Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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今回からダンテとネロの裏で、バージルと吹雪型が何をしていたのかという話になりますが、やっと全部の執筆が終わったので、今日から小出しで投稿していきたいと思います。
ホラーを意識した内容になったり ならなかったりですが、雰囲気作りで夜中に読むのもいいかもしれませんね。
因みに私は、偶然にも執筆できる時間が夜中で内容も内容だったので・・・。

380話です!どうぞ!


Mission380 ダム~地図から消えた村~

*旅館 3月6日 12:35*

 

Devil May Cry鎮守府に、行方不明者の捜索の依頼が入った。6人の男女の若者が肝試しに行き、そのまま戻らず音信不通となったのだ。

50年前、ある村がダムの底に沈み地図から消えた。

その後ダムの周辺では不可解な事故が起きるようになり、様々な心霊現象や体験談、目撃情報などで心霊スポットとしても有名になった。

しかし、心霊スポットの中では危険度が高いとされている場所でもあり、肝試しに来た者に不幸があったり行方不明になる事が後を絶たず、この十数年は遊び半分で来る者は居なかったため、そういった話も めっきり減っていた。

だが今になって また遊び半分で来る者が現れ、案の定 行方不明となっていた。

依頼者は行方不明となった若者の中の1人、その親が依頼者だった。

加賀は その依頼をバージルと吹雪型に任せる事にし、バージル達は憲兵3号が運転するマイクロバスで、ダムから少し離れた温泉街にある旅館へ先に立ち寄っていた。

 

叢雲「ねぇ、マイクロバスなんて駐車して大丈夫なの?停める場所ある?」

 

3号「旅館の方には許可 取ってるので大丈夫です。停めてくるんで先に入っちゃっててください」

 

初雪「なら遠慮なく・・・」

 

荷物を持つ吹雪型はバージルと共に旅館に入ると、旅館の大女将に今回 泊まる部屋に通され荷物を置く。

今回はバージルと3号、吹雪型が分かれて2部屋で予約している。

磯波が奥の障子を開けると、窓があり外の景色を一望する事ができた。

 

磯波「うわ、凄い・・・」

 

吹雪「ほんとだー!絶景だね」

 

旅館は かなり高い位置に面しており、遥か下には川が流れ、山の景色も広がっている。

 

叢雲「はしゃいでんじゃないわよ。荷物 置いて昼食 終わらせたら すぐに現地調査よ」

 

初雪「行きたくない・・・」

 

吹雪「まぁ、行きたくはないよね・・・」

 

今回の仕事の中心となるのが心霊スポットであるため、理屈とか関係なく行きたくない気持ちが どうしても勝ってしまう。

そういう曰く付きの場所で事故やトラブルを回避するには近付かないのが吉だが、仕事であるため そうも言ってられない。

 

叢雲「依頼 引き受けたんだから仕方ないでしょ!愚痴ってないで早く行くわよ!」

 

初雪「私が行かなくても大丈夫な気がする・・・」

 

叢雲「旅は道連れ」

 

初雪「・・・・・・・・・」

 

叢雲「旅は道連れ」

 

吹雪型の中では常に叢雲がリーダーシップを発揮してるが、これでも5番艦である。

そして1番艦の吹雪から4番艦の深雪まで、誰も叢雲に逆らう事ができない。姉なのに。完全に吹雪型の中での実権を妹に奪われている。

尚、9番艦の磯波は叢雲の妹に当たるので、端から叢雲に逆らうという意思はない。

 

初雪「こんな妹 嫌だぁ~・・・」

 

叢雲「生意気 言ってないで起きなさいよ!さっさと行くわよ!」

 

深雪「いや お前の方が生意気って思われるのが普通だからな!」

 

叢雲「うるさーーーい!!!」

 

吹雪「(司令官、吹雪型の将来が心配です・・・)」

 

日常が喧嘩漫才みたいな吹雪型は部屋を出て、別の部屋での宿泊となるバージルと憲兵3号を迎えに行き一緒に昼食を済ますと、再びマイクロバスに乗って行方不明となってるポイントへ向かうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*ダム 14:42*

 

旅館からマイクロバスを1時間ほど走らせ、行方不明事件の中心地であるダムに到着した。

ダムでは観光地として見学する事もできるので、他の観光客の姿もある。

吹雪型はダムの外回廊から遥か下を見て震えていた。

 

吹雪「た、高い・・・」

 

