Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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今回は久し振りに、1話完結となっております。

395話です!どうぞ!


Mission395 深海棲艦アカギ~加賀の葛藤~

*Devil May Cry鎮守府 艦娘寮・一航戦の部屋 4月9日 1:35*

 

多くの者が寝静まる深夜、艦娘寮では加賀が布団の中に入っていたが、横になってるだけで寝た訳ではなかった。

ずっと暗い部屋の中で天井を見ていた加賀は、顔を横に向ける。そこには、隣に敷いた布団で深海棲艦アカギが大人しく寝ていた。

ダンテがアカギを鎮守府に連れて帰ってから、加賀は彼女と どう接するべきか悩んでいた。

ダンテやアカギ本人から、自分が よく知る赤城とは違うと言われたが、横須賀鎮守府で魔界化が起きた時に、赤城が深海棲艦となるのを見た。頭では理解しているが、それもあり別人として接するのが難しかった。

同時に、見た目が自分の知る赤城とは違う事も相まって、同一人物として接するのも難しく、加賀の中に葛藤が生まれ、どう接するか悩む原因となっていた。

 

加賀「(赤城さん・・・)」

 

アカギ『ネムレナイノカ?

 

考え事でボーッとしてて気付かなかったが、寝ていたはずのアカギが いつの間にか こちらを見ていた。

 

加賀「な、何でもないわ・・・」

 

加賀は寝返りを打ち、アカギに背を向ける。その背中を、今度はアカギが黙って見詰めていた。

加賀も そのまま寝る訳でもなく、しばらく切ない表情で自分の葛藤と向き合うのだった。

 

 

・・・・・・

 

*執務室 10:01*

 

加賀「はぁ・・・」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

同日、執務室で朝から仕事を開始していた加賀は、ずっと溜め息を吐いて仕事が手に付かない状態だった。

いつも通り仕事をする大淀と、何もしてないダンテも加賀の様子が おかしい事に気付いており、話し掛けていいのか判らず黙ってチラチラ見ていた。

 

加賀「はぁ・・・」

 

大淀はダンテを見て目が合うが、ダンテは自分は知らないと言う風に首を横に振る。

 

加賀「はぁ・・・」

 

大淀「か、加賀さん、資材の数を確認しに工廠に行ってきますね!提督も別の仕事で席を外しますから!」

 

ダンテ「え?」

 

大淀「ほら行きますよ」

 

溜め息を吐くばかりで加賀からは返事が返ってこなかったが、大淀はダンテを引っ張り執務室の外に出た。

 

ダンテ「何だ?」

 

大淀「加賀さん、調子が狂ってます」

 

ダンテ「そんなの見りゃ分かる。あいつだって そういう時ぐらいあるだろ」

 

大淀「提督が深海棲艦のアカギさんを連れて返って、深海運河海域の制海権を獲ってから ずっと あんな調子なんですよ?」

 

ダンテ「・・・・・・俺のせい、って事か?」

 

大淀「アカギさんにも事情があって連れてきたというのは分かります。けど元が赤城さんだからって、何も加賀さんと同室にする事ないじゃないですか」

 

ダンテ「何が悪いんだ?」

 

大淀「加賀さんが ああなる気持ちは私でも分かります。一航戦の お2人は、艦艇だった頃から相棒で、共に戦火を駆け抜けた戦友で、互いに護りたいと思い合える、切っても切れない絆で繋がってるんです」

 

ダンテ「長い付き合いだから俺も知ってる」

 

大淀「提督が話してくれましたよね?赤城さんの身体から彼女の魂が抜き取られ、深海棲艦のアカギさんの魂だけが残ったと。私や皆も、きっと加賀さんも、頭では理解してます。けど私や他の皆は兎も角、加賀さんは どう接していいか分からなくなってしまいますよ」

 

ダンテ「新しい艦娘が着任したと思って接すればいいだろぉ。あっちのアカギは赤城と一応 別人なんだからよぉ」

 

