され正気を失った
動けないバージルを殺そうと信玄は斬り掛かるが、バージルを護るために刹那が信玄と戦う。
その間に装置を取り出したバージルだったが、その代償に心臓が止まり、目を瞑って呼吸も止まった。
どうにか信玄と渡り合っていた刹那だったが、1歩 及ばず倒され気絶してしまう。
先に刹那にトドメを刺そうとする信玄だったが、振り下ろした刀は、治癒能力を取り戻したバージルが閻魔刀で止めていた。
信玄を倒したバージルは、
研究所の傍にある村に着くと、
次々と襲い掛かるブラック・クランを斬り伏せていくバージルだったが、突如 現れたDr.グリーンの毒に冒され、倒れて意識を失ったバージルは研究所へと運び込まれるのだった。
*研究所 日本時間9月26日 23:08*
“バー・・・ジル、さん・・・?”
“間宮”
“放してよ!”
“茉優!”
バージル「(筑摩・・・)」
“逃げて・・・”
研究所へと運び込まれたバージルの意識が、徐々に覚醒していく。
ボヤける視界で最初に見たのは、研究所の吹き抜けに架けられた上のフロアの渡り通路。
そして次に見たのは、自分を見張っているだろうブラック・クラン。
横に顔を向け、そこにあった物を見てバージルの意識がハッキリとした。そこには赤い鎧武者型のロボットが鎮座していた。
アレは何だと しばらく見詰めていたが、バージルは自分が機械仕掛けの椅子に拘束されてる事に気付き、抜け出そうと暴れる。しかし、バージルの力を以てしても、拘束具が外れる事はなかった。
すると足音がし、正面の渡り通路からDr.グリーンが歩いてくるのが見えた。
Dr.グリーンはバージルの前で止まると、見張りに立っていたブラック・クランを下がらせた。
バージル「茉優は、どこに居るんだ?どこだ?」
バージルの口から最初に出た言葉が、茉優の安否を心配する言葉だったため、Dr.グリーンは呆れたような笑みを浮かべる。
グリーン「“茉優は どこ?”そんなに恋しい?フッ、可愛い」
拘束から抜け出そうと暴れるバージルの横に回ると、Dr.グリーンはロボットの方を見た。
グリーン「凄いでしょ?魔界金属製よ。通常よりも強度を強化してる」
そのデザインは、真田の葬儀に飾られていた真田の赤備え、レッドサムライの鎧に似ていた。
その頃、遅れてバージルを追っていた刹那が、研究所の前に到着した。
道を塞ぐフェンスの入り口は、鎖が巻かれ閉じられている。刹那は愛刀の断斬で鎖を斬り、静かに研究所内へと侵入した。
そしてバージルは暴れ続けているが、どういう造りなのか拘束具は一向に壊れない。
グリーン「あーバージル、よく分かるわ、イラついてるのね。力を取り戻した あなたでも、そう簡単には壊せない」
バージル「茉優は居るんだろ?茉優に会わせろ」
茉優の無事を確認させるように言ってると、バージルを拘束する機械仕掛けの椅子が動いた。
グリーン「答えてほしい?」
バージル「あぁ、答えろ!」
グリーン「悪いけど、これ以上は言えないの。口が堅いから雇われたのよ」
バージル「あぁ、そのようだな」
そしてバージルは、前屈みの体勢で両腕を突き出す姿勢で固定された。
グリーン「それに、生物科学を哲学的に応用できる特別な才能があるからよ。ハイグレードな毒物が、私の専門分野。私は人間が知ってる あらゆる毒物に免疫があるから それができるの。それに“男”という毒も、一切、受け付けない」
バージル「よく聞け、心の捻じ曲がったクソ女。この装置を外して、俺と どっちが強いか対決しろ!」
グリーン「そんな風に睨まれるとゾクゾクしちゃうわ」
バージル「貴様は何だ?普通の人間ではない事は分かってる。なぜ茉優を狙う?」
グリーン「私は悪魔の力を移植した強化人間、“ヴァイパー”よ。それに、あの娘を狙った訳じゃない。寧ろ護ろうとしてる。真田の遺言に従ってね」
