Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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458話です!どうぞ!


Mission458 復活の邪心拳~夕陽に沈む魔拳士~

*森 8月27日 1:18*

 

深夜、こんな時間では誰も寄り付かない森の中で、ベルゼは1人で居た。

目の前には何かの儀式を行うための気味の悪い祭壇があり、ベルゼの手には黒水晶があった。

ベルゼが黒水晶を祭壇に設置すると、空が曇天に覆われ、雷鳴が轟き稲妻が瞬く。

すると、有象無象の悪魔が周囲から集まり、祭壇を囲む。

 

ベルゼ「貴様ら、儀式を始めろ!」

 

祭壇を囲む有象無象の悪魔は黒水晶を崇めるように、何度も身体を揺らす。

それが始まると天気は更に荒れ、邪悪なエネルギーが集まり黒水晶に吸収されていく。

 

ベルゼ「黒水晶よ!デビルハンターに葬られた数多の同胞の怨念を食らい、我に力を与えよぉおおお!!新たなる魔拳士(まけんし)を生み出す力を、我にぃいいい!!!」

 

ベルゼが高らかに叫び、周囲に無数の落雷が落ちる。それは有象無象の悪魔の頭の上にも落ち、悪魔は全て焼け死んでしまった。

落雷が終わると、黒水晶にはダンテ達に葬られた悪魔の怨念が凝縮し、黒水晶は明滅するように怪しく光っていた。

ベルゼは黒水晶を掴むと、邪悪な笑みを浮かべた。

 

ベルゼ「“最強”のデビルハンターが相手なら、こちらも“最強”の拳士を ぶつけてやろうじゃないか」

 

 

・・・・・・

 

*浜辺 17:56*

 

どこかの浜辺で、村雨 亮(むらさめ りょう)が1人で海を眺めていた。

彼は数多の武道家を相手に道場破りを繰り返し、その命を幾つも奪ってきた。

だが虎の民の村で修行を行った川内に敗れ、彼は自分の弱さを捨てるため愛する者まで殺し、姿を消していた。

だが彼は その後、いま以上の力を得る事ができず、武術家としての限界を感じ、川内に破れた現実に苦しみ続けていた。

亮は誰かの気配がして横を見ると、不敵な笑みを浮かべるベルゼが居た。

 

亮「・・・何者だ?」

 

ベルゼ「お前を最強にしてやる」

 

亮「何の話だ?」

 

ベルゼ「この俺が、お前に力を与えてやる。最強となれる力をな」

 

亮「貴様の手を借りずとも、俺は最強になってみせる」

 

ベルゼ「お前が そう思いたくても、弱者である事には変わらない。艦娘の川内に敗けてるようじゃな」

 

亮「貴様・・・俺の前で その名を口にするな!」

 

ベルゼ「おいおい、落ち着けよ。俺は お前に力を与えてやるって言ってるんだぜ?」

 

亮「貴様の手は借りん!」

 

亮は上着のジャケットを脱ぎ捨てると、紅牙流(こうがりゅう)邪心拳(じゃしんけん)の構えを取り、ベルゼと戦おうとする。

 

ベルゼ「よせ。俺と お前が戦う必要はない。俺達には共通の敵が居る。奴らを倒すために、お前に力を与えてやると言ってるんだ」

 

亮「黙れ!」

 

亮はベルゼへと向かっていき、素早い動きで攻撃を繰り出していく。

ベルゼは最初こそ戦う意思を示さず、避けるだけだったのだが、仕方ないと反撃に移る事にした。

ベルゼからすれば、亮が死んでも死ななくても どちらでも良かった。必要なのは身体と、彼の持つ技なのだから。

面倒を省くために対話で引き込もうとしたのだが、こうなっては仕方ないためベルゼは亮を殺す事に決めた。

ベルゼは亮の拳を受け止めると、挑発するように笑みを浮かべる。

 

ベルゼ「お前では俺には勝てん」

 

亮「紅牙流・邪心拳を甘く見るな!」

 

ベルゼ「口で言っても分からないなら、その身に教えてやる!」

 

ベルゼは亮に付き合い格闘戦で相手をしていたが、早々に この茶番を終わらせ目的を果たす事にした。

亮の蹴りを防いで逆に蹴りを繰り出し吹き飛ばした直後、ベルゼは魔力弾を幾つも放つ。着弾した爆発に巻き込まれた亮は命を落とし、その場で倒れて動かなくなった。

 

