429話です!どうぞ!
外に飛び出した川内は、
五十鈴の手を借りるため、山の中にある扉の無い門を潜ろうとしたのだが、出た瞬間に鏡の中に閉じ込められてしまう。
その状態で川内は、五十鈴に夢沅寺での現状を伝える。
それを聞いた五十鈴から、2種類の獏という生き物について教えられ、ダンテ達を助けるために川内は夢沅寺へと戻る。
そこで住職の
川内は神通に、目を覚ますよう呼び掛ける。しかし神通は、獏念が与える甘い夢の世界で暮らす事を選び、川内との縁を切る。
それでも川内は諦めなかったが、獏念の術で眠らされ、夢の世界へと落ちていった。
神通は、川内の呼び掛けで正気に戻りつつあった。
自分が何のために戦うのか その理由を思い出し、自分を正気に戻してくれた川内を助けるため、甘い夢ではなく厳しくも戦いのある現実を生きる道を選ぶ。
呼び掛けても起きない川内を暴力的に起床させ、川内も戦うために艤装を装着しようとするが、艤装が展開されなかった。川内は夢を視た影響で、人間になってしまっていた。
そして川内は、艦娘に戻るための唯一の方法を思い出すのだった。
*夢沅寺 7月21日 11:50*
自分の現実を取り戻すには、現実を封じ込めている箱から解き放たなければならない。そのため、川内と神通は箱を祀ってある部屋へと急いで来た。
箱の蓋を開けようとするが、施錠され箱自体も頑丈であり、中々 現実を解放する事ができなかった。
それでも諦めず、叩き潰そうと殴ってみたりもするが、ただ自分の拳を痛めるだけだった。
川内「イッテー!提督が居たら こんな箱 簡単に ぶっ壊せるのに!」
川内は部屋にある装飾品を手に取り、それで叩き壊そうともするが、それでも壊れなかった。
神通が砲撃で破壊しようとした瞬間、やめろと叫びながら人々が集まってきた。その中には、未だ夢から覚めないダンテ達の姿もあった。
那珂「やめて川内ちゃん!」
加賀「そんな事したら・・・!」
すると1発の銃声が鳴り響き、箱に穴が空いた。
全員が驚き視線を向けると、ダンテがエボニーを構えていた。
加賀「提督、どうして・・・!?」
ダンテ「この夢にも飽きてきたとこでなぁ。そろそろ刺激的な現実に戻りたくなったのさ」
神通「まさか提督・・・最初から気付いてたんじゃ!?」
川内「わざと夢の世界に囚われてたってこと!?」
ダンテ「フッ、さてな」
銃弾が空けた穴から、人々の現実である黒い煙の塊が次々と漏れ出し、身体の中へと戻っていく。それにより全てが元の状態に戻り、歩けなくなり、若さを失い、亡くなった恋人が消えたりと、現実に戻った人々は悲鳴を上げたり、ショックを受けて項垂れる者が続出する。
川内「・・・・・・皆ごめん・・・」
神通「これでいいんです。これが、明日を生きるという事なんです」
・・・・・・
*山 12:24*
ダンテ達は人々を連れ、山の中にある扉の無い門がある場所まで来た。それを後ろから追ってきた川内が呼び止める。
川内「みんな待って!無理なの!そこから出たら、鏡に入っちゃう!みんな待ってて!」
加賀「どういうこと?」
川内「あの獏を ぶっ倒さないと そこの門から出られないんだよ!」
*夢沅寺*
獏念は、人々の現実を閉じ込めていた空になった箱の中を見詰めていた。
そこに坊主が慌てた様子で駆け付ける。
坊主「獏念様ぁー!獏念様、早く、お逃げください」
坊主は それだけ伝えると、さっさと1人で逃げてしまった。
直後、複数の足音が近付いてくるのが聴こえてくる。
川内「おいバクネーン!皆もう目を覚ましたぞー!」
部屋の扉が開き、ダンテと加賀、川内型が姿を現した。
そして獏念は、正面からダンテ達と相対する。
獏念「よくも私の夢を。折角この私が、皆を幸せにしてやったというのに。お前達は、鬼かぁー?!」
ダンテ「・・・川内」
ダンテに名を呼ばれた川内は頷き、1歩 前へと出る。
川内「うん、鬼かもしれないね」
獏念「何?」
川内「皆に本当の事を教えるのが鬼だって言うなら、私は鬼でいい」
獏念「何を言う?私は皆を━━」
川内「お前が視せた夢は、諦めた奴が視る夢だ!明日の希望を諦めた奴が視る夢だ。そんな夢は夢じゃない!!例え鬼になったって、例え ぶん殴られたって私は お前を許さない!!さぁ、現実の戦いってやつを見せてやるよ!」
ダンテ達は魔具や艤装を構えるのだが、獏念は その場で座って胡座を掻き、深く息を吐き出すと目を瞑った。
川内「・・・・・・コラーッ!!コラコラコラァーッ!!自分だけ寝るなー!!」
