440話です!どうぞ!
オリーブ財団から悪魔狩りの要請を受けたダンテは、鎮守府に所属するアメリカ艦と共にアメリカへと戻った。
悪魔が跋扈する小さな町には人影が消え、ゴーストタウンと化していた。
ダンテとアメリカ艦の連携により現れた悪魔は駆逐されたが、直後 武装したアメリカ軍が現れダンテ達は銃を向けられる。
そしてダンテは、アメリカ軍から核弾頭を盗んだ容疑で拘束され、連行された。
荒廃した未来世界では、過去のダンテと話すための通信機の完成に目処が立ち、陸奥と摩耶、川内、五十鈴は、レジスタンスに秘密にしてるセーフハウスへと訪れるのだった。
*未来世界 屋敷 ?月?日 13:28*
五十鈴「出来たー!」
五十鈴が過去のダンテと話すための通信機の仕上げをしてる間、暇な陸奥と摩耶、川内は女子トークに華を咲かせていると、五十鈴が幾つかの通信機を掲げながらガッツポーズして声を上げた。
ただ その通信機を見て、陸奥達は冷めた顔をしていた。
「「「ガラケーかよ」」」
五十鈴の言っていた通信機の見た目は、どう見てもスマホが普及する前の折り畳み携帯だった。
摩耶「お前どう見ても古いだろ。それで本当に過去の提督と話せるのかぁ~?」
五十鈴「確かに見た目はガラケーだけど、表面上だけ見て判断しないでくれる?中身が凄いんだから」
この通信機がガラケーの見た目をしているのは、五十鈴が この時代に残っていたガラクタから造ったからだ。
レジスタンスを結成してから五十鈴は、アーロンや生き残った人間の技師やプログラマーから色々と教わっていたため、言ってみれば この通信機には、レジスタンスの持つ技術の粋が詰め込まれているのだ。
摩耶「前から思ってたけど、組織のリーダーに必要なスキルか?」
五十鈴「人手不足だから、リーダーでも雑務とかしないと厳しいからね。手伝ってる内に覚えちゃった」
摩耶「何はともあれ、これで提督と話せるんだよな?なら早速 使わせてくれよ」
五十鈴「まだ使えないわよ」
摩耶「おい話と違うじゃねぇか!」
五十鈴「だって充電しないと」
摩耶「・・・充電?」
五十鈴が造ったガラケー型 通信機は、従来の携帯と違い1度 充電すれば、半永久的に使えるパワフルな物に仕上がっている。
本来ならグールズから盗んだ原子力エネルギーで充電すればサクッと終わるので そちらを使いたいのだが、使うとアーロンとレジスタンスにバレるため、セーフハウスに長年 貯めた電力で代用する。
段取りとしては、先ず充電する。
川内が過去に行った時やダンテを こちらの時代に呼んだ時と同じ原理で、通信機の1つを過去のダンテの座標に送る。
こちらに残った通信機で、過去のダンテに送った通信機に電話を掛ける。あとは“もしもし”言えばいいだけ。
陸奥「その充電って、どれくらい掛かるの?」
五十鈴「ここの電力で代用しますから時間は掛かりますけど、まぁ夜には終わるかと」
摩耶「そんな時間 掛かるのかよ・・・。もう何でもいいから さっさと充電してくれ。こっちは肩透かしばっかりで暇だからよ」
五十鈴「はい、やるから急かさないで」
コンピューターから伸びるコードを通信機に繋げ、五十鈴がコンピューターのキーボードをカタカタと打ち充電を開始する。
開始した瞬間、部屋の中の電気が全て消え、コンピューターの全ての画面も真っ暗になり、幾つもあるサーバーから火花が飛び散った。
陸奥「な、何!?何が起きたの!?」
少しすると予備電源に切り替わり、部屋は申し訳程度の明かりが点き、コンピューターの画面も1台だけ復活した。
摩耶「おい、これ充電できてるんだよな?」
五十鈴「これクラッシュしてブレーカーぶっ飛んだわね」
摩耶「充電できてるんだよな!?」
五十鈴「ブレーカーが ぶっ飛んで充電できるなんて理屈はない!」
摩耶「何で逆ギレしてんだ お前!?」
陸奥「とりあえず どうしたらいいの?」
五十鈴「先ずは復旧ですね。川内、ブレーカー見てきて」
川内「はいよ」