3号「うっほー!すげー!」

 

3号はカメラを手にダムや周辺の景色を写真に撮りまくり、完全に観光客と化している。今回は運転手として同行してもらっているので、これくらいは許してもいいだろう。

 

深雪「普通に観光客とか来てんじゃん。誰だよ、危険な心霊スポットとか言ってるのは」

 

白雪「正確には、問題が起きてるのはダムじゃなくて その周辺みたいだよ」

 

深雪「じゃあ何でダムに来たのさ?」

 

叢雲「ここが全ての中心だから」

 

白雪「とりあえず ここの事を お復習しようか」

 

50年前、このダムの稼働と共に ある村が消えたと言ったが、それに関する話が もう1つあった。公式記録では当時の村人達はダムの建設に伴い別の場所に移住したとあるのだが、それとは真逆の噂があるのだ。

ダムの建設が決まり村人達は立ち退きを命じられたが、村人達は長く住み慣れ愛着のある村を捨てられず、反対して抗議を続けた。

だが反対意見を押し切りダムの建設が始まり、それでも村人達は居座り、自分達を盾に建設を阻止しようとした。人の命を犠牲にしてまで、建設はできないだろうと考えたからだ。

だが村人達の思惑とは違い、山の開拓、ダム開発、そして建設は止まる事なく進んだ。それでも村人達は、このまま村に居れば危険であると知りながらも村に残り続けた。

そしてダムに水を溜める工程で、村は水の中に沈み地図からも消滅した。残っていた村人達と共に・・・。

その噂が、この一帯を心霊スポットに至らしめている理由の1つでもあった。その後 不自然な事故も多発する事から、その噂にも拍車を掛けている。

 

叢雲「その村の周辺にも幾つかの集落があったらしいけど、ダムに沈んだ村が消えてから衰退して全滅したそうよ」

 

初雪「ぜ、全滅・・・?」

 

叢雲「そっちは誰かが死んだとかじゃなくて、生活難で移住して村を棄てただけらしいけどね。でも無関係じゃないはず」

 

何故なら異変は、村の周囲にあった棄てられた集落、つまりはダムの周囲で起きている。直接的にではなくとも、少なくとも間接的には何か関係してるに違いない。

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

話を聞いていた吹雪と初雪、深雪、磯波はガタガタと震えていた。噂が どこまで事実か不明だが、村人の命を犠牲にしてまでダム開発を推し進めたのだとすれば、何とも罪深い場所であり、そりゃ心霊現象や事故が起きても不思議ではないと思ってしまう。

 

吹雪「うぅ・・・」

 

初雪「や、やっぱり帰ろう・・・!」

 

深雪「こっちにまで怨みのヘイト向けられたくない!」

 

磯波「怖い・・・」

 

白雪「気持ちは分かるけど、私達に拒否権はないと思うよ」

 

深雪「何で!?」

 

叢雲「1、行方不明者を そのままにできない。2、既に依頼を引き受けてる。3・・・悪魔と戦ってるんだから幽霊なんかにビビんな!」

 

吹雪「それでも怖いよぉ・・・」

 

初雪「横暴・・・!」

 

深雪「引き受けたの誰だよ!?吹雪型で そんなの引き受ける奴 居ないだろ!」

 

叢雲「加賀補佐艦」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

鎮守府の実権を握る実質No.4の名前が出て、吹雪と初雪、深雪、磯波は何も言えなくなる。

 

叢雲「加賀補佐艦」

 

深雪「2回も言わなくても分かるってんだ!何で あの人 引き受けたんだよ~・・・」

 

叢雲「だからバージルも一緒に来てるんでしょ。とりあえずダムを見て回って、何でもいいから調べて」

 

吹雪「調べるって言っても、何を調べたらいいの?」

 

叢雲「あるはずのない何か」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

叢雲「動け!」

 

「「「「は~い・・・」」」」

 

吹雪と初雪、深雪、磯波は渋々ながら移動を始め、白雪と叢雲も その後ろを歩いて移動する。

そんな中、バージルは動かずダムから見える風景を見詰めていた。

バージルはダムがある山に入ってから、妙な気配だけは ずっと感じていた。だが その気配は微弱で微かに感じるだけで、その元となってるものの正体までは分からなかった。

ただ、その気配が良い物か悪い物かだけはハッキリと断言できる。

 

バージル「(・・・ここは悪意に満ちているな)」

 

