Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

428 / 551


418話です!どうぞ!


Mission418 壁~今日から私が先生です~

ダンテとネロ、バージルが、鳳翔を怒らせ鎮守府から追い出されてしまった。

そんな時にアーロンから連絡が入り、明陽(めいよう)学苑高校で魔の気配が動いてると言われ、ネロは植木職人となって調査に乗り出す。

しかし休憩中に、退学になった元生徒が暴徒となって現れ、彼らの言い分を聞かない教頭の態度に腹を立てたネロが、教頭にジャーマンスープレックスを喰らわせる。

植木職人の仕事をクビになり、元生徒の面倒を青葉型に任せたネロは、苛めを受けてる(のぼる)と会い、自分の代わりに仕返ししてほしいと頼まれる。

渋々 引き受けたネロは仕返しを完了させ、昂との会話も そこそこに、彼を置いて1人で立ち去る。

そしてネロは、昂の幼馴染みであり、彼を苛めていた杏子(あんず)と すぐに再会し、彼女にも複雑な家庭環境があると知り、少しの間だけ一緒に居る事にする。

だが全ては杏子の罠で、彼女が雇った男達が現れ杏子は姿を消してしまう。

しかし、仕事から帰ってきたダンテとバージルと共に、ネロは男達をボコボコにして返り討ちにするのだった。

 

 

*街 7月3日 22:15*

 

ネロに置いてかれた昂は すぐに帰らず、しばらく1人で考え事をしながら寄り道し、人通りが少ない暗い夜道を歩きながら やっと帰路に着いていた。

すると正面から、杏子と取り巻きの女子生徒2人が現れ待ち伏せされていた。

 

杏子「昂、写真 渡しなよ」

 

昂「・・・もう無いよ」

 

杏子「それで誤魔化せると思ってるの?」

 

昂「ほんとだよ!あれは、すぐに消したから・・・」

 

杏子「・・・ふーん。でも、それで あんたがやった事を許すかは別問題だけどね」

 

取り巻きの女子生徒2人がジリジリと昂に近付いていき、昂は踵を返し走って逃げる。それを、女子生徒2人は追う。

すると杏子の後ろから、ダンテ達にボコボコにされた男達が現れた。

 

男「おい、これじゃあ割りに合わねぇじゃねぇか。あの悪名高いデビルハンターが相手なんて聞いてねぇぞ」

 

杏子「知らないわよ。あんた達が弱いのがいけないんでしょ」

 

男「こっちはボコボコにされた挙げ句、財布まで取られたんだ。報酬 上乗せしてもらわないと話にならねぇな。ちょっと、場所を移して話そうか」

 

杏子の父親は起業して成功を収め、娘である彼女も お金ならあった。その お金で男達を雇ったのだが、実は この男達はチンピラではなく、ヤクザの末端組員だったのだ。

それが裏目に出て、杏子は男達に肩を組まれて どこかに連れ去られてしまう。

それを昂と彼を捕まえていた女子生徒2人は見ていたのだが、女子生徒はマズい事になったと思い その場から逃げ出した。

昂も逃げようとしたのだが、引き返し杏子と男達を追うのだった。

 

 

・・・・・・

 

*廃墟 23:02*

 

杏子「離して!離してよ!」

 

杏子は どこかの廃墟に連れてこられると、乱暴に突き飛ばされ倒れてしまう。

 

男「さて、どうようか?お前の親に金を請求するのもいいが、風俗で稼いでもらうのもいいかもなぁ」

 

そして杏子は、逃げられないようにと縛られてしまう。

それを物陰で見ていた昂は、すぐに その場から離れた。ネロに助けを求めるために。

 

 

・・・・・・

 

*新居 7月4日 1:21*

 

