384話です!どうぞ!
怨霊を撃退しながらバージルと吹雪、初雪、深雪、叢雲、磯波は、白雪を探すため村の探索を続ける。
途中 白雪を見付けるが、白雪が居た橋まで行くと見失ってしまった。
だが そこで、吹雪は白い着物を着た少年が自分達を見てる事に気付く。
少年を追って辿り着いたのは、どこに繋がってるかも分からない洞窟だった。
洞窟を進んでいると また くぐもった声が聞こえ、狂ったように笑う白い着物の少女が現れた。
少女にはバージルの攻撃が通じず、退却を余儀なくされる。
洞窟にあった梯子を登り出た先は、また どこかの大きな屋敷だった。
そこでも白雪を探すが、開かない戸まで来て行き止まりだった。
しかし そこでも声が聞こえ、鎌などを持った怨霊がバージル達を睨んでいた。
*家屋 ?月?日 ??:??*
?『巫女と御子は どこだ?!』
?『どこに隠した?!』
?『開けろ!』
鎌などの凶器を持った怨霊達は、怒声を上げながら襲い掛かってきた。バージルは鞘に納まったままの閻魔刀で迫る凶器を弾き、押し返す。
瞬時に敵を取り囲むように配置する『烈風幻影剣』で怨霊達を囲み、怨霊達は動きを止めて『烈風幻影剣』を見てから、バージルの方に再び視線を向ける。
ほんの少しの間 両者の睨み合いが続いたが、怨霊達が『烈風幻影剣』を無視して動こうとした。その瞬間、『烈風幻影剣』が動き怨霊達に突き刺さり動きを止める。
間髪入れずにバージルが閻魔刀を抜刀し、怨霊達は纏めて消滅した。
叢雲「・・・あいつら、何に怒ってたの?何か“隠した”って・・・」
深雪「こっちが白雪 隠されて怒りたい気分だっての」
初雪「シンプルに・・・迷惑・・・」
よく分からなかったが、人間だった頃の正気を既に持ち合わせていない怨霊の言う事を理解するなど、簡単にできるような話ではない。
気にならない訳ではないが、自分達には優先してやらなければならない事がある。何があろうとも白雪を見付けて一緒に帰らねば。
最後の念押しで初雪が開かない戸を開けようとしてみると、さっきと違い簡単に横にスライドし、開ける事ができた。
初雪「開いちゃった・・・」
深雪「んだよメンドクセェなぁ」
簡単に戸が開いた事に、どこも最初から こうであればと愚痴ってしまう。
そんな中、吹雪は浮かない顔をしていた。
吹雪「何だか、変だよね・・・」
深雪「何が?」
吹雪「戸が開かなかったり、幽霊が消えたら開いたり・・・さっきの幽霊が言ってた事も、全部 理由があるのかなって・・・」
叢雲「・・・理由があったとしても、私達には関係ない。白雪を見付けて この村から出る。それが何より大事でしょ?」
吹雪「うん、それは分かってる・・・」
深雪「あんまり気にするなよ。じゃないと、吹雪まで取り憑かれちまうぞ~」
吹雪「や、やめてよぉ~!」
バージル「話は終わりだ。先に進むぞ」
開いた戸の先は部屋だった。
そこには何も無かったため、部屋を通り抜けて別の戸を開けると、また通路が出てきた。
通路を進み角を曲がると、通路の先で白雪が歩いてるのが見えた。だが白雪は角を曲がり、すぐに姿が見えなくなる。
駆けて同じ角を曲がると、奥の突き当たりに白雪が背を向けて立っていた。
吹雪「白雪ちゃん・・・」
白雪の名を呟くと、それに反応したのか白雪が振り返り こちらに歩いてくる。
『っ・・・!?』
だが白雪の姿は、狂気に満ちた笑みを浮かべる白い着物の少女に変わってしまった。突然の事に吹雪達は動揺し、悲鳴を上げる事すらできない。
バージルは閻魔刀に手を掛けるが、両サイドから深雪と叢雲に腕を引っ張られた。
深雪「あいつはダメだって!」
叢雲「今は逃げるしかない!」
