Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

483 / 551
感想ありがとうございます!

前回まで滅茶苦茶にしてたので、ちょっと真面目にやっていきたいと思います
今回は『Mission462』からの直接的な続きとなりますが、胸糞展開もございますので苦手な方は申し訳ないです

470話です!どうぞ!


Mission470 楓VS潤羽(前編)~担任外しに執着する理由~

明陽(めいよう)学苑高校 9月19日 8:45*

 

潤羽(うるは)が学校に登校すると、自身の出生をバラすビラが学校中に貼られていた。

潤羽は2年4組の教室に向かうと、教室の前の廊下の壁にも大量のビラが貼られており、それを見ながら彼女は呆然と立ち尽くしていた。

 

羽黒「誰が こんな物 貼ったの?!」

 

そこに、騒ぎを聞き付けた羽黒が駆け付け、壁に貼られたビラを手当たり次第に剥がしていく。

 

生徒「通りで頭が良すぎると思ったんだよ」

 

生徒「本当にあるんだ、こういう事って」

 

生徒「優秀な遺伝子で造られたって・・・」

 

羽黒はビラを手にする生徒達に近付くと、そのビラを奪い取りグチャグチャに丸める。

そして潤羽は、自分が異質に見られる出生の秘密を皆に知られたショックで、涙を流していた。

すると潤羽は何を思ったのか、ジッポライターを取り出し着火すると、火が点いたままのジッポライターを真上へと投げた。

火の点いたジッポライターがスプリンクラーに当たると、スプリンクラーが作動して消火用の水が降り、火災報知器が けたたましく鳴り響く。

 

羽黒「みんな入って!」

 

羽黒の誘導で生徒達が教室の中に入り、1人その場に立ち尽くす潤羽の後ろから、誰かが彼女を傘の中に入れて相合い傘をする。傘を持ち潤羽の横に並び立ったのは、2年4組のリーダーである(かえで)だった。

 

楓「これは いったい何の騒ぎ?廊下が水浸しだよぉ」

 

その白々しい言葉に自身の出生をバラしたのが彼女だと気付いた潤羽は、横に立つ楓を憎しみの籠った眼で睨む。

だが潤羽に睨まれる楓は、屈託のない笑みを浮かべていた。

 

楓「あれぇ?潤羽、何か怖い顔してる~。どうした、何かあった?悩みがあるなら友達の私に何でも相談して・・・あ、潤羽は友達じゃなくて先生の方がいいか。どうせ先生に聞いてもらうんでしょ?大好きなネロ先生に。でもさぁ、あまり構ってもらえないからって、先生じゃなくてもいいんじゃない?先生だって所詮 他人なんだから。親じゃないんだよ。あ、そっかぁ、潤羽は親の愛情を知らないから、本当の親が どんなのか分かんないのか。可哀想~。普通じゃないんだもんね」

 

潤羽「・・・・・・・・・」

 

楓「何?言いたい事でもあんの?」

 

潤羽「・・・・・・・・・・・・この国から あんたの居場所なくしてやる」

 

憎しみの籠る眼で睨む潤羽の その言葉に、楓は何を言ってるんだと、現実的ではないと、バカバカしいと鼻で笑った。

 

楓「・・・“この国から あんたの居場所なくしてやる”?馬鹿じゃないの?そんな事できる訳ないでしょ」

 

潤羽「私にできないこと、あると思う?」

 

これで、2年4組のリーダー楓と、IQ200の天才少女 潤羽の、全面戦争が決まってしまった。

2人が互いに睨み合っていると、スプリンクラーが止まり、楓は傘を畳んで教室に入った。

直後、ネロが遅れて駆け付け、壁に貼られたビラを見てから、立ち尽くして背を向ける潤羽を見た。

 

ネロ「潤羽・・・」

 

潤羽「・・・ごめん、先生・・・・・・私、今日で先生と お別れする事になっちゃった」

 

ネロ「お前・・・」

 

潤羽「普通じゃなくてもいいって・・・・・・やっと思えたのに・・・・・・やっぱり・・・普通じゃないって駄目みたい・・・」

 

