感想ありがとうございます!
中々 投稿できず申し訳ないです。
422話です!どうぞ!
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魔の動きを調査するため、明陽学苑に教師として潜入したネロは、朝から出席を取っていた。
1人1人 名前を呼んでいくが、欠席してる生徒の名前で止まってしまう。
ネロ「『
生徒達がネロの疑問に答えようとしない中、1週間前の苛め問題で素直になった
杏子「1年の時は普通に来てたんだけど、2年に上がってから急に来なくなっちゃったんだよね」
ネロ「何で?」
杏子「何でって・・・」
杏子は同じく苛め問題の当事者だった
ネロ「学校に来いとか連絡しないのか?お前らダチなんだろ?」
そう言うと、生徒達は連絡しても来ないからとか、無理に来させても何かある訳じゃないからとか、何かと理由を付けては、美香を登校させようとする事に前向きではなかった。
いや、無関心であるが故に、どうして自分達が そんな事をしなければならないのかと、否定的な気持ちの表れだった。
ネロは冷たいんだなと思いながら、出席の続きを取るのだった。
・・・・・・
1限目が終わった休み時間、杏子と昂はネロを見付けて駆け寄ろうとするが、それを阻止するようにクラスメイトの女子生徒が、先にネロを呼び止めた。それを見て、杏子と昂は思わず足を止める。
生徒「先生」
ネロ「ん?君は・・・俺のクラスの『
楓「実は、美香の事で先生に お願いがあるんです」
楓は美香と仲が良かったのだが、杏子が話してた通り2年に上がってから急に学校に来なくなり、一緒に学校に行こうと誘っても、どうして来ないのか理由を訊ねても、何も教えてはくれないままで ずっと心配してたらしい。
楓「だから先生に、美香の様子を見てきてもらいたいんです」
学苑に来ない理由がクラスメイトである自分達にあるのなら、自分達が行っても無駄かもしれない。だが赴任してきたばかりのネロになら、何か話してくれるかもと思ったそうだ。
それを聞き、ネロは快く引き受けた。
ネロ「任せろ。俺も そのつもりだったしな」
ネロは楓から離れ、職員室に向かうため立ち去ろうとする。それを、杏子と昂が呼び止める。
ネロ「悪い、俺 次の授業の準備あるから。話なら また後にしてくれ」
杏子「ネロ!」
昂「ネロ!」
引き止めるのも聞かず、ネロは足早に職員室に向かって立ち去ってしまった。
すると楓が、杏子と昂に近付き冷たい顔で2人を見る。
楓「
杏子と昂は楓が怖いのか、畏縮して黙ってしまった。
それに満足したのか、楓も不敵な笑みを浮かべながら その場を立ち去った。
杏子と昂が萎縮してしまったのは、楓が2年4組のリーダー格の1人だったからだ。そして楓は そのトップに君臨してるため、クラスの他の生徒は誰1人として彼女に逆らえなかった。
*美香の自宅*
美香は無気力な様子でソファーに凭れながら、スマホで誰かと通話していた。その相手の声は、楓だった。
楓『じゃあ、また よろしくね』
通話を切ると美香はハサミを手に取り、ネロが来るのを待つのだった。
・・・・・・
昼頃、ネロは出勤でダンテから借りてるキャバリエーレに乗り、美香の自宅であるマンションに来ていた。
インターホンを何度か押すが、留守なのか居留守なのか誰も反応しない。
ドアノブを捻って引くと、鍵が開いていた。
不審な状況に、ネロは部屋を確認するため中に入る。
ネロ「お邪魔しますよっと。2年4組の新しく担任になったネロだ。おい美香、居るか?」
奥へ進みリビングまで行くと、シャツがズタズタに引き裂かれてる美香が、ソファーで蹲るように泣いていた。
驚き心配したネロは、すぐに美香に駆け寄る。
ネロ「おい、大丈夫か!?どうした、何があった!?」
美香は ゆっくりと顔を上げ、長い髪の隙間から覗く目でネロを見ると・・・。
