Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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434話です!どうぞ!


Mission434 眠る氷神~拒絶する猛吹雪~

荒廃した未来世界を生きる川内と五十鈴は、摩耶を探して彼女と合流する。

嘗ての仲間で、死んだと思っていた陸奥が生きてる可能性があり、摩耶達は陸奥を取り戻すため、悪魔が支配する極寒の地へと向かうのだった。

 

 

*極寒地帯 ?月?日 13:28*

 

悪魔が居ないルートを進み、時には隠れて遣り過ごした摩耶達は、巨大な金属の残骸に囲まれた場所を抜け、拓けた場所に出た。

そこは崖になっており、遠くには(ルキフェルス)・ネロが魔界化を引き起こすために呼び出した、魔塔が聳え立っていた。

本来 摩耶達が立つ場所には崖など無かったが、魔界化の影響で大部分が変わってしまっていた。

そして崖と魔塔の間には、地形が変わった事で出来た湖があり、そこは陸奥の持つ人工魔具の力で全てが凍り付いていた。

陸奥は その湖の、どこかで眠っている。

 

摩耶「改めて因縁の場所を見ると、ムカムカしてくるな」

 

川内「・・・そうだね。でも・・・過去の私達は あの場所に辿り着けた。いつかは私達も、きっと辿り着ける」

 

摩耶「その時がクソッタレ悪魔の最後だけどな」

 

川内「この暗黒時代もね」

 

摩耶と川内が、いつか元の世界を取り戻すと改めて決意する横で、五十鈴は双眼鏡で崖の下を見ていた。

 

五十鈴「・・・やっぱり居るわね」

 

摩耶「悪魔か?」

 

五十鈴「うん」

 

崖の下の湖の前には、数体の悪魔が見張りとして立っていた。

ワープなどの超常的な方法を使った場合は話が別だが、現在ここから魔塔へと向かうには湖を渡るしかない。

氷結の影響でか、陸奥が居なくなってから魔塔から来る悪魔の侵攻ペースが緩やかになっていた。お陰でレジスタンスも悪魔に対抗する策を講じる時間ができたのは幸いであった。

 

五十鈴「でも、何か変だわ・・・」

 

魔塔の傍に悪魔が控えてるのなら分かる。

ダームのような上級悪魔が群れを率いてるにも拘わらず、人間側に侵攻もせず湖の こちら側でウロウロしてるのは些か妙である。ここに陣を張る目的が何かあるのか?

 

五十鈴「・・・・・・まさか!?」

 

考えられるのは1つ、奴らの目的も陸奥だ。

ここが極寒の地となり、悪魔側も人間に対する侵攻が捗っていない。奴らにとっても、この状況は何とかしたいはず。

先の大規模戦闘で原因が陸奥である事は奴らも知ってるだろう。

陸奥が生きていると気付いていれば、彼女を殺して この状況を止めようとするはずだ。そうなれば、奴らは再び侵攻を開始する。今のレジスタンスの戦力では、止めるのは不可能だ。

 

五十鈴「奴らの狙いは陸奥さんよ!」

 

摩耶「なら、ボサッとしてられねぇな」

 

川内「下の奴らは どうする?行くなら戦闘になるし、さっきの悪魔にも居場所がバレる」

 

五十鈴「悪魔の狙いが陸奥さんなら、どの道ここに来て いずれは会敵するでしょうね。隠密行動は終了、見張りを突破するわ!」

 

摩耶「そう来なくっちゃな!行くぜ!」

 

摩耶は人工魔具の籠手を、川内は小太刀を、五十鈴は剣を手にし、崖から飛び下りる。

着地すると、一気に見張りの悪魔に仕掛け、即座に片付ける。

 

摩耶「今ので確実に気付かれたな!」

 

川内「走るよ!」

 

摩耶達は凍り付いた湖へと突入し、氷の上を走りながら湖の中心部へと向かう。

その後ろからは、犬型悪魔が何体も追い掛けてきていた。

 

川内「来るの早すぎでしょ・・・!」

 

摩耶「もうバレてるんだから、思いっきり暴れてもいいんだよな?!」

 

五十鈴「お好きに どうぞ!」

 

摩耶「だったら あたしに任せな!」

 