吹雪達はバージルを無理矢理 引っ張り、撤退を選択する。
角を曲がり少女に見られてない内に、目に付いた戸を開け部屋の中に逃げ込み、急いで戸を閉める。
流石に見られてないから ここに居るとは思わないだろうと思ったのも束の間、ガタン・・・ガタンガタンと戸を叩く音がして吹雪達は後退る。
白雪『お願い、開けて・・・お願い・・・』
吹雪「白雪ちゃん・・・」
戸の向こうから、白雪の声がする。だが何かが違う気がする。
すると戸が開きそうな音がして、吹雪達は慌ててバージルを引っ張り皆で襖の中に逃げ込む。
バージルに抱き付き、息を殺して気配を消す中、襖の向こうからは誰かを探すように畳を踏み鳴らす足音がしている。
白雪『・・・・・・居ない・・・』
足音が離れていくのを聴き、吹雪達は どうにか回避できたと思い、安堵の溜め息を吐く。
バージル「余計な真似を・・・」
深雪「今のままじゃ勝てる見込みないじゃん」
磯波「でも何で?どうして白雪ちゃんが あの女の子に・・・!?」
叢雲「・・・もしかして、白雪に取り憑いてるのが あの子なんじゃ・・・」
バージル「(だとすれば、あの小娘が巫女という訳か)」
吹雪「じゃあ、白雪ちゃんを助けるには彼女を どうにかしないといけないんだ・・・」
深雪「選りにも選って1番 厄介な奴に取り憑かれてんのかよ・・・」
初雪「おかしい・・・今朝の星座占いじゃランキング1位だったのに、どうして私が こんな目に・・・!」
叢雲「それ当てにならないっての・・・」
まだ どうすればいいのか分からないが、白雪を助けるには あの白い着物の少女を追うしかなさそうだ。
バージルが見付けた書物や日誌に儀式の詳しい記録が残っていた事から、白雪を助ける方法の手懸かりも見付かるかもしれない。そのために襖から出て、バージル達は屋敷の探索を再開した。
・・・・・・
探索中、時々 遭遇する怨霊に襲われるが、そこはバージルが居るので問題ない。
問題なのは、いつ また白い着物の少女に見付かるか分からない状況で手懸かりが見付からない事だ。
探索の場を移し別の階へ行くため階段を上がってると、階段の踊り場にある壁の格子状の窓に、白い着物の少女が歩いてるのが見え、吹雪達は思わず足を止める。
少女はバージル達に気付かず そのまま歩いていき、どこかに入り姿を消した。
大丈夫かと思い踊り場まで上がると、格子窓の向こうの通路に いきなり人影が現れ こっちを向いていた。暗くて よく見えないが、格好から白雪だと判る。
吹雪「白雪ちゃん・・・?」
名を呼ぶが、白雪は何の反応もせず ゆっくりとした足取りで こちらに近付いてくる。
吹雪「白、雪・・・ちゃん・・・」
白雪が格子窓の前まで来るが、普段の彼女と同一人物とは思えないほど冷たく虚ろな目と目が合い、吹雪達は1歩 後退る。それを見て、白雪の表情が寂しそうなものに変わった。
白雪は格子の間から手を差し出してきて、吹雪は恐る恐る自分の手を出し白雪の手を握る。
白雪は吹雪の手を握り返すと、吹雪の手を自分の顔の方に持っていき、愛しそうに頬に当てる。
吹雪「白雪、ちゃん・・・?」
白雪「先代達は儀式をした・・・今度は私達が・・・」
そう言うと、白雪の姿が一瞬に血塗れの白い着物の少女に姿を変えた。
吹雪は驚き、後退りながら後ろに倒れそうになるが、初雪達が受け止め支える。
再び視線を向けると白雪の姿に戻っていたが、彼女はバージル達の方を向いたまま、1歩、また1歩と後ろに下がっていき、姿を消してしまった。
深雪「もう、どうなってんだよ・・・?いま喋ってたのは白雪なのか?それとも幽霊なのか?もう どっちなんだよ!」
