Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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感想ありがとうございます!

本当なら前回みたいな しっちゃかめっちゃかな内容にしたかったのですが、ネタ切れとなりました。なので雰囲気の方向性を ちょっと変える事にしました。

それでは詰め合わせ3つ目となります!どうぞ!


短編 詰め合わせ3

『立て籠り事件』

 

オリーブ財団の食堂で、大事件が発生した。凶悪犯が危険物を手に立て籠ったのだ。

オリーブ財団の特殊部隊は、ゴム弾を装填した銃と盾を手に緊急出動し、漣が陣頭指揮を執って犯人を包囲していた。

 

漣「犯人に告ぐ!貴様らは完全に包囲されている!武器を捨てて大人しく投降せよ!」

 

比叡「料理しただけじゃん!」

 

犯人は、鍋と金属トレイを持った比叡と磯風だった。

2人は勝手に食堂で料理を始めてしまい、それを目撃した他の者達が大騒ぎして避難し、この状況に至る。

食堂と外の通路を隔てるガラスからは、艦娘達やオリーブ財団の職員達が野次馬で見ている。

 

漣「武器を床に置け!さもなくば射殺する!」

 

ゴム弾だから射殺は先ず無理である。漣も それは理解してるが、こういうのは気分である。

 

磯風「失礼だな!私達が料理して何が悪い?!」

 

漣「悪い理由しか見当たらねぇよ!」

 

比叡「今日のは自信作だもん!」

 

漣「では犯人!」

 

「「犯人って呼ぶな!」」

 

漣「何を作ったのか言え!それによっては、そちらの要求を聞かない事もない!」

 

磯風「私は『アスピック』を作ってみた」

 

比叡「私は『カチャトーラ』にしてみた」

 

漣「何て!?」

 

アスピック━━肉や魚を煮たブイヨンをゼリー状にしたフランス料理であり、日本の煮こごりのような料理。

フランス語で“コブラ”の意味があり、その形状がコブラを連想させることが由来となってる料理である。

カチャトーラ━━イタリア語で“猟師風の”といった意味を持つ料理。

主な食材としてはトマト、タマネギ、ハーブ、ピーマン、蒸し煮した鶏肉やウサギ肉などを使用し、そこにワインが加えられることで作られるイタリア料理だ。

 

漣「明らか作り慣れてない物を作ってるだろ!貴様らの要求は呑めん!大人しく投降しなければ、射殺する!」

 

間宮「3人共、仕事の邪魔だから早く出ていってくれる?」

 

皆が食堂から避難した後も間宮は残り、注文カウンターの前に立っていた。

間宮からすれば、昼時で忙しい時間帯だから さっさと出ていって他所でやってほしい。

 

磯風「比叡」

 

比叡「うん」

 

比叡と磯風は頷き合うと、比叡は鍋を床に置いて注文カウンターの方に行き、そこから間宮を引っ張り出す。

 

間宮「ちょっと!?」

 

そして磯風は、金属トレイを傾け、カチャトーラの鍋にアスピックを ぶち込もうとする素振りを見せる。

 

磯風「近付いたら混ぜるぞぉー!!」

 

比叡「人質が どうなってもいいのかぁー?!」

 

本来ならアスピックもカチャトーラも ちゃんとした料理なのだが、比叡と磯風が作れば それは殺戮兵器となる。そんな危険な物が混ざれば、何が起きてしまうか分からない・・・何も起きない可能性もある。

しかも間宮まで人質に取られ、これでは下手に動けない。

 

磯風「下がれ!」

 

比叡「私達に もっと料理させろ!」

 

漣「なんて卑劣な・・・!しかし、これで怯む漣ではないのだよ!犯人だけを撃てば こちらの勝ち!」

 

漣は特殊部隊の隊員の1人から銃を奪うと、比叡達に向かってゴム弾を撃った。

 

磯風「ぐあっ・・・!あっ!?」

 

ゴム弾は確かに磯風に当たったのだが、当たったのが彼女の手だっため、痛みで金属トレイを落としてしまい、アスピックが全部カチャトーラの鍋に混入してしまった。すると、鍋から黒いガスが噴出した。

 

漣「退避ーーっ!!!」

 

