Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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感想と ご指摘、ありがとうございます!

331話です!どうぞ!


Mission331 レッド・アイ~私が一日特攻隊長です~

オリーブ財団から離反したダンテ、葛城、最上型、大井、川内、酒匂、長月、菊月、浦風、浜風、島風はDevil May Cry鎮守府に戻り、横須賀鎮守府の面々と奇妙な共同生活を始めるが、たった1週間で執務室をゴミ屋敷にした。

横須賀提督はDevil May Cry鎮守府の面々に掃除させようとしたが、鎮守府にある掃除道具では対処できないほど汚れてしまっていたので、必要な物を買い足すためにダンテ達を連れ出す。

その道中、横須賀提督は土手の下で、レディース暴走族チームの怒羅美(ドラミ)怒麗苦(ドレイク)が対立してる場面を目撃し、走行中の大型ワゴン車から飛び降りるのだった。

 

 

*街 11月1日 9:41*

 

土手では満里奈(まりな)と、怒麗苦の総長 実紗(みさ)が眼前まで迫り、タイマンが始まろうとしていた。

そこに、乱入者が現れる。

 

横須賀「待ちなさい!」

 

『・・・・・・?ひっ・・・!?』

 

2チームの暴走族は声がした方に振り向くと、階段から転げ落ちて頭から血を流す横須賀提督が立っていた。知らない内に血塗れの変な人が居て、暴走族達は小さな悲鳴を上げてビビる。

 

横須賀「ん・・・?あ、ヤバヤバ」

 

自分の状態に気付いた横須賀提督は、ハンカチで血を拭いてから、改めて凛々しい顔で暴走族達に視線を向ける。ハンカチで どうにかなる状態ではないはずだが・・・。

横須賀提督は何も言わず、暴走族達の方へと歩を進めていく。

 

怒麗苦メンバー「おい、関係ない奴は引っ込んでろ!」

 

横須賀「・・・あ?」

 

怒麗苦のメンバーの1人が近付く横須賀提督を止めようとするが、元暴走族 総長にして現役軍人である横須賀提督に一睨みされ、小さな悲鳴を上げる。

横須賀提督の只者ではない雰囲気に、満里奈と実紗も何者なのかと驚く。

怒麗苦のメンバーを一睨みで下がらせた横須賀提督は、そのまま歩を進めて実紗の前に立つ。

 

実紗「何者(なにもん)なんだい?」

 

横須賀「私かぁ・・・そうねぇ・・・」

 

いきなり乱入したが、横須賀提督は自分の事を どう説明したものかと考える。

すると自転車のブレーキ音と男の呆れた声がし、横須賀提督と暴走族達は そちらの方に振り返る。見ると、土手の上にパトロール中の お巡りさんが居た。

 

警官「どした どしたー?そこの君達ー」

 

『あぁん?!』

 

目付きの悪い横須賀提督と暴走族達に睨まれ、お巡りさんは驚き自転車から転げ落ちた。

 

警官「お、応援 呼びますよ・・・?捕まりたくなかったら、仲良く帰って・・・」

 

横須賀提督と お巡りさんの思わぬ邪魔が入った事で、実紗は舌打ちして満里奈を見る。

 

実紗「白けちまった。決着は別の形で付けようじゃない。近い内にね」

 

それだけ言い残し、実紗は取り巻き連中と共にバイクで走り去っていった。

横須賀提督は それを黙って見送っていたが、後ろからは満里奈に睨まれていた。

 

満里奈「何で邪魔した?」

 

横須賀「うん?あんたじゃ絶対あいつに勝てないでしょうが」

 

軍人である横須賀提督は、満里奈と実紗の実力差を一瞬で見抜いていた。

だが横須賀提督の聞き捨てならない台詞に、満里奈は怒りを露にする。

 

満里奈「適当なこと言ってんじゃねぇぞ!」

 

横須賀「勝てないわよ、あんたじゃ」

 

