Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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366話です!どうぞ!


Mission366 ピーナッツ~ジャケットを脱ぐように~

ウォードッグから殺し屋の極意を学んだネロは、遂にテロリスト集団オムナスと直接 会い、仕事の話をする事になった。

待ち合わせのビルに入りエレベーターに乗るが、エレベーター内に機械的な音が鳴り、操作パネルを開くと中に使い捨て携帯が隠されていた。

電話に出てオムナスの人間と言葉を交わすが、ネロを援護するために来ていた呉提督と特殊部隊の存在に気付かれていた。

ネロ自身も本物のウォードッグか疑われたが、どうにか これを回避する。

しかしオリーブ財団と連携していては、オムナスのネロに対する疑惑は晴れない。それでは暗殺対象のアーキテクトの確保はできない。

ネロは無線機を外して携帯も その場に残し、オリーブ財団に追跡されないようビルから逃走するのだった。

 

 

*廃品置場 1月23日 19:42*

 

ネロが逃走したのと同じ頃、(たける)刹那(せつな)は、ロサンゼルスのボイル・ハイツにある廃品置場に来ていた。理由は、ネロが殺し屋の模擬試験で会ったモリス夫妻だ。

あの2人は娘のレイチェルを殺され、犯人である娘の夫が逮捕されなかった事で正義を求め、ウォードッグに殺しの依頼をしようとした。

健と刹那は、モリス夫妻の事が放っておけず、レイチェルの夫が犯人であるという証拠を探して ここまで来ていた。

 

刹那「見付かるかな?」

 

健「GPSの信号は ここから出てる。見付けないと、あの2人が可哀想だよ」

 

 

・・・・・・

 

*ゴルフ場 17:17*

 

少し時間を遡り、ネロがオムナスと会う準備のためにオリーブ財団に戻った後、健は刹那と共にゴルフ場に来ていた。

ゴルフ場に来たのは、レイチェルの夫が趣味のゴルフに興じているからだ。

夫の名前が『ブレット』である事も既に突き止めてある。

健と刹那はゴルフウェアに着替え、ゴルフカートに乗って ずっとブレットを追い回していた。

刹那が双眼鏡でブレットを見張り、健がブレットの携帯にハッキングする。

 

健「うわ、こいつ何だよ・・・」

 

刹那「何?」

 

健「ブレット愛人と浮気してたみたい。しかも2人と」

 

ハッキングして健のノートパソコンに映るのは、ブレットの携帯に保存されたメールの やり取りや、愛人と一緒に写る大量の写真。

 

健「レイチェルが死んだ翌日も遊んでる。ほら見てよ、こんなに楽しそうにしてる」

 

刹那「一々 見せなくていいから!」

 

健「何で機嫌 悪いの?」

 

刹那「奥さんが死んで すぐ、愛人と遊んでるなんて ふざけてる。絶対こいつが殺した。証拠 見付けて罪を償わせる」

 

健「(今日は燃えてるなぁ・・・)」

 

更に愛人2人の事も調べると、その内の1人はGPSタグの販売員をしていた。

そしてSNSで、その愛人がブレットにゴルフクラブをプレゼントした話が綴られていた。もしやと思いGPSの登録も調べると、ブレットが持つ全てのゴルフクラブにGPSが仕掛けられてる事が判明する。恐らく愛人が、ブレットの浮気を見張るために仕掛けたのだろう。

レイチェルの死因は撲殺だったため、ゴルフクラブが凶器に使われた可能性がある。試しにGPSの発信源を辿ると、1本だけ違う場所から反応が出ていた。

 

健「1本だけボイル・ハイツの廃品置場にある」

 

刹那「これで全部 繋がった」

 

何かしらの理由で、ブレットはレイチェルと揉めたのだろう。それにカッとなったブレットが、愛人から貰ったゴルフクラブで撲殺。

そして凶器に使われたゴルフクラブを、証拠隠滅で廃棄したのだろう。

だがブレットも、まさか凶器に使ったゴルフクラブにGPSが仕込まれてるとは思いもしなかっただろう。

もしGPSの信号を辿りゴルフクラブを見付け、何かしらの殺人の痕跡を発見できれば、ブレットを逮捕でき、モリス夫妻の無念も晴らせるだろう。

健と刹那はブレットの見張りを切り上げ、すぐに信号が出てる廃品置場へと向かった。

 

