Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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430話です!どうぞ!


Mission430 進路指導~消える参加費~

明陽(めいよう)学苑高校 7月20日 8:20*

 

ダンテと加賀、川内型、五十鈴が、夢を叶え現実を食べてしまう獏念の居る寺、夢沅寺(むげんじ)へと向かうのと同日、明陽学苑2年4組で また動きがあった。

教職員用の下駄箱がある場所で、クラスの生徒の1人、『明子(あきこ)』の姿があった。

彼女は手に持つラブレターをネロに渡すため、下駄箱の1つを開けて中に入れる。

そして明子は周囲を警戒するように見回してから、そそくさと その場を後にした。

 

 

・・・・・・

 

*音楽室 9:45*

 

1限目の後の休み時間、明子は電気も点けず、暗い音楽室でネロを待っていた。

そこに音楽室の扉を開け、誰かが入ってくる。

 

明子「先生・・・私、先生の事が好きです!」

 

明子は暗い教室の中で告白しながら、いきなり抱き付いた。

その瞬間、カメラのフラッシュが何度も瞬く。

 

(かえで)「生徒に手を出すなんて、これで終わりね、ネロ」

 

楓と他の数名の生徒が、カメラを手に物陰から出てきた。

明子が下駄箱に入れたラブレターは、楓が考えたネロをクビにする作戦の一環だった。生徒と抱擁する教師、証拠の写真もあれば、学校もPTAも黙っていない。

証拠写真を使って そのままクビにするも良し。それを使ってネロを脅迫し、奴隷のように使うのも悪くないと考えていた。

しかし生徒の1人が音楽室の明かりを付けると、そこに居たのはネロではなく、別の男性教師だった。

明子はネロの下駄箱ではなく、間違えて その隣にラブレターを入れてしまっていた。

明らかに明子のミスであると判り、楓や他の生徒はガッカリした様子で溜め息を吐いてしまう。

無駄な時間になってしまい、楓と他の生徒は さっさと音楽室から出ていき、明子は焦ったように楓を追う。

そして間違いで呼び出された男性教師は、何が何やら全く分からないまま その場に残された。

 

明子「楓ちゃん!待って楓ちゃん!」

 

後ろから何度も呼ばれ、楓は不機嫌そうに立ち止まる。

 

明子「ごめんね、次は ちゃんとやるから。反省 反省」

 

明子は謝るが、楓は そっぽを向いたまま何も言わない。

 

明子「楓ちゃん・・・?」

 

楓「昔から そういうところがウザい。2度と話し掛けないで」

 

楓は怒って立ち去り、明子は悲しそうな表情で その場に立ち尽くすのだった。

 

 

・・・・・・

 

*2年4組 13:55*

 

その日2年4組では、進路指導が行われた。

担任のネロと副担任の羽黒、生徒1人での面談をしていたのだが、羽黒は ずっと困った顔をしていた。クラスの生徒の誰もが将来の事を考えておらず、適当に安易な考えで自分の将来を決めようとしていた。

今は生徒の1人、長髪が目立つ男子生徒『晶人(あきと)』との進路相談だった。

 

羽黒「あの、本当に就職でいいの?進学してからでも遅くはないと思うけど・・・」

 

晶人「はい、いいんです」

 

ネロ「お前、やりたい事とかないのか?」

 

晶人「別に・・・。それに、大学とか専門学校に行くの俺 無理なんで」

 

羽黒「どうして?成績も悪くないし、志望先があっても困らないくらいだよ?」

 

晶人「いや、うちの親父の会社が倒産しちゃって。兄弟も多くて貧乏だし、少しでも家の助けになればと思うんで、就職します」

 

本人の意思であるため、あれこれ変に口を挟む訳にもいかないが、ネロと羽黒は本当に これでいいのかと、互いの顔を見合わせるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*廊下 14:24*

 

休み時間、羽黒が廊下を歩いてると、前から担当クラスの生徒である明子が歩いてきた。

 

