347話です!どうぞ!
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム 12月3日 10:21*
南極から戻り、足柄と睦月型は緊急で入渠ドックに入れられ、ダンテとアーロンは、騒ぎを聞いた鳳翔と妙高、ステフに呼び出され怒られていた。
鳳翔「あなた達は何を考えてるんですか?!」
ダンテ「いや、俺だって あそこまで予定が狂うとは思わなくて━━」
鳳翔「言い訳しないでください!」
鳳翔に一喝され、ダンテは口を噤んで彼女を見る。
鳳翔「どうにか財団まで戻ってこれたから良かったものを。危険な場所に行くと分かっていながら、それを あの娘達に伝えもせず連れていくなんて・・・!」
ダンテ「いや、だからな?俺は来るなって言ったのに あいつらが━━」
鳳翔「知ってるのと知らないのとでは、その後の対処も変わります!知っていれば悪魔に備える事もできて、捕まる事もなかったかもしれないでしょ!」
ダンテ「だから それは━━」
妙高「デートの話は どうなったんですか?」
痛い所を突かれ、ダンテは また押し黙ってしまった。
それでも妙高の追求は止まらない。
妙高「足柄にデートに行こうと行って、どうして足柄が衰弱して戻ってくるんですか?これが あなたの言う“デート”なんですか?」
ダンテ「いや、そうじゃないが・・・」
ステフ「監査も どういうつもり?私に断りもなく勝手に うちの諜報員を連れ出して」
アーロン「私の諜報員でもある」
ステフ「財団の職員の事は私に一任されてるはずよ。なのに私に黙って こんな事するわけ?」
アーロンから すぐに返事が返ってこず、彼も沈黙して このまま黙殺するつもりかと思われたが、次の瞬間、凄い勢いで隣に居るダンテに指を指した。
アーロン「ダンテ君が勝手に連れてきた」
ダンテ「おい!」
アーロンも事前に話していなかった事もあり、罪の重さはダンテと同じである。それなのに、まさか全部 自分のせいにされるとは思わず、これにはダンテも声を荒げてしまう。
ステフ「そんな言い訳が通じるとでも?」
アーロン「パ、パニックだ!ダンテ君が艦娘を連れてきた事でパニックを起こしたんだ!」
アーロンは喚きながら徐々に出口の方へ移動していくと、そのまま扉を開けて逃げた。
ステフ「待ちなさい!」
ダンテ「テメェ、自分だけ逃げんな!」
それをステフが追い、ダンテは その場に鳳翔と妙高と3人で残され、孤立してしまう。鳳翔と妙高の射抜くような視線に、冷や汗が止まらない。
ただ、言い訳も許されない状況に、ダンテは この場で2人を納得させられる言葉がないため、何も言えなかった。
妙高「提督、あなたには失望しました。2度と足柄に近付かないでください」
妙高は今までに見せた事のない冷たい言葉を言い放ち、ブリーフィングルームから出ていった。
鳳翔「・・・提督?」
ダンテ「分かってる。ちゃんと謝るさ」
鳳翔「謝るだけでは駄目です」
ダンテ「それも分かってる。ちゃんと誠意を見せろってんだろ?」