 

・・・・・・

 

*廃品置場 19:55*

 

所狭しと置かれた廃品の間を歩きながら、健と刹那はGPSの信号を頼りにゴルフクラブを探す。

 

健「・・・・・・ちょっと待って」

 

健が立ち止まり声を上げると、刹那も立ち止まり振り返る。

 

健「この辺りから反応が出てる」

 

刹那「よし、探そう」

 

2人は協力して、次々と廃品を手に取っては床に捨てていく。

そして刹那が、目当てのゴルフクラブを見付けた。

廃品の山から引き抜き見てみると、ゴルフクラブには乾いた血痕が付着していた。DNAを照らし合わせれば、きっとレイチェルのものと一致するはずだ。

 

健「やったね」

 

刹那「これで あいつは終わり」

 

2人はゴルフクラブを持って、その場を後にした。

 

 

*町 21:01*

 

オリーブ財団を撒いて逃走したネロは、オムナスに指定された住所がある町まで来て車を止めた。そこは夜である事も相まって、民家が建ち並ぶ静かな町だった。

ある家から、ゴミ出しをするために男が、中に居る家族と話しながら1人で外に出てきた。

ゴミを置いて家の中に入ろうとしたが、いきなり暗闇から現れた何者かに後ろから、紐で固め結びに首を絞められる。暗闇から現れたのはネロだった。

 

ネロ「声を出したら更に首を締め上げる。妻と子供が大事なら一緒に来い」

 

ネロの脅しに、男は異常な状況下に驚き目を見開きながら、小刻みに首を縦に振る。

そのままの体勢で、ネロは男を連れて停めてあった車まで行く。

トランクを開けると・・・。

 

ネロ「入れ」

 

男「ア、アンタ誰だ?何が目的なんだ?」

 

ネロ「お前を殺すよう雇われた」

 

男「そ、そんな、どうして私が・・・!?頼む、家族は関係ないだろ。家族には━━」

 

ネロ「お前の家族に興味はない。言うとおりにしないなら お前の家族も どうなるか分からないぞ。そうなったら、お前が家族の死を見るのが先か、家族が お前の死を見るのが先か、どっちにしても惨いシーンを見る事になるだろうな」

 

男「わ、分かった。入る、入るよ・・・」

 

ネロの脅しに何の抵抗もできない男は、自ら車のトランクに入り、ネロはトランクを閉めた。

直後、ネロは車に凭れながら溜め息を吐いた。不本意ながらも こんな事をしなければならない事に、精神的に疲れが出ていた。

だが このままやめる訳にもいかない。オムナスの目的の全容を明らかにするには、この男がカギとなるのだから。

 

 

・・・・・・

 

*民間 21:37*

 

少しの間 車を走らせ、ネロが次に向かったのは家の中が真っ暗な民家だった。

窓から中の様子を覗き、誰も居ない事を確認すると、ドアを蹴り破ってから車に戻る。

トランクから男を出すと、2人で家の中に入った。

中に入ってから、男はネロに殺されるのだろうと恐々としていたが、ネロに そんな様子はなく、窓から外の様子を ずっと窺うばかりだった。

 

男「何をしてる・・・?私を殺すんじゃないのか?」

 

ネロ「え?あれ嘘」

 

男「・・・じゃあ何で こんな事を?私を拉致して何するつもりなんだ?」

 

ネロ「落ち着けよ、アンタを殺したりはしない。けど殺したがってる連中が居るのは本当だ」

 

ネロは男に、オムナスというテロリスト集団が、アーキテクトと呼ばれる人物を殺すために殺し屋を雇った事を話した。

 

男「その殺し屋が君なのか?」

 

ネロ「俺だけど俺じゃないっていうか・・・話すと長いんだ」

 

男「待ってくれ、私は関係ない!殺し屋を雇われてまで殺される心当たりなんてない!」

 

ネロ「おい、落ち着け。大きい声を出すな。俺はアンタを助けに来たんだ」

 