潤羽の その言葉に、彼女の精神状態が かなり不安定になってると思ったネロは焦り、潤羽の前に回り込み肩を掴む。

 

ネロ「潤羽・・・そんなこと言うな、潤羽」

 

俯いてた潤羽は顔を上げ、弱々しい笑みを浮かべてネロの顔を見る。

 

潤羽「寂しかったけど・・・先生の お陰で、楽しかった」

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

潤羽「ありがとう・・・これ以上 迷惑 掛けたくないから、退学届、出しといて」

 

ネロ「お前・・・なに言ってんだ・・・?」

 

するとネロの後ろから、ドタバタと複数の走ってくる足音が近付いてきた。

 

教頭「ネローー!!これは何の騒ぎだ?!」

 

ネロは怒鳴る教頭に いきなり胸ぐらを掴まれ、その隙に潤羽は立ち去ろうとし、ネロは潤羽を止めようとするが、他の教師達もネロが逃げようとしてると思い取り押さえてくる。

 

教頭「貴様以外に誰がやるんだ?!」

 

潤羽は1度ネロに振り返ると微かに笑みを浮かべ、立ち去っていった。

 

ネロ「潤羽ー!!俺じゃねぇって言ってるだろ!」

 

教頭達に邪魔された事により、ネロは潤羽を止める事ができなかった。

 

 

・・・・・・

 

*教員室 10:40*

 

休み時間に、ネロと羽黒も含め、教員達で潤羽の事について話していた。

そんな中で、羽黒が ある報告をしていた。

 

羽黒「彼女の お母さんに連絡を取ったのですが、まだ家に帰ってないようです」

 

潤羽は学校を去ってから、その行方が掴めなくなっていた。

 

教師「警察に連絡は?親御さんは何と?」

 

羽黒「それが、こちらで探すから、これ以上は関わらないでほしいと言われました」

 

教師「え?親が そう言うなら待ちましょう、こちらに落ち度はない」

 

教師「そうですね。問題を これ以上 大きくする必要もない」

 

教師「元を正せば家庭の問題ですからね」

 

教師達は誰もが、このまま潤羽の問題から手を引こうとする姿勢だった。

 

教師「しかし まぁ、とんでもない事実が明らかになったものだ。IQ200の造られた天才児、通りでビッド・レートで あんだけ稼げてた訳だ」

 

羽黒「そんな言い方やめてください。彼女には何の罪もありません」

 

すると教頭は教師達に、これ以上 問題を大きくしないように厳命し、全ては潤羽の家庭の問題だとした。

しかし この教頭の言葉に、椅子に座っていたネロが机を叩いて立ち上がり、教頭の前まで詰め寄った。

 

ネロ「問題あんのはアンタらの方じゃねぇのか?」

 

教頭「何?」

 

ネロ「どいつも こいつも体裁なんか気にしやがって。誰も潤羽の事が心配じゃねぇのか?」

 

教頭「黙りなさい!学校は集団生活の場だ。1人の身勝手な行動が、他の生徒にまで影響を与えるんだ。1人の生徒のために、他の生徒を犠牲にはできんのだよ!」

 

ネロ「その たった1人の生徒を救えねぇで、何が教師だ」

 

ネロが そう言って周囲の教師達を見るが、教師達は皆、誰もネロと目を合わせようとしなかった。

 

ネロ「アンタら それでも教師かよ?」

 

ネロは潤羽を探すために、肩を怒らせ教員室から出ていった。

 

羽黒「ネロ先生!」

 

羽黒はネロを追い掛けようとしたが、教頭達に呼び止められ足を止めた。

 

教頭「羽黒先生、放っておきなさい!」

 

教師「あなたまで どうしたんですか?!」

 

羽黒「・・・ネロ先生は間違ってません」

 

羽黒はネロと一緒に潤羽を探すため、同じく教員室から出ていってネロを追い掛けた。

 

 

*理事長室*

 

その頃 理事長室では、理事長が問題となってるビラを見ていた。

理事長も潤羽の出生を知りながら秘密にしていたのだが、ビラを机の上に置くと溜め息を吐き、また とんでもない事になってしまったと頭を抱えた。

 

 

・・・・・・

 

