Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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371話です!どうぞ!


Mission371 ド緊張~フレデリカ様ご乱心~

鎮守府へと戻る事になったDevil May Cry鎮守府の面々は、便利屋としての仕事に ちょっとした変化が起きた。

浦風と浜風も その変化に順応して2人だけで仕事に行くが、着いて早々に、依頼者である劇場の支配人から仕事のキャンセルを言い渡されてしまう。

キャンセルの連絡は鎮守府にも入り、心配した葛城を始め、ネロと長門、川内は劇団がある小さな町へと出発するのだった。

 

 

*町 2月13日 16:34*

 

夕陽が照らす町の片隅に、浦風と浜風は鎮守府に戻らず まだ留まっていた。

浦風は膝に顔を埋めるように座って泣き、浜風は困った様子で寄り添いながら傍に居た。

 

浦風「何でなん・・・?せっかく頑張ろうゆぅて思うたのに、何で自分らばっかしでやろうとしたら、こがぁな事になるん・・・?」

 

浜風「仕方ない。こんな時もある」

 

浦風「うちだって仕事できるんに!」

 

浜風「浦風、帰ろう。暗くなってきてる」

 

浦風「うち、諦めとうない・・・」

 

浜風「依頼がキャンセルされたら どうしようもない。帰ろう」

 

浦風「うん・・・」

 

項垂れる浦風を引っ張り、浜風は町を出て鎮守府に帰ろうとした。

すると誰かに声を掛けられ振り向くと、ネロと長門、葛城、川内が居た。

 

浜風「ネロに葛城?どうして皆が?」

 

葛城「仕事がキャンセルされたって聞いて、心配して来たの」

 

川内「何があったの?」

 

話す気にならない浦風の代わりに、浜風は劇団員が全員 辞めてしまい、浦風と浜風だけでは劇をするのは不可能という事で、依頼をキャンセルされた事情を説明する。

 

浜風「依頼がキャンセルされたのなら、もう ここに居る意味はありません。鎮守府に帰るところでした」

 

葛城「浦風」

 

名前を呼ばれた浦風は、葛城に目を合わせる事ができなかった。

2人だけで大丈夫だからと、生意気にも葛城の付き添いを断り この様だ。葛城からは嫌味や小言を言われるんだろうと浦風は思っていた。

だが、葛城の口から出たのは予想とは違っていた。

 

葛城「それでいいの?」

 

浦風「そがぁなん言われても・・・」

 

依頼者からは仕事をキャンセルされたのだ。今更なにを言っても現実は変わらないだろうし、依頼者にも迷惑が掛かってしまう。

 

川内「それって人数が居ればいいんだよね?」

 

浜風「はい?」

 

長門「何も諦める必要はない。劇団員なら ここに居るではないか!」

 

そう言って、長門は また発声練習を始める。

事情が飲み込めない浜風が他の者に説明を求めると、浦風と浜風2人だけでは劇は無理かもしれないが、辞めた劇団員の代わりにネロ達が加われば、ある程度の劇は可能ではないかとの事だった。

 

川内「だから その条件で、支配人と もう1度 交渉してみない?」

 

ネロ「じゃないと長門の やる気が暴発しそうで怖い・・・」

 

ネロ達の提案に浜風は驚きつつも、浦風を見た。

 

浜風「どうする?」

 

浦風「・・・・・・・・・」

 

浜風「決めるのは浦風」

 

浦風「・・・・・・手伝い(テゴ)してくれるん?」

 

長門「当たり前だろう。私達は仲間であり家族なのだ。遠慮せず頼ればいい」

 

ネロと長門、川内の顔を見ると、もう そのつもりであるのは判る。

1番 気掛かりなのは、いま最も気まずい相手である葛城だ。だから浦風は、恐々としながら葛城の方を見る。

すると、葛城が浦風に手を差し出した。

 

葛城「一緒に お願いしてみよ」

 

浦風「・・・・・・ぅ・・・あ、ありがとう・・・!」

 