鳳翔「当然です。それと、家族に秘密にして危険な目に遭わせた罪は重いですよ」
ダンテ「おい、少しは俺の話も聞いてくれよ。そもそも
鳳翔「勿論、この後 金剛さん達にも お説教はします。提督は罰として、1週間トイレ掃除をやってください」
ダンテ「・・・何で俺がトイレ掃除なんか━━」
鳳翔「本当なら軍法会議に突き出すか、私の手で あなたを絞め殺してやりたいぐらいなんです!トイレ掃除で済むだけ有り難いと思ってください」
ダンテ「・・・・・・わ、分かった・・・」
鳳翔を怒らせ、説教されるのは度々あったが、ここまで彼女が怒るというか、殺意を向けられたのは始めてだったため、ダンテは その気迫に何も言い返せなくなり、渋々トイレ掃除の罰を受ける事になった。
・・・・・・
ネロ「う~、冷えるね~。トイレ トイレっと」
ネロは小走りに通路を走り、トイレに入る。
奥まで行くと、ネロは そこでの光景に固まった。ダンテが黙々と便器を磨いていた。
ネロ「・・・・・・ダンテ・・・何やってるんだ?」
ダンテ「見て分かんねぇのかよ、トイレ掃除だ」
ネロ「いや、だから、何でトイレ掃除?ここ清掃会社と契約してたろ?」
ダンテ「鳳翔と妙高 怒らせちまったんだよ。何が悲しくて俺がトイレ掃除なんざ・・・」
ダンテはブツブツと愚痴を溢しながらもトイレ掃除を続け、ネロは全ての事情を理解すると大笑いした。
ネロ「アンタも相変わらずだよな。提督なのに どっちが上の立場か分かんねぇし。ちゃんと謝っとけよ」
ダンテ「うるせぇ、分かってんだよ」
ネロ「おっと、トイレ トイレ」
ネロはトイレに来た目的を思い出し、便器の前に立つ。ネロの その行動を見て、ダンテは信じられないと言わんばかりの驚愕した顔になる。
ダンテ「あ゛ーーっ!!お前 何やってんだ?!」
ネロ「何って、トイレだけど?」
ダンテ「ふざけんな お前!掃除した矢先から汚してんじゃねぇよ!」
ネロ「何がだよ?!トイレしたいんだから しょうがねぇだろ!」
ダンテ「ふざけんな!今すぐやめろ!」
ネロ「ちょっ、危ないって!マジで洒落になんねぇから!」
掃除して綺麗にしたばかりの便器を即座に使われ、ダンテは ここまで掃除した努力を無駄にされたような気持ちだった。
何としてでも綺麗な状態を保ちたいダンテは、ネロに掴み掛かり便器から引き離そうとするが、ネロも今更 止められないので必死に抵抗する。
ダンテの妨害を どうにか切り抜けたネロは手を洗ってから、そのままダンテと殴り合いの喧嘩を始めてしまう。
個室の仕切りなど完全に破壊され、見事にワンルーム化してしまった。
それで2人が また鳳翔に怒られるのは、別の話。
・・・・・・
ダンテ「ったく、ネロの野郎・・・俺の努力をムダにしやがって」
ネロとの喧嘩とトイレ掃除を終わらせたダンテは適当に掃除道具を片付けて、愚痴を溢しながら通路を歩いていた。
すると前方から、鹿島が歩いてきた。
“もし私が・・・遠くに行ってしまったら、提督さんは どうしますか?”
“私が手の届かない所に行ってしまったら、提督さんは どう思いますか?”