バージル「強化人間・・・お前も愚か者の1人か。今更 真田の望みを叶えようとして、何の意味がある?」
するとDr.グリーンは、ソッとバージルの横に近付き、口を耳元に近付ける。
グリーン「意味ならあるわ、Mr.Jのためにもね」
バージル「Jだと?!」
Mr.Jの名を聞きバージルが暴れると、Dr.グリーンはサッとバージルから離れる。
グリーン「これは真田とMr.Jの契約。私は その契約が上手くいくようにMr.Jから派遣された科学者」
Dr.グリーンの口から出てくる言葉は、バージルを怒らせるには充分過ぎる程で、バージルは拘束から抜け出そうと暴れるが中々 抜け出せない。
グリーン「落ち着いて、あなたを殺したい訳じゃないの。共通の知り合いが居る仲なんだから協力して欲しいの。あなたの治癒能力を摘出する」
バージル「これを外したら皆殺しにしてやる・・・!」
グリーン「・・・そう、残念ね。ならムリにでも貰うわ。あなたの能力を抑える装置を造ったのは私。自分で取り出したみたいね・・・それは予測できなかった」
バージル「ぐっ、茉優は どこだ?!」
グリーン「あなたは強い。勇気がある・・・本物の勇気が。でも今は どうにもできないわよ」
Dr.グリーンが そう言った瞬間、鎧武者型ロボット『レッド・サムライ』が立ち上がり、動き出した。その全長は4メートル近くもある。
茉優はバージルの様子を、上のフロアで与えられた部屋で原田に見張られながら見ていた。
原田「お前が あいつに想いを寄せてるのは知ってる。でも忘れろ。お前は、真田家の人間なんだ」
茉優「あの
原田「違う茉優!俺達は、幼馴染みだろ。俺を信じてくれ」
原田は茉優に近付き、これ以上バージルの姿を見せないために部屋の障子を閉める。
茉優「原田、そこを どいて、下に行かなきゃ。彼は あなたに何もしてないじゃない!私の命を救って━━」
原田「あいつの事は忘れろ!俺だって辛いんだ。でも俺は、お前の お祖父さんの計画に従う」
原田は茉優の肩を掴み、ベッドに座らせると自身は しゃがみ、茉優と目線を合わせると説得を続ける。
原田「ヴァイパーが危険なのは、俺も知ってる。でも あいつは、お前の お祖父さんの願いを叶えるまでの駒なんだ」
バージルの怒鳴る声が聞こえ、茉優は そちらが気になり原田から視線を逸らす。
原田「心配するな。俺を信じてくれ」
そう言いながら、原田は茉優の頬に優しく手を添える。
原田「難しい事か?俺達は もっと強い絆で結ばれてた。今でも そうだろ?」
茉優は ゆっくりと視線を原田に向けると・・・
茉優「・・・そうね」
2人は ゆっくりと顔を近付け、キスをする。
だが茉優の手が、原田の腰にある短刀に伸びる。それを抜き、原田の膝に突き刺した。
原田が痛みで呻いてる隙に、茉優は部屋を抜け出しバージルの元へ急ぐ。
そしてバージルの方は、いよいよ猶予がなくなってきた。バージルの横に回り込んだレッド・サムライは、魔界金属製の大きな太刀を抜くと両手で持ち、刀身が赤熱して橙色に光る。
バージルの拘束された両腕を狙い振り下ろすが・・・
茉優「やめて!」
茉優が間に入り、レッド・サムライは茉優を避けるため、振り下ろした太刀の軌道を逸らした。
バージルが頭を下げて刃を避けると、バージルを拘束する椅子の背凭れが斬られる。だが機械仕掛けだったからか、斬られた事で爆発が起き、バージルと茉優、Dr.グリーン、レッド・サムライが別々の方向に吹き飛ぶ。
原田「間違ってる・・・!」
茉優が巻き込まれた この事態に、原田は膝の痛みを堪えて動く。
レッド・サムライが起き上がるのを見て、バージルは床に座り込む茉優の元に行き、手を差し出す。
バージル「逃げるぞ」
茉優はバージルの手を取り、2人で走る。
茉優を戦いに巻き込む訳にはいかないため、バージルは茉優を連れて研究所を脱出する事にした。
