感想ありがとうございます!
今回の見所は、明石とニコのコンビです
452話です!どうぞ!
ゾンビの噂とウイルスの情報を調査するため、城塞都市エリシオンに来ていたネロと五十鈴、明石、ニコ、
ウォントと会ったネロ達は、彼から城塞都市エリシオンで教皇を務めるジェミールと真逆の話を聞かされる。
どちらか一方が嘘を吐いてるのであろうが、その判断が難しく、ネロ達は1度 城塞都市エリシオンに戻り、再びジェミールと話をする事にする。
ジェミールはウォントとの関係を認めたが、ウイルスを ばら撒いたのは向こうであり、大罪人の言葉を信用するのかと激昂し、それ以上の話はできなかった。
その日は町での情報収集に勤しんだが、これと言った情報を引き出すのは無理だった。
日を改めジェミールとウォントから話を聞く事にし、両者の話を擦り合わせて矛盾を探すつもりだったのだが、町から城塞都市エリシオンを護る騎士達の姿が殆んど消えていた。騎士の1人から話を聞くと、エリシオンは大罪人であるウォントを粛清するため大部隊を動かした後だった。
最悪の結果になり得る状況を止めるため、ネロ達は騎士達を追ってウォントが居る旧い教会へ急ぐのだった。
*洞窟トンネル 8月15日 12:50*
洞窟トンネルの近くまで来るとニコがバンを止め、全員がフロントガラス越しで洞窟トンネルの方を見る。
洞窟トンネルの入り口の前は本来なら、鎖で繋がれた感染者が居るのだが、その姿がゴッソリ消えていた。
ネロ達がバンを降りて近付くと、辺りには感染者の死体が散乱して凄惨な光景が広がっていた。
明石「酷い・・・」
健「これ、全部あの甲冑 着た連中がやったの・・・?ごめん、吐く・・・!」
五十鈴「頭だけじゃなく、殆んど肉片にされてる。ここまでする必要なんてあったの?」
ニコ「相当 鬱憤が溜まってたんじゃないか?」
ネロ「この調子じゃ本気でウォントを殺しちまう。急ぐぞ」
ここから先はバンでは行けないため、ネロ達はバンには戻らず先へと急いだ。
洞窟トンネルを抜けると、遠くの空に黒煙が上がってるのが見えた。
ネロ「あいつら、火を放ったのか!?」
五十鈴「急ぎましょ!」
健「どんどん状況が悪くなってる・・・」
ネロ達は駆け出し、もう手遅れかもしれないという焦燥感に駆られながらも、旧い教会へと更に急ぐ。
*教会*
教会の傍まで着くと、既に教会は業火に包まれていた。
周辺には騎士の姿は見当たらないが、洞窟トンネルの入り口と同じように、感染者の死体が あちこちに散乱していた。恐らく騎士達は、既に目的を果たして戻った後で、ネロ達は入れ違いになったのだろう。
ネロ「ウォント!!」
ネロと五十鈴が、燃え盛る教会に2人だけで突入すると、教会の奥でウォントが背を向け立ち尽くしていた。
ウォント「どうして・・・どうして こんな事に・・・」
ネロ「ウォント!!」
ネロと五十鈴はウォントに駆け寄ろうとしたが、上から降ってきた燃える瓦礫に行く手を阻まれ、近付く事ができない。
五十鈴「ウォント!!早く こっちに来て!!このままじゃ危ない!!」
ウォント「私は ただ・・・救いたいだけだったんだ・・・」
呼び掛けても立ち尽くしたまま動こうとしないウォントだったが、そんな彼の傍に、難を逃れていた1体の感染者が現れた。
ウォント「すまない・・・私は ただ、君達を治したかっただけなのに・・・」
ウォントは謝罪の言葉を口にしながら、縋るように感染者に腕を伸ばした。
だが感染者は口を大きく開けながら、ウォントに襲い掛かり押し倒すと、彼の身体を貪り始めた。燃え盛る教会には、ウォントの悲鳴が上がった。