ベルゼ「喜べ。お前は最強の魔拳士として生まれ変わる」

 

ベルゼは亮を肩に担ぐと、どこかへと立ち去っていった。

 

 

・・・・・・

 

*洞窟 20:32*

 

人が寄り付かない洞窟へ亮を運び込んだベルゼは、最奥にある平たい岩の上に彼を置いた。

そして懐から黒水晶を取り出すと、それを天高く突き出すように掲げる。

 

ベルゼ「黒水晶よ!吸収した怨念を解放し、この男を魔拳士へと生まれ変わらせよー!」

 

ベルゼが高らかに叫ぶと、黒水晶から邪悪なオーラが溢れ出し、周囲に稲妻が迸り火花が散る。

そして黒水晶から解放された怨念が全て亮の身体に流れ込み、彼の姿を少し変貌させる。来ていた白いスーツは黒い拳闘士のような服に変わり、義手がある左腕は魔界金属の腕となり、指先も鋭利な物へと変わった。

 

 

・・・・・・

 

それから数時間後、死んだはずの亮が目を覚ました。

起き上がり自身の身体を見て、僅かに変貌した姿と、内から湧き上がる力に戸惑っていた。

 

亮「俺は いったい・・・?」

 

ベルゼ「やっと目が覚めたか」

 

亮「貴様は・・・!」

 

亮はベルゼを見た途端、平たい岩の上から下りて戦闘態勢になるが、ベルゼは待ったを掛けた。

 

ベルゼ「生まれ変わった気分は どうだ?」

 

亮「・・・・・・今までに感じた事のない力が湧き上がってくるようだ。これなら あの川内も・・・」

 

ベルゼ「そうだろ そうだろ」

 

亮「俺は貴様に殺されたはずだ。なぜ今も生きてる?」

 

ベルゼ「話も聞かずに向かってきた割りには、冷静に自分の状況を見れてるのは感心だ。俺が お前を生き返らせ、魔拳士として生まれ変わらせた」

 

亮「どうして俺に拘る?」

 

ベルゼ「言っただろ。俺達には“共通の敵”が居ると」

 

亮「なら自分でやったら どうだ?それとも臆病なのか?」

 

ベルゼ「俺は忙しくて手が空いてないんだ。だから お前は、俺の軍門に下り、俺のためにDevil May Cry鎮守府の全員を殺せ。生まれ変わらせてやった恩を、俺のために働いて返せ」

 

その誘いを聞いた瞬間、亮はベルゼを殴り飛ばした。

亮は魔拳士として生まれ変わった事で、ベルゼすら吹き飛ばせるだけの力を身に付けていた。

 

ベルゼ「何のつもりだ?!」

 

亮「川内と その仲間は俺が殺す。だが お前のために働くつもりはない」

 

亮は その場から立ち去ろうとするが、すぐに足を止めた。

 

亮「この力だけは、お前に感謝してやるがな」

 

それだけ言い残し、亮は今度こそ立ち去った。

洞窟に1人 残されたベルゼは、亮が立ち去った先を見ながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

ベルゼ「まぁいいさ。所詮は使い捨ての駒。精々 役に立ってくれ」

 

 

・・・・・・

 

*街 8月28日 12:10*

 

翌日、川内は珍しく規則正しく起き、トレーニングで街までランニングに出ていた。

だが何者かの殺気を感じ、足を止める事になる。

すると何か小さい物が飛んできて、川内は咄嗟に手でキャッチする。手を開いて見てみると、それは黄金のコインだった。

 

川内「これは!?」

 

その黄金のコインは、紅牙流・邪心拳の使い手である村雨 亮が道場破りをする時に、署名代わりに置いていくのに使ってる物だった。

川内は まさかと思い周囲を見渡すと、車道を挟んだ反対側の歩道で、白いスーツを着て笑みを浮かべる亮を見付けた。

 

川内「村雨 亮・・・!」

 

亮は笑みを浮かべたまま どこかへと歩き出し、川内は見失わないよう急いで追い掛けた。

 

 

・・・・・・

 

*公園 12:37*

 