*潤羽の自宅 11:36*

 

潤羽の自宅であるマンションでは、事業に失敗してヤクザから逃げたはずの潤羽の母親が、部下と共に戻り滅茶苦茶にされたオフィスのセッティングをし直していた。

 

部下「お帰りください」

 

玄関から誰かに応対する部下の声がし、そこには羽黒と一緒に来ていたネロが喚いていた。

 

ネロ「おい、娘に何かあったら どうするつもりだ?!」

 

部下「兎に角、お引き取りください!」

 

部下では埒が明かないので、潤羽の母親が直接ネロ達の前に現れた。

 

母親「これ以上 関わらないでほしいと学校に伝えたんだけど」

 

ネロ「潤羽(あいつ)、何するか分かんねぇぞ」

 

潤羽の母親は、優秀な人材に頼んだから直に見付かるとし、部下に仕事の指示を出し玄関を閉めようとした。

しかし、それをネロが阻止して抵抗する。

 

ネロ「娘の心配より仕事の心配かよ?!」

 

母親「そうよ悪い?」

 

ネロ「ふざけんなテメ━━」

 

だが結局 玄関が閉められ、鍵までされてネロと羽黒は門前払いを喰らい、ネロは怒りから玄関扉を1発 殴った。

 

 

*街*

 

潤羽の自宅から撤退したネロと羽黒は街を歩きながら、2人は潤羽の母親に対して愚痴が止まらなかった。

 

ネロ「娘が行方不明だってのに、あれでも母親かよ・・・!」

 

羽黒「特別な親子関係にあるのかも。でも あんまりです!」

 

ネロ「潤羽は特別なんだ。特別だけど、甘えられる相手が欲しかったんだ。親から愛されないなんて寂しいぜ」

 

羽黒「・・・・・・・・・」

 

 

*明陽学苑高校 2年4組*

 

2年4組の教室では、ネロと羽黒が居ないため自習となり、生徒だけとなっていた。

だが潤羽の事があるため、誰も自習などする気分にならず、重苦しい空気の中、誰もが椅子に座って沈黙し、静まり返っていた。

そんな中、楓の後ろの席の輝男(てるお)が、彼女の背に声を掛けた。

 

輝男「楓、そこまでする必要あんのかよ?」

 

他のクラスの生徒達は、誰が あのビラを貼ったのか分かっていなかったが、2年4組の生徒達だけは、これまで担任外しをしてきた事から、楓がやったのだと理解していた。

 

楓「潤羽が悪いのよ。ネロと仲良くなったりするから」

 

輝男「だからって ああいうこと・・・」

 

楓「もういい!」

 

輝男は やり過ぎだと咎めようとしたが、楓が怒鳴りながら席から立ち上がり、突然の事に輝男は戸惑う。

 

楓「もういい。どうせ あんたもネロ派なんだから」

 

輝男「・・・・・・・・・」

 

楓からすれば理由があり、皆と協力して担任外しをしていた。だが輝男や他の生徒達は、いつしかネロに心を開き、担任外しをしなくなった。それは楓からすれば、敵になったも同然だった。

 

楓「あんたも、あんたも!あんたも あんたも!いったい どういうこと?!皆あのこと忘れたの?!『奈南(なな)』が どんな気持ちで━━」

 

楓は皆に指を指して問い詰めるが、彼女の言葉に我慢ならず輝男が席から立ち上がった。

 

輝男「忘れてねぇよ!忘れる訳ねぇ・・・けどネロは今までの奴とは違う。お前も本当は分かってるんだろ?!」

 

楓「分かんないわよ!・・・教師なんて信用できない・・・私が あの子の仇 取るから」

 

そう言って、楓は自分の鞄を持ち、教室から出ていった。

皆は呼び止める事もできず、ただ彼女が出ていくのを見てるだけだった。

 

 

・・・・・・

 

*街 20:03*

 

夜、まだ多くの人が行き交う街の中で、楓が1人で居た。

彼女の脳裏には、“奈南”という友達を最後に見た時の光景が思い返されていた。

その日 奈南は、学校の屋上の縁に立っていた。

異変に気付いた楓は奈南を止めるために屋上へと急いだ。

 

 

“奈南!”