大淀「そんな単純な話じゃないんです!」

 

ダンテ「俺だって単純には考えてない。だが赤城を戻すには、深海棲艦になってる肉体も必要なんだ。アカギは他の深海棲艦に狙われてる。アカギを護るには ここに連れてくるしかないだろ」

 

大淀「やっぱり何も分かってません!提督の言ってる事は分かりますよ・・・!でも提督は、赤城さんを元に戻そうとする事ばかり考えて、加賀さんの気持ちを これっぽっちも考えてないじゃないですか!」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

ダンテは大淀に指摘されて思う部分があったのか、何も言葉を返す事ができなかった。

大淀は工廠に行くとだけ言い残し、走って立ち去ってしまった。

大淀に怒られてバツが悪そうなダンテは執務室に戻ろうとしたが、中に溜め息ばかり吐く加賀が居るのを思い出して戻りづらくなり、その場を離れ当てもなく鎮守府をウロウロするのだった。

執務室の中では、加賀が背中でドアに凭れ掛かるようにして立っていた。ダンテと大淀の会話は、加賀に聞かれていた。

 

 

・・・・・・

 

*食堂 13:11*

 

昼、食堂では昼食で集まってきた者達で賑わっており、そんな中でネロが、ほっぽの面倒を見るためアカギとも一緒に食事を摂っていた。

 

ほっぽ『・・・・・・コレ、キライ・・・

 

ネロ「嫌いって、自分で注文したんだから ちゃんと食べないとダメだろ」

 

ほっぽ『ピーマン・・・イジワルナ アジスル・・・

 

ネロ「いや意地悪って・・・」

 

そんな光景がある食堂の注文カウンターでは、加賀が立ったままボーッとしていた。

何を注文するのかと待ってる間宮は、加賀が いつまでも注文しないので苦笑いを浮かべていた。

 

間宮「加賀さん?」

 

加賀「・・・・・・・・・」

 

間宮「かーがーさん?」

 

加賀「はい?」

 

間宮「何を注文するの?」

 

加賀「あっ・・・えっと・・・エビフライ定食で」

 

間宮「はーい。エビフライ定食メガ盛り1つー!」

 

加賀「あっ、今日は大盛りで」

 

間宮「えっ、メガじゃなくていいの!?」

 

加賀「大盛りで」

 

間宮「メガ訂正で大盛りでー!」

 

間宮がオーダーを厨房の方に伝えると、厨房の妖精さん達が既に調理した食材を盛り付けていき、すぐにエビフライ定食が出てきた。

加賀がエビフライ定食が載ったトレイを持って空いてる席に向かってると、ネロに呼び止められた。

 

ネロ「加賀、こっちで一緒に食べないか?」

 

ネロに誘われたが、加賀はネロの向かい側に座るアカギを見て顔を曇らせる。

 

加賀「ぁ・・・・・・ごめんなさい、今日は違う人と食べようと思うの」

 

そう言って、加賀は龍驤と利根型が居る席の方に行ってしまった。

ネロと加賀の会話を見ていたアカギは、申し訳なさそうにネロに謝った。

 

アカギ『スマナイ・・・キット ワタシガ イッショニ イタカラダト・・・オモウ・・・

 

ネロ「気にするなよ。加賀もアンタを悪く思ってる訳じゃない。ただ少し・・・まだ この状況に慣れてないだけさ」

 

アカギ『・・・ホントウニ、スマナイ・・・

 

ほっぽ『アカギ・・・ナニカ ワルイコト・・・シタ?

 

ネロ「ほっぽは気にせずピーマン食べなさい」

 

ほっぽ『ヴヴヴヴッ・・・!

 

ほっぽの口から彼女が出したとは思えぬ野太い声がしてネロは驚いたが、後から徐々に笑いが込み上げてきた。

 

ネロ「ほっぽが敵になったら、ピーマン食べさせたら勝てそうだな」

 

ほっぽ『ヴグゥヴヴヴヴッ・・・!

