Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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431話です!どうぞ!


Mission431 衣装合わせ~空っぽの諦め~

明陽(めいよう)学苑で進路指導が始まった。

学苑に潜入してるネロと羽黒も、受け持つクラスで進路指導を始めるが、生徒は全員 自分の将来を考えておらず、適当に安易な考えで自分の将来を決めようとしていた。

放課後、ネロと二航戦、ニコと一緒に居た美香(みか)は、クラスメイトの明子(あきこ)が男達に連れられ、公園にある男子トイレに連れ込まれるのを目撃する。

それをネロが助け、明子を自宅へと送り届けた。

明子の自宅で彼女の母親に招かれ、ネロは明子の家に お邪魔する事になる。

そこで明子の昔の夢を聞き、更にアイドルオーディションの告知を発見し、ネロは賞金100万円と明子の夢を叶えるため、彼女をオーディションに出場させる事を閃く。

翌日、2年4組の生徒の1人 晶人(あきと)は、男性教師から林間学校の参加費を集めるよう言われ、渋々それを引き受ける。

2日後、集金袋を担任のネロに渡そうとしたが、初給料が入って急いでるネロに後回しにされ、渡しそびれてしまう。

晶人は日を改めて翌日に渡す事にし、自分のカバンに入れるが、その後 立ち寄ったスーパーで盗まれ、夜になってから無くなってる事に気付くのだった。

また翌日、晶人はクラスメイト達に林間学校の参加費を失くした事を話し謝罪するが、晶人が盗んだのではないかと責められ、彼を庇う者達と喧嘩になり教室が騒然とする。

夜遅くまでダンテのキャバクラに付き合っていたネロは遅い出勤をし、そこで(かえで)から、晶人が林間学校の参加費を失くした事を聞かされる。

立て替えようとしたが金額を聞き、前日のキャバクラで給料袋から出てきた札束が同じ額であった事と、そういえば茶封筒に“林間学校”と書いてあった気がする事を思い出し、それが問題の参加費であると気付く。

しかし時既に遅く、ダンテに付き合わされたキャバクラで その殆んどを使い込んでしまっていたのだった。

 

 

*明陽学苑高校 理事長室 7月24日 9:00*

 

2年4組で大きな喧嘩が勃発した事で学校側も騒ぎに気付き、更に教頭にネロの使い込みまでバレて、ネロは理事長室に呼び出される形で理事長と教頭と話していた。

 

教頭「これは横領ですよ。断じて無視できる問題ではありません。即刻 解雇にするべきです」

 

また2年4組絡みの問題が発生し、今度は どうしたものかと理事長は難しい顔をする。

理事長の手前、流石に今回はネロもマズいとは思っていたが、まだ諦めた訳ではなかった。

 

ネロ「まだ、提出してない生徒が居るから、俺が預かってるだけッス」

 

まだ どうにかできると考え、苦笑いを浮かべながら そう釈明する。

だが教頭は、そんな言い訳を信じるつもりがなかった。

 

教頭「貴様、そんな言い訳が通じるとでも思っているのか?!」

 

ネロ「いや、ほんとッス」

 

ただ理事長は、今回の騒動も2年4組の内部で何かが起きてる結果だと気付いており、ネロに問題解決の猶予を作る事にした。

 

理事長「業者に渡すのは来週の月曜日です。それまでに提出するように」

 

ネロ「了解」

 

ネロは笑みを見せ、そのまま理事長室から退室した。

理事長も立場があるため、期限を過ぎれば それ以上のフォローはできない。それまでに、ネロが解決できるようにと願うのだった。

 

 

・・・・・・

 

休み時間、ネロは人気のない廊下に晶人を呼び出し、林間学校の参加費を使い込んだのは自分であると謝罪した。

ネロは殴られたり責められる覚悟はしていたが、晶人からの反応は それとは真逆だった。空っぽであるが故の諦めだった。

 

晶人「もういいよ・・・俺の家が貧乏だから悪いんだ。貧乏だから泥棒扱いされるんだ・・・皆も、そんな目で俺を見てた事も分かったし・・・」

 

更に晶人は、進路指導の時、本当はやりたい事があったと語った。

晶人の夢は料理人だった。料理は得意で普段から作っていた事もあり、いつしか それが夢となっていた。

だが夢を見られるのは金持ちだけ。貧乏人には無理なんだと嘆いた。

 