摩耶は立ち止まって振り返ると、右腕を大きく後ろに引く。そして腕を突き出すと、籠手の拳の先から火球が発射される。摩耶は それを繰り返し連続で発射すると、追ってきていた犬型悪魔を爆殺した。

 

摩耶「よっしゃあ!」

 

摩耶は川内と五十鈴を追って走るが、また次の悪魔が摩耶達を追ってきていた。

 

 

・・・・・・

 

どれだけ時間が経ったのか、摩耶達は追ってくる悪魔を倒しながらも走り続けていた。

 

摩耶「これじゃキリねぇな!」

 

川内「このままじゃ陸奥さんが居る場所に案内してるようなもんだよ!」

 

五十鈴「っ・・・あそこに入るしかない!」

 

摩耶達が向かってる進行方向は、先が見えなくなっていた。そこは今 居る場所と違い、吹雪で覆われていた。だが それは、より中心部に近い事を意味する。

普通の吹雪とは違い人工魔具の力で発生した吹雪であるため、そこに入った途端に瞬間冷凍で氷の彫像となる危険地帯だ。

 

摩耶「本気なのか!?」

 

五十鈴「あそこまで行けば悪魔も簡単には追ってこれないはず!私達の戦闘服が耐えられると信じるしかない!」

 

摩耶「あ~もうっ!頼むぞ~・・・」

 

本当なら、安全に入れる策を講じてからにしたかった。だが こうなってしまえば、四の五の言ってられない。

摩耶達は、悪魔に追い付かれる寸前で吹雪の中に入った。

悪魔は急停止し、来た道を引き返していった。恐らく、この辺りの悪魔を率いているダームに報告するつもりだろう。

吹雪の中に入った摩耶達は立ち止まり、悪魔が追ってくるか様子を見ていた。

 

摩耶「どうやら、追ってくる様子はないな」

 

五十鈴「それなら、陸奥さんを探す時間は幾ばくか稼げるわね。行きましょ」

 

3人は見通しの悪い吹雪の中を、歩きながら前へと進むのだった。

 

 

・・・・・・

 

川内「さっむ~っ・・・!貫通してくるっ・・・!」

 

摩耶達が着る特殊素材で出来た戦闘服でも、寒さを完全に防ぐ事はできていなかった。

奥へ進めば進むほど、寒さが増していく。

 

摩耶「いよいよ あたしに頼る気になったか?」

 

川内「そうだね・・・もう意地 張ってられないかも・・・」

 

五十鈴「どうするの?」

 

摩耶「こうするのさ」

 

摩耶が手を出すと、手の平の上で炎が燃え上がった。だが それは、厳密には炎ではない。

 

五十鈴「それは何?」

 

摩耶「こいつは あたしが持つ人工魔具の魔力その物だ。こいつを直接 送り込めば、魔力の持つ熱で身体の内側から温めてやれるって訳だ」

 

五十鈴「そんな使い方できたのね」

 

摩耶が手を差し出すと、魔力の炎が ゆっくり川内の方に飛んでいき、彼女の中へと入る。

続いて五十鈴にも同じ事をした。

 

川内「うお!?あったかい!ポカポカする!」

 

五十鈴「こんな猛吹雪の中に居るのに、寒さを感じないなんて」

 

川内「摩耶さん歩く暖房器具じゃん!」

 

摩耶「暖房器具 言うな!まぁ、あたしの人工魔具には こういう使い方もできるって事だ」

 

五十鈴「アーロン、こういう状況も考えて造ってたのかしら?」

 

摩耶「あいつが そこまで律儀に考えてるとは思えねぇけどな・・・」

 

川内と五十鈴の中に入った魔力が寒さを凌いでくれている お陰で、2人は猛吹雪の中でも平気な顔で動けるようになった。これなら陸奥を探すのにも支障は出ないだろう。

 

川内「あれ?摩耶さんはいいの?」

 

摩耶自身は、川内と五十鈴にしたように身体に魔力を送るような事をしておらず、川内は大丈夫なのかと心配になった。

 

摩耶「あたしは人工魔具 持ってるだけで全身 魔力で覆われるから、最初から寒さなんて感じないぞ」

 