羽黒「西村(にしむら)さん、次の進路指導なんだけど」

 

明子「あ、私は進路指導なんていいです。どうせ何をやってもダメだから・・・」

 

そう言って、明子は元気のない様子で羽黒を通り過ぎていってしまう。

最後の授業時間である6限目、結局 明子は進路指導には来なかった。

 

 

・・・・・・

 

*カフェ 16:54*

 

学校が終わり、ネロは久々に会おうと連絡を受け、二航戦とニコと一緒にカフェに来ていた。

そこでネロは、彼女達に今日の進路指導での生徒の様子を話していた。いや、愚痴に近いのかもしれない。

 

ネロ「うちのクラスの生徒は空っぽなんだ。俺らには今でもあるだろ?妙な自信とか」

 

ニコ「あるなぁ。私は最高のガンスミスになる。いや、私ならなれるね。飛龍と蒼龍は、深海棲艦から海を取り戻す事だろ?」

 

飛龍「勿論。絶対に取り戻してみせる」

 

蒼龍「いつになるか分からないけどねー」

 

そこに、1人で来た生徒の美香(みか)が現れ、ネロは驚いた。

 

ネロ「おぉ、お前1人で何やってるんだ?」

 

飛龍「美香ちゃん、こんばんは」

 

既にネロに心を開いてる美香は、ネロとの交流を経て、Devil May Cry鎮守府の艦娘達とも面識を持つようになっていた。

 

美香「こんばんは。ちょっと ここで勉強しようと思って」

 

ニコ「真面目だねぇ~・・・」

 

蒼龍「それなら、こっちで一緒に座りなよ」

 

飛龍「分からないとこがあったら教えてあげられるし」

 

美香「いいんですか?」

 

蒼龍「当たり前じゃん。序でに飛龍お姉さんが奢ってあげる」

 

飛龍「私かい!」

 

Devil May Cry鎮守府の艦娘達は、人間との交流を大切にしている。だから二航戦と美香が仲良くなるのも早かった。

二航戦と楽しそうに話しながら美香が座るが、ネロは そんな事よりも進路指導の事を思い出した。

 

ネロ「美香、進路指導だけど━━」

 

美香「私もパス」

 

ネロ「何で?」

 

美香「私 頭いいから どうにでもなる」

 

ニコ「ぶはっ・・・!」

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

完全にネロの教師としての面目が潰され、ニコは我慢ならず吹き出して笑ってしまった。

二航戦の2人もネロから顔を背け、笑いそうなのを必死に堪える。

ネロ達が座るのは窓際の席で、美香が二航戦の方に顔を向けて話すと、必然と窓側の方に顔を向ける事になる。その時に、クラスメイトの明子が、複数の男達に連れられ公園にある男子トイレに入るのを見た。

 

ニコ「おいおいマジか・・・」

 

飛龍「美香ちゃんが知ってる子なら、ネロのクラスの生徒?」

 

美香「はい。先生、あれはヤバいんじゃない?」

 

 

*公園*

 

一方 男子トイレに連れ込まれた明子は、個室に追い込まれ逃げ道を塞がれていた。

 

男「お小遣いは幾ら欲しいの?」

 

そんな事を訊きながら、男の1人は明子をビデオ撮影していた。

明子が困り果て何も言えない状況の中・・・

 

?「100万円」

 

男の声がし、明子を連れ込んだ男達が振り返ると、そこにはネロが居た。

 

明子「先生!?」

 

男「せ、先生・・・?」

 

ネロ「おいおい、女子高生トイレに連れ込むのは流石にマズいだろ~。警察に捕まってテレビで実名報道されて人生 潰れちゃうぞ~。どうせなら俺が代わりに遊んでやるよ。だから・・・お小遣いくれよ」

 

そう言ってネロはニッコリ笑うが、目だけは笑っていなかった。

男達は このままではマズいと焦り始め、慌てて逃げるようにトイレから出ていった。

一先ずトイレから出たネロと明子だったが、あんな連中に大人しく従ってホイホイ付いていくのは、やはり大人として注意はしておくべきだ。

 