生意気な口を利いたのに、それでも優しさを掛けてくれる葛城の優しさに、浦風は彼女の手を取り涙を流した。

 

葛城「あ~ほらほら、泣かない泣かない」

 

浦風「すまん~!」

 

葛城「謝らなくてもいいから。ほら涙 拭いて」

 

浦風を落ち着かせると、ネロ達は劇場の支配人に会いに向かった。

 

 

・・・・・・

 

*劇場 17:22*

 

ネロ達と共に劇場へ戻った浦風と浜風は、支配人に どうにか公演できないかと交渉した。

 

支配人「ですが、役者は どこに?」

 

長門「ここに居るではないか!」

 

また長門が その場で発声練習し、何故かキラキラ輝いていた。

 

支配人「はい、すみません、私のために。はい、すみません」

 

川内「何で2回 謝るの?」

 

浜風「口癖だそうです」

 

川内「変な口癖・・・」

 

支配人「はい、すみません。私の夢は、いつか自分の劇団を、世界的な劇団にする事だったんです。もしかすると、これは その1歩になるかもしれません。はい、すみません」

 

ネロ「まぁ、仕事は引き受けた訳だしな。アンタの夢のためにも頑張ってみるよ」

 

支配人「はい、すみません」

 

感動した様子の支配人だったが、突如として その表情が悪いものになりブツクサと何かを言う。

 

支配人「まっ、やらせてやってもいいかな。チッ、素人が」

 

ネロ「おい、聞こえてるぞ」

 

葛城「そこは“すみません”って言わないんだ・・・」

 

 

・・・・・・

 

そして翌日・・・

 

長門「我が名は『フレデリカ』!姫を助けに参りました!」

 

葛城「凄い長門さん。役になりきってる」

 

浜風「凄い演技力ですね」

 

ネロ「俺達も負けてられねぇな」

 

川内「だね」

 

そして公演までの1週間、ネロ達は劇のために演技の練習や舞台の準備、宣伝などを自分達でする事になった。

稽古の合間にビラを配り、舞台のセットを作るために大工仕事、台詞を覚えるのも大変だった。

それでも、皆は楽しそうに準備を進めていた。

 

 

・・・・・・

 

そして稽古を始めてから数日後、ネロ達が練習に励んでいると支配人が顔を出した。

 

支配人「あの、応援団の皆さんが来られてますよ」

 

『応援団?』

 

何だ何だと劇場の外まで誰が来てるのか見に行くと・・・

 

ダンテ「よう」

 

そこにはダンテ、バージル、陸奥、加賀、二航戦、五航戦、鳳翔、川内型の姉妹、陽炎型の姉妹と島風、間宮、グリフォン、シャドウ、ナイトメア、フレキ&ゲリ、元帥、大将、横須賀提督、舞鶴提督、呉提督、佐世保提督、単冠提督、宿毛提督、岩川提督、老人姿のアーロン、ステフ、(たける)刹那(せつな)、羽黒と恋仲であるフィル、ネロと睦月型に悪魔から助けられた事がある(りん)という、よく分からない組み合わせの集団が居た。

 

葛城「ツッコミ所 多過ぎー!!」

 

姉妹艦が来るのは分かる。

鳳翔と間宮は親目線で晴れ舞台を見に来て、それにダンテとバージルが引っ張られてきたのだろうと それも分かる。

飛鷹と足柄、羽黒、時雨が居ないのに、何でグリフォンとシャドウ、ナイトメア、フレキ&ゲリは来た?

元帥、大将、横須賀提督、舞鶴提督、呉提督、佐世保提督、単冠提督、宿毛提督、岩川提督という日本海軍の主要施設の責任者が、揃いも揃って来てるのは大丈夫なのか?

アーロンとステフ、健に刹那も、オリーブ財団での仕事は どうした?

フィルと凜が居るのも よく分からん。誰が呼んだ?