川内「・・・何かセコいな」

 

摩耶「炎神様の特権だよ」

 

川内「私だって雷神って呼ばれてるし」

 

摩耶「稲妻が吹雪の中で何の役に立つんだよ?いいとこ静電気の神だろ」

 

川内「言ったなぁー!」

 

五十鈴「ここに来てまで喧嘩しない!」

 

摩耶「つうか、こんな吹雪の中で どうやって陸奥さん探すんだ?先なんて全然 見えねぇし」

 

五十鈴「だから摩耶さんの力を借りたかったの。摩耶さんの人工魔具なら、陸奥さんの人工魔具がある場所を特定できるはずよ」

 

摩耶「あたしのは炎で陸奥さんのは氷だぞ。相性 悪いだろ」

 

五十鈴「だからこそよ」

 

摩耶が持つ人工魔具は炎を司り、陸奥が持つ人工魔具は氷を司る。相反する力だからこそ、五十鈴は今回の この状況に上手く利用できると考えていた。

方法としては、摩耶の人工魔具の魔力を全方位、湖全体へと放出し、それをソナー代わりに最も温度の低い場所を探る。最も冷たい場所こそが、冷気を放出する陸奥の人工魔具がある場所であり、そこに彼女も居るはずだ。

 

摩耶「あたし、そんな事できるの?」

 

五十鈴「理論上では」

 

摩耶「理論上ねぇ・・・」

 

口で説明されて頭では理解しているが、実際にやった事がないので摩耶は半信半疑だった。

 

摩耶「他に方法がないならやってみるしかないな」

 

摩耶は目を瞑り魔力を放出すると、五十鈴に教えられた通り その魔力に意識を集中する。

不思議な事に摩耶の瞼の裏では、魔力を通して灰色に映る地形のような物が見えていた。

しばらくすると・・・。

 

摩耶「見えた!1ヶ所だけ、あたしの炎でも凍りそうな冷たい場所がある!」

 

五十鈴「そこに陸奥さんが居る」

 

川内「どっち?」

 

摩耶「こっちだ!」

 

摩耶が先頭に立ち、3人は この湖で最も冷たい場所へと向かうのだった。

そこ頃ダームは、部下である下級悪魔から摩耶達の事について報告を受けていた。

 

ダーム『それで見す見す取り逃がしたのか?!使えん奴らめ!

 

ダームは その手に持つ巨大な鎌で、報告してきた下級悪魔の命を一瞬にして奪い取り、己の糧として食らった。

 

ダーム『・・・・・・いや、だが逆に都合がいいかもしれぬな。あの方も それを望むだろう

 

ダームの目的は、艦娘が起こした氷結現象を止め、残る人間達を根絶やしにする事だ。摩耶達が陸奥を目覚めさせて氷結現象が止まれば、それは それで都合がいい。

それに艦娘達が この地を離れるには、来た道を引き返すしかない。そこで待ち伏せし、神の名を冠する艦娘を4人も殺せるとなれば、人間達を根絶やしにするのも容易いと考えた。

ダームの指示を受け、悪魔達は動き始める。その中には、スキュルとは違う魔界兵器の存在もあった。

 

 

・・・・・・

 

摩耶が感じ取った陸奥の人工魔具の気配を辿り、先へ進んだのは良かったのだが、摩耶達の歩くペースは急激に落ちていた。

陸奥が居るであろう場所に近付けば近付くほど、猛吹雪が更に激しさを増し、拒絶するように強風が摩耶達に襲い掛かる。

摩耶から魔力を分けてもらっていた川内と五十鈴だったが、それでも凌げない程に冷気が刃となり、2人の体力を奪っていた。

 

摩耶「(マズいな・・・あたしでも寒さを感じるようになってきた。あたしで これなら2人は・・・)」

 

摩耶は籠手の人工魔具を直接 装備してるため、熱を帯びた魔力で常に自分の身を守る事ができるはずだが、それを上回る冷気が辺りを包み込んでいた。

川内と五十鈴が分けられた魔力は借り物で力の一部であるため、摩耶に比べれば遥かに厳しいはずだ。

 

川内「さ、寒い・・・・・・もう・・・歩けない・・・眠く・・・なって・・・きた・・・」

 