 

 

奈南は自分の元まで来た楓に ある言葉を伝えると、屋上から飛び下りようとし、楓は彼女の腕を掴んで止めようとしたが、その腕を掴む事はできず、奈南は自ら命を絶って この世を去った。

楓が友達を失った日の事を思い返していると、通りすがりのスーツを着た中年男性に声を掛けられた。

楓は何かを言ったり反応する事はなかったが、中年男性に誘われるまま、一緒に どこかへ行ってしまうのだった。

その頃ネロは、潤羽を探して彼女と一緒に乗った観覧車がある場所まで来ていた。

すると その近くのベンチに座る、潤羽らしき女性の後ろ姿を見付ける。

 

ネロ「おい、潤羽」

 

駆け寄り肩を掴むが、振り向いた女性は潤羽ではなかった。

人違いだった事を謝り女性から離れ、潤羽は どこに行ったのかとボヤいてると、ネロのスマホに着信が入った。

 

ネロ「おう、金剛か」

 

金剛『はい。ネロの生徒達━━』

 

金剛から事情を聞いたネロは、急ぎ彼女が働く喫茶店へと向かった。

 

 

・・・・・・

 

*喫茶店 20:55*

 

金剛「ネロ、奥に居マース」

 

喫茶店に着くと、奥には羽黒と、2年4組の生徒達が集まっていた。

 

羽黒「ネロ先生、潤羽さんは?」

 

ネロ「いや、どこにも居ねぇ」

 

杏子「私達も探したんだけど・・・」

 

輝男「先生・・・」

 

普段 輝男は、ネロを呼び捨てで呼ぶのだが、どういう訳か珍しく、初めてネロの事を“先生”と呼んだ。だが それは、ネロに嫌な予感を感じさせる程の違和感を与えた。

 

ネロ「・・・何だ?」

 

輝男「あのビラ・・・書いたの楓なんだ」

 

ネロ「・・・楓が?」

 

ネロが聞き返すと、輝男は黙って頷いた。

 

ネロ「何で あいつ、あんな(もん)・・・?」

 

ネロが疑問を口にすると、生徒達は どこか言いづらそうな表情で沈黙した。だが その表情は、ネロや羽黒からすれば、明らかに事情を知ってると言ってるのも同然だった。

 

羽黒「教えて」

 

輝男「・・・楓、教師と仲良くしてるのが許せなかったんだ。担任外しを裏切ったって。それで俺達の事も・・・」

 

ネロ「あいつが そんなに執着する“担任外し”って、何なんだ?」

 

輝男「・・・・・・・・・」

 

ネロ「お前らに何があったんだ?」

 

『・・・・・・・・・』

 

輝男「・・・・・・1年前・・・担任のせいで、クラスメイトが死んだんだよ・・・」

 

その事に羽黒は驚いた顔をするが、話を遮る事はせず、輝男の言葉は続く。

 

輝男「俺達の目の前で、飛び下りたんだよ・・・」

 

その日、楓に遅れて今の2年4組の生徒達も、奈南を止めるために屋上に居た。

だが止める事もできず、ただ彼女が飛び下りるのを見てるしかできなかった。

 

羽黒「そんな事があったの・・・?」

 

輝男「・・・あぁ・・・その時 死んだのが、楓の親友だった・・・それで楓の奴・・・」

 

輝男から そこまで聞いたタイミングで、ネロのスマホに着信が入った。だがネロは何かを考え込んでるからか、電話に出ようとせず着信音が鳴り続ける。

 

生徒「先生、携帯・・・」

 

ネロ「お、おう・・・もしもし」

 

天龍『天龍だけど、いま警察署 襲撃しに来たら、お前が潜入してる学校の生徒が補導されてきたぞ』

 

 

・・・・・・

 

*警察署 21:37*

 

天龍からの連絡で、ネロと羽黒が警察署に来ると、天龍が待っていた。

 

天龍「あ、来た来た、こっちだ!」

 