教会の周囲に居た感染者の凶暴性は、ウォントが この地に群生する花の成分を打ち抑制していたが、それは長くは続かないという話だった。恐らく注射の時間にエリシオンの騎士達が ここに攻め込み、注射が打てないまま感染者が凶暴化してしまったのだろう。
炎に遮られ、ネロと五十鈴が どうする事もできない中ウォントの悲鳴が止まり、彼は自分に噛み付く感染者と共に炎に包まれた。ウォントは感染者を救おうとしていたが、最後は その感染者に襲われ命を落とす事になるとは・・・。
ネロと五十鈴は そんなウォントの最後を見届け、どこか虚しさのようなものを感じていたが、感傷に浸ってる場合でもなかった。ミシミシと教会が崩れる音がし、火の点いた瓦礫が頭上から落ちてくる。
ネロ「ここは もうムリだ!五十鈴、行くぞ!」
五十鈴「・・・うん・・・」
教会の外に出て明石達の元に戻り、後ろに振り返り教会を見ると、教会は完全に崩れ落ち、そこには燃え盛る炎だけが残った。
健「ねぇ、ウォントさんは?」
ネロ「・・・ダメだった」
ニコ「エリシオンに殺られた後だったのか?」
ネロ「いや、ウォントを殺したのは感染者だったが、そいつもウォントと一緒に炎に包まれた。だが この状況を作ったのはエリシオンだ、エリシオンに戻るぞ」
・・・・・・
*森 13:45*
城塞都市エリシオンに戻る道中は時間が掛かるため、ネロ達はニコが走らせるバンの中で、今の状況について話していた。
健「これって やっぱり・・・ウォントさんの言ってた事が正しくて、ウイルスを開発して ばら撒いたのがジェミールって事でいいのかな・・・?」
だが謎なのは、エリシオンはウォントを追放してから それまで放置していたのに、今になって大罪人を粛清すると言って、何故こんな強行策に出たのかだ。
明石「どういうつもりなのか問い質さないと・・・!」
五十鈴「その前に ぶん殴るわ。ジェミールの奴、絶対なにか隠してる」
ネロ「それには同意だ」
健「・・・・・・それって どっちに?ぶん殴る方?隠し事の方?」
ネロ「どっちもだ」
明石「今は そんなの どっちでもいいでしょ!」
健「ごめん、僕って たまに空気 読めない時あるから」
ニコ「気にしなくていいぞ。張り詰めた空気が和んで気が楽になる。もっとやれ」
ネロ「おい、ここからは おふざけナシだ。俺達の目の前で人の命を奪ったんだ。この場合、財団は どう判断して、俺達は どこまで動いていい?」
健「ステフは、エリシオンに危険性が認められれば、僕達で壊滅させろって言ってたから、だから その・・・まぁ、そういうこと」
ネロ「なら、正面から堂々と殴り込んでも問題ないな。喜べ五十鈴、望みが叶うぞ」
五十鈴「すっごく嬉しい。
ニコ「そうなると、向こうも全力で抵抗してくるだろうな。向こうは多勢に無勢、こっちは たったの5人。全員 心の準備はできてるか?」
五十鈴「いつでも」
明石「私も大丈夫」
健「僕はできてないけど、別にいいよ、もう今更だし」
ネロ「・・・飛ばせ」
ニコ「はいよ!」
ニコはバンのスピードを上げ、森の中を駆け抜けながら城塞都市エリシオンに急ぐのだった。
・・・・・・
*城塞都市エリシオン 14:34*
城塞都市エリシオンの近くまで戻ると、町を囲む壁の中から幾つもの黒煙が上がっていた。それを見て、ネロ達は不審な状況に対して眉間に皺を寄せた。
明石「煙・・・?」
ニコ「この煙の感じ、普通じゃないな。火事か?」
城塞都市エリシオンの城門の前に着くが、いつも居る衛兵の姿がない。普段は門の外に居る衛兵が中に居る衛兵に伝えて門が開くのだが、これでは中に入れない。
ネロ「俺が中に入って門を開く」
