今回は後半辺りから、皆さんを混乱させていこうと思います。
真実は どこにあるのか、考察などして楽しんでいただけたらと思います。
349話です!どうぞ!
深海運河海域 哨戒線へと出撃したバージルと第4、第5、第6艦隊だったが、事前の偵察では確認できなかった敵の航空戦力で危機に陥る。
ダンテ、ネロ、加賀、二航戦、伊勢型、大和、天龍、夕張、ニコは、調整の終わってないアマ・デトワール号に乗り救援に向かうのだった。
*深海運河海域 哨戒線 12月4日 8:14*
空を埋め尽くす程の敵艦載機の波状攻撃を受けながら、バージルは真デビルトリガーとドッペルゲンガーを発動し、分身と共に敵艦載機を破壊し、自らを盾にして艦娘達を護っていた。
3艦隊はバージルに護られながら一塊になり、何もできず身動きできなくなっていた。
ウォースパイト「バージル、もういい・・・もういいから!このままじゃ あなたまで死んじゃう!」
バージル『黙っていろ・・・!』
艦娘達を護らず敵を屠る事だけに集中できれば、真魔人バージルにも敵を殲滅する算段はある。だが今の真魔人バージルに、艦娘達を放っておく選択肢はなかった。
敵艦載機の攻撃だけでなく、敵艦隊からも砲雷撃が来る。
軽巡棲鬼『ソノ テイドカ・・・?』
真魔人バージルは攻撃を受け続けながらも幻影剣を飛ばし、閻魔刀とミラージュエッジからも斬撃を飛ばし敵艦載機を破壊する。それでも敵艦載機の数は減る処か、増えている。
瑞鶴「翔鶴姉・・・」
翔鶴「瑞鶴・・・」
大井「北上さん・・・」
北上「うん・・・」
艦娘達は涙を流しながら手を握り合い、轟沈する覚悟を決める。
手を離すと、兵装を互いに向け合った。
艦娘達は理解していた。轟沈寸前の大破の自分達が居るから、自分達を護ってるせいで真魔人バージルが身動きできなくなっていると。
艦娘は自分で自分を破壊できない。だから艦娘達は、互いに処分し合って沈もうとしていた。
自分達が居なくなれば、真魔人バージルを自由にできる。彼だけなら、この状況を切り抜けられるから。
雷撃できない空母から処分するため、軽巡の艦娘が翔鶴型、アークロイヤル、ヴィクトリアスに向かって雷撃体勢になるが・・・
バージル『諦めるな』
背中越しで艦娘達の不穏な動きを察知していた真魔人バージルの声で、それは撃たれる事なく止まった。
バージル『俺は こんな所で死ねん。ダンテとネロに勝つまでは・・・!お前達にも譲れないものがあるはずだ。だから諦めるな』
由良「バージルさん・・・」
真魔人バージルが力任せに大技を出そうとしたが、敵艦載機が飛び回る空で連続の爆発が発生した。それは三式弾と、大量の小型ミサイルによる爆発だった。
直後、1本の極太のレーザーが敵艦載機を破壊していく。
真魔人バージルと3艦隊がレーザーが来た方向を見ると、アマ・デトワール号が猛スピードで接近してきていた。
その甲板では伊勢型と大和の砲口から煙が上がっており、ダンテがカリーナ=アンⅡを持っていた。
そしてネロの右腕に装着されていたデビルブレイカー・ガーベラが壊れて砕け散ると、それを見てニコが激怒していた。
ニコ「お前はー!いきなり大技かまして壊すんじゃねぇよ!」
ネロ「だったら壊れないの造れよ!」
ニコ「私のデビルブレイカーは芸術だ!芸術は繊細なんだ!私と同じでなぁ!!だから壊さず使えよ!」
ネロ「・・・・・・繊細・・・?お前の どこに繊細さがあるんだよ!?煙草で肺 苛めてる奴に繊細さなんてある訳ないだろ!冗談は頭の中だけにしとけ!」
ニコ「はぁー!?どう見ても繊細だろ!お前の眼は節穴か!」
ネロ「繊細ってのはキリエの事を言うんだ!お前じゃない!」
ニコ「キリエであるのは認めよう。だが彼女は繊細なんてもんじゃない。女神だ」
ネロ「お前 何なんだよ・・・」