理解の及ばない数々の現象と これまでの状況から、何を信じ何をすればいいのか分からず、泣き喚く事しかできない。
バージル「どちらであろうと、鍵を握るのは白雪と あの小娘だけだ。ならば行くしかあるまい」
深雪「うぅっ・・・!」
叢雲「深雪・・・」
吹雪「白雪ちゃん・・・」
・・・・・・
階段を上がり別の階へ行くと、下の階とは違い蝋燭に火が灯っておらず、かなり暗い場所だった。
そんな場所を探照灯で照らしながら歩いてると、進行方向にある角からセミロングの少女の青白い顔が、こちらの様子を窺うように覗いていた。それを見て吹雪達の血の気がサーッと引く。
すると角から少女が飛び出して・・・
?『お兄ちゃんを返せ!』
文句を言って走り去っていった。
襲ってくる訳でもなく ただ文句を言われた事に、吹雪達は意味が分からず唖然とする。
叢雲「・・・・・・意味 分かんない人」
確認のために訊くと、吹雪達は全員 手を挙げた。ちゃっかりバージルまで手を挙げている。
初雪「お兄ちゃん取った人・・・」
これは誰も手を挙げない。
少女の言葉から、何かしらの形で兄を奪われたようだが、何故か その怒りがバージル達のせいにされてるのは よく分からない。襲ってきた怨霊の中に兄でも居たのだろうか?
叢雲「だとしたら、バージルのせいよね・・・」
バージル「知らん。大切なものなら鎖にでも繋いでおけば良かろう」
深雪「うわ、鬼畜じゃん・・・」
兄を鎖に繋ぐ妹・・・死んでまでやる事じゃない。
何はともあれ、元々 少女が走っていった方に行くつもりだったため、行ってみるしかないだろう。
・・・・・・
通路を進み、さっきの文句を言ってた少女が部屋の中に入るのが見えた。
叢雲「・・・・・・行ってみる?」
深雪「バージル、スタンバイよろしく」
少女を追って部屋の中に入ってみるが、少女の姿は見当たらない。
すると襖の中から、微かに物音がした。
叢雲「・・・あ、開けてみる?」
磯波「き、気を付けて・・・!」
叢雲は ずっと怨霊達に襲われる鬱憤も溜まっていたため、逆に脅かしてやろうと勢い良く襖の片側を開けた。だが襖の中に少女の姿は見当たらず、誰かの書いた日記が置かれていた。
叢雲は しゃがみ、襖の下段に上体を入れて日記を取ろうとしたが、中に入ってから動きが止まった。真横で青白い肌をした少女が、無表情で見詰めていた。どうやら襖の開けてない側に居たらしく、見なくても分かるほど、突き刺さるように視線を感じる。
少女の顔が、ゆっくりとした動きで徐々に近付いてくる。
動けないまま焦りだけが募る中、少女は日記に手を伸ばし それを取ると、突き飛ばす勢いで日記を押し付けてきた。
突き飛ばされるように襖の中から弾かれ叢雲が尻餅を突くと、凄い勢いで襖が閉められた。
深雪「お、おい・・・大丈夫か?」
叢雲「う、うん・・・何かくれた・・・」
吹雪「それ、日記?」
叢雲「よ、読めって事かな?」
日記を開けて読んでいくと、どうやら少女が生前に書き記した物らしい。
少女は この村で、巫女の身の周りの世話をする侍女の役目を与えられていた。
巫女と御子は贄となる事で神として祀られる。そのため それに選ばれた時点で村では特別な扱いを受け、侍女が世話をするのも その1つだった。
同時に、少女の兄が御子として選ばれた。彼女は儀式で何をするのか詳しく聞かされていなかったようで、自分の兄が御子に選ばれた事を大層 喜んだ。自分の兄は特別なのだと。
巫女と御子に選ばれてからは、儀式の日まで身内が接するのは禁止されているため、御子である兄には別の侍女が付いた。