亮を追って公園まで来た川内だったが、どこに行ったのか見失ってしまっていた。

だが死角から亮が飛び蹴りを繰り出しながら現れ、それに気付いた川内は咄嗟に地面を転がり避ける。

 

川内「村雨 亮・・・生きてたのか・・・!」

 

亮「私は あなたに破れた あの時に、武術家として死んだ」

 

川内「そのキザな喋り方は相変わらずだね。正直 似合ってないよ。それに決着は付いた。もう私達が戦う必要はない」

 

亮「お前になくても・・・俺にはある!」

 

川内「っ・・・!?」

 

亮「俺は地獄から甦り、力を得た。この力で、今度こそ お前を倒す!」

 

川内「何を言ってる・・・?」

 

亮が気合いの咆哮を上げると、服が黒い拳闘士の格好に変わり、左腕が魔界金属の腕へと変わった。

 

亮「魔拳士として生まれ変わった俺の力を見せてやる!」

 

川内「魔拳士・・・?悪魔の力か!?村雨 亮!それは悪魔の力だ!すぐに手放して!」

 

亮「黙れ!」

 

亮は問答無用で攻撃を仕掛け、川内は それを避けて往なしていく。

川内は もう自分達が闘う理由はないと説得するが、亮は それに答えず攻撃を繰り出し続け、本気で闘おうとしない川内が隙を突かれ、胸に蹴りを喰らい吹き飛ぶ。

 

亮「川内、本気で闘え!本気の お前を倒さなければ、俺の苦しみは消えん!」

 

川内「・・・・・・嫌だ・・・」

 

亮「・・・何?」

 

川内「闘いたくない・・・」

 

亮「くっ・・・闘え!!」

 

亮は自分と闘うよう迫りながら、無抵抗の川内に何度も拳を入れていく。

殴られ続ける川内は限界を迎え、立ってられず倒れてしまう。

亮は川内に馬乗りになり、胸ぐらを掴み引き寄せて殴ろうとするが、そうはせず彼女から手を離した。

 

亮「次に会う時は本気で闘え。でなければ、お前の仲間を殺す」

 

亮が立ち去っていくのをボヤけた視界で見ていた川内は、そのまま意識を失い気絶した。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 医務室 15:11*

 

川内が次に目を覚ますと、鎮守府の医務室にあるベッドで横になっていた。

 

川内「あれ・・・?私・・・どうやって戻ってきたんだっけ・・・?」

 

神通「姉さん」

 

呼ばれて横を見ると、ベッドの傍にある椅子に神通が座っていた。

神通の表情を見て、川内は また説教だなと思いつつ痛む顔で、おどけたように笑みを浮かべる。

 

川内「神通・・・あんたが運んでくれたの?」

 

神通「・・・いいえ。暁型の4人が、姉さんを鎮守府まで運んだんです」

 

川内「暁達が・・・?」

 

川内が亮を追っていった公園に、偶然 暁型も遊びに来ていた。

大きい公園ではあったが、走り回ってる途中で血塗れで倒れていた川内を見付け、4人で頑張って鎮守府まで運んだのだった。

 

神通「姉さんが血塗れで驚いたんでしょうね。鎮守府に着いた時には、4人共 泣いてました」

 

川内「・・・・・・暁達には悪い事しちゃったな・・・」

 

神通「何があったんですか?」

 

川内「いや、ちょっと輩に絡まれただけだよ」

 

そう言って詳細を はぐらかした直後、神通が川内の身体にある傷にピンポイントで、指を食い込ませ指圧する。あまりの激痛に、川内は悲鳴を上げた。

 

川内「じ、神通・・・!何するの・・・!?」

 

神通「また私に嘘を吐こうとしましたね?」

 

川内「う、嘘じゃない・・・!輩に絡まれたのは ほんと・・・!」

 

神通「ただの輩に、姉さんが ここまでズタボロにされるはずがありません。相手は誰ですか?」

 

川内「い、言えない・・・!」

 

神通「そうですか。では・・・スペシャルマッサージに入ります」

 

川内「あぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」

 

更に指の食い込みが深くなり、傷を刺激する痛みに川内は絶叫を上げた。

 

神通「話す気になりましたか?」

 

川内「言う・・・言うから・・・!」

 

観念した様子の川内に、神通は指に込める力を抜いたのだが・・・

 