漣と特殊部隊は慌てて食堂から飛び出し、扉をロックして封鎖した。

黒いガスが充満した事で、ガラス越しでは食堂内が どうなってるのか見えないのだが、突然 間宮がガラスの前に飛び出し、野次馬してた皆は驚き後退る。

 

間宮「たす・・・けて・・・」

 

間宮はゾンビのようにガラスを叩いていたのだが、少しすると倒れて、黒いガスで姿が見えなくなった。

 

叢雲「間宮さん!?」

 

漣「尊い犠牲だった」

 

曙「救出しなさいよ!」

 

川内「誰かー!換気システムの出力 最大にしてきてー!ガス充満して食堂 入れないからー!」

 

愛宕「お昼、外で食べる?」

 

高雄「そうしよっか」

 

食堂を使えるようにしようと動く者と、食堂で食べるのは諦めて外食しようとする者で分かれて、野次馬は各々その場で解散するのだった。

 

叢雲「いや誰か間宮さんの心配してあげて!」

 

 

・・・・・・

 

『サイコパス』

 

艦娘達は悪魔との戦闘に備え、2チームに分かれて艤装を用いての、実戦形式の陸上戦闘の訓練をしていた。早い話が、互いのチームが撃ち合って潰し合うという単純な内容だ。

そんな中で那珂と鬼怒は、中庭に敵チームの大井が居ると情報を掴み、大井を索敵しながら中庭の近くまで来ていた。

那珂が斥候として先に中庭に行き、大井の姿を確認しに向かい、鬼怒は後方で待機する事にした。

 

那珂「大井ちゃん居ないよー!」

 

鬼怒「なんだ居ないと襲えないもんねぇ!ああっ!?ええっ!?」

 

いきなり後ろから砲撃を受け、鬼怒は無防備な状態で被弾してしまった事で大破となり、倒れてしまう。

顔を上げると、そこには大井が居た。待ち伏せされていた・・・。

 

鬼怒「ふざけんなー!居るじゃーん!もー・・・」

 

大井は黙って那珂にも砲撃し、徹底的に砲弾を撃ち込み立ち上がれなくすると、鬼怒の眼前に立って兵装を剥ぎ取る。

 

鬼怒「大井、14cm連装砲改二 返して!」

 

大井「・・・・・・・・・」

 

鬼怒「大井、返事して!おっ!?」

 

トドメを刺しそうな目で見下ろす大井だったのだが、なんとバイタルスターを使って鬼怒を回復させたのだ。これには鬼怒もビックリである。

 

鬼怒「あれ?回復させてくれた。あれ?大井、あれ?大井?」

 

しかも大井は、剥ぎ取った兵装を差し出し、黙って返してくれた。

 

鬼怒「あれ?返してくれるの?」

 

鬼怒は、大井って実は優しいんだなと思って彼女に対する認識を改めようとしたのだが、いきなり至近距離で砲撃されて またダウンした。

 

鬼怒「何でだよ!!ふざけんな!!」

 

当時の事を、大井は こう振り返っている。

 

大井「“14cm連装砲改二 返して!”って声が ちょっと悲痛に思えてきて、回復させて返してあげようかと思ったんです。で、その後、“え、大井!?いいの!?”って何か、凄い嬉しそうに、凄い嬉しそうに!受け取るので、“あ、ヤバい、今・・・凄い撃ちたい!”と思って、あははっ!」

 

こう振り返りながら、彼女はゾクゾクと興奮した様子で語っていた。

 

 

・・・・・・

 

『サイコパス パート2』

 

五十鈴と卯月は本館の通路で雑談してたのだが、その内容がマズかった。

 

五十鈴「龍田はサイコパスだよね」

 

卯月「いや、分かるぴょん。龍田さんはサイコパスぴょん。怖いぴょん」

 

龍田「え、そうかな~?」

 

龍田の声がして逃げようとしたのだが、卯月が壁に追い詰められ逃げられなくなってしまった。

 

龍田「卯月ちゃん、そう思う?私ってサイコパスだと思う?」

 

卯月「五十鈴さん、うーちゃん殺されちまうぴょん。助けてほしいぴょん・・・」

 