 

翔鶴「もうすぐ本番ね」

 

元帥「劇は久々に観るなぁ」

 

大将「招待に感謝する」

 

呉「みんな頑張ってねん♪」

 

グリフォン『冷やかしに来てやったぜ

 

葛城「ってか、何でステフ達まで居るの?」

 

ステフ「ニコから連絡 貰って、面白い物が見れるから日本に来た方がいいって言われたのよ」

 

健「それで、急遽 仕事を中断して来たってわけ」

 

ネロ「犯人はニコかよ・・・」

 

川内「じゃあフィルと凜は?」

 

フィル「僕も足柄さんから、似たような事を言われたんだ。序でに、グリフォン達の世話も任されちゃってね」

 

凜「私も卯月ちゃんから同じこと言われて来たの」

 

ネロと葛城、川内、浦風、浜風は一気に顔が青ざめた。身内に見られるのは恥ずかしい。

 

葛城「何か一気に疲れが・・・」

 

元帥達がナイトメアを見ても平然としてる事も含め、ツッコミなんて入れてたらキリがないと思い葛城は諦めた。

 

 

・・・・・・

 

そして公演当日となり、ビラ配りの効果もあってか、劇場には多くの人が足を運び客席が埋まった。

応援団のダンテ達は2階の特別席に通され、そこで劇が始まるのを待っている。

舞台袖では、ネロ達が緊張しながら客席の様子を見てドキドキし、支配人は喜んでいた。

 

支配人「おぉ~、こんなに客が入るなんて初めてですよ。はい、すみません」

 

浦風「うちも こがぁな大勢の前で演奏するん初めてじゃ」

 

葛城「あとは成功させるだけね」

 

ブザーが鳴り劇場の照明が暗くなると、浦風が猛練習したハープの演奏が始まった。

幕が上がりスポットライトが点くと、ハープを演奏する浦風の姿が現れる。

浦風の演奏に、来場客は心動かされ聴き入っていた。

 

単冠「綺麗な演奏ですね」

 

宿毛「素敵~・・・」

 

葛城『遠い昔、西国の王子が、敵国の姫に恋をした』

 

葛城のナレーションと共に別のスポットライトが点き、王子の衣装を着てポニーテールにした長門が照らされる。

 

陸奥「あら、似合ってるじゃない」

 

客席でも好評で、女性客を中心に長門の王子姿にメロメロになる人が続出した。

しかし・・・

 

長門「ぁ・・・あがっ・・・ぁあっ・・・」

 

長門は油の切れたロボットのような動きで妙なポーズを取ったまま、いつまでも台詞が出てこない。

 

ネロ「おいおいおい・・・」

 

葛城「何で あんなに緊張!?」

 

川内「本番に弱いタイプだったっけ?」

 

長門の足はガクガクと震え、いつまでも台詞を言わない事で浦風の演奏も終わってしまい、妙に思った客席がザワザワとして騒然とする。

 

長門「うぅ~わ、我・が・名、フフ、フレッ、フレデュジュ・・・姫を、助けに、まぃった・・・」

 

吃るし、噛むし、声も上擦ってるし、長門の演技力は練習の時と違い、最強最悪に劣化していた。

 

佐世保「・・・ガチガチだな」

 

岩川「いや、きっとリアルな緊張感を演じてるんだ」

 

雪風「ラマーズ法とか言うやつですね!」

 

舞鶴「ちげーよ・・・」

 

葛城が台本を確認しながら長門の様子を見てると、長門は腰のサーベルを抜いて掲げ、次の台詞に入るのだが・・・。

 

長門「わた、わた、私には父上の━━」

 

葛城「飛ばしてる飛ばしてる、そのセリフ早過ぎだからぁ・・・!」

 

浜風「緊張で殆んど呼吸してないみたいです」

 

ネロ「長門仮面やった時を思い出せよ・・・!」

 

長門仮面をやった時は役を演じるというより殆んど素だったため、あの時は自分自身のままでいられたから それほど緊張しなかった。

だが今回のフレデリカは完全なる別人を演じなければならず、完璧に演じなければならないというプレッシャーから、長門はガチガチに緊張してしまっていた。

 

長門「じゅ、じゅうず、(つるぎ)が・・・」

 

すると いきなり、長門が艤装を展開して無意識で砲撃し、客席から悲鳴が上がる。模擬弾で命中しなかった事もあり、負傷者は出なかった。

それを見ながら応援団の多くは唖然としていたが、全く違う反応をする者も居た。

 

大将「芝居を見るのも命懸けだな」

 

グリフォン『これ楽しいな!

