Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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今年は これで最後の投稿ですね。
物語上では7月末ですが・・・。

438話です!どうぞ!


Mission438 プール~母親からの卒業~

輝男(てるお)の案内で、ネロは誠也(せいや)が半年前から住んでる孤児院ホワイトスワンへと来た。

そこで双子の少女 里依子(りいこ)美伊子(みいこ)から、誠也が親代わりの刺青男 一条(いちじょう)を殺そうとしてると聞かされる。

そこに誠也も現れ、ネロは飄々とした態度で明日も学校に来るように言って立ち去る。

だが立ち去るネロの顔から笑みが消えていた。殴り掛かってきた誠也の拳から、火薬の匂いがしていたから・・・。

ネロが立ち去った後、彼のせいで計画が狂った事に誠也は苛立っていた。一条が学校に乗り込んできたのは、ヤクザの組長の里親に引き取られた双子の少女が情報を流し、誘き寄せられた一条を誠也が殺す計画のせいだった。

夕飯を食べながら青葉に頼み事をしたネロは、夜の高架下で実弾を使った射撃訓練をする誠也に会いに行く。

人を撃つのは そう簡単な事ではないと諭すが、そこに双子の少女とヤクザの組員達が現れる。

ネロは誠也に危険が及ばないよう、組員達を挑発して引き連れながら、その場は逃げるのであった。

翌日、青葉に頼み事をしていたメモを羽黒から受け取り、ネロは本腰を入れて動き出そうとしていた。

 

 

明陽(めいよう)学苑高校 7月31日 8:40*

 

(かえで)は1人、人気のない場所で携帯を弄っていた。その画面には、一条の居場所を教えるメッセージと、マップの画像が添付されていた。

そこにクラスメイトであり、2年4組のリーダー格である潤羽(うるは)が現れた。

 

潤羽「また何か企んでるの?楓ちゃん」

 

楓「・・・・・・・・・」

 

潤羽「誠也君を、担任苛めに利用できると思ってるんでしょ?」

 

楓「だったら何?」

 

潤羽「面白いなぁと思って」

 

何が可笑しいのか、潤羽は突然クスクスと笑い出した。

話してる2人の様子を窺うように、最後のリーダー格である善之が盗み聞きしていた。

 

潤羽「上手くいくといいわね、楓ちゃん」

 

そして潤羽は、楓の前から立ち去った。

それと入れ替わるように、楓の取り巻きである女子生徒2人が来た。どうやら女子生徒2人も、楓と潤羽の話を聞いていたようだ。

 

生徒「何なのよ あの女」

 

生徒「ちょっとIQ高いからって ほんとムカつくよね」

 

楓「私は とことんやってやる。気に入らない奴全員を追い出すまでね」

 

そして楓は、一条の居場所を記したメッセージを誰かに送信した。

 

 

*ゲームセンター*

 

誠也は学校を後にしてから、ゲームセンターに立ち寄っていた。

銃で一条を殺そうと考えているだけあって、今はガンシューティングゲームに興じていた。

そこに、誠也の携帯に着信が入った。それは楓が送った、一条の居場所を教えるものだった。

それを見た誠也は目の色を変え、ゲームセンターから飛び出した。

 

 

*明陽学苑高校*

 

生徒「誰に送ったの?」

 

楓「誠也君に。優しい お父さんの居場所 教えてあげたの」

 

杏子(あんず)「(・・・え・・・?)」

 

偶然 通り掛かった杏子が それを聞き、驚いた彼女は思わず足を止めた。

そして楓の取り巻きの女子生徒2人も、あまり いい顔はしていなかった。

 

生徒「それって ちょっとヤバ過ぎない?」

 

楓「どうして?」

 

そう問われるが、楓に逆らえない女子生徒は何も言えず黙ってしまった。

話を聞いていた杏子は、近くに居た美香(みか)に相談するため彼女の元に来ていた。

 

杏子「ねぇ、マズい事になったよ」

 

 

・・・・・・

 

羽黒「ちょっと、話を誤魔化さないでくださいよ」

 