ニコ「急げよ。何だかヤバそうだ」
バンから降りたネロはデビルブリンガーの翼で飛翔し、城門を越えて町を見下ろすと、そこには地獄が広がっていた。
住民「助けてくれぇええええ!!!」
住民「こっちに来るなぁああああ!!!」
住民「いやぁああああっ!!!やめてぇええええ!!!」
騎士「クソッ、こいつら どこから・・・!うわぁあああああ!!!!!」
見える範囲の限りでは、町に感染者が溢れ住民達を襲っていた。
エリシオンの騎士達が鎮圧しようとしてるようだが、どういう訳か統率が取れておらず、次々と感染者の餌食になっていた。感染者に襲われた者は新たな感染者となり、その数を増やしながら また人に襲い掛かる。
更に騎士達の戦いの影響でか、あちこちで火の手が上がり、町は混乱して悲惨な光景が繰り広げられていた。
ネロ「何が どうなって・・・!?」
町の惨状に驚きながらもネロは、先にバンを町に入れるようにしなければならないため頭を切り替え、内側に下り立つと門を開いた。
バンが城門を潜って すぐ止まると、ニコ以外が降りてきた。
五十鈴「ちょっと ちょっと、これ どういう状況よ!?」
ネロ「よく分からないが、感染者が溢れて町が混乱してる」
明石「状況確認しつつ、住民の避難も行いましょう」
五十鈴「ジェミールも放置できない」
ネロ「手分けして動くぞ」
ネロは主に、感染者の殲滅を担当する事にし、可能であれば騎士達と連携を取る事にする。
五十鈴と健は研究所に向かう事にした。現状と、ウイルスを作ったのがジェミールで感染者の発生源であるならば、奴は研究サンプルとして感染者を保管してる研究所に居る可能性が高いからだ。
そして明石とニコは、住民の避難と保護を担当する。避難させるには足が必要にもなり、怪我人の手当てなら明石の出番だ。それに感染者に噛まれた跡がないか、明石なら傷口を見れば見分けられるはずだ。
それぞれが どうするか決まると、ネロ達は即座に行動に移した。
・・・・・・
ネロは町を駆け回り、レッドクイーンとブルーローズを使い分けながら、感染者の首を斬り飛ばし、頭を叩き潰し、頭に弾丸を撃ち込んでいく。
だが、状況は芳しくなかった。感染者に噛まれた住民や騎士達が新たな感染者となり、町は とんでもない数の感染者で溢れている。1体1体 倒していては、骨が折れるほど時間が掛かる。
ネロ「纏めて殺るしかねぇな!」
ネロは右腕を幽体化させると、デビルブレイカー・オーバーチュアを装備し、電撃の掌底打ち『バッテリー』で感染者を纏めて吹き飛ばす。
ネロ「おいおい、冗談だろ・・・」
そこで予想外な事が起きた。オーバーチュアで吹き飛ばした感染者が全て起き上がったのだ。ただ電撃を喰らわせ吹き飛ばすだけでは効いていないようで、感染者は倒せないようだ。
だが、それで怯むネロではない。
ネロ「やっぱり頭を狙うしかねぇな!」
ネロはレッドクイーンを手に自ら感染者の群れへと飛び込み、引き続き首から上を破壊して回る。
その途中、感染者に追い詰められてる騎士の1人を発見する。
騎士「よせ、来るなぁああああ!!!」
騎士は既に戦意を喪失しており、尻餅を突いた状態で後退り懇願するが、感染者が獲物を狙えば もう止まる事はない。
感染者が一気に襲い掛かろうとした瞬間、ブルーローズの『チャージショット』が撃ち込まれた事で頭部が吹き飛び、騎士の目の前で首から上が無くなった感染者の身体がバタリと倒れる。
ネロ「おい、大丈夫か?」
騎士「アンタは・・・確か外界から来た・・・」
ネロ「いったい ここで何が起きてる?」
騎士「分からない・・・」