川内「著作権 切れて夢の国から出てきたネズミに━━あだあ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!いだあ゛あ゛あ゛あ゛い゛っ!!!!」

 

丸分かりの嘘を言うので再び指圧してやった。

今度こそ本気で観念した川内は、紅牙流・邪心拳の使い手である村雨 亮が悪魔の力を手にし、戻ってきた事を話した。

それを聞いた途端、神通は椅子から立ち上がり医務室から出ようとするのだが、それを川内は呼び止めた。

 

川内「どこ行くの!?」

 

神通「提督達の所へ」

 

川内「提督には言わないで!あいつは私が決着を付ける!」

 

神通「ただの人間だった時ですら、艦娘を圧倒するような達人です。そんな人が悪魔の力を手に入れたのなら、姉さんだけでは無理です」

 

川内「ま、待ってよ神通!あいつとは━━イテテテテテッ・・・!」

 

川内は神通を止めようと起き上がるが、まだ他にも傷口が塞がってない場所があり、痛みでベッドの上で蹲ってしまう。

次に顔を上げると、いつの間にか神通の姿は消えていた。

 

川内「はぁ・・・・・・入渠しよ」

 

川内は近くにあるナースコールを押し、入渠するための介助を呼ぶのだった。

 

 

・・・・・・

 

*街 20:27*

 

夜、白いスーツで亮が街を歩いてると、目の前にベルゼが現れた。

ベルゼを見て、亮はウンザリした様子だった。

 

亮「また あなたですか」

 

ベルゼ「艦娘の1人を殺せるチャンスだったのに、何故そうしなかった?」

 

亮「意味がないんですよ、彼女が本気で闘ってくれないとね」

 

亮はベルゼを通り過ぎ歩き去ろうとしたが、横まで行くとベルゼに腕を掴まれ、足を止める事になる。

 

ベルゼ「テメェ・・・Devil May Cry鎮守府の連中を殺すって話を忘れた訳じゃないだろうな・・・?!」

 

亮「忘れた訳じゃありません。川内と その仲間は必ず殺す。彼女が本気になってからね。だから・・・俺の邪魔をするな!」

 

ベルゼは唐突に殴られ、怒りを露にした顔で亮の方に再び顔を向けると、彼は その場から既に姿を消していた。

 

ベルゼ「思い通りに動かないなら、Devil May Cry鎮守府諸共あいつも消すしかないな・・・」

 

 

・・・・・・

 

*街 8月29日 13:12*

 

黒い拳闘士の格好をした亮が、街の中心に立っていた。

道行く人々は その変わった格好に、あれは何だと笑いながら首を傾げ、通り過ぎていく。

そんな中で亮は、手から魔力弾を放ち、悪魔の力を手にした事で手に入れた その力で、遠くに見えるビルを破壊する。

亮が手当たり次第に街を破壊していき、突然 降り注いだ災厄に人々は悲鳴を上げながら逃げ惑う。

破壊され落ちてきた瓦礫の下敷きとなり、動かない者の傍に寄り添い泣く声、救急車やパトカー、消防車のサイレンの音も、街の あちこちで鳴り響いていた。

 

亮「川内、早く来い・・・・・・俺と闘えー!!!」

 

亮は川内を誘き寄せるために街を破壊し、人々を襲っていた。ここまでの凶行に走れば、川内も本気になり闘うと考え。

そして そこに、ダンテとネロ、バージル、川内以外の艦娘達が現れた。

 

天龍「やめろ!街を破壊するなんて何 考えてんだ?!」

 

亮「川内は どうした?」

 

神通「申し訳ありませんが、あなたに姉さんの相手をさせる訳にはいきません」

 

ネロ「代わりに俺達が相手になってやるよ」

 

亮「ふんっ・・・雑魚が どれだけ集まろうと、新しい力を手に入れた俺に勝つなど不可能。いいだろう。川内の前に、お前達から倒してやる」

 

ネロ「だったら、俺達の力を嫌でも感じさせてやるよ!行くぞぉ!!」

 

『おう!』

 

ダンテ達は亮を止めるために駆け出そうとしたのだが、その出鼻を挫かれてしまった。いきなり どこからか現れた有象無象の悪魔が襲い掛かり、その対処に動けなくなる。

亮がダンテ達から視線を外すと、ベルゼが居た。

 