安全な距離を保ちながら見守る五十鈴に助けを求めるが、彼女は龍田への恐怖で身動きが取れず、卯月を見ながら笑うしかなった。

卯月も一緒に笑っていたのだが、人は どうしようもない状況に立たされると、面白くなくても笑う事しかできなくなるものだ。

 

龍田「今度、いつ空いてる~?」

 

卯月「ちょ、あ・・・」

 

龍田「遊びに行っていいかな?卯月ちゃんの部屋」

 

卯月「た、龍田さん、あの・・・先に言ったの五十鈴さん、五十鈴さんだから、五十鈴さん先に・・・先に、はい・・・」

 

龍田「ほんと?」

 

いきなり卯月に売られ、五十鈴は顔面蒼白になる。

すると龍田が物凄いスピードで迫り、五十鈴も壁に追い込まれた。

 

龍田「五十鈴ちゃん、そういえば この前、私“通話しよ”って連絡してから、“うん、また連絡するね”って言って連絡くれないよね、何で?」

 

まさか龍田との約束を反故にしたのかと思い、卯月は五十鈴に爆笑した。

 

五十鈴「いや、この前チャット送ったじゃん!“駅前これ どうかな?”って!もう怖いってぇ!怖いってぇ!」

 

卯月「怖いぴょん・・・」

 

龍田「じゃあさ、いつ私と お話ししてくれるの、五十鈴ちゃん?」

 

五十鈴「えぇ、じゃあさ、あの、え、な、え、な、えっ、えぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・?」

 

卯月「ビビってるぴょん、めちゃくちゃ。いつの間にか部屋に来てそうだぴょん。“来たよ~”って言って包丁 持ってそうぴょん」

 

龍田「包丁ぐらいならね、持って歩く」

 

え・・・?

 

卯月「ヤベ・・・」

 

五十鈴「包丁ぐらい?」

 

龍田の無視できない発言に五十鈴の思考が止まりかけたが、卯月は五十鈴の肩にポンと手を置いた。

 

卯月「五十鈴さん、今まで ありがとうぴょん。楽しかったぴょん、ありがとうぴょん」

 

龍田「あれ?卯月ちゃん?」

 

五十鈴「いや、卯月は、死ぬ時も一緒だよ?」

 

卯月「え、やめてぴょん、道連れにしない━━」

 

龍田「卯月ちゃん、いつ、遊べるの?」

 

卯月は自分だけ助かったと勝手に思い込んでいたが、龍田には逃がす気はなく、五十鈴共々 再び壁に追い込まれた。

 

卯月「うーちゃん ちょっと、毎日 遠征で忙しいから、ちょっと会えないかもぴょん・・・」

 

龍田「毎日 遠征で忙しい?えっ?」

 

卯月「ちょっと忙しい━━」

 

龍田「えっ?1日くらい空いてるでしょ?」

 

卯月「いや、あの、でも・・・」

 

龍田「1日 私のために時間を空けてくれる事もできないの?」

 

卯月「ぁ・・・」

 

龍田「ねぇ、卯月ちゃん?」

 

卯月「いや、五十鈴さんが、龍田さんと遊びたいって言ってたぴょん」

 

そこに偶然にもダンテが通り掛かり、龍田達を見て何をしてるのかと立ち止まった。

 

卯月「司令官、助けてぴょん・・・」

 

五十鈴「提督、助けて・・・」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

口 半開きで龍田達を見ていたダンテは何かを察したのか、回れ右して来た道を引き返していくのだった。

 

 

・・・・・・

 

『サイコパス パート3』

 

艦娘寮の長良型の部屋で、阿武隈は1人で部屋の掃除をしていたのだが、同じ階から爆発音がした。

 

阿武隈「ヤバい・・・」

 

爆発音から魚雷の物と判断し、また大井の機嫌が悪いと思った阿武隈は、メッセージアプリで姉妹艦に助けを求めた。

 

阿武隈「えっ、あの音 絶対 大井さんだよね?」

 

すると姉妹艦から返事が返ってくる前に、何故か大井からメッセージが来た。

 

大井:阿武隈

 

大井:仲良くしよ

 

阿武隈:阿武隈、大井さんと仲良し

 

一先ず大井の機嫌を取ろうとメッセージを返すのだが、また大井からメッセージが来た。

 

大井:そう

 

大井:だから

 

大井:阿武隈の部屋は

 

大井:私と北上さんのよね?