ネロ「分からない事ないだろ、説明しろ!」
騎士「本当に分からないんだ!」
騎士の話では、感染者のウイルスを撒いてる元凶とされるウォントの粛清のため、潜伏してるであろう旧い教会に向かった。
道中と教会の周辺に居た感染者は滅ぼしたが、ウォントの姿は見付けられず、火を放った後に城塞都市エリシオンに戻った。
だが そこで異変が起きた。町の中に突然 感染者が現れたのだ。
1体や2体なら、普段からも町の中で現れるため珍しくないのだが、今回は いつもと状況が違っていた。気付いた時には感染が拡がり、異常な数で押し寄せたのだ。
騎士達は感染者を抑え込もうと戦ったが、感染は津波のような速さで瞬く間に拡がるせいで、感染者が増えるスピードに対処できず騎士達は次々と犠牲になり、あっという間に瓦解した。
騎士「数で押し込まれて、気付いた時には周りに居た仲間が奴らに食われてた・・・隊長も食われて どうしたらいいか分からず ここまで逃げたが、奴らに囲まれちまって、そこでアンタに助けられた。でも どうして こうなったのか、俺には分からない・・・何で こんな事に・・・」
この騎士もウォントが命を落とす事になる状況に加担してたと知り、ネロは怒りで1発ぶん殴りたくなったが、今は そんな事をしてる場合ではないので拳を振り上げるのはやめておいた。
兎に角、今は町に溢れた感染者の排除と住民の避難が最優先だ。
ネロ「感染者は こっちで対処する。俺の仲間が住民を避難させてる。アンタも手伝ってくれ」
騎士「分かった、ありがとう」
ネロと騎士は反対の方角へと走るのだが、ネロの背後から悲鳴が上がった。見ると、いま別れたばかりの騎士が感染者に組み付かれ、襲われていた。
ネロ「クソッ・・・!」
ネロは引き返しながらブルーローズを撃ち、騎士に組み付く感染者の頭を吹き飛ばす。
だがネロが駆け寄った時には、騎士は既に死んでいた。
ネロ「っ・・・!」
直後、騎士の身体がビクビクと痙攣し、それが終わると死んだ身でありながら、ゆっくりな動作で起き上がった。
感染者の仲間入りをした騎士は、獣のように唸りながらネロに掴み掛かるが、掴まれたネロは騎士に膝蹴りを入れ、更にハイキックを食らわせ後退させると、レッドクイーンで首を斬り飛ばした。騎士の首が地面に落ちた後、身体が遅れて地面に倒れる。
ネロは騎士だったソレを少しの間だけ見詰めた後、駆け出し他の感染者の駆除に向かった。
その頃 明石とニコは、住民を保護しながらバンで走っていた。住民を保護しては、バンで町の外まで送って また町に戻り、行ったり来たりを繰り返していた。
ニコ「オラどけ邪魔だ!」
往復する道中では、ニコがアクセル全快で感染者を撥ね飛ばし、時には轢き潰していくのでバンが大きく揺れ、明石は事故らないか顔を引き攣らせていた。
かなりの数を撥ね飛ばしたのか、バンのフロント部分は感染者のドロドロの赤黒い血がベッタリ付着している。
明石「ちょっとニコ、スピード出し過ぎ!これじゃあ感染してない住民まで轢いちゃうって!」
ニコ「囲まれたら このバンでも どうなるか分からないだろ!ネロの仕事 手伝ってやってると思えばいいんだよ!」
明石「速くて住民か感染者か判らない!」
ニコ「目ぇカッ開いて よく見とけば大丈夫だ!・・・多分!きっと!」
明石「自信ないならスピード落として!」
口論してる途中でも、進行方向の先に また数体の感染者が徘徊していた。
ニコ「轢きまーす!!」
明石「だからスピード落として!!」
感染者を纏めて轢き潰し そのまま進むと、その先は突き当たりでT字路になっており、やはり そこにも感染者が徘徊している。