簡単にだが互いに自己紹介すると、彼は『ジョシュア』という名前だそうだ。

ジョシュアは自分が“アーキテクト”と呼ばれてる事すら知らなかった。

ネロは話を整理するため、普段 仕事など何をしてるのか、ジョシュアに自分の事を話させた。

ジョシュアは携帯電話会社に勤めており、この4ヶ月は携帯に雑音が入ると苦情が入り その対応をしていた。

調査をした結果、原因は障害ではなくデータだった。回線に高周波音のようなものが仕掛けられており、それがノイズという形で障害を引き起こしていた。

その発信源を特定するため、彼は最近、自ら診断プログラムを作り上げたばかりだった。

 

ネロ「それだ・・・!」

 

それがオムナスに狙われる理由だと判断したネロは、すぐにオリーブ財団に電話を掛けた。

 

 

*オリーブ財団 ブリーフィングルーム*

 

ネロからアーキテクトに関する話を聞いたステフは、何かを察して障害が発生してる箇所と、判明してるオムナスのスパイの潜伏場所を照らし合わせる。すると場所が一致した。

 

ステフ「ネロ、ジョシュアが調べた場所は、オムナスのスパイの潜伏場所と一致したわ」

 

つまりオムナスがアーキテクトの殺害を企てたのは、診断プログラムで自分達が使ってるシステムがバレる事を恐れての事だろう。

 

 

*民間*

 

ネロ「そりゃ狙われる訳だ」

 

ステフ『ネロ、ジョシュアを連れてきて。財団で保護する』

 

ネロ「いや、彼は一般人だ。家族も居るし一生 逃亡生活なんてさせたくない」

 

ステフ『じゃあ どうするの?』

 

ネロの言いたい事は理解できるが、なら どうするのかという問題が確かにある。

ネロは少し考え、そして出した答えは・・・。

 

ネロ「やっぱり死んでもらおうか」

 

ジョシュア「待ってくれ!さっきと話が違う!さっきは殺さないと━━」

 

ネロ「実際に死ぬ訳じゃない。死んだ振りだよ」

 

オムナスの連中が望んでるのは、アーキテクトの死だ。彼が生き続けてる限り、ずっと命を狙い続けるだろう。

だが彼の死を偽装してオムナスを騙せれば、奴らはアーキテクトに興味を失い、2度と彼の命を脅かす事もないだろう。

そうなると、今度は彼の死を偽装するための方法だ。

 

ステフ『考えはあるの?』

 

ネロ「明石を呼んでくれ」

 

 

・・・・・・

 

少しして、ステフに呼ばれた明石が電話に出た。

ネロの心配も そこそこに、明石は なぜ自分を呼んだのかの本題に入り、ネロから人の死を偽装する方法が聞きたいと答えた。

 

ネロ「前にハロウィンやった時に、血糊とか作ってただろ?あれ家にある物とかで作れるもんか?」

 

明石『大丈夫ですよ。大抵は一般家庭である物で足りますから。無い物は別ので代用すれば問題ないです』

 

明石の指示を聞き、ネロは家中を探し回って必要な物を集めていく。

赤いジュースと その他諸々を混ぜて作った血糊と、白い壁を削った粉をジョシュアに塗り、流血と死人の顔に仕立てていく。

 

ジョシュア「何か甘いしベタベタする・・・」

 

ネロ「それはジュースを使ってるからだ。口に入っても問題ない」

 

ジョシュア「ほんとに これで死んだように見せれるのか?」

 

ネロ「おい、動くなって。大丈夫だから任せろ。ちゃんと死体に見える」

 

明石『ネロさんにしては自信満々ですね』

 

ネロ「相棒にアーティスト気取りの奴が居るからな。気持ちはニコだ」

 

明石『ニコさんが聞いたら鼻で笑われそう』

 

ネロ「あいつには絶対に言うなよ」

 

話してる内に、偽装が完成した。

ネロはオムナスから渡されていた使い捨て携帯で、アーキテクトの殺害現場の写真を撮って送るが、どれだけ待っても返事が返ってこない。

電話を掛けても繋がらなかった。

その代わり、ステフから問題が発生した報告が来た。

 

ステフ『ネロ、敵に そっちの位置がバレたわ』

 

ネロ「何で!?」

 