美香「バーカ」
ネロ「・・・え?」
美香「きゃああああ!!」
美香は突然 悲鳴を上げ、ネロが訳も分からないまま混乱してると、玄関の扉が開いて警察官が何人も雪崩れ込んできた。
美香「この人に・・・!この人に急に襲われたの!」
ネロ「え?え?え?え?」
警官「逮捕する!」
ネロ「違う違う違う違う違う、俺 担任なんだって!ちょっ、放せよ!美香、これ どういう事だ!?美香っ!美香ーっ!!」
ネロは10人程の警官に強制連行され、美香の持つスマホの画面には、『緊急通報』と表示されていた。
・・・・・・
*明陽学苑高校 理事長室 13:54*
ネロと同じく潜入していた羽黒と、理事長と教頭が話してると、理事長室の固定電話がなった。
受話器を取り話を聞いてると、理事長は驚き声を上げた。
理事長「ネロ先生が!?はい・・・はい・・・」
話を終え電話を切ると、理事長は どうしたものかと顔を険しくさせる。
教頭「理事長、どうされました?」
理事長「ネロ先生が、警察に逮捕されました」
羽黒「えっ!?」
理事長「生徒の自宅で生徒を襲ったとの事で、現行犯逮捕したそうです。幸い、生徒には怪我もないそうです」
教頭「やっぱり あいつは そういう奴なんですよ!私は初めて会った時から判っていました!」
羽黒「待ってください!ネロ先生は そんな人じゃありません!」
教頭「君は何を言ってるのかね?生徒を襲い逮捕されてるのが、奴が そういう人物だという動かぬ事実ではないか!理事長、だから私は、何度も早く奴をクビにするべきだと言ったんです。我が校の関係者だとマスコミに知られる前に、奴をクビにしましょう」
羽黒「だから待ってください!話を聞いてください!」
教頭「黙りたまえ!理事長、ご決断を」
理事長「・・・・・・羽黒先生、ネロ先生の身柄を引き取ってきてください」
羽黒「は、はい!失礼します!」
羽黒は急ぎ理事長室から飛び出し、ネロを迎えに行く。
身柄を引き取るという事は、まだネロの事を学苑で面倒を見るという事で、すぐにはクビにしないという事になるので、教頭は納得していなかった。
教頭「何を考えてるんです!?あんな犯罪者は さっさとクビにするべきでしょ!」
理事長「先ずは詳細を把握してから、決める事にしましょう」
*警察署*
ネロは留置所に放り込まれると、鉄格子の間に顔を突っ込み、2人の警官を睨む。
ネロ「おい、ふざけんな!俺なにもやってねぇんだよ!不登校の美香を学校に行かせようとしただけだ!おい、どこ行くんだ?!聞けよ!待てコラァー!」
ネロの話も聞かず、2人の警官は その場から立ち去っていく。
その後しばらく、ネロは無駄に怒鳴り続けるのだった。
*美香の自宅*
その頃 美香の自宅では、警察署長の直近の部下、スーツを着た女性警官が残っていた。
警官「緊急通報ボタンで遊ぶのも いい加減にしなさい。お父様は そんな事のために、それを渡した訳じゃないのよ」
美香「別に。知らない男が いきなり入ってきて襲われたから押しただけ。何か間違ってる?」
女性警官は溜め息を吐いた。今までも同じ事が何度もあり、その どれもが でっち上げの嘘と判明しており、今回も嘘の通報だと気付いてて呆れていた。
警官「・・・兎に角、それは本当に緊急の時だけに使いなさい」
美香が無気力な様子でボーッとして何も答えないため、仕方なく女性警官は立ち去った。
・・・・・・
*明陽学苑高校 2年4組 14:31*
ネロが受け持つ2年4組の教室では、楓が美香を使ってネロを警察に逮捕させたと聞き、生徒達が その話で盛り上がっていた。
それを聞きながら、杏子と昂は自分の席に座りながら、ネロを心配して不安そうな顔をしていた。
生徒「濡れ衣でも、警察に連行されたら あいつも終わりだな」