ネロの居場所を知らない昂は、鎮守府に向かった。

警備の憲兵隊はネロは不在だと伝えたが、昂がネロに会わせてくれと騒ぎ、すぐに拘束された。

騒ぎを聞いた青葉型が対応し、昂から明陽学苑高校の生徒である事と全ての事情を聞いた彼女達は、彼をネロの居る新居へと連れてきていた。

ネロも事情を聞いたが、ずっと妙な面倒に巻き込まれていたため、その顔は助けに行こうとする表情ではなかった。

 

昂「お願いネロ、助けてよ!」

 

ネロ「・・・断る」

 

昂「何でだよ!?」

 

ネロ「便利屋はボランティアじゃないんだ。お前あの女とダチなんだろ?そんなに助けたいなら、自分で助ければいいだろ」

 

昂「・・・・・・分かった。もうネロには頼まない!僕が自分で助ける!」

 

投げ遣りに言い放った昂は、新居から飛び出し出ていった。

それでもネロは、不機嫌そうな顔のまま動かない。

 

衣笠「ネロ、このままでいいの?」

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

衣笠「ネロ!」

 

ダンテ「衣笠、何も言わなくていい。ネロだって分かってるさ」

 

衣笠「でも!」

 

ダンテ「ったく、血は争えないよなぁ。親が親なら子も子で、主役やりたがるんだからよ」

 

「「・・・・・・?」」

 

青葉型にはダンテの言ってる事の意味が分からず、この状況に不安が募るばかりだった。

 

 

“僕と友達になってよ”

 

“はぁ?何で俺が お前なんかとダチなんかに・・・”

 

 

ネロ「・・・・・・チッ!」

 

そして舌打ちしたネロが、遂に重い腰を上げるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*廃墟 2:04*

 

杏子を助けるために廃墟に戻った昂だったが、いざ強面の男達を相手にするのかと思うと、身体が震えてしまう。

本当は こんな事に関わらず逃げ出したかった。だが、中学の時に杏子を見捨てた事を思い出す。

同じ事を繰り返さないために、その時の贖罪と、情けない自分を変えるために、昂は ほんの少しの勇気を出し、近くにあった鉄パイプを手に廃墟に突入した。

 

昂「うわあああああっ!!杏子を放せー!」

 

男「何だ?」

 

昂は雄叫びを上げながら男達に殴り掛かるが、簡単に避けられ、鉄パイプまで奪われ、喧嘩慣れしていない昂は すぐに男達にボコボコにされる。

 

杏子「昂・・・」

 

昂は殴られ口が切れたのか、口の端から血が流れ、顔にも痣が目立ってくる。

それでも昂は、何度 倒れようとも立ち上がり、がむしゃらに男達にタックルして立ち向かう。

 

昂「杏子 逃げて!早く逃げてー!!」

 

だが殴られ過ぎた身体の痛みと体力が底を尽き、昂は倒れてしまう。

男達に囲まれ、動けない昂は踏まれたり蹴られたりして更に追い詰められる。このままでは死んでしまうかもしれない。

 

杏子「やめて・・・もうやめてよ!」

 

杏子が悲痛な叫びを上げても、男達は昂への暴行をやめない。

杏子が ただ それを見てる事しかできない中、廃墟の壁を ぶち破り、キャバリエーレに乗ったネロが突入してきた。

ネロはウィリー走行しながら男達に向かっていき、男達は避けるために昂から離れる。

ドリフトターンしながら止まったネロはキャバリエーレから降り、昂に駆け寄り抱き起こす。

 

ネロ「バカ野郎・・・!こんなムチャしやがって・・・」

 

昂「・・・・・・ネロ、来てくれたんだ・・・」

 

ネロ「はぁ・・・俺達ダチなんだろ?ダチが困ってたら助けるもんだろ」

 

痛みはあったが、友達になってくれたネロに昂は嬉しく思い、ぎこちない笑みを浮かべる。

 

昂「杏子を・・・助けてあげて・・・」

 

ネロ「あぁ、分かってる。よく頑張ったな。お前は休んでろ」

 

昂は安心したのか、そのまま気を失ってしまった。

そしてネロは、悪魔狩人の時に似た鋭い眼光を男達に向ける。

 