1歩 進むのも時間を掛けなければ進めない歩調の中、川内が先に倒れ意識を失ってしまう。

 

摩耶「川内!」

 

五十鈴「川内・・・!止まっちゃ・・・ダメ・・・!こんな所で、眠ったら・・・・・・でも・・・私も・・・そろそろ、限界・・・かも・・・」

 

摩耶「五十鈴!?クソッ、このままじゃ2人が・・・!」

 

五十鈴まで倒れ、意識を失ってしまった。

川内と五十鈴は摩耶から魔力を分けられているため、すぐに凍え死ぬ事はないだろうが、それも時間の問題である。

 

摩耶「くっ・・・!陸奥さん!!聞こえるか?!あたしの声が聞こえるなら聞いてくれ!!あんたを助けに来た!!このままじゃ川内と五十鈴が死んじまう!!この吹雪を止めてくれ!!!」

 

氷結現象を発生させてるのは陸奥が持つ人工魔具であり、それを発動させてるのが陸奥であるため、吹雪を止められるのは彼女だけだ。

摩耶は叫び陸奥に懇願するが、聞こえてくるのは強風が吹き荒ぶ音だけだった。

 

摩耶「やっぱり直接 起こすしかないのか・・・。川内、五十鈴、頑張れよ。絶対に、あたしが何とかしてみせるからな・・・!」

 

摩耶は川内と五十鈴を抱え、動けるのが自分1人になっても前に進んだ。

 

 

・・・・・・

 

もう どれだけ歩いたのか、猛吹雪が吹き荒れ、風景が何も変わらない中を歩き続けると、時間の感覚すら分からなくなる。それでも摩耶は歩き続けた。

 

摩耶「(もう少し・・・もう少しなのに・・・!)」

 

摩耶にも限界が訪れ、川内と五十鈴を抱えたまま倒れて意識を失ってしまった。

倒れた拍子に、偶然にも摩耶達は吹雪の中から抜け出していた。

 

 

・・・・・・

 

摩耶「・・・・・・うっ・・・」

 

意識が覚醒し始めた摩耶は、目を瞑っていても自分に差す光を感じた。どことなく暖かさも。

目を開け顔を上げると、そこは吹雪の中ではなかった。空は晴れており、陽の光が燦々と照らしている。

だが背後を見ると、その先は別世界かのように吹雪が吹き荒ぶ景色がある。

周囲を見渡すと、どうやら ここは円状に黒い雪雲に囲まれており、中心地となる ここは、氷が太陽の光を反射してキラキラ輝く綺麗な景色が広がっていた。

 

摩耶「あたしら、遂に来たのか・・・?川内、五十鈴、起きろ!おい!着いたみたいだぞ!」

 

川内「提督の大胸筋 固すぎ・・・うへへ・・・」Zzz・・・

 

摩耶「寝惚けてないで起きろ!」

 

川内「痛っ!?」

 

五十鈴「・・・・・・ここは・・・?」

 

摩耶「どうやら来たみたいだぜ」

 

起きた川内と五十鈴は、美しく幻想的な氷の世界に息を飲み、驚いていた。

ここの どこかに陸奥が眠ってるはずなため、3人は彼女の名を呼びながら探して回る。

すると、一際 大きな氷の山の中に、祈るような格好で眠る陸奥を発見した。

 

川内「陸奥さん!」

 

五十鈴「陸奥さん!起きてください!」

 

摩耶「陸奥さん起きてくれよ!迎えに来たぞ!」

 

氷の山を叩きながら陸奥を呼ぶが、何の反応もなく、何かが変わる訳でもなかった。

氷を砕こうと人工魔具での攻撃も繰り出すが、想像以上に硬く弾き返されてしまった。

 

川内「かったい・・・!これじゃあ陸奥さんを出してあげられない」

 

摩耶「しかも こっちの声も聞こえてねぇみたいだし、聞こえないなら起きようがねぇぞ」

 

五十鈴は周囲を見渡しながら考え込むと、急に悲しい顔を浮かべた。

 

五十鈴「目覚めたくないのかも・・・」

 

摩耶「おい、何だよ それ?何で目覚めたくないんだよ?」

 