その後は巫女の世話をしてる時の事が綴られており、日頃の巫女の様子や、話し相手になって仲良くなった話が続いていた。
その部分は読み飛ばしていき、最後の方の祭の当日から内容が怪しくなってきた。
巫女と兄が村から逃げ出した。
大人達は大騒ぎになり、血眼になりながら村の中や山を探し回った。
少女は思った。巫女と御子に選ばれるのは特別な事なのに、名誉ある事なのに、どうして逃げるのかと。
自分の兄は特別で凄い人なんだ、逃げるはずがない。きっと巫女が兄を唆し、騙して村から逃げたんだと、少女は思うようになった。
そして大人達が探し回った甲斐もあり、兄が見付かったと聞いた時は喜んだ。兄が帰ってきてくれる。
兄は罰として蔵に閉じ込められたが、それも仕方ないと思った。どんな理由があろうと、大人達から見れば逃げた事には変わらないから。
だが、その後に事態は急変した。閉じ込められていた蔵で、兄は自らの首に縄を掛けて自害したのだ。
その後 巫女が見付かった報せも聞く。
その時だけ巫女に会うのは禁じられていたが、お前のせいで兄が死んだと怒りの限りを ぶつけなければ気が済まなかった。
言い付けを破り巫女に会いに行くと、巫女は部屋の真ん中で立ったまま、涙を流しながら狂ったように笑っていた。
少女は巫女を見て恐怖した。優しかった巫女の面影は消え、別人のように変わり果てていた。
少女は偶然 来た大人に見付かり、部屋から連れ出された。その時は怒られるだけで済んだらしい。
だが その後、更に事件が起きた。巫女は刃物を手に、涙を流しながら狂ったように笑い続け、村人を惨殺し始めたのだ。
その後 巫女は拘束され、狂った上に御子も居ない状態では儀式は中止になるかと思われたが、村長が儀式を強行する事を決め、引き続き準備が進められた。
そして儀式が行われると、巫女の狂気が伝染したかのように、今度は村人達が互いを殺し合った。
少女は村の惨状に恐怖し、この襖の中に逃げ込み ずっと隠れたのだった。
日記の最後には、“怖い”と何度も何度も書き殴ってあった。
『・・・・・・・・・』
深雪「何だよ これ・・・こんな事があっていいのかよ・・・」
吹雪「もしかして、あの時 見たのって・・・」
白雪を追って最初の大きな屋敷に入った時、吹雪達は沢山の死体が転がる中で、白い着物を着た少女が狂ったように笑ってるのを見た。もしかすると あれは、この日記に書かれていた惨状だったのかもしれない。
叢雲「あんた・・・」
叢雲は少女が入っていた襖に視線を向けた。
日記には少女が この襖に逃げ込んだ後の事が書かれていない。もしかすると村に災厄が拡がった時、少女は ここに隠れたまま命を落としたのかもしれない・・・。
バージル「儀式を煽動していた奴は分かった」
吹雪「どうするつもりですか?」
バージル「同じ時を繰り返し、村長とやらの魂も この地に留まっているのなら、そいつは必ず また儀式をやろうとするはずだ。そいつを滅ぼせば或いは・・・」
初雪「儀式をする人が居なくなって、白雪も助かる・・・?」
深雪「おぉ、何か希望が見えてきたな!」
叢雲「ありがとう・・・」
襖の中に居た少女が どういった意図で この日記を渡してくれたのか分からないが、この村で何があったのか更に理解を深め、これから自分達が どうするかの指針が決まった事には違いない。だから叢雲は、少女に そう言わずにはいられなかった。
襖の中では、嗚咽を漏らしながら少女が泣いていたが、これ以上 関わるのは良くないだろう。
深雪「ここから どこに行けばいいんだ?」
叢雲「あの子の お兄さんは御子だった。それで蔵に閉じ込められたのよね?」
深雪「そうらしいけど・・・」
叢雲「蔵に行けば、何かあるかも」