五十鈴「陸奥さんと摩耶さんは こっちを手伝ってください」
陸奥「詳しくないから指示してもらえる?」
復旧のために五十鈴はキーボードをカタカタ打ちながら、辛うじて生き残ったコンピューターで設備の再調整を始め、川内はブレーカーがある場所に走り、陸奥は配線の繋ぎ直し、摩耶は死んだサーバーの修理に取り掛かった。
しかし・・・
摩耶「おい、あちこち焼けてて部品交換しないと無理だぞ」
五十鈴「そっちに予備の部品があるから、修理する分には足りると思う。工具も一式あるから」
陸奥「配線グチャグチャで どれが どれやら・・・」
川内『五十鈴!ブレーカーから火ぃ吹いてんだけど!?』
五十鈴「早く直して。今日 徹夜になるから」
川内『どうやって鎮火すればいいの!?怖いよぉ!』
復旧するには どこも深刻な状態で、通信機の充電を始められるのは しばらく後になりそうだった。
隠し部屋以外は基本的に蝋燭での生活であるため、ブレーカーが落ちても加賀には問題なかった。
・・・・・・
朝になり、諸々の復旧が終わって通信機の充電を始めても、五十鈴の作業は終わっていなかった。備蓄していた物資の栄養ドリンクを飲みながら、コンピューターがクラッシュしないよう常に調整し続け、徹夜でキーボードを打ち続けていた。
陸奥と摩耶、川内は復旧が終わってからも起きていたのだが、充電が終わるのを待つ間は退屈で、寝落ちして雑魚寝していた。
すると、充電が完了した電子音が鳴り、五十鈴は通信機に繋げていたコードを抜いた。
五十鈴「ふぅ、やっと終わった・・・」
五十鈴が呟くと陸奥達が目を覚まし、目を擦りながら起き上がった。
摩耶「んぁ・・・?終わったのか?」
五十鈴「丁度いま終わったわ。皆ありがとう、ご苦労様」
陸奥「大変だったわね」
川内「五十鈴も お疲れ」
摩耶「よし、やっと提督と話せるな。長かったぜ」
五十鈴「まだよ」
摩耶「まだ何かあんのかよぉ~・・・!」
五十鈴「ダンテ提督が持つビーコンで座標を特定してから、通信機を向こうに送る。まぁ、これは時間 掛からないから」
摩耶「何でもいいから早くしてくれ。こっちは楽しみでウズウズしてんだ」
五十鈴「それなら、待ってる間、誰が最初に話すか決めといたら?話せるようになってから喧嘩されても困るし」
摩耶「おぉ!それ大事だな!」
川内「ジャンケンで決めよう!」
摩耶と川内はジャンケンを始めようとするのだが、陸奥が参加しようとしていない事で動きを止めた。
摩耶「陸奥さん何やってんの?」
川内「ジャンケンしますよ?」
陸奥「わ、私も?」
摩耶「当たり前だろ」
川内「提督と話したくないんですか?」
陸奥「私は別に、話さなくても・・・」
五十鈴「・・・怖いですか?」
陸奥「え・・・?」
五十鈴は陸奥には顔を向けず、コンピューターに向かってキーボードを打ちながら話を続ける。
五十鈴「組織のリーダーやってると、色んな人の相手をするから何となく分かっちゃうんです。陸奥さんは、ダンテ提督と話すのが怖いんじゃないですか?」
陸奥「・・・・・・・・・」
川内「陸奥さん・・・」
五十鈴「陸奥さんの事だから、彼を死なせてしまった事に負い目を感じてるんですよね?私は あまり面識がないから偉そうな事は言えませんけど、ダンテ提督は気にしないと思いますよ。それに、Devil May Cry鎮守府の皆が彼と紡いできた絆は、そんなものじゃないはずです」
川内「そうですよ陸奥さん。提督、未来の自分が死んでるの聞いて笑ってましたから」
摩耶「あいつ自分が死んでるのに よく笑えたな・・・」
川内「提督なら今の陸奥さんだって受け入れてくれるから、話してみましょうよ」
陸奥は少し間を置いてから、ぎこちない動きで頷いた。
陸奥も巻き込めたため、摩耶と川内は目の色を変えながらジャンケンの構えに入った。
「「ジャーンケーン━━」」
ダンテの座標の特定を急いでいた五十鈴は、ビーコンが示す場所を見て眉間に皺を寄せた。
五十鈴「何ここ・・・?」
・・・・・・