ネロ「ダチがやられたら、お礼参りしなきゃなぁ・・・!」

 

男「さっきは3人だったが、お前1人で この人数に勝てると思ってるのか?」

 

ネロ「テメェら全員・・・ぶっ殺ぉおおおす!!」

 

ネロが咆哮を上げながら男達に向かっていき、一気に乱闘になる。

そこに青葉型が駆け付け、縛られてる杏子を解放し、倒れる昂を運んで離れる。

 

ネロ「掛かってこいコラァー!!」

 

そしてネロは、男達全員を完膚なきまでに叩き潰すのだった。

 

 

・・・・・・

 

*公園 6:18*

 

全てが終わった後、ネロと青葉型、昂、杏子は見晴らしのいい公園に来ていた。

特に何か話す訳でもなく、気まずい空気の中、ただ そこに居る。

すると、遊具に腰掛けていた昂が立ち上がり、杏子に駆け寄り、頭を下げた。

 

昂「ごめん!あの時、助けてあげられなくて・・・杏子を見捨てて・・・ほんとは僕が助けてあげないといけなかったのに・・・」

 

杏子「・・・・・・ううん。私の方こそ ごめん・・・」

 

そして杏子は、自分の身の上話を始めた。

杏子の家は、元々 貧乏だった。家族3人で、川の字で寝るだけのスペースしかないアパートで暮らしていた。

それでも幸せだった。貧乏でも、笑顔が絶えず、家族で一緒に頑張って暮らしてきた。

 

杏子「貧乏だったけど、あの時は凄く楽しかった。でも・・・」

 

父親が成功を収め、お金持ちになった。狭いアパートから大きい家にも住めるようになり、何不自由なく暮らせるようにもなった。

だが、家族からは笑顔が消えた。父親は仕事ばかりで家族との時間を作ろうとせず、母親は体裁を気にしてママ友と外食ばかりで、夫婦で顔を合わせれば喧嘩ばかり。

夜遅くまで帰ってこないため、杏子に対しても1人で好きに夕飯を食べろと お金だけ渡し、あとは何も気に掛けない冷たいものに変わっていった。

杏子は そんな家が嫌だった。同じ家に居るのに、今では3人 別々の部屋で壁に隔てられ、その壁が とても冷たい物に感じられた。

そんな中、自分に優しくしてくれる昂だけが心の拠り所だった。

だが当時 中学生の時、男子高校生の不良にカツアゲされ、昂に助けてもらえなかった事で全てが変わった。両親との冷たい生活と確執、昂に見捨てられた悲しさ、その鬱憤を晴らすかのように、杏子は苛めへと走るようになった。

 

杏子「ごめん・・・私、昂に八つ当たりしてただけ・・・本当に ごめん・・・」

 

昂「違う!悪いのは僕なんだから・・・」

 

杏子「違うよ!悪いのは私で・・・」

 

ネロ「もういいじゃねぇか、どっちも悪かったって事で。お前らダチなんだろ?キリねぇから これで仲直りって事にしとけ」

 

杏子「・・・・・・あの時の昂、カッコ良かったよ」

 

そう言われ、昂は照れた笑みを見せるのだが、ある事に気付きハッとする。今は朝で、学校が終わってから1度も家に帰っていない。完全に朝帰りだ。

 

昂「杏子、家に帰らないと!親が心配してる!」

 

杏子「・・・私、あの家に帰りたくない。どうせ帰っても、私の事なんか心配してない」

 

昂「そんなこと!・・・ないと思うけど・・・」

 

衣笠「それでも帰らないと」

 

ネロ「それに不満があるなら、ビシッと言ってやれ。親に気を遣う必要なんかないんだ。言わなきゃ何にも伝わらないぞ」

 

杏子「・・・私にできるかな・・・?」

 

ネロ「そこの昂でも勇気を出したんだ。そのダチの お前が、できない訳ないだろ」

 