ネロ「金なら俺が何とかする。金が無くても、諦めるな」

 

晶人「そんなこと言ったって、どうするんだよ?99万なんて大金、すぐに どうにかできる額じゃないのに・・・!」

 

ネロ「そう思うなら、放課後 屋上に来い。教えてやるよ」

 

 

・・・・・・

 

*屋上 15:30*

 

放課後、晶人はネロに言われた通り屋上へと来た。

そこには晶人と同じく、ネロに呼び出された(のぼる)杏子(あんず)、美香、輝男(てるお)遥香(はるか)も集まっていた。

そして皆の目の前に居るネロの横には、明子の姿もあった。

 

輝男「おい、何で俺達 集めたんだよ?」

 

美香「先生、何する気?」

 

ネロ「まぁまぁまぁまぁまぁ、そう慌てるな」

 

『・・・・・・?』

 

ネロ「では発表する。ここに居る明子を・・・アイドルオーディションに出場させる!はい拍手!」

 

ネロが景気付けに激しく拍手し、明子も それに釣られて楽しそうに拍手するが、昂達は何を言ってるのか分からず無反応だった。

 

ネロ「おい お前ら、テンション低いぞ。ダチがオーディションに出るんだから応援してやれよ」

 

遥香「いや、だって・・・」

 

杏子「本気・・・?」

 

1番 意味が分からないと感じてるのは晶人だ。林間学校の参加費と、明子がアイドルオーディションに出る事と、何が どう関係するのか全く分からない。

 

晶人「それで何で俺達を呼んだんだよ?こんな事してる場合じゃないのに・・・!」

 

ネロ「いいから聞けって。アイドルオーディションには賞金が出る」

 

美香「・・・幾ら?」

 

ネロ「聞いて驚け。100万円だ」

 

『100万!?』

 

ネロ「明子をアイドルオーディションで優勝させて、俺達で賞金100万円を手に入れる」

 

美香「・・・そうか!それを林間学校の参加費として提出すれば、晶人の疑いも晴れる!」

 

杏子「そっか!それなら どうにかできる!」

 

遥香「凄いじゃん!」

 

ネロ「明子の夢も叶って、みんな万々歳だ」

 

昂「え・・・君の夢って・・・」

 

明子「・・・・・・歌手になること・・・」

 

明子は照れ臭そうに答え、同時に皆に馬鹿にされるんじゃないかと不安でもあった。

しかし、少し間を空けてから、杏子と美香が優しい笑みを浮かべた。

 

杏子「へー、そうなんだ!」

 

美香「凄いじゃん」

 

明子「ありがとう・・・///////」

 

ネロ「俺達で明子を鍛え、オーディションで優勝させるぞ!」

 

だが それを聞いた途端、輝男と晶人のテンションが一気に下がり落胆した。理由は明子にあった。

 

輝男「無理だな・・・」

 

晶人「やっぱ もうダメだ・・・」

 

ネロ「おいおい、お前らだけ何で やる気なくなるんだよ?」

 

輝男「だって何やったってトロいトロ子だぞ。優勝なんて絶対 無理だろ」

 

遥香「ちょっと!」

 

輝男の あまりにもデリカシーのない発言に、横に居た遥香が怒って止める。

ハッとした輝男は明子を見ると、彼女は俯いてしまっていた。

 

遥香「あんたのせいだからね!」

 

輝男「あ、悪い・・・」

 

明子「ううん、いいんだよ・・・だって本当の事だから・・・」

 

ネロ「何で優勝がムリって諦めるんだ?」

 

輝男「いや、だって・・・」

 

ネロ「遥香の時は諦めなかったのに、明子の時は諦めるのか?」

 

輝男「それは・・・」

 

ネロ「今の お前なら もう分かってるはずだろ。諦めなかったら、どうにかなるって。お前が諦めなかったから、遥香に大切な事を気付かせてやれたんだろ」

 

輝男「でも それは、あんたに助けられて俺は何も・・・」

 

ネロ「それでもだ。そうだよな、遥香?」

 

遥香「あの時の輝男、まぁまぁカッコ良かったよ」

 

輝男「まぁまぁって何だよ?!つうか変なこと言うなよな!」

 

輝男と遥香は まだ付き合ってる訳ではないが、どう見てもイチャイチャしてるようにしか見えないため、昂と杏子、美香は2人を見てニヤニヤする。

 