ネロは羽黒と一緒に教室に向かっていた。

教室の前まで来ると、慌てた様子の杏子と美香に呼び止められ、ネロはキョトンとする。

 

ネロ「何だよ?」

 

 

*ホワイトスワン*

 

孤児院ホワイトスワンに戻っていた誠也は制服から私服に着替え、銃の状態を確認してから腹側のズボンに差し込む。

 

 

*明陽学苑高校*

 

ネロ「ヤベェな それ・・・」

 

杏子と美香から話を聞いたネロは、2人を押し退け走り去っていく。

急に走り出して驚いた羽黒も、ネロの名を呼びながら追い掛ける。

残された杏子と美香は、不安そうに互いの顔を見合うしかなかった。

その頃 校舎裏では、楓と輝男が話していた。

 

輝男「何?!誠也に あの男の居場所 伝えたのか?!」

 

楓「そうよ。ネロもバタバタとしてるし、これで問題が大きくなれば、ネロもクビになるかもしれないし。それに、家族の話に教師なんて何の役にも立たないんだし」

 

輝男「誠也(あいつ) 殺すかもしれないんだぞ!あの刺青男」

 

楓「いいじゃない、捕まったって。どうせ学校に居たって影 薄いだけなんだし」

 

輝男「・・・最低だな お前」

 

楓「・・・は?」

 

輝男は舌打ちすると、誠也を止めるために走って学校を飛び出した。

残された楓は、輝男に言われた事を理解できていなかった。

 

楓「何なのよ最低って。私は、教師からクラスを守るために・・・」

 

そこに、タイミングを見計らってたかのように潤羽が現れた。

 

潤羽「引き際を逃しちゃったわね、楓ちゃん」

 

楓「・・・・・・・・・」

 

潤羽「楓ちゃんが孤立しなきゃいいけど」

 

楓「何よ それ?どういうこと?ねぇ?」

 

潤羽の挑発に乗るまいと、楓は不敵な笑みを浮かべながら問い質す。

しかし、潤羽は挑発的な笑みを浮かべた後、何も言わずに その場を立ち去った。

潤羽が向かっていた先の角で、善之が待っていた。

 

善之「楓を追い込んで どうする気だ?」

 

潤羽「別に。あれ?善之君、楓の事が心配なの?ふっ、らしくないよ」

 

善之「心配なのは お前の方だよ」

 

そう言って、善之は校舎の中へと入っていった。

潤羽は、何の感情もない表情で その背中を見詰めていた。

2年4組のリーダー格は楓、輝男、潤羽、善之の4人で、そのトップに君臨するのが楓だが、この4人も一枚岩ではなく、特に輝男を除いた3人は それぞれの思惑があって動いてるのが見て取れる。

 

 

・・・・・・

 

*街10:57*

 

日中のスナック街で、一条が居るとされてるスナック店が入る雑居ビルの近くの電柱に、銃を手に取る誠也の姿があった。

そこに、双子の少女 里依子と美伊子も現れた。

 

里依子「とうとう見付けたね。奴に思い知らせるチャンスだよ」

 

美伊子「しっかり爪、見せてやりな。子供をペットだと思ってるような、バカ親にね」

 

誠也が撃鉄を起こしスナック店に乗り込もうとした その時、背後から銃を奪われ殴り倒され、里依子と美伊子が小さな悲鳴を上げる。

倒れる誠也が顔を上げると、一条と その仲間のチンピラ3人が居た。

 

一条「お前が ここに来るってタレコミがあってな。探す手間が省けて丁度 良かった」

 

実は楓が誠也に一条の居場所を教えるのと同時に、一条にも誠也が来ると情報を流していたのだ。だから誠也の襲撃を逆手に取り、こうして一条が現れた訳だ。

 

一条「ほな行こか~」

 

そして誠也と双子の少女は、一条の仲間のチンピラ達に捕まり、どこかへと連れ去られた。

その後ろで物陰から楓が現れ、連れ去られるのを見ていた。

 

楓「滅茶苦茶になっちゃえばいいのよ・・・みんなね」

 

 

・・・・・・

 

それから少しして、ネロと羽黒が誠也を探しながら、一条が居るとされる雑居ビルの前まで来た。

 