満里奈「っ・・・誰が何と言おうと、私はゼッテェこの怒羅美を守るんだ!」

 

昔と違い大人になった横須賀提督は、満里奈の考えや拘り、怒麗苦と対立してる事の愚かさを知っているため、どうにか止めようと説得を始める。

 

横須賀「あー、何ていうか・・・ほら、その・・・お母さんとか、居るでしょ?」

 

しかし、昔の自分も似たようなものだったので、どの口がと思いながら説得する言葉も歯切れが悪くなる。

 

満里奈「っ・・・知るか、あんな腰抜け。行くぞ!」

 

女子2「待って満里奈ちゃん!」

 

どうやら満里奈は、母親と あまり上手くいってない様子で、横須賀提督の言葉を突っぱねて立ち去っていく。

振り返った横須賀提督は、その背中を黙って見送るのだった。

 

 

・・・・・・

 

朱美(あけみ)の自宅 23:00*

 

朱美は椅子に座り、食卓に置かれた1人分の夕飯を見詰めながら誰かを待っていた。

困った表情で壁に掛けられた時計を見ると、玄関が開く音がして振り返る。

リビングのドアが開くと、満里奈が姿を見せた。

満里奈は母である朱美が居て、嫌そうな顔をする。

 

満里奈「げっ・・・」

 

朱美「満里奈、心配したじゃない。こんな時間まで・・・」

 

満里奈「ほっとけ・・・」

 

朱美の説教など聞きたくない満里奈は、リビングのドアを閉めて自室に行こうとするが、それを朱美が止める。

 

朱美「さっきポストに、こんなのが入ってた・・・」

 

そう言って朱美は、“果たし状”と書かれた手紙を見せる。満里奈には すぐに判った。怒麗苦の連中が入れた物だと。

 

満里奈「・・・あいつら、馬鹿か!」

 

家族にバレて面倒になる形で果たし状を送ってきた怒麗苦に対し、満里奈は吐き捨てるように暴言を言わずにはいられない。

満里奈は果たし状を引ったくるように奪い、リビングから出ようとする。

 

朱美「お願い、もうやめて、満里奈」

 

満里奈「うるっせぇ!テメェには関係ないだろ!」

 

朱美「・・・・・・ごめんね・・・」

 

満里奈「くっ・・・悪くもねぇのに そうやって、謝んじゃねぇよ、ビクビクしやがって!」

 

満里奈は果たし状を持ったままリビングから出て、自室へと向かった。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室*

 

綺麗に掃除された執務室で、Devil May Cry鎮守府の面々が見てる前で横須賀提督は、秘書艦である扶桑から怒られていた。

 

横須賀扶桑「何を考えてるんですか提督は!!あなたみたいな普通の人間が、車から飛び降りていいのはフィクションの中だけでしょうが!!」

 

横須賀「分かってるわよ」

 

横須賀提督は素直に聞く気がないのか、横須賀の扶桑と目を合わせず聞き流そうとする。

 

横須賀扶桑「・・・いいえ、あなたは分かっていません。一般人に対する暴力沙汰のような非行は、軍人として ご法度です。あなたの行動1つで、全てが終わる可能性もあります。よく覚えておいてください」

 

横須賀の扶桑の言い分としては、喧嘩の仲裁は警察の仕事だ。

暴力沙汰に関係のない軍人が関わったと知れたら、どう曲解させてメディアに報じられるか分かったものではない。

横須賀の扶桑の言いたい事も分かるため、横須賀提督は煮え切らない表情を浮かべて黙り込んでしまうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*朱美の自宅 11月2日 0:01*

 

朱美は電気も点けず、暗いリビングにある写真立てを手に取り、小さい満里奈と一緒に写る写真を見ながら、娘との これまでを振り返る。

満里奈が産まれて赤ん坊だった時・・・。

 

 

“産まれてきてくれて ありがとう、満里奈!”