最初、杏子は迷ってる様子だったが、最後には決心したのか、力強く頷いた。

 

ネロ「さーて、行くか」

 

ネロ達は杏子を送るため、彼女の自宅へと向かうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*杏子の自宅 7:03*

 

杏子の自宅では、両親が夫婦喧嘩をしていた。

杏子が帰ってこないのに、父親は仕事に行こうとし、母親が それを咎めているのだが、父親は杏子の事は“お前に任せてるだろ”と言い、杏子が帰ってこないのを母親のせいにしていた。しかも杏子は もう子供じゃないからと、気に掛ける様子もない。

そこに、不安を抱きながらも杏子が玄関を開けて中に入る。

 

杏子「ただいま・・・」

 

母親「家にも帰らず何してたのよ?!あんまり面倒 掛けさせないで!」

 

父親「遊ぶのもいいが、自分の将来の事も考えて動きなさい」

 

両親は また言い争いに戻り、杏子は それを遮り自分の気持ちを2人に話す。しかし両親は聞く耳を持たず、早く学校に行く準備をするようにだけ言って、夫婦喧嘩を続ける。

 

昂「杏子、大丈夫かな・・・?」

 

ネロと青葉型、昂は、家の外まで聞こえる言い争いを聞きながら どうなるか結果を見守っていたが、急にネロが動き、青葉型と昂は慌てて追い掛ける。

杏子は自分の話も聞いてくれない両親に、どうして こうなってしまったのだろうと絶望し、何も言えなくなり、両親の言い争いを聞きながら佇む事しかできなかった。

すると玄関が開けられ、ネロが入ってくる。いきなりのネロの登場に、杏子と彼女の両親は驚く。

 

父親「何だ君は?」

 

ネロ「こんにちは、杏子のダチのネロだ」

 

杏子「・・・・・・!?」

 

ネロ「いい家だな。お邪魔するぜ」

 

青葉「ちょっとネロさん!?」

 

ネロは勝手に家に上がり、階段を上がって2階へ行く。それを青葉型と昂が追い、杏子と両親も慌てて追い掛ける。

ネロは ある部屋の扉を開けて、中に入る。

 

ネロ「杏子、ここが お前の部屋か?」

 

杏子「そうだけど・・・」

 

ネロ「で、この隣が親父さんの部屋か・・・」

 

ネロはソッと壁に触れ・・・

 

ネロ「確かに冷たいな・・・冷たい壁だ」

 

そう呟くと、デビルブレイカー・パンチラインを装備して、壁を殴り破壊し始める。

 

青葉「ネロさん!?」

 

衣笠「うーわ、やっちゃった・・・」

 

父親「警察だ・・・警察に電話だ!」

 

母親「は、はい!」

 

母親は隣の部屋へ入り、電話を手にして110番通報する。

 

ネロ「冷たい壁が邪魔なら、そんな壁は取っ払えばいい!家族が一緒に居なくて寂しいなら、親に そう言って甘えればいい!家族の温もりが欲しいなら、子供なんだから我が儘 言ったっていいんだ!自分で動かなきゃ、何にも変わんねぇぞ!!そうだろ?!杏子ぅ!!昂ぅ!!」

 

杏子も隣の部家へ行くと、母親が警察と通話中の電話を切った。

 

母親「何するの!?」

 

杏子は母親に、自分の今まで抱いてきた気持ちを伝え、母親も初めて自分の娘に耳を傾け、何も言えなくなる。

壁を殴り続ける事で穴が空き、隣に居る杏子の顔が見えてくる。

杏子は壊れていく壁を見詰め、ネロの行動は自分のためにしてくれてると ちゃんと理解し、涙を流す。

それをネロは、まだ殴り続け穴を拡げていく。皆は、ただ それを見てる事しかできない。

 

ネロ「ここまで崩せば大丈夫だろ。青葉、艤装 着けて こっち来てくれ」

 