だが2人の前に回り込もうと、Dr.グリーンが追ってくる。更に後ろからは、太刀を拾ったレッド・サムライも追ってくる。
バージル「行け!走れ!」
だがDr.グリーンの足は止まった。胸に黒い矢が刺さっていた。
Dr.グリーンは吹き抜けから落ち、下のフロアの渡り通路へと落ちた。
予想外な展開に思わず立ち止まったバージルと茉優は、上のフロアを見る。そこには、弓を構える原田が居た。
きっと原田は、真田の遺志ではなく茉優の意思を尊重する事に決めたのだろう。
バージル「行くんだ」
だが今は、ここから逃げるのが先決である。バージルは茉優を連れて、階段を使って下へ下へと走る。
レッド・サムライは尚もバージルを追って渡り通路を通り、原田も茉優を護るため下のフロアへと向かう。
その頃 下のフロアの渡り通路に落ちたDr.グリーンが、目を開いた。
矢を抜き起き上がると、服を脱ぎ、爪で自身に切れ目を入れていく。そして切れ目から皮を引っ張り、脱皮を開始した。
バージルと茉優は一緒に逃げていたが、茉優は上を見て立ち止まった。その視線の先には、レッド・サムライが居る。
バージル「茉優、来い!」
茉優「行って、逃げて!」
茉優としては、自分は足手纏いになるからバージル1人で逃げてほしかった。だがバージルは茉優を助けるために ここまで来たので、1人で逃げるなど論外だった。
そんな問答をしてると、上からレッド・サムライが2人の居るフロアに飛び下りてきた。
今から逃げようとしても、目の前に立つレッド・サムライは その隙を与えようとはしないだろう。
このまま応戦するにしても、茉優を戦いに巻き込む事になってしまう。
茉優から引き離すため、バージルはレッド・サムライにタックルして一緒に吹き抜けから落ちていく。落ちる途中の渡り通路に何度も ぶつかり、更に下の渡り通路の上へと落ちて止まった。
茉優はバージルを追うため、急ぎ下のフロアに向かう。
バージルとレッド・サムライが起き上がると・・・
バージル「茉優、逃げろ!」
レッド・サムライが太刀を振り下ろしてきた。バージルは閻魔刀とミラージュエッジの二刀流で受け止める。
レッド・サムライは機械の身体から繰り出すパワーで太刀を押し込み、バージルは受け止めたまま片膝を突く。
押し負け徐々に後退させられるバージルは、ミラージュエッジを自身の後ろの床に突き刺し、つっかえ棒にして どうにか耐える。
するとレッド・サムライは、もう1本の太刀を抜き、刀身を赤熱させる。バージルには当然それが見えているが、両手が塞がっていては対処できない。
幻影剣を飛ばし動きを止めようとするが、レッド・サムライに当たった瞬間に砕けて気休めにもならなかった。
そしてレッド・サムライが、赤熱させた太刀で斬り上げ閻魔刀に ぶつけると、閻魔刀の刀身が折れて その衝撃にバージルが床に倒れる。
レッド・サムライが倒れるバージルを狙い太刀を振り下ろすが、バージルは床を転がり避けると、渡り通路の手摺と床の隙間から転がり落ちていく。
下のフロアの渡り通路に落ちたバージルが顔を上げると、床にブロンドの髪と皮が大量に落ちていた。
起き上がった瞬間、脱皮してスキンヘッドになったDr.グリーンに毒液を吐かれ、顔に掛かり目が開けられなくなる。
バージルは視界を奪われた状態でミラージュエッジを振るが、闇雲に振った刃はDr.グリーンには当たらない。
更にDr.グリーンは反撃に、冷却タンクを掴んでバージルを殴り飛ばす。目が見えないバージルは抵抗もできず、渡り通路から吹き抜けへと落ちていった。
大きなサーバーが並ぶフロアに落ちたバージルは立ち上がり、サーバーに凭れながら どうにか目を開ける。
そのバージルを追って、レッド・サムライが飛び下りてきた。
バージルはサーバーを見て何かを閃き、レッド・サムライに襲われながらもミラージュエッジでサーバーを斬る。すると、研究所の電力が落ちて全ての明かりが消える。
