Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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全然 間に合ってませんが、こっちもハロウィンの お話は これで終わります。

340話です!どうぞ!


Mission340 電磁石~霊魂達の御業?~

クリス・ウィーラーの無線通信を辿って彼を探したが、辿り着いた場所に彼の姿は無く、テープに巻かれて1つにされた無線機があるだけだった。

天龍と呉提督が それを拾おうとしたが、2人は敷かれていたカーペットに隠された穴に落ちてハーパー・ヘイズに罠に嵌まる。

衛生画像から熱源で、CIAの戦術部隊とヘイズを探していた青葉と(たける)から連絡が入るが、話してる途中で声が途切れた。

伊勢型、木曾、神通、アイオワは、青葉と健の安否を確認するため野営地に向かい、夕張は配線コードを取りに司令塔に戻り、刹那(せつな)は天龍と呉提督の子守りで その場に残る。

天龍と呉提督は落ちた部屋で出口と手懸かりを探していると、超不気味な裏通路を発見する。

2人が その先を確認しに言ってる間、刹那は戻ってくるのを待っていたが、そこにヘイズが現れ戦闘になる。

青葉と健は、茂みから現れた戦術部隊の隊員の1人と遭遇し、そこに伊勢達が合流する。

隊員の手当てをすると、彼女達は戦術部隊が居ると思われる場所へ向かった。

配線コードを掻き集めた夕張は、刹那と連絡が途絶えた事から急ぎ穴のある部屋に戻る。しかし そこには刹那の姿が無く、彼女の刀と点きっぱなしのライトが落ちてるだけだった。

そして穴の下からも、天龍と呉提督も消えていた。

 

 

*島 11月18日 4:37*

 

青葉と健は野営地に残し、熱源反応があった場所に向かった伊勢型、木曾、神通、アイオワは、訓練基地から離れた建物の外から中の様子を窺っていた。

そこに夕張から無線連絡が入った。

 

夕張『伊勢さん、最悪の事態になった!』

 

伊勢「どうしたの?」

 

夕張『刹那と連絡が途切れて消えたの!あと天龍と大佐も一緒に!呪いは本当にあるのかも・・・』

 

伊勢「ちょっと夕張、あなたまで弱気にならないで。こっちは部隊が拘束されてると思われる建物に着いた。そっちに戻った方がいい?」

 

夕張『ううん、部隊の方を お願い。私は3人を探す』

 

木曾「おいおい、本当に大丈夫なのか?お前まで消えたりしないだろうな?」

 

夕張『幽霊に通用するか分からないけど、もしもの時は砲撃する』

 

神通「決して無理はしないでください。何かあれば必ず連絡を」

 

夕張『うん、分かった』

 

夕張との無線通信を終わり、伊勢達は眉間に皺を寄せながら互いの顔を見合った。

 

日向「夕張まで呪いを信じ始めたが、3人が消えたのは呪いだと思うか?」

 

アイオワ「ちょっとやめてよ。Meまで怖くなってきたじゃない・・・」

 

伊勢「どっちにしても、今は夕張に任せるしかない。部隊を救出して安全を確保できたら、すぐに夕張と合流しましょ」

 

木曾「なら、早速 突入しようか」

 

神通「相手は元特殊工作員です。どんな罠があるか分かりません。気を付けて行きましょう」

 

伊勢達は頷き合うと、建物の中へと突入した。

ヘイズの罠を警戒しながら進んでいくと、建物の中心に縛られた部隊の隊員達を見付けた。

だが すぐには向かわない。先ずは罠の確認をしてからだ。

 

日向「・・・神通、どうだ?」

 

神通「・・・・・・罠は無いようです」

 

罠の確認も終わり、今度こそ隊員達の方へ駆け寄る。

隊員達自身にも罠は仕掛けられていない事を確認したが、彼らは怪我をして意識がない状態だった。

ただ、拘束された部隊の顔触れの中に、隊長であるウィーラーが居ない。

だが伊勢達は、それとは別の違和感を感じた。罠が無かったのは安心するべき事なのだが、それが逆に不安を駆り立てる。

ヘイズは こちらが来るのが分かっていたかのように、輸送船や訓練基地に罠を仕掛けていた。それなら部隊を探しに来るのを見越して、ここにも罠を仕掛けていても おかしくはないはずだ。