大声で喧嘩漫才してる声は真魔人バージル達にも聞こえており、3艦隊の艦娘達はアマ・デトワール号を見ながら苦笑いしていた。
酒匂「はは・・・ほんとに間に合うなんて・・・」
鬼怒「ニコまで来ちゃってるし」
ダンテ「よし お前ら、バージルに恩を売りまくるぞ!」
ダンテが そう言って海に飛び出すと、それに続いてネロ、加賀、二航戦、伊勢型、大和、天龍、夕張も海に飛び出す。
ダンテ達は空で蠢く敵艦載機を破壊しながら移動し、真魔人バージル達の方へ向かう。
すぐに合流すると、ダンテは真魔人化を解除したバージルにデビルスターを使う。
ダンテ「おい、お前にしては苦労してるな。貸し1つだ」
バージル「お前の艦娘を護ってやったんだ。これでチャラだ」
ダンテ「へいへい、そうかよ」
ダンテとバージルは共に真魔人化すると、飛翔して敵艦載機群の撃滅に向かう。
2体の真魔人の攻撃により、空では無数の爆発が起きる。
海上では、無表情の加賀が翔鶴型の2人に近付いて、目線を合わせるため しゃがんだ。
加賀「・・・翔鶴、瑞鶴」
名前を呼ばれ、怒られると思った翔鶴は俯き、瑞鶴は加賀から顔を逸らした。
翔鶴「加賀先輩、すみませんでした・・・」
瑞鶴「何よ、どうせ また五航戦は~とか言って怒るんでしょ?」
次の瞬間、2人は加賀に抱き締められていた。
翔鶴「か、加賀先輩・・・?」
瑞鶴「な、何・・・!?///////」
加賀「・・・・・・あなた達が、轟沈してなくて良かった・・・」
加賀には1つの後悔があった。
嘗て艦艇だった頃の大戦で、南雲機動部隊だった一航戦と二航戦は沈んだ。その後の事は何も分からなかった。
そして艦娘となってから、その後の事を調べた。自分達が沈んでから、翔鶴型が後を引き継ぎ辛く重い責任を負わされ、戦い続ける事となった。
自分さえ沈まなければ、後輩である翔鶴型に辛い想いをさせなかったのではないかと思う日もあった。
だが現実は非情だった。自分が艦娘として生まれたように、翔鶴型も艦娘になっていた。
艦娘である限り、深海棲艦と戦わなければならない運命を課せられる。その戦いの中で、また沈むかもしれない。
加賀は思った。戦う事が避けられないのなら、せめて この2人が沈まないよう強くしようと。何者にも負けず、必ず戻ってこれる艦娘にしようと。
だから加賀は、五航戦を厳しく指導した。沈んでほしくないという想いが、五航戦に対する加賀の態度を厳しくさせていたのだ。
翔鶴「加賀先輩・・・」
瑞鶴「うん・・・」
翔鶴型は驚いていたが、加賀の素直な言葉を噛み締め、涙を流しながら抱き締め返した。
天龍「なぁ、感動のシーン邪魔して悪いんだけどさ。大破艦 逃がさないとマズくないか?」
伊勢「ていうか こっち来てる!」
日向「迎撃するぞ!」
大和「援護します。翔鶴さん達はアマ・デトワール号に急いでください」
3艦隊を護衛しながら第1艦隊と天龍、夕張は対空攻撃で迫る敵艦載機に攻撃しながらアマ・デトワール号へと急ぐ。
逆にネロは、デビルブリンガーの翼を広げて飛翔すると、艦娘達に迫る敵艦載機へと突撃していく。空中でレッドクイーンを豪快に振り、1機、また1機と破壊する。
2体の真魔人とネロだけで、奪われた制空権を押し戻し拮抗させる。
*甲板*
伊勢「とりあえず皆はアマ・デトワール号で待機してて!」
大和「提督達の支援に戻りましょう!」
加賀「ニコ、皆を お願いね」
ニコ「お願いって言われても・・・おい!どうしたらいいんだよ!?」
3艦隊をアマ・デトワール号に乗せた第1艦隊は、即座に海に戻り真魔人達に加勢する。
紅い魔力の剣を身に纏わせ、錐揉み回転突進する『真スティンガー』で敵艦載機を軒並み破壊した真魔人ダンテは、空中で体勢を整え滞空しながら周囲を見渡す。
ダンテ『この数 普通じゃねぇな。どこから湧いてくるんだ?』
