感想ありがとうございます!
前回の冒頭の あらすじにて間違いがありましたので、一部 削除して修正いたしました。
421話です!どうぞ!
オランダで広域手配されてしまった夕張と呉提督、
顔認証システムを回避するための道具を造り街に出た夕張達は、強盗を装ってオランダの女性議員オリヴィア・プライアーを捕まえる。
プライアーの話などから、裏で暗躍していたのが鹿島で、最初から夕張達を罠に陥れるのが目的だったと判明するのだった。
*ジェナヴィーヴの自宅 オランダ時間7月8日 15:17*
プライアーから話を聞いた夕張達はジェナヴィーヴの自宅へと戻り、これから どう動くか作戦を練っていた。
そこへ宅配便が届き、ジェナヴィーヴが何か言いながら荷物を持ってきた。
呉「ほんとに?」
夕張「何だって?」
呉「夕張ちゃん宛に荷物が届いたって」
それを聞き、夕張と健、刹那は訝しむ。ここに居る事は誰にも教えていないし、夕張はオランダに知り合いなど居ない。だから夕張宛に荷物が届くなどあるはずはないのだ。
刹那「また何かの罠?」
健「また爆弾だったりして」
夕張「・・・見ない事には始まらないか」
ジェナヴィーヴから荷物を受け取り、安全を確認してから箱を開けてみる。そこにはUSBメモリと手紙が入っていた。
手紙には呉提督の脱出認証コードと、『何とか自力で脱出して』というメッセージが書かれていた。呉提督の脱出認証コードが書かれていた事から、送り主がステフであると夕張は確信する。
健がUSBメモリのデータを確認すると、オランダの諜報機関AIVD副本部長『ハーランオルフ』の情報と機関の見取り図、監視カメラのシステムの詳細があった。
健「これによると、国内の通話や通信は監視されてて、データとして基地局を経由したデータは全部 保存されてるらしい」
しかも嬉しい事に、健は監視任務を始めた時にオランダの基地局を経由してハッキングしていたため、爆弾でノートパソコンが壊れた時に失われたデータも そこに保存されてる事になるのだ。つまり そのデータさえ取り戻せば、証拠として夕張達の無実が証明できる。
嬉しくないのは、データはAIVDのサーバーに保存されていて、そこからデータを抜き取らないといけない。つまり そこに侵入するという事は、今の夕張達では死地に乗り込むのも同じだった。
呉「諜報機関の施設なら、監視カメラが大量にある」
刹那「顔認証システムでバレて すぐ捕まる」
健「・・・・・・僕ら詰んでない?」
夕張「う゛ーん・・・!私が頑張るっきゃない!」
呉「どうするつもり?」
夕張「明石とニコと協同製作したマスクを作る」
健「僕アレ嫌い。アレで殺されかけたから・・・」
呉「ここで作れるの?」
夕張「フルマスクは無理だから簡易的にはなっちゃうけど、もう他に方法はないから」
呉「ジェナヴィーヴ!部屋 散らかすけどいいかな?!」
・・・・・・
呉提督の必死の お願いでジェナヴィーヴの許可を取り、夕張は簡易的なマスクを作っていた。
マスクと言っても、材料が足りないので頭から被って顔全体を覆うような物は作れない。なので応用して、付け鼻や顎を覆って輪郭を変えるくらいしかできない。
呉「上手く行きそうじゃない」
夕張「1つ問題があるけどね」
呉「出た、間に合わせの欠点」
夕張「ちゃんとした物は作れないから、完成品より脆い」
呉「どう脆いの?」
夕張「防水加工できないから、濡れると溶ける」
呉「そんな濡れるような事ないでしょ?」
夕張「それが そうでもないんだよねぇ・・・」
サーバーは熱を発する。膨大なデータを保存する諜報機関のサーバーとなると大きく、その分 発する熱も高温となる。
その傍でデータの抜き取りをするため、自然と汗が出るのが予想される。そして その汗で簡易マスクが溶ける問題があるのだ。
呉「おっと・・・1番 大問題・・・」
諜報機関の建物内でマスクが外れ、侵入に気付かれたら すぐに封鎖され、脱出は不可能になる。
夕張「だから侵入とデータの抜き取り両方を手際良くしないと、私達は終わる」
呉「大丈夫、きっと上手く行く」