 

 

満里奈が幼稚園に通うようになった日・・・。

 

 

“いってきまーす”

 

“ちゃーんと挨拶できて偉いねー。いってらっしゃーい”

 

 

満里奈が小学生の時・・・。

 

 

“いってきまーす”

 

“もう立派な お姉ちゃんね。いってらっしゃーい”

 

 

満里奈が中学生になった頃・・・。

 

 

“いってきます・・・”

 

“いっつも いい子で居てくれて、お母さん ほんと嬉しい。いってらっしゃい”

 

 

そして高校生になり・・・

 

 

“おかえり!ぁ・・・!?”

 

 

帰ってきた満里奈は ある日、特攻服を着て暴走族となり、当時の朱美はショックで洗っていた皿を床に落とした。

朱美は写真立ての後ろの蓋を取ると、そこには別の写真があり、暴走族時代の赤い特攻服を着た若い横須賀提督と、朱美が笑顔で一緒に写っていた。

 

朱美「こんな私を見たら、あんたは どう思うんだろうね・・・」

 

 

*街*

 

秘書艦に説教をされた横須賀提督は、鎮守府を抜け出し海沿いの道を歩いていた。

その後ろでは、何となく横須賀提督の様子が気になったダンテが黙って歩いている。

横須賀提督は歩きながら、暴走族時代の事を思い出していた。

 

 

“なぁ、あんた これから どうするの?”

 

 

・・・・・・

 

*約30年前 山*

 

横須賀「うん?」

 

朱美「この先のこと」

 

横須賀提督と朱美は、山にある駐車場から風景を一望しながら話していた。

 

横須賀「んなもん関東制覇して、全国制覇じゃねぇの?」

 

朱美「ふっ、あんたらしいね」

 

横須賀「朱美もだろ?」

 

朱美「私は・・・普通に結婚して、普通の家庭を持ちたい」

 

横須賀「はぁ?」

 

朱美「ほら、あたし親も離婚してるし、勉強と部活とか、普通の青春ってやつ?してこなかったからさ。自分の子供には、絶対そうなってほしくないから」

 

朱美の話を聞いていた横須賀提督は、怪訝な顔をしながら彼女を見ていた。

 

横須賀「何だよ“普通”って?全然 分かんねぇ・・・」

 

朱美「ふふっ、だろうね」

 

 

・・・・・・

 

*現在 街*

 

そして横須賀提督は、土手で会った満里奈の事を考えながら・・・

 

横須賀「目が似てるわね、朱美に・・・」

 

そんな事を思うのだった。

すると、遠くから複数のバイクのエンジン音が聴こえてくる。

横須賀提督は うるさいなと思いながら舌打ちしたが、土手で怒麗苦の総長が言ってた言葉を思い出しハッとする。

 

 

“決着は別の形で付けようじゃない。近い内にね”

 

 

横須賀「近過ぎでしょ、おい・・・!」

 

横須賀提督は回れ右して、ダンテを通り過ぎながら鎮守府へと急いで戻る。

ダンテは やれやれと思いながら、その背中を見ていた。

 

 

*朱美の自宅*

 

朱美「満里奈、ご飯 食べる?」

 

満里奈に用意した夕飯を食べさせてないと思い出した朱美は、そう訊きながら娘の部屋のドアを開けた。

だが部屋に電気は点いておらず、満里奈の姿もない。窓が開いて風でカーテンが揺れてる状況から、満里奈は窓から家を抜け出したようだ。

その窓の前にある勉強机の上に、開封された果たし状が残されてるのを見付け、内容を読んで朱美は目を見開く。果たし状に書かれていた勝負の場所は、過去に幾度もレースが行われ、死人も よく出た危険な場所だった。

朱美はガレージに行き、隠していた暴走族時代のバイクを引っ張り出すと、エンジンを掛けて勝負の場である山へと急いだ。

 

 

*山 1:30*

 