“私は・・・提督さんや皆さんと、ずっと一緒には居られないんです”
鹿島の妙な態度を思い出し、ダンテは立ち止まった。
鹿島も立ち止まるとダンテに敬礼し、また歩き出し横を通り過ぎていく。
やはり気になるダンテは そのままにできず、鹿島を呼び止めた。
ダンテ「鹿島、あの時お前が言ってた意味は━━」
鹿島「すみません、あの時は どうかしてたんです。もう大丈夫ですから忘れてください」
ダンテの言葉を遮った鹿島は、ニッコリ微笑み いつも通りの様子だった。
改めて敬礼すると、鹿島は その場から立ち去った。
ダンテ「・・・・・・変な奴だな」
ダンテは少しの間 鹿島の背中を見ていたが、彼女の性格なら これ以上 問い詰めても話してくれないだろうと思い、食堂へと向かった。
鹿島は通路の角を曲がり、普段 誰も近寄らない非常階段の出入り口付近まで行くと、壁に凭れ掛かりながら床に座り込み、立てた膝に顔を埋めて泣いた。
鹿島「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・私は道具、感情を捨てなきゃ・・・!」
*深海運河海域 哨戒線*
その頃バージルは、共に出撃した3艦隊を率いて深海運河海域に来ていた。
アマ・デトワール号は まだ調整が必要であるため、バージルはネロの艤装を使い、艦娘達も自分の艤装で航行している。
先の偵察作戦が成功し、これより戦略特殊攻撃、深海運河攻撃作戦を実施する。
今回の艦隊の編成は、第4艦隊 旗艦に装甲空母 翔鶴、随伴艦に瑞鶴、アークロイヤル、ヴィクトリアス、戦艦ウォースパイト、ネルソン。
第5艦隊 旗艦に戦艦カブール、随伴艦にイタリア、重巡ザラ、ポーラ、軽巡 鬼怒、阿武隈。
第6艦隊 旗艦に軽巡 由良、随伴艦に矢矧、酒勾、雷巡 北上、大井、木曾となっている。
ウォースパイト「バージル、一緒に戦うのは久し振りね」
ウォースパイトが、シャングリラで共に戦った事を懐かしんで そう言ったが、バージルは興味がないのか無視。
それに機嫌を悪くしたウォースパイトは、頬を膨らませてバージルを睨んだ。
青と赤の海の境界が近付き、翔鶴が口を開く。
翔鶴「羅針盤を回します」
バージル「一々 報告しなくていい。さっさとやれ」
自分には言葉を返さず翔鶴には言葉を返した事で、ウォースパイトは更に機嫌が悪くなり、頬を膨らませたまま主砲の照準をバージルに向ける。それを見て、ネルソンが慌てて阻止する。
後ろで艤装をガチャガチャと鳴らして隊列を崩すウォースパイトとネルソンに、瑞鶴は呆れたような、不機嫌そうな様子で振り返る。
瑞鶴「ちょっと、隊列 乱さないでよね」
瑞鶴に注意されると、ウォースパイトは彼女を見詰め、少しすると馬鹿にしたように鼻で笑った。
それに機嫌を悪くした瑞鶴まで、隊列を乱してしまう。
瑞鶴「あ、あんた・・・今どこ見て笑ったのよ?!」
ヴィクトリアス「ちょっと、皆で隊列 乱して どうするのよ!?翔鶴、あなたから注意しなさいよ!」
翔鶴「バージルさん、南南東です」
バージル「行くぞ」
ヴィクトリアス「現実から目を逸らさないで!後ろ見て!」
アークロイヤル「・・・・・・・・・」
隊列を崩す前方の瑞鶴と、後方のウォースパイトとネルソンに挟まれ、アークロイヤルとヴィクトリアスも上手く隊列を組めなくなる。
それを見ていた第5、第6艦隊は隠す事もなく呆れていた。
北上「第4艦隊の編成メンバー、相性 悪くない?」
大井「私と北上さんの足を引っ張らないか心配ですね」
ポーラ「今回の編成は どうやって決めたんですかね~?」
由良「あみだくじで決めたそうよ」
鬼怒「あみだくじ!?適当じゃん!」
矢矧「加賀さんは どうしたの?そんなの許すとは思えないけど」
由良「加賀さん、提督さんとバージルさんとネロのせいで いつも代わりに始末書 書いたりして、もう疲れちゃったんだって。だから あみだくじ」
酒勾「だからって艦隊編成あみだくじで決めるとか、もう普通に末期だよ・・・」
大井「でも あみだくじでも一緒になるなんて、やっぱり私と北上さんは運命の糸で繋がってるんですね!」
北上「え?うん、そうだね」
大井「あはー♪///////」
大井の言葉を肯定しているように聞こえるが、北上は よく分からず返事してるので適当である。
そうとも知らずに喜ぶ大井は、果たして幸せなのだろうか?
それとも不幸なのだろうか?