川内「・・・どういうこと?」

 

五十鈴は以前、陸奥が まだレジスタンスで共に戦っていた頃に、彼女の本音を僅かに聞いた事があった。

文明が崩壊して生き残った陸奥はレジスタンスとして戦っていたが、そうしたのは“何となく”と言っていた。ダンテが死に、長門が死に、今の自分には生きる理由も戦う理由もないと。

先の大規模戦闘で殿を務め、人工魔具を暴発させて自分諸共 氷の中に閉ざしたのは、生きる事も戦う事も諦めた行動だったのかもしれない。

今の この場所も そうだ。陸奥が居る中心部だけ晴れているのは、まるでダンテや長門が生きていた頃の温かい思い出に浸るのを表現してるようで、周りの吹雪は、それを邪魔しようとする者を、自分を目覚めさせようとする者を拒絶しているかのように五十鈴は感じた。

 

摩耶「・・・・・・・・・」

 

川内「そんなのって・・・陸奥さん・・・」

 

これは飽くまで五十鈴の想像だが、摩耶と川内は間違いではない気がしていた。

 

摩耶「そんなのってねぇだろ!まだ あたしらが居ただろうが!あたしらだけ生かして、自分は諦めて さっさと退場するってか?!」

 

川内「陸奥さん ごめん!陸奥さんだけに背負わせて、気付いてあげられなくて!けど、帰ってきてよ!陸奥さんが諦めても、私は諦めない!絶対に ここから連れ出すから!今度は私達が支えるから!」

 

五十鈴「陸奥さん、私はレジスタンスのリーダーとして認めないから。もう仲間は失えない!あなたが どれだけ拒絶して眠りに就こうが、そう簡単には寝させてあげないんだから!」

 

「「「陸奥さん!!」」」

 

陸奥に呼び掛け続けていると、ある変化が表れた。氷の中で眠る陸奥が、涙を流していた。

 

川内「まさか陸奥さん・・・」

 

摩耶「あたし達の声が届いたのか!?」

 

五十鈴「今なら この氷が砕けるかも」

 

川内「さっきもやってダメだったじゃん」

 

五十鈴「いいえ。この氷も陸奥さんの心を表しているなら、私達の声が届いた今なら砕けるかも」

 

摩耶「引き籠る気持ちが揺らいで氷も脆くなってるってか?」

 

川内「それでも こんな大きな氷の山、砕くの一筋縄じゃいかないって。どうする?」

 

五十鈴「私と川内で一点に集中して、脆弱な部分を作り出す。そこを摩耶さんの籠手のパワーで、一気に打ち砕く」

 

川内「ガッテン!」

 

摩耶「トリは任せな!」

 

五十鈴「行くわよ!」

 

川内と五十鈴は交互に同じ場所に攻撃を仕掛け、その間に摩耶は籠手に力を溜めていく。

人工魔具による稲妻と風を帯びた攻撃と砲撃を続け、遂に氷の山の一部が欠けた。

 

五十鈴「摩耶さん、そこよ!そこを狙って!」

 

摩耶「よっしゃあ!!」

 

摩耶は跳躍して腕を引くと・・・

 

摩耶「目覚めてもらうぜぇー!」

 

落下しながらフルパワーの籠手で殴った。

氷の山はガラガラと騒音を立てながら崩れていくのだが・・・

 

「「ぎゃあああああああ!?」」

 

摩耶「やり過ぎた~!!!」

 

その下の湖の氷も砕け巨大なクレパスが口を開き、摩耶達は深い穴へと一緒に落ちていくのだった。

 

 

・・・・・・

 

氷の中に自ら眠りに就いた陸奥は、ずっと後悔の中に居た。

ネロが敵の手に堕ち、ダンテとバージル、多くの仲間が死に、最愛の姉妹さえも喪った。

せめてダンテさえ生きていてくれればと何度も思ったが、艦娘として上官を護らなければならなかったが何もできず、世界は魔界化で全てが呑み込まれた。

 

陸奥「(提督と長門が死んで、私には生きる理由も戦う理由も失った・・・。護らなきゃいけなかったのに・・・護れなかった・・・。あの戦いだって、私は何も護れなかった・・・)」

 