ベルゼ「お前の相手は川内だろ?そいつらは俺に任せろ」

 

ネロ「ベルゼ!これは お前の仕業か?!」

 

ベルゼ「そこの拳士のために、ちょいと一肌 脱いだだけさ。お前らを潰すのに都合がいいんで、手を組ませてもらった訳だ」

 

ネロ「ふざけんなよ!!」

 

ダンテとネロ、バージルがベルゼに向かっていくと、ベルゼが開いた空間の歪みから、白いネロと赤バージルが現れた。

ダンテはベルゼと、ネロは白いネロと、バージルは赤バージルと ぶつかり そちらに集中する。

艦娘達が有象無象の悪魔の対処に手一杯になってると、そこに亮が飛び込み艦娘達が吹き飛ばされていく。

艦娘達は悪魔の相手をしつつも亮に攻撃を繰り出すが、亮の素早い動きに砲撃や刃は外れ、反撃の拳や蹴りに為す術がない。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 食堂*

 

一方 鎮守府の食堂では、鳳翔と大淀、明石、間宮が、椅子に縛られた川内と一緒に居た。

 

川内「縄を解けー!!」

 

明石「無理!どれだけ喚こうが暴れようが、それは無理!」

 

鳳翔「感情的になってる今の あなたを行かせる訳にはいきません」

 

川内を戦いに向かわせれば、必ず1対1の決闘に持ち込もうとする。全員の考えが一致し、川内を行かせるのは危険と判断して、彼女を拘束していた。

鳳翔達はテレビに顔を向けると、次々に悲惨な状況が中継で流れる。

すると突然、食堂内に煙が充満した。

鳳翔達は まさかと思い後ろに振り返ると、自力で縄を解いた川内が立っていた。

次の瞬間、鳳翔達は意識が薄れていき、バタバタと倒れていく。

 

鳳翔「川、内・・・さん・・・」

 

川内「ごめん・・・やっぱり私、行かないと」

 

鳳翔達を眠らせた川内は食堂から飛び出し、街へと向かった。

 

 

・・・・・・

 

*街 14:52*

 

街では艦娘達が有象無象の悪魔の対処をしながら、亮の猛攻に追い詰められていた。

だがダンテとネロ、バージルは、相手にしてるベルゼと白いネロ、赤バージルと互角の戦いを繰り広げ、そちらの方にまで手が回らなかった。

 

ネロ「お前らは何がしたいんだ?!」

 

白ネロ「うるさい、僕に質問をするな!!」

 

ダンテ「Drive(ドライブ)!」

 

ベルゼ「ハハーッ!」

 

バージル「You Trash(散るがいい)!」

 

赤バージル「・・・・・・!」

 

ネロのレッドクイーンと白いネロのホワイトクイーンの刃が ぶつかり鍔迫り合い、ダンテとベルゼが放った紅と黒の衝撃波『ドライブ』が ぶつかり周囲を吹き飛ばし、バージルと赤バージルが放った『次元斬』の刃の嵐が、ギャリギャリと音を立てて ぶつかり合う。

そこに川内が現れ、艦娘達は彼女が来てしまった事に焦る。

反対に亮は、待ち望んでいた者が来た事に不敵な笑みを浮かべた。

 

川内「私が相手だ!」

 

亮「待っていたぞ」

 

天龍「やめろ川内!!」

 

神通「姉さん!!」

 

川内と亮は拳を交えながら、どんどん その場から離れていく。

艦娘達は川内を止めようと追い掛けたかったが、悪魔が襲い掛かり足止めされ、追う事ができなかった。

 

 

・・・・・・

 

闘いながら移動していた川内と亮は、工場近くの雑草が放置された広い空き地まで来ていた。

2人は一旦 距離を取り睨み合ってる事から、ここで決着を付けるつもりのようだ。

 

亮「やっと本気で闘う気になったか」

 

川内「どうして そこまで・・・?」

 

亮「俺は お前に敗け、拳士として誇りを失った。強さを求め武術家を倒し続けても、俺の心は満たされなかった。それ処か・・・お前に敗けた日が悪夢として甦り、俺を苦しめ続けた!」

 

川内「・・・・・・・・・」

 