楓「当然よ。どうせ あいつも、今までの奴と同じなんだから。生徒の事を1番に考えてる振りをした、最低な大人の1人」
それを聞き、杏子は我慢ならず席から立つと、楓達の方に行く。
それを見て、昂は焦る。リーダー格の連中に楯突けば、今後 学校で何をされるか分かったものじゃない。
だが杏子は、楓の前に立ちはしたが、やはり言いづらいのか中々 口を開かない。
楓「・・・何?何か言いたい事があるなら、遠慮せず言いなさいよ。私達、クラスメイトの仲間じゃない」
杏子「・・・・・・ネロは・・・今までの教師とは違う気がする・・・。やり方は滅茶苦茶だけど、私と昂の事だって助けてくれた。あんな先生、今まで居なかった」
そして少し勇気を出す事を覚えた昂も席から立ち、杏子に同調して声を上げる。
昂「そうだよ!ネロは僕達のために何かしてくれる先生だよ!」
そう言うが、杏子と昂の言葉を聞いた楓の顔は冷たいものに変わり、席を立ち杏子と向き合い口を開く。
楓「なに言ってるの?私達に担任って必要かな?あのこと、忘れた訳じゃないよね?」
そう問われ、杏子は黙って俯いてしまった。
杏子も元々は、楓の画策する事に同調して協力し、楓が そんな事をする理由も知っていたため、ネロを心配するのと楓の気持ちを理解できる事の板挟みになり、それ以上は何も言えなかった。
*警察署*
警察署に着いた羽黒は手続きなどを済ませ、ネロは誤認逮捕という事で釈放された。
そして2人は一緒に警察署から出てくる。
ネロ「悪いな羽黒、世話 掛けちまって」
羽黒「ビックリしましたよぉ。それより、警察に捕まるなんて どうして こんな事になったんですか?」
ネロ「生徒に嵌められた。何か初対面から嫌われてるみたいでさ」
ネロは羽黒に、警察に捕まるまでの経緯を全て話し、自分の話に苦笑いを浮かべてしまう。
ネロ「
羽黒「無理に学校に来させるのは やめといた方がいいのでは?」
ネロ「いーや、俺は諦めない。こうなったら逆に燃えてくる。向こうが その気なら、こっちにも考えがあるしな」
羽黒「また警察に捕まるかもしれませんよ」
ネロ「大丈夫だよ。こういう時こそ仲間の出番だ」
*明陽学苑高校 理事長室*
理事長室では、まだ教頭がネロの事で話しており、残っていた。
その途中、理事長は羽黒からの電話を取り、誤認逮捕という事で問題なくネロの身柄を引き取ったと連絡を受け、受話器を置いた。
理事長「ネロ先生は誤認逮捕という事で釈放されたそうです。・・・以前にも同じ事がありましたね」
教頭「つまり、2年4組が また担任苛めを始めたという事です。しばらく大人しかったのに、ネロが生徒を刺激したから こうなるんです。理事長、問題が大きくなる前に、早急にネロをクビにするべきです」
理事長「・・・ネロ先生に関しては、私に一任してください」
教頭「しかし・・・!」
理事長「話は以上です。あなたも こんな所で話してないで、他にやるべき事があるんじゃないですか?」
教頭は反論しようと口を開きかけたが、いま言い続けても無駄だと思い、黙って頭を下げてから退室した。
そして残された理事長は、明陽学苑が抱える最大の問題が大きく動き始めた事で、これから どうなってしまうのかと憂いて溜め息を吐いた。
理事長は その問題を解決するためにネロを雇い、いきなり2年4組の担任にした訳なのだが、ネロが耐えられるかの不安だけは どうしてもあった。
・・・・・・
*新居 16:50*
ダンテとネロ、バージルの新居では、放課後にネロに呼び出された昂が来ていた。
そしてネロは、昂から美香について話を聞いていた。
美香の父親は警察署長で、娘を心配してか緊急通報が付いた携帯を美香に渡していた。
美香は緊急通報を悪用しており、ネロの前の担任も それで嵌められたそうだ。
ネロ「緊急通報ねぇ・・・」
昂「もう無理に関わらない方がいいよ。また通報されたら、今度こそネロもクビになるかも・・・」
