Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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360話です!どうぞ!


Mission360 雷神と風神~仲間の仇~

艦娘達から見て、時間が分岐した未来とも呼べる もう1つの世界で、未来の川内と呉の五十鈴は、グールズの要求でプルトニウムを確保するため研究施設跡地へと来た。

そこでプルトニウムは見付けたが、感染者と謎の液体金属に襲われ、2人は一旦 建物の外に脱出する。

しかし目の前に、Devil May Cry鎮守府の仲間を殺した悪魔の1体が現れるのだった。

 

 

*研究施設跡地 ?月?日 11:22*

 

悪魔『・・・そうか思い出したぞ。お前は あの時、仲間を見殺しにして逃げた艦娘だな?

 

そう言われた川内の歯が、強く噛み締められギシッと音がなる。

あの時 川内は、見殺しにした訳じゃない。艤装の性能が落ち、明らかに上級悪魔である この悪魔を相手に、当時の艦娘では勝つのは不可能だった。

勝てないと知っていながら、皆は川内を逃がした。微かな希望を、未来を川内が繋いでくれると信じて。だからこそ、川内は過去のダンテと会う事ができた。過去のダンテを、未来の この世界に呼ぶ事もできた。

悪魔の身勝手な言い分に、川内は怒りで顔を歪ませる。

 

川内「私は もう、昔の私とは違う」

 

悪魔『鉄屑如きが、この俺に勝つつもりか?

 

川内「勝てる自信はない。けど・・・仲間の仇は私が討つ。あの時みたいに、ただ逃げるだけの私じゃない。あの時よりは強くなってる」

 

五十鈴「川内」

 

川内「五十鈴は1人で逃げていいよ。これは私個人の問題だから、巻き込めない」

 

五十鈴「バカ言わないで。こいつは間違いなく強い。でも、それは1人で相手をすればの話」

 

川内「五十鈴・・・?」

 

五十鈴「2人で戦えば、私達は誰にも負けない。それに、あんたの問題は私の問題でもある。今更 仲間外れにしないでくれる?」

 

川内「・・・ごめん・・・」

 

五十鈴「だから謝んなっての」

 

五十鈴は、川内に謝られるのが嫌いだった。

合同演習でDevil May Cry鎮守府と呉鎮守府が ぶつかった日、川内と五十鈴は一騎討ちとなった。元々 呉鎮守府で一緒だったからこそ起きた確執から。

お互いに言えなかった本音、立ち止まらず未来に進むべきだと主張する川内と、過去に囚われ川内とDevil May Cry鎮守府を恨む五十鈴の、どちらの思いが正しいかを証明するための戦い。

戦いの末、川内の想いが五十鈴に届き、Devil May Cry鎮守府が勝利を手にした。

だが その時の戦いで、川内は過去の事を五十鈴に謝った。だから川内に謝られると、死んだ姉妹を言い訳に立ち止まり、川内やDevil May Cry鎮守府に八つ当たりしていた当時の自分を思い出し、恥ずかしくなるから。

 

五十鈴「あんたのせいで嫌なこと思い出した」

 

川内「よく分かんないけど何か ごめん」

 

悪魔『死に行く最後の挨拶は済んだか?

 

川内「死ぬ時は お前も道連れ」

 

五十鈴「っていうか、死ぬとは限らないんだから勝手に勝った気にならないでくれる?」

 

悪魔『なら試してみろ。お前達の運命が変わらん事を絶望しながら知るがいい

 

川内はアーロンが作った戦闘服と、人口魔具である小太刀の恩恵で身体能力を上げ、稲妻の如き速さで悪魔に斬り掛かる。

五十鈴は動かず艤装を展開し、川内を援護するように砲撃支援を開始する。

 

悪魔『何をしようが、俺には攻撃は通じない。フンッ!

