Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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449話です!どうぞ!


Mission449 城塞都市エリシオン~ゾンビの目撃情報~

*オリーブ財団 ブリーフィングルーム 8月12日 18:57*

 

新たな任務のため、ネロと五十鈴、明石、ニコ、(たける)がステフに招集され、ロサンゼルスにあるオリーブ財団本部に来ていた。

 

ステフ「五十鈴とは初めましてね。私がオリーブ財団の本部長、ステファニー・ブラウンよ」

 

五十鈴「ど、どうも・・・」

 

五十鈴は ここに来る前に、Devil May Cry鎮守府の面々からオリーブ財団が何なのか、鎮守府と どう関係してくるのか聞かされていたのだが、まだ理解が追い付かず戸惑っていた。

 

ネロ「ステフ、今度は何をしようってんだ?」

 

問われたステフは説明する前に、困った顔で五十鈴を見た。そんな顔で見られても、五十鈴も困る。

 

ステフ「財団のシステムに、何者かの侵入を受けたの」

 

ネロ「・・・健が よく言う、ハッキングとかクラッキングってやつか?」

 

ステフ「微妙なとこね」

 

ネロ「どういう事だ?」

 

何者かに侵入されたのは間違いないのだが、その痕跡を調べれば調べるほど奇妙な謎が増え、ステフも どう対処するか悩んでいた。

その何者かは無理矢理 突破して財団のシステムに侵入したのではなく、財団メンバーのIDを使っていた。しかも発行してDevil May Cry鎮守府に送ったばかりの、五十鈴のID番号でだ。

ステフの口から説明が終わると、ネロと明石、ニコ、ステフ、健は改めて五十鈴に視線を向けた。

 

五十鈴「私じゃないわよ!?オリーブ財団の事だって、鎮守府にアメリカ軍が来た時に聞かされて、その時に初めて知ったんだから!」

 

ステフ「でも、あなたの経歴を考えるとねぇ・・・呉提督(ハッピー)が呉鎮守府に着任する前の提督の下で、かなりの犯罪を行っていたようだし」

 

五十鈴「そ、それは!事情があって・・・」

 

ステフ「姉妹艦が人質にされて、仕方なく従ってたのも分かってる。同じ所属だった川内からも、事前に あなたの話を聞いて、今回の件に関して財団は、あなたを調査対象から外した」

 

それを聞き、身に覚えのない罪を問われると思っていた五十鈴はホッとした。

 

ネロ「ステフ、五十鈴を怖がらせるのやめろよ。それで、何のデータが盗まれたんだ?」

 

健「それが何も盗まれてないんだよね」

 

ネロ「何?」

 

そう、ステフを悩ませる最大の謎は それだった。

健の説明では、五十鈴のID番号で侵入した何者かは、オリーブ財団が保管するデータを破壊する訳でもなく、盗み出す訳でもなく そのままにしていた。健がコピーされた形跡を調べたが、それは確認できなかったので間違いない。

だが逆に、データサーバーに本来あるはずのないデータが追加されていたのだ。それを書き記したIDも、五十鈴のものだった。

ネロと明石、ニコ、ステフ、健は、また五十鈴に視線を向けた。

 

五十鈴「だから私じゃないってば!」

 

ネロ「・・・で、そのデータには何て?」

 

ステフ「『エリシオン』という場所に聞き覚えは?」

 

ネロ「・・・・・・いや、ないな」

 

この世界には、“エリシオン”と名乗るヨーロッパ方面で活動する宗教団体があるのだが、彼らは いつからか、自分達が暮らす場所として城塞都市を作り、そこで閉鎖的な生活をしていた。

しかし最近になって、ヨーロッパ方面で奇妙な噂が流れていた。城塞都市エリシオンの周辺ではゾンビに襲われると・・・。

 

健「データサーバーに追加されていた情報には、城塞都市エリシオンで未知のウイルスが作られてるってあるんだ」

 

明石「そのウイルスと噂のゾンビが関係してるってこと?」

 

健「うちのシステムに侵入されたのとゾンビの噂、時期的に考えて偶然じゃない。場所まで一致してたら尚更」

 

オリーブ財団では既に噂の調査はしていたのだが、それを裏付ける事態が起きた。エリシオンがゾンビの存在を認めた上で、ヨーロッパ諸国に調査をしてくれと打診していたのだ。