真魔人ダンテが疑問に思っていると、真魔人バージルに呼ばれる。見ると、真魔人バージルは近くに見えるパナマとコスタリカの国境の海沿いを指差していた。
バージル『おい、あれは何だ?』
その場所を見てみると、物々しい巨大なカタパルトらしき建造物があった。
しかも そこから、敵艦載機が今も続々と離陸し続けている。
ダンテ『あれのせいか。ネロ!敵の本拠地 潰すぞ!』
ネロ「本拠地?けど加賀達が!」
ダンテ『じゃあ お前は深海棲艦の相手してろ!加賀達には しばらく身を守らせとけ!バージル行くぞ!』
2体の真魔人は最低限の敵艦載機を破壊しながら飛行し、残りは無視して陸を目指す。
ネロは加賀達に、ダンテからの指示を伝えるため着水する。
ネロ「何が何だか分からないってやつだな。加賀!深海棲艦は俺が倒す!皆は回避と迎撃に専念してくれ!」
加賀「言うのは簡単だけど、そう簡単じゃない!」
天龍「つーか さっきからやってるっての!」
夕張「迎撃も追っ付かないし、何のよ もー!!」
ネロに言われずとも敵艦載機の数が多く、加賀達は回避と迎撃だけで既に手一杯な状態だった。反撃に転ずる余裕すらない。
一先ず加賀達は今のままでいいとして、あとはネロが敵艦隊を抑えて倒せばいい。
ネロは加賀達から敵艦隊の方へと振り返る。
ネロ「ニタニタ笑ってんじゃねぇよ!」
軽巡棲鬼『ニドト フジョウデキナイ・・・シンカイヘ・・・・・・シズメッ!』
ネロはレッドクイーンを手に海を滑りながら敵艦隊に突撃し、敵艦隊もネロを迎撃するために総攻撃を仕掛ける。
*甲板*
戦場から離れた場所で、アマ・デトワール号の甲板から3艦隊とニコが戦闘を見守っていたが、第1艦隊が撃ち漏らした敵艦載機が ここを狙って数機 飛来する。
3艦隊でも抑えられなかった数だ。第1艦隊と天龍と夕張だけで抑えられる訳がない。ここを狙われるのも当然だった。
しかし、3艦隊は轟沈寸前の損傷を受けてマトモに迎撃する事はできない。アマ・デトワール号で今この状況に対処できる者は1人も居なかった。
由良「マズい・・・!」
アマ・デトワール号が独自に迎撃に動いてくれるかと期待したが、アマ・デトワール号に迎撃する動きが見られない。
どうする事もできないと悟り、艦娘達とニコは爆撃の衝撃に備え身を屈める。
そして無情にも、接近していた敵艦載機から爆弾が投下される。
次の瞬間、アマ・デトワール号を中心に青紫色のバリアが張られ、爆撃を防いだ。
艦娘達とニコが顔を上げ、その不思議な光景に言葉も紡げず不思議そうにバリアを見上げてると、ニコが何かに気付き急いで船倉に向かう。
*船倉*
ニコ「あ゛ーーっ!!やっぱりか!」
ニコが瘴気の結晶のエネルギーを供給させる機械が置いてある場所まで行くと、その機械から異常なまでの蒸気が噴き出し、バチバチと嫌な音を鳴らしながら何度も火花を散らしていた。
しかもアマ・デトワール号は、過剰なまでに瘴気の結晶のエネルギーを取り込み続けている。
さっきの青紫色のバリアは、アマ・デトワール号が瘴気の結晶のエネルギーを利用する事で発動し、艦娘達とニコを護るために張ったものだった。
だが調整が不完全なままで発動された事で、激流のように流れるエネルギーに機械が耐えられず、最早 爆発寸前だった。
ニコ「ヤバいヤバいヤバいぞ!」
ニコは咄嗟に両手に工具を手に取り、再び突貫工事で調整に入ろうと機械に近付く。
ニコ「あっつ!あっつ!」
夕張とアーロンの手も借りられず、ニコ1人で ここまでの状態の機械を すぐに どうにかするのは厳しいものがあった。それでも爆発させる訳にもいかず、火傷するのが当たり前の熱量を持つ蒸気に晒されながらも、ニコは1人で機械の調整を行い必死に爆発を抑えようとする。
*深海運河海域 哨戒線*
巨大カタパルトに近付くと、そこから離陸してきた敵艦載機が一斉に2体の真魔人に襲い掛かる。