勝負の場となる山にある駐車場では、怒羅美と怒麗苦のメンバーが集まっていた。

しかも両チームの総長である満里奈と実紗は、既に自分の愛車に跨がり勝負が始まろうとしていた。

 

実紗「ここは怒麗苦と怒羅美にとって、因縁の場所だ。お前らの最後には相応しいだろ?」

 

満里奈「言っとけ」

 

実紗「山を1周して、先に この場所に戻ってきた方が勝ち。やめるなら今だよ」

 

満里奈「うるせ!さっさと始めろ!」

 

実紗「ふっ、いい度胸だ」

 

実紗が自分のチームのメンバーを見ると、怒麗苦のメンバーの1人が頷き手を挙げる。

レース開始のカウントダウンを始めるが、それを邪魔するように けたたましいエンジン音が近付いてくる。

そして1台のバイクが現れ、満里奈と実紗の前に立ち塞がるように止まる。

 

朱美「満里奈!」

 

朱美が現れ、怒麗苦のメンバーが乱入してきた朱美に白けたり、改造されたバイクが凄いと感心したり、様々な感想を漏らす。

満里奈も母である朱美が現れ最初は驚いていたが、すぐに怒った表情を見せると原付バイクから降りて、同じくバイクから降りた朱美の方へ向かう。

 

満里奈「何してんだテメェ!」

 

朱美「こんな事やめなさい」

 

満里奈「うるせぇ!テメェは引っ込んでろ!」

 

朱美は満里奈を無視して、実紗の方へ行く。

 

満里奈「お、おい!」

 

朱美「こんな事やめて。この通りよ」

 

朱美は頭を下げてやめるよう頼むが、実紗は腕を組んだまま朱美を見ようともしない。

因縁の相手に頭を下げる母の姿に、満里奈は歯を食い縛る。

 

満里奈「情けねぇ真似してんじゃねぇよ・・・!そうやって いつもペコペコして謝りやがって・・・あんた怒羅美の副総長だったんだろうが!何で そんな風になっちまったんだよ!!」

 

満里奈は泣いていた。

母が暴走族だったと知った満里奈は、暴走族だった朱美を尊敬していたのだろう。

だが牙を抜かれたように そんな面影がなくなった今の母に納得できず、ずっと反抗的な態度を取っていたのだ。

 

満里奈「あたしは、あんたみたいにはならない!このチームを守り抜くのが、その証なんだ!」

 

朱美「満里奈・・・」

 

満里奈は言いたい事だけ言うと、レースを始めるために原付バイクの方に戻っていく。朱美が止めようとするが、満里奈の足は止まらない。

そこにチリンチリンと、しつこく鳴らされる場違いな自転車のベルの音が聴こえてくる。見ると、誰かが自転車を漕ぎながら爆走してくる。

 

横須賀「ヤーベヤベヤベヤベッ!おい、ヤベーベベベッ!おい、ちょちょちょちょちょちょっ!?ぐはぁーっ!!」

 

自転車に乗っていた横須賀提督は急ブレーキを掛けたが、ブレーキゴムが減ってて止まれず、そのまま怒麗苦のメンバーが停めてあったバイクに突っ込んで吹き飛んだ。怒麗苦のメンバーのバイクもドミノ倒しになる。

横須賀提督の意味不明でド派手な登場に、その場に居た全員が唖然とする。

全身の骨をバキバキと鳴らしながら立ち上がった横須賀提督は、朱美達の方へと歩いていく。

 

実紗「まーた あんたか。部外者は引っ込んでな」

 

横須賀「ふっ、部外者じゃない。私は、怒羅美の一日特攻隊長よ!」

 

横須賀提督の肩に掛けられたタスキには、確かに“一日特攻隊長”と書かれていた。

それを聞いて、その場に居た者達は また唖然とするが、実紗は鼻で笑っていた。

 

実紗「一日特攻隊長?」

 

満里奈「あんた何で勝手なこと・・・!」

 