加賀「油断しないで。何かの罠かも」
そう言われ、川内は警戒して艤装を構え直す。
しかし、獏念は目を瞑ったまま動く気配がない。やっぱり ただ寝てるだけかもしれない。
川内「・・・・・・寝るな寝るな寝るなー!!私だって寝たいんだよ!」
自分だって寝たいのに獏念だけ寝る腹立たしさから、川内は主砲から砲弾を発射する。それにより獏念と空になった箱の間で動く振り子に命中し、破壊され その動きを止める。
直後、獏念が目を開け焦ったように後ろに振り返る。
川内「さぁ来い!」
やっと戦いに入るかと思い、ダンテ達は川内と並び立つ。
だが、獏念の口から出た言葉は、予想外なものだった。
獏念「早く逃げろ」
川内「・・・はぁ?!」
獏念「この世界は、私の夢だ。この振り子が止まってしまった以上、この寺は、今に消えて無くなる。今度こそ、出られなくなるぞ」
川内「・・・・・・・・・」
那珂「ひぃーっ!?」
ダンテ「急げ、逃げるぞ」
加賀「神通、早く!」
那珂が真っ先に逃げ出し、それに続くようにダンテと加賀も寺の外に急ぐ。
だが川内と神通は、その場に残り獏念を見ていた。
川内「お前は どうする?!」
獏念「ここは、私の夢の城だ。ここに残り、夢と共に消える」
川内「だぁっ!」
川内は駆け出し、獏念の胸ぐらを掴むと無理矢理 立たせる。
川内「駄目だ!お前も現実に戻れ!」
*山*
扉の無い門の前では五十鈴が、ダンテ達が戻ってくるのを静かに待っていた。
すると五十鈴の横を、老人姿のアーロンとオリーブ財団の特殊部隊が通り過ぎて門を潜ろうとするので、五十鈴は慌てて立ち塞がり止める。この先に行けば、獏念の牢獄に閉じ込められてしまう。
五十鈴「ちょちょちょっ、おじいちゃん、今ここ通れないから」
アーロン「・・・いやいやいやいやいや、私は向こうに用があるのだよ」
五十鈴「ううん、駄目だって言ってるでしょ!」
アーロン「私を誰だと思ってる?!」
五十鈴「知らないわよ!というか いい歳して━━」
喋ってる途中で、アーロンと特殊部隊は五十鈴を無視して門を潜ってしまう。
それを見て、五十鈴は別の意味で驚いてしまった。門を潜れば姿が見えなくなるはずなのだが、どこまで行ってもアーロンの姿が見えている。
五十鈴「えっ!?何で何で?」
五十鈴は試しに、門に向かって腕を伸ばしてみる。だが これまでとは違い、消える事はなかった。
五十鈴「・・・・・・あら?」
そして夢沅寺を出たダンテ達は、門に向かって歩いていた。
川内に至っては、捕まえた獏念の襟首を掴んで引っ張っていた。
川内「オラァ、ちゃんと歩けよ」
そこに、門の方から歩いてきた五十鈴とアーロン、特殊部隊が合流する。
しかも何故か、五十鈴とアーロンが腕を組んでいた。いや、何で・・・?
川内「うわ おっそ今頃 来たよクソジジイ。つうか何で腕 組んでんのさ?!」
五十鈴「だって、ねー?♪」
アーロン「ねー♪」
川内「何が“ねー”だよ、そっち艦娘で そっち監査でしょ。立場 考えろよ!!」
アーロン「五十鈴ちゃんはぁ」
五十鈴「うん」
アーロン「年上の男は どう?」
五十鈴「イケます」
アーロン「お゛ーーーっ!!」
サムズアップを向けながら五十鈴が答え、アーロンは歓喜の雄叫びを上げる。
川内「“お゛ーーーっ”じゃないだろ、さっさと離れろよ!!」
五十鈴「ねぇ おじ様お幾つなのぉ?」
川内「おじ様?」
アーロン「幾つに見える?」
五十鈴「うーん、幾つかなぁ~?☆」
川内「おいおい、ここは どこだよ?」
アーロン「いつでも、研究所に遊びにおいで」
五十鈴「ほんとぉ!?五十鈴うーれーしーい~!」
アーロン「いい眺めだよぉー!」
川内「ジージーイ~、監査が そんなんでいいのかよぉ?!」
川内が ずっとツッコミを入れてるが、アーロンが五十鈴の手を見て2人は手相占いで盛り上がっていた。
川内「なに手相 見てんだよ!!お前こんなジジイにまで取り入りやがって。いい加減にしろよ!!」
アーロンが駄目なので今度は五十鈴の方に言うが、五十鈴に睨まれ舌打ちまでされた。
五十鈴「いや~ん おじ様この人 怖いぃ~」
アーロン「・・・・・・引っ捕らえい!」
川内「えー!?」
五十鈴の言いなりになるアーロンの命令で、川内は獏念と共に特殊部隊に拘束される事となってしまった。
川内「放せよ。放せゴラァ!!」
五十鈴とアーロンは腕を組みながらスキップして立ち去っていき、気付けばダンテと加賀、神通、那珂も普通に歩きながら別方向に立ち去っていってた。