ネロ「そういう訳にもいかないだろ」
昂「だって、ネロが学校に居れなくなるかもしれないんだよ!ネロが担任になってから、学校も楽しいし・・・友達が居なくなるのは寂しい・・・」
まさか昂に ここまで心配されてるとは思わず、ネロは少し驚き唖然としていた。
だが、ネロは すぐに笑みを見せ、昂の頭に手を乗せる。
ネロ「心配するなよ。こんな時こそダチの出番だろ?」
昂「へ?」
詳細まで聞かせてもらえず、ネロが何を考えてるのか分からず今度は昂が呆けた顔をするのだった。
・・・・・・
*明陽学苑高校 2年4組 7月11日 8:40*
翌朝、2年4組の教室では、朝のホームルームが始まるまで生徒達が雑談しながら騒がしく話していた。担任のネロを排除して機嫌がいいのもあるのだろう。
そして教室の扉が開き、生徒達は そちらを見て驚き、一気に静まり返った。
ネロ「うい~、ホームルーム始めるぞー」
生徒「どういう事だよ?あいつ来てるじゃん」
ネロが警察に捕まり、人生終了で学苑には もう来ないと思っていた生徒達だったが、当たり前のように、何事もなかったかのようにネロが現れた事で、困惑していた。
生徒「何で お前が居るんだよ?!」
ネロ「何でって・・・仕事だからに決まってるだろ。何だぁ?まだ寝惚けてるのか?夜更かしも程々にしろよ」
生徒「そうじゃねぇだろ!お前 警察に捕まったんじゃねぇのかよ?!」
ネロ「それがよぉ、聞いてくれよ!
ネロはバカだよなと大笑いし、生徒達は逮捕されるぐらいじゃネロにダメージを与えられないと知り、顔を引き攣らせる。
そんな中で、大丈夫そうなネロを見た杏子と昂は安心し、互いの顔を見ながら笑みを浮かべていた。
・・・・・・
休み時間、ネロは楓を呼び出した。
楓「先生、何ですか?」
ネロ「放課後、美香の所に一緒に行ってくれ」
楓「・・・私がですか?」
ネロ「仲 良かったんだろ?あいつは きっと教師が嫌いなんだ。こういう時こそ、ダチの出番だ。一緒に学校に来るよう説得するの、手伝ってくれ」
楓は 少し考える振りをすると、笑顔で了承した。
話も終わりネロが立ち去ると、楓はスマホを取り出し美香に電話を掛ける。
楓「学校にネロが来た。あなたは何をやってもダメね。今度は頑張ってね。成功したら、一緒に遊んであげるわ。不登校の美香ちゃん♪」
美香『・・・誰が・・・!』
美香が一方的に電話を切り、楓は教室へと戻るのだった。
・・・・・・
また別の休み時間、ネロは杏子に捕まってグチグチと小言を言われていた。
杏子「美香に関わるのやめなぁ」
ネロ「何で?」
美香は中学の時に母親を亡くしており、母親が病気なのに父親は仕事ばかりで、看病も見舞いもせず、葬式にも出ず仕事をしていた。
だから美香は そんな父親を、恨みながら生きてるそうだ。
ネロ「(はっはーん・・・そういう事か)」
杏子の話を聞いたネロは、美香が緊急通報を使って自分や前の担任を嵌めた理由が判った。仕事ばかりの父親、ずっと父親が家に居ない事で独り寂しく、父親の気を引くために緊急通報を悪用してるのだと。
ネロ「(高校生って言っても まだガキだな。しかも不器用で甘え方が下手な)」
杏子「・・・何で笑ってるの?自分がヤバい事に首 突っ込んでるって自覚ある?」
ネロ「大丈夫だって。お前も昂も心配性だなぁ。それに楓に頼んで、一緒に美香の説得に来てもらう事になってる」
杏子「え・・・」
まさか全ての首謀者である楓に そんな事を頼んでるとは思わず、杏子は絶句した。
楓だけはやめておくよう口を開きかけるが、そこにタイミング悪く見計らったかのように楓が現れ、何も言えなくなる。
楓「先生」
ネロ「おう」
楓「美香と連絡が取れました。家じゃなくて、20時に公園に来てほしいと」
ネロ「分かった、ありがとな」
楓「いえ」