 

ネロ「分かったって・・・ピーマンだけ俺が食べてやるから」

 

ほっぽ『コレモ・・・

 

ネロ「それはダメ」

 

他にも嫌いな物があったようなのだが、ピーマンは譲歩して食べてあげるだけで、嫌いな物全部 食べてあげるつもりはない。

ネロに拒否されて、ほっぽは絶望した顔で ずっと怨嗟の唸り声を上げ続けるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*演習場 15:07*

 

昼過ぎ、演習場では加賀と葛城、龍驤、瑞穂、長門型で艦隊を組み、もう片方は二航戦と五航戦、大和型で艦隊を組み、艦隊演習が行われていた。

二航戦と五航戦から艦載機が発艦して向かってくるが、加賀達の方は動きがなかった。

 

加賀「・・・・・・・・・」

 

葛城「艦隊 旗艦、指示してください!」

 

龍驤「加賀ぁ!?」

 

長門「おい、何してるんだ!?」

 

加賀「・・・・・・・・・」

 

陸奥「もう何でもいいから こっちも艦載機 発艦して!」

 

瑞穂「は、発艦します!」

 

だが出遅れたせいで、発艦する前に二航戦と五航戦の艦載機から爆撃を受けて被弾しまう。

 

長門「くっ、今から私が指示する!機関最大で航行!態勢を立て直し、艦載機を発艦して航空戦に突入!私と陸奥は、機銃と三式弾で敵艦載機の接近を阻止する!」

 

艦隊は長門の指示した通りに迅速に動くが、加賀だけボーッと突っ立ったまま その場から動かない。

そこを狙われ、加賀が また爆撃を受けて被弾するが、痛がる事もなく何の反応も見せず立っていた。

 

葛城「加賀さん!?」

 

龍驤「何か知らんけど加賀が無敵の人になっとるぅー!」

 

被弾した加賀を見て随伴艦は焦るが、相手艦隊の瑞鶴は悪い笑みを浮かべていた。

 

瑞鶴「チャーンス!今なら あのムカつく加賀を倒せる!」

 

瑞鶴の艦載機が加賀を集中して爆撃し、少しの間それが続く。

爆撃が止まり煙が晴れると、大破した加賀が水面に うつ伏せの状態で倒れていた。

 

瑞鶴「・・・・・・やり過ぎたー!!」

 

翔鶴「ちょっと瑞鶴!?」

 

龍驤「瑞鶴なにしてくれとんねん?!」

 

飛龍「加賀さん!?」

 

武蔵「おい、どうなってるんだ?!」

 

大和「急いで加賀さんを医務室に!」

 

模擬弾を使ってるため、損傷は大破までで気絶するような事はないはずなのだが、加賀が倒れた事で艦隊演習は中止となった。

 

 

・・・・・・

 

*医務室 15:34*

 

加賀が医務室に運ばれたと聞き、ダンテは医務室に行き明石から話を聞いていた。

 

明石「原因は睡眠不足と疲労ですね。艦隊演習で瑞鶴さんの爆撃を受けて、限界が来たんでしょう」

 

ダンテ「睡眠不足って、いつも就寝時間には艦娘寮に帰らせてたのに何で寝てないんだ?」

 

加賀は夜遅くまで執務室に残って仕事を片付けようとする時もあり、ダンテは それを知っていたため、できるだけ休ませようと追い払うように無理矢理 艦娘寮に帰らせる事もあった。

だから睡眠くらいは取れてると思っていたため、加賀が睡眠不足なのがダンテには疑問だった。

 

明石「分からないんですか?」

 

明石に問い詰められ、ダンテは午前中に大淀から言われた事を思い出し、自分がアカギと同室にさせたせいだと思い当たった。

 

ダンテ「俺のせいだ・・・」

 

明石「大淀が色々と言ったらしいですから あまり言いたくないですが、提督以外は どうして加賀さんが こうなったか皆 気付いてました」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