天龍は左遷させられた時に この警察署で勤務する事になったので、ネロ達が来る前に、見知った警官から生徒が補導された事情を聞いていた。

どうやら中年男性とラブホテルに入ろうとしていた寸での所で、偶然 警官が見付けて止めて、そのまま補導したらしく、ラブホテルと聞いて羽黒は仰天した。

 

ネロ「今どこに居るんだ?!」

 

天龍「少年課で預かってるってよ」

 

天龍の案内で少年課がある階まで行くと、天龍はネロと羽黒を置いて1人で どこかへ行ってしまった。

ネロと羽黒は仕方なく、2人だけで少年課に所属する婦警に身分を告げると、補導された生徒と会う事になったのだが、その生徒が楓だったため、2人は驚いた。

 

羽黒「何があったの?」

 

ネロ「・・・何やってんだよ、お前は」

 

2人が問うても楓は視線も合わさず、何も言わず、無表情のまま何の反応も見せない。

しかし・・・

 

ネロ「死んだクラスメイトの事が原因か?」

 

生徒達から聞いた、楓が担任外しに拘る理由をネロが口にすると、無反応だった楓がネロを見上げた。

 

ネロ「その事で潤羽とケンカして、あんなビラ貼ったのか?」

 

楓「・・・死ねばいいのよ あんな奴」

 

何故そこまで言うのかと理解に苦しく、羽黒は眉間に皺を寄せて楓を見詰めるのだが、ネロは そんなものでは収まらなかった。

 

ネロ「おぉい!!」

 

ネロは楓の前にあるテーブルを蹴って横に押し出し、彼女の前に立って見下ろした。

 

ネロ「楓、“死ねばいい”なんて簡単に口にすんじゃねぇ」

 

楓「・・・私は潤羽に、“この国から あんたの居場所なくしてやる”って言われたのよ。そんな子どうなったって・・・私は悪くない!」

 

ネロ「どうなったっていい訳ねぇだろ!ダチだろ!お前ら」

 

楓「・・・・・・私には そんな者 居ない」

 

羽黒「・・・・・・・・・」

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

 

*署長室*

 

その頃 天龍は、署長室の扉を蹴破り中に突入していた。

左遷期間が終わって帰ったはずの天龍が現れ、署長は大層 驚いた。

 

署長「天龍!?」

 

天龍「死ねクソ署長ぉー!!」

 

天龍の砲撃で署長室が吹き飛び、警察署が大きく揺れた。

 

 

・・・・・・

 

*喫茶店 23:03*

 

金剛が働く喫茶店では、生徒達が まだ残っていた。

補導された生徒が誰かも分からず、落ち着かない様子でネロが戻ってくるのを待っていた。

そんな生徒達を、金剛は黙って見守っていた。

すると店の入り口から足音がし、ネロが1人で戻ってきた。

 

明子「先生!」

 

生徒達は どうなったのかと気になり、一斉に席から立つとネロの前に集まり、金剛も話を聞くため一緒に並び立つ。

 

輝男「どうだった?」

 

ネロ「補導されたのは楓だった。いま羽黒先生が送ってる」

 

輝男「楓が・・・」

 

生徒達からしても予想外な人物であったため、動揺が隠せなかった。

そしてネロは、困ったように息を吐き出し・・・。

 

ネロ「楓の奴、ダチなんか居ないって言ってるぞ。あいつも相当 追い込まれてるみたいだな・・・何とかしないと、潤羽も楓も、両方 居なくなっちまうぞ」

 

とは言っても、すぐに いい案が出る訳でもなく、どうしたらいいのかと その場に居る者達は考え込み、沈黙による静寂に包まれるのだった。

 

 

*楓の自宅*

 

その頃 羽黒は、楓を自宅まで送り届け、家の前に着いていた。

 

楓「ここでいいです」

 

羽黒「ご両親には、私が説明するわね」

 

楓「・・・親には黙っててください」

 

羽黒「え、でも・・・」

 

楓「大丈夫だから」

 

そう言って、楓は家の門扉を通り中に入っていってしまった。

 

 

・・・・・・

 

部屋着に着替えベッドに腰掛けた楓は、亡くなった親友である奈南と一緒に写る写真を見詰めながら彼女の名を呟くと、横になって枕元にあったクマの ぬいぐるみを抱き締めた。