 

伊勢「夕張、聞こえる?応答して。・・・・・・夕張?」

 

木曾「おい、まさか夕張まで・・・」

 

隊員達を確保した報告も兼ねて連絡を入れようとしたが、何故か夕張との無線が繋がらなかった。

 

アイオワ「青葉、聞こえる?」

 

青葉『はい、聞こえますよ』

 

アイオワ「部隊の隊員達を見付けた。すぐ こっちに来て。ただ夕張との連絡が途絶えたから、そっちも気を付けて」

 

青葉『りょ、了解です!』

 

伊勢達は すぐにでも夕張達を探しに行きたかったが、隊員達の保護が先だ。

彼らは怪我をしてるため手当てが必要で、野営地まで運ばなければならない。かなりの人数が居るので全員でやらないと終わらなかった。

 

 

*基地*

 

その頃 夕張は、消えた天龍と呉提督、刹那を探して訓練基地の地下を走っていた。

伊勢達が夕張と連絡が取れなかったのは、夕張が地下に居たからだ。

地下を移動してると、偶然にも天龍と呉提督と鉢合わせした。

 

天龍「おぉ、夕張!無事だったか!」

 

夕張「無事だったかじゃないわよ、2人共 何してたの?!戻ったら居ないし!」

 

呉「抜け道があって、そこを通ったら出られたのよ」

 

夕張「何で連絡しないの?!」

 

天龍「ここ無線 繋がらなくてよ。それより刹那 知らないか?」

 

夕張「それ私も訊こうとしてた。一緒じゃないの?」

 

呉「抜け道の先が どうなってるか確認してる間に居なくなった。最初は嫌がらせかと思ったけど、あの娘 悪ふざけするタイプじゃないでしょ?」

 

夕張「えぇ、意味もなく黙って消えるとは思えない」

 

話をしてると、天龍達を呼ぶ刹那の悲鳴が聞こえてきた。

 

夕張「刹那!」

 

天龍「刹那、どこだ?!」

 

呉「待ってなさい!すぐ行く!」

 

刹那の悲鳴を辿って急いで向かった先で、刹那とヘイズを見付けた。

しかし刹那は、ヘイズに何かの装置の中に入れられてしまい、ヘイズは その場から逃走した。

 

呉「野郎、待ちやがれ!」

 

天龍「おい、1人で行くなって!」

 

止める暇もなく、呉提督は1人で逃げたヘイズを追ってしまった。

 

夕張「今は刹那を助けるのが先!」

 

天龍「この機械 何なんだよ?!」

 

夕張「海軍には水練もあるから、それで患った減圧症を治療する高気圧室!」

 

天龍と夕張は高気圧室の扉を開けようとするが、どういう訳か扉は動かず開かない。

2人が必死に扉を開けようとする様子を、刹那は扉にある窓から顔を覗かせ不安そうな表情で見ている。

だが、事態は更に深刻になる。

 

刹那「天龍、夕張!み、水が・・・水が流れ込んできてる!」

 

顔を上げた天龍と夕張が窓から中を確認すると、何故か高気圧室の中に水が貯まり始めていた。

 

夕張「何で水が・・・!?」

 

夕張が高気圧室の横に回り込み、繋がったパイプを辿っていくと、本来 繋がってるはずのない水道管と繋がっていた。水は そこから流れ込んできている。

ヘイズは この島に来てから、天龍達が来るのを見越して ここまで準備していたというのか!?