羽黒「ここです!」

 

ネロは中途半端に開いたシャッターの下から中を覗くが、人の気配が感じられない。

 

ネロ「誠也の奴は まだ来てないのか」

 

そう思った矢先、楓がネロと羽黒の前に現れた。

 

楓「来たわよ さっき。双子の子達も。まぁ どっかに連れてかれたけど。あの刺青男に」

 

羽黒「どこに行ったの?」

 

楓「知らないわよ そんなこと。自分で調べたら?」

 

羽黒「・・・まさか あなたが、誠也君を・・・」

 

楓「だったら どうなの?」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

楓「どうせ教師に どうこうできる問題じゃないでしょ?親子の問題なんだから。だったら本人達に どうにかしてもらわなきゃ。でしょ?」

 

最後に楓は笑みを見せると、ネロと羽黒の間を割って通るように立ち去った。

ネロは楓の背中を睨みながらも携帯を取り出し、青葉に連絡する。

 

ネロ「青葉か?お前に頼みたい事がある。例の一条って奴の居場所が知りたい」

 

 

*Devil May Cry鎮守府 艦娘寮・青葉型の部屋*

 

青葉「はいはい分かりました」

 

青葉は警察にハッキングし、人物照会システムのパスワードを入力する。

 

青葉「せいっ!」

 

一条の名前をフルネームで入力して検索に掛けると、すぐにヒットした。生年月日から現住所まで全てが表示されている。

 

青葉「ビンゴ~!ネロさん、判りましたよ」

 

 

*街*

 

青葉が住所を伝え、ネロが それを復唱して羽黒がメモを取っていく。

ネロが通話を切る横で、羽黒はメモした住所を見て驚いていた。

 

羽黒「これって・・・!?」

 

ネロ「どうした?」

 

羽黒「今朝 渡したメモ、見せてください」

 

ネロ「メモ?」

 

羽黒「青葉さんが届けてくれたメモです」

 

ネロ「・・・ああ!」

 

思い出したネロは青葉からのメモを取り出し、羽黒に渡して さっき書いた住所と見比べる。

 

羽黒「やっぱり・・・」

 

ネロ「何てこった・・・そういう事か」

 

青葉が届けてくれたメモにあった住所は、誠也の母親の物であった。

そして一条の住所と母親の住所が、全て一致していたのだ。そこから導き出される答えは、誠也の母親は今も一条と一緒に居るという事になる。

するとネロの携帯に着信が入った。出ると相手は金剛だった。

 

金剛『ネロ、一条って男の事を霧島にも調べてもらったら、色々と判りマシタヨ』

 

ネロ「色々?」

 

金剛『あの男、元は暴力団の末端のチンピラで、組のMoney(マネー)を持ち逃げして姿を晦ましてたようデース。もしかしたら、誠也の背中に刺青を入れたのも、それに関係あるかもしれないデース』

 

お金を持ち逃げした一条は、今もヤクザに追われていた。

顔が判別できないような死体が上がった時、ヤクザが本人か確認する術は刺青しかない。一条が誠也の背中に自分と同じ刺青を彫ったのも、誠也を殺して自分の替え玉にし、ヤクザに自分が死んだと思わせ追手から逃れるためだったのかもしれない。

 

ネロ「金剛、そのヤクザの住所 教えてくれ」

 

金剛から一条と関わりのあるヤクザの住所を聞いたネロと羽黒が立ち去って少しして、一足 遅く輝男が雑居ビルの前に着くが、雑居ビルの中に人が誰も居ないのを確認した彼は、また当てもなく誠也を探し回るのだった。

 

 

・・・・・・

 

そしてネロと羽黒は、金剛に教えられたヤクザの組事務所が入ってるビルの前に着いた。

 

羽黒「あ、あの・・・どう、するおつもりなんですか?」

 

ネロ「決まってるだろ。怒らせるんだよ」

 

羽黒「・・・は・・・?」

 

そう言ったネロは腕のストレッチをしながら、近くにあったレンガを1つ拾う。

 

羽黒「ちょっと何するつもりなんですかネロさん?ちょちょちょちょちょちょちょちょ━━」

 