明石「・・・鎮守府が発足して、最初は私と大淀、赤城さんに加賀さん、鳳翔さんに間宮さん、電ちゃんと提督の8人でやってきました。それも ずっと昔の事です」

 

ダンテ「・・・そうだったな・・・」

 

明石「提督は ずっと、私達の何を見てきたんですか?ずっと一緒に居たのに、何で加賀さんが誰よりも繊細な人だって気付いてあげられないんですか?」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

明石「一先ず点滴はしてあるので、休ませてあげてください・・・」

 

ダンテ「分かった・・・」

 

明石が医務室から出ていくと、ダンテは深い溜め息を吐きながら その場に しゃがみ込み、頭を抱えた。

 

ダンテ「何で こうも上手くいかないんだろうなぁ・・・」

 

そこに、アカギが恐る恐る医務室の扉を開けて中に入ってきた。

 

アカギ『スマナイ・・・ワタシノセイデ・・・

 

ダンテ「・・・何で お前が謝ってるんだ?それも俺が悪いのか?俺だよなぁ・・・」

 

アカギ『ワタシハ・・・ココヲ デテイコウト・・・オモウ・・・

 

ダンテ「それは認められねぇな。ここを出て どうする?深海棲艦にも狙われてるってのに・・・」

 

アカギ『ホッポモ イッショダ

 

ダンテ「だーから、2人だけで どうにかなるもんでもねぇだろ。敵か味方かも分からない深海棲艦から、本気で ずっと逃げ続けられると思ってんのか?」

 

アカギ『ダガ、ワタシガ ココニ イタラ、メイワクガ・・・

 

ダンテ「お前は赤城に会いたくないのか?」

 

アカギ『・・・・・・アイタイサ・・・ナンポウカイイキデノ タタカイノ ヒ・・・アカギハ ワタシヲ ウケイレテクレタ・・・アカギト 1ツトナッタ アノ トキ・・・トテモ ココチヨカッタ・・・ダカラ・・・マタ アイタイ・・・

 

ダンテ「なら ここに居ればいいじゃねぇか。ここに居る理由が欲しいなら、赤城を取り戻すために俺達に協力して ここに居ると思えばいい」

 

アカギ『・・・ダガ、カガハ・・・

 

ダンテ「加賀なら大丈夫だ、俺が話するから。お前は堂々としてろ」

 

アカギ『・・・・・・ワカッタ・・・

 

アカギが静かに医務室から出ていくと、ダンテは また深い溜め息を吐いた。

誰かに相談したくても、鎮守府に居るメンバーを考えると自分が責められるだけの光景しか思い浮かばず、誰にも相談できない。ダンテは困り果ててしまった。

 

ダンテ「誰か助けてくれ・・・」

 

 

・・・・・・

 

深夜2時、ダンテは ずっと医務室に残り、加賀が眠るベッドの横にある椅子に座って ずっと考え事をしていた。

 

 

“ずっと一緒に居たのに、何で加賀さんが誰よりも繊細な人だって気付いてあげられないんですか?”

 

“・・・気にしないというのは無理です。あなたは大切な誰かを失った事が無いから、そんな事が言えるんです”

 

“その・・・昨日は、大変 失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした”

 

“どういうことか説明して!おかしいと思ってたわ!妖精さんが あなたを恐れているのを見た時からね!”

 

“悪魔が正義の心?馬鹿にしてるの?”