 

夕張「ヘイズは ただの工作員じゃない。これは特殊部隊のやり方よ」

 

天龍「・・・どういう事だ?」

 

1人 負傷すれば、その班は お荷物を抱えて手一杯になる。刹那を すぐに殺さず ここに閉じ込めたのは、こちらを分散させて戦力を落とし、1人ずつ殺すためだ。

 

天龍「おい、このままじゃ刹那が溺れ死んじまうぞ!どうにかならないのか?!」

 

夕張「・・・あそこ!装置の制御端末がある!あれで扉を開けられるはずよ!」

 

天龍「よし!」

 

制御端末に行き扉を開けようとするが、ヘイズが細工したのか全く反応がなかった。

 

天龍「クソッ、こうなったら・・・!」

 

天龍は艤装を展開し、高気圧室に向かって主砲を向けるが、それを夕張が慌てて止める。

 

夕張「ちょっと何してるのよ!?」

 

天龍「開かないなら壊すだけだ!」

 

夕張「刹那まで吹き飛ぶ!」

 

天龍「直撃させずに機械だけ壊すんだよ!」

 

夕張「それは無理!もし それで壊れたとしても、爆風で壊れた高気圧室その物に刹那が押し潰される!直撃させなくても刹那は死ぬ!」

 

天龍「じゃあ どうするんだよ?!お前なら何か考えあるよな?」

 

夕張「・・・・・・無理・・・」

 

天龍「え・・・?何だって?」

 

夕張「アメリカ海軍が当時 使ってた高気圧室は、かなり重厚に設計されててシェルターの代わりにもなったの。いつもの間に合わせで刹那に配慮しながらじゃ、これは壊せない・・・」

 

天龍「・・・・・・おい・・・嘘だろ・・・?」

 

夕張「ごめん、刹那・・・」

 

刹那「いいの、夕張は悪くない。私の事はいいからヘイズを追って。それが任務でしょ?」

 

天龍「そんな事できる訳ねぇだろ!何が何でも開けてやるから待ってろ!」

 

砲撃での破壊が無理ならと、天龍は尚も扉を抉じ開けようとする。

 

刹那「天龍、バージルに よろしく言っといて。“楽しかった”って」

 

天龍「バカ言ってんじゃねぇ!こちとら鈴谷を亡くして お前まで喪えるか!そうなったら今度は、提督に続いて師匠がキレ散らかしちまうじゃねぇか!俺は そんなの お断りだ!」

 

刹那「本当は今、凄く怖い・・・最後に お姉ちゃんと話しておけば良かった・・・」

 

天龍「クソッ・・・!夕張、下がれ!やっぱり一か八かで砲撃してやる!ダメだった時は許せよ刹那!」

 

夕張「・・・・・・・・・」

 

天龍「夕張、何やってんだ?!早く下がれ!」

 

天龍が主砲を構え直し砲撃しようとするが、夕張は高気圧室の扉に両手を突いて、俯いたまま動かない。一か八かで砲撃しようにも、これでは撃てない。

 

天龍「夕張!!」

 

夕張「・・・・・・閃いたかも・・・」

 

天龍「・・・はぁ?」

 

夕張「刹那を助ける方法、閃いたかも!」

 

天龍「どうする!?」

 

高気圧室を操作する端末と内部システムは別になっている。見た限り、ヘイズが壊したのは端末だけで、内部システムは まだ生きてる可能性がある。

扉の窓を壊せば、高気圧室のシステムが異常を検知し、勝手に扉が開くはずだ。

 

夕張「必要な物 取ってくるから、刹那を励ましといて!」

 

天龍「分かった!刹那、大丈夫だからな。絶対 助けてやる」

 

 

・・・・・・

 

それから少し経ち、必要な物を揃えて戻ってきた夕張は、パイプやワイヤーを使い、ボルト銃を造っていた。

天龍が刹那を励ましながら窓から中を見ると、水は もう刹那の首まで貯まっていた。

 

天龍「もう時間がないぞ!まだか?!」

 

夕張「分かってる!気が散るから話し掛けないで!」

 

天龍「ごめん・・・」

 

高気圧室と繋がる水道管には複数の接続口があり、夕張は そこに即席のボルト銃を繋げる。火薬は使わず、水圧で弾を発射するつもりだ。

準備も整い、ボルト銃と繋げたパイプの方へ水道を開く。

 