 

阿武隈「怖いこと言ってる!怖いこと言ってる!!」

 

阿武隈は自分の部屋は、五十鈴や由良、鬼怒、つまり長良型みんなの部屋である旨のメッセージを返す。すると、大井と鬼怒から同時にメッセージが返ってきた。

 

鬼怒:どうした?

 

大井:五十鈴と私は仲良しだよ

 

大井:由良と私は仲良しだよ

 

大井:鬼怒と私は仲良しだよ

 

大井:つまり

 

大井:私と北上さんのだ!

 

阿武隈「ジャイ◯ン思考なんだけど!」

 

阿武隈:大井さん好き

 

阿武隈「これで一旦 落ち着かせよう。“大井さん好き”って言って。阿武隈なんか、姉妹艦が居ない時に限って凄い事に巻き込まれてる気がする・・・」

 

大井「阿武隈ー」

 

すると扉の向こうから、阿武隈を呼ぶ大井の声が聞こえてきたため、阿武隈は仕方なく返事をした。しかし、怖いので扉は開けられない。

 

大井「私と北上さんの部屋、害虫が出たの」

 

阿武隈「えっ!?」

 

どういう事かと阿武隈は訳も分からず驚いた声を上げると、続けて話す大井の声音が恐ろしく低くなる。

 

大井「誰のせいだと思う?」

 

阿武隈「怖い怖い・・・。どうしたの大井さん!?」

 

大井「誰のせいだと思う?」

 

阿武隈「怖い怖い怖い・・・。害虫って何?」

 

大井「私はね、同居人の球磨&多摩&木曾に、ゴキブリが出ないように よろしくねって お願いしてたのに・・・」

 

阿武隈「ヤバいヤバいヤバいヤバい・・・」

 

大井「ぜーんぜんダメだったの!」

 

球磨型の部屋は基本的に大井が管理して掃除してるのだが、いつでもという訳にはいかなかった。

北上と大井が任務で留守にしてる間、部屋の管理を姉妹艦に任せていたのだが、球磨と多摩、木曾は自分達で散らかしたゴミの片付けを怠り、その結果 部屋にゴキブリが出るようになり、それに対して大井は激怒していた。

 

大井「だからね、私と北上さんは、球磨型を辞める」

 

大井の発言に、そんな事できるのかと阿武隈は思わず爆笑してしまう。改装で艦種が変わる事はあるが、型まで変えられるかは聞いた事がない。

 

阿武隈「本気!?」

 

すると阿武隈に取り入ろうとしてか、低かった大井の声音が明るく可愛いものに変わる。

 

大井「私と北上さんは、阿武隈と仲間になる!」

 

阿武隈「長良型になるってこと?」

 

大井「元々 私と北上さんは、長良型だったんだよ」(大嘘)

 

阿武隈「って事は・・・仲間?」

 

大井「うん」

 

すると阿武隈の艤装の妖精さん達が飛び出し、阿武隈に何か言いながら止めようとしてくる。

 

阿武隈「“あれは嘘”って言ってるけど・・・」

 

妖精さん達が言ってた事を伝えると、また大井の声音が低く恐ろしいものになる。

 

大井「型が違うと、仲間じゃないの?」

 

このままでは部屋が占拠される恐れがあるため、阿武隈は嘘でも何でも言って誤魔化し、大井に帰ってもらおうと試みる。

 

阿武隈「長良型の部屋、4人で使ってるから空いてない・・・」

 

大井「うち、長良と名取 着任してないわよね?そっちの部屋、スペース空いてるわよね?」

 

阿武隈「物が多いから、空いてない・・・」

 

大井「何で?」

 

阿武隈「何で・・・?」

 

すると扉の向こうから、機銃の発砲音が鳴り響き、阿武隈は怖くて悲鳴を上げた。

 

大井「何で?」

 

阿武隈「えーっと、えーと・・・でも、ほんとに空いてない!あたしは裏切れない・・・」

 

大井「阿武隈、扉 開けて」

 

阿武隈「鍵が・・・壊れてる!あたしも出られないの!」

 

