?「また会ったね、ダンテ君」
ダンテ「お前は誰だ?」
?「誰かだって・・・?金持ち天才プレイボーイ博愛主義者」
男は早口に ふざけた単語を並べていく。素直に答える気はないようだ。
ダンテは銃を男に向けて構える。
ダンテ「お前の遊びに付き合うつもりはない。お前が誰なのか さっさと答えろ」
?「まさか、丸腰の相手を撃つつもりじゃないよね?」
ダンテ「お前の答え次第だな」
男は銃を向けられ脅えたような素振りを見せるが、飄々とした口調から、本当に脅えているとは考えられない。
?「難しい質問だなぁ・・・言うなれば研究者だよ。今 気に入ってる呼ばれ方は『ドクター』かな。できる男って感じがするだろう?」
それから自称ドクターは、自分が如何に天才かを話し始めた。自然科学、人文科学、形式科学、社会科学、その4つの科学で細かく分類される分野、物理学や生物学などを学び、博士号も いくつも取得していること。そして今は、悪魔の研究をしていること。ドクターは舞台役者のように大袈裟な身振り手振りで話していく。ダンテは何の感情も表に出さず、黙ってドクターの話を聞いている。
ドクター「これで分かってもらえたかな?」
ダンテ「いいや、まだだ。研究者って事は、お前が深海棲艦を造ったのか?」
ドクター「俺が?まさか・・・」
ドクターは笑い始めた。それは まるで、ダンテを小バカにしているような笑い方だ。
ドクター「やはり君は甘いな、何も分かっていない」
ダンテ「そいつは悪かったな、勉強不足なものでね」
ドクター「君は俺が深海棲艦を造ったと思っているみたいだが、
ダンテ「どういう意味だ?」
ドクター「それは海軍にでも訊いてくれよ。彼らは真実を知りながら、それを隠している」
ドクターが続けて話したのは、今でこそ建造なんてものがあるが、最初に誕生した深海棲艦と艦娘は自然に生まれたこと。深海棲艦と艦娘が戦い続ける限り、この戦争は終わらず、その事も海軍は知っていると。今この場に元帥は居ない。事実確認はできない。
ダンテは、ドクターに次の質問をする事にした。
ダンテ「お前の目的は?悪魔を研究して何をするつもりだ?」
ドクター「う~ん・・・本当なら ここで、誇らしげに悪事の全貌を高らかに披露するべきなんだろうが、教える訳にはいかないな」
ドクターの飄々とした喋り口調、ふざけた態度から話にならないと判断し、ダンテは引き金を引こうとしたが、ドクターが待ったを掛ける。
ドクター「俺が来たのは、忠告する為だ」
ダンテ「忠告?」
ドクター「ジェスター君から聞いたよ、君が別の世界から来た事を」
ダンテにとって、懐かしくもあり嬉しくもない名前が出た。ドクターはジェスターを知っている。なら、ジェスターが言っていた この世界について教えてくれた“親切な人間”というのは、このドクターかもしれない。
ドクターの言い分は、ダンテは この世界で深海棲艦や悪魔と戦っているが、これは この世界の問題であり、別の世界の住人であるダンテは首を突っ込むなと言ってきた。単純に部外者は引っ込めと言っている。
ドクター「どうやって こちらの世界に来たか知らないが、君は自分の世界に戻るべきだ」
そう言われて大人しく身を引くダンテではない。今度こそ引き金を引こうとしたが、祭りの会場の方から複数の叫び声がした。ダンテは そちらに気を取られ、もう一度ドクターの方を見ると、ドクターは居なくなっていた。仕方なく、ダンテは会場に急ぎ向かった。
・・・・・・
祭りの会場では悪魔が何体も現れていた。祭りを楽しむ為に来ていた一般人は、パニックになり逃げ惑っている。艦娘達は悪魔に対処しようとするが、人の波で上手く悪魔の方へと進めない。
レディ「だから丸腰は嫌だったのよ!」
レディとトリッシュも同様で、しかも2人は武器を全て鎮守府に置いている。トリッシュには まだ悪魔の力があるが、今のレディに悪魔の対処をする方法はない。既に犠牲も出ている。そんな中、人を襲っている悪魔が、銃弾に撃ち抜かれて消滅した。ダンテが戻ってきた。
ダンテ「お前らは住民を避難させろ!」