レッド・サムライは赤熱させた太刀の明かりを頼りに、バージルを探す。
そのバージルは、サーバーの後ろに隠れながら どうするか思案していた。
成り行きを見ていたDr.グリーンは、背後に気配を感じて振り返る。そこには、研究所内に侵入した刹那が立っていた。
刹那は愛刀 断斬を抜き、果敢にDr.グリーンに斬り掛かる。Dr.グリーンは小さな動作で それを避け、女同士の戦いが始まる。
バージルは、暗闇でレッド・サムライの背後に回り込むと飛び掛かり、レッド・サムライの背中にある大きな太刀を奪い取る。
レッド・サムライと奴が使う太刀は魔界金属製。なら同じ魔界金属でなら、レッド・サムライを斬れると考えたのだ。
バージルは身の丈に合わない太刀を片手で振り、レッド・サムライに斬り付けるが、レッド・サムライのボディで火花を散らすだけで、ダメージが通っていない。
反撃に、バージルは顔面を殴り飛ばされる。
レッド・サムライに応戦しながら、奴がやってるように刀身を赤熱させようとするが、どういう訳か太刀は無反応。何をしても赤熱しない。
手間取ってる間にレッド・サムライは、バージルを追い詰め蹴りを入れて吹き飛ばす。
倒れるバージルはミラージュエッジを持つ腕を踏まれ、レッド・サムライが太刀を振り下ろそうとするが・・・
原田「やめろ!」
レッド・サムライの顔面に矢が刺さり、視界不良を起こしたのかフラフラとバージルから離れる。
原田は下に下り、刺さったままの矢を掴んでレッド・サムライを見る。
バージル「おい!」
その隙にバージルは、魔界金属製の太刀を拾い赤熱させようとする。
ただ太刀に怒鳴っても、意思のある魔具ではないから それで動くはずもなかった。
原田「これは間違ってる」
原田がレッド・サムライにやめるよう説得すると、赤熱した太刀で身体を貫かれた。貫かれた痛みと高熱に、原田は想像を絶する苦痛を与えられてるはずだ。
それを見ていたバージルは、太刀を赤熱させる方法に気付いた。
バージル「両手で・・・」
太刀の柄を両手で握ると、やっと赤熱して橙色の光を放つ。
原田「真田様・・・!」
原田が真田の名を口にした瞬間、レッド・サムライは太刀を振って原田を払い飛ばした。
バージル「おい、お前」
倒れる原田を見詰めたまま動かないレッド・サムライの背中に声を掛け、振り返った瞬間にバージルは赤熱する太刀を一閃。レッド・サムライの首を斬り飛ばした。
頭が無くなった事でフラフラするレッド・サムライに、バージルは瀕死の原田から引き離すために またタックルし、下のフロアへと一緒に落ちていく。
下に落ちた勢いのまま床を転がり、レッド・サムライは壁に当たり止まったが、バージルはレッド・サムライが ぶつかり出来た壁の大穴から、外に転がり出てしまった。バージルは落ちかけの僅かに残った外回廊の足場に掴まり、どうにか落下を防ぐ。
下を見ると、地上は遥か下の崖となっている。
茉優「原田・・・」
バージルを追って下のフロアへと急いでいた茉優は、倒れる原田を見付けた。
近付いて脇に座り彼を見ると、まだ意識はあったが危険な状態だった。
茉優「ごめんなさい・・・!」
茉優は傷口を押さえる原田の手に自分の手を重ね、自分のために傷付いた原田に謝罪の言葉を口にした。それを聞いた瞬間、原田の顔から力が抜け、ゆっくりと目を瞑り息を引き取った。
茉優が原田から視線を外すと、折れた閻魔刀の刀身が転がってるのを見付けた。
バージルは壁を よじ登り、大穴から研究所内に戻ろうとしていた。
あと少しという所で、倒れるレッド・サムライが突然 動き、驚く程のスピードでバージルの腕を掴んだ。しかも掴む力は、バージルの腕を握り潰さんとする程の勢いだ。
その頃 刹那は、戦いの末に刀を手元から落としてしまっていたが、Dr.グリーンと互角にも渡り合っていた。