ニコ「曲がりまーす!!」
明石「ちょいちょいちょいちょいちょい!?」
ドリフトで無理矢理 曲がろうとし、片輪が浮きバンが傾いてしまう事で、焦る明石の血圧が急上昇してしまう。
感染者を壁に押し潰しながら、バンは角を曲がりきり走っていく。
明石「ニコォ!!横転してたら私達 徒歩で移動する事になってた!!徒歩だと感染者に囲まれるのに!!」
ニコ「横に壁があって良かったな」
能天気な言葉を返され、明石は呆れて文句も言えなくなってしまった。
そこから少し走ってると、感染者から逃げてる母娘を明石が視界に捉えた。
明石「ニコ、あそこ!」
ニコ「また轢くから掴まってろよ!」
バンは先回りするように道から逸れ、逃げる母娘と追い掛ける感染者の側面に回り込む。
娘「お母さん!」
母「走って!早く!」
必死に走る母娘であったが、2人を追う感染者は他の感染者と比べ異質だった。本来 感染者の動きは人間の動きを1段 落としたような鈍さがあり、激しい動きは見られない。しかし どういう訳か、2人を追う この感染者は全力疾走していた。
娘の手を引き走る母親であったが、歩幅の小さい子供を連れてでは、全力疾走の感染者から逃げられるはずもない。
感染者の伸ばす手が届きそうになった その時・・・
ニコ「ヒャッハー!」
横からニコの運転するバンが感染者を撥ね飛ばした。
母娘は不安から互いを抱き合いバンを見てると、バンのドアが開き明石が降りてきた。
明石「大丈夫ですか!?町の外まで避難させます、乗ってください!」
母娘は安心した笑みを浮かべ、促されるままバンに向かおうとしたが、突然 母親が痙攣を起こし、地面に倒れてしまった。
娘「お母さん!?お母さん!お母さんを助けて!心臓が悪いの!」
明石「・・・離れて!」
娘は心臓の病から、母親が発作を起こして痙攣してると思っていたが、明石の考えは違った。
明石は娘を母親から引き離そうと駆け出すが、次の瞬間、地面に倒れる母親の目が開き、横に居た娘に襲い掛かった。母親は明石とニコが駆け付けるより前に、既に感染者に噛まれていた。
娘「いやーーっ!!!」
明石「やめてー!!」
明石は娘に噛み付く母親の後ろから襟首を掴み、力任せに引っ張り放り投げ、どうにか引き離すが、地面に倒れる娘を見ると手遅れだった。
母親の方に顔を向けると丁度 起き上がり、瞳が白く濁った眼と合う。
ニコ「明石、中に入れ!」
明石は自分も同じ目に遭うと容易に想像ができ、急いでバンの中に戻ろうと駆け出すが、それを感染者になった母親が走って追い掛けてきた。
バンまで辿り着くが、背後に母親が迫り追い付かれてしまった。明石は せめて押し返そうと振り返るが、そのままバンの中に押し倒されてしまう。
噛み付こうとしてくる母親の首と頭を押し返し、明石は必死に抵抗するが、感染者となった母親は異様に力が強く、艤装を装着してない状態では厳しいものがあった。しかも倒れた状態では艤装も展開できないため、万事休すだ。
明石「ニ、ニコ・・・!助けて・・・!」
ニコ「ちょっ、えっ、ど、どどどどうしたらいい!?ちょ、ちょっと、ちょっ、ま、ままま待ってろ!」
バンの中にまで感染者に入られ、どもりながら焦るニコは運転席から後部へ向かい、明石から母親を引き離そうとするのだが、激しく暴れる母親の勢いに吹き飛ばされてしまう。
明石「ニ、ニコ~ッ・・・!」
ニコ「だ、大丈夫、だ、だだ、大丈夫・・・・・・わ、わ、私に考えがあるから、少し、ししししし辛抱しろよ!」
そう言ったニコは、倒れる明石と母親の上を飛び越え、後部の作業場まで行って姿が見えなくなる。