しかし これに対し、ヨーロッパ諸国の政府は動かなかった。既に噂話の時点でヨーロッパ諸国の国民は不安を抱き、政府が動けば噂を肯定する事になるため、無用な混乱を招かないための判断だった。

そこでオリーブ財団は、サーバーに追加されていたウイルスの情報を調べるために、ゾンビの調査を代わりに引き受ける事にした。

 

ステフ「財団は研究機関としての顔も持ってる。あなた達に頼みたいのは、研究員として城塞都市エリシオンに入り、エリシオンとウイルス、ゾンビの繋がりの調査よ」

 

ネロ「ムリ」

 

五十鈴「無理」

 

明石「うわ無理」

 

夏休みには入っているが、ネロは潜入中の明陽(めいよう)学苑の生徒の面倒を見なければならないので、そんなのやってられない。

五十鈴と明石はゾンビお断りであるため行きたくない。それらの理由から、ネロ達からすれば断る以外の選択肢はない。

 

健「僕も同じこと言ったけど聞いてくれないよ」

 

ステフ「ゾンビが怖いだけで断れると思ってるの?」

 

健「ステフ ゾンビ知らないの?噛まれたら腐りながら歩き回る事になる。僕は そんなの嫌だ」

 

ステフ「任務に好き嫌いを持ち込まないで」

 

ネロ「そもそも何で俺なんだよ?俺 忙しい」

 

ステフ「知ってるわよ、あなたが学校に潜入してるの。忙しいって言いながら、夏休みで生徒と遊んでるだけでしょ」

 

ネロ「(何でバレてんだよ・・・!)」

 

明石「でも何で私達なんですか?」

 

ステフ「任務には適任者を選んでるつもりよ。今回の相手がゾンビなら、こちらはバケモノハンターのネロを ぶつける」

 

ネロ「“デビルハンター”な。バケモノなら何でも相手にする訳じゃないぞ」

 

ステフ「話を遮らないで。ウイルスとゾンビを調べるに当たって、医学的な観点で明石、技術者としてニコ、分析官の健で、各分野の視点から調査してほしいの」

 

明石「な、なるほど・・・」

 

今回 注意すべき点は、エリシオンが作ってるとされるウイルスとゾンビの関係性だ。もしオリーブ財団のサーバーに書き込まれた情報が事実であれば、ゾンビと噂される存在が現れた原因がエリシオンにある可能性もある。調査を打診していたのはエリシオンだが、手放しに信用するのはできないという事だ。

 

ステフ「メインの目的はウイルスだけど、エリシオンが危険と判断した場合は、あなた達でエリシオンを壊滅させて」

 

『・・・・・・・・・』

 

ステフ「お願いだから行って!行きなさい!!」

 

ネロ「分かった!分かったから行くよ!」

 

ステフが癇癪を起こしそうな気がしたネロは両手を挙げ、降参のポーズで引き受け さっさとブリーフィングルームから逃げるように退室し、五十鈴達も慌てて追い掛け逃げ出した。

そして今回チームとして動くネロ達は、出立の準備をして城塞都市エリシオンへと向かうのだった。

 

 

・・・・・・

 

*森 ヨーロッパ時間8月13日 12:26*

 

ヨーロッパへと着いたネロ達だったが、ニコが運転するバンの乗り心地は最悪だった。

 

五十鈴「これ どこ向かってるの!?」

 

ニコ「城塞都市エリシオンだろ?」

 

明石「これ合ってる!?」

 

ニコ「健が言った方向には走ってるぞ」

 

健「いや道 走ってよ!何で森の中 突っ切ろうとしてる!?」

 

ニコ「近道♪」

 

健「直線コースが必ずしも近道とは限らないって!」

 

ニコ「舌 噛むから黙ってた方がいいぞ」

 

ニコのせいでバンで道なき道を爆走し、木々を避けるために時に蛇行し、段差になってる場所で時に大ジャンプし、目印も無い訳の分からない場所を進んでいた。

運転席のニコと助手席のネロはシートベルトがあるが、その後ろに乗る五十鈴達には無いので、バンの中で浮いたり転げ回ったりと、お尻だけじゃなく全身が痛い。

だが森にある城塞都市エリシオンまでは舗装された道がある訳ではないため、結局は道なき道に入るのが早いか遅いかの違いでしかなかった。

 

ネロ「おいニコ、ムチャするな!」

 

ニコ「行ける行ける行ける行ける!」

 