夕張「天龍、そこに居たら危ない!」

 

天龍「へ?」

 

夕張が吹き飛ばそうとしてるのは扉の窓であり、扉の前に居れば弾が天龍に直撃する。もし頭に当たればカチ割れる。

 

天龍「早く言えよ!」

 

夕張「ヤッバい・・・っ!」

 

水が流れるパイプの繋ぎ目からも、圧力に耐えられなくなり水が噴き出し、水道管のボルトが幾つも飛ぶ。

夕張は天龍を連れて避難し、何かしらが飛んできても大丈夫なように身を隠す。

刹那も危なくないよう扉から離れ、水の中で端っこに移動する。

水圧を力に即席のボルト銃から弾が発射され、狙い通り高気圧室の窓ガラスに直撃した。窓には罅が入り、中に貯まっていた水で罅が拡がっていくと、遂に窓ガラスが完全に割れた。

同時に、異常を検知した高気圧室の扉が開き、大量の水と共に刹那が流れ出る。

急いで咳き込む刹那に駆け寄り、彼女の容態を確認する。命に別状はないが、長く息を止めていた事もあり すぐに動けないため、彼女は これ以上 任務の続行は不可能だった。

 

夕張「刹那を お願い」

 

天龍「おい、待てよ!どうするつもりだ?!」

 

夕張はヘイズを追うため、呉提督とヘイズが出た扉へと入る。

天龍も追いたかったが、刹那のために その場に残った。

 

 

*島*

 

ヘイズを1人で追った呉提督は、これまでの恐怖や罠に嵌められた鬱憤でキレ散らかしながら走っていた。明かりなど殆んどなく見えづらいが、それでも何とか追えていた。

 

呉「待て この野郎!!散々ビビらせやがって!!止まらないと撃つぞテメェ!!」

 

呉提督は銃を構えるが、突然ヘイズが止まったと思ったら、横に走り出した。どうやら崖で その先に進めないため、逃走進路を変えたようだ。

それを見て呉提督は斜めに走り、横に回り込む形でヘイズに追い付くと、タックルして地面に押さえ付ける。

だが顔を見てみると、それは猿轡を噛まされたウィーラーだった。いつの間にか、暗がりでウィーラーとヘイズが入れ替わっていた。

呉提督は不機嫌ながらも、ウィーラーの猿轡を外す。

 

呉「ちょっと、何で あんたが走ってたのよ?!」

 

ウィーラー「気を付けろ、私は囮だ!」

 

囮と聞き呉提督が振り返ると、銃口を向けて笑うヘイズが立っていた。

呉提督も銃口を向けるが、それよりも早く撃たれたヘイズの弾丸が肩に当たり、呉提督は崖から落ちていった。

 

夕張「大佐!」

 

呉提督の悲鳴を聞いて辿り着いた夕張が声を上げると、崖の前で振り返ったヘイズと目が合った。

ヘイズは、完全武装していた呉提督が落としたロケットランチャーを夕張に向ける。

 

夕張「嘘でしょ!?」

 

夕張は咄嗟に横に飛び退き伏せると、弾は外れて遠くの方で爆発が起きる。

 

日向「今のは何だ?」

 

その爆発は、戦術部隊の隊員達を保護していた伊勢達にも聴こえていた。

 

夕張「何で囚人がロケットランチャー持ってるのよ!」

 

ドカンドカン撃たれながら、夕張は目視でウィーラーの姿も確認していたため、彼からヘイズを引き離すために自身を囮に逃げる。すると、ヘイズは思惑通り夕張を追ってきた。

夕張とヘイズが離れると、傷だらけの呉提督が崖から よじ登ってきた。

 

呉「そう簡単に くたばると思ったら大間違いなのよ・・・!」

 

 

*車庫*

 

夕張が建物の中に逃げ込むと、そこは昔の軍用車が置かれてる車庫だった。

だが他に出口がなく、完全に袋の鼠だった。

どうしようかと悩んでる間に、ヘイズが追い付き嫌な笑みを浮かべる。

 