互いに一撃が入り膝を突いていたが、どちらも睨み合いながら ゆっくりと立ち上がる。両者、次で決めるつもりだ。
Dr.グリーンは蛇のように長い舌を出しながら、ゆっくり歩を進め迫っていき、刹那はDr.グリーンの挙動を注意深く見ながら後ろに下がる。
Dr.グリーンが毒液を吐いた瞬間、刹那は床を転がり避けると、電気コードを手に取りDr.グリーンに飛び掛かる。しかし、Dr.グリーンは飛び付いてきた刹那を掴むと、床に叩き付けた。
グリーン「死んでもらうよ」
刹那「今日は死ぬ日じゃないの」
刹那にトドメを刺すため、Dr.グリーンは爪先を舐めて毒針にする。
だが、Dr.グリーンは それよりも刹那の思惑に気付くべきだった。首には既に、電気コードが巻き付いている。
Dr.グリーンは爪を突き立てるために腕を振り下ろすが、刹那は床を転がり避けると、Dr.グリーンに巻き付く電気コードの反対側を昇降機のワイヤーに巻き付ける。
刹那がワイヤーに飛び移り下に下りていくと、それに引っ張られDr.グリーンは引き摺られる。
刹那がワイヤーを使って下へ下りていくのに対し、Dr.グリーンは首吊りの状態で逆に上へと引っ張られていく。
Dr.グリーンは首に巻き付くワイヤーを外そうと藻掻くが、上から下りてきた昇降機の錘で頭を強打し、遂には動かなくなった。
そしてレッド・サムライに腕を掴まれてるバージルの方は、レッド・サムライの腕からドリル状の針が伸び、バージルの手に突き刺さる。
バージルは空いてる手で外そうとするが、そちらも掴まれ同じ状態となる。
両腕を掴まれ動けないバージルは そのまま持ち上げられていくと、首の無くなったレッド・サムライの中が見えてくる。中に居た者を見て、バージルの顔が険しくなる。そこに居たのは、死んだはずの真田だった。
真田「バージルさん、そんなに驚くな。お前の父親の お陰で私は生き延びた。今回も生き延びられる」
真田の言葉を聞くバージルは苦悶の声を上げながら、顔色が どんどん悪くなってくる。
真田「安心しろ、すぐに済ませる」
真田の声が聞こえる距離まで茉優は下りてきたのだが、茉優は祖父が生きていた事実とバージルを苦しめてる光景に、自分は祖父にも裏切られていたのだとショックを受けた顔をしていた。
真田「Dr.グリーンと この時を待っていた。この鎧が私を生かしてくれたんだ。私は強くなり、お前がくれようとしないものを奪えるようになった。お前の治癒能力を この身体に、移植させてもらう」
バージルは真田の手によって研究所内に戻され床に下ろされるが、腕を掴むレッド・サムライの手は そのままだった。
真田「私は一族を護らねばならない。お前の間違いは長い人生に意味はないと考えた事だ。永遠の命にこそ意味がある」
悪魔の力を抜き取られていき顔からは生気が消え、死人のような顔色に変わり、眼も赤く充血するバージルは力なく両膝を突く。
真田「頑張るんだ、もうすぐ済む。安らぎが、やっと得られるんだ。お前は報われる。長い間 待ち望んだ死を、与えてやる」
バージルは意識が遠退くのを感じながら真田の高笑いを聞いていると、真田の顔からシミや皺が消え、20代前半ぐらいまで若返った。
真田「私は感じる、自分が不死身になったのを。お前のようにな」
目的を果たしたと真田は勝ち誇っていたが、茉優が投げた原田の短刀が頭の側面に刺さり笑みが消え、レッド・サムライが両膝を突く。その瞬間、レッド・サムライの手の拘束からバージルが解放される。
そこに、ワイヤーを使って下りてきた刹那も駆け付ける。
茉優「本物の化け物は あなたよ」
真田「茉優・・・私だ、お前の お祖父様だ・・・」
茉優「お祖父様は亡くなったわ」