輝男「お前らもニヤニヤして こっち見んな!」

 

どんなに怒られようとも、もうニヤニヤは止まらん。

諦めない事をネロから教わったのは、何も輝男と遥香だけではない。それは昂と杏子、美香も同じである。だからこそ、次に諦めない1歩を踏み出そうとしてる明子を応援したいとも思う。

 

美香「よし!じゃあ優勝 目指して、私達も一肌 脱ぎますか!」

 

杏子「頑張ろうね!」

 

昂「僕も手伝うから!」

 

明子「皆・・・ありがとう・・・!」

 

輝男「お、おー!頑張ろうなー!ふぁ~!」

 

遥香「何それ、どういうテンション?」

 

さっきまでの気まずさも振り払いたかったので、ヤケクソになった輝男のテンションはバグっていた。

そんな中、晶人だけは納得できない様子で佇んでいた。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 艦娘寮・長門型の部屋 18:03*

 

ネロは昂達を連れ、鳳翔にバレないようにコソコソしながら鎮守府に戻ってきていた。

予め明子をオーディションに出すための準備の1つを艦娘達に頼んでおり、それを戦艦と空母、水母の艦娘が引き受け、今は艦娘寮で衣装合わせをしていた。

 

陸奥「う~ん・・・ちょっと派手すぎるかしら?」

 

明子「は、はぁ・・・」

 

長門「こっちの方がいいのではないか?」

 

陸奥「それだと魔法少女のコスプレになっちゃうから。違うオーディションになっちゃうから」

 

長門「むぅ、可愛いのに・・・」

 

杏子「リボンとか着けてみよっか」

 

明子「あ、うん」

 

美香「ちょっと こっち向いて・・・う~ん、違うなぁ」

 

衣装合わせに用意した衣服やアクセサリーの数は大量で、数が多い分 組み合わせも何通りも考えられ、しかも人数も多いから意見もバラバラで、いつまでも決まらないし明子も着せ替え人形の状態だった。

 

飛龍「黄色!」

 

蒼龍「緑!」

 

飛龍「黄色!」

 

蒼龍「緑!」

 

翔鶴「あの、二航戦の先輩方?その2つだけで考えても仕方ないのでは・・・?」

 

翔鶴が困ったように指摘すると、緑色のヒラヒラした衣装を持つ蒼龍と、黄色いヒラヒラした衣装を持つ飛龍がグイッと翔鶴に迫った。

 

蒼龍「翔鶴は どっちがいいと思う?!」

 

飛龍「黄色だよね?!」

 

蒼龍「緑だよね?!」

 

翔鶴「え、え~っ!?」

 

金剛「ちょっと2人共!明子に似合うのを前提に考えるデース!」

 

瑞鳳「(完全に自分のカラー着せて仲間 増やそうとしてる・・・)」

 

飛龍「明子ちゃんは どっちがいい?!」

 

蒼龍「緑だよね?!」

 

飛龍「黄色だよね?!」

 

龍驤「うるさいねん!真面目に考えへんねやったら向こう行っとき!」

 

長門「明子、魔法少女になってみる気はないか?」

 

明子「はい?」

 

龍驤「長門は別世界に行っとけ!」

 

長門「・・・どうやって行けばいいんだ?」

 

龍驤「そこだけ真面目に聞き返すなや!こっちも答えにくいねん!」

 

隼鷹「いや~、こんなに賑やかなのは久し振りだね~」

 

千歳「ちょっと隼鷹!?衣装に お酒 溢してる!」

 

千代田「何してんの!?」

 

隼鷹「あれ?何で溢れてんの?」

 

瑞鶴「あんたが溢してるんでしょうが!!」

 

瑞穂「タオル持ってきます!」

 

榛名「あわわわわわっ!?」

 

隼鷹「あれ~?染みが拡がっていくよ~?」

 

霧島「緊急事態!緊急事態!」

 

比叡「間に合ってない!もう全然 間に合ってない!」

 

武蔵「とりあえず その酒瓶を離せ!傾けるな!!」

 

大和「先に衣装の避難を!」

 

山城「こんな時に飛鷹は どこに行ったのよ?!」

 

扶桑「さっき、グリフォンを散歩させるって言って出ていったわよ」

 

伊勢「ペットの散歩!?」

 

日向「グリフォンは鳥だろ?鳥は散歩させるものなのか?」

 