*研究所X―03 8月4日 8:50*
アメリカ軍の手によって どこかも不明な場所で独房に入れられたダンテは、ベッドに横になりながら今回の騒動について考えていた。
アメリカ軍から核弾頭を盗んだ容疑を掛けられていたが、そもそも そんな物に興味はないから盗みなどしない。もっと言うなら、ずっと日本に居たから盗みようがない。
何が起きてるのか探るため、懐に飛び込む意味で大人しく捕まり、自分を ここまで連れてきた女性将校に探りを入れてみたが、大した話は聞けなかった。
盗んだ証拠があるという話だったが、そもそも盗んでないのだから でっち上げは確定である。つまりダンテは嵌められた。
だが何も起きてない状態で軍が動くはずはない。だから核弾頭が盗まれたこと自体は事実なのだろう。そう考えると、核弾頭を盗んだ真犯人が、ダンテの仕業に見えるような証拠を残したと予想できる。
ダンテ「(だが分からないな。そいつは俺を犯人に仕立て上げて何の得がある?)」
ダンテは こちらの世界で、Devil May Cry鎮守府の提督としての身分を与えられ、生活の保証を受けている。
鎮守府のトップである提督が欠ければ、普通の組織なら問題が生じるだろうが、Devil May Cry鎮守府では自主性を重んじてるため、トラブルが起きても艦娘達だけで解決できるだろう。
それに今はネロとバージル、トリッシュ、ルシアも居る。サポート役でモリソンとニコも居るため、ダンテ1人が欠けても大した影響は与えられないはずだ。
ダンテ「(狙いが分からねぇな・・・・・・いや、見方を変えるべきか)」
盗まれた核弾頭から考えてみよう。ただ盗んで終わり、という訳ではないはずだ。
核兵器を所持してる国は、それを使わないにしても放棄する事はない。他の国が侵攻してくる抑止力とするために。
だが盗んだ者は抑止力のためなんかじゃないだろう。盗んだのが防衛を必要とする国でないのであれば、核兵器を持ってるだけでは意味がない。盗んだのは飽くまで手段であり、目的は使う事だろう。
ダンテ「(憶測の域を出ないが、まぁ そんなとこだろうな。問題は、どこで使うかだ)」
そこで引っ掛かるのは、やはりダンテを犯人に仕立て上げた事だ。ただ盗んで使うだけなら、わざわざ証拠も残す必要もない。
それでも敢えて、ダンテの仕業に見えるような証拠を残したという事は、直接的にではなくとも間接的にはダンテに何か関係があると考えられる。
ダンテ「(考えろ。核の使用と俺、どう繋がってくる?・・・・・・まさか・・・狙いは俺1人じゃなく、俺達全員か?)」
“用があるのは貴官だけで、艦娘には一切 手出ししない”
女性将校は ああ言ってたが、彼女は ただ命令に従っていただけで何も知らない様子だった。彼女に命令を下した者のシナリオが別にあるのなら、何も知らない彼女の言葉を鵜呑みにするのはナンセンスだ。
なら現状で、ダンテが犯人になった場合に起こりうる可能性を考えてみよう。
“では貴官の仲間が隠してるという訳か”
独房に入れられた時、ダンテ1人が盗んだと言うより仲間が居る前提で、女性将校は話していた。なら この場合、ダンテの仲間とはDevil May Cry鎮守府の面々の事になるだろう。
提督であるダンテを犯人とし、仲間が居ると考えられているなら、確実に鎮守府の全員も疑われる。
いや、疑いの目を向けるためだけに こんな回りくどい事をするとは考えられない。もっと何かあるはずだ。
ダンテ「・・・・・・狙いは鎮守府その物・・・俺達全員を潰すのが目的だとしたら・・・・・・核は鎮守府か」
盗んだ核弾頭は、恐らく鎮守府の近くに運び込むつもりだろう。
盗んだ者のシナリオは きっと こうだ。このままダンテを核弾頭を盗んだテロリストとして処刑し、鎮守府を巻き込める距離で運び込んだ核弾頭を起爆させ、纏めて鎮守府の面々を殺す気だ。