斜面になってる場所を横切るように走ろうとするせいでバンが傾き、そのまま転がり落ちていかないか不安な状態になる。

しかもタイヤが泥で若干 滑り、進みが悪くなる。

するとバンが、どんどん傾き片輪が浮く。

 

「「「落ちる落ちる落ちる落ちる!!」」」

 

ネロ「チッ・・・!」

 

五十鈴と明石、健が悲鳴を上げてると、ネロはデビルブリンガーの片腕を伸ばし木の幹を掴み、ニコがギアをシフトアップし、アクセルをベタ踏みにする。

 

ニコ「オラァッ!」

 

ネロのアシストとニコのパワープレイで、バンは斜面を転がり落ちる事なく突っ切り、斜面になってる場所を抜けた。

 

明石「こんな事してたら車 壊れるって!」

 

ニコ「大丈夫だ!駅の壁ぶち破っても壊れなかったから!」

 

ネロ「電話して来てもらったら そんな時もあったな!」

 

健「逆に壊れて!壊れてくれた方が安全だから!」

 

五十鈴「Devil May Cry鎮守府って いつも こんな感じなの!?」

 

明石「こんな感じ!」

 

五十鈴「終わってるわ この鎮守府!」

 

ネロ「おい前まえ前まえ前!!」

 

その辺にある岩などにも ぶつかりながら蹴散らして進んでると、前方の方で地面が見えなかった。そこは急斜面になっていた。

 

ニコ「私は止まらない!!」

 

「「「止まってーー!!!」」」

 

ネロ「掴まれ!!」

 

フルスピードで急斜面に突っ込み、バンが また大ジャンプを披露し、車内の五十鈴と明石、健が宙に浮く。

その時の3人は全てがスローモーションになったように感じ、脳裏には危険とは無縁だった時間が走馬灯のように流れていた。

急斜面の途中でバンが着地すると、ニコがハンドルを右へ左へと何度も切り、バンが横転しないようバランスを取りながら駆け下りていく。

急斜面の下まで行くとニコが急ブレーキを駆け、やっと止まった。

ネロは若干 放心したような顔で、見える範囲で辺りを見渡し、五十鈴と明石、健はバンの中で倒れて伸びていた。

それなのに、ニコだけは ご機嫌だった。

 

ニコ「アハーッ!ほら見ろ!やっぱり近道だったぞ!」

 

倒れる五十鈴達は起き上がり、フロントガラスから見える前方を見ると、少し先で城塞都市エリシオンの外壁の頭が、木々の上から はみ出るように見えていた。

 

五十鈴「着いちゃった・・・」

 

健「着いちゃ駄目だって。直線コースが必ずしも近道って肯定されちゃうから。これから普通の道 走らなくなるって、ニコさんが」

 

明石「私 死んだ?ここ天国?」

 

ネロ「いや、地獄に行く。これから面倒臭い任務の始まりだ」

 

明石「もう どうでもいいや・・・もう何もかもが どうでも良くなった・・・」

 

ネロ「しっかりしてくれ」

 

ニコ「もっと喜べよ。予定より早く着いたんだから」

 

五十鈴「何で この人こんな元気なの・・・?」

 

それは道路交通法など気にせず、バンを思いっきり走らせ気持ち良くなってしまったからだ。

すると健が、城塞都市エリシオンの周辺でゾンビが徘徊してるという事を思い出し、窓から外を見る。

 

健「ねぇ、ゾンビ居る?」

 

健の言葉にネロ達も改めて窓の外を見てみるが、それらしい姿や影は見当たらない。

 

ネロ「居ないな」

 

ニコ「まぁ、行ってみたら詳しい話も聞けるだろ」

 

城塞都市エリシオンは もう少し先だが、ここまで来れば着いたのも同然であるため、ここから先は、急ぐ事なくニコは徐行運転で進んだ。

 

 

*城塞都市エリシオン*

 

エリシオンの町を囲む外壁の城門まで着くと かなり大きく、その規模のデカさが外からでも よく分かった。

それを見た五十鈴と明石、健は口 半開きで唖然としていた。

すると どこからか現れた、白く変わった見た目の甲冑を着込んだ兵士達に囲まれた。その姿は時代錯誤の中世の騎士を彷彿とさせ、手には槍や盾を持っていた。

彼らを見て、どことなくネロは不機嫌そうにしていた。エリシオンの町が城塞都市という事や、そこの兵士が騎士姿である事も含め、どこか魔剣教団に似た雰囲気を思わせた。

 