由良「次は皆の名前を書いたサイコロで決めるって」
木曾「そのサイコロ作る方が疲れないか?所属する艦娘 何人 居ると思ってるんだ?」
由良「私に言われても困るけど」
鬼怒「いや そんな適当に決められたんじゃ、いつか鬼怒達 沈むって!作戦も何もないじゃん!」
阿武隈「帰ったら加賀さんに休んでもらわなきゃ・・・」
バージル「おい、騒ぐのは後にしろ」
瑞鶴「何よ?」
バージル「渦潮だ」
『・・・・・・わぁーーー!?』
艦娘達が気付いた時には、既に大きな口を開いた渦潮に近寄り過ぎていた。
驚きの悲鳴を上げた艦娘達は急激に進路を変え、渦潮を躱そうと最大船速で離脱を試みる。
瑞鶴「何で もっと早く言ってくれないのよ?!・・・って、バージル居なくなってるし!」
艦娘達が空を見上げると、真魔人化したバージルが飛んでおり、渦潮の上を通り過ぎて難なくスルー。
それを見て艦娘達は、驚愕したり憤怒する。自分だけズルいと。
そして渦潮に巻き込まれながらも、流れに逆らい脱出した艦娘達は無駄に燃料を消費し、一部の弾薬を落として失った。
その後 艦娘達は、前方不注意で渦潮に巻き込まれた反省から静かになり、南東へと航路を取って進んだ。
・・・・・・
完全に赤い海へと突入してから、先に向かわせた偵察機から応援要請の入電が入った。
どうやら深海棲艦が放った艦載機と会敵して、交戦状態になったようだ。
翔鶴は緊急性があると判断し、随伴艦である空母に艦載機 発艦準備を命じる。
そして・・・
翔鶴「五航戦 翔鶴、攻撃隊 発艦します」
瑞鶴「五航戦 瑞鶴、攻撃隊 発艦!」
アークロイヤル「アークロイヤル攻撃隊!発艦、始めなさい!」
ヴィクトリアス「行きなさい!」
4人の装甲空母から攻撃隊が発艦し、既に交戦状態となっている空域へと向かい小さくなっていく。
バージル「近くに艦載機を飛ばしてる奴が居るはずだ。場所は分かるか?」
翔鶴「いえ、まだ そこまでは・・・」
アークロイヤル「別で偵察機を出す」
アークロイヤルが偵察機を発艦し、偵察機は交戦状態の空域を避けて敵艦隊を探す。
しばらくして、偵察機からアークロイヤルに入電があった。
アークロイヤル「敵航空戦、運河哨戒航空団 第1波を発見。編成は空母ヲ級flagship2、軽母ヌ級flagship1、軽巡ツ級elite1、駆逐二級 後期型2」
翔鶴「バージルさん」
バージル「ブンブンと頭の上を飛び回られても不愉快だ。先に空母を叩く」
翔鶴「分かりました。第4艦隊 随伴艦と、第5、第6艦隊に通達!本艦隊は これより、敵航空部隊の殲滅に向かいます!」
『了解!』
バージルと艦娘達は最大船速で、偵察機が発見した敵艦隊が居る座標へと向かう。
・・・・・・
海の上を駆け、水上に6つの黒い影を その目に確認する。
アークロイヤル「敵艦隊を目視で確認」
翔鶴「艦載機 発艦!」
第4艦隊から艦載機が発艦するが、敵も こちらの姿を視認しており、ほぼ同じタイミングで敵艦載機が空へと舞い上がる。
両陣営の艦載機は すぐに戦闘に突入し、バージル達の頭上でドッグファイトを繰り広げていく。
敵艦隊から砲雷撃が始まり、バージルと艦娘達は、墜落してくる艦載機と砲弾、魚雷を躱して敵艦隊に向かっていく。
カブール「いい?アンタ達、シメていくわ!砲撃戦、用意。さぁ、やるわよ!」
鬼怒「臨機応変に、行くよ!」
由良「第6艦隊、砲雷撃戦、始めます」
北上「それじゃ、さっさとやっちゃいますか~」
艦娘達からも砲雷撃が始まり、砲弾と魚雷が幾つも発射され敵艦隊に襲い掛かる。