ネロ「ダメだぞ、ああいう輩には気を付けないと」

 

明子「いつもの事ですから・・・」

 

ネロ「・・・・・・?」

 

このまま1人にするのは心配なため、ネロは飛龍に電話を掛け、断りを入れてから明子を自宅に送り届ける事にした。

 

 

・・・・・・

 

*明子の自宅 18:34*

 

明子を自宅へと送り届け、彼女の母親は いきなり担任が来た事に驚いていた。

事情を説明すると、母親は呆れていた。

 

母親「あんたは また心配 掛けて!先生にまで助けてもらっちゃって、しっかりしないと駄目よ!先生も、ご迷惑お掛けして申し訳ありません」

 

ネロ「いや、大した事は」

 

母親「折角ですから、お茶でも飲んでいってください。明子、あんたの部屋に案内して差し上げなさい!」

 

明子「先生、どうぞ上がってください」

 

ネロ「え、あ、うん・・・」

 

ボーッとした雰囲気の明子と違い、母親は元気の塊みたいな人だった。母親と娘とで かなり温度差があり、ネロは断る暇もなく親子の雰囲気に翻弄され、なし崩し的に お邪魔する事になってしまった。

 

明子「ここが私の部屋です」

 

ネロ「お、おう・・・」

 

明子の部屋へと通され、彼女の部屋は薄ピンク色に統一され、ぬいぐるみなども多く置かれていた。あまりにもメルヘンチックな雰囲気に、ネロは圧倒されていた。

ぬいぐるみの1つを手に取り、こういうのが好きなのかと思いながら部屋を見てると、写真立てに飾られた1枚の写真が目に止まった。

 

ネロ「それ、昔の写真か?」

 

明子「ああ、これですか?小学校の合唱部での写真なんですぅ~。楓ちゃんも一緒に写ってるんですよ」

 

ネロ「どこ?」

 

明子「ここです。これが楓ちゃん。こっちが私です」

 

ネロ「ほえ~・・・あれ?って事は2人は・・・」

 

明子「小学校の時からの友達なんです」

 

ネロ「へー、意外だな」

 

明子「そうですか?」

 

ネロ「いや、何ていうか・・・お前と あいつ、雰囲気が全然 違うからさ」

 

それから明子は、小学校での楓との思い出を語り始めた。

小学4年生の時、明子が ご機嫌に歌を歌っていると、当時の楓に“歌が上手いね”と言われたそうだ。それを切っ掛けに、明子は楓が入っていた合唱部に入る事にした。

 

明子「それから どんどん歌が好きになって。楓ちゃんの お陰なんです」

 

それもあり、昔は歌手になるのが夢だった時もあるそうだ。

その話を聞き、ネロは微笑ましく思った。

進路指導もあるため、そんなに歌が好きなら歌手になる事を勧めてみるが、明子は首を横に振った。

 

明子「私には無理ですよ。何をやってもダメだし、トロいし・・・だから『トロ子』って呼ばれてますし・・・私なんかが歌手になんてなれませんよ・・・」

 

ネロ「やってみなきゃ分からないだろ?」

 

明子「私には無理ですよぉ~・・・!」

 

あまりにも自分に自信のない明子に、ネロは呆れながら部屋にある女性向け雑誌を手に取り、適当にパラパラとページを捲り目を通していく。すると、あるページで止まり、ネロの目が見開かれた。

 

ネロ「100、万、円・・・!?」

 

そのページには、アイドルオーディションの告知が掲載されており、しかも優勝者には100万円の賞金も出る。

ダンテのせいで金欠に巻き込まれてるネロは、もう100万円の事で頭が一杯になっていた。

そして、とんでもない事を閃いてしまう。

 

ネロ「・・・・・・明子」

 

明子「はい?」

 

ネロ「お前、これに出ろ」

 

明子「・・・・・・えぇーーーーーーっ!?」

 