騎士「貴様ら、何者だ?」

 

騎士の高圧的な態度にネロが舌打ちするが、明石がバンのドアを開けて顔を出すと、自分達の身分を明かした。

 

騎士「貴様らが そうか。中に入ったら、くれぐれも騒ぎは起こすな。本来 余所者は入れないため、市民も混乱するのでな」

 

明石「は、はい・・・」

 

周辺を徘徊するゾンビを調査するため、技術者や研究者を頼んだのはエリシオンであるはずなのに、何故ここまで偉そうなのかと明石は困惑した。

騎士達に通されバンに乗ったまま城門を潜るが、ネロ達は すぐにバンから降ろされる事になった。ここのルールとして、町の中まで車で入るのは禁止らしい。

そういう訳で、バンは城門近くで停めておく事になり、ネロ達は騎士の1人に案内してもらいながら徒歩で行く事になった。

 

明石「(・・・・・・何か、凄い視線を感じる・・・)」

 

健「(閉鎖的な場所だとは聞いてたけど、相当 僕らが珍しいんだな)」

 

騎士の1人に案内される道中、ネロ達は町の中を巡回する他の騎士や、道行く市民の視線に晒された。

明石や健は、外から来た珍しい人を見る奇異な視線だと思っていたが、ネロだけは違う違和感を感じていた。

 

ネロ「(何だ・・・?この誰もが警戒するような視線は)」

 

さっきから見掛ける騎士や市民は誰もが、実際には厄介者が来たという風に睨んでいた。

閉鎖的な場所では余所者が疎まれるのは よくある事だが、この様子だと少しでも話が拗れると面倒になりそうだ。

できるだけ視線を気にしないようにして歩いてると、広場のような場所で突然1人の男性の悲鳴が上がった。足を止めて そちらに振り向くと、1人の男性が喉を押さえて苦しんでいた。

 

五十鈴「な、何!?」

 

苦しむ男性は すぐに静かになり、グッタリと頭を垂れて大人しくなる。

だが その男性が顔を上げると、その眼は瞳まで白く濁っていた。

そして男性は、狂ったように近くに居た市民に襲い掛かった。

襲われた者も同じように苦しみ、次の瞬間には他の市民を次々と襲い、一気に悲鳴と混乱に包まれた。

 

騎士「感染者だー!被害が拡がらないよう抑え込めー!」

 

近くを巡回中だった騎士が声を荒げると、騎士達は感染者と呼ばれる人々と戦い始め、頭を潰していく。

 

ニコ「何だ ありゃ・・・?」

 

明石「まさか、あれがゾンビ!?」

 

健「おいおいおい、ゾンビは町の外の周辺だけに居るんじゃないのかよ!?」

 

明石とニコ、健は突然の凄惨な光景に困惑していたが、ネロと五十鈴は騎士達の動きを見て難しい顔をしていた。ネロと五十鈴の目から見ても、騎士達の練度は高くはある。だが それだけなのだ。

彼らだけでも感染者と呼ばれる者達を食い止める事は可能だろうが、即座に被害を食い止めれる程ではなく、時間が掛かっていた。これでは被害の拡大スピードを多少は遅くしてるだけで、周辺の市民が避難し終わらない限り、時間を掛ければ被害は拡がり続ける。

 

五十鈴「私達も加勢するわ」

 

騎士「ご心配なく。市民と町を護るのは我々の役目です。すぐに鎮圧するので、ここから動かず お待ちを」

 

ネロ達を案内していた騎士は そう言うが、ネロ達からすれば遅い。このまま市民が襲われてるのを黙って見てる訳にはいかない。

 

五十鈴「そういう訳にはいかないでしょ!」

 

ネロ「ゾンビなら頭が弱点なのは一緒か?!」

 

ネロはレッドクイーンを手に感染者の群れに突っ込み、頭を叩き割るか首を斬り落とし、次々と屠っていく。

艤装を展開した五十鈴と明石も主砲と機銃を撃ち、頭とか関係なく身体をバラバラにして粉砕する。

乱入して圧倒的なスピードで倒していく3人を見て、騎士達は動きを止めて傍観していた。

あっという間に現れた感染者を1人残らず倒し、ニコや健は感謝されるものとばかり思っていた。だが感染者と戦っていた騎士達からは、怒号が浴びせられた。

 

騎士「余所者が余計な真似をするな!」

 