 

悪魔は回避も受け流す事もせず、身体を硬質化させて全ての攻撃を その身で受ける。小太刀の斬撃と砲撃を受けても、悪魔には傷1つ付いていなかった。

川内は一旦 後ろに飛び退き悪魔と距離を取ると、腕を擦りながら顔を しかめた。

 

川内「イッテテ・・・どんだけ硬いんだっての」

 

五十鈴「(ダメージが通ってるようには見えない。生物的な肉体ではないってこと?)」

 

悪魔『どうした?お前の仲間の仇が ここに居るぞ。もっと攻撃してきたら どうだ?

 

川内「くっ・・・!」

 

五十鈴「川内、落ち着いて!挑発に乗っちゃ駄目よ!」

 

川内「分かってる!」

 

悪魔『ほれ、頑張って俺を倒してみろ

 

川内「言われなくても!」

 

川内は撹乱するように素早く動き回りながら、悪魔へ接近して後ろに回り込むと、背中に向かって小太刀で斬り掛かる。だが悪魔の身体は硬く、刃が表面で止められてしまう。

正面からは五十鈴が、砲撃と風の斬撃をダブルで飛ばすが、悪魔には一切 効いていなかった。

すると悪魔は、振り返りながら太い腕を横凪ぎに振るい、川内を狙う。

 

川内「っ・・・!?」

 

図体に似合わない速さだったが、川内は咄嗟に身体を後ろに反らし、悪魔の腕を避ける。

再び斬り掛かると、小太刀の刃を悪魔に掴まれ止められてしまう。

 

悪魔『確かに お前の動きは驚くほど速い。以前 殺した鉄屑共に比べても確かに強い。だが、俺には遠く及ばない

 

川内「言ってなよ」

 

悪魔『むっ・・・!?

 

悪魔は実力差を突き付けるために そう言っていたが、川内は不敵な笑みを浮かべていた。

次の瞬間 小太刀が放電し、ショートするように一瞬の眩い光と火花を散らし、小太刀の刃を握っていた悪魔が吹き飛んだ。

 

川内「身体は頑丈でも、ぶっ飛ばすぐらいはできるっての」

 

だが悪魔は、何事もなかったかのように立ち上がり笑っていた。

 

悪魔『今のは少し驚いたが、それが弱者の精一杯の抵抗という訳か

 

かなりの出力で感電させたつもりだったが、悪魔には効いてない様子に川内は苦虫を潰したような顔になる。

ふと川内は、こんな時にダンテが居てくれたらと思った。

 

川内「(・・・いつまでも提督に頼ってたら駄目だ。自分の敵は、私自身で倒さなきゃ!)」

 

今は居ないダンテに頼ろうとする考えを振り払い、川内は悪魔に特攻して稲妻を纏う小太刀で斬り掛かる。刃が触れる度に、周囲に稲妻が迸る。

五十鈴も変わらず援護を続けるが、悪魔は高笑いを上げながら頑丈な身体で攻撃を受け続けるだけだった。

しかし、一方的に攻撃を仕掛けていた川内が突然、悪魔から距離を取った。

次の瞬間、悪魔と同じ鈍い光を反射させる槍が飛んできた。槍は次々と連続で迫り、川内はバク転で後退しながら槍を避け、五十鈴と並ぶ。

槍は形のない液体になると、地面へと溶けるように消えた。

 

川内「今の攻撃・・・施設の中で襲ってきたのは お前だったんだ」

 

悪魔が飛ばしてきた槍が液体になるのを見て、研究施設で襲ってきた液体金属と似てると瞬時に気付いた。

 

悪魔『その通り。艦娘が ここに来ると知って、殺すタイミングを待っていた

 

五十鈴「施設の外には感染者がウヨウヨ居たはずよ。居ないのも お前の仕業ってわけ?」

 

悪魔『そうだ。お前達が中に入りやすいよう片付けておいてやった。鉄屑2人を殺すのに とんだ手間が掛かったものだがな

 

五十鈴「あら、感謝してほしいわけ?寧ろ余計な お世話なのよ」

 

悪魔『呑気に喋ってていいのか?