核弾頭が起爆した原因は、盗んだDevil May Cry鎮守府が扱いを誤った事による自滅。このままDevil May Cry鎮守府を犯人にしたまま事件を処理し、世間ではテロの被害者が出なかった事故でハッピーエンドとして片付けられる。
もし全員を殺せなかったとしても、Devil May Cry鎮守府が核弾頭を盗んだ疑いが残ってる限り、なぜ鎮守府の傍に核弾頭があったのかと追求する流れを作れる。鎮守府は それを弁明する手札が無いため、罪を償わせるために艦娘は解体、ネロや協力者は処刑となり、どっちに転んでもDevil May Cry鎮守府は全滅だ。
ダンテ「こうしちゃいられねぇな。早く鎮守府の奴らに教えてやらねぇと」
ダンテはベッドから起きて立ち上がると、独房の扉の方に向かう。
魔具や銃器は没収されてるが、力任せに開けられるか確認するため扉に触れる。
その瞬間、扉を塞ぐように物凄いスピードで上から鉄格子が下りてきて、ダンテは後ろに下がる。
なら壁を破壊しようかと考えたが、壁に沿うように続けて鉄格子が下り、四方を鉄格子に囲まれた。
鉄格子に触れてみると電流が流れており、ダンテの手が弾かれる。
ダンテ「随分と用意周到だな。俺の対策はバッチリか。しかも並みの人間なら即死レベルの電流ときたもんだ」
鉄格子はダンテでも直接 触れるには危険な電流が流れており、魔具もないため直接 触れる訳にもいかないとなると、脱出は難しい。
ダンテ「(いったい誰の入れ知恵だ・・・?)」
そこまで考えると、ダンテの頭に憎たらしい笑みで高笑いする鹿島の顔が浮かび、ゲンナリした。
仕方ないのでベッドに戻ろうとしたが、たまたま床に目を向けると何かが落ちていた。独房に入れられた時は こんな物は無かったのは確かだ。
不思議に思いながら拾ってみると、それは折り畳み携帯だった。
ダンテ「何だ こりゃ?おぉ、これ動くな」
ダンテは よく分からなかったが、開いたり折り畳んだりできたので、とりあえずパカパカしてみた。
すると電子音が鳴り、ダンテは慌てて止めようとする。これが何か、どうして ここにあったのか分からないが、見張りに気付かれたら没収される。
ダンテは試行錯誤しながら弄ると、電子音が止まった。偶然にも、通話ボタンを押していた。
すると微かに、折り畳み携帯から少女の声が聞こえた。
?『もしもーし。ダンテ提督、聞こえる?』
ダンテ「(これ、電話か?)・・・誰だ?」
五十鈴『良かった、無事に届いたのね。レジスタンスの五十鈴だけど、分かる?』
ダンテ「レジスタンス・・・?未来の五十鈴か。これ何だ?何で ここに落ちてる?どこから電話してるんだ?」
五十鈴『ふふっ、未来から電話してるの。こっちの川内を そっちに送った時と一緒で、ダンテ提督の座標の反応を辿って そっちに送ったの。それがあれば、いつでも話せるから』
ダンテ「よく分からんが凄い事やってるのは何となく分かった。どういう原理だ?未来と過去で電話するって」
五十鈴『それは長くなるし、アーロンの技術が大部分を占めてて説明できないから、割愛するって事で』
まぁ説明されたとしても、理解できる自信はなかったため、ダンテとしては それは それで良かった。
?『ねぇ、早く代わってよ!』
五十鈴『はいはい分かってるから。ダンテ提督、皆も あなたと話したがってるから代わるわね』
未来で誰が最初に話すかジャンケンをしていたが、結局 後出しだ何だと喧嘩になって進まなかったので、ダンテが相手でも暴走しない五十鈴が最初に話し、説明する事になっていた。
ダンテ「皆って誰だ?」
五十鈴『それは、話してからの お楽しみ』
川内『もしもし提督?川内だよ、久し振り!』
ダンテ「川内・・・まぁ、久し振りって感じもしないがな。こっちで顔は見てるしな」
川内『過去の私は顔 合わせてるかもしれないけど、私は会ってないんだからね』
ダンテ「過去だの未来だの ややこしいな」
川内『まぁねぇ、そこはねぇ。あ、そうそう、山風も提督と話したがってたよ』
ダンテ「ビーチで会って以来だな。あの人見知りも居るのか?」
