34話です!どうぞ!
*右通路 第二層*
雷巡と重巡の艦娘は、同じ雷巡と重巡の深海棲艦と熊野を相手に戦闘を繰り広げていた。鈴谷は戦闘の最中、熊野(?)と言葉を交わしていた。
鈴谷「熊野やめてよ!」
熊野?「なら鈴谷だけ おやめになって よろしくてよ。そうすれば すぐに沈めてあげますわ」
鈴谷「こんなの おかしいよ!鈴谷達が戦うなんて!」
熊野?「一捻りで黙らせてやりますわ!」
鈴谷「何で・・・何で・・・」
最愛の姉妹との戦闘、鈴谷の心は掻き乱されていた。そのせいで周りが見えていなかった。
羽黒「鈴谷さん!」
羽黒が鈴谷を庇って砲撃を受ける。
鈴谷「は、羽黒!」
羽黒は中破となった。
北上、大井、青葉が2人の援護に入る。
大井「ボサッとしないでください!」
北上「ここに私ら以外の艦娘が居るはずないって、きっと偽物か何かだよ」
熊野?「偽物?ふふっ、鈴谷なら分かりますわよね、わたくしが本物か偽物かなんて」
鈴谷「熊野・・・」
・・・・・・
*右通路 第三層*
外回廊を抜けて中に戻ると、とんでもない空間に出た。空の上に居るのだ。空の上に道だけが浮いているような場所に、赤城達は居た。空の色は黄色く、異様な雰囲気ではあるが。
赤城「もう理解が追い付きません・・・」
天龍「これ、落ちたら どうなるんだ?」
下を見下ろすが地上は見えない。上も横も下も、どこまでも空と雲が広がっている。第三層は壁が無く、見通しが良いので道に迷う事はなさそうだ。赤城達は足元にも注意しながら進んでいく。
*左通路 第三層*
ダンテも方も、赤城達と同じような空間に居た。どこまでも空が広がっている。ダンテも そんな場所を進んでいると、道の中腹でトラップが作動した。地面からは巨大な剣山や丸ノコの刃、左右に いくつも並んでいる像からは矢が跳んでくる。そして正面からは炎の玉が迫ってきた。ダンテは剣山と丸ノコをアクロバティックに飛び回り、矢と炎の玉を踊るように回避していく。
ダンテ「
トラップを抜けた先の魔方陣に乗ると、トラップが停止した。
ダンテは上を見上げた。
ダンテ「まだ あるのか、エレベーターぐらい用意しとけよ」
上には道が浮いていた。
*右通路 第三層*
赤城達も道の中腹まで来たが、そこで立ち往生していた。
加賀「あれは何?」
蒼龍「あからさまに何かありますって感じ」
隼鷹「い、今にも動き出しそうだよ」
道の中腹の足場は広く、そこに16体のブロンズ像が、赤城達に向かって並んでいた。足場は白と黒に彩られている。
金剛「1、2、3、4・・・」
比叡「どうしました、お姉さま?」
金剛「あれ、チェスじゃないデスカ?」
加賀「チェス?」
金剛「あの顔があるのがKingとQueenで━━」
金剛はブロンズ像を指を指しながらチェスの駒に当て嵌めて説明していく。
金剛「━━で、前に並んでるのがPawnデスネ」
加賀「言われてみれば」
比叡「さすがです、お姉さま!」
金剛「フッフーン」
金剛は胸を張って満足そうだ。
隼鷹「だからって安心して進めるかって言われたら・・・」
蒼龍「進めない。絶対 何かある」
金剛「安心してくだサーイ!ルールでは一駒ずつしか動かせないデス。例え動き出しても、私達には そんなの関係ないネー!」
天龍「なら行ってみるか」
一歩を踏み出すと、ブロンズ像の色が白くなり動き出した。赤い結界も現れて逃げ場もなくなった。
隼鷹「一斉に動き出したじゃん!」
金剛「おかしいデス!ルールは どこに行ったデース!?」
蒼龍「悪魔にルールとか求めないで!」
鳳翔「囲まれる前に空母は艦載機を発艦、皆さんは援護を!」
『はい!』
*右通路 第二層*
熊野?「━━これで分かりましたわよね、わたくしが鈴谷の知っている熊野だと」
熊野(?)は、鈴谷との思い出を語って本物だと証明しようとしていた。
鈴谷「なら、どうして戦うの!?」
熊野?「鈴谷が悪いんですのよ。わたくしは沈んだというのに、鈴谷は別の鎮守府で幸せそうにしてる。そんなの、壊したくなりますわ・・・っ!」
接近していた魚雷に気付いて熊野(?)は回避する。
大井「そろそろ その口、閉じてもらえます?」
熊野?「あら居たんですのね」
大井「チッ・・・白々しい」
眼中にないという態度に、大井も舌打ちをした。
熊野?「今 鈴谷と思い出を語り合っているので、邪魔しないでほしいですわ」
大井「どういう経緯で此処に居るのか知りませんけど、舞鶴に居た熊野さんは間違いなく轟沈しました。私達が知っている熊野さんが此処に居るはずはないので、とっとと消え失せてください」
大井、鈴谷、熊野は同じ舞鶴鎮守府に居た。
そして大井は当時の秘書艦だった。
熊野の轟沈に関しても詳しく知っている。
熊野?「他人に愛想笑いばかりしてる八方美人で無能な腹黒のアバズレさんに用はありませんの。それ以上 邪魔をするなら沈めますわよ」
大井「無知って恐いですよねぇ。スーパーで売ってるローストビーフを見て、“これは神戸牛ですの?”とか恥ずかしい事を大声で言ってた お嬢様ぶっている なんちゃって お嬢様は、これ以上 恥を晒さないように お嬢様らしく部屋に引き籠っていたら どうですか?」
お互い顔に笑顔を張り付けて言葉の応酬が始まり、妙な事になって艦娘も深海棲艦も思わず動きを止める。
北上「お、大井っち・・・?」
そして大井の怒りの矛先は鈴谷に飛び火。
大井「鈴谷さんもですよ!」
鈴谷「・・・っ!?」
大井「あの なんちゃって お嬢様に沈められるか、頼んでもいないのに助けに来た お節介な提督を助けに行くのか、どっちを選ぶんですか!あんな奴、十中八九 偽物でしょうけどね!そんな偽物の言葉に惑わされて足を引っ張らないでください!」
鈴谷「助ける・・・?助ける・・・」
“あなたの為に戦う者が、あなたを助ける為に戦う者が居るのに、鈴谷は見てるだけですの?”