ネロ「オラァ!!」

 

羽黒「きゃあっ!」

 

ネロが思いっきりビルに向かってレンガを投げると、2階の窓ガラスを突き破って食事中の組員が持つラーメン鉢に綺麗に入った。

 

ヤクザ「うっ・・・!何じゃ こりゃあ!?」

 

ネロが投げたレンガが目的の階に綺麗に入った驚きや、ヤクザの組事務所にレンガを放り投げてしまった事や、色々と急展開になってしまい羽黒は目が点になっていた。

そして すぐに組員達が窓を開けて顔を出すと、ネロは笑顔で手を振る。

 

ネロ「お元気~?」

 

羽黒「ちょちょちょっ・・・!」

 

ヤクザを挑発しないで欲しい羽黒は止めようとするが、ネロは足のストレッチを始めていた。

 

ネロ「羽黒、走るぞ」

 

羽黒「え?」

 

などと話してると、組員達が地上にまで降りてきた。

 

ヤクザ「テメェ、この野郎・・・!」

 

ネロ「付いてこいよサル共!殺意 剥き出しのままでよぉ!!」

 

次の瞬間、ネロと羽黒は組員達に背中を向けて走り、組員達も全力で走って追ってくる。

ネロに付いてきたばかりに巻き込まれ、羽黒は悲鳴を上げながらヤクザから逃げる事になってしまった。

その近くでは、鈴谷に連れ出されたダンテと、間宮とウォースパイト、真田 茉優(さなだ まゆ)刹那(せつな)に連れ出されたバージルが一緒に歩いていた。

前日にデートに行くだの何だの言い争っていたが、その日はダンテとバージルも頑なに梃子でも動かなかったのだが、2日連続で彼女達が来て2人は根負けして、仕方なく皆で お出掛けする事になり一緒に歩いていた。

そこに、羽黒の悲鳴が聞こえダンテ達は振り返る。

 

鈴谷「ん・・・?何あれ?」

 

よく見ると、ネロと羽黒が人相の悪い男達を引き連れて こちらに走ってくる。

 

羽黒「いやーっ!!いやーーっ!!ちょっと待ってください!!助けてください!!」

 

『いぃっ!?』

 

鈴谷はダンテの手を引き、間宮達はバージルの手を引いて走る。結果、ネロと羽黒と一緒にヤクザに追われる身となった。

 

鈴谷「羽黒、後ろのオッサン達 誰!?」

 

羽黒「ヤクザです!」

 

鈴谷「はぁー!?」

 

ウォースパイト「何で私達まで一緒に追い掛けられてるのよ!?」

 

羽黒「助けてください!」

 

ウォースパイト「助けるも何も どうなってるのよ?!」

 

間宮「いやーっ!!」

 

刹那「茉優、バージルと会った頃を思い出すね」

 

茉優「そ、そうね・・・(これ、どういう状況なの・・・?)」

 

ダンテ「おいネロ、今度は何しやがった?」

 

ネロ「あぁん?生徒を助けるために あいつら怒らせた」

 

バージル「意味が分からん・・・」

 

事情を知らないダンテ達からすれば、生徒を助けるのとヤクザを怒らせるのが どう関係するのか理解できなかった。

 

バージル「面倒だ、片付ける」

 

ネロ「よせ親父!あいつらを誘導したい、手を出すな!」

 

茉優「・・・バージル子供が居たの!?」

 

刹那「お姉ちゃん・・・!」

 

バージルに息子が居たと知ったショックから、茉優は思わず立ち止まりそうになったが、後ろからヤクザが追い掛けてくるため刹那が慌てて手を引き引っ張る。

 

鈴谷「鈴谷の時間を返せー!!」

 

普通のデートをするつもりが、ただの鬼ごっこをする日になるのだった。

普通の事が普通にできない組織、それがDevil May Cry鎮守府。

 

 

・・・・・・

 

*??? 18:24*

 

廃屋のような場所で、ソファーとテーブルが申し訳程度に置かれた部屋に、誠也と双子の少女は連れて来られていた。

双子の少女は腕を縛られた状態でソファーに座らされており、誠也は一条から暴力を受け殴られ続けていた。

一条の仲間のチンピラの姿は見えない。

 