ヘイズ「もう逃げらんないよ」

 

夕張「私は艦娘よ。人間の兵器じゃ死なない」

 

ヘイズ「試してみようか?」

 

ヘイズはロケットランチャーの引き金を引くが、カチッと乾いた音がするだけで何も出なかった。

ヘイズと直接 相対してる今、夕張は ずっと気になってた事を訊くチャンスだと思った。

 

夕張「・・・どうして戦術部隊を生かしたままにしてたの?自分を捕まえた連中なのに」

 

ヘイズ「部隊の隊長が特別な奴なのは判ってた。誰かが救出しに来るだろうから、そいつらを殺して船を奪って逃げようと思ってたのさ」

 

夕張「ウィーラー隊長が副大統領の息子だと知ってた・・・?」

 

ヘイズ「私も元CIAだから、当然 知ってるさ」

 

任務は囚人を生かしたまま捕まえること。ヘイズを殺す訳にはいかないため、艤装を展開した夕張は兵装を使わず、接近戦で捩じ伏せる事にした。

艤装を装着した艦娘の腕力でなら、いくら身体に金属を入れていようが人間に負けるはずがないと思っていた。だが、その目論見は外れてしまった。

ヘイズは艤装を装着した夕張の腕力を軽々と受け止め、更に特殊部隊仕込みの近接格闘術で夕張を圧倒していく。ヘイズの その腕力は、最早 人間のものではなかった。

夕張は反応できないまま何度もパンチや蹴りを受け、ヘイズの身体に金属が入ってる事も相まってボロボロにされていく。

最後に胸にハイキックを喰らい、吹き飛びながら倒れた。

 

ヘイズ「人間が相手なら勝てると思ったんだろうが、残念だったね。艦娘でも、首の骨を折っちまえば流石に死ぬだろ?」

 

ヘイズが夕張にトドメを刺すため歩み寄り、夕張は痛む身体を引き摺りながら後退る。

そこに、呉提督がヘイズに飛び掛かり加勢する。どちらも訓練された戦いを繰り広げるが、すぐに呉提督が劣勢になりボコボコにされていく。

夕張は自身の後ろにある軍用トラックを見ると、呉提督の助けにも入らず どこかに行ってしまう。

 

呉「ちょっと夕張ちゃん、手伝ってよ!置いて逃げるとかマジか!」

 

夕張の助けを借りられず、それでも呉提督は どうにかヘイズと戦う。しかし防戦一方でやられ放題で、遂には膝を突いてしまう。

呉提督は銃を抜いたが、構える前に頭部に蹴りが入り、倒れてしまう。

ヘイズは呉提督の落とした銃を拾い、呉提督に銃口を向ける。それを見ながら、呉提督は起き上がり、両膝を突いた体勢でヘイズを見る。

 

呉「・・・さっさと撃ちなさいよ」

 

ヘイズ「そうさせてもらう」

 

呉提督は顔を逸らしながらギュッと目を瞑り、撃ち殺される覚悟をする。

すると突然、ヘイズの苦しそうな呻き声が聞こえてきた。呉提督が片目を開けて見ると、ヘイズが天井を仰ぎ見ながらビクビクと身体を痙攣させていた。

 

呉「へ・・・?」

 

何が起きてるのかと、呉提督が怪訝な顔でヘイズを見てると、呻き声を上げて痙攣するヘイズが宙に浮いた。

 

呉「はぁん・・・!?」

 

それを見て呉提督が顔面蒼白になっていると、ヘイズが見えない何かに引っ張られるように吹き飛び、軍用トラックのフロント部分に張り付き気絶した。

一連の不思議な現象を見た事で、呉提督は泣きそうな顔で天井を仰ぎ見る。

 

呉「おぉ、バミューダに住まう霊魂達よ。その御業で助けていただいた事を感謝します、アーメン」

 

呉提督が何度も手で十字を切って祈りを捧げてると、クスクスと笑い声がした。

 