ステフ『写真には位置情報が含まれてたの。今オムナスの潜伏場所から、部隊が そっちに向かってる』

 

オムナスは最初からネロを、いや正確にはウォードッグだが、端っから信じていなかったのだろう。ウォードッグがアーキテクトを殺した後、口封じでウォードッグも殺すつもりだったのだ。

 

ネロ「どれだけ来るか分かるか?」

 

ステフ『車が12台、相当な人数よ。あと30分で そっちに着く。財団から部隊を出すけど、こっちは45分 掛かるわ』

 

スピーカーモードで一緒に話を聞いていたジョシュアも、今度は本物の殺し屋が来ると理解して狼狽える。

 

ジョシュア「なぁ、殺し屋の振りをしてたなら、銃とかは持ってるんだよな?」

 

ネロ「持ってるけど、人間には あまり使いたくない」

 

ジョシュア「じゃあ どうやって連中を追い払うんだ!?」

 

ネロはウォードッグに成りきっていたが、それでもデビルハンターとしてのポリシーを忘れた訳ではなかった。

 

ネロ「明石、夕張は?」

 

明石『もう呼んであります』

 

夕張『話は聞いた。時間を稼ぐ方法ならあるわよ』

 

ネロ「簡単なので頼む」

 

 

・・・・・・

 

夕張の指示を聞きながら、ネロはスモークマシンと缶爆弾を作る。

それが完成すると、複数台の車のブレーキ音が聴こえた。オムナスの殺戮部隊が到着したのだ。

殺戮部隊は車から降りるなり、ネロとジョシュアが居る家に問答無用で銃撃してきた。

 

ネロ「スイッチを!」

 

ジョシュアに指示を出し、彼はスモークマシンを起動した。すると家の前で大量の煙が発生し、殺戮部隊の銃撃が止まる。

連中は暗視ゴーグルを装着し、熱源でネロとジョシュアを探そうとする。だがネロ側は それを見越していた。

ネロは自身の腕とデビルブリンガーの腕で、窓から缶爆弾を投げまくる。爆発の炎は一瞬の事ではなく、家と殺戮部隊の間で燃え続け、暗視ゴーグルを無効化する。

 

男「何してる?!怯むな!撃て!」

 

殺戮部隊を率いていたのは、ネロと電話で話していた男と同じ声だった。

男の指示に、殺戮部隊は家に向かって また出鱈目に銃撃してくる。

 

ネロ「缶が無くなっちまったな・・・!」

 

ジョシュア「この後は どうする!?」

 

ネロ「もうネタ切れだよ!」

 

だがジョシュアを死なせる訳にもいかないため、このまま大人しくしてるつもりもない。

いよいよ使うしかないかと思い、ネロは渋々ホルスターからブルーローズを抜く。

ブルーローズを手に、ネロが窓から外に飛び出すが、殺戮部隊が次々と倒れていく。

自然と殺戮部隊の銃撃が止まっていき、残ったオムナスは周囲を見る。すると自分達が、緑色のレーザーポインターで狙われてる事に気付く。

 

呉「ほら、ヤンチャしてみなさいよ。狙いは外さないわよ」

 

緑色のレーザーポインターは呉提督と、彼が率いるオリーブ財団の特殊部隊のものだった。

殺戮部隊を率いていた男は、自分達が既に囲まれてる事に動揺し、指示も出せず周囲を見渡すだけだった。

そして煙の中から突然ネロが現れると、男を殴り気絶させた。

直後スモークマシンも止まり、煙が晴れていく。

殺戮部隊は全員 拘束され、ジョシュアも無事なまま家に帰れる事になった。

だが呉提督には、ネロの事で1つ心配事があった。

 

呉「あんたネロちゃん?それともウォードッグ?」

 

ネロ「はぁ?ネロに決まってるだろ」

 

ウォードッグのレッスンを受けてからネロの目や雰囲気が変わってしまっていた事を心配していた。このまま殺し屋に成りきったまま、元のネロに戻らないのではないかと。

 

呉「あんた色々とヤバい雰囲気になってたけど、ちゃんと元のネロちゃんに戻れるんでしょうね?」

 