明子は あまりにも驚き過ぎ、壁際まで凄い勢いで後退った。

 

ネロ「これは お前の夢を叶えるチャンスだ」

 

ネロは開いたページを向けながら明子に迫るが、明子は激しく首を横に振って拒否する。

 

明子「無理ですよ!私なんかが出ても すぐ落ちちゃいます!」

 

ネロ「何で お前は そんなに自分に自信がないんだ?やってみなきゃ分からないって言ったろ」

 

明子「だってぇ・・・」

 

ネロ「・・・・・・分かった、なら こうしよう。お互いに助け合うって事で」

 

明子「・・・助け合う・・・?」

 

ネロ「俺は100万円が欲しい。お前は歌手になりたい。優勝して、互いの夢を叶えるために協力し合うんだ」

 

明子「でも、私なんかじゃ優勝なんて・・・先生をガッカリさせるかも・・・」

 

ネロ「心配するな。賞金100万円、夢を叶えようぜ。俺がプロデュースしてやる」

 

ネロの気迫に断りきれず、翌日から明子は、アイドルオーディションで優勝するための特訓をさせられる事となった。

 

 

・・・・・・

 

*明陽学苑高校 教員室 7月21日 12:35*

 

翌日、昼休みの時間に、昨日 間違えたラブレターで呼び出されていた男性教師が、晶人を教員室に呼び出していた。

 

教師「今年から林間学校の参加費を現金で集める事になった。お前に頼む」

 

何かと思えば そんな話で、断る間もなく一方的に集金袋を押し付けられてしまった。

 

晶人「えっ、俺っすか!?」

 

教師「集めたら担任に渡せばいい」

 

晶人「え~・・・」

 

教師「何だ嫌なのか?」

 

晶人「いや・・・やるっす・・・」

 

男性教師に睨まれ、晶人は渋々 引き受ける事となった。

その後 男性教師は、楓が待つ場所に向かった。

 

教師「言われた通りにやったぞ」

 

手違いではあったが、男性教師は明子と音楽室で抱擁する写真で脅迫されていた。晶人に集金係を頼んだのは、楓の指示だった。

 

楓「もう一働きしてもらいます」

 

そう言って、楓はSDカードをチラ付かせて次なる指示を与えるのだった。

 

 

・・・・・・

 

2日後の放課後、クラスメイトから林間学校の参加費を集金した晶人は、たまたま通り掛かったネロに集金袋を渡そうとした。

 

ネロ「悪い、初給料が出たんだ。これから懺悔と言う名の列車に乗りに行く。明日にしてくれ」

 

晶人「おい、これ どうしたらいいんだよ!?」

 

肝心のネロは走り去ってしまい、渡しそびれてしまった晶人は仕方なく、集金袋を自分のカバンに入れ、明日 改めて渡す事にして帰る事にした。

それを楓が見ていたのだが、何かを思い付き、晶人の尾行を始めた。

 

 

・・・・・・

 

*スーパー 7月23日 16:38*

 

晶人「今日は何 作ろうかなぁ~」

 

学校帰りにスーパーに立ち寄った晶人は、夕飯の献立を考えながら質のいい食材の吟味をしていた。

そこに背後から、何者かがカバンの中から集金袋を抜き取った。晶人は夕飯の事で頭が一杯で、気付いていない。

そして すぐに、集金袋がカバンの中に戻された。

買い物を済ませスーパーから出た晶人は、ご機嫌で家に向かって歩いていく。

遅れてスーパーから出てきた楓は、晶人とは反対方向へと立ち去るのだった。

 

 

・・・・・・

 

*晶人の自宅 16:54*

 

晶人「ただいまー」

 