青葉「はい?」

 

青葉は よく分からないまま、言われた通り艤装を装着して壁の前に立つ。

すると・・・

 

ネロ「はいドーン!」

 

青葉「うわっ!?」

 

突き飛ばされ青葉が壁に激突すると、壁を貫通して大きな穴が出来上がり、隣の部屋が よく見えるようになった。

 

ネロ「これが日本で言う“壁ドン”だな」

 

衣笠「色々と間違ってる・・・」

 

すると、昂が穴に近付き杏子を見ると、穴の縁を殴る。昂の腕では微かに破片が落ちるだけだったが、彼の意志を示すには十分だった。

 

昂「本当に ごめん!もう逃げないから!これからは僕が杏子を護るから!」

 

昂は後悔の涙を流しながら伝え、杏子も涙を流しながら笑みを浮かべ、大きく頷いた。

そしてネロと青葉型は、勝手に家に上がり勢いで人様の家の壁を破壊したので・・・・・・とりあえず逃げた。

 

 

・・・・・・

 

*街 8:30*

 

杏子は学校に登校するため、取り巻きの女子生徒2人と歩いていた。

すると女子生徒2人が、後ろを歩く昂に気付き詰め寄る。

だが昂は2人を無視し、杏子へ駆け寄った。

 

昂「おはよう、杏子」

 

杏子「おはよう」

 

そのまま昂と杏子は行ってしまい、急に仲が良くなった2人を見て、女子生徒2人は怪訝な顔で互いの顔を見合うのだった。

 

 

・・・・・・

 

*明陽学苑高校 理事長室 8:42*

 

理事長室には理事長と、首にギブスをした教頭、昨晩ネロと杏子が一緒に居るのを見た女性教師が、杏子の事で話をしていた。

 

教頭「我が校の生徒が家に帰ってないなど、大問題になります!」

 

教師「そういえば、昨日の夜、教頭にジャーマンした植木職人の人と一緒に居るのを見ました」

 

教頭「君、何で それを もっと早く言わないんだ?!」

 

教師「すみません・・・」

 

教頭「理事長、もしかしたら その植木職人が誘拐したのかもしれません。すぐに警察に連絡しましょう!」

 

理事長「親御さんから、娘が帰ってきたと連絡がありました。それに、友達を名乗る銀髪の外国人が来て、部屋の壁を壊したそうです」

 

教頭「その特徴、やっぱり あいつが犯人か!それなら不法侵入と器物破損ですね。すぐに警察に連絡しましょう!」

 

理事長「その必要はないでしょう。感謝されてましたよ。その友達の お陰で、家の雰囲気が変わったと。その友達が誰か知ってたら、お礼を伝えてほしいとまで言われました。いったい誰なんでしょうね?♪」

 

教頭「しかし、これは歴とした犯罪です!警察に通報するべきです!私の首まで こんな風にした奴なんですよ・・・」

 

理事長は椅子から立ち上がり、窓から登校してくる生徒達を見る。その中には、笑顔で一緒に登校してくる昂と杏子の姿もあった。

 

理事長「見てください。その人物が何者であれ、悪意があれば、ああやって笑顔で学校には来れてなかったでしょう。この話は これで終わります」

 

教頭「しかし・・・!」

 

理事長「これ以上は何も問題ないと思いますが、まだ何か?」

 

教頭「・・・・・・いえ・・・」

 

教師「では、失礼します」

 

 

・・・・・・

 

*街 15:45*

 

ネロは摩耶と天龍と一緒に、街で暇を持て余していた。

 

天龍「ネロ仕事どうすんの?」

 

ネロ「鳳翔まだ怒ってるか?」

 

摩耶「怒ってるよ~、スゲー怒ってる」

 

ネロが溜め息を吐いて俯くと、女性の足が近付いてきて目の前で止まる。

ネロが顔を上げると、そこに立っていたのは明陽学苑の食堂の おばちゃんだった。

 