ネロ「あのなぁ、殺し屋やってたのは演技だから。演技はジャケットと一緒で、脱ぎ捨てられる。すぐに抜けるよ」

 

呉「ほら、役者でも中々 演技が抜けないって言うし、そのまま自分を殺し屋だと思い込むかも」

 

ネロ「ないない。殺すなら悪魔だけで満足だし」

 

呉「ならいいけど。だって私的には いつものネロちゃんの方が好みっていうか、好きっていうか、もう何て言うの?LOVEって感じ」

 

ネロ「気持ち悪いからやめてくれ・・・」

 

呉「もうね、頭から しゃぶり尽くしたい感じ!」

 

何やらオカマのスイッチを勝手に入れてしまったようで、呉提督は身体をクネクネさせながらネロへの愛を、想いの丈を その口から撒き散らしていく。

ネロは無視して呉提督から離れていき、その冷たさが いい意味で刺さったようで、呉提督は更に興奮していた。

 

 

・・・・・・

 

*ダイナー 1月24日 10:14*

 

翌日、健と刹那は、モリス夫妻が居たダイナーに来ていた。

ネロが会った時と同じく、モリス夫妻は奥の同じ席に座っていた。また改めて雇った殺し屋を待っているのかもしれない。

健と刹那が近付き2人を見たモリス夫妻は、また慌てたように席を立つ。

 

モリス「また間違えたようだ!」

 

モリス婦人「し、失礼します!」

 

刹那「待って!」

 

刹那は、確かに自分達は殺し屋ではないが、娘のレイチェルの味方であり、話を聞いてもらいたいと言って席に戻ってもらうよう説得した。

モリス夫妻は互いの顔を見合わせてから席に戻り、健と刹那も向かいの席に座る。

 

モリス婦人「レイチェルの味方って どういう意味?」

 

モリス「私達に何の話がしたいんだ?」

 

健「見ていただきたい物があるんです」

 

健はモリス夫妻に、自身の持つノートパソコンの画面を向けて、そこに映る映像を見せる。それは、警官が制服に着けてるカメラの映像だった。

映像の中では、レイチェルの夫のブレットが警官に囲まれ、後ろ手に手錠されながらパトカーに乗せられていた。

 

健「これはライブ映像です。娘さんを殺害した凶器が証拠品として出て、逮捕される事になりました」

 

捕捉説明として、凶器に使われたゴルフクラブに付着していた血痕は、レイチェルのDNAと一致し、ブレットの指紋も出てきた事から、有罪確実である事も説明した。

 

刹那「既に殺害したのは認めてる。浮気したことをレイチェルに問い詰められて、カッとなって近くにあったゴルフクラブで殴ってしまったと。2人の想いが届いたの。あなた達が求めてた正義が、何よりレイチェルのために、ちゃんと正義が下された。だから もう、殺しの依頼なんてしなくて大丈夫」

 

それを聞いたモリス夫妻は、喜びや安心から涙を流し、互いに抱き合い喜びを分かち合った。

これで亡くなったレイチェルも浮かばれる事だろう。

 

 

*刑務所*

 

一段落し、ネロはウォードッグに会いに刑務所まで来ていた。

面会室に入ると、ご機嫌なウォードッグに迎えられた。奴は まだ、今回の事件の結果を知らない。

 

ウォードッグ「やぁ、ボーイスカウト。契約殺人の検定に合格して、認定書を貰えたかな?」

 

気味の悪い笑みを浮かべるウォードッグの、からかうような質問に対し、ネロは満足気な笑みで口を開く。

 

ネロ「いや、それは貰えないな。だって殺してないからな」

 

その答えを聞き、ウォードッグの顔から笑みが消えてネロを睨む。

 

ウォードッグ「・・・どういう事かな?」

 

ネロ「言葉の通りさ。殺さずに事件を解決した」

 

ウォードッグ「・・・君にはガッカリだ」

 

ウォードッグは、ネロを殺し屋の世界に引き込んで彼自身が壊れるのを楽しみにしていた。思っていた結果とは違い、ウォードッグからすれば面白くない。

 

ウォードッグ「まぁいい、今は勝利の余韻に浸ってるといい。だが最後には、俺が お前達を破滅させてやる」

 