明石は襲い掛かる母親に抵抗しながらニコが助けてくれるのを待つのだが、作業場の方からはガチャンガチャンと何かを散らかす音だけがして、一向に戻ってくる様子がない。
明石「何してるか知らないけど早くして~っ・・・!」
ニコ「あ、あった!あったぞ!」
レンチを手に戻ってきたニコは それで母親の頭をカチ割ろうと殴るのだが、それだけでは止まらず母親は標的を変え、ニコに襲い掛かろうとする。
それを阻止しようと明石が母親を後ろから引っ張ると、また明石が押し倒され振り出しに戻ってしまった。
明石「レンチじゃなくて もっとエグいの持ってきて・・・!」
ニコ「エ、エグいの・・・?エエエエエグいのあるぞ!ももももうちょっとだけ待ってろ!」
また作業場に向かうと、今度は電動ドリルを手に戻ってきた。
そしてニコは、ドリルを回転させながら母親の側頭部に ぶっ刺した。
ニコ「ぬわぁあああああ!!」
明石「~~~~っ!」
ニコは雄叫びを上げながら ひたすらドリルを押し込み、母親の頭から飛び散り流れる赤黒い血が明石の顔に大量に掛かり、明石は目と口を閉じながら顔を横に背け息を止める。
しばらくすると、母親の身体から力が抜け、グッタリして動かなくなった。
明石が押し、ニコが引っ張り母親をバンの外に放り出すと、2人は疲れから その場に へたり込んだ。
ニコ「か、か、噛まれてないよな?かか、か、噛まれてないよな!?」
明石「噛まれてない!どこも噛まれてない!」
ニコ「良かった・・・」
半狂乱気味に明石が答えると、ニコはホッとして息を吐き出した。
とんでもない相手を拾ってしまったと思った明石は、母親を放り出した外の方へ無意識に視線を向けたのだが、視線の先に母親に襲われ命を落としたはずの娘が立っていた。
明石「ニコ・・・」
ニコ「あん?」
明石の視線を追ってバンの外を見ると、瞳が白く濁った娘の眼と合った。
次の瞬間、娘が唸り声を上げながら こちらに向かって走ってきた。
ニコは慌ててバンのドアを閉めると、外から感染者となった娘が叩く音が響いてくる。
一先ず娘1人ではドアを壊して入ってくる事もないだろうと思い、明石とニコは2度目の溜め息を吐きながら脱力した。
明石「もう、ゾンビ映画 観れない・・・襲われるキャラの気持ち理解でき過ぎて もう観れない・・・」
ニコ「・・・・・・とりあえず、顔 拭いた方がいい」
明石「え?」
ニコ「顔・・・ゾンビの血・・・」
明石「あぁ・・・タオルある?」
ニコから受け取ったタオルで顔を拭く明石だが、ニコには1つ心配な事があった。
ニコ「口とかに入ってないよな?下手したらゾンビになるかも」
明石「口には・・・入ってない・・・多分ね」
ニコは明石を見ながら少しすると、黙って傍にあった電動ドリルを手に取り構えた。
明石「大丈夫!口には入ってない!感染は・・・しないはず・・・」
ニコ「・・・良かった」
明石「うん」
ニコ「本当に良かった」
明石「うん」
ニコ「じゃあ・・・行く?」
明石「うん」
ニコ「一応、これは持ってようかな・・・」
運転するためにニコは運転席に向かうが、やはり まだ不安なのか電動ドリルは手離せなかった。
明石はニコの態度に文句を言いたくもあったが、早く感染者の血を洗い流したかったので、何も言わずシャワー室に向かった。
町に感染者が溢れ、城塞都市エリシオンは地獄絵図と化しているが、まだジェミールが見付かってない事から、これだけでは済まないはずだ。この調子では、研究所に向かった五十鈴と健の方は どうなっているか・・・。
その後もネロは感染者の殲滅を、明石とニコは住民の避難に奔走するのだった。
次回も宜しく お願い致します!