横須賀「いいじゃない、メンバー増えた方が あんたも嬉しいでしょ?」

 

満里奈「え・・・?ふ、ふざけんじゃねぇよ!」

 

横須賀「あんたも怒羅美やってるなら知ってるでしょ?この場所でレースして、本当に死んじまった馬鹿が居るのを。あんたに命 懸ける覚悟があるの?」

 

横須賀提督の その問いに、満里奈は何も言えなくなる。

 

実紗「あたしは怒羅美を ぶっ潰せるなら、誰が相手でも構わないよ」

 

横須賀「・・・朱美、単車 借りるよ」

 

横須賀提督は朱美の返事を待たずに、朱美のバイクの方に向かう。

あまりの急展開に朱美は唖然としていたが、すぐに我に返って慌てて横須賀提督を止める。

 

朱美「馬鹿な事やめて!あんたまで死ぬかもしれないのよ!」

 

横須賀「私は絶対 死なねぇ」

 

朱美「っ・・・!?」

 

笑顔で答える横須賀提督を見た朱美は、暴走族時代の横須賀提督と重なって見えた。

そして横須賀提督と実紗はバイクに跨がりエンジンを吹かし、レースの準備が完了する。

 

怒麗苦メンバー「3!2!1!Go!」

 

スタートの合図が出た瞬間、横須賀提督と実紗はアクセル目一杯で同時に発進した。

 

 

・・・・・・

 

レースが始まってから、どちらも互角と思われるスピードで一進一退の攻防で走っていた。

半分の距離まで来たタイミングで、実紗が横須賀提督の前に出る。

 

実紗「けっ、どうだ」

 

勝ったと思ったが、横須賀提督は余裕で実紗の横を並走する。

 

横須賀「ふっ(さすが朱美のバイク。負ける気がしないわ)」

 

実紗「クッソ・・・!」

 

実紗は更にスピードを上げるが、それを上回るスピードで横須賀提督が前に出る。

 

横須賀「この程度のスピードじゃあ、私には勝てないわよ!」

 

横須賀提督は更にスピードを上げ、実紗を引き離していく。

負けて堪るかと、横須賀提督を追う実紗は何かのスイッチを押した瞬間、異常なまでのスピードアップを遂げると横須賀提督を追い抜く。

 

横須賀「っ・・・!?」

 

実紗「ざまぁ見な!この勝負、あたしの勝ちだ!」

 

そんな2人のレースを、赤いヘッドライトをした黒いバイクに跨がる何者かが、木々の間から見ていた。

異常なまでのスピードアップをした実紗を見て、横須賀提督は顔を険しくさせる。

 

横須賀「ニトロか、馬鹿が・・・!」

 

今 走るコースは、ニトロを使ったスピードで抜けられるような場所ではない。過去に事故があったように、このままでは実紗も危険だ。

だが実紗は そんなこと考えてないのか、ひたすらスピードを出して走る。

そうこうしてる内に、爆走する2人は大きな橋へと入る。

その瞬間、2人は妙な感覚に襲われる。バイクのエンジン音や風を切る音が聴こえなくなり、無音世界に変わる。

そんな中で、キーンと耳鳴りのような音と、気味の悪い男の笑い声が聞こえてくる。

それが聞こえた瞬間、前方に赤い光が見えた。それは1台のバイクの、テールランプの光だった。

そして実紗の様子も おかしくなる。

 

横須賀「待ちなさい!!そのスピードで その先に突っ込めば、死ぬわよ!!」

 

実紗「止まれる訳ねぇ。こんな、いい風なのによぉ!!」

 

横須賀提督が減速するよう注意するが、実紗は狂ったように笑いながら前を走るバイクを追い掛けていく。

横須賀提督は後ろから、紫の光に照らされてる事に気付く。後ろを確認すると、キャバリエーレに乗るダンテが追い掛けてきていた。

横須賀提督に追い付いたダンテは、横に並び並走する。

 