ダンテ達からすれば、ずっと茶番を見せられゲロ吐きそうだった。
川内「待ーてーよー!!待ーてーよゴラァ!!あれ・・・?あれ?眠い・・・」Zzz・・・
ちゃんと寝れてなかった川内は今になって限界を迎え、そのまま立ったまま寝た。
その後 獏念は、人間でも悪魔でもなく、妖怪であると判明し、珍しいという事で、研究サンプルとしてアーロンの研究所に極秘裏に移送される事となった。
・・・・・・
川内を放置して車に乗ったダンテ達は、鎮守府に向けて走っていた。
皆で よく眠れてスッキリしたなど呑気な会話をしてると、急に加賀の顔色が悪くなり、しどろもどろになりながらダンテに話があると切り出した。
眠気もなくスッキリしてるダンテは機嫌が良く、今なら どんな話もウェルカムであったが、言い出した加賀が中々 話の続きを話し出そうとしない。
この話はダンテと会った時に真っ先に話すべきだったのだが、川内の安眠妨害による睡眠不足で頭が回らず、完全に忘れてしまっていたのだ。
しかも いい話か悪い話かで言えば、良くない話であるので余計に忘れていた事が悔やまれる。
ダンテ「どうした?早く話せよ」
加賀「え、えぇ、そうなんだけど・・・その・・・」
ダンテ「・・・・・・分かった、トイレか!」
加賀「違う」
トイレに行きたくて、けど言い出すのが恥ずかしいのかと思ったが違った。
ダンテ「じゃあ何だ?」
加賀「本当なら昨日、あなたに会った時に すぐ言うべきだったのだけれど、ごめんなさい・・・」
ダンテ「だから何だ?勿体振らずに言ってくれ」
加賀「実は財団の方から連絡があって、夕張が財団を辞めたそうなの・・・」
ダンテ「まぁ、本人がやりたくないなら、それも選択肢の1つではあるな」
加賀「問題は それだけじゃないの。鎮守府にも戻ってきてない」
ダンテ「・・・・・・・・・」
加賀「夕張の救援信号は出てないから、恐らく無事ではあると思う。でもGPSの信号も辿れず、現在の居場所が掴めない状況なの。たぶん彼女の事だから、自分で切ったとしか・・・」
ダンテ「・・・つまり・・・そういう事か?」
ダンテの問いに、加賀は何度も頷いてから口を開く。
加賀「夕張型 軽巡洋艦1番艦 夕張が・・・行方不明になった」
加賀が そう言った直後、ダンテが急ブレーキを掛けた。ここは まだ田舎道で、後続車が居ないのが幸いだった。
ダンテ「何で そうなる?」
加賀「ごめんなさい、もっと早く言いたかったんだけど━━」
ダンテ「そうじゃない!夕張が そんな行動に出た理由は何だ?!」
加賀「そこまでは聞かされてないの。財団からは機密だからと・・・」
ダンテは何も言わず、再び車を走らせ始める。
車内が一気に気まずくなり、神通と那珂は口を挟む事もできず、静かに様子を見ている。
加賀「提督には、彼女を どうするか判断を仰ぎたかったの」
ダンテ「・・・どうもしない」
加賀「探さないの?」
ダンテ「お前らが そうしたいなら そうすればいい。あいつも たまに ふざけるが、それでもバカじゃない。あいつが そんな行動に出たのは、何か考えがあるのかもな。それに・・・自分から姿を消したなら、俺達に追ってきてほしくないのかもしれない。しばらくは自由にさせてやるさ」
加賀「・・・・・・そう、分かった・・・」
ダンテ「・・・何か手懸かりは残してないのか?」
加賀「手懸かり・・・?」
ダンテ「トラブルに巻き込まれてるなら話は別だ」
加賀「いえ・・・そういうのは一切」
ダンテ「鎮守府に居る連中に この事は?」
加賀「全員 知ってる」
ダンテ「なら、今は それでいい」
オリーブ財団のステフなら何か知ってるだろうが、鎮守府に連絡を寄越した時点で詳細を伝えてないなら、直接 問い質したところで そう簡単に話しはしないだろう。つまりは時間の無駄だ。
夕張は賢い。何かあれば自力で窮地を脱する事もできるだろう。
必要になれば、彼女の方から何かしらの方法で鎮守府に連絡を入れてくるはずだ。
手懸かりが何も無いなら動きようもない。
今は鎮守府に居る艦娘達が、夕張が行方不明になった事を共有してるだけでも良しとするしかない。
その後 加賀達を送ったダンテは、まだ鳳翔の お許しを得られてないため、鎮守府の手前で彼女達と別れ、新居に戻ってから念のため、ネロとバージルにも夕張について情報を共有しておくのだった。
五十鈴とアーロンが恋仲になる事はありません。絶対ありません。させません!
次回も宜しく お願い致します!