その後 吹雪型は観光客に紛れダムを見て回ったが、心霊現象や事故、行方不明に繋がるような手懸かりは何も見付からなかった。

 

 

・・・・・・

 

*旅館 20:12*

 

日が暮れる前に旅館に戻った吹雪型は、安全な場所に安心しながら丁度 夕飯を終わらせた。

 

深雪「いや~、出張で こんな美味いもん食えるなんて役得だねぇ」

 

白雪「何たって旅館の食事だからね」

 

叢雲「仕事も ちゃんとしてくれたら文句ないんだけどねー」

 

吹雪「まぁまぁ、叢雲ちゃんも旅館に居る時はリラックスしたら?」

 

磯波「ご飯も終わったし、温泉に行かない?」

 

初雪「磯波、グッジョブ・・・!」

 

磯波の提案に、よく言ってくれたと称えるように初雪がサムズアップを向ける。

温泉に行く事に反対する者も居ないため、準備してから吹雪型は楽しそうに温泉に向かった。

その頃バージルと憲兵3号に与えられた部屋では・・・

 

バージル「・・・・・・・・・」

 

3号「(気まずー!)」

 

バージルと3号は顔を突き合わせて読書に励んでいた。

吹雪型の方とは違い大して会話も弾まず、気難しいバージルとのコミュニケーションの取り方も分からず、3号は全く盛り上がらない静寂の中で、バージルと同じように読書をして静かにしながら、時が過ぎるのを待つしかなかった。

 

 

・・・・・・

 

*山 3月7日 10:13*

 

翌日、バージル達は再びマイクロバスで山へと入り、今回はダムの周辺の調査に出向いていた。

そしてトンネルの手前でマイクロバスを止め、吹雪型は降りる準備をする。

 

3号「本当に戻っていいんですか?」

 

叢雲「えぇ。でも夕方には迎えに来て」

 

段取りとしては、調査はバージルと吹雪型だけで行う。

この先は心霊現象や事故などの問題も多発してるため、念のため3号には一旦 旅館に戻ってもらい、指定した時間に迎えにだけ来てもらう事にしていた。

 

白雪「それまでは ちょっとした休暇だと思って、楽しんできてください」

 

3号「それは嬉しいですけど、自分だけ戻るのも申し訳ないっていうか・・・」

 

叢雲「この先は何が起きるか分からないし、全員で何かに巻き込まれて全滅は避けたいの。何かあれば携帯で連絡するから」

 

3号「了解です」

 

初雪「むぅ~っ・・・!」

 

3号「(こっちも気まず~・・・)」

 

初雪は3号だけ普通の旅行みたいになってる事に、恨めしそうに彼を睨んでいた。

 

叢雲「睨んでないで あんたは降りる!」

 

初雪「い、嫌だぁー!」

 

ここから先は、心霊現象などが起きる危険ゾーンに入る事が分かっているため、初雪は必死に抵抗するが、その甲斐もなく叢雲に引き摺り降ろされた。

Uターンして戻っていくマイクロバスを見送ってから、吹雪型はトンネルの方へ向き直る。

 

『・・・・・・ゴク・・・』

 

気のせいかもしれないが、まだ朝であるのにトンネルの周りだけ妙に重苦しいような、暗いような、そんな気がして吹雪型は思わず生唾を飲み込む。

 

バージル「行くぞ」

 

どんな雰囲気だろうが知った事かと言わんばかりにバージルがトンネルに向かい、吹雪型は恐怖に耐えるため歯を食い縛りながら彼に追従する。

トンネルは少し長く、中は照明が点いてるため先まで よく見える。

バージルに追従する形で中に入り、吹雪型はビクビクしながら壁の落書きを見て歩く。

 

深雪「普通、落書きしに こんな所にまで来るかぁ・・・?」

 

叢雲「と言うより、肝試しの序でに落書きしたんじゃない?」

 

吹雪「白雪ちゃん、このトンネルでの噂ってないのかな?」

 

白雪「一応あるみたいだけど、どこまで本当の話かは分からないよ?」

 

噂では、深夜であるのに このトンネル内で子供を見たとか、車で通るとサイドミラーに映る後方で女の姿が見えるとか、その程度の話だ。

 

磯波「・・・・・・ひうっ!?」

 

歩いてると磯波の肩に冷たい雫が落ち、それに驚いて小さな悲鳴を上げてしまう。

 