ネロ「あれ!?食堂の おばちゃん!?何で ここに?」

 

ネロが驚いてると、遅れて青葉型が現れた。

 

青葉「ちょっとネロさん、失礼ですよ。この方は、明陽学苑高校の理事長先生なんです」

 

ネロ「食堂の おばちゃんが理事長!?」

 

理事長「実は、あなたに うちで働いてほしいんです。明陽学苑の教師として」

 

天龍「・・・・・・えぇーっ!?何で!?何でネロに!?つーかネロが教師!?」

 

摩耶「天龍うるさい」

 

天龍が騒いで話が進まないので、摩耶が裏拳で顔面を殴ると、天龍は後ろに倒れて静かになった。誰も天龍に見向きもしない。理事長さえも・・・。

話を戻し、実は理事長はDevil May Cry鎮守府を訪ね、ネロに教師として明陽学苑に来てほしいと依頼していた。

鎮守府は明陽学苑で密かに動く魔の気配を探っていたため、これは都合がいいと判断して その依頼を引き受け、青葉型がネロの居る場所に理事長を連れてきたのだった。

 

ネロ「何で俺なんかに?」

 

理事長「我が学苑は今、大きな問題を抱えています。それを解決するには、新しい風を吹き込まないといけません。あなたなら それができると思いました。教頭にジャーマンを決めたように、あなたには我が学苑が抱える問題にジャーマンを決めて、解決してほしいのです」

 

ネロ「ハッ、ジャーマンね・・・」

 

しかし それを引き受けるとしても、1つ問題がある。教師として働くには教員免許が必要だが、ネロが そんな物を持ってるはずがない。

 

青葉「そこは青葉に お任せですよ。ちょちょいと偽造教員免許 造っちゃいますから♪」

 

摩耶「おい、理事長の前で それ言っちゃっていいのかよ?」

 

衣笠「理事長先生も誤魔化すのに協力してくれるんだって。よっぽどネロに来てほしいみたい。どうする、ネロ?」

 

ネロ「・・・・・・その依頼、引き受けてやるよ」

 

理事長「では、よろしく お願いします、ネロさん。いえ・・・ネロ先生」

 

ネロ「いつから始めればいい?」

 

理事長「うちの問題は山積みです。できれば すぐがいいので、明日からなんて どうでしょう?」

 

ネロ「了解した」

 

 

・・・・・・

 

*杏子の自宅 20:31*

 

夜、杏子は宿題をやろうと勉強机に向かう。

椅子に座ると正面の穴に父親の姿があり、父親も持ち帰った仕事をしていた。

顔を合わせる事になった2人は、照れ臭そうに笑った。どういう形であれ、杏子の家に笑顔が戻ったのだった。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 食堂*

 

同時刻、鎮守府の食堂では、青葉型と摩耶、天龍からネロが教師として働く事になった聞き、艦娘達は驚いていた。

 

蒼龍「ネロが学校の先生!?できるの!?」

 

飛鷹「教科は?やっぱり英語?」

 

青葉「それが、青葉ちょっとミスっちゃって・・・社会科で教員免許 偽造しちゃいました」

 

衣笠「しかも今の授業範囲、日本史らしいからネロが日本の歴史 教える事になっちゃうんだよね」

 

『・・・・・・何で?』

 

てっきり英語教師になるのかと思ったが、青葉の とんでもないミスで担当教科が おかしな事になってしまっていた。

しかも理事長も それでOKを出してしまってるので もう変えられない。

 

 

・・・・・・

 

*明陽学苑高校 校門 7月5日 8:20*

 

そして翌日の朝、生徒達が登校してくる中、明陽学苑の正門に立つネロと羽黒の姿があった。

今日から教師をするのかと、ネロは色んな事を思いながら校舎を見詰めている。

加賀はネロ1人じゃ不安だからと羽黒を一緒に潜入させたので、彼女も今日から ここで働く。

そこに教頭が出勤で来て、ネロが居るのを見て思わず立ち止まる。

遅れて、昨日 理事長と教頭と話していた女性教師も出勤してくる。

 