アイオワ「やっぱり衣装は派手じゃなきゃ、見劣りしちゃうわ!」

 

ビスマルク「そうよ!顔がパッとしないんだから、衣装ぐらいは派手にしないと目立たないわ!」

 

サウスダコタ「アクセサリーを もっと増やせ!」

 

陸奥「もう どいつも こいつも勝手な事するのやめてくれる?!ここ私の部屋!」

 

長門「私の部屋でもある!」

 

ただの衣装合わせのはずが大混乱を招く事になり、昂は本当に大丈夫なのだろうかと顔を引き攣らせ、輝男は艦娘を見て鼻の下を伸ばしていた。

 

昂「これ、ちゃんと決まるのかな・・・?」

 

輝男「艦娘って美人ばっかりじゃん。この部屋も いい匂いするし、俺 海軍に入ろうかな」

 

遥香「輝男?」

 

輝男「すいません!」

 

ギャーギャー喚き散らす部屋の中で、四方八方どこを見ても騒いで状況がコロコロ変わる中心に居る明子は、まるでジェットコースターに乗ってるかのような気分だった。

その時、部屋の扉がノックされた。

 

鳳翔「長門さん?陸奥さん?何を騒いでるのですか?」

 

マズい、鳳翔が来た!

鎮守府を出禁になってるネロが居るのを今 見られたら、また別の騒動が起きてしまう。故に、艦娘達は一斉に慌てる。

 

龍驤「ヤバい!ネロを隠すんや!」

 

鳳翔「その声は龍驤さん?ネロさんが どうかしたんですか?」

 

瑞鶴「何でもないですー!」

 

鳳翔「瑞鶴さんまで・・・。何をしてるんですか?」

 

陸奥「ネロ、早く隠れて!」

 

ネロ「隠れるって どこに!?」

 

どうにかネロを隠そうと、艦娘達は右往左往する。しかし、物理的にネロが隠れられそうな場所がない。

クローゼットに押し込もうともしたが、陸奥の服やバッグなどが多く入れない。

終いには冷蔵庫にも突っ込まれそうにもなったが、そんなの無理に決まってる。

 

鳳翔「入りますよ?」

 

蒼龍「時間ないって!」

 

このままでは鳳翔が入ってきてネロを見られてしまう。もう万事休すだ。

 

大和「衣装 被せて!」

 

艦娘達はネロを床に四つん這いにさせ、被せられるだけ ありったけの衣装を被せていく。

 

ネロ「これ何か濡れてるって!酒臭いし!」

 

武蔵「我慢しろ!」

 

そしてガチャッと扉が開いて鳳翔が入ってきた瞬間、艦娘達は直立不動になって何もなかったかのように装い、金剛と陸奥に至っては衣装を被せられてるネロの上に座り、更にカモフラージュする。

 

ネロ「(うぐっ・・・!重い・・・!)」

 

鳳翔「皆さんで集まって何を騒いで・・・あら?」

 

入ってきた鳳翔は騒いでる事を注意しようとしていたのだが、明陽学苑の生徒達が一緒なのを見てキョトンとした。

艦娘達は どう理由を でっち上げようかと、鳳翔と生徒達を交互に何度も見る。

その艦娘達の行動に生徒達は、ここは自分達が動かなければならないと判断した。

 

美香「私達、明陽学苑2年4組で、ネロ先生の生徒なんです」

 

杏子「お邪魔してます」

 

鳳翔「まぁ、ネロさんの。でも、あんまり騒いじゃ駄目ですよ」

 

美香「はい、すみません」

 

不自然じゃないよう、生徒達は笑顔で応対し、鳳翔も部外者が居る前でガミガミ口うるさく言うのは みっともないと思ったのか、そのまま出ていった。

どうにか誤魔化せたと、艦娘達は安堵の溜め息を吐く。

 

ネロ「ぶはっ・・・!重い!」

 

陸奥「・・・重い?」

 

金剛「そういうこと言っちゃうんデスネー」

 

ネロ「いや、違う!ハ・・・ハハハハハハハ・・・」

 

金剛と陸奥に乗られてたネロは、本音がポロッと出て完全に失言を やらかし、2人に睨まれ笑って誤魔化すしかなかった。

そんなネロに、明子は不安そうな顔を向けた。

 

明子「先生・・・私、大丈夫かな・・・?」

 