そう言い放った茉優は、真田の首に折れた閻魔刀の刀身を突き刺した。すると真田は苦しみ始め、立ち上がったレッド・サムライは真田の苦しみに呼応するように、フラフラと暴れ始める。もしかすると、人と魔を分かつ閻魔刀の力が働いてるのかもしれない。
茉優は暴れるレッド・サムライの腕に巻き込まれないよう、後ろへと後退る。
レッド・サムライから解放され、顔色が戻ったバージルは立ち上がり、自分の両手を見ながら握り拳を作ると、雄叫びを上げながら真魔人となる。その眩い光に、茉優と刹那は自身の腕で光を遮る。
暴れるレッド・サムライの腕を避けながら、真魔人バージルはフラフラと真田に近付くと、レッド・サムライのボディを掴み装甲を引き剥がしていく。それにより、真田の胸までが露になる。
バージル『お前は俺が“死にたがってる”と・・・“生きる目的が尽きる”と言ったな?教えてやる。俺は俺のためだけに生き、俺のためだけに死ぬ・・・ただ、それだけだ!』
真魔人バージルの手に、折れた閻魔刀とミラージュエッジが現れ、真魔人バージルの感情に呼応するように、真田の首に刺さる閻魔刀の刀身が独りでに抜け、折れた閻魔刀が修復された。
バージル『お前に言われずとも、意地でも生きてやる・・・全部が余計な お世話だ!!』
そして真魔人バージルが、真田の胸に閻魔刀とミラージュエッジを突き刺す。それにより、若返った真田の顔が元の老人に戻る。
真魔人バージルは閻魔刀とミラージュエッジを突き刺したまま、レッド・サムライごと真田を壁の大穴まで引き摺っていく。
そして真魔人化を解除したバージルは、改めて真田の顔を見る。
バージル「それに お別れのために呼んだんだろ?・・・サヨナラ」
バージルは最初の目的である お別れを言い、大穴から真田とレッド・サムライを投げ落とす。真田はレッド・サムライと共に、崖の岩肌に何度も ぶつかりながら地上へ落下した。
バージルの治癒能力を完全に奪い取る事はできなかったため、恐らく真田も これで死んだはずだ。
バージル「・・・・・・無事か・・・?」
バージルはフラフラと振り返りながら茉優の安否を確認するが、力尽きて倒れてしまった。悪魔の力が抜かれそうになった事で、かなりの体力を削られたのだろう。
茉優「バージル・・・」
倒れたバージルを心配し、茉優と刹那が慌てて駆け寄る。
バージルは そんな2人を黙って見ていたが、強い光を感じて自分の名を呼ぶ声が聞こえてくる。そちらに顔を向けると、筑摩の幻がバージルを見ていた。
筑摩「来たんですね」
バージル「勿論だ・・・」
筑摩「ずっと一緒に居てくれますか?」
バージル「ムリだ・・・」
筑摩「居られます。償いのための死、それが望みでしょ?」
バージル「今は違う」
バージルに拒絶され、バージルから視線を外した筑摩は微かにショックを受けた顔をして、再びバージルを見て睨む。
筑摩「私は寂しい・・・あなたのせいよ」
バージル「お前は あの時、俺を助けようとしてくれた・・・だから俺には、まだやらねばならない事がある・・・第2第3の お前を生まないためにも・・・」
それを聞いた筑摩は微笑を浮かべると、バージルから背を向けて離れていく。
バージル「礼を言う、筑摩・・・」
バージルの言葉に筑摩は足を止め、少しだけ振り返る。
バージル「お前の事は ずっと忘れない・・・」
筑摩の幻は何も言わず、煌々と輝く光に向かって立ち去り姿を消した。
光は徐々に強くなり、バージルの意識も白く染まり意識を手離した。
・・・・・・
*港 10月2日 9:35*
数日が経ち、真田産業がチャーターした船が停泊する港に、バージルとレディーススーツを着た茉優、刹那の姿があった。その周囲を、スーツを着たボディーガード達が固めている。
茉優は
茉優と刹那が名残惜しそうにハグするのを見ながら、バージルは2人に近付いていく。
身体を離した茉優と刹那は、寂しげな笑みで互いの顔を見る。
茉優「寂しくなるわ・・・たった1人の家族なんだから」