晶人が自宅に帰ると、5人の弟妹に出迎えられた。

父親の会社が倒産してからは、両親は息子達との生活を護るため、共働きで夜遅くまで帰ってこない。それからは弟達の食事や弁当は、全て晶人が作っていた。

元々 料理が好きで得意というのもあり、朝早くに起きて弁当を作るのも、晶人本人からすれば苦ではなかった。

その後 作り終えた夕飯を弟妹達と摂り、後片付けもして自分の部屋に戻った晶人は、カバンを開けて集金袋を手に取る。しかし、集金した時のような重さが感じられなかった。

慌てて集金袋を開けて中を見ると、参加費が入ってるはずの茶封筒が無くなっていた。

 

晶人「無い・・・!無い・・・!何で・・・!?」

 

集金袋の口は しっかり絞り、中に入ってるのも確認できてる状態でカバンの中に入れておいた。失くすはずがない。それなのに、集金袋を残し参加費だけが消えてしまった事に、晶人は焦りに焦りまくった。

ただ焦りから、誰かに盗まれたという考えには至らなかった。

 

 

・・・・・・

 

*キャバクラ 23:12*

 

キャバクラに、ご機嫌なダンテと不機嫌なネロの姿があった。

学校が終わってからネロは、初給料を上納して鳳翔に謝るため、鎮守府に向かうはずだった。しかし その前に、夢沅寺から戻っていたダンテに捕まり初給料が出た事もバレて、キャバクラに連行されていた。

いま来てるキャバクラは、呉提督のオカマ友達がオーナーをしている店だった。

ダンテは以前から、呉提督に この店に行ってみてほしいと勧められており、たまたま気が向いたのでネロを連れて来ていた。

 

ネロ「初給料 持って鎮守府に帰れるようにしてもらおうとしたのに、何で こうなるんだよ?」

 

ダンテ「艦娘共が居る場所に帰るより、こういう店に来る方が よっぽど幸せだろ。それに初給料なんて目出度いじゃないか。パーッと使おうぜ」

 

ネロ「マジで ふざけんな・・・」

 

ダンテはキャバ嬢2人に挟まれ、艦娘が居る鎮守府とは違い ここに天国を見出だしていた。

そこに、トレイに伝票を乗せたボーイが席まで来た。

 

ボーイ「そろそろ お時間です」

 

ダンテ「延長で」

 

ネロ「どんだけ呑むんだよ、払える額なんだろうな?もう いいや、幾ら?」

 

ボーイから会計金額を聞かされ、ネロは顔を しかめながら茶封筒を取り出し中身を確認する。すると驚愕から、目を見開いた。

中身を取り出すと、どう考えても不自然な札束が出てきた。

 

ネロ「・・・・・・99万・・・」

 

幾ら入ってるのかと思い とりあえず数えてみると、99万円も入っていた。

 

ダンテ「スゲーな。教師って そんなに儲かるのか?」

 

ネロ「マジかよ・・・」

 

ギャバ嬢「きゃー!凄ーい!」

 

ダンテとネロは驚きで顔が固まり、キャバ嬢は札束を見てテンションが爆上がりする。キャバ嬢からすれば いいカモだ。

 

ネロ「こんだけあれば、少々 使い込んでも大丈夫か・・・」

 

ダンテ「延長で!」

 

ボーイ「畏まりました」

 

キャバ嬢「きゃー!カッコいいー!」

 

ダンテ「よし、今日は とことん呑むぞ!」

 

キャバ嬢は できるだけ全額 店に お金を落としてほしいので、全力で 煽てに掛かる。

そして大金があると知ったダンテも、手加減抜きで呑む事にした。

それを隣の席から、楓に脅迫されていた男性教師が1人でワイングラスを傾けながら聞き耳を立てていた。

実はダンテとネロが この店に来る前に、この男性教師と鉢合わせて ぶつかっていた。その拍子にネロは給料袋を落とし、男性教師は資料などを落として道端に散らばった。だが それは、偶然の鉢合わせではなかった。

ネロが男性教師の落とした資料などを拾い、その隙に男性教師は、ネロが落とした給料袋と楓から渡された林間学校の参加費を入れ替え、ネロに渡していた。

ネロは それに気付かず、キャバクラで参加費を使い込んでしまうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*明陽学苑高校 2年4組 7月24日 8:30*