五十鈴「ちょっと、何よ その言い方?!手伝ってあげたんじゃない!」

 

騎士「我らの邪魔をするな、余所者め!」

 

ネロ「うるせぇよ。テメェらじゃ被害が もっと増えてた。市民を護りたいのか そうじゃないのか どっちだ?」

 

騎士「・・・我々を愚弄するか・・・!」

 

ネロ「実力不足を教えてやったんだ、有り難く思え」

 

騎士「余所者風情が調子に乗るな!ならば私と戦え!」

 

ネロ「上等だ。その偉そうな物言い、吠え面 掻かせてやるぜ」

 

エリシオンが魔剣教団を彷彿とさせる事からイライラしていたネロは、ぶっ飛ばせるなら願ったり叶ったりだった。

ただ、明石と健は焦っていた。自分達の主目的はウイルスとゾンビの調査であるが、調査の状況では ここに滞在するかもしれないため、騒ぎを起こすと色々マズい。

それなのに・・・

 

五十鈴「行けー!やっちゃえネロー!」

 

ニコ「手加減してやれよー!可哀想だからー!」

 

五十鈴とニコは、ネロを焚き付ける駄目な側だった。

 

騎士「行くぞ!」

 

ネロ「来いよ」

 

?「やめなさい!」

 

ネロと騎士の決闘が始まろうとした瞬間、それを止める声が響いた。

声のした方を見ると、神父のような格好をした中年の男性が居た。

 

?「彼らは感染者の調査を手伝ってもらうために招いた お客様です。騎士団長、失礼があってはなりませんよ」

 

団長「しかし この者共は!」

 

?「彼らは ここでの教義を知らないのです。私から説明するので、私に免じて武器を引きなさい」

 

ネロと決闘しようとしていた騎士団長は一礼すると、周りに居た騎士達に巡回の再開と後始末を命じ、残りの騎士達を引き連れて どこかへと立ち去った。

ネロ達を案内していた騎士も、神父のような格好をした男性に本来の仕事に戻るように言われ、立ち去っていった。

なぜ騎士達が あそこまで怒ってたのか分からず困惑する中、ネロ達は神父のような格好をした男性に顔を向けた。

 

明石「あの、あなたは?」

 

ジェミール「申し遅れました。私は、この城塞都市エリシオンで教皇を勤める『ジェミール』と申します。ここの者達が とんだ ご無礼を。そして感染者の被害を食い止めていただき、ありがとうございます」

 

健「教皇って事は、この町で1番 偉い人なんだ!?」

 

ジェミール「いえいえ。ここに住む皆さんから、私に町を纏めてほしいと頼まれたので、及ばずながら頑張らせていただいてる名ばかりの教皇ですよ」

 

明石「そ、そうなんですね・・・」

 

ただの宗教団体が自分達で町を起こし、閉鎖的な生活をしてるだけなら まだしも、高圧的で騎士という兵力を有してるような場所の教皇など、どんなイカれた独裁者かと思っていたが、あまりにも謙虚な態度に拍子抜けだった。

 

五十鈴「あの不格好な鎧 着た連中は何なんですか?手伝ってもらっといて文句 言うし」

 

明石「ちょ、ちょっと五十鈴さん・・・」

 

ジェミール「それに関しては改めて謝罪させていただきたい。彼らは この町と、ここに住まう人々を護る事に誇りを懸けています」

 

騎士達からすれば、自分の仕事を奪われたようなものだ。しかも それが余所者となれば、自分達の管轄を荒らしてくる迷惑な部外者でしかない。彼らが怒るのも分からなくもないが・・・。

 

ネロ「もう1ついいか?」

 

ジェミール「何でしょう?」

 

ネロ「あの騎士共だけじゃなく、市民まで俺達を警戒してるのは何故だ?」

 

ジェミール「それは、我々が信仰する宗教にあります」

 

エリシオンの教義では、人の進化を促す事を重んじている。

エリシオンが具体的に どのような事をしてるのかはジェミールの口から語られなかったが、彼らは時にカルト教徒と呼ばれ、迫害を受けた事もあり、それがあり外界との交流を避け、外の人間を快く思っていたなかった。

 

ジェミール「皆さんに見ていただきたい物があるので、私に付いてきてください。歩きながら今、この町で起きてる事も説明しましょう」

 

明石「分かりました」

 

ネロ達はジェミールに付いていきながら、感染者に関する城塞都市エリシオンの状況を聞かされるのだった。




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