里依子「放せよ!」

 

美伊子「おい、放せよ!」

 

一条「うるせぇゴラァ!!」

 

一条が空き缶を投げ付け、双子の少女を黙らせた。

 

一条「分かっただろ?俺からは一生 離れられねぇって」

 

そう言って一条は、誠也のシャツを脱がし背中の刺青が見えるようにする。

 

一条「おう、いいじゃん いいじゃん!お前こんな綺麗な刺青 入れてもらって親に礼も言えねぇとはなぁ。へへっ、お前には身代わりになってもらうぞ」

 

誠也「・・・何だと・・・?」

 

一条は自分が組の お金を持ち逃げし、追われる身である事を説明する。捕まれば死が待ってる事も。

 

一条「まぁ それで死のうと思ったわけ。まぁ、死ぬのは俺じゃなくて、俺と同じ紋々 背負(しょ)った お前の方なんだけどな」

 

刺青を入れられたのは ただの当て付けだと思っていた誠也は、それを聞かされ驚きで目を見開く。

 

一条「それで お前を探してたってわけ。けど施設は中々 情報 売ってくれなくてよぉ。この お嬢さん達には学校の場所 教えてもらって助かったけどよ」

 

里依子「ほんとクズね!」

 

美伊子「ムカつく!」

 

双子の少女に ののしられても、一条は高笑いするだけだった。

 

一条「まぁまぁまぁ、何とでも言え。けど、俺よりもクズな奴が居るぞ」

 

そう言って一条は誠也を見るが、誠也には誰の事を言ってるのか分からなかった。

 

一条「おーい!出てこい!」

 

一条が誰かを呼ぶと、奥の扉が ゆっくりと開けられる。そこから出てきたのは・・・。

 

誠也「・・・・・・母さん・・・?」

 

一条「だははははっ、驚いただろ?!ん?こいつな、お前を捨てて出ていった後、すぐ俺のとこに戻ってきたんだよ。なぁ?この女はな、お前がウザかったんだよ」

 

それから一条の口から、誠也の母親が望んで息子を産んだのではない事と、一条がヤクザに追われてるのを知っていたため、2人で一緒になるため誠也を身代わりにするのを提案したのも母親であると教えられ、誠也の心の中で、幼き日の母との思い出に罅が入り壊れ始める。

 

一条「つまり、お前は実の母親に捨てられたって事だ」

 

母親が出ていったのは一条のDVのせいだと思っていた誠也は、目に涙を浮かべながら立ち上がり・・・。

 

誠也「本当なの・・・?母さん・・・」

 

母親「・・・ごめん・・・なさい・・・」

 

その一言が、一条の言った事の全てが事実であると物語っており、絶望と怒りから誠也は、涙を流し雄叫びを上げながら一条に殴り掛かる。しかし避けられ、逆に顔面に頭突きを喰らい倒れてしまう。

 

一条「残念だったな小僧!さて、お前には死んでもらう」

 

一条は腰からドスを抜くと、鞘を床に投げ捨てた。

誠也に歩み寄り髪を掴むと、刀身の腹でペチペチと頬を叩く。

 

一条「顔は誰だか分かんねぇようにしてやるからな」

 

?「それはムリだな」

 

一条「あん?」

 

声がし振り向くと、そこにはダンテとネロ、バージル、鈴谷、間宮、ウォースパイト、茉優、刹那、デッキブラシを武器に構える羽黒の大所帯が入り口に居た。

ただ事情が分かってない鈴谷と間宮、ウォースパイト、茉優、刹那は こう思った。

 

『(どういう状況!?)』

 

顔から血を流す少年、縛られてる2人の少女、刃物を持った男、幸薄そうな女、事前情報がなければ そりゃ意味不明な状況である。

 

ネロ「俺が そんな事させねぇからよ」

 

一条「何だ お前?邪魔すんじゃねぇよ」

 