大井「それ・・・大変じゃない、この部屋。一緒に壊しましょうか、じゃあ、出るために」

 

阿武隈「い、一緒に壊す・・・?明日から忙しくなるから、もう この部屋は姉妹艦に任せてあるの」

 

大井「大丈夫、私と北上さんは長良型の仲間だから、一緒に この部屋 守るわ」

 

阿武隈「ほんとに?」

 

大井「私 嘘は吐かない。私 嘘が1番 嫌い」

 

すると また機銃の発砲音が鳴り、阿武隈は絞り出したような小さな悲鳴を上げた。

 

大井「嘘が1番 嫌い」

 

阿武隈「怖い・・・。ほんと?」

 

阿武隈:大井さん部屋の前に居る

 

阿武隈は鬼怒に助けを求めようとメッセージを送ったのだが、重大なミスを冒してしまっていた。阿武隈が送ったメッセージは個人間のものではなく、鎮守府全体のグループチャットで送ってしまっていた。それは つまり・・・。

送ってから阿武隈はミスした事に気付いたが、もう手遅れだった。

 

阿武隈「あっ・・・」

 

大井「阿武隈それ誰に打ったの?」

 

阿武隈「ヤバいヤバいヤバい!間違え━━」

 

大井「阿武隈?阿武隈それ誰に打ったの?」

 

阿武隈「北上さん来るかなって思って・・・」

 

大井「阿武隈 私のこと信じてくれないんだ」

 

阿武隈「違う違う違う違う!」

 

大井「阿武隈は私のこと信じてくれないんだ」

 

阿武隈「違ぁう違う違う・・・!」

 

大井「信じてくれないんだ・・・」

 

阿武隈「お、大井さん・・・?大井さん!!」

 

大井「信じてくれないんだ!」

 

阿武隈「大井さんやめて!!」

 

機銃の発砲音が鳴り響き、阿武隈は また悲鳴を上げてしまう。

発砲音が止まると、阿武隈は この状況を どう切り抜けようかと思考を巡らせ、部屋の中を右往左往する。

 

阿武隈「ヤバいヤバいヤバいヤバい・・・」

 

大井「信じてくれないの?」

 

阿武隈「大井さんが1番 可愛いよ!」

 

大井「じゃあ扉 開けて☆」

 

とりあえず機嫌を取ろうと言ってみると、大井の声音が明るく可愛いものに変わるが、状況は何も変わらずだった。

阿武隈は苦肉の策として、布団の用意を始める。しかし微かに聴こえる音で、大井にはバレバレだった。

 

大井「何で布団 置いたの?音がした。布団 置いた音がした!布団 置いた音がした!!私を信じてない!阿武隈 私を信じてない!!」

 

阿武隈「違う!!違う、大井さん!大井さんに会いたいから、あたし逝くね?ちょっと待ってて!」

 

阿武隈は夢の世界に逃げるため、布団の中に入り横になる。

 

阿武隈「早く・・・!」

 

大井「阿武隈まだかなー?」

 

阿武隈が出てくるのを待つ大井は、ずっと機銃を撃ちながら脅しに掛かる。

 

阿武隈「逝け・・・!」

 

阿武隈は無理矢理 意識を手放し、寝た。

夜になり目が覚めた阿武隈は、部屋の扉を ゆっくり開けて通路を確認する。そこには大井の姿は無かった。

部屋を抜け出し扉に鍵をし、居酒屋『鳳翔』に向かいながら姉妹艦にメッセージを送るが、それは またしても、鎮守府全体のグループチャットだった。

 

阿武隈「あっ、ヤバい!またヤバい!ちょっと待って・・・!」

 

すると大井からメッセージが来た。

 

大井:私 嘘 嫌い

 

大井:阿武隈 嘘吐き

 

阿武隈「怖い・・・!」

 

一先ず阿武隈は謝罪のメッセージを送るのだが・・・。

 

大井:待っててね

 

大井:すぐに行くからね

 

大井:いま後ろに居るよ

 

大井:待ってよ~

 

大井:阿武隈?

 

阿武隈「怖いってぇ!」

 

大井:何で?