亮「この地獄を終わらせるには、お前を完膚なきまでに叩きのめし、俺が再び最強となるしかない。そのために、お前を殺す・・・!拳士として、俺と本気で闘え!!」

 

川内「・・・・・・分かった・・・もう あんたを口で止めるのが無理なら・・・今だけは、私も昔の自分に戻る」

 

亮の説得が無理と判断した川内は、呉鎮守府で悪どい事をしていた頃のように、情や慈悲を今だけは捨てる事にした。それは、悪魔の力を手にした亮を、命を奪ってでも止めるという川内の覚悟だった。

 

川内「参る!!」

 

亮「来い!!」

 

2人は同時に駆け出し、己の肉体を武器に再び拳を交えた。川内は亮の凶行を止めるために、亮は拳士としての誇りを取り戻し返り咲くために・・・。

それから2人は己の持つ拳法の技を以て闘い続け、悪魔の力を手にする亮に対抗して川内は艤装を装着し、一進一退の闘いは長く続き、空は日が暮れようとして夕陽が赤々と照らした。

いつまでも決着が付かない その闘いを、ダンテを振り切って追ってきたベルゼが、亀のような甲羅を背負った悪魔を連れて見ていた。

ベルゼは川内と亮を纏めて始末できるチャンスを窺っていた。

ダメージが蓄積されていく川内と亮は互いの胸に拳を入れ、2人は後退りながらフラフラと膝を突く。

それをチャンスと見たベルゼは悪魔に命令を下すと、悪魔は甲羅に空いた穴から光弾を発射し、川内と亮に攻撃を仕掛ける。川内は爆発に巻き込まれ吹き飛び、亮は辛うじて躱していた。

 

ベルゼ「魔拳士、今がチャンスだぞ!艦娘を殺せ!」

 

亮「貴様、何のつもりだ?!」

 

ベルゼ「お前が拳士としての誇りを取り戻す手伝いをしてやってるんだ。さぁ、殺せ!」

 

亮「川内は俺の手で自ら倒す。貴様の手は借りんと言ったはずだ!邪魔するな!」

 

ベルゼ「チッ、洗脳しなかった奴は これだから困る。俺の思い通りにならない奴は邪魔だ!魔拳士諸共、艦娘を殺せ!」

 

ベルゼに命じられた悪魔は また幾つもの光弾を発射するが!亮が川内を守るように立ち、腕で光弾を弾き防ぐ。

 

亮「川内、大丈夫か?」

 

川内「何で・・・?」

 

亮「お前との決着は誰にも邪魔させん。俺以外の奴に倒されるなど許さん」

 

川内「村雨 亮!」

 

亮はベルゼと悪魔に向かって戦いを仕掛け、ベルゼ達は戦いながら川内の前から姿を消した。

その後 川内は亮を追って探し回ったが、遂には見付ける事はできなかった。

 

 

・・・・・・

 

*浜辺 19:00*

 

夕陽が地平線に沈みかけて夜の帳が近付く頃になり、悪魔を先に倒した亮はベルゼと1対1の勝負を繰り広げていた。

 

亮「俺と川内の勝負を邪魔した お前は、必ず倒す!」

 

亮は紅牙流・邪心拳の奥義『邪心風拳(じゃしんふうけん)』を繰り出し、高速で繰り出される拳をベルゼは、その身に全て受ける事になる。

川内も受けた事がある邪心風拳は、身体の内側にダメージを蓄積して相手をボロボロにする。悪魔の力を手にした今の亮が使えば、その威力も上がってる。

だが、連打を繰り出す腕が掴まれ動きを止められると、亮は驚いた顔でベルゼの顔を見る。そのベルゼは、邪心風拳が効いてないかのように笑っていた。

 

ベルゼ「お前の力は、所詮は俺が与えた借り物。俺に通用するはずがないだろ」

 

亮「くっ・・・黙れ!」

 

亮は掴まれてない右腕で拳を振るうが、目の前からベルゼが一瞬にして姿を消し、空振りに終わる。

次の瞬間、亮の胸に痛みが走った。自分の胸を見下ろすと、胸からベルゼの持つ魔剣の刀身が飛び出していた。

 

亮「貴様・・・」

 

ベルゼ「使えない駒は俺の手で始末するのが筋だよなぁ?お前は もう用済みだ!」

 