ダンテはリベリオンで悪魔を斬り倒しながら指示する。艦娘達は即座に住民の避難誘導を開始した。レディとトリッシュも“外では目立つな”と言われているため、戦闘は避けて2人も避難誘導に回る。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府*
明石「ヤバいヤバい、お祭り終わっちゃう・・・!」
明石は工廠で、皆の艤装の整備をしていた。夕張も手伝うと言っていたが断り、皆には先に行ってもらい、整備が終わってから自分も行こうとした。そして先程 整備が終わり、浴衣に着替えた明石は祭りに行こうとしたが、明石のスマホが鳴った。電話の相手は夕張だった。
明石「どうしたの?」
夕張『明石、魔具 持ってきて!』
明石「え?お祭りに魔具は要らないでしょ?」
夕張『いいから持ってきて!』
明石「持ってきてって、どれ持っていけば・・・もしもし?もしもーし?」
話している途中で通話が切れた。何かあり緊急事態と判断した明石は、急いで執務室に向かい、適当に魔具を掴んで執務室を出た。明石は憲兵の1人に車で送ってほしいと頼み、祭りの会場へと向かった。
・・・・・・
祭りの会場では避難誘導が順調に進み、ダンテも低級悪魔を屠り続け、悪魔も数が減ってきている。
天龍「提督、俺達も手伝うぞ!」
避難誘導を中断して、天龍と龍田が加勢に来た。悪魔が減るペースが上がる。最後の1体を天龍と龍田が一緒に倒すと、また騎士姿の悪魔が現れた。
ダンテ「天龍、龍田、お前らは手を出すなよ」
ダンテは悪魔に斬り掛かり、悪魔も自身の剣でリベリオンを受け止める。数回の剣戟の後、ダンテは後ろに飛び退きエボニー&アイボリーを高速連射、悪魔は剣を横凪ぎに振るうと、竜巻が発生して銃弾が逸れていく。竜巻に巻き込まれた屋台も吹き飛んだ。ダンテは紅い衝撃波『Drive』を放つと、悪魔も剣から黒い衝撃波を放ってくる。2つの衝撃波は ぶつかり合うと、両方 消滅した。
明石「提督!」
憲兵に送ってもらった明石が到着した。明石は その手に持つ魔具を、ダンテに渡す為に投げた。
アグニ『今こそ!』
ルドラ『我らの出番!』
『『・・・・・・うおっ!?』』
投げたのだが、剣を投げるなど初めての事でコントロールが悪く、アグニ&ルドラはダンテとは違う方向に飛んで地面に落ちた。
天龍「何やってんだよ!」
明石「ごめんなさ~い!」
天龍はアグニ&ルドラを拾いに行き、ダンテはアグニ&ルドラを無視して再び悪魔と剣戟を繰り広げる。
悪魔『ドクターから元の世界に戻れと言われたはずだ。何故この世界で悪魔と戦う?』
ダンテ「やっぱり あいつの知り合いか・・・悪いが これが仕事なんでな!」
ダンテと悪魔はお互いに剣を振りかぶる。両者の剣が ぶつかり合うかと思われたが、ダンテはリベリオンを引き悪魔の剣を躱す。空振って隙ができた悪魔に、ダンテは至近距離でチャージショットを高速連射した。至近距離で、更に威力の上がった銃弾を浴びた悪魔は怯んだ。
天龍「提督、これ使え!」
アグニ&ルドラを拾ってきた天龍がダンテに向かって投げると、今度は真っ直ぐにダンテへ飛んでいき、ダンテはアグニ&ルドラを掴んだ。
悪魔『何だ それは?』
ダンテ「お前には初披露の玩具さ」
悪魔『所詮は一刀から二刀になっただけだ』
ダンテ「そう思うか?」
ダンテは舞うようにアグニ&ルドラを振るい、悪魔も剣で応戦する。だがリベリオン1本の時とは違い、両手から繰り出される高速の連撃に悪魔が押され始めた。悪魔は飛び退くと、竜巻を発生させた。竜巻はダンテに向かってくる。ダンテはアグニ&ルドラを連結させて頭上で振り回すと、ダンテを中心に熱気の渦、『ツイスター』が発生する。それでも悪魔の竜巻は止まらない。ダンテはアグニ&ルドラの回転の速度を上げ、自身も宙に舞い上がる。熱気の渦は炎風の竜巻『テムペスト』となり、悪魔の竜巻と ぶつかり合う。両者の竜巻が消えて地面に着地したダンテは、高速で悪魔に近付き連撃を浴びせて斬り飛ばした。
ダンテ「やっと そのピカピカ目障りな甲冑に傷を入れてやったぜ」
悪魔『勝ったつもりでいるなら大間違いだ。その武器の特性は把握した』
悪魔は自身を竜巻で包み込み、竜巻が消えると悪魔も消えた。