夕張「よし、準備もできた。行こう」
夕張達は出発しようと玄関まで行ったが、ジェナヴィーヴに呼び止められ足を止める。
そしてジェナヴィーヴが今日の夕飯の食材を買ってくるよう頼み、呉提督は快く それを引き受け外に出るのだが、その足でAIVDの建物に向かうのだった。
・・・・・・
*街 18:07*
AIVDの建物に着き、呉提督と刹那は外で待機していた。
そんな中、刹那は不満そうにしていた。
刹那「2人だけで中に入るなんて危険過ぎる」
呉「仕方ないでしょ。サーバーから映像 探せるのは健だけだし、マスクに問題があったら対処できるのは夕張ちゃんだけなんだから」
刹那「もし2人が見付かったら?」
呉「・・・夕張ちゃんは私達だけでも逃げろって」
刹那「2人を見捨てて逃げろっての?!」
呉「それしかない」
二手に分かれたのは夕張の提案だった。全員で中に入って捕まるより、4人中2人だけでも逃げられるなら、まだ その方がいいと判断したからだ。
合理的に考えれば その選択を選ぶべきなのだが、それでも刹那は納得していなかった。
*AIVD*
夕張と健は、清掃員に成り済まして侵入に成功していた。
出会す職員に怪しまれてないか様子を窺いつつ、掃除してる振りをしながら移動してサーバールームへと入る。
健はノートパソコンをサーバーに接続し、膨大なデータの中から監視任務で得た映像を探し始める。
サーバールームの温度は かなり暑く、ジッとしてるだけでも汗が出てくる。
少しすると、夕張が健の異変に気付いた。
夕張「健、鼻!」
健はソッと手で触れて鼻を確認すると、付け鼻が溶け始めて外れそうになっていた。
健「マズい・・・!ちょっ、夕張さんも!」
夕張の方も顔の輪郭を変えるために付けてた顎が溶け始め、外れかかっていた。
夕張「時間がない。あと どれだけ掛かる?」
健「映像を探すのに10分は掛かる」
だからと言って ここでやめる訳にもいかない。
しかし10分 経つ頃には簡易マスクは完全に溶け、見付かって捕まるだろう。
間に合わないのは確実なため、夕張は呉提督と刹那に無線を繋げた。
*街*
夕張『大佐、聞こえる?』
呉「どうしたの?」
夕張『簡易マスクが溶け始めた。映像を探すのに10分は掛かるそうだから間に合わない。2人だけでも今からオランダから逃げて』
刹那「夕張と健は どうするの!?」
夕張『こっちは どうにかしてみせる。私達は待たなくていいから、絶対に逃げて』
呉「・・・・・・分かった」
刹那「待って、別の案がある。時間を稼ぐから こっちは任せて」
そう言って、呉提督が止めるのも聞かずに、刹那はAIVDの建物に向かってしまう。
夕張『どうしたの!?』
呉「刹那のアホが そっちに行っちゃった!こっちは気にせず映像 探して!刹那は私が どうにかするから!」
無線を切り、呉提督も刹那を追ってAIVDの建物に向かう。
*AIVD ロビー*
建物のロビーに入った刹那は、顔認証システム対策のサングラスを外し、監視カメラに向かって手を振る。
刹那「おーい!私は ここよー!」
そこに遅れて、呉提督が追い付く。
呉「お前なにやってくれちゃってんの?!」
刹那「ここで引き付ければ、健が映像を探す時間稼ぎができる。おーい!ほら、捕まえてみなさいよー!」
こうなってしまっては、今から逃げても無駄だと悟った呉提督もサングラスを外し、監視カメラに向かって手を振りながら挑発する。
そして顔認証システムが呉提督と刹那の顔を捉えた事で、建物内に警報が鳴り、外への出入り口がロックされる。
*サーバールーム*
その警報は、サーバールームに居る夕張と健にも聴こえていた。
健「見付かった!?」
夕張「・・・違う、私達じゃない。大佐と刹那が わざと見付かって、時間を稼いでるんだと思う。健、あと どれくらい掛かる?」
健「まだ少し掛かる」
夕張「私は2人の援護に向かう」
健「分かった」
夕張はサーバールームから飛び出し、呉提督と刹那を探しに行く。
*ロビー*
そしてロビーでは、呉提督と健が警備の人間に囲まれていた。