 

2年4組の教室では、晶人が皆から集めた林間学校の参加費を失くしてしまった事を、クラスメイト達に謝っていた。

だが あまりにも とんでもない失態を聞かされ、教室は静まり返っていた。

そんな中で、遥香(はるか)が重い口を開く。

 

遥香「それって、幾ら・・・?」

 

晶人「・・・99万・・・」

 

輝男(てるお)「マジかよ・・・」

 

杏子(あんず)「行った場所で落としたんじゃない?そこで聞いてみれば━━」

 

晶人「もうやったよ!けど見付からなかった・・・」

 

晶人をフォローしようと何かしらの案は出すが、既に晶人も自分で考え行動した後だったため、 生徒だけでは もう どうしようもなかった。

すると生徒の1人が、晶人が盗んだのではないかと声を上げた。家が貧乏で6人兄弟であるため、お金欲しさに盗んだのではと。

すると他の生徒も その疑いに同調し始め、晶人を責め始めた。

 

美香「やめなよ!盗んだ証拠も無いのに!」

 

生徒「こいつが盗んだに決まってる!」

 

輝男「テメェ!」

 

ネロ派の生徒が晶人を庇い、彼を責める生徒と対立状態になる。挙げ句 輝男と最初に疑いを掛けた生徒と掴み合いの喧嘩になり、その喧嘩は波紋のように拡がり、喧嘩をする者と それを止める者で教室は騒然となる。

それに介入する事なく成り行きを見ていた潤羽(うるは)善之(よしゆき)は、楓を見た。

 

善之「まさか お前の仕業か?」

 

楓「さぁ、何の事かしら?」

 

座っていた楓は席を立ち、教室から出ていってしまった。

その背中を見送った潤羽と善之は、少し顔を険しくさせていた。

 

潤羽「マズいわね・・・」

 

善之「あぁ、これは やり過ぎだ」

 

楓の学校での行動は、担任苛め・担任外しによる部分が大きい。彼女が そんな事をするのも、共に ある悲劇を経験した事から潤羽と善之も理解しているし、協力もしてきた。

しかし これは思っていたものとは違う。いくらネロを学校から排除するためでも、共に悲劇を経験した“仲間”まで陥れ利用するのは度が過ぎている。

それでも2人は、まだ楓と協力態勢にあるため、この状況を どうにかするために動くつもりはなかった。

一方ネロの方は、遅くまでダンテに付き合っていたせいで、欠伸をしながら今になって出勤してきた。

そこに、ネロを探していた楓が駆け寄ってきた。

 

楓「先生、教室が大変です」

 

ネロ「おはよ・・・何・・・?」

 

楓から、晶人が林間学校の参加費を失くしたという話を聞かされ、ネロは何だ そんな事かと思い、ポケットに手を突っ込み小銭を出す。

 

ネロ「俺が立て替えといてやるよ、幾らだ?」

 

楓「99万円です」

 

ネロ「きゅっ・・・!?ん・・・?99万なら、昨日 丁度・・・」

 

何か知ってる金額だと思い、ネロは昨日の記憶を辿っていく。

昨日ダンテに連れていかれたキャバクラで、給料袋の中から99万円が出てきた。

しかも帰りに茶封筒を見ると、“林間学校”と書いてあったが、何かの間違いかと思い その時は気にしなかった。

 

ネロ「(・・・・・・あれ・・・?)」

 

ネロの頭では、やっと昨日の自分の身に起きた事と楓の話に辻褄が合い、その参加費を自分が使い込んでしまったという事実に気付き、顔色が変わる。

 

楓「先生?」

 

ネロ「・・・・・・それ・・・俺のせいかも・・・」

 

ネロは この大失態を覆し、生徒達を林間学校に行かせる事ができるのだろうか?

次回に続く!

・・・・・・クビになったら続くのか!?




次回も宜しく お願い致します!
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