 

“私は・・・悪魔とか人間だとか関係なく、あなた自身を見て・・・判断することにしました”

 

 

ダンテ「(・・・・・・誰よりも繊細か・・・確かに、そうだったな・・・)」

 

ダンテは これまでの事を少し振り返り、赤城を取り戻すという先の事ばかり考え、目の前に ずっと居た艦娘達の事を ちゃんと見てやれてなかったと反省していた。

 

ダンテ「提督 失格だな・・・」

 

加賀「そうね。提督としては落第点だわ」

 

ダンテ「加賀!?」

 

加賀が目覚めていた事に気付かず、彼女が声を発した事で不意を突かれ、ダンテは驚いた。

加賀は上体を起こそうとしたが、ダンテに止められる。

 

ダンテ「まだ寝てろ。睡眠不足と疲労で倒れたんだぞ」

 

加賀「私は もう大丈夫だから」

 

ダンテ「だーから寝てろっての。明石のOKが出るまで ここで休んでろ」

 

ダンテに頑なに止められ、加賀は諦めて身体をベッドに預けた。

 

加賀「情けないわね。秘書艦補佐なのに、自分の体調管理もできないなんて・・・」

 

ダンテ「お前は悪くねぇよ。その・・・あれだ!・・・俺が・・・俺が悪かった・・・」

 

加賀「・・・・・・何か変な物でも食べたの?」

 

急にダンテがソワソワして謝るものだから、加賀は遂にダンテの頭が おかしくなったのかと思い、つい そんな事を言ってしまう。

 

ダンテ「食ってねぇよ・・・」

 

加賀「じゃあ どうして あなたが謝るの?」

 

ダンテ「だから・・・ずっと様子が おかしかっただろ。俺がアカギを連れ帰って、お前と同室にしたからなんじゃないのか?」

 

加賀の様子が おかしくなった原因と思われる事を口にすると、加賀の目から涙が流れた。それを見て、ダンテは激しく動揺する。

 

ダンテ「わ、悪かった!俺が悪かった!お前が そこまで悩むと考えてなかった!悪かった!」

 

加賀は泣き顔を見られないようにと、腕で顔を隠したまま口を開く。

 

加賀「ち、違う・・・違うの・・・」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

加賀「・・・私・・・分からないの・・・自分の気持ちが分からなくて・・・怖いの・・・」

 

ダンテ「加賀・・・?」

 

加賀「あなた言ったわよね・・・赤城さんの魂が抜き取られて、深海棲艦のアカギさんの魂が残ったのが彼女だって」

 

ダンテ「・・・あぁ、言った」

 

加賀「深海棲艦は敵・・・今でも そう思ってる・・・でも肉体は赤城さんなんでしょ・・・?」

 

ダンテ「・・・そうだ」

 

加賀「でも彼女は深海棲艦!私は・・・!私は彼女を どう思えばいいのか分からない・・・!どうして こんな事に・・・!」

 

ダンテは、こんな時どう言えば正解なのか、言葉を探すように眼を泳がせた。

ダンテが何も言葉を紡がない故に、加賀の言葉は少しずつ続く。

 

加賀「肉体は赤城さん・・・でも人格は深海棲艦・・・私は・・・彼女を どう思い、どういう風に見て・・・どう接すればいいのか、分からないの・・・。提督・・・私は どうすればいいの・・・?」

 

それは、どこに定義を置いて考えるかで変わってくるだろう。

艦娘が轟沈すれば深海棲艦となり、深海棲艦が轟沈すれば艦娘となるように、両者には切っても切れない特殊な関係がある。そんな中でもアカギは、更に特殊で矛盾した存在と言える。

Mr.Jが日本海軍 呉鎮守府の提督だった頃、赤城は その指揮下に居て轟沈した。

轟沈した時に赤城の魂が2つに分かれ、同一個体の艦娘の赤城と、深海棲艦のアカギが同時に存在する事になった。

年月が経ち、ダンテの指揮下で戦う事になった赤城は、南方海域で自身の半身であるアカギと会い、2人の魂は再び1つとなった。この時に、赤城の中には艦娘としての魂と、深海棲艦としての魂2つを持っていた状態だったと推測できる。

そしてルキフェルスに赤城の魂が抜かれた事で、赤城の身体には深海棲艦の魂だけが残り、今のアカギが居る。

肉体が赤城だから赤城と捉えるのか、人格が深海棲艦だからアカギと捉えるのか、どちらに定義を置いても正解と言え、間違いとも言える矛盾した存在なのだ。

 