吹雪「なるほど、ヒントを辿っていくんだね」
叢雲「そういうこと」
先ずは少女の日記にあった蔵を目指す事にするが、部屋の外の通路から足音がし、バージル達は咄嗟に そちらに向く。
そこで吹雪達は、また顔を強張らせる事になった。部屋の戸の横の壁には破れた障子窓があり、そこから見える通路で血塗れの白い着物を着た巫女の少女が、こちらに向かって歩いてきていた。
巫女の少女は障子窓の前を通り、戸の方に行き姿が見えなくなるが、足音は戸の前で止まっていた。
バージル達の姿は巫女の少女に完全に見られていたため、見逃してもらえる可能性は最初からなかった。しかも他に出入り口もないため、袋のネズミだ。
バージルは閻魔刀の柄に手を掛け、吹雪達も一か八かで兵装を構える。
ガタガタッと僅かに戸が揺れた後、戸が開き開けた者が迫ってくる。
だがバージル達は少しも動けなかった。部屋に入ってきたのは巫女の少女でなく、白雪の姿だったからだ。
白雪は吹雪に駆け寄ると、再会を喜ぶように抱き締めた。いきなりの事で、吹雪は戸惑い白雪を見る。
白雪「吹雪ちゃん・・・吹雪ちゃん・・・」
吹雪「白雪、ちゃん・・・?」
白雪「私、自分が どうなっているのか、分からないよ。でも、何があっても、吹雪ちゃん達のこと許すから・・・」
吹雪「白雪ちゃん・・・」
白雪は吹雪から離れると、真っ直ぐ眼を見て、また“置いていかないで”と あの言葉を言った。
吹雪は白雪の両肩に手を乗せ・・・。
吹雪「白雪ちゃんを置いていく訳ないじゃない。ずっと探してたんだよ。・・・早く、この村から出よ」
白雪「うん」
いま見る限りでは、白雪は吹雪達の知る白雪であるように見える。
思わね形で白雪が戻り、村から脱出するため吹雪達は彼女を連れて部屋から出ていく。だがバージルは すぐに動かず、白雪の背中を見ていた。
白雪には巫女の少女が取り憑いていたはずだ。何もないまま元の白雪に戻るとは思えない。バージルは それを疑っていた。
・・・・・・
*廃村*
どうにか出口を見付けて屋敷の外に出ると、白雪は すぐに足を止め遠くの空を見上げる。
白雪「お祭りが、始まる・・・」
吹雪「白雪ちゃん、早く行こ?早く この村から出ないと・・・」
白雪は それに対し答えず、空を見上げたままだったが、いつまでも こんな事してる場合ではない。白雪を歩かせ、バージル達は少女の日記に書かれていた蔵に向かうのだった。
・・・・・・
*蔵*
蔵を探して村を歩き回り、漸く それらしい建物を見付けた。
深雪が蔵の扉を開け、皆で真っ暗な蔵の中に入る。
入った瞬間、白雪の頭の中に誰かの記憶が流れ込んできた。
巫女の少女が蔵に入ると、正面の蔵の奥で御子の少年が首を吊った状態で ぶら下がっていた。
そしてシャラン、シャランと何度も鳴る音と共に、誰かの厳格そうな男の声がする。
“祭が始まるぞ・・・”
そこまでの記憶を視た途端、白雪は顔を手で覆って泣き出してしまった。
吹雪達は何も言えず困ったような表情をし、バージルも黙って白雪を見ていた。
だが状況を変えるため、叢雲が口を開く。
叢雲「ここに何かあるかもしれないし、一応 確認だけしていきましょ」
叢雲の提案に吹雪と初雪、深雪、磯波は頷き蔵の中にある物を物色していく。
白雪は まだ本調子とは思えないため待機してもらい、彼女の事はバージルに任せた。
蔵の中を調べていく中、吹雪は蔵の奥の床に置かれた大きい箱が気になった。
箱を開けて中に入ってる物を手に取ろうとすると、中から青白い肌の手に腕を掴まれた。吹雪は驚き、慌てて手を振り解きながら後退る。