真魔人ダンテが無数のエネルギー光弾『ザ・ルーチェ』を発射し、真魔人バージルが『次元斬』を繰り出す。それによって敵艦載機が破壊され無数の爆発が起き、そして1つとなり巨大な炎となる。
その炎を突き抜け、2体の真魔人が巨大カタパルトに急降下する。
巨大カタパルトの上に着地すると、2体は真魔人だからこそ使える技を全て繰り出し、徹底的に破壊していく。
ネロ「どこ狙ってんだ、ノロマめ!」
海の上では、ネロが飛翔形態となったデビルブレイカー・パンチラインに乗り、敵艦隊の砲撃を躱しながら反撃していた。
敵艦隊はネロの攻撃を受け、軽巡棲鬼以外が既に大破となっていた。
トドメにブルーローズを連射し、輸送ワ級flagship2隻、空母ヲ級改flagship、駆逐二級 後期型2隻が轟沈する。
軽巡棲鬼『サセヌ・・・サセヌワ!』
随伴艦が全て倒され、この展開を予想していなかったのか軽巡棲鬼は焦っていた。
がむしゃらに砲撃するが、水上に着水したネロは全ての砲弾を躱しながら接近してくる。迫るネロを見て、軽巡棲鬼の顔が引き攣る。
ネロ「歯ぁ食い縛れ!」
パンチラインの飛行推進力を全て使って繰り出す強力なアッパー、『ブーストナックル』が軽巡棲鬼の顎にクリーンヒットして宙へと吹き飛ばす。
パンチラインは壊れて砕けるが、ネロはデビルブリンガーの腕を伸ばし軽巡棲鬼を掴んで引き寄せると、レッドクイーンで胸を貫く。『イクシード』を発動し、レッドクイーンから炎が噴き出し軽巡棲鬼の身体を抉っていく。
レッドクイーンを引き抜くと、既に装備していたデビルブレイカー・オーバーチュアで、電撃の掌底打ち『バッテリー』を繰り出し吹き飛ばす。
水平に吹き飛ぶ軽巡棲鬼を狙い、ネロはブルーローズを構える。
ネロ「終わりだ!」
『チャージショット』を撃ち、魔力を帯びた弾丸は軽巡棲鬼の額に命中する。頭部が弾け飛んだ軽巡棲鬼は轟沈した。
空を見上げると、そこには まだ敵艦載機が飛び回っていた。
ネロはデビルトリガーを発動して飛翔すると、魔人の力をフルに使い敵艦載機の殲滅を始める。
そして2体の真魔人の方は、巨大カタパルトの破壊を終わらせ真魔人化を解除していた。
ダンテ「こんなの初めて見るな」
バージル「今まで無かったのか?」
ダンテ「あぁ」
バージル「・・・少し調べてみるか」
巨大カタパルトの奥には格納庫らしき建造物もある。
ダンテとバージルは そちらの方に行ってみようとしたが、妙な気配を感じて足を止めた。頭上を見上げると、巨大な魔法陣が現れた。
そして その魔法陣に、とてつもない魔力が集まっていく。
ダンテ「マズい・・・!」
嫌な予感がしたダンテとバージルは再び真魔人となり、飛翔しながら その場から急いで離れる。
直後、巨大魔法陣から特大のエネルギー波が撃たれ、巨大カタパルトの残骸と格納庫らしき建造物が消滅し、余波に2体の真魔人も吹き飛ばされる。
ネロ『な、何だ!?ぐあああああああっ!!』
蒼龍「こ、これって いったい・・・!?」
『きゃあああああっ!!』
エネルギー波の余波は、敵艦載機諸共 魔人ネロと第1艦隊までも吹き飛ばした。
余波はアマ・デトワール号にも届き、大きな波に煽られ、3艦隊の艦娘達は必死にアマ・デトワール号に掴まり耐える。
魔人化が強制的に解除されたダンテ、ネロ、バージル、そして第1艦隊が起き上がって顔を上げると、巨大カタパルトがあった場所では大きなキノコ雲が発生していた。恐らく あの場所は もう、焦土と化して何も残っていないだろう。
ネロ「何なんだよ、クソッ・・・」
謎の攻撃によって下ろされた幕引きに、ただ呆然と空に上がるキノコ雲を見ながら悪態を吐くしかなかった。
*???*
玉座の間では、巨大魔法陣を出した張本人であるノヴァが、不敵に笑っていた。
・・・・・・
*オリーブ財団 食堂 12月8日 13:10*
間宮「お待たせしました」
ステフ「ありがとう」