教頭「おい、何で あいつが居るんだ?」

 

教師「私は知りませんよ」

 

教頭「君、追い返しなさい」

 

教師「私がですか!?」

 

教頭「犯罪者を中に入れたら大変な事になる。早くしなさい」

 

教頭に逆らえず、女性教師はネロと羽黒に近付き、ここで何をしてるのか訊く。

 

ネロ「俺、今日から ここで働くんだよなぁ」

 

ネロの言葉に どういう事かと女性教師が驚いていると、ネロは1歩を踏み出し敷地内に入り、羽黒と共に校舎に向かう。

その様子を、理事長が理事長室の窓から見ており、これから どうなるか楽しみな様子だった。

そして教頭は、自分の思う結果にならず胃がキリキリしていた。

 

 

・・・・・・

 

*理事長室 8:28*

 

ネロと羽黒は すぐに理事長室に向かい、初出勤の挨拶をしていた。

 

理事長「ではネロ先生、羽黒先生、今日から宜しくお願いしますね」

 

ネロ「あぁ」

 

羽黒「は、はい!」

 

ネロは いきなりクラスの担任を任される事になり、羽黒は その副担任となる。

その後ネロと羽黒は職員室にも行き、他の教職員への挨拶も済ませる。歓迎されるかと思ったが、他の教職員達の反応は素っ気ないものだった。

しかもネロ達が受け持つクラスは問題児ばかりだからと、警告までされた。

 

 

*教室 8:50*

 

ネロと羽黒はホームルームのため教室に向かい、入る前に1度 止まる。

 

羽黒「問題児ばかりって、緊張しますね・・・」

 

ネロ「なーにが問題児だ。そんなの逆にビビらせてやる」

 

どうせ不良生徒が居るだけだろうと思い、ネロは勢い良く扉を開けて中に入ると、教壇の前で生徒達に向き合う。

 

ネロ「今日から ここの担任になったネロだ。文句ある奴 居るか?」

 

『・・・・・・・・・』

 

ネロ「・・・・・・あれ?」

 

よく見てみると、生徒達は姿勢正しく席に座り、ホームルームが始まるのを待っていた。思っていた感じと違い、ネロは拍子抜けし、羽黒は唖然としていた。

しかも教室には昂と杏子も居て、2人もネロを見て唖然としていた。

 

昂「ネロ!?」

 

杏子「うちの担任になったの!?」

 

ネロ「あっ、お前ら!?」

 

3人で また驚いてると、1人の女子生徒が代表して口を開いた。

 

生徒「先生、もうホームルーム始まってますよ。出席 取らなくていいんですか?」

 

ネロ「えっ!?あ、はい、出席・・・出席・・・」

 

出鼻を挫かれネロはワタワタし、羽黒に助けられながら出席を取る。

ネロと羽黒は気付かなかったが、生徒の何人かは何かを企むように、悪意のある目で2人を見ていた。

 

 

*理事長室*

 

その頃 理事長室では、ネロが教師として赴任してきたと知った教頭が、すぐにクビにすべきだと直談判していた。

 

教頭「あんな奴を ここで働かせるなんて、問題になりますよ!」

 

理事長「落ち着いてください。彼が担当するクラスは、『2年4組』なんです」

 

教頭「2年4組・・・なるほど、そういう訳だったんですね」

 

2年4組と聞き、教頭は納得したのか悪い笑みを浮かべ、それ以上 文句を言う事はなかった。

そして これから、明陽学苑に赴任したネロの、熱血指導が始まるのだった。




また変な事になってしまいました。
魔の気配に辿り着くには、ネロが受け持つクラスの生徒1人1人を攻略していかなければならないという流れになりますので、こちらも長くなると思われます。なので他の話と平行しながら、ちょいちょい挟んでいきます。

次回も宜しく お願い致します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。