 

悪魔が何かした素振りはなかったが、地面から液体金属が湧き出し襲い掛かってきた。一瞬の隙を突かれ、液体金属は既に川内と五十鈴を覆うように迫る。

 

五十鈴「川内、私から離れないで!」

 

五十鈴はルドラに似た剣を用いて、自分と川内を囲むように球体状の風の障壁を出す。だが、風の障壁ごと2人は液体金属に呑み込まれた。

 

悪魔『身を守ろうとしても、死は時間の問題だ

 

風の障壁で身を守ろうと、それが いつまでも続く訳ではないと悪魔は理解していた。液体金属越しに川内と五十鈴を追い込んでるのを感じながら、悪魔は2人が力尽きるのを待つのだった。

そして液体金属に呑まれ、川内と共に風の障壁の中で身動きが取れなくなった五十鈴は、頭上に剣を掲げながら必死に障壁を維持していた。

 

川内「五十鈴、大丈夫!?」

 

五十鈴「大丈夫じゃない・・・!」

 

渦巻く風の障壁と液体金属が ぶつかり、ギャリギャリと金属が削れるような けたたましい音を聴きながら耐えているが、少しでも気を抜けば押し潰されそうだった。

 

五十鈴「何か手を打たないと、負け確定なんだけど・・・!」

 

川内「五十鈴、あいつと戦ってるの見て何か気付いた?」

 

五十鈴「この状況で今それ訊く・・・!?」

 

川内「今しかタイミングないから」

 

川内と五十鈴が2人で戦う時は、予め役目が決まっていた。川内が敵に仕掛け、五十鈴は後方援護で敵を観察し、敵の弱点や突破口を見出だし その場で作戦を決める。

 

五十鈴「あいつは物理的な攻撃に強い・・・!でも後続的に来る衝撃には そこまで強くなさそう・・・!」

 

川内「それで?」

 

五十鈴「だ、だから・・・圧縮された高エネルギーの攻撃ができれば、ダメージ通るかも・・・!この液体も同質なはずよ・・・!」

 

川内「圧縮された高エネルギーね、任せて」

 

川内は小太刀を手に、魔力を集めるのに集中する。それが完了するまでの間、五十鈴は必死に風の障壁の維持に努める。

そして小太刀に魔力が充填され、川内は構える。

 

川内「五十鈴、障壁を解除!」

 

五十鈴「失敗したら許さないからね!」

 

五十鈴が風の障壁を解除した瞬間、高出力の稲妻がレーザーとなり小太刀から放出される。

それで液体金属を吹き飛ばすつもりだったが、液体金属は自ら川内と五十鈴から離れ、地面へと溶けるようにして消えた。

川内と五十鈴は、自分達がやろうとしてた事に気付かれていたのかと驚く。

ただ、悪魔は嫌な笑みを浮かべていた。

 

悪魔『(お前達の会話は全て聞こえている。どれだけ作戦を立てようとも、筒抜けなら意味はない)

 

五十鈴「何だろう・・・凄く腹が立つの私だけ?」

 

川内「ううん、私も同じ気持ち。ここまで見透かされてると、作戦も へったくれもないね」

 

五十鈴「まさか変なこと考えてないでしょうね?」

 

川内「ノリで戦う」

 

五十鈴「ちょっと待ちなさいよ!」

 

川内は無計画に悪魔に向かっていき、近接戦を挑む。

ここまで敵の動きや攻撃パターンなど観察してるが、まだ決定打となる作戦が決められた訳ではない。だが今の川内は明らかに、敵の動きを探るような戦い方ではなかった。

何も考えられないまま、五十鈴は援護で砲撃する。

すると、川内が悪魔の攻撃を避けながらハンドサインを送ってきた。

 