翌日、ステフは食堂で注文した昼食を間宮から受けとると、空いてる席に1人で座り食事を始めた。
頭で考えてるのは鹿島の事だった。
あれから日本海軍の元帥から鹿島に関するデータを貰い徹底的に調べたが、不自然な点は1つも見られなかった。
気のせいかと思い始めてると、向かいの席に昼食を持った鹿島が座ってきた。
鹿島「ご一緒しても?」
ステフ「・・・珍しいわね、私と一緒に食べようだなんて。それとも何か別の狙いでも?」
鹿島「ふふ、狙いなんてある訳ないじゃないですか。ただ、何やらコソコソと私の事を調べてるみたいですから」
鹿島に勘付かれてる事にステフは内心 冷や汗を掻くが、飽くまでも平静を保ち悟られないようにする。
ステフ「・・・私は上司よ。部下の事は把握しておく必要があるのは当然でしょ?」
鹿島「ご尤もです。ですが こう考えてるのでしょ?私が“スパイ”か“裏切り者”だと」
鹿島の声は特別 大きかった訳ではないが、食堂全体に聞こえるように、“スパイ”と“裏切り者”の部分だけを強調した。それにより食堂が静まり返る。
同時に食堂に居た者達は動揺する。皆からすれば、鹿島がスパイか裏切り者など突飛な話でしかなかった。
天龍「おいステフ・・・それ どういう事だよ?」
鹿島「あなたは こう思ったのでしょう?メキシコでの任務で鈴谷さんが死んだのは、私が陥れたからだと」
ステフ「・・・・えぇ、そうよ」
ネロ「ステフ、何で鹿島を疑うんだ?証拠はあるのかよ?」
ダンテ「・・・・・・・・・」
ステフ「証拠はない。でも疑う余地はある」
鹿島「鈴谷さんは、私にとっても大切な仲間でした。いえ・・・今でも そうだと思っています。それなのに、裏切り者だなどと疑われるのは、流石の私も心外です」
時雨「そうだよ!鹿島だって僕達と一緒に命懸けで戦ってきた仲間なんだ!何で そんな風に疑うのさ?!」
艦娘達がステフに向かって次々と抗議の声を上げ、食堂には不穏な空気が漂い始める。
見兼ねた鳳翔が止めようとするが、それよりも早く1発の銃声が鳴り響いた。見ると、ダンテが天井に向けた銃口から紫煙が上がっていた。
ダンテ「もういい。お前らは外で食え」
天龍「だけど━━」
天龍が食い下がろうとした瞬間、また銃声が鳴り響いた。
ダンテ「聞こえなかったのか?この話は俺が預かる。解散しろ」
加賀「・・・皆、今日は艦娘寮で食べましょ」
艦娘達は昼食が載ったトレイを持って、食堂から出ていった。
食堂にはダンテ、ネロ、バージル、鳳翔、間宮、ニコ、ステフが残り、さっきまで鹿島が座っていたステフの向かいの席にダンテが座った。
ダンテ「勿論 俺には説明してくれるよな?」
ステフ「この話は まだ調査中よ」
ダンテ「不本意だが、どういう訳か俺は
ステフは周りを見ると、食堂の出口にネロと鳳翔が立っており、逃げられないよう立ち塞がりながらステフを見てる。
間宮は気まずいのかキッチンの方に姿を消していた。
話すまで解放されないだろうと観念したステフは、メキシコでの任務についての鹿島の報告書に、違和感を感じた事を詳しく話した。
ダンテ「あいつは賢い。得意の頭脳で上手く脱出したんだろ」
ステフ「そうかもしれない。でも報告書の内容は何もかもが出来過ぎてる。まるで最初から、鹿島が逃げられるようにしていたかのように」
ダンテ「考え過ぎって事はないのか?」
ステフ「鈴谷と鹿島は、何の準備もせず敵地に乗り込み簡単に捕まった。艦娘としての力も抑制されてたのに、そんな都合良く鹿島が1人で脱出できるとは思えない」
ダンテ「だが鹿島は帰ってきた」
ステフ「それが1つ目の違和感。同じく捕まってた鈴谷は売春婦として働かされてたのに、鹿島だけ別の場所に閉じ込められてたのは どうしてだと思う?」
ダンテ「別の理由で利用しようとしたからじゃないのか?」