 

楓「ん・・・?」

 

しかし ぬいぐるみに違和感を感じた楓は飛び起き、背中の縫い目を裂くと、中から真っ黒な盗聴器が出てきた。

 

楓「何これ・・・?」

 

直後、スマホにメッセージが届いた通知が鳴り、楓は慌ててスマホを確認すると、差出人は潤羽だった。

メッセージを開くと何かのサイトに繋がり、そこには爆弾のマークとタイマー、そしてサンプルとして、自宅での楓の様子が動画として載っていた。

そして『エッチで見せたがりの あたしのプライベート生活を ぜーんぶ公開しちゃいます』という文まで添えられていた。

映っているサンプル映像は大したものではないが、恐らくタイマーが0になった時、表に出せないような際どい映像までも流れる仕組みになってるのだと思われる。

動揺しながらも今 流れる映像を見ていた楓は、その画角で どこから撮られているか見当を付け、棚にある物を漁り、棚の上にあった円形の入れ物を手に取ると、中から同じ盗聴器とカメラが出てきた。

次にクローゼットの中も漁り、そこにあったバッグの中を確かめると、やはり同じ盗聴器が出てきた。

 

楓「・・・・・・いやぁああああ!!!」

 

あまりにも悪質な状況に、楓は悲鳴を上げながら崩れ落ち、床に座り込んだ。

 

 

*街*

 

夜の街の どこかで、潤羽は建物の屋上の縁に座りながら、楓に送ったサイトの画面をスマホで見ていた。

そこに、潤羽の母親からの着信が入り、彼女は電話に出た。

 

母親『潤羽、どこに居るの?』

 

母親の優しい声音に潤羽は、今なら ちゃんと話せると思った。

 

潤羽「お母さん━━」

 

母親『早く戻って こっち手伝って。こないだの損失 回収できてないんだから』

 

だが娘を心配する言葉ではなく、仕事の事しか考えてない母親の言葉に、潤羽は悲しい表情を浮かべた。

 

潤羽「・・・・・・お母さんは、私じゃなくて私の頭脳があれば、それでいいの?」

 

母親『そうよ!そんな当たり前のこと訊かないで!』

 

やはり母親は、何も変わらず いつもの母親だとショックを受けた潤羽は、何も言わず通話を切った。

 

 

・・・・・・

 

*カレー屋 9月20日 13:00*

 

翌日、ネロは姿を消した潤羽を探すため、学苑の周辺で聞き込みをしていた。

 

ネロ「だからぁ、髪型がショートカットで、茶髪で、目がパッチリで、口が尖ってて、こんな感じなんだよ、ほら」

 

ネロはカレー屋の店主に、潤羽の特徴を伝えながら顔真似するのだが、そう言われても、店主からすれば何も伝わってこなかった。

 

店主「いや、そんなの分かりませんよぉ」

 

ネロ「何で分かんねぇんだよぉ~。ちょっと待て」

 

ネロは説明しても伝わらない事にウンザリしていたが、レジ近くにあるメモとペンを見ると、そこに潤羽の似顔絵を描き始めた。

店主もウンザリしながら黙って待ってると、すぐに絵が完成したのだが・・・

 

ネロ「こんな感じだ、どうだ?」

 

店主「えぇー・・・」

 

見せられた似顔絵が あまりにも下手で子供の落書きにしか見えず、結局なにも伝わらなかった。

 

ネロ「どこ行っちまったんだ潤羽・・・」

 

何の収穫も得られなかったネロはカレー屋から出ると、スマホに着信が入った。

 

ネロ「おい、潤羽!・・・・・・なんだ輝男じゃねぇか。どうしたんだよ?」

 

潤羽だと思い すぐに電話に出たが、相手が輝男だと判り残念そうな顔をする。

しかし、輝男から伝えられた事を聞き、ネロの表情が強張った。

 

ネロ「何だと・・・!?」

 

楓の動画が公開されるまで、残り4時間。それまでにネロは、楓と潤羽の戦争を止め、2人の心を救う事ができるのだろうか?

次回へ続く。




次回も宜しく お願い致します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。