武力は最終手段にし、呉提督は口から出任せのジョークで時間を稼ごうとする。
呉「あれ?来るとこ間違えちゃったかな?ここで観光ガイドブック貰えるって聞いたんだけど、どこに置いてある?そっち?」
警備「動くな!」
呉「分かった、動かない動かない。サービス悪いな、責任者 呼んでこい」
警備「武器を持ってるなら今すぐ捨てろ」
呉「武器?武器って これのこと?」
呉提督が銃を抜いて見せびらかすと、警備の人間達も銃を抜いて構える。
警備「捨てろ」
呉「欲しいなら取りに来い」
1人の警備の人間が ゆっくりと近付き、呉提督が持つ銃を奪おうとする。その瞬間、呉提督が警備の人間を殴った。
それを合図に、警備の人間達が一斉に動き、呉提督と刹那は捕まってしまう。
そこに簡易マスクを外した夕張が駆け付け、顔認証システムが反応する。
警備「もう1人 居るぞ!捕まえろ!」
夕張は迫る警備に果敢に立ち向かい、警備の人間達が夕張に気を取られてる隙に、呉提督と刹那は反撃に出て警備を殴り倒し、一気に乱闘となる。
そこにAIVDの副本部長ハーランオルフが、他の警備を連れて現れた。
ハーランオルフ「何をしてる?早く捕まえろ」
後から来た警備も加勢し、少しして数に押された夕張達は捕まってしまった。
ハーランオルフは夕張達の前に立って睨むと、夕張達も睨み返す。
すると異変が起きた。ロビーにあるモニター全てに、プライアーが爆弾を手に取り、それを回収した夕張達が被害が出ないようにしてる映像と音声が流れたのだ。ハーランオルフと警備は、その映像と音声に どういう事かと戸惑う。
そこに、ノートパソコンを持って誇らしげな顔をする健が現れた。
健「データ見付けた序でに、ここのモニター ハッキングして無実の映像 流してみたんだけど・・・これ見ても まだ僕らを捕まえる気?」
映像を見て、警備の人間達は夕張達から手を離した。
ハーランオルフも、夕張達がオランダへの攻撃を阻止しようとしていた事を理解し、驚いた様子で夕張を見る。その夕張は、ドヤ顔の笑みを返していた。
・・・・・・
*オリーブ財団 ブリーフィングルーム アメリカ時間 7月12日 14:23*
無実を証明できた夕張達は、オリーブ財団へと戻る事ができ、今はステフから、今回の顛末が どうなったのか説明を受けていた。
AIVDのハーランオルフから電話があり、爆弾を置いたのは鹿島と共にオリーブ財団を壊滅に追い込んだ、テロリスト集団オムナスの工作員だった。
ステフ「今朝 捕まって、鹿島の指示だったと認めたそうよ」
更にステフは、ハーランオルフに鹿島の情報を渡す代わりに、今回の事にオリーブ財団が関与してるのは伏せてもらっていた。
話は以上なのだが、そこで呉提督は ある事を思い出した。
呉「ヤッベ!ジェナヴィーヴの買い物 忘れてた!」
夕張「また怒るね」
頼まれてた買い物に行くと言って そのままAIVDに乗り込んで無実を証明すると、何も言わないままアメリカに帰国してしまっていた。2度目は許してもらえるか どうか・・・。
呉提督はジェナヴィーヴに言い訳するため、電話を掛けながらブリーフィングルームから出ていく。
そして夕張達も各々 解散するのだが、健だけステフに呼び止められた。
ステフ「空き巣の件なんだけど、何か判った?」
健「何も判らなかった。やっぱり僕って探偵に向いてないんだろうね」
健は呉提督に言われてた通りに答え、少し おどけてみる。すると真顔のステフに見詰められ、それが妙に怖くて健の顔からも笑みが消える。
ステフ「・・・・・・そう。じゃあ仕方ないわね」
健「ごめんね!」
ステフから怒られずに済み、健は また嬉しそうに笑顔を見せながらブリーフィングルームから退室した。
ただ、ステフは健が嘘を吐いてる事を見抜いてる顔をしていた。
・・・・・・
*艦娘寮 7月12日 10:56*
翌日、呉提督は艦娘寮に居る夕張の部屋を訪ね、ステフの自宅から盗んだ機密文書を渡していた。
それを見た夕張は、怒りや戸惑いが入り混じった険しい表情を浮かべていた。
夕張「やっぱり、ステフは教官を知ってたんだ・・・」