一条がネロの方に歩いて向かっていくと、ネロも一条の方に歩いて向かっていく。

間合いに入った瞬間、先手必勝とばかりにネロが一条の顔を殴り、更に顔面に蹴りを入れて壁まで吹き飛ばす。たった2発で、一条は痛みで蹲り悶えていた。

自分が手も足も出なかった一条を たった2発で完封したネロに、誠也は驚き開いた口が塞がらない。

双子の少女と誠也の母親も唖然としていた。

 

一条「何なんだ お前・・・?」

 

ネロ「担任だよ。誠也(こいつ)のな」

 

誠也「・・・・・・・・・」

 

一条「センコウが、口 出すんじゃねぇよ」

 

ネロ「俺は口出しなんかしねぇ。口出しするのは()()()()だ」

 

すると そこへ、バタバタと複数の足音が近付き、ネロ達を追っていたヤクザの皆さんが到着した。

ヤクザが現れ、鈴谷達 艦娘は小さな悲鳴を上げながら奥に避難する。

 

ネロ「おーい!ここにアンタら組の金 盗んだ犯人が居るぞー!」

 

ヤクザ「あっ!一条、テメェ・・・!」

 

組員達は一条を見た途端、ネロ達の事など忘れて一条を取り囲むと、そのまま連行していく。

だが それを、誠也の母親が止めようとする。

 

母親「やめてー!!お願い、連れていかないで!この人が居ないとダメなのぉ!」

 

誠也の母親は一条を連れていこうとする組員に しがみ付き止めようとするが、何度も振り払われる。

そのままヤクザと一条、誠也の母親は建物から出ていった。

誠也は、自分の知る母とは あまりにも掛け離れた今の姿に、何のために一条を殺そうとしたのか、何のために復讐を糧に生きてきたのか分からなくなり、力なく床に座り込みながら呆然と母の後ろ姿を見ていた。

そこにネロが歩み寄り しゃがむと、誠也の肩に手を置いた。

 

ネロ「あれが現実なんだ・・・お前が必死に護ろうとした、母親のな」

 

誠也は また目に涙を浮かべ、膝の上で握り拳を作った。

 

ネロ「世の中には、親なのに、自分(テメェ)の事しか考えてないクソみたいな奴だって居るんだ」

 

ネロが そう諭した瞬間、ダンテと鈴谷、羽黒、間宮はバージルを見た。

 

バージル「・・・俺を見るな」

 

ネロ「ひでぇよな・・・産み落としといてよぉ・・・・・・あんな親からは卒業しろ。忘れちまえ・・・あんな母親」

 

誠也「・・・・・・うぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ・・・!!」

 

誠也の目から涙が零れ、ネロの胸ぐらを掴んで2人で立ち上がると、何度も何度もネロの顔を殴る。

ネロは抵抗する事も反撃する事もせず、ただ誠也の拳を大人しく受け入れていた。まるで、誠也の悲しみや怒りを全て受け止めようとするかのように・・・。

誠也は殴るのをやめてネロを見詰めると、ネロは優しい笑みを浮かべた。

 

ネロ「親なんか居なくたってな、男は立派に育つもんなんだ。だからよ、もう忘れちまえ。お前にはダチが居るじゃねぇか。輝男や、俺が」

 

誠也「・・・・・・・・・」

 

ネロ「卒業式にしようぜ。今日を、お前の」

 

誠也は声を上げて泣き、ネロに縋るように彼の腹に顔を埋めて涙を流した。

ネロは誠也の頭に手を乗せ、優しく撫でてやるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*カフェ 20:34*

 

誠也の問題が解決し、青葉は金剛が働くカフェに来てドリンクを飲みながら話していた。

 

青葉「いや~、あの学校にネロさんが潜入したの、魔の気配とやらを探るためだったのに、何だかんだで いい先生やってるみたいですね」

 

金剛「そうみたいデスネー。それより青葉、そろそろ ここでのツケ払ってもらうヨ」

 

青葉「・・・・・・あっ、そろそろ鎮守府での夜勤の時間だ」

 

青葉は一気にドリンクを飲み干し、そそくさと逃げ、それを見ていた金剛は鼻で笑っていた。

 

 

*明陽学苑高校 プール*

 