ダンテ「また逃げたか・・・ガッツがあるかと思ったが、とんだ見当違いだったな」
アグニ『勝ったな、弟よ』
ルドラ『勝ったな、兄者よ』
アグニ『ダンテ、我らに感謝しろ』
ルドラ『そうだ、感謝しろ』
ダンテはアグニ&ルドラを その辺に投げ捨てた。しかも そのまま立ち去ろうとしている。アグニ&ルドラは他の魔具とは違い、エンツォの店に売り飛ばされた。ダンテの正式な所有物ではなくなっているので、ダンテも持ち帰る気はないようだ。
龍田「ポイ捨ては禁止されています~」
捨てられたアグニ&ルドラは、龍田が しっかり回収した。
ダンテは全員と合流し、鎮守府に戻った。
・・・・・・
翌日、ダンテは大淀から観艦式の通達が来ている事を知らされた。観艦式は呉鎮守府で行われる。横須賀の提督の話では、横須賀の艦隊と呉の艦隊で艦隊演習を催しとして やるそうだが、呉鎮守府には悪い噂もある。ダンテは自分が望むような事にはならず、また面倒事が増えそうな予感がしていた。観艦式の話を聞いた後、ダンテは大本営へ向かった。
*大本営 元帥執務室*
元帥「ダンテ提督、今日は どうした?」
ダンテ「大和、じーさんと2人にしてくれ」
大和は元帥を見た。元帥は大和に向かって頷き、それを確認した大和は執務室から退室した。元帥はソファーへと移動し、ダンテもソファーに座った。ダンテはドクターを名乗る男と、そのドクターが言っていた事を話した。元帥は沈黙している。
ダンテ「じーさん、そろそろ秘密はナシにしようぜ。知ってる事を全部 話してくれ。これ以上 振り回されるのは ごめんだ」
元帥「・・・前に海軍が深海棲艦の研究をしていたという話は憶えておるか?」
ダンテ「・・・あったな」
元帥「その研究が中止になるまでに解った事じゃが━━」
元帥は艦娘と深海棲艦について解っている事を話し始めた。艦娘と深海棲艦は、嘗ての大戦で沈んだ艦の魂の生まれ変わり。故に艦娘と深海棲艦は ある意味 同じ存在なのだ。国と人々を護ろうとする魂を持つのが艦娘。妖精さんは当時の艦の乗組員の、魂の生まれ変わりと考えられている。沈んだ事で怒り、怨み、生きている者を妬む魂を持つのが深海棲艦。そして艦娘が轟沈すれば深海棲艦となり、逆に深海棲艦が轟沈すれば艦娘となる。艦娘と深海棲艦は、コインの表と裏のような関係で、この戦争は それの繰り返しなのだと説明した。
ダンテ「じゃあ
元帥「無駄ではない。深海棲艦を全て沈めれば、戦争は終わる。我々は それを目指して戦っておるんじゃ」
ダンテ「前に話した時に、どうして言わなかった?」
元帥「言ったじゃろ、機密じゃと」
これが知られた場合、疑問を抱き、戦えなくなる艦娘も現れるだろう。人々が知れば、恐怖の対象は艦娘へと向き、艦娘を排除しようとする者が出てくる可能性もある。そうなれば、深海棲艦に対抗できる存在が居なくなる。故に機密なのだ。この事実は、海軍でも僅かな人間しか知らない。
元帥「だから頼む。この事は誰にも言わんでくれ」
ダンテ「なら深海棲艦から悪魔の臭いがする理由も知ってるのか?」
元帥「それは知らん」
ダンテは溜め息を吐いた。そこまでの情報が出たなら、深海棲艦から悪魔の臭いがした理由も解ると思ったが、どうやら期待外れだった。自称ドクターに関しては まだ不明な点が多いので、ドクターの話は保留となった。
ダンテは用が済んだので、立ち上がり鎮守府に戻ろうとしたが、元帥に呼び止められた。
元帥「おぬしは今度の観艦式には来るのか?」
ダンテ「そのつもりだ」
元帥「そうか、では向こうで また会えるのを楽しみにしておく」
ダンテ「じゃあな」
今度こそダンテは執務室から退室した。執務室を出た先で、ダンテを待っていたかのように1人の艦娘が立っていた。
吹雪「ダンテさん、元帥と何を話してたんですか?」
ダンテ「・・・吹雪か、ただの世間話さ。お前さんは何をやってるんだ?」
吹雪「たまたま通り掛かっただけです」
ダンテ「そうかい、俺は帰るぜ」
ダンテは鎮守府に戻る為に立ち去った。吹雪は、ダンテの背中を黙って見詰めていた。
次回も よろしく お願いいたします!