機密文書にはステフがCIA時代、夕張の教官を尋問した事が書かれていた。
1つ分からないのは、日本軍で爆弾処理の教官をしていた男をCIAが調べ、更には尋問までする理由だ。何故そんな事をする必要があったのか、理由までは書かれていなかった。
夕張「どうしてステフが、私の教官を尋問したんだと思う?」
呉「そこまでは分からないわよ。でもCIA時代って事は、ステフは以前から その人を知ってたって事でしょ?」
夕張「もう訳分かんないよ・・・ステフが教官を調べてたのも驚きだったけど、今になって8ミリフィルムと懐中時計が送られてきて、何かあると思って調べても、手懸かりが無くて すぐ行き詰まるの!」
呉「落ち着いて。ステフの事だから何か理由があるのよ」
夕張「理由って何?!」
呉「それは、分からないけど・・・」
夕張「やっぱりステフに直接 訊く」
呉「ちょっと待ちなさい!秘密にしてる事を知ってるとなったら、タダじゃ済まない!それにステフは今日、人と会って留守にしてる。どこで誰と会うかも判らないのに」
夕張「私だって財団のメンバーなんだよ。居場所なら見付けられる」
夕張は我慢ならず、呉提督が止めるのも聞かずに部屋から出ていってしまった。
・・・・・・
*レストラン 12:37*
ステフは人と会うため、高級レストランに来て先に席に着いていた。
メニューを見ながら これから会う人物を待ってると、向かいの席に誰かが乱暴に座る。ステフが顔を上げると、そこに座ってたのは夕張だった。
ステフ「ちょっと、ここで何してるの!?」
夕張「話がある」
ステフ「またにして。私は これから人と会って、大事な話をしなきゃいけないの」
夕張「誰と会うかは知ってる。大統領補佐官と会うんでしょ」
大統領補佐官と会うのは秘密にしていたため、夕張が それを知ってる事にステフは彼女を睨む事になる。
ステフ「どうして あなたが知ってるの?」
夕張「そんなの どうでもいい。大統領補佐官が来る前に話は終わらせる」
夕張は徐に、USBメモリをテーブルに置いた。
ステフは そのUSBメモリを手に取るが、それが何なのかまでは判らなかった。
ステフ「これは何?」
夕張「ステフの金庫にあった人物調査書のデータ。ステフは私の教官を知ってたんでしょ?何で何も言ってくれなかったの?」
ステフ「何を考えてるの?!
夕張「2人は関係ない。全部 私がやった」
ステフ「そんな嘘が通じるとでも?」
夕張「教官を調べて尋問までしたんだよね?教官を知ってて何で私に黙ってたの?答えてくれないなら、他の秘密もネットにバラ撒く」
ステフ「そんな事して、どうなるか分かってるの?」
夕張「・・・・・・解体?良くて刑務所で終身刑?私はいいよ。困るのは そっちだと思うけど」
夕張の能力は、任務を遂行する上で必要不可欠だ。何らかの形で居なくなると、困るのはオリーブ財団だ。
それに解体などした場合は、今度はDevil May Cry鎮守府が黙っていないだろう。ダンテを始めとする面々は立場や命令など関係なく、オリーブ財団に敵対して報復に出る可能性がある。これは夕張がステフに対する、究極の脅迫だった。
ステフ「・・・・・・えぇ、知ってた」
夕張「何でなの?何で疑うように教官を調べてたの?教官と何があったの?」
ステフ「それは私の口からは言えない」
ステフの忽然とした態度に、夕張は怒りが込み上げてくる。
だが どうやったってステフが口を割らない事も理解していたため、もう これ以上の追及をする気は起きなかった。
夕張「・・・・・・そう、分かった」
ステフ「・・・まさか、財団を辞めるつもり?」
夕張「すぐには辞めない。まだ任務もあるからね。でも これだけは言っておく。信用できない人とは一緒に仕事できない」
夕張は最後に そう言って席から立ち上がると、その場を後にして立ち去った。
ステフは心苦しそうな顔で、ただ その場に留まるしかなかった。
現在 執筆が進んでない状況であるので、また日が空いて投稿ペースが遅くなると思います。
仕上がり次第、ちょっとずつでも投稿していきます。
次回も宜しく お願い致します!