夜の学校のプールに、水着姿のネロと輝男、誠也が居た。

誠也が刺青の関係でプールに入れないので、ネロは誰にも見られない夜に誠也のためにプールを解放していた。

 

ネロ「2年4組 担任ネロ!かっ飛びまーす!」

 

ネロは手を挙げながら宣誓すると、前宙しながらプールに飛び込んだ。

それを見て、輝男も宣誓してから真似して飛び込む。

ネロと輝男は誠也を見上げ、今なら自由に入れるプールで彼は どうするのかと見る。すると誠也は、溜め息を吐いてから普通に飛び込み、クロールで泳いでいった。

それを見ながらネロは微笑ましそうに笑っていたが、急に真顔になって輝男を見る。輝男と誠也で水泳勝負させようと急に思い付いたのだ。

 

ネロ「おい、お前も行けよ早く!」

 

輝男「俺!?」

 

ネロ「おう、お前だって!」

 

輝男「今から無理だってぇ」

 

ネロ「いいから行けって お前 早く!」

 

輝男は無理 無理と手を振りながらプールサイドに上がろうとするので、ネロは引き摺り下ろして水の中に連れ戻す。

 

「「やっほー!☆」」

 

そこに何故か、双子の少女 里依子と美伊子が現れた。

 

里依子「何か楽しそうだね、学校も」

 

美伊子「入学しちゃおっかな~、私達も」

 

それを聞きネロは、悪い笑みを浮かべながら水の中を移動し、双子の少女に近付いていく。

そこに輝男も付いていく。

 

ネロ「おー!へっへっへっ・・・おい、いつでも来い。俺様が お前らも指導してやるからよぉ!」

 

そう言ってネロは、手でプールの水を掛けて攻撃し、輝男も便乗して加勢する。

双子の少女は悲鳴を上げながらも、足で水を掛け返し反撃する。

 

ネロ「あっ、鼻に入った・・・!」

 

ネロ達が暴れ回ってるのを無視し、誠也は黙々とクロールで泳ぎ続けていた。

プールの外では、楓と善之がネロ達を見ていた。

 

善之「また1人、ネロに付いたぞ」

 

楓「例え1人になったとしても、私は何も変わらない」

 

冷たく言い放つ楓は、善之を残し先に その場から立ち去っていく。

担任苛め・担任外しを目的とする楓の行動は、ネロに心を開く者が出る度に過激になっている。もし最後の1人となった時、彼女は いったい どんな行動に出るのだろうか?

 

 

*理事長室*

 

理事長室では、理事長が今回の顛末について羽黒から報告を受け、至極 安心していた。

 

理事長「そう!ネロ先生、今回も見事に解決してくれたのね」

 

羽黒「はい・・・・・・理事長」

 

理事長「ん?」

 

羽黒「・・・教師の仕事って・・・・・・何なんでしょうか?」

 

理事長「・・・難しい質問ね・・・」

 

理事長は下を向いて溜め息を吐き、しばらく考え顔を上げると・・・。

 

理事長「私にも分からない」

 

羽黒「・・・・・・・・・」

 

羽黒は鎮守府でも教師役として授業をしてるが、今回の事で自分の教師としての在り方に迷いが生じていた。

 

 

*プール*

 

ネロ「っ・・・!?」

 

ネロは目を見開き、突然 動きを止めた。

一瞬だけだが、吐き気がするような悍ましい悪寒のようなものを感じた。それは まるで、負の情念を1ヶ所に集め煮詰めたような、ドス黒い何かの気配だった。

 

輝男「おいネロ、どうしたんだよ?」

 

ネロ「(何だ今の!?・・・まさか、今のがアーロンの言ってた魔の気配なのか・・・?)」




今年も読んでいただき ありがとうございます!
1月は引っ越しの予定がありバタバタしてしまいますので、投稿の方は しばらく お休みとさせていただきます。なので投稿が2~3週間 空いてしまうかもしれません。
執筆にも時間を割きたい気持ちもあるので、もしかしたら期間が延びる可能性もございます。
来年も お付き合いいただけたらと思います。
皆様 良い お年を!
来年も宜しく お願い致します!
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