掠れて くぐもった呻き声が蔵の中で響き、箱の中から長い黒髪の女の頭が ゆっくりと出てきた。それを見て、吹雪達は一気に冷や汗が噴き出し焦る。
深雪「リ、リアル貞◯・・・!」
吹雪達が青白い肌の女から目が離せず動けなくなってると、初雪は我先にと逃げようとし、蔵の扉に手を掛ける。
しかし・・・
初雪「(開・か・な・いぃ゛ー・・・!)」
扉は固く閉ざされ閉じ込められた状態だった。
それに初雪が焦ってる間にも、女はノロノロと箱から這い出てくる。
そして立ち上がると、殺意を持ってバージル達に襲い掛かってきた。
深雪「バ、ババババージルゥ~!」
対処できるのがバージルだけであるため、どうにかしてくれと気持ちを込めて彼の名を呼ぶと、バージルは閻魔刀を抜刀して女に斬り掛かる。だが女は素早い動きで後ろに下がり躱すと、スッと壁の中に隠れるように消える。
初雪「~~~~っ・・・!」
初雪が ずっと扉を開けようとしてるが まだ開かない事から、これで終わった訳ではなさそうだ。女は まだ こちらを狙ってるはずだ。
すると扉からヌルッと女が姿を現し、扉の前に居た初雪の首を掴み絞め殺そうとしてくる。
初雪「ぁ゛・・・かはっ・・・!」
首を絞められながら持ち上げられた初雪は、助けを求めようとするが、首を掴む力が強過ぎて上手く声が出せない。
そこにベオウルフを装備したバージルが横から殴り掛かるが、女は初雪から手を離して扉の中に戻り姿を消す。
叢雲「初雪、大丈夫!?」
初雪は恐怖から涙を流し、必死に首を横に振りながら、色んな意味で大丈夫じゃない事を伝える。
次に女が どこから来るか警戒してると、バージルの頭上から女の頭が出てきた。
女は落ちるように頭上から狙うが、それを察知していたバージルはオーバーヘッドシュートの要領で女を蹴り飛ばした。
閻魔刀での攻撃でないためダメージになっていない女は起き上がるが、顔を上げると既に接近していたバージルが眼前に居て、それに驚き動きを止める。
その一瞬の隙を逃さずバージルは閻魔刀で両断し、女は掠れて くぐもった悲鳴を上げながら消滅した。
吹雪「な、何で箱の中に幽霊 入ってたの!?」
深雪「あいつら どこからでも出てくるな・・・」
叢雲「あの箱に何かあるのかしら?」
磯波「む、叢雲ちゃん、近付かない方が・・・」
叢雲は気にする事なく吹雪が開けた箱に近付き、中に入ってる物を取り出す。それは何かの紋章を象ったオブジェだったのだが、用途までは不明だった。
叢雲「何か、こんなの入ってたけど」
深雪「何だ それ?ガラクタじゃん」
叢雲「戻す?」
深雪「戻せ戻せ。そんなの持ってても役に立たないだろ」
バージル「いや、それは持っていろ」
深雪「えー、何で?」
バージルは叢雲が手に持つオブジェから、何やら不思議な力を感じ取っていた。
悪魔が関連する場所などでは、役に立ちそうにない物がギミックを動かしたり、扉を開いたり、先に進むためのカギとなる事が多い。その経験から、バージルは念のためにオブジェを持っておく事を提案する。
深雪「そういう事なら・・・持っとくか?」
叢雲「そうね。ここは年長者の言う事を聞いときましょうか」
深雪「それ司令官が たまに言うやつ」
初雪「意外・・・叢雲が・・・素直に司令官の言ってたこと守ってる・・・」
叢雲「う、ううううるさいわね!今は その方がいいかなって状況分析して判断しただけよ!別に司令官の言い付け守ってる訳じゃないし!///////」
『はいはい』
叢雲「ほんとだってば!」
叢雲が狼狽えてる中、吹雪達は優しい笑みを浮かべながら温かい眼差して彼女を見るのだった。
そしてバージル達は、『宗家の紋章』を手に入れた。
次回も宜しく お願い致します!