レジスタンスが悪魔側に大規模攻撃を仕掛け、陸奥も参戦した その戦いも、多くの仲間が命を落とし、全滅にまで追い込まれた。

 

陸奥「(あの2人が死んで、私だけが生きていくなんて耐えられなかった・・・誰も護れない私に、生きる資格なんてない・・・。全てを放り出して、全てを諦めて消えたかった・・・)」

 

そして陸奥は、レジスタンスが撤退する時間を稼ぐために1人で殿を引き受け、人工魔具を暴発させて自分と一緒に全てを氷に閉ざした。

 

陸奥「(私は ずっと この後悔を抱いて眠る・・・それが2人を護れなかった私への、相応しい罰・・・。ごめんね、皆・・・ごめんね・・・提督・・・長門・・・ごめんね・・・)」

 

 

“陸奥さん!”

 

 

陸奥「(・・・・・・誰・・・?)」

 

 

“陸奥さん!起きてください!”

 

“陸奥さん起きてくれよ!迎えに来たぞ!”

 

 

陸奥「(・・・・・・あの娘達の声がするはずない。きっと これは、私の記憶の中にある、あの娘達の声を借りた幻聴・・・。そういえば、あれから皆、ちゃんと逃げれたのかしら・・・?ううん、もう私には、どうする事も・・・)」

 

 

“そんなのってねぇだろ!まだ あたしらが居ただろうが!あたしらだけ生かして、自分は諦めて さっさと退場するってか?!”

 

 

陸奥「(ごめんね・・・でも私は・・・誰も護れない私には耐えられなかった・・・。そんな私が生きていても・・・)」

 

 

“陸奥さん ごめん!陸奥さんだけに背負わせて、気付いてあげられなくて!けど、帰ってきてよ!陸奥さんが諦めても、私は諦めない!絶対に ここから連れ出すから!今度は私達が支えるから!”

 

 

陸奥「(やめて・・・もう静かにして・・・。私は、もう思い出したくない・・・皆が生きてた温かい思い出を・・・。提督も長門も居ない世界なんて、私には耐えられないから・・・!)」

 

 

“陸奥さん、私はレジスタンスのリーダーとして認めないから。もう仲間は失えない!あなたが どれだけ拒絶して眠りに就こうが、そう簡単には寝させてあげないんだから!”

 

 

陸奥「(嫌・・・お願いだから・・・このまま、静かに眠らせて・・・。私は・・・後悔と罰を抱きながら、消えていきたいの・・・)」

 

 

“““陸奥さん!!”””

 

 

陸奥「(もうやめて!!)」

 

声がしなくなったと思い安心した陸奥だったが、自分を包む氷を伝って振動が響いてきた。

 

陸奥「(・・・・・・何?何が起きてるの?)」

 

 

“目覚めてもらうぜぇー?!”

 

 

直後、一際 大きな振動と共に、騒音が鳴り響くのだった。

 

 

・・・・・・

 

*クレパス 15:27*

 

目を瞑る陸奥は、自分を包んでいた氷が無くなった事に気付いた。目を瞑りながらも陽の光を感じ、氷の外に出たのだと理解していたが、目を開ける勇気が出なかった。

 

陸奥「(どうして外に・・・?戻らなくちゃ・・・!私の人工魔具は・・・)」

 

また氷の中に閉じ籠ろうと、陸奥は目を瞑ったまま手探りで自分の人工魔具を探す。すぐに知ってる手触りを感じ、陸奥は安心した。

 

?「陸奥さん!」

 

?「陸奥さん!」

 

?「陸奥さん!」

 

陸奥「(どうして、まだ あの娘達の声がするの?撤退して、ここには居ないはずなのに・・・。まさか、また護れなかった・・・?)」

 

陸奥は死後の世界に行き、そこで呼ばれてるのかと思った。そこで逃がしたはずの者達が呼んでるならば、殿として時間を稼ごうとした自分は また護れなかったのだと、後悔の涙を流しそうになった。

 

「「「陸奥さん!!」」」

 

鮮明に聞こえる声に驚いた陸奥は、思わず目を開けた。そこには、摩耶と川内、五十鈴が こちらを見ていた。




次回も宜しく お願い致します!
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