五十鈴「(なに考えてるのよ!?もしタイミングがミスったら あんたまで死ぬのよ?!)」

 

五十鈴は砲撃の合間でハンドサインを返し、抗議の意思を伝える。すると、また川内からハンドサインが返ってきた。

 

五十鈴「あーもうっ!どうなっても知らないから!」

 

槍が迫り、五十鈴は それを避けて走りながら、剣に魔力を集めていく。

そして川内は、作戦も何もないような動きで、悪魔の正面から がむしゃらに小太刀で斬り掛かっていた。

 

悪魔『随分と動きが単調になったな。勝つのを諦めたか

 

川内「私は皆の仇を討つまで、諦めたりなんかしない!」

 

悪魔『だが それが鉄屑の限界だ!

 

川内が刃を振り下ろすタイミングに合わせ、悪魔はカウンターで腕を ぶつけ、川内諸共 刃を弾き吹き飛ばす。

悪魔は ひとっ飛びで殴り掛かりに行くが、小太刀から放たれた電撃に動きが止まる。

 

川内「お前、高エネルギーの攻撃に弱いんでしょ?」

 

悪魔『それが・・・どうした?!

 

川内「いぃっ!?」

 

感電させて動きを止めたつもりだったが、悪魔はクロスさせた腕を一気に開き、電撃を払い弾いた。

川内は何度も電撃を飛ばすが、悪魔は電撃を受けながらも そのまま川内へと迫り、彼女の首を掴み持ち上げる。豪腕から繰り出される力にギリギリと首が締まり、川内の呼吸が止まる。

 

悪魔『所詮 貴様ら艦娘は、淘汰され蹂躙されるだけの鉄屑のゴミでしかない。我ら悪魔に逆らうだけムダな足掻きだ!

 

川内「ぁっ・・・がっ・・・!(五十鈴、早く・・・!)」

 

川内の意識が朦朧としてくる中、悪魔の背中に とてつもない衝撃が走り、悪魔は川内を放した。

地面に落ちた川内は、咳き込みながらも悪魔から離れる。

悪魔が振り返ると、五十鈴が何度も風の斬撃を飛ばしてくる。悪魔は自身の腕で、斬撃を弾きながら躱す。

そして五十鈴に向かって走っていくが、突如として巨大な竜巻に囲まれ動きが止まる。

竜巻の範囲が狭まり、悪魔は竜巻を打ち砕こうと殴るが、悪魔の豪腕ですら弾き返す暴風の壁には びくともしない。

 

五十鈴「艦娘だからって侮り過ぎ。私達は前と違って艤装の力を取り戻してる。それに人口魔具を与えられた艦娘は、一味 違うのよ」

 

人口魔具を与えられた艦娘は、その力を最大限に使い熟し制御する訓練を受けている。だからこそ独自に編み出した技も持っていた。

 

悪魔『このような風で閉じ込めても、俺を倒すには不十分だ!

 

五十鈴「状況分析が甘いんじゃない?私は今じゃ、『風神』と呼ばれる艦娘よ。風こそが私のテリトリー。その中に居る お前は、ただ狩られるだけの獲物と知りなさい」

 

“風神”と誰が呼び始めたのか分からないが、この時代では、風を操る人口魔具で戦う五十鈴の様から、今では敵も味方も そう呼ぶ事があった。

竜巻は形を変えながら収縮し、悪魔を閉じ込めたまま球体状の暴風の塊となる。

 

悪魔『お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ・・・!!