呉「へ・・・?」

 

呉提督が正面を見ると、軍用トラックの陰から笑いながら夕張が出てきた。

 

夕張「アーメンって・・・マジ?」

 

呉「あんたも霊魂達に感謝しなさい!ここに住む魂は私達の味方よ!」

 

夕張「さっきの、幽霊がやったんじゃなくて私」

 

呉「・・・・・・嘘よ!それが本当なら、あんた魔法使いって事になるわよ?!」

 

夕張「まぁ、ある意味そうかも」

 

呉「どうやったの?」

 

ヘイズは闇手術で身体に金属を入れていた。夕張は それが利用できると思い、呉提督とヘイズが戦ってる間に巨大な電磁石を造り、結果は さっきの通りである。

 

夕張「だから幽霊の仕業じゃない。でも さっきの大佐・・・くふっ・・・」

 

呉「いつまでも笑ってんじゃないわよ!でも助かったわ、ありがとう」

 

そこへ、島の周辺の海を警戒していたスキャンプから連絡が入った。どうやら深海棲艦の艦隊が、この島を目指して接近中との事だ。

現在 伊8、スキャンプ、U-511が雷撃による牽制で足止めしており、手を貸してほしいらしい。

 

呉「ヘイズは どうする?」

 

夕張「あのまま張り付けておこ。じゃあ行ってくる」

 

呉「こっちは任せて、頑張んなさい」

 

伊勢型、青葉、天龍、木曾、神通、夕張、アイオワは海に飛び出し、潜水艦3人と協力して深海棲艦の撃滅に向かった。

その後 副大統領の命令を受けたアメリカ海軍の救出部隊も到着し、深海棲艦は撃滅。

ヘイズは万全の状態で拘束され、戦術部隊の面々と共にアメリカへと戻った。

 

 

・・・・・・

 

*エグリン空軍基地 10:45*

 

エグリン空軍基地に到着し、伊勢達はオリーブ財団に帰る前に、ウィーラーと話していた。

 

アイオワ「これから どうするの?CIAには愛想が尽きた?」

 

ウィーラー「まぁ、確かに今回の事で信頼は揺らいだが、それでも残る事にするよ。国に必要じゃない訳じゃないし、正しい事を志す者達で立て直さないと。君達のような組織にできるようにね」

 

アイオワ「立派な考えね」

 

木曾「もし それでも嫌になったら、オリーブ財団に来るといい」

 

ウィーラー「ほんとに?」

 

呉「えぇ、あんたみたいな いい男は大歓迎よ」

 

ウィーラー「もし そんな時が来たら、声を掛けるよ」

 

呉「待ってる」

 

ウィーラーとの話も程々に、伊勢達はオリーブ財団へと戻った。

 

 

・・・・・・

 

*ワシントンD.C. 街 11月19日 12:34*

 

翌日、夕張とステフ、呉提督は街にある広場に来ていた。視線の先には副大統領が演説していた。

 

呉「よく副大統領の協力が得られたわね。ステフ嫌われてたんでしょ?」

 

ステフ「アメリカ海軍を緊急出動させてもらう見返りに、次の大統領になる方法を教えてあげたのよ」

 

ステフの入れ知恵もあり、副大統領はCIAに問題があった事と、大統領ではなく自らCIAの内部調査の指揮を執る事を国民に発表した。自国に蔓延る悪は許さないと熱く語りながら。つまり、ステフがCIA本部長に言ったのは そうなるだろうという未来予測ではなく、そうなるように端からステフが仕向けるつもりの話だった。

副大統領は不正を隠すのではなく、自ら不正を摘発する人だと国民は思い込み、次の大統領選では多くの票が集まる事だろう。

 

夕張「でも良かったの?あの人ウィーラー隊長と違って、素で正義のために動くタイプじゃないよね?」

 

ステフ「問題があったら、大統領の椅子から引き摺り下ろして別の人を座らせるだけよ」

 