ウォードッグが宣戦布告するが、ネロは不敵な笑みを浮かべながら黒いジャケットを脱ぎ、ウォードッグが みすぼらしいと言った いつものコートを着る。それはネロが呉提督に言ったように、殺し屋としての演技は もう必要なく、役を脱ぎ捨てた瞬間だった。

それを見ても、ウォードッグが表情を変える事はなかった。

 

ネロ「今日ここに来たのは礼を言うためだ。ありがとう」

 

ウォードッグ「なぜ礼を言う?」

 

ネロ「言う事に意味があるんだ。今回の事で、よく分かった事がある。俺と お前は違う」

 

ウォードッグは言った。自分達は“免疫システムの表と裏で、やってる事は同じ”だと。だがネロの考えは違った。

ネロの出自は特殊で、その身に悪魔の血が流れているが、人として生き、人間として戦うと決意している。それは今後、何者になろうとも変わる事はないだろう。

今回ウォードッグの協力が役に立った事は事実だ。例え相手が極悪非道で冷血な殺し屋であっても、人として礼を言って筋を通す。

 

ネロ「お前の お陰で今回は乗り越えられたからな。これはステフからの褒美だ」

 

そう言ってネロは、ウォードッグの前にある机にピーナッツが入った透明の袋を置いた。

ネロは意趣返しできたと意地悪な笑みを浮かべていたが、その笑みは すぐに消える事となった。ウォードッグは袋からピーナッツを1つ取り出すと、殻を割って食べたのだ。

その味を しっかりと味わうように、ウォードッグは目を瞑りながら ゆっくり咀嚼する。

 

ネロ「お前、極度のアレルギーだろ?」

 

すると今度は、ウォードッグが意趣返しだと言わんばかりに意地悪な笑みを浮かべ、2つ目のピーナッツを口に入れる。

 

ウォードッグ「人は信じたいものだけを信じる。それが どれだけバカバカしい嘘であってもな」

 

してやられたと思ったネロは言い返す言葉が思い付かず、黙って面会室を後にし、オリーブ財団へと帰るのだった。

 

 

*オリーブ財団 取調室*

 

同じ頃、オリーブ財団にある取調室には、オムナスの殺戮部隊を率いていた男が手錠された状態で椅子に座っていた。

そこにステフが入室し、机を挟んだ向かいの椅子に座る。

 

ステフ「折角お近付きになれたから、先ずは自己紹介しましょうか。私はステファニー・ブラウン。あなたは『ダニエル・ホーン』ね。1975年、8月5日アリゾナ州チャンドラー生まれ」

 

ステフは既に、この男の素性を調べ上げていた。そしてホーンの経歴を淡々と言っていく。

トーランス小学校からTエジソン中等高校学校。

パイパーと名付けたポメラニアンを飼っていた。

両親は他界。

兄弟は2人 居るが、何十年も会っていない。

政治学で学士をとり、卒業後は陸軍へ。

サイバーコマンドーにいたが、2009年 北朝鮮のサイバー部隊に、国防高等研究計画局『DARPA』の暗号を売って不名誉除隊。

世界各地でサイバー攻撃の動きを見せ、最近ではチリの浄水場を攻撃した組織のために動いた。

 

ステフ「寝言で呟く名前も知ってる。何でも知ってるのよ。だから これから始める尋問に、黙秘してもムダ」

 

ホーン「・・・知らない事もある、ステファニー・ブラウン。私は ここに捕まりに来た」

 

ホーンの意味深な言葉に、ステフは目を細める。

“ここに捕まりに来た”・・・その言葉が、オリーブ財団史上 最悪な出来事が起きるとは、この時オリーブ財団に居る者達は誰1人として、知る由もなかった。

 

 

*艦娘寮*

 

艦娘寮の廊下にある窓から、外の景色を眺めてる艦娘が居た。

 

艦娘「準備は整いましたね・・・それでは皆さん、そろそろ お別れですね」

 

その艦娘は、悲しげな笑みを浮かべながら不穏な事を口にする。

オリーブ財団に・・・いや、Devil May Cry鎮守府に潜り込んでいた内通者は既に動き、全ての準備を終わらせていた。




次回、遂に動き出します。

次回も宜しく お願い致します!
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