 

更に暴風の塊は収縮を続けて、内部に居る悪魔を斬り刻む。

五十鈴が放った技は、脱出不可能な超高速回転する暴風の中に敵を閉じ込め、超高速回転により発生するカマイタチで内部の敵を斬り刻む。言ってみれば自然を利用したミキサーだ。

普通のミキサーと違うのは、斬り刻む対象を塵も残さないほど切れ味も凄まじい。

五十鈴が技を解くと、暴風の塊が四散して中に居た悪魔の姿も無くなっていた。

 

川内「もうちょっと早く魔力 溜めれないの?」

 

五十鈴「あのねぇ、あれ私が使える技で1番の大技よ。そんなポンポン出せるなら苦労しないのよ」

 

川内「でも提督は大技ポンポン出してたよ。もっと言うなら溜めなしで出してる時もあって、何なら大技 連発し過ぎて何やってるか分からないぐらい激しくて、ちょっとした お祭り男になってた」

 

五十鈴「あんたのバケモノ提督と一緒にしないでくれる?」

 

2人は野営地に戻ろうと踵を返すが、突然 空高く跳躍すると、地面から倒したはずの悪魔が飛び出して襲い掛かってきた。

透かさず、川内が特大の落雷を発生させて悪魔を叩き落とす。

 

悪魔『貴様ら、気付いていたのか・・・!

 

川内「まぁね~」

 

悪魔『いったい いつから・・・!?

 

川内「あの液体の正体が お前だって判ってからかな」

 

過去に夕張の爆弾で消滅したと思っていた悪魔が生きていた事に、川内は最初こそ驚きはしたが、頭の中では冷静に状況分析していた。

研究施設内で液体金属が襲ってきた時、出現方法は壁や床、天井から湧き出るようにして現れた。恐らく過去で夕張の爆弾で爆発を受けた時、同じ原理で地面へと逃げ込み生き延びていたのだろう。

 

川内「もう1つ理由はある。戦ってる間、お前は1度も液体状にはならなかった。あの状態になれば、もっと楽に私達を倒せたかもしれないのに」

 

恐らく不定形に形を変えられる事から、悪魔は身体の一部である液体金属で自分の姿を模した分身を創り、川内と五十鈴の2人と戦わせていたのだろう。

そして隙を見て、地面に隠れた本体が2人を仕留める算段で。

川内が五十鈴にハンドサインを送った時、ここまでを既に予測していた。

川内が勢いだけで悪魔に向かっていくような単調な事をしたのも、全ては本体を引き摺り出すためだった。

そして奴は、まんまと出てきた訳だが・・・。

 

悪魔『鉄屑にしては頭がキレるな。だが、さっきまでの分身とは格が違うという事までは考えていたか?

 

悪魔の姿が崩れ、不定形な液体金属となった。

その液体金属から鋭い槍が伸び、川内と五十鈴を貫こうと迫る。川内は閃光の如き速さで躱し、五十鈴は風で分身を創り撹乱する。

その合間にも攻撃を繰り出すが、液体金属は すぐに再生して決定打にならない。

 

悪魔『どれだけ速く動こうが、どれだけ数を揃えようがムダなこと!

 

川内「んなっ・・・!?」

 

五十鈴「くっ・・・!」

 

液体金属は川内の逃げる方向を予測して先回りし、逃げ場を徐々に奪っていく。

更に風の分身である五十鈴も、次々と槍の餌食になり消滅していく。

それでも めげずに攻撃を仕掛けるが、一瞬だけ動きを止める程度で効果はイマイチだった。

そんな中、川内は またハンドサインを送り、それを見た五十鈴も また驚いていた。

 

五十鈴「あと1発は出せるけど、今回は協力できないわよ?!」

 

川内「それでもやるしかない!」

 

五十鈴「正気を疑うレベルなんだけど!上手くいく訳ない!」

 

川内「私だって今じゃ、『雷神』って呼ばれてる艦娘だよ!ここでやらなきゃ、女が廃る!」

 

五十鈴「廃れてしまえ、そんなプライド!」

 

川内「五十鈴が何て言おうと、私は この作戦で行く!」

 

五十鈴「あっ、馬鹿!!」

 

川内が立ち止まり、五十鈴は咄嗟に彼女に向かって剣を振った。

しかし、液体金属が覆い被さり川内は呑み込まれてしまった。

 