ダンテ「何 妙な事に首 突っ込んでんだ お前は!」

 

横須賀「ダンテ提督、助けて!黒いバイクが現れてから、前を走る子が おかしくなったの!このままじゃ大事故よ!」

 

ダンテ「あれは悪魔だ!」

 

以前ダンテの世界では、ハイウェイ管理局が依頼してきた仕事をレディがダンテに回してきた事があった。

借金返済のためにダンテは渋々やる事になり、その過程で走り屋とレースする事になったのだが、その時に現れたのが、『レッド・アイ』と呼ばれるバイク型の悪魔だった。

ダンテは悪魔の臭いと当時に似た状況から、前方を走る黒いバイクがレッド・アイの同族であると判断していた。

 

横須賀「これが悪魔の仕業なら、どうにかしてよ!あなたの専売特許でしょ!」

 

ダンテ「なら しっかり付いてこいよ!」

 

ダンテは この状況の対処法を知ってる。耳鳴りのような音を止めれば実紗も止められる。

音は橋の鉄骨に反響して橋の上に響いてるため、ダンテはアイボリーを連射して橋を支える鉄骨を破壊していく。

 

横須賀「死ぬぅーっ!こっちまで死ぬぅー!あんた頭イカれてんのかぁー!!」

 

左右に並ぶ鉄骨が鉄屑となり、ダンテと横須賀提督の頭の上から降ってくる。だが2人は左右に蛇行しながら鉄骨を避け、どうにか橋を抜けた。

先に橋を抜けていた実紗はスピードを落とし、虚ろな眼でフラフラと走っていた。

 

ダンテ「そのガキは任せたぞ!」

 

銃を撃ったダンテが、実紗の乗るバイクの後輪をパンクさせると、実紗は路肩に突っ込みバイクと共に転倒した。かなりスピードが落ちていたので、大怪我にはなっていないだろう。

横須賀提督は自身が乗るバイクを止め、すぐに実紗を保護する。

 

ダンテ「しゃあねぇ、こうなったら最後まで付き合ってやるか!」

 

レッド・アイを追うダンテだったが、レッド・アイは信じられない程のスピードでダンテの前を走る。

それを追ってキャバリエーレのスピードを更に上げると、ダンテがレッド・アイと並んだ。

しかし、レッド・アイは更に加速する。

そうしてる内に、ゴールが見えてきた。

ゴールでは朱美達が、横須賀提督と実紗が戻ってくるのを待っていたが、ヘッドライトの光が紫と赤であった事から、朱美達は訝しげな顔をする。

 

朱美「(あの2人じゃない・・・?)」

 

ゴールも近い事から一気に勝負を決めるため、ダンテはキャバリエーレに自身の魔力を送り込む。ダンテの魔力をエネルギーに変換したキャバリエーレは また加速し、レッド・アイを抜き去った。

その瞬間、レッド・アイがグニャグニャと見た目を変える。

ダンテはキャバリエーレから飛び降りて地面に着地すると、魔剣ダンテを突っ込んできたレッド・アイに突き刺し受け止める。ダンテの足は地面を滑り、しばらくして止まった。

魔剣ダンテが突き刺さるレッド・アイは、赤いヘッドライトが眼となり、その下には鋭い牙が並んだ口を開く、禍々しい見た目に変わっていた。

 

ダンテ「スピードの出し過ぎは、事故の元だぜ!」

 

更に魔剣ダンテを深く突き刺すと、レッド・アイは悲鳴を上げながら その姿を更に変貌させていく。バイクの側面から無数の足が生え、左右に伸びるハンドルは長い腕へと変わり、車輪はキャバリエーレのようにバズソーノコギリ状となる。

 

ダンテ「くっ・・・ぐっ・・・!」

 