頭上の艦載機が敵艦載機を抑え、水上にて砲雷撃の応酬を繰り返し、一進一退の攻防が続く。
そんな状況の中で、瑞鶴は敵艦隊の隙を見逃さなかった。
瑞鶴「そこだ!全機 爆装!発艦 急いで!」
更に飛び立つ爆撃機が敵艦隊に迫るが、爆弾を落とす前に空母ヲ級flagship2隻の首が落ちた。
瑞鶴「・・・・・・え゛?」
突然の事態に瑞鶴は顔を引き攣らせ固まり、爆撃機は爆撃を中止して急上昇し、敵艦隊から離脱する。
瑞鶴が怪訝な顔でバージルを見ると、彼は丁度 閻魔刀を鞘に納めるところだった。
バージル「また つまらぬものを斬ってしまった」
瑞鶴「いや人の見せ場 横取りしてんじゃないわよ!私のアウトレンジがぁあーーー!!!」
バージル「・・・また斬り過ぎてしまったようだ」
『え・・・?』
バージルの次に呟いた言葉に、今度は瑞鶴だけでなく艦娘全員が固まった。
残っていた空母ヲ級flagshipの身体が遅れてバラバラになり、他の敵艦も同じくバラバラになって海に沈んだ。
北上「(これ、私ら要らなくね?)」
阿武隈「(もうバージルさんだけで海 取り戻してほしい・・・)」
バージルとの力の差を見せ付けられ、艦娘達は自分の存在意義を見失いそうになる。
それでも、瑞鶴だけは怒っていた。
瑞鶴「だーかーらー!何で あんたは いつも そうやって1人で突っ走るのよ?!」
バージル「まだ終わってないぞ」
瑞鶴「へ?」
瑞鶴が気の抜けた声を出すと、バージルが頭上に向かって指を指す。それに釣られて空を見上げると、複数の敵艦載機が爆撃しようと急降下してくる途中だった。
そう、まだ終わった訳ではない。敵艦隊は秒で排除したが、敵艦載機は まだ上空をブンブン飛び回ってるのだ。
瑞鶴「いぃっ・・・!?」
ウォースパイト「さ、三式弾!」
瑞鶴が焦り動けないでいると、ウォースパイトが咄嗟に三式弾を発射する。バージルと瑞鶴に迫っていた敵艦載機は、連鎖的な爆発に巻き込まれて墜落した。
バージル「残りは お前らに任せる」
戦場のド真ん中であるにも拘わらず、バージルは腕を組み目を瞑り、瞑想に入ってしまった。
瑞鶴「あーもうっ!自分勝手なんだから~!」
瑞鶴は泣きながら文句を言い、他の皆と協力して残ってる敵艦載機の対処に向かった。
瑞鶴が怒ったり泣いたりしてまで敵を倒すのに拘っているのは、今回の出撃でMVPを獲れば、ボーナスが支給される事が決まってるからだ。
それをバージルに邪魔されてる形であるため、怒るのも無理はなかった。
瑞鶴「アウトレンジで決めてやるんだから~!!」
翔鶴「瑞鶴、艦載機 消費し過ぎよ」
鬼怒「アレもう駄目だね・・・」
・・・・・・
敵艦載機を殲滅してから、バージルと艦娘達は更に南東へと進み、そこで運河哨戒航空団 第2波と戦闘になった。
敵艦隊の編成は空母ヲ級flagship2隻、軽母ヌ級flagship、軽巡ツ級elite、駆逐二級 後期型2隻となっている。
頭上からは敵艦載機の攻撃や、両陣営の艦載機が炎を上げながら墜落し、水上では砲雷撃の応酬を激しく繰り返す中、鬼怒は どうしても言いたい事があった。
鬼怒「戦艦と空母 編成されてて良かったね!あみだくじで決めたのに!」
阿武隈「それ今 言ってる場合じゃないから!」
敵艦載機に対抗して艦載機が使える空母と、対空手段の三式弾が撃てる戦艦や重巡が居なければ厳しかったかもしれない。
居ても かなり激しい戦闘状況であるため、居なかった時の事を考えるとゾッとする。