鈴谷はドッペルゲンガーの闇に呑まれた時に聞こえた熊野の言葉を思い出した。あの時の声は幻聴だったのかもしれない。けれど、あれは間違いなく熊野の声だった。
鈴谷「違う、あんたは熊野じゃない」
鈴谷は熊野(?)を見据えて言った。
熊野?「鈴谷まで そんな事を・・・わたくし、悲しいですわ」
鈴谷「熊野なら、提督を助ける為に戦えって、きっと そう言う。熊野が本物でも偽物でも どっちでもいい。熊野を倒して、提督を助けに行く!」
鈴谷は、未来へ進む為の一歩を踏み出した。
鈴谷「ありがとう、大井」
大井「別に、私は足を引っ張られるのが嫌だっただけです」
大井は鈴谷から顔を反らした。
鈴谷「羽黒も ごめんね」
羽黒「私なら大丈夫です」
北上「へへっ、それじゃあ第2ラウンド始めますかー」
そして北上達は戦闘に再突入した。
*右通路 第三層*
赤城達の方は、魔界で製造されたチェスゲームの駒、『ダムドチェスメン』との戦闘が続いていた。
『アハハハハハハ!』
天龍「おわぁー!?」
クイーンの駒が笑いながら天龍に突進してくる。天龍は慌てて回避した。
蒼龍「天龍、避けてばかりいないで攻撃して!」
天龍「ムチャ言うな!笑いながら顔が迫ってくるんだぞ!」
隼鷹「ビビってんのぉ?」
天龍「ビビってねぇよ!」
電「赤城さん直上!」
ナイトの駒が赤城の頭上に現れ急降下してくる。
赤城「・・・っ!」
ビショップの駒から炎の玉が飛んでくる。
隼鷹「アチチ!アチチ!」
ルークの駒からは前後左右にレーザーが飛び出す。
加賀「何なのよ それ!」
攻撃は続けているが、別のビショップの駒が他の駒を回復していく。ブロンズ状態の時は攻撃が通らず四苦八苦していた。
金剛「Kingデス!Kingの首を獲れば勝てマース!」
蒼龍「でも それって普通のチェスのルールでしょ?こいつらルール無用で来るんだけど!」
鳳翔「やる価値はあります。他の駒を回避しながら、キングを集中攻撃します!」
比叡「撃ちます!」
キングの駒に攻撃を当てるが、すぐにルークの駒と入れ替わる。
比叡「キャスリング!?」
金剛「やっぱりコイツらチェスデスヨ!」
赤城「逃げたということは、キングが弱点かもしれません!」
鳳翔「攻撃を続けて!」
『アハハハハハハ!』
天龍「こっち来んなぁー!」
*左通路 第三層*
ダンテは結界を解除して螺旋通路で『アビス』と戦っていた。アビスは魔界の深淵に生息し、戦争の際には兵隊の役割を担っていた悪魔の高位種族。魔力で形成した鎌を自在に操り獲物を狩る。
ダンテの足元に水面の波紋のようなものが広がる。地面を転がり その場から離れると、波紋からアビスが飛び出してきた。ダンテは、アビスが飛び出してきた瞬間にショットガンを撃つ。至近距離で撃たれたアビスは吹き飛んだ。別のアビスが鎌を振り下ろしてくると、リベリオンで鎌を受け流し、エボニーで頭部を撃ち抜く。バラバラで攻撃しても駄目だと考えたアビスは、一斉にダンテに襲い掛かった。だがダンテはショットガンをヌンチャクのように振り回しながら撃つ、『ファイアワークス』でアビスを纏めて吹き飛ばした。
ダンテ「お前ら修行が足りないな」
通路の奥からは後続のアビスが来る。ダンテは何体も現れるアビスを倒しながら、どこまでも続く螺旋通路を駆け上がる。
・・・・・・
螺旋通路の先には また扉。扉を開けると大和(?)やレディ(?)と戦った部屋と同じ場所に出た。そこで待っていた者を見て、ダンテは意外そうな顔をした。
?「久しぶり、魔剣士さん。今は提督さんって呼んだ方がいいのかな?」
*右通路 第三層*
赤城達とダムドチェスメンの戦闘は まだ続いていた。
赤城「カレー使いませんか?」
「「「えぇーー!?」」」
鳳翔「致し方ありませんね」
天龍、隼鷹、蒼龍は使いたがらなかったが、鳳翔は許可を出した。艦爆からの爆撃で比叡カレーを投下、カレーがダムドチェスメンに飛び散る。するとダムドチェスメンは次々と崩壊した。