楓から どこの公園か、公園の どこで待ち合わせかも聞き、ネロは心配するなと杏子の肩を叩いてから、ご機嫌な様子で その場を立ち去る。
杏子は心配そうな顔でネロを見送ってから、楓の方を見る。その楓は、余計な事はするなと言うように意味深な顔で杏子を見詰めてから、黙って立ち去った。
杏子はネロを助けたい気持ちと、クラスの意思に反して自分が標的にされるリスクの板挟みとなり、何もできなかった。
・・・・・・
*公園 20:00*
約束の時間に待ち合わせ場所に来たネロだったが、どこを見渡しても美香の姿が見当たらない。
ネロ「誰も居ねぇじゃん。遅れてるのか・・・?」
そう思っていたら、美香が現れた。
ちゃんと約束通り美香が来た事に、ネロは笑みを浮かべる。
美香「どうして私に関わるの?」
ネロ「そりゃ担任だからさ。放っておけないだろ」
美香「心にも思ってないくせに。どうせ教師として、点数 稼ぎたいだけでしょ?自分は生徒の事を思ってる、不登校の生徒を登校させれる教師だってアピールするための」
そう言われ、ネロは面倒臭そうに顔を しかめて溜め息を吐いた。
ネロ「何で そんな捻くれてるんだか・・・。別に点数稼ぎなんて どうでもいいよ。興味ないし」
美香「じゃあ何で関わるの?」
ネロ「難しく考えず、学校に来いよ。学校に来たらダチも居て楽しいぞ」
美香「別に友達なんか・・・」
ネロ「ダチ居ないのか?だったら俺がダチになってやるよ。そしたら学校 来るのも楽しくなるだろ?」
美香「は?馬鹿じゃないの?何で あんたなんかと友達にならなきゃいけないのよ」
美香は悪態を吐くが、ネロは笑みを浮かべるだけで何も言い返さない。
美香「それに、ノコノコこんな所に来るなんて、やっぱり馬鹿だよ。あんた自分の状況 分かってる?」
ネロ「それは どういう意味だ?」
すると どこに隠れていたのか、大勢のチンピラ風の男達が現れ、鈍器を手にネロを囲んだ。
美香「闇サイトで集めたの。あんたを倒せば100万円あげるって。どう?ビビって怖くなった?逃げたいなら逃げていいよ。この人数から逃げられたらだけど。どうせ あんたも口先だけでしょ」
ネロ「俺を口だけだと思ってるのか?」
再び罠に嵌められたネロだったが、美香の言うようにビビるのではなく、逆に不敵な笑みを浮かべていた。
美香が男達に攻撃の合図を出し、男達は一斉にネロに襲い掛かる。
そしてネロは・・・
ネロ「その100万円は俺が貰う!」
金欠で借金塗れであるため、100万円 欲しくなっちゃった。
ネロは襲い掛かる男達の攻撃を躱し、向かってくる勢いを利用して突き飛ばし、足を掛けて転ばし、男達を次々と避けながら美香に向かって走る。
そして美香の所に着くと、彼女の頭に黒い頭巾を被せて肩に担いだ。
ネロ「100万円ゲット!」
美香「ちょっと、何するのよ?!」
美香が一緒に居るのに、そんなのは お構いなしで男達は襲い掛かってくる。肩に美香を担いだ状態でも、ネロは余裕で避ける。
ネロ「そして持ち逃げ!」
ネロの目当ては美香であり、どこの誰かも知らない男達に構うつもりはないので、彼女を担いだまま逃走する。
男達はネロと美香を追うが、ネロの脚力に勝てるはずもなく、すぐに見失った。
*街*
そしてネロは、美香を担いだまま夜の住宅街を走り続けていた。
美香「お前なんのつもりだよ?!」
ネロ「何って、お前を誘拐してるんだ」
美香「はぁ?!お前 正気かよ?!」
ネロ「正気も正気。俺 金欠でさぁ、100万円くれるんだろ?」
美香「お前なんかに渡す訳ないだろ!」
ネロ「えぇー、くれないの?残念だな。だからって このまま帰さないけどな」
美香「放せよ この犯罪者!」
ネロ「変な男共 集めて俺をボコボコにしようとした奴に言われたくないね。いいから大人しくしてろ。お前の悩みなんて吹き飛ぶ場所に連れてってやるから」