 

冷静な者や楽しんでる者も居るが、ネロ達の方は焦っていた。

 

浜風「長門が故障しました」

 

ネロ「どうすんだよ?」

 

葛城「と、兎に角、あらゆる手を使って誤魔化すしかないわね!」

 

川内「私の出番まだ?」

 

葛城「うるさい!」

 

そしてネロ達が どうにか誤魔化すために動き出し、縄で縛られ吊るされた姫役の浜風が、上から下りてきた。

 

浜風「あぁ、助けてくださいフレデリカ様!私は あの『セインバルト』に捕まってしまいました!」

 

健「・・・・・・“あの”って言われても・・・」

 

刹那「誰?」

 

すると舞台に、次はオールバックで男装をした川内が現れた。

 

川内「我が名は『ジュリアス』!姫を返してほしくば、私と勝負したまえ!」

 

ダンテ「お前も誰だよ!?」

 

横須賀「セインバルトは どうなったんだー?!」

 

バージル「意味が分からん」

 

鳳翔「みんな上手ですね♪」

 

長門「しゅ、しゅ、しょ、しょ、勝負、勝負、勝負・・・」

 

顔色の悪い長門は冷や汗を流し、手にサーベルを持ったまま川内に顔を向ける。

 

川内「ヤバー、長門さん限界だ・・・!」

 

すると何を思ったのか、ダンテ達と一緒に劇を観ていたグリフォンが飛び、長門の頭に着陸した。

 

『グリフォン!?』

 

川内「何やってんのさ・・・!?」

 

ダンテ達の方もネロ達の方も、グリフォンの突然の行動に驚いたが、浜風は咄嗟の機転を利かし、このままグリフォンも劇に巻き込む事にした。

 

浜風「よく来た、我が忠実なる使い魔グリフォンよ!しばしフレデリカ様を休ませておくれ!」

 

このままグリフォンに連れられ長門が退場するかと思われたが、このタイミングで長門の意識が覚醒する。

 

長門「むっ!?酸欠が治った。フレデリカ復活!」

 

酸欠が治ったのとグリフォンは関係ない。偶然である。

長門が復活した事で、客席から歓声が上がる。いや、冷やかしかもしれない。

一先ず大丈夫ならと、川内は このまま長門との戦闘シーンに入ろうとキングケルベロスを出す。

それを見てダンテが自分の持ち物を確認すると、キングケルベロスが無い事に気付く。

 

ダンテ「あいつ いつの間に・・・!」

 

実は執務室に置いてあったのを、川内が黙って借りて持ってきてしまっていた。小道具で使おうとして。

 

川内「喰らえ!氷のヌンチャク!」

 

川内がポーズを取ると、客席から また歓声が上がる。

冷静そうに黙って川内を見ていた長門は・・・

 

長門「っ、何の!わ、私には、10の(つるぎ)がある!」

 

そう言いながら剣を使わず川内に砲撃する。やっぱり まだ冷静ではないようだ。

 

川内「のわ~~っ!?お助けー!!」

 

そして攻撃を受けた川内は戦わずして逃げ、舞台袖に退場した。あまりのジュリアスの情けなさに、客席からも笑いが起きる。

 

秋雲「よえー・・・」

 

岩川「リアリズムだ!」

 

雪風「マリッジブルーってやつですね!」

 

陽炎「意味 分かって言ってる?」

 

間宮「ネロさんは まだなのかしら?」

 