天龍「あぁー!カレーが付いたぁー!!」
少量のカレーが服に付いた天龍は1人で大騒ぎする。
蒼龍「空の上なのに何で無風なの?」
悪臭が広がり赤城達は鼻を押さえる。
加賀「ここは神殿の中よ、風なんて吹く訳ないでしょ」
金剛「比叡、今度は臭いのしないカレーを作らなきゃダメダヨ」
比叡「任せてください、お姉さま!」
隼鷹「(任せたから こうなったんだけどなぁ・・・)」
赤城「早く移動しましょう」
鳳翔「電ちゃん、大丈夫ですか?」
電「・・・・・・・・・」
電は涙目で息を止めていた。
赤城達は その場から移動して、最上層を目指す。
*左通路 第三層*
ダンテを待っていたのは、赤城と加賀を助けた時に現れた、少女の亡霊の1人だった。少女の身体は、青白い淡い光を放っている。ダンテは その少女に見覚えがあった。助けた時にも自分を魔剣士と呼んでいたので、印象が強く憶えていた。
ダンテ「今度の相手は お嬢ちゃんか?」
亡霊「どっちだと思う?」
ダンテは最初から答えが分かっているかのように笑いながら訊き、少女も いたずらっぽく笑いながら訊き返す。
ダンテ「お前からは魔力を感じない。だから敵じゃない、だろ?」
亡霊「分かるんだ」
ダンテ「まぁな。それで、わざわざ何しに来たんだ?」
亡霊「提督さんに伝えたい事があったの」
ダンテ「手短に頼む。時間もないしな」
亡霊「提督さんは どうして この世界に来たと思う?」
ダンテ「何だクイズか?たまたま穴に飛び込んだら こっちに来てただけだろ?」
亡霊「違うよ、提督さんは呼ばれたの」
ダンテ「呼ばれた?誰が俺なんかを呼ぶんだよ?」
亡霊「呼んだのは この世界。この世界が抗えない存在が現れたから提督さんは呼ばれたの」
ダンテ「世界ときたか、スケールのデカい話だな」
亡霊「ちゃんと聞いて!」
ダンテ「・・・・・・・・・」
鼻で笑い、あまり真剣に聞いていないので怒る少女。
亡霊「提督さんは この世界に呼ばれた。でも役目を果たせば、提督さんも この世界にとって異物なの」
ダンテ「異物か、酷い言われようだな。でも確かに そうかもな」
ダンテは この世界の存在ではない。それだけで異質な存在なのだ。
亡霊「このまま進めば死ぬかもしれない。でも役目を果たせば元の世界に還る事ができる」
ダンテ「死ぬつもりはない。色々と約束もあるしな」
亡霊「元の世界に還れば、この世界での記憶を忘れる。赤城さんや加賀さんの事も・・・それでも先に進む?」
ダンテ「ここまで来て迷ったりなんかしない。当然 進むさ」
亡霊「そっか」
ダンテ「それより何で そんなこと知ってる?」
亡霊「他の娘が言ってたでしょ、“死んで分かる事もある”って」
ダンテ「そうだったか?けど死んでから知識を得ても困っちまうな」
亡霊「そうだね、でも今は役に立ってる」
ダンテ「かもな」
ダンテは目的を果たす為に歩き始めた。
亡霊「行くの?」
ダンテは少女を通り過ぎて、少しして立ち止まった。
ダンテ「俺は誰も忘れないさ、俺の魂が そう言ってる」
亡霊「・・・・・・・・・」
少女の顔は曇った。まるで それは無理な事だと言わんばかりに。
亡霊「力になれなくて ごめん。一緒に行けなくて・・・」
ダンテ「いや、来てくれたさ。話を伝える為に、来てくれただろ?」
亡霊「・・・うん!」
ダンテ「名前は?」
亡霊「え・・・私?」
ダンテ「他に誰が居るんだよ?」
瑞鶴「翔鶴型 航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です」
瑞鶴は敬礼しながら名乗った。
ダンテ「覚えとくよ、瑞鶴」
今度こそ、ダンテは その場から立ち去った。
瑞鶴「・・・ありがとう」
ダンテを見送った瑞鶴も、そのまま消えた。
次回も よろしく お願いいたします!