悪魔『バカな鉄屑だ。敵を前にして止まるとは。俺の身体には毒素がある。もう助かりはせん

 

それを見ても五十鈴は動かず、逆に艤装を解除して剣まで仕舞ってしまった。

 

悪魔『助けようともしないとは・・・仲間が殺られて絶望し、逃げる事も諦めたか?心配せずとも、次は お前の番だ。ゆっくり殺してやる

 

悪魔は五十鈴を嘲笑っていたが、彼女は そんな言葉を気にする事もなく空を見上げていた。

 

五十鈴「・・・・・・別に絶望してないし諦めてもないけどね。それに、助ける必要もないし」

 

悪魔『何?

 

五十鈴「・・・来た」

 

そう言って、五十鈴は笑みを浮かべた。

空には、雷鳴が轟く雷雲が集まっていた。

更に悪魔の中で、魔力が膨らんできていた。だが それは、悪魔の物ではない。呑み込まれた川内が持つ、小太刀の魔力だ。

更に川内の声が響く。

 

川内『真っ暗で なーんにも見えなーい!

 

悪魔『貴様、なぜ俺に取り込まれて生きてる!?

 

五十鈴「あんたが川内を呑み込む時に、風でコーティングしといたのよ。上手くいくかは賭けだったけど」

 

悪魔の身体に毒素があるのは知らなかったが、何かあった時のために川内が呑み込まれる直前に、五十鈴は風の魔力を送り川内の身体を保護していた。川内の元気そうな声を聞く限り、大丈夫そうだ。

 

悪魔『バカな!そんなデタラメな勘で俺の中で生き延びただと!?

 

五十鈴「馬鹿を敵に回すのは怖いでしょ?」

 

川内『う~ん・・・よいしょー!

 

緊張感のない掛け声と共に、液体金属から小太刀の刀身が飛び出してきた。

それが避雷針となり、液体金属に何度も落雷が落ちる。

悪魔は地面へと逃げようとするが・・・

 

五十鈴「もう逃げ道も潰れてるのよ!」

 

五十鈴が再び剣を抜き振るうと、悪魔を囲むように竜巻が発生し、悪魔は その中で宙に舞い上げられてしまう。地面から離され、暴風の壁にも囲まれ悪魔は逃げ場を失う。

更に竜巻へと落雷は続き、暴風の壁で跳躍する稲妻が何度も悪魔を貫き、焼いていく。液体金属の身体が真っ赤に熱を持つと、最後には爆発して消滅した。

 

川内「スーパーヒーロー着地!お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ・・・!」

 

五十鈴「それ膝に来るのよねー」

 

同時に雷雲と竜巻も消え、無事な姿の川内が片膝を突く形で地面へと着地するが、膝へのダメージは甚大だった。

 

五十鈴「もう こんな無茶は2度としないでほしいわ」

 

川内「必要に迫られたら またする」

 

五十鈴「でしょうね」

 

川内「何だよ五十鈴、私のこと分かってんじゃん」

 

五十鈴「うるさい。・・・でも、これで あんたが悪夢に魘される事も減るんじゃない?めでたく仲間の仇は討てたんだから」

 

川内「・・・うん、そうだね。・・・それで、プルトニウムどうする?」

 

五十鈴「そうね・・・1つだけ持って帰ってグールズに渡す。それで今回の依頼は完了って事にさせるわ」

 

その後グールズのアジトへと向かった川内と五十鈴は、プルトニウムを1つだけ渡して今回の話は これで手打ちだと交渉した。

残りのプルトニウムは、感染者を全て駆逐しておいたから自分達で取りに行くように言って話を ぶった斬り、そのまま2人はレジスタンスのアジトへ戻るのだった。




こんな感じで、たまに未来編を挟んでいきます。

次回も宜しく お願い致します!
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