刹那「・・・・・・元気でね、お姉ちゃん・・・」
刹那の言葉に、茉優は しっかりとした微笑みで頷く。
刹那は真田家に拾われてから、家族と言うより道具として ずっと使われてきた。だが真田や信玄が居なくなった今、刹那は茉優の姉妹として振る舞っていける。
そして2人は、近付いてくるバージルに気付き そちらを見る。
刹那はバージルと茉優が2人っきりで話せるよう、船の方へ向かい離れる。
茉優「近い内に、会いに来てくれる?」
バージルのコートの身嗜みを整えながら訊くが、バージルからの返答は前向きなものではなかった。
バージル「約束はできない」
茉優「行かないで・・・」
立ち去ろうとするバージルを、茉優は抱き付いて引き止める。だが、バージルは茉優から身体を離した。
バージル「それはムリだ。俺は魔剣士だ、もう隠れてられない」
そう言ってバージルは、後腐れもない様子で船の方へ行き、見守っていた刹那の前を通り さっさと船に乗り込んだ。茉優はバージルらしいと思い、少し寂しそうな笑みで その背中を見送った。
*船*
客室へと入ったバージルは すぐに窓際の椅子に座り、窓から外を見る。そこにはバージルの乗る船が出港するのを見届けるため、サングラスを掛けて その時を待つ茉優の姿があった。
そこに遅れて、刹那が客室に入ってくると、テーブルを挟んだバージルの正面の椅子に座る。
刹那「どう?心は決まった?」
バージル「・・・・・・何がだ?」
刹那「茉優は どこに行ってもいいって。どこに行く?」
バージル「・・・お前は何だ?」
刹那「あなたのボディーガード」
そう言われ、バージルは呆れたように刹那から視線を外し、窓の外を見る。
危なっかしい
刹那「で、どこに行くの?」
バージル「はぁ・・・さぁな。先ずは出港しろ」
刹那「その後は?」
バージル「・・・・・・・・・成り行きだ」
刹那「・・・・・・おもしろい」
刹那は上等と言わんばかりに笑顔で答え、バージルと同じく窓から外を見る。
少しして、船が港から出港する。
バージルと刹那、2人の“護るため”の戦いは、ここから始まるのだった。
その後オリーブ財団の面々が、日本でバージルが騒動を起こしたと情報を得て日本に来たのだが、バージルとは入れ違いになり会う事はなかった。
・・・・・・
*オリーブ財団 アメリカ時間10月1日 23:11*
ネロと多くの艦娘達、ニコ、
艦娘寮から かなり離れると、茂みの中に隠していた中型の無線装置を起動し、どこかへと連絡を取り始める。
艦娘「こちら━━、定期連絡です」
そして無線装置から返ってきた声は、Mr.Jのものだった。
J『━━、真田はバージルによって落ちたようだ』
艦娘「・・・そうですか。バージルは行方を眩ましていたので、対処が遅れましたね」
J『それは構わないさ。だが、私は それよりも気になる事がある。内部からDevil May Cry鎮守府に打撃を与えるはずが、随分と時間が掛かっているようだな』
艦娘「それは・・・」
J『まさか彼らに情が芽生えたなどと言うつもりはなかろうな?』
艦娘「・・・・・・ご心配なく、それは有り得ません」
J『・・・まぁいい。それよりも、君の お友達のせいで取引が難しくなっている。手頃な艦娘を確保してもらいたい』
艦娘「・・・1人ぐらいなら何とかなるかと」
J『では頼んだぞ』
そこで通信が終わり、艦娘は無線装置を また茂みの中に隠し、何事もなかったかのように艦娘寮へと戻るのだった。
その艦娘の後ろ姿を、神父の格好をした若い男が何の感情もない顔で見詰めていた。
神父「さぁ、『人類救済計画』を始めましょうか」
オリーブ財団に潜り込んでいた内通者が、遂にDevil May Cry鎮守府に直接 手を出そうと動き始め、それとは別の悪意も この世界に紛れ込んでいた。
次回も宜しく お願い致します!