 

大井:好きって言ったじゃん

 

大井:おかしいよ

 

大井:酷い

 

阿武隈「違う違う違う違う違う・・・!」

 

大井:嘘だったの?

 

大井:私のこと好きじゃないの?

 

阿武隈:好きだよ

 

阿武隈は どうにか誤魔化しながら大井にメッセージを返しつつ、姉妹艦が居る居酒屋『鳳翔』に やっと辿り着いた。

姉妹艦に迎えられ阿武隈は ほっとしたが、姉妹艦は苦笑いを浮かべていた。

 

鬼怒「いや~、大丈夫だった?」

 

五十鈴「何が起きたのか よく分からなかったんだけど」

 

阿武隈「大井さんが、長良型の部屋 欲しいって。“長良型の部屋は、私の”って言ってた」

 

由良「あれ?」

 

何故そんな話になってるのか分からず、五十鈴と由良、鬼怒は最後まで苦笑いを浮かべていた。

 

・・・・・・

 

『私メリーさん』

 

如月がスマホを買い替えようと姉妹艦と一緒に出掛け、丁度 鎮守府に戻ってきた時だった。如月の新しいスマホに、非通知で着信が入ったのだ。

如月は出るのを躊躇ったが、ずっと鳴るので無視できず電話に出た。

 

如月「はい、もしもし」

 

?『・・・・・・・・・』

 

妙な事にノイズのような雑音が ずっとしてるのだが、その雑音の中で微かに声が聞こえてくる。

 

白露『私 白露ちゃん!いま工廠に居るの!』

 

相手は白露らしいのだが、どこに居るかだけ伝えられると、一方的に電話が切られた。

 

如月「怖い・・・メリーさん・・・?怖いんだけど・・・近付いてきたら怖いんだけど」

 

皐月「えっ、メリーさんから電話 来たの!?」

 

如月「いや、白露ちゃんだったんだけど・・・」

 

卯月「そんな悪戯するなんて、許せん奴だぴょん」

 

長月「お前が言うか?」

 

文月「鎮守府、怖い人しか居ないね」

 

他の買い物で荷物もあるので、睦月型は艦娘寮に戻る事にした。

荷物を置きながらも、如月は白露からの電話が頭から離れなかった。確かに声は白露だったが、そもそも電話の相手が本当に白露という確証もないのだ。

 

如月「工廠、近い、来る、怖い・・・。いま私・・・いま襲われたら私━━」

 

すると また非通知で着信が来て、如月の言葉が遮られた。

 

如月「うっ・・・もしもし」

 

白露『も、しもし、私 白露ちゃん!いまグラウンドに居るの!』

 

居場所だけ言われ、また一方的に電話が切れた。

 

如月「ち、近いぃ・・・!近い、それ近い!来てる・・・それ近い・・・」

 

皐月「またぁ?」

 

睦月「気分転換に、執務室に行ってみる?あそこならビリヤードとか色々あるし」

 

菊月「こっちが着く前に向こうが着くぞ」

 

如月「怖いこと言わないで・・・」

 

すると また着信が入り、如月はハッとする。

 

如月「怖いよぉ・・・!怖いよ皆っ・・・!もしもし・・・」

 

怖いと言いながら、如月は律儀にも電話に出てしまう。無視すればいいのに・・・。

 

白露『わ・・・たし・・・白露ちゃん!い・・・ま・・・な、か・・・に・・・・・・ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛━━

 

如月「いやあああああっ!!!」

 

途中から白露の声が人ならざるものに変わり、如月は悲鳴を上げながらスマホを放り投げてしまった。

皐月が慌ててキャッチしてスマホの画面を見ると、通話は既に切れていた。

 

如月「もう嫌ぁ・・・!怖いよぉ!普通に怖い・・・普通に怖い!どうすればいい?」

 

菊月「怖いなら そのスマホ捨てろ」

 

如月「買い替えたばかりなのに!?」

 

やはり気分転換で遊ぼうと、睦月型は執務室に行く事にした。執務室ならダンテも居て、如月も安心できる。

 

睦月「こっちも“私 如月ちゃん”してみるのは?」

 

如月は面白そうと睦月の案に乗り、こちらから白露に電話してみる。

2コールすると、プツッと切られた。

 