川内『今回は留守番してもらって別行動。留守番って分かった途端に機嫌 悪くなってたけど・・・』
ダンテ「フッ、母親代わりは苦労してるみたいだな」
川内『提督がパパになってくれたら私も助かるんだけどな~』
?『お前なに言ってんだ?!長いんだよ代われ!』
川内『ちょっ!?まだ私が話してるんだから待ちなよ!』
電話の向こうで何やら喧嘩が始まったようで、ずっと何かを言い争う声が微かに聞こえている。ダンテは折り畳み携帯を耳に当てながら、よく分からないまま待たされた。
すると川内ではなく、別の声が出た。
?『よう、あたしが誰か判るか?』
ダンテ「・・・摩耶か。お前も未来で生き残ってたんだな」
摩耶『1発で当ててくれるとは嬉しいじゃねぇか この野郎。提督が こっちに来た時に会えなかったのは残念だ』
ダンテ「また そっちに呼ばれるなら、機会はあるだろうさ」
摩耶『どうせなら今から こっち来るか?』
五十鈴『無駄にエネルギー消費できないから無理!』
摩耶『無理って言われた』
ダンテ「聞こえた」
摩耶『今回は声だけなのが ちょいと不満だが、あたしに会ったら提督も驚くぞ』
ダンテ「そうなのか?」
摩耶『そりゃ あたしだって色々 成長してるからなぁ。あたしを見て悩殺されるかもよ』
ダンテ「そりゃ楽しみだ」
川内『提督 誘惑すんなよ!艦娘だから何も変わんねぇよ!』
摩耶『今あたしが喋ってるターンなんだよ、引っ込んでろ!』
五十鈴『そろそろ陸奥さんに代わってあげてー』
ダンテ「(陸奥も居るのか・・・)」
摩耶『わりぃ、陸奥さんに代わるわ』
陸奥に代わったようなのだが、いつまで待っても陸奥の声がしない。
早く話すよう催促する摩耶達の声は微かにするのだが、やはり陸奥の声だけがしない。
*未来世界 屋敷*
陸奥は五十鈴に言われてダンテと話す事にはしたが、いざ話すとなると緊張してしまい、何を言えばいいか分からなくなってしまっていた。
陸奥「(何を話せば・・・久し振りとか?)」
過去のダンテは自分達の死んだダンテと同一人物だが、違う未来を辿った事で別人でもある。何か言葉を当て嵌めて呼ぶなら『平行同位体』であるため、久し振りは何か違う気がする。
平行同位体━━別次元(平行世界・パラレルワールド)の全く同じ人物。
陸奥「(やっぱり、元気~とかかな?)」
元気だから死なずに別の未来を辿った訳で、どこか自分らしくない気がする。
陸奥「(提督が死んで、好きって気持ちに気付いたとか?)」
五十鈴からは、みっともなく未練タラタラな事を言って困らせるなと言われていた。それ以前に、恥ずかしくて言えない。
陸奥は何を言えばいいか分からずパニックになり、頭が真っ白になっていた。
すると、ダンテの声がした。
ダンテ『陸奥か?』
陸奥「・・・・・・うん・・・」
ダンテ『艦娘の多くが死んだと聞かされてたが、お前も生き残ってると知って安心した。よく頑張ったな』
陸奥「(・・・・・・どうして あなたは・・・いつも いつも・・・!)」
ダンテは不真面目で頭を抱える時も多かったが、必要な時には必ず手を差し伸べ、欲しい言葉も言ってくれる。
五十鈴は違うと言っていたが、やはりダンテはダンテだった。それが嬉しく、陸奥の目から自然と涙が零れた。
同時に、陸奥の中から不安が消え去った。
陸奥「えぇ、元気よ。あなたこそ、鎮守府の皆を困らせてないでしょうね?」
ダンテ『おい、すぐ そういう話になるのはやめてくれ・・・』
本来の陸奥らしさを取り戻したのを見て、摩耶と川内、五十鈴は安心したように笑みを浮かべた。
*研究所X―03*
陸奥『大事な話があるって事だから、五十鈴に代わるわね』
五十鈴『ダンテ提督、お願いがあるんだけど、いま大丈夫かしら?』
ダンテ「ムリだ、いま都合が悪い」
五十鈴『なぜ?そういえば、あなたの座標・・・そんな何も無い場所で何してるの?』
ダンテ「捕まって独房に入れられた」
五十鈴『・・・・・・どういうこと!?』
次回も宜しく お願い致します!