ステフはサングラスを掛けながら そう言うと、オリーブ財団に戻るため車に向かうが、夕張と呉提督は互いの顔を見合って固まった。

ステフが ああ言ったのは、それはステフの意思1つで国のトップを変えられるという意味である。それが可能だから、ステフは簡単に大統領になる方法を教えたのかもしれない。

 

ステフ「何してるの、置いていくわよ?!」

 

「「す、すぐ行きます!」」

 

 

・・・・・・

 

*オリーブ財団 艦娘寮 20:30*

 

『きゃあああああっ!!』

 

夜、艦娘寮で仮装した暁型とフレッチャー級の悲鳴が上がった。

今晩はハロウィンパーティーが決行され、仮装した艦娘達が順番で艦娘寮に お菓子を貰いに来ているのだが、タダでは渡さん。

天龍、夕張、呉提督、健、刹那が、『オズの魔法使い』をテーマに仮装しており、天龍が『臆病なライオン』、夕張が『オズの大魔法使い』、呉提督が『ブリキの木こり』、健は男だが『ドロシー』、刹那が『西の悪い魔女』となり、来る奴を片っ端から驚かしている。

因みに、天龍達5人は全員ゾンビメイクをしており、いきなり出てきたらビビるぐらいにはヤバい顔をしている。駆逐艦が相手なら楽勝である。

暁型とフレッチャー級は慌てて艦娘寮から逃げ出そうとしたが、天龍に呼び止められた。

 

天龍「待て待て、お菓子 忘れてるぞ。しっかり持っていけ」

 

雷「こんなにくれるの!?」

 

呉「いいわよ、じゃんじゃん持っていきなさい」

 

響「ハラショー」

 

夕張「ハロウィン楽しんで」

 

ジョンストン「バイバーイ!」

 

大量に お菓子を貰え、暁型とフレッチャー級は ご機嫌で艦娘寮から出ていった。

 

刹那「ねぇ、次が来たみたい」

 

刹那がカーテンの隙間から外を見てると、次の獲物となる人影が近付いてくるのが見えた。

天龍達は慌てて隠れてスタンバイし、息を潜めながら入ってくるのを待つ。

扉が開いた瞬間、先陣を切った天龍が飛び出す。

 

天龍「ガウガウガウガウ!!・・・・・・ガウ・・・」

 

だが天龍のテンションは一気に下がった。眼前に無表情・無反応のステフの顔があり、その後ろにはダンテ、ネロ、バージルも居た。

 

天龍「おい何だよ!少しは驚けよ!」

 

何があったのか察したのか、隠れていた他の4人もテンション低めにゾロゾロと出てくる。

 

呉「ちょっとステフ、それはないわよ。少しは驚いてくれないと、こんな格好してる甲斐ないじゃない」

 

ステフ「ゾンビメイクしたブリキとライオンじゃあ、私は驚かないわ」

 

夕張「それより、4人揃って どうしたの?」

 

ステフ「足りないと思って、追加の お菓子 持ってきたのよ」

 

ネロ「皆の仮装、似合ってるぞ」

 

刹那「バージル、どう?西の悪い魔女だよ」

 

バージル「・・・・・・子供を泣かす程度には悪そうだな」

 

刹那「・・・何かムカつく」

 

夕張「衣装 余ってるから、提督達も手伝ってよ」

 

ダンテ「俺はパスだ」

 

夕張「折角 来たんだから手伝ってよ!」

 

健「ねぇ、そんなこと言ってる間に 次 来たよ!」

 

呉「隠れろ!」

 

今度は健がカーテンの隙間から外を見てると、また次の人影が近付いてきていたため、ダンテ達は お菓子を置きに奥へ行き、天龍達は驚かすために また隠れてスタンバイする。

 

天龍「へへっ・・・へへへへへっ・・・」

 

次は ちゃんと驚いてくれそうな相手が来る予感がして、隠れて待っている天龍は嬉しそうに笑いテンションが上がっていた。

こうして、今年のハロウィンパーティーは滞りなく行われたのであった。




次回も宜しく お願い致します!
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