如月「何で切られるの!?何で出てくれないの!?何で切られるの・・・?何で?怖いよ・・・」

 

卯月「ビリヤードでもして忘れるといいぴょん」

 

執務室に着き、ダンテの許可を取った睦月型は早速ビリヤードで遊び始めるのだが、また如月のスマホに着信が入った。

 

如月「あ・・・もしもし・・・」

 

白露『もしもし、私 白露ちゃん!今、あなたの部屋を燃やしてるの!』

 

如月「えぇー何でぇー!?」

 

長月「ど、どうした!?」

 

如月「ちょっと・・・ちょっと待って・・・何で!?ヤバいぃ~・・・!私達の部屋が・・・私達の部屋 燃えてるって!」

 

皐月「・・・・・・まさかね」

 

菊月「ビリヤードしてる場合じゃないな」

 

長月「ピザ食ってる場合じゃないな」

 

睦月型は慌てて執務室から飛び出し、急いで艦娘寮に向かう。

 

皐月「いや まさかね。白露でも そんな質の悪い事しないでしょ」

 

走りながらも話してると、艦娘寮が見えてきた。

 

皐月「ほら だいじょう・・・あれ?」

 

一瞬だったが、微かに白い煙が艦娘寮から上がってるのが見えた。それは見間違いかと思う程に、本当に一瞬だった。

艦娘寮に入った睦月型は、本当に燃えてたのではと不安を抱きながら自分達の部屋を確認する。

 

如月「大丈夫・・・だよね・・・?大丈夫?」

 

見た限り、何かが焼けた形跡はない。

 

長月「やっぱりイタ電じゃないか!イタ━━」

 

『ひぃいいいいいいいっ!?』

 

どっちにしろ白露の悪ふざけに憤慨してると、部屋の奥に行った睦月と如月、皐月、文月、三日月が悲鳴を上げた。畳の上に、人骨が転がっていた。

どうせ模型ではあるが、あまりにも手が込んでるため、叫んだ睦月達は後から謎の笑いが込み上げてきた。

すると、また如月のスマホに着信が入り鳴った。如月はスピーカーモードにしてから、通話に出る。

 

如月「はい、もしもし・・・」

 

白露『私・・・白露ちゃん・・・どうして燃えてるのに、早く来てくれなかったの?』

 

そう言い残し、また一方的に電話が切られた。

この人骨の模型は白露の設定なのかと思い、一部の睦月型は笑うしかなかった。

 

弥生「白露・・・骨になった・・・乙」

 

卯月「これ、白露だったものって事かぴょん?」

 

如月「普通に怖いんだけど・・・」

 

三日月「もう1回クレームの電話 入れてみては?」

 

という訳で、もし白露が出たら強気で文句を言ってやろうと、如月は早速 白露にコールする。

 

如月「もしもし?!」

 

白露『もしもし、どしたー?』

 

如月「え?」

 

白露『あれ?何?どうしたの如月?』

 

如月「いや、さっき凄い何か・・・何か、イタ電してきたでしょ今!白露ちゃん!」

 

白露『え?私さっき遠征から帰ってきて、携帯 持ってなかったよ。携帯 持ってないよ』

 

如月「そんな まさか・・・だって白露ちゃんの骨があったよ、私の部屋に」

 

白露『怖すぎ!やめて、勝手に殺さないで!』

 

如月「・・・・・・わ、分かった・・・」

 

その後 確認すると、白露は確かに遠征任務があり、他の艦娘の証言からも、如月に電話が掛かってきた時間帯に鎮守府に居なかった事は間違いなかった。

それに海上での任務では、艦娘達は誰1人としてスマホは持っていかない。海水に濡れたり、深海棲艦との戦闘で壊れてしまうからだ。睦月型も そうであるため、遠征任務のあった白露ではないと すぐに理解できた。

部屋にあった人骨の模型を医務室に持っていくと、不審に思った明石は模型を分析に掛けた。すると それは模型ではなく、本物の人骨だった・・・。

 

白露『私・・・白露ちゃん・・・どうして・・・ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛・・・




次回は いきなりの急展開に戸惑われるかもしれませんが、お付き合いいただけたらと思います。

次回も宜しく お願い致します!
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