ダンテ「それは・・・その答えは、すぐに出さなくていいんじゃないか?」

 

加賀「・・・・・・・・・」

 

ダンテ「お前が どう接したいかは お前の自由だし、好きにすればいい。だが その結論を、急いで出す必要はないだろ」

 

加賀は少し落ち着いたのか、ゴシゴシと涙を拭くと、顔から腕を どけてダンテを見る。

 

ダンテ「昔も お前は、俺が悪魔だと知って怒った事があったろ?けど お前は、そんなの関係なく、俺自身を見て判断するって言ってたじゃねぇか。それでいいんじゃねぇか?」

 

加賀「・・・・・・私、また同じ事を繰り返してる」

 

ダンテ「ん?」

 

加賀「あの時 提督が半分 悪魔だと知って、敵だと思った。人間なのか悪魔なのかに拘って、あなた自身を見ようともしなかった。今回も そう・・・赤城さんなのか深海棲艦なのかに拘って、彼女自身を見ようとしなかった。目には見えてるのに、見ていなかった・・・・・・私って嫌な女よね・・・」

 

ダンテ「そうか?俺は そういうのも人間らしいとは思うがねぇ。俺は気にしなさ過ぎて、気付いたら変な知り合いばっかり増えてたけどな」

 

加賀「ふっ、誰のこと?」

 

本気なのか冗談なのか判らないダンテの話を聞き、加賀は目覚めてから やっと笑みを見せた。

だが その笑みも すぐに、どこか悲しさを帯びたものへと変わる。

 

加賀「本当はね・・・あなたが悪魔だと知った時、怖かったの。私や赤城さん、仲間が襲われた時のように、また同じ事が起きるんじゃないかって。その気持ちを隠そうとして、あなたに酷い事まで言ってしまった・・・」

 

ダンテ「ハッ、いい思い出だ」

 

加賀「ふふっ、変な思い出」

 

ダンテ「かもな」

 

加賀「ありがとう提督。あなたが提督だから、私は また迷わず進んでいける」

 

ダンテ「・・・・・・腹 減ったろ?食堂で何か貰ってくる」

 

加賀「いま何時?開いてるの?」

 

ダンテ「妖精 叩き起こして作らせるさ」

 

加賀「怖がるから程々にね」

 

ダンテ「今更あいつらが俺にビビるかよ。今じゃ あいつらの方が偉そうだってのに」

 

ダンテはグチグチと不満を漏らしながら出ていき、加賀は呆れながら それを見送った。

 

 

・・・・・・

 

*食堂 4月13日 13:15*

 

数日が経ち、明石の許可も出て加賀は仕事に復帰していた。

注文カウンターの前に立ち、いつものように間宮に昼食を注文してる。

 

加賀「間宮さん、和風ソース・ステーキ定食メガ盛り お願いします」

 

間宮「はーい。和風ソース・ステーキ定食メガ盛り1つー!」

 

オーダーを聞き、厨房の妖精さんが すぐにステーキ肉を焼き始め、いい香りが漂ってくる。

 

加賀「サラダと ご飯とスープは おかわり自由ですか?」

 

間宮「自由は自由だけど程々にね?皆の分が無くなっちゃうから」

 

加賀「鎧袖一触です」

 

間宮「鎧袖一触されたら困るのよ・・・」

 

加賀も いつもの調子を取り戻し、昼の分の食料を食い散らかそうとしてる後ろでは、今日もネロが ほっぽの面倒を見ながら、アカギとも一緒に食事を摂っていた。

 

ほっぽ『ヴヴヴヴッ・・・!