こうして姫である浜風は、長門の手によって助けられ縄から解放された。

 

浜風「フレデリカ様、ありがとうございます!」

 

浜風が礼を述べると、長門が跪き手を差し出す。

 

長門「~~姫っ!沢山 子供を作りましょう、30人くらい!」

 

陸奥「気が早いっての!」

 

凜「つか、意味 分かんない・・・」

 

色々と順序を飛ばしていく劇に、客席に居る者達全員が ずっ転けそうになる。

 

元帥「今時の芝居はシュールだな」

 

大将「中々おもしろいですな」

 

鳳翔「みんな輝いてますね♪」

 

すると退場したはずの川内が、また すぐに戻ってきた。

 

川内「束の間の平和も、それまででござる!」

 

那珂「ジュリアス戻ってきたー!」

 

磯風「“ござる”って何だ?」

 

川内「これで終わりだ!出でよ、我が僕のドラゴンよ!」

 

川内がドラゴンを呼ぶと、舞台の背景が左右に分裂し、巨大なドラゴンの着ぐるみが現れた。

 

ネロ「やっと出番か。俺様は全てを破壊する、ドラゴンだー!」

 

黒潮「ネロや!」

 

飛龍「やっと出てきた」

 

ネロが入る巨大なドラゴンは口から火を吐き、宙を飛び回る。

ドラゴンの口から出る火は、ネロの持つレッドクイーンの推進剤噴射機構から出てる物を利用している。

そしてドラゴンは自力で飛んでる訳ではなく吊るされており、裏方の葛城が装置を動かし飛んでるように見せてるだけだ。

脅威的なドラゴンが現れた事で、川内が予想外な申し出をしてくる。

 

川内「くっ・・・!こうなったら手を組むしかない!」

 

長門「お、おう、それは頼もしい~」

 

瑞鶴「お前が呼んだんでしょうが!」

 

天津風「どういう展開なのよ?!」

 

浜風「私が あいつを足止めします!2人は逃げてください!」

 

蒼龍「おいおい何 言っちゃってんの姫!?」

 

長門「た、助かったぞ、姫~!」

 

川内「おう!」

 

長門と川内は、姫である浜風を置き去りに舞台袖へと退場していった。

 

舞鶴「逃げるんかーい!」

 

呉「あ~ん!駆け落ちよ!」

 

不知火「ジュリアスも隅に置けない人ですね」

 

佐世保「若さってやつだ」

 

劇のストーリーが おかしいせいで、観てる側の解釈も どんどん おかしくなっていく・・・。

 

葛城「ヤバッ・・・!」

 

だが ここで新たな問題が発生する。ドラゴンを吊るすロープが切れ、ドラゴンは火を吹いたまま舞台に落下した。

埃が舞って浜風が咳込んでると、近くから焦げ臭い異臭がする。自身が着るドレスの裾を見ると、火が燃え移っていた。

 

浜風「きゃーーっ!!川内 助けてください!!氷!!氷!!」

 

浦風「浜風の“きゃー”初めて聞いた」

 

川内「よーし、キングケルベロスで━━」

 

使えるか分からないが、川内がキングケルベロスでドレスの火を消そうとすると、それよりも速く長門が飛び出しサーベルを連続で振る。するとドレスが細切れになり、浜風が あられもない姿になってしまった。

長門のサーベルは小道具ではなく、何故か本物の刃物だった。

そして大変な事になってしまった浜風を見て、劇場に居る男性陣から歓声が上がる。

 

浜風「きゃー!?///////」

 

翔鶴「あらあら」

 

浦風「は、浜風ー!?」

 

支配人「はい、すみません、ありがとうございます、すみません」

 

すると長門が跪き、しゃがみ込む浜風に自身のマントを羽織らせると、浜風は恥ずかしそうにマントで身体を隠した。

 

長門「姫、大丈夫ですかな?」

 

浦風「下手なくせに役に入り込み過ぎー!」

 