ベルゼが魔剣を引き抜き亮がフラフラと振り返ると、ベルゼは掌から魔力弾を発射して亮を吹き飛ばした。

亮が地面に倒れてからも、ベルゼは執拗に魔力弾を当て続け、その命を奪うのだった。

つまらなさうに鼻を鳴らすベルゼは立ち去ろうとしたが・・・

 

ネロ「ベルゼェエエエエエ!!!」

 

追ってきたネロが背後から斬り掛かり、ベルゼは振り返りながら魔剣でレッドクイーンを受け止める。

 

ネロ「何がしたいんだテメェは?!」

 

ベルゼ「ハハッ!丁度いい、テメェにも用があったんだ!」

 

ネロ「ふざけんな!!」

 

ネロの猛攻をベルゼは受け流していき、下に叩き落とすとレッドクイーンを踏み付け、ネロが振り上げられなくする。

直後、ネロは首に痛みを感じた。ベルゼがネロの首に、何かの注射を打っていた。

ネロは咄嗟に裏拳を繰り出すが、ベルゼが後ろに飛び退き躱される。

ネロは再びベルゼに向かっていこうとしたが、どういう訳かレッドクイーンが異様に重く感じ、持ち上がらなかった。

 

ネロ「お前、俺に何を打った!?」

 

ベルゼ「ハッ・・・どうだ?正真正銘、普通の人間になった気分は?」

 

ネロ「・・・普通の人間、だと・・・!?」

 

ベルゼ「ちょっとした お遊びの実験さ」

 

ベルゼがネロに打ったのは、悪魔を完全な人間に変貌させる薬だった。今のネロは肉体が普通の人間並みとなり、レッドクイーンを持ち上げるのも一苦労だった。

 

ベルゼ「今の お前は ただの人間。ちょっとした事で簡単に死んじまう。例えば、弾を1発 喰らっただけでも・・・」

 

ネロ「っ・・・!」

 

ベルゼは銃口をネロに向けるが、結局 撃たずに銃を下ろした。

 

ベルゼ「その状態で、あのガキ共を守れるか見物だな。ほら、あの学校のガキ共だよ」

 

ネロ「生徒に手を出したら、お前を殺す!」

 

ベルゼ「今の お前を相手に、俺が手を出す必要はないだろうさ。あそこに居る存在を考えればな」

 

ネロ「・・・あの学校に漂う魔の気配、何か知ってるのか?!」

 

ベルゼ「・・・・・・・・・」

 

ネロ「答えろ!」

 

ベルゼ「・・・俺も よく知りはしない。あそこに何があるかなんてな。だが、俺も関わりたくない程度には、面倒なのが居るだろうな」

 

ネロ「お前に そう言わせるだけの存在が居るってのか!?」

 

ベルゼ「俺に分かるのは1つだけだ」

 

ベルゼが言うには、明陽(めいよう)学苑にある魔の気配と、ネロが受け持つ2年4組の生徒には相互関係があり、魔の気配が生徒達の精神に干渉し、その心に影を作り、生徒達が魔の気配を刺激し、大きく成長させているという、奇妙な繋がりができているとの事だ。

 

ベルゼ「どうして そうなってるのか知らないが、精々その身体で励めよ。どうなるか結果を楽しみにしてるからよぉ」

 

ベルゼは そう言い残し、自ら作り出した空間の歪みに入り姿を消し、ネロは持ち上がらないレッドクイーンの柄を握ったまま、それを見てる事しかできなかった。

 

ネロ「・・・・・・俺が・・・ただの人間・・・?」

 

そして今の自分の置かれた状況に戸惑いながら、ネロは自身の手の平を見詰めるのだった。

悪魔との戦いや明陽学苑での問題が懸念される中、純粋な人間となってしまったネロは どうするのか?

続く・・・。




今後の展開のために、どうしてもネロを追い込みたくてですね、やっとネロから悪魔の力を完全に奪う事ができ、やっと ここまで来たかと私は安堵しております
さて、ネロが純粋な人間になってしまったという事は、我々のように普通の人間と同じく、普通に生活してるだけでも死のリスクが付き纏う事になります。たとえば交通事故とかですね
そんな状態になりながらも、恐らくネロは首を突っ込んでいくでしょうから、そんなネロを今後も見守っていただけたらと思います

次回も宜しく お願い致します!
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