ステフ「その理由が判るまで、彼女を任務に出す事はできない。危険が大き過ぎる」
ダンテ「・・・・・・・・・」
ステフ「納得できないかもしれないけど、彼女には全ての任務から外れてもらうわ」
ダンテ「・・・・・・分かった」
ダンテからは文句の1つでも言われるかと思っていたが、意外にも彼は この決定を受け入れ、ステフは少し驚いた。
ダンテは席を立ち出口に向かうが、ネロと鳳翔が邪魔で出れない。
ダンテ「どけよ」
ネロ「おい、あんな話に納得するのか?」
ダンテ「納得はしてないが、ステフの言ってる事にも筋は通ってる」
ネロ「どこがだよ?!鹿島が疑われてるんだぞ!」
鳳翔「提督、鹿島さんは合同演習が決まってから ずっと私達に協力してくれてました。もしスパイや裏切り者であるなら、私達に協力する理由はないはずです」
ダンテ「この話は俺が預かるって言ったろ。ほら どけよ」
ネロ「おいダンテ!」
ダンテはネロ達を押し退け、扉を開けて出ていってしまった。
納得できないまま立ち尽くしてると、ステフが近くまで来た。
ステフ「もし間違ってたら謝るわ」
ネロ「謝るだけで済むかよ」
ステフ「分かってる、責任は取るつもりよ。間宮、ごちそうさま」
間宮「あ、はーい!」
ステフも出ていき、ネロと鳳翔は顔を見合わせる。
そこで まだ納得できない2人に、意外にもバージルが口を挟んだ。
バージル「ダンテの好きにさせてやれ」
ネロ「そんなの嫌だね。仲間が疑われてるのに黙ってろって言うのかよ?」
バージル「そうだ。そこまで面倒を見てやる必要はない」
ネロ「だけど━━」
バージル「くどい。鳳翔も今は何もするな」
鳳翔「そうは言われましても・・・」
ネロ「親父は鹿島が疑われてるのを何とも思わないのか?」
バージル「思わん、どうでもいい、興味もない」
ネロ「(即答かよ このクソ親父・・・!)」
・・・・・・
*艦娘寮 香取型の私室 13:53*
食堂から出たダンテは、その足で艦娘寮へと来ていた。
部屋の扉をノックすると、香取が出てきた。
香取「提督・・・」
ダンテ「鹿島は居るか?」
鹿島「はい、居ますよ」
香取が呼ぶ前に、鹿島が顔を出した。ステフに疑われていたが、顔を見る限り、鹿島本人に落ち込んでる様子はない。いつものニコニコ顔だ。
ダンテ「ステフの話だが、気にするなよ?」
香取「ですが、どうして鹿島が疑われて━━」
鹿島「はい、大丈夫です。私は気にしてませんから」
香取「鹿島、あなたスパイだと思われてるのよ!もっと自分の置かれた状況を心配しなさい!」
そう言われ、鹿島は小首を傾げながら困ったような、不思議そうな顔をした。
鹿島「でも、私ってスパイですよね?」
香取「・・・・・・え?」
鹿島「だって ほら、今は財団の諜報員としても活動してる訳ですし」
香取「・・・・・・もうっ!あなたって娘は!紛らわしい言い方して!」
鹿島「きゃー!ごめんなさーい!♪」
鹿島は香取から逃げ回って謝るが、反省してる言い方には聞こえない。
香取「なっ・・・!?」
すると鹿島が、逃げ回る勢いのままダンテに抱き付いた。それを見て香取が素っ頓狂な声を出す。
鹿島「提督さんは、私を信じてくれますか?」
ダンテは鹿島の肩を掴み、自分の身体から彼女を引き離した。
ダンテ「鹿島、助けが必要な時は素直に言えよ」
鹿島「ぁ・・・」
そう言ったダンテは、さっさと その場から立ち去っていった。
ダンテが去った後、鹿島の顔は曇り俯いていた。
それに気付いた香取が声を掛けるが、鹿島は何でもないと言って部屋の中に戻り、香取も困った様子で扉を閉め、中に戻るのだった。
大変ややこい事になりましたね。
鹿島が本当に裏切り者なのか そうでないのか、答えは いつか唐突に やって来るでしょう。
そして次回からは、しばらく真面目な話が続いてましたので、ノリの軽い物になる予定です。
次回も宜しく お願い致します!