レッド・アイは魔剣ダンテが突き刺さるのも構わず、前輪を回転させてダンテを餌食にしようとする。

ダンテは負けじと抵抗するが、魔剣ダンテを深く突き刺せば刺すほど距離が縮まり、レッド・アイの前輪が迫る。

そこに葛城、最上型、大井、川内、酒匂、長月、菊月、浦風、浜風、島風が現れた。

 

川内「Devil May Cry鎮守府 参上!」

 

菊月「おい司令官!悪魔と戦うなら何で誘ってくれない?!」

 

ダンテ「いいから撃て・・・!」

 

葛城と熊野が朱美と暴走族達を避難させ、他はレッド・アイを攻撃しようと主砲を向ける。だがレッド・アイから伸びる腕に、主砲を構えていた艦娘達が吹き飛ばされる。

レッド・アイの前輪が迫る状況で、ダンテは魔剣ダンテを斬り上げ後ろに飛び退く。

艦娘達は宙を舞いながらも狙いを定めて砲撃する。撃ち出された砲弾は、レッド・アイに全弾 命中する。

動きを止めたレッド・アイは少しすると、何かに引火したのか爆発して炎上した。

 

 

・・・・・・

 

夜が明け始めた頃、実紗を保護した横須賀提督もゴールに辿り着いた。

そんな横須賀提督の顔面を朱美は殴り飛ばし、それを見た満里奈は驚いた。

朱美は横須賀提督が倒れる前に胸ぐらを掴み、自分の方へ引き寄せる。

 

朱美「馬鹿野郎!あんた もしもの事があったら どうするつもりだったんだ?!」

 

朱美は本気で怒っていたが、横須賀提督は不敵な笑みで朱美を見ていた。そして すぐに、満里奈の方を見る。

 

横須賀「満里奈、だっけ?あんたの母ちゃん、滅茶苦茶 気合い入ってるじゃん。本気で怒羅美 続けたいなら、真っ正面から この母ちゃん説得して、黙らせるぐらいの根性 見せてからにしな」

 

横須賀提督の言葉に、朱美と満里奈は驚いた表情をして互いを見る。

横須賀提督は朱美が手を離した事から地面に座り込み、疲れたのか大の字になって寝転がった。

 

実紗「完敗だよ」

 

横須賀「うん?」

 

声がして横須賀提督は自分の足の方を見ると、実紗が手を差し出しながら見下ろしていた。

 

実紗「あんた、間違いなくレディースの伝説になるよ」

 

横須賀「伝説・・・?あっ、あっぶね、忘れるところだった」

 

『ん・・・?』

 

怒麗苦の面々が首を傾げる中、横須賀提督は立ち上がると その場に居る者を自分の前に整列させる。

 

横須賀「いいか お前ら!こんなもん、伝説でも何でもねぇ!私が目指してるもんは、もっと先にある!お前らに、ほんとの伝説を見せてやるよ」

 

そう言った横須賀提督の顔は、何かを企むような不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 演習場 8:25*

 

朱美と暴走族達を連れて鎮守府へ戻った横須賀提督は、急遽Devil May Cry鎮守府の艦娘を相手にした艦隊演習を行った。

横須賀提督は自分が大将に道を示してもらったように、怒羅美と怒麗苦のメンバーを海軍に勧誘するつもりだった。力が有り余って暴れたいなら、合法的に暴れられる場所があると教えてやるために。

満里奈は、横須賀提督が怒羅美の元総長だったと聞かされ、軍人として凛々しく艦娘に指示を出す今の姿に、尊敬の眼差しを向けていた。それは他の怒羅美のメンバーと、怒麗苦のメンバーも同じだ。

もしかすると、彼女達が海軍に入隊する未来も そう遠くないかもしれない。

ただ、演習相手のDevil May Cry鎮守府の艦娘達は、ダンテと無線を繋げながら首を傾げていた。

 

川内「何で私ら演習に付き合わされてるの?」

 

ダンテ『知らね。適当に付き合っといてやれ』




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