ネロ「お前にしか持ってないものがある。俺に人生を預けてみろ」

 

ネロは学校での特訓で、歌の練習の時に明子の歌声を聞いている。どこに出しても恥ずかしくないレベルなのは確認済みであるため、大丈夫だと太鼓判を押した。

 

晶人「そんな上手くいく訳ないだろ!トロい奴にはトロい人生、貧乏な奴には貧乏な人生。夢なんて叶う訳ないだろ!」

 

ずっと見てただけだった晶人は そう吐き捨て、部屋から飛び出していってしまった。

晶人が突然 怒鳴って飛び出してしまい、事情を知らない艦娘達はキョトンとしていた。

 

長門「・・・彼は どうしたんだ?」

 

ネロ「あいつも、諦めない事を知らない1人なんだ」

 

飛龍「そっか。あの子も そんなんだね」

 

進路指導の話を軽く聞いていた二航戦だけは、すぐに理解する事ができた。

 

龍驤「あの子も心配やけど、今は明子が先や」

 

瑞鶴「明子ちゃん、次は これ着てみて!」

 

榛名「いえ、次は これを!」

 

伊勢「違う違う!絶対こっちの方がいいって!」

 

明子「(目、目が回りそう・・・)」

 

今は明子が最優先であると、着せ替え大戦争が再開されるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*明陽学苑高校 7月25日 12:42*

 

翌日、お昼休憩に校舎の外で、晶人は自分で作った弁当を持って1人で食べようとしていた。

弁当の蓋を開けるまではしたが、そこから箸は進まなかった。自分が失くした林間学校の参加費の事を考えると、食事を摂る気分にはなれなかった。

しばらくボーッと弁当を見詰めていると、いつの間にか現れたネロが、横から摘まみ食いした。

 

ネロ「うまっ!?うめぇじゃねぇか、交換しろ」

 

ネロは購買で買ったパンを有無も言わさず押し付け、晶人の弁当を奪うと頬張り始めた。元々 晶人も食欲が湧いていなかったため、文句を言ったりする事はなかった。

すると たった5分で、ネロは弁当を完食した。

 

ネロ「ごちそうさん。将来はシェフ晶人だな」

 

晶人「なりたくてもなれないって言ってるだろ。専門学校に行く余裕なんてないんだ」

 

ネロ「・・・お前も明子と一緒だな。明子も皆からトロいって言われてるだろ?それで自分は そうなんだと思い込んで、だから歌手になれないって決め付ける。お前も一緒だろ。だから俺は、明子にオーディションを受けさせたいんだ。やってみなくちゃ無理か どうかは分かりゃしない。俺は明子に それを知ってほしいんだ。勿論、お前にもな」

 

晶人「・・・・・・・・・」

 

 

・・・・・・

 

*屋上 16:10*

 

放課後、屋上で生徒達だけで、明子のダンスの練習を続けていた。

だが その途中、明子はステップを踏み間違えて転んでしまった。

 

杏子「大丈夫!?」

 

明子「やっぱりダメなんだ、私・・・」

 

皆は心配して駆け寄るが、明子は自信をなくしていた。必ず どこかで失敗する事から、彼女から自信を奪っていた。

そこに、もう帰ったと思っていた晶人が現れた。

 

晶人「無理にアレンジするからダメなんだ。明子用にアレンジしないと」

 

輝男「今更なんだよ?」

 

遥香「やめなよ」

 

最後まで乗り気じゃなかった晶人が口を挟んできた事から、輝男は今更ノコノコ来て何のつもりなのかと、言葉に棘を含む。

だが・・・

 

晶人「俺も協力する事にした」

 

輝男「・・・・・・お、おう・・・」

 

晶人の真っ直ぐな眼を見て、完全に拒絶する事はできなかった。その眼は、昨日までの最初から諦めてる眼ではなかった。

晶人は、最初から最後まで明子を信じてるネロの言葉に、本当に諦めなければ どうにかなるのか、確かめたくなった。だから協力する気にもなった。

晶人は明子に歩み寄り しゃがむと、彼女が掛けてる眼鏡を取った。

 

晶人「うん、こっちの方が ずっといい」

 

晶人も加わり、明子のレッスンは順調に進んだ。

そしてネロや昂達との交流を経て、明子自身の表情も明るくなっていくのだった。




次回も宜しく お願い致します!
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