磯波「な、何だ水かぁ・・・」

 

トンネル内部では、部分的に地面が水に濡れてるような場所もある。

 

深雪「何で こういう陰気なトンネルって、どこも こんな濡れてるんだろうな?」

 

叢雲「その答えは単純」

 

老朽化でトンネルに出来た隙間に雨水が浸透し、それがトンネル内部に漏れ出ているからだ。心霊スポットだからとかは関係ないので、気にする必要はない。

などと叢雲の話を聞いてると、初雪にも冷たい雫が落ちてきた。

初雪は それを手で拭くようにしてから手を見ると、真っ赤な血が付着していた。

 

初雪「・・・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~っ!!!!」

 

吹雪「うわっ、何!?」

 

深雪「ど、どうしたぁ!?」

 

初雪が人生で あんまり出した事がないような悲鳴を上げ、吹雪達が驚き彼女の方を見ると、四つん這いになるように蹲っていた。

 

叢雲「ちょっと、どうしたのよ!?」

 

初雪「ち・・・血ぃ・・・!」

 

ガタガタと震える初雪は顔を上げないまま、血が付着していた左の手の平を見せる。しかし、吹雪達は初雪の手を見て怪訝な顔をした。

 

吹雪「血?」

 

叢雲「なに言ってんの?血なんて付いてないじゃない」

 

初雪「えっ!?」

 

驚き顔を上げた初雪は慌てて自分の手を見るが、真っ赤に染まっていたはずの手は確かに何も付いていなかった。

 

初雪「な、何で・・・!?」

 

叢雲「あんた怖いからって妄想 捗り過ぎじゃない?」

 

初雪「ち、違っ・・・!ほんとに血が・・・!」

 

磯波「あれ?バージルさんは!?」

 

自分達の前を歩いていたはずのバージルが、いつの間にか姿を消していた。吹雪型は丁度トンネルの半分の距離に居るのだが、先に出口へと行ってしまったのだろうか?

自分達も早くトンネルを抜けようと歩を進めかけた その時、背後でドスッと重さのある何かが落ちる鈍い音がした。恐る恐る後ろを振り返るが・・・何も無い。気のせいなんかじゃなく、確かに すぐ後ろで何かが落ちる音がしたのだ。それなのに・・・何も無いのだ。

直後、カランカランと金属的な乾いた音がした。見ると、以前ここに来た誰かが捨てたと思われる空き缶が離れた位置に落ちていたのだが、それが ゆっくり転がり道の真ん中で止まる。

また その空き缶が ゆっくりと動き、吹雪型から見て左へと転がり壁に ぶつかり、今度は反対側へと ゆっくり転がり右の壁に ぶつかり乾いた音を鳴らす。

ただ おかしいのは、トンネル内は気持ち悪いほど無風なのに、空き缶が独りでに動いてる事だ。

吹雪型は互いの顔を見合わせると顔が青ざめていき・・・

 

『うわぁあああああああ!!!!』

 

恐怖心を抑える理性が遂に限界を迎え、悲鳴を上げながら出口に向かって残りの距離を全力疾走する。

トンネルから出ると、少し先でバージルが待っていた。

 

『うわ~~~~ん!!』

 

バージル「・・・・・・何だ?」

 

吹雪型が号泣しながらバージルの服を引っ張り何かを訴えてくるが、人語を喋らないため何1つ伝わらない。

 

バージル「お前達の変な遊びに構うつもりはないぞ」

 

『うわ~~~~ん!!』

 

吹雪型は泣きながら そうじゃないと首を激しく横に振るが、バージルは彼女達の必死の訴えを無視して先に行ってしまう。

吹雪型は置いていかれても困るので、パニックになりながらも泣くのをやめてバージルを追い掛ける。

 

 

・・・・・・

 

トンネルを抜けてから少し進むと、舗装された道が途切れてしまった。

今は鬱蒼とした山の獣道を進む中、吹雪型はバージルに離れてほしくないので、彼のコートの裾を持って歩いていた。バージルからすれば、ずっと引っ張られてるような状態で歩くのが しんどい。

 

初雪「叢雲だってビビってた・・・」

 

叢雲「う、うううううるさいわね!別に私は幽霊 居ないとは言ってないでしょ!」

 

初雪「叢雲ビビってた・・・」

 

叢雲「あんた1人にして置いていくわよ?!」

 

初雪「ごめん!」

 