ここまで暴走すると、あとは堕ちる所まで堕ちるだけである。

ずっと蚊帳の外だったネロは、落下の衝撃の痛みに苦しんでいた。

 

ネロ「イ、イテェ・・・!イテェーー!!」

 

痛みで身体が力み、手にしていたレッドクイーンのクラッチレバーを握ってしまい、『イクシード』を発動してしまう。それによりドラゴンの口から火が吹き出し出鱈目に動き回るせいで、火災が発生して火災報知器まで鳴る。

 

川内「やめなよネロ!うわっ・・・!?」

 

キングケルベロスでネロを止めようとしたが、足下からナイトメアが飛び出し川内が吹き飛ばされ、グリフォンがナイトメアの肩に止まる。

 

グリフォン『姫のナイスバディ、さいこーう!

 

『さいこーう!』

 

鳳翔「こらこら」

 

グリフォンの煽りで一致団結する男性客。何だ こいつら?

 

葛城「勝手に出てきて何 言ってんの!?」

 

グリフォン『艦娘の お嬢チャン達のナイスバディは、オレ達が護るぜ

 

グリフォンの言葉に合わせてナイトメアもサムズアップを向けると、2体は そのまま姿を消した。

 

浦風「何しに来た~ん・・・?」

 

劇が滅茶苦茶になり勝手に飛び入りするグリフォンとナイトメアに、浦風は泣きながら絶望する。

暴れるネロと それを止めようとする川内の戦いを呆然と見ていた長門は・・・

 

長門「こ、こうなったら・・・全員 成敗致しすー!!」

 

ヤケクソになり、サーベル片手に その戦いに参戦してしまう。

 

葛城「もう滅茶苦茶ー!!」

 

支配人「うんうん」

 

浦風「それに、何か嫌な予感・・・」

 

ネロと長門、川内が暴れ回るせいで建物が揺れ、客席も動揺から悲鳴が上がる中、遂に劇場が崩壊して舞台だけが残った。

 

浦風「やっぱしー!」

 

浦風が また絶望しながら泣いてると、瓦礫を押し退けてダンテ達の顔が出てきた。

 

呉「あららー」

 

ダンテ「何で こうなるんだ?」

 

翔鶴「あらあら」

 

元帥「お前らは何をしとるんだー?!」

 

だが、不思議な事が起きた。歓声が上がったのだ。

葛城と浦風が客席のあった方に振り返ると、来場客は この意味も分からない迫力のある喜劇が面白いと思い、声を上げていた。

 

長門「でりゃーーっ!!」

 

そんな中、ネロと長門、川内は その声に気付かず戦いを続けており、長門がネロを持ち上げ川内に ぶん投げようとしていた。

 

舞鶴「Devil May Cry鎮守府 最高!」

 

支配人「う~ん、素晴らしい!」

 

よく分からない事になってしまったが、一応は成功だったようで、葛城と浦風の顔にも笑みが戻るのだった。

 

 

・・・・・・

 

それから1週間後、劇場があった場所には巨大なテントが張られ、そこを仮の劇場として公演は続けられていた。

ハチャメチャな劇の噂が広まり、怖いもの見たさで多くの人が連日 来場してくる。

ネロ達と一緒に控え室に居た支配人は、その様子を見ながら満足気だった。

 

支配人「まさか こんなに大ヒットするとはよ。大根役者のくせにやるじゃねぇか」

 

支配人がネロ達の方を見ると、ネロと川内と浜風は疲れから ぶっ倒れており、葛城と浦風は互いに背中を預けながら凭れて泣いており、長門は1人だけ元気で発声練習していた。

 

川内「おい、いい加減 報酬 寄越せよ・・・」

 

ネロ「1日3公演はキツ過ぎんぞ・・・」

 

支配人「グズが!さっさと準備せんかー!」

 

浦風「キャラ変わっとるし・・・」

 

葛城「早く・・・早く帰りた~い・・・!」

 

意味不明な公演が大成功してしまったせいで、ネロ達は しばらく劇団員として働かされるのだった。




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