ネロは お気に入りで とっておきの場所に美香を連れていくため、彼女を担いだまま その場所に向かって走り続けるのだった。
・・・・・・
*鉄塔 21:06*
美香「放せー!!」
頭から黒い頭巾を被せられた美香を担いで、ネロは鉄塔の階段を駆け上がって頂上を目指していた。
暴れながら怒鳴る美香にウンザリして顔を しかめるネロは、彼女を黙らせるために1度 立ち止まり、被せてる頭巾を取る。
頭巾が取られ、遥か遠くの地上が視界に入り、美香は驚き息を呑む。
ネロ「ほら、これで分かっただろ?暴れたら落ちて死ぬぞ」
美香「私を どうするつもりだよ?!あんたを嵌めたから、その仕返しで上から突き落として殺す気?!」
ネロ「はぁ?そんな事するかよ」
美香「じゃあ何で こんな所に連れてくるのよ?!」
ネロ「だから暴れるなって。ほんとに落ちたら死ぬぞ」
美香「別に、死ぬのなんか怖くない!私が死んだって・・・!」
美香の自分を蔑ろにするような言い分に、ネロは少し腹を立てる。
ネロ「うわっ!?危ねぇ!」
美香「きゃあー!きゃあー!」
ネロがバランスを崩し、美香共々 階段の手摺の外側に落ちそうになる。
ネロ「なんてな!」
というのは嘘で、美香をビビらせるためにやった演技である。
美香「お前なんか死ねよ!」
ネロ「死ねって言われて死ぬバカなんて居ねぇよ。お前こそ、死ぬのが怖くない奴が そんな可愛い悲鳴なんか上げるのか?」
美香「うっさい!」
ネロ「もう少し素直に生きてみたら どうなんだ?学校の事も、親父さんの事も」
ネロからは見えなかったが、父親の事を出され、美香は苦しそうな表情を浮かべて やっと大人しくなり、静かになった。
そして頂上まで着くと、ネロは美香を下ろした。
ネロ「ほら、凄いだろ」
美香はネロの言う方を見て、言葉を失った。
遠くに見えるのは、夜の街の明かりが見える とても綺麗な夜景で、美香は自分の街が こんなに綺麗に見える物だとは思わず、初めて見た風景に言葉が出なかった。
ネロ「悩んだり何かに行き詰まると、ここから街を見るんだ。あの街には沢山の人が居て、誰もが悩みを抱えて生きてる。それでも皆 必死に生きてて、俺の悩みなんか ちっぽけに思えて全部 吹き飛ぶんだ。どうだ?」
美香「・・・・・・うん・・・綺麗・・・」
ネロ「だろ。だから簡単に、自分が死んでもなんて言うなよ。生きてたら、こんな風景が いくらでも見れるんだ」
美香「・・・・・・でも、パパは私が死んでも気にしない・・・お母さんが死んだ時も そうだったから・・・」
ネロ「そんな事ないと思うけどな」
美香「何も知らないくせに、知った風なこと言わないでよ。あの人は そういう人なの」
ネロ「ならパパさんは、何で お前に緊急通報なんて渡したんだ?娘の お前を心配してるからじゃないのか?緊急通報で俺を嵌めたのも、本当は心配してほしくて構ってほしかったからじゃないのか?寂しいならパパさんに言えばいいじゃないか」
美香「ママが死んだ時だって、仕事があるからって居なくなった。携帯を渡して父親の役割を果たしたと思ってるような奴に、何を言えってのよ?」
ネロ「でも、言わなきゃ伝わらないんだ。言ってみろ、お前の素直な気持ち。応えてくれるかもしれないだろ、パパさんもよ」
そしてネロは、美香が持つスマホを奪い取る。
美香「ちょっと、何するのよ!?」
ネロ「パパさんを呼ぶんだ。腹 括って、自分の素直な気持ち言ってやれ」
そしてネロは、自分で緊急通報を押した。
すぐに街の方から、パトカーのサイレンの音が鳴り、こちらに向かってくるのが分かる。
ネロと美香は、パトカーが来るのを静かに待つのだった。
この作品内でネロが警察に逮捕されるの、これで2度目になります。3度目があったら流石に逮捕され過ぎですね(笑)
次回も宜しく お願い致します!