 

ネロ「だから嫌いなのに何でピーマン入ってるやつ頼むんだよ?」

 

ほっぽ『ネロ・・・タベテ・・・

 

ネロ「今日は自分で食べなさい」

 

加賀「一緒にいいかしら?」

 

ほっぽにピーマンを食べさせるのに苦労してると、何もかもがメガ盛りのステーキ定食が載ったトレイを持つ加賀が来た。

ただ、いつも避けていたのに今日は加賀から一緒に食事しようと言ってきた事に、ネロは少し驚いた。

 

ネロ「あ、あぁ、いいけど・・・」

 

加賀はアカギの横に座り、食事を始める。その様子を、アカギは食事の手を止め黙って見ていた。

すると その視線に気付いた加賀が振り向き目が合うと、自分のステーキを一切れアカギの皿に置いた。

 

加賀「あげる」

 

アカギ『・・・アリガトウ

 

加賀とアカギは黙々と食事を再開し、どういう心境の変化があったのかと不思議に思ったネロは ほっぽと顔を見合わせ、ほっぽはネロの真似をして一緒に首を傾げていた。

 

 

・・・・・・

 

*演習場 14:53*

 

今日も艦隊演習があり、訓練の予定が入ってる艦娘達が演習場に集まっている。その中に、アカギも居た。

艦娘は深海棲艦を相手に戦争をしてるため、アカギに参加してもらった方が戦闘のイメージがしやすいのではないかという話になり、天龍が勝手に連れてきちゃった。

加賀、アカギ、扶桑型、鳥海、由良で艦隊を組み、もう片方は五航戦、比叡、榛名、摩耶、天龍で艦隊を組んでいる。

 

瑞鶴「ふふーん♪今日も加賀を倒して、どっちの実力が上か見せてやるんだから!」

 

そして艦隊演習が始まったのだが・・・

 

瑞鶴「ちょっと待って!!ちょっと待って!!ちょっと待って!!」

 

榛名「榛名は大丈夫!榛名は大丈夫!榛名 大丈夫じゃない!!榛名 大丈夫じゃない!!」

 

比叡「あっ、これヤバい。ぐはぁっ!!」

 

摩耶「おいおいおいおいおい!?何だよ このコンビネーション!?あいつら組むのは今日が初めてだろ!?」

 

天龍「あれ一航戦だろ!?片方 深海棲艦なのに連携の取り方あれ一航せ━━うわぁあああああ!!」

 

翔鶴「一航戦が復活したなんて聞いてない!!ぁ・・・」

 

瑞鶴「翔鶴姉ぇえええええ!!」

 

一方的な爆撃を受け、五航戦が居る方の艦隊が阿鼻叫喚となっていた。

加賀とアカギは初めて肩を並べての戦闘のはずなのに、驚く程の連携を見せて相手艦隊を蹂躙していた。

その2人を見てる誰もが、栄えある一航戦が復活したと錯覚した。

 

 

・・・・・・

 

艦隊演習が終わり、大破してボロ雑巾みたいになった翔鶴達を加賀が見てると、アカギが近付いてきて話し掛けてきた。

 

アカギ『ドウシテ・・・ワタシヲ ウケイレタ?ワタシガ コワクナイノカ?

 

加賀「もう、深海棲艦か艦娘かは関係ないの。私は、あなた自身を見て判断して、接する事にしたから。人格や その魂が違っても、どっちの赤城さんも赤城さんだから」

 

アカギ『・・・・・・ソウカ・・・

 

加賀「さぁ、もう上がりましょ」

 

アカギ『ン・・・

 

加賀とアカギは肩を並べて、演習場から立ち去り執務室に向かう。自分達は もう大丈夫だと、ダンテに見てもらうために。




皆様、いつも読んでいただき ありがとうございます!
気付けば この物語を投稿し始めてから4年が経ち、5年目に突入しました。
ダラダラと続けておりますが、もう少しで今の章での やりたい事の3分の2が終わります。その後は、クライマックスと完結に向けて どんどん突き進みたいと思います(たまに寄り道もします)。
皆様には、ダンテ達が どのような運命を辿り、最後を迎えるのか、最後まで見届けていただけたらと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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