そんな状況であるというのに、今回バージルは一切 手を出す事なく傍観者に徹していた。
北上「バージル!手伝ってくれてもいいんだよ!?」
バージル「瑞鶴が文句を言うから黙って見ててやる」
木曾「何で こんな時だけ言うこと聞くんだ!?いいから手伝ってくれ!」
瑞鶴「私がアウトレンジで決めてやるから手伝わなくていい!!」
バージル「・・・だそうだ」
翔鶴「瑞鶴?バージルさんにも手伝ってもらわないと、ここまで来てもらった意味ないわよ?」
瑞鶴「ダメッ!!MVPは私が貰うの!!」
MVPを得るために瑞鶴は必死だが、彼女にとって残酷な真実をウォースパイトの口から告げられる事になった。
バージルは手を出していないように見えたが、実は幻影剣を飛ばして地味に敵艦隊にダメージを与えていた。
そして今の調子では、どれだけ巻き返そうとMVPはバージルに決まると。
それを聞いた瑞鶴は、呆気なく手の平を返した。
瑞鶴「じゃあ もういいや。私もう頑張らない。こんな出来レースやってられないわ。バージル、やっちゃっていいよ」
バージル「火の粉くらいは自分で払え」
バージルは溜め息を吐きながらも閻魔刀を鞘から抜き、鋭い眼孔で敵艦隊を見ると、一気に突撃していく。
バージルの手助けもあり、赤い海の影響を受けながらも艦娘達が優勢になっていくのだった。
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム*
逃げたアーロンを取り逃がしたステフはブリーフィングルームに戻り、報告書を見直していた。それは鹿島からの報告書で、鈴谷とメキシコに行った時の事が細かく記されていた。
報告書は1ヶ月以上も前に出された物で話も終わっているのだが、それでもステフは今でも、その報告書に時々 目を通していた。
敵に捕まったのは褒められる事ではないが、鈴谷と共に捕まった状況や、鈴谷と引き離された鹿島が1人で脱出した状況も記されているのだが、どの部分も辻褄が合っており、内容に おかしな点や不備などはない。
だが それが逆に、長年の経験からステフに違和感を感じさせていた。完璧過ぎるのだ。まるで上手い具合に出来過ぎた作り話のように。
報告書を見ながらウロウロしていたステフは、横目でブリーフィングルームの前を誰かが通るのが見えた。顔を上げて見てみると、鹿島が姉の香取と談笑しながら歩き去っていくのが見えた。
鹿島の姿が見えなくなるまで見ていたが、彼女の姿が見えなくなると、ステフは日本海軍の元帥に回線を繋いだ。すると巨大スクリーンに、元帥の顔が映る。
元帥『どうした?何か問題が?』
ステフ「Devil May Cry鎮守府所属の鹿島のデータを全て送って」
元帥『はぁ?Devil May Cry鎮守府が そちらに行く前に、艦娘のデータは送っただろ』
ステフ「鹿島は大本営で建造されたのよね?」
元帥『そうだが、それが どうした?』
ステフ「建造されてからのこと全てのデータを送って」
元帥『それはいいが、纏めるのに時間が掛かるぞ』
ステフ「できるだけ急いで」
ステフは元帥との通信を切るが、ブリーフィングルームの外でステフから見えないように、鹿島が盗み聞きしていた。
鹿島は静かに、ブリーフィングルームから離れるのだった。
最後は妙な話になってしまいましたね。
数話したら、325話の最後に出てきた鈴谷の謎や、内通者について どんどん明るみに出てくる事になりますので、楽しみにしていただけたらと思います。
次回も宜しく お願い致します!