吹雪「(謝った・・・)」

 

深雪「すぐ謝るのセコいよな。それ以上 怒れないじゃん」

 

叢雲「こいつ すぐ煽ってくる癖に すぐ謝るから1番 腹立つ」

 

初雪「吹雪、私の方が お姉ちゃんなのに“こいつ”って言われた・・・長女として教育して・・・」

 

吹雪「お願いだから仲良くしてよ・・・」

 

バージルが一緒である安心感からか、吹雪型の調子も少しずつ戻ってきた。

そんな道中で、白雪が足元に落ちてる何かに気付き それを拾う。

 

白雪「カメラ?」

 

誰も近付かなくなった山に、あまり汚れていない綺麗なカメラが落ちていたとなると、最近ここに足を踏み入れた者が居るという事だ。もしかすると、行方不明になった若者6人の内の誰かの物かもしれない。

念のため保存されたデータを確認すると、依頼者が話していた行方不明者6人が写っていた。

なら この辺りを探せば見付かるかもと思った瞬間、どこからか少女の声音で歌う『とおりゃんせ』が聴こえてきた。

バージル達は、どこから この童歌が聴こえるのかと辺りを警戒しながら探るが、声が反響して位置が特定できない。遠くで歌ってるように聴こえれば、近くで歌ってるようにも聴こえる。

 

磯波「えっ、子供!?」

 

磯波が元々 進む予定だった進行方向に振り向くと、白い着物を着たボブカットの少女が こちらを見ていた。

ただ、吹雪型は この状況に違和感を感じた。何故こんな山奥に、着物を着た女の子が1人で居るのかと。

 

深雪「え~、あれ何~?」ヒソヒソ・・・

 

叢雲「知らないわよ。地元の子とかじゃないの?」ヒソヒソ・・・

 

バージル「・・・・・・・・・」

 

吹雪「あの、私達 人を探してて、この辺で誰か見たり・・・って、えぇーっ!?」

 

行方不明者の事を訊こうとしたら、少女は背中を向けて山奥へと走っていってしまう。

 

叢雲「何か怪しい!絶対なにか知ってる!追い掛けるわよ!」

 

折角 見付けたかもしれない手懸かりを逃がしたくない思いから、吹雪型は逃げる少女を追い掛ける。

 

バージル「待て!」

 

少女を追い掛ける事に意識が集中してるからか、バージルの制止が聞こえてないのか吹雪型は止まらない。

バージルは舌打ちしながらも、吹雪型を放っておく訳にもいかず彼女達を追い掛ける。

 

 

・・・・・・

 

逃げる少女は相変わらず、『とおりゃんせ』を歌いながら楽しそうにスキップして山の中を進んでいく。

その後ろを、吹雪型は汗を流しながら必死に追い掛けていた。

 

深雪「うおーー!高速が売りの駆逐艦がスキップに負けてるぅー!」

 

叢雲「何で こっちの足の回転より早く進めるのよ!?」

 

初雪「高速艦より高速してる・・・!」

 

更に その後ろを、少女の背中を睨みながらバージルが追い掛けてきていた。

吹雪型は気付くべきだった。少女がスキップで自分達の足の速さよりも速く動ける事に、人ならざる者であると。

だが手遅れだ。少女が通った場所の すぐ横には、雑木林に隠れた異様な形をした お地蔵様が立っていたのだが、それに気付かずバージル達が お地蔵様の前を横切り通り過ぎた瞬間、山の中が一瞬にして夜になり、真っ暗になったのだ。

 

叢雲「えっ、ちょっ・・・どういうこと!?」

 

白雪「まだ昼前だったはずなのに、何で夜に・・・!?」

 

初雪「有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない・・・」

 

吹雪「バージルさん、これって・・・」

 

バージル「・・・どうやら、何らかの結界の中に入ってしまったようだな」

 

叢雲「結界って、打ち破る方法は?」

 

バージル「分からん。俺の知ってる結界とは何かが違う。それより“待て”と言ったのが聞こえなかったのか?貴様らの無鉄砲さには呆れて物も言えん」

 

『ごめんなさい・・・』

 

しかし こうしてても仕方ないため、吹雪型は探照灯を点けて辺りを照らしながら進む事にした。

いつの間にか『とおりゃんせ』を歌っていた少女の声も聴こえなくなっており、姿も